説明

埋め込み型医療システム

本発明は、埋め込み型医療システムに関する。ここで、埋め込み型デバイスは、電気パルスを生成するよう構成される電気要素に動作可能に接続される電源を含み、プローブが、遠位端部及び近位端を持つ。上記遠位端部が、目標組織と電気的に接触するよう構成される1つ又は複数の電極と、上記埋め込み型デバイスに上記1つ又は複数の電極を接続するワイヤとを持つ。上記ワイヤが、上記埋め込み型デバイスから、上記1つ又は複数の電極へ、及び上記目標組織へ上記電気パルスを伝える。上記プローブが、少なくとも1つのコンデンサと、上記少なくとも1つのコンデンサが、上記埋め込み型デバイスの上記電気要素の一部を形成するよう、上記埋め込み型デバイスにおける上記電気要素に上記少なくとも1つのコンデンサを接続するワイヤとを持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込み型医療システムに関し、この埋め込み型医療システムに含まれる埋め込み型デバイスに接続されるよう構成されるプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
脳深部刺激(DBS)は、様々な支障を来す神経学的徴候を処置するために使用される。この徴候とは、例えば、震え、硬直、こわばり、動作遅延及び歩行問題といったパーキンソン病(PD)の徴候である。この処置は、基本的な震え、共通の神経学的運動障害を処置するのにも用いられる。
【0003】
DBSにおいて、長さ8〜10cmの細長いプローブが、頭蓋骨の上端における穿頭を通して脳内に深く設置される。プローブの遠位端部は、電極を含み、目標となる脳内に配置される。これらの電極は、電気要素及びバッテリを持つ埋め込み型デバイスへとケーブルにより接続される。この埋め込み型デバイスは、コンデンサを含む。このコンデンサは、電気パルスを生成するのに必要とされるプログラム可能なより低い又はより高い電圧へのバッテリ電圧の容量性電圧変換のために必要とされる。一旦プローブ及び埋め込み型デバイスが配置されると、電気パルスが、埋め込み型デバイスから電極へと及び目標とされた脳組織へと送信される。これらの電流パルスは、目標とされた脳組織の神経活動と干渉する。これは、震え及びPD徴候の減少又は除去さえをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在のDBSシステム及び例えば心臓ペースメーカシステムといった他の類似するシステムでの問題は、電気要素が、a.o.電圧変換、レベルシフター、電荷バランシング及び周波数チューニングのための様々な大きなコンデンサを含む点にある。DBSシステムの場合、埋め込み型デバイスは、電気要素及びバッテリを含む。埋め込み型デバイスにおけるコンデンサは、このデバイスにおける貴重な空間を消費する。これは、(再充電可能な)バッテリのサイズ及び/又はDBS刺激器の利用可能な機能を事実上減らす。
【0005】
本発明の目的は、とりわけよりコンパクトでユーザーフレンドリーにすることにより従来の技術埋め込み型医療システムを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の側面によれば、本発明は、埋め込み型医療システムに関し、
電気パルスを生成するよう構成される電気要素に動作可能に接続される電源を有する埋め込み型デバイスと、
遠位端部及び近位端部を持つプローブであって、上記遠位端部が、目標組織と電気的に接触するよう構成される1つ又は複数の電極と、上記埋め込み型デバイスに上記1つ又は複数の電極を接続するワイヤとを含み、上記ワイヤが、上記埋め込み型デバイスから、上記1つ又は複数の電極へ、及び上記目標組織へ上記電気パルスを伝える、プローブとを有し、
上記プローブが、少なくとも1つのコンデンサと、上記少なくとも1つのコンデンサが、上記埋め込み型デバイスの上記電気要素の一部を形成するよう、上記埋め込み型デバイスに含まれる上記電気要素に上記少なくとも1つのコンデンサを接続するワイヤとを有する。
【0007】
従って、埋め込み型デバイスの様々な機能を実行するために必要とされる一部又は全部のコンデンサが、埋め込み型デバイスからプローブへと移動される。これは、埋め込み型デバイスにおいてより多くの空間が他の目的のために利用可能であること、又は、埋め込み型デバイスがより小さくされることができることを意味する。更に、埋め込み型医療システムのバッテリ寿命は、増加されることができる。なぜなら、埋め込み型デバイスからプローブへコンデンサを移動することにより、より多くの空間が埋め込み型デバイスにおいて利用可能であり、バッテリのサイズを増加させるのに使用されるからである。また、デバイスの充電と電力消費との間の時間が変化しないと想定すると、バッテリをより大きくすることで、放出割合(percentage discharge)はより小さくなる。一般に、バッテリの放出レベルが小さくなればなるほど、このバッテリはより頻繁に充電されることができる。即ち、チャージサイクル数は上がり、同じバッテリが、新しいものと交換されるまでにより長く使用されることができる。
【0008】
ある実施形態において、上記プローブに含まれる上記少なくとも1つのコンデンサの形状は、上記プローブの幾何学的な形状に適合される。その態様において、コンデンサのサイズ及びプローブにおける空間の使用が最大化される。
【0009】
ある実施形態において、上記埋め込み型デバイスに含まれる上記電気要素が、上記少なくとも1つのコンデンサに加えて少なくとも1つの追加的なコンデンサを含む。
【0010】
ある実施形態において、上記プローブの上記幾何学的な形状が、円筒状である。
【0011】
ある実施形態において、上記コンデンサが、並列及び/又は直列に接続される複数のサブコンデンサに分割される。ある実施形態において、上記プローブが、屈曲可能な分離部分により連結される複数のセグメントに分割され、上記セグメントは、上記サブコンデンサを少なくとも有する。こうして、プローブの機械的な柔軟性及び可屈曲性は、強化される。
【0012】
ある実施形態において、上記コンデンサが、誘電層により分離される少なくとも第1及び第2の導電層を有する階層構造により形成される。
【0013】
ある実施形態において、上記誘電層の誘電率が、5より高い。
【0014】
ある実施形態において、上記誘電層の厚みが、25nm未満である。
【0015】
ある実施形態において、上記階層構造が、上記誘電層の厚みを増加させるため、マイクロ構造化される。
【0016】
ある実施形態において、上記階層構造が、上記階層構造の上記有効な表面領域を増加させるため、互いに嵌合されたコンデンサデザインを有する。
【0017】
従って、静電容量を増加させ、及び/又は誘電層の厚みを減らし、及び/又は誘電層の厚みを増加させることにより、埋め込み型デバイスにおける電気要素に貢献するよう、静電容量は増加されることができる。
【0018】
ある実施形態において、上記階層構造が、金属−誘電−金属層の反復又は上記互いに嵌合されたコンデンサデザインの反復を有する。
【0019】
ある実施形態において、上記コンデンサが、並列に接続される。
【0020】
ある実施形態において、上記階層構造が更に、中に埋め込まれる上記ワイヤを備える相互接続層を含み、上記相互接続層は、上記埋め込み型デバイスに一緒に含まれる上記少なくとも1つのコンデンサと上記電気要素とを接続する。
【0021】
第2の側面によれば、本発明は、埋め込み型デバイスに接続されるよう適合されるプローブに関し、上記埋め込み型デバイスが、電気パルスを生成するよう構成される電気要素に動作可能に接続される電源を有し、上記プローブが、遠位端部及び近位端を持ち、上記遠位端部が、目標組織と電気的に接触するよう構成される1つ又は複数の電極と、上記埋め込み型デバイスから、上記1つ又は複数の電極へ、及び上記目標組織へ前記電気パルスを伝えるため、上記埋め込み型デバイスに上記電極を接続するよう構成される上記近位端部へと上記1つ又は複数の電極から延在するワイヤとを有し、上記プローブが、少なくとも1つのコンデンサと、上記少なくとも1つのコンデンサが上記埋め込み型デバイスの上記電気要素の一部を形成するよう、上記埋め込み型デバイスに含まれる上記電気要素に前記少なくとも1つのコンデンサを接続するよう構成され、上記近位端部へと上記1つの電極から延在するワイヤとを有する。
【0022】
このプローブは、プローブに関して使用される基板上へ導電層及び誘電層が交替に堆積される標準的な技術を用いて製造されることができる。
【0023】
導電層及び誘電層の交互の堆積は、2回又はこれ以上反復されることができ、こうして、多層コンデンサが形成される。
【0024】
導電層は、物理的な蒸着を用いて堆積されることができる。物理的な蒸着は、以下に限定されるものではないが、蒸発、電子ビーム蒸発及びスパッタリングといった技術を含む。
【0025】
導電層を堆積させることは、電気メッキにより実行されることもできる。
【0026】
誘電層を堆積させることは、化学的又は物理的な蒸着により実行されることができる。
【0027】
基板はプローブと同じ幾何学的形状を持つことができるか、又は、堆積が完了した後、続いて形状が整えられる平坦な基板とすることができる。
【0028】
基板は、例えばリソグラフィ及びエッチングといったマイクロ又はナノ製作技術を用いて、マイクロ又はナノ構造でパターン化されることができる。
【0029】
基板は、例えばナノチューブ又はナノ粒子といったマイクロ又はナノ構造からなる物質を用いて被覆されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態による埋め込み型医療システムを示す図である。
【図2】本発明の実施形態によるプローブを示す図である。
【図3a】本発明の実施形態によるプローブの一実施形態を示し、プローブが複数のセグメントに分割される場合の図である。
【図3b】本発明の実施形態によるプローブの一実施形態を示し、プローブが複数のセグメントに分割される場合の図である。
【図4】ウェーハから実現されるコンデンサを含む薄膜層構造を示す図である。
【図5】有効な表面領域を増加させる金属及び誘電層にけるマイクロ構造を示す図である。
【図6】互いに嵌合されたコンデンサレイアウトの断面及び概要を示す図である。
【図7】互いに嵌合されたコンデンサレイアウトの断面及び概要を示す図である。
【図8】複数のコンデンサを並列に作成するため、積み重ねられたサンドイッチ構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の側面はそれぞれ、他のいずれかの側面と組み合わされることができる。本発明のこれらの及び他の側面が、以下に説明される実施形態より明らとなり、これらの実施形態を参照して説明されることになる。
【0032】
本発明の実施形態が、例示にすぎないものを介して、図面を参照して、説明されることになる。
【0033】
図1は、本発明の実施形態による埋め込み型医療システム100を示し、このシステムは、埋め込み型デバイス104及びプローブ101を有する。埋め込み型デバイス104は、電気パルスを生成する電気要素106aに動作可能に接続されるバッテリ107を有する。電気要素は例えば、様々な電子機器及び電子部分、回路、コンデンサ等を含むことができる。プローブ101は、遠位端部109及び近位端部108を持つ。遠位端部は、目標組織105に電気的に接触するよう構成される1つ又は複数の電極102と、1つ又は複数の電極102を埋め込み型デバイス104に接続するワイヤ103とを有する。使用の間、ワイヤは、埋め込み型デバイス104から、1つ又は複数の電極102へと及び目標組織105へと電気パルスを伝える。プローブ101は、少なくとも1つのコンデンサ106bと、埋め込み型デバイス104に含まれる電気要素106aにこの少なくとも1つのコンデンサ106bを接続するワイヤ(図示省略)とを有する。この接続は、少なくとも1つのコンデンサ106bが、埋め込み型デバイス104の電気要素106aの一部を形成するように行われる。
【0034】
ここに示されるコンデンサ106は、埋め込み型デバイス104に含まれる少なくとも1つのコンデンサとプローブ106bに含まれる少なくとも1つのコンデンサとに分けられるが、全体のコンデンサ106が、プローブ101に含まれても良い点に留意されたい。
【0035】
図2においてより詳細に述べられるが、コンデンサ106bの幾何学的な形状は、プローブ101の幾何学的な形状に適合される。この形状は、例えば(円形断面を持つ)シリンダーとすることができる。このプローブは、例えば楕円、三角形、矩形等といった異なる断面を持つこともできる。
【0036】
埋め込み型デバイス104からプローブ101へとコンデンサ106bの一部(又は全体)を動かすことにより、埋め込み型デバイスにおいて空間が解放される。これは、埋め込み型デバイスの寸法及び/又はフォームファクターを減らすために、有利に用いられることができる。
【0037】
図1に示される実施形態は、本発明の実施形態による埋め込み型医療システム100が、脳深部刺激(DBS)デバイスとして用いられる状態を示す。ここで、細長いプローブ(例えば長さ8〜10cm及び直径1〜2ミリメートル)が、頭蓋骨の上端における穿頭を通り、脳内深部に設置される。プローブ101は、その遠位端部109に、目標とされた脳組織105と直接接触する1つ又は複数の電極を持つ。電極102(時々「サイト」と呼ばれる)は、埋め込み型デバイス104により脳組織105へと供給される電荷を供給する。この電極は、マルチプレクサ/クロスポイントスイッチを介して埋め込み型デバイスにおける電子機器へと接続されることができる。その結果、目標とされた脳領域105にどの電極が刺激を提供するかを選択することができる。
【0038】
コンデンサ106a,bは、様々な機能のため、例えば、容量電圧コンバータにおいて適用されることができる。適用されるコンデンサがより大きくされる場合、容量電圧コンバータの効率は上がるが、これは、バッテリを含む、埋め込み型デバイスにおける他の要素のための空間が減ることをもたらす。従って、(より大きな)コンデンサをプローブへと動かすことが有利である。なぜなら、この移動は、より高い変換効率と、埋め込み型デバイスにおいてより大きなバッテリを設置する可能性との両方をもたらすからである。
【0039】
ここでは、医療システム100がDBSデバイスとして示されるが、それは、心臓ペースメーカ、脊髄刺激器、膀胱刺激器、胃刺激器、又は刺激に関するプローブを含む医療システム等とすることもできる。
【0040】
図2は、本発明の実施形態によるプローブ101を示す。ここで、遠位端部は、上記埋め込み型デバイス104に含まれる電子機器にワイヤ103を介して電気的に接続される上記電極102を有する。この電極は、目標組織105と直接電気的に接触するよう構成される。コンデンサ106bの一部又はコンデンサ106の全体が、プローブ101内に埋め込まれ、上記埋め込み型デバイス104に接続されるよう構成される。コンデンサ106bの幾何学的な形状は好ましくは、プローブ101の幾何学的な形状に適合される。ここに示されるように、プローブは円筒状の形状を持つので、コンデンサの幾何学的な形状も円筒状の形状を持つ。
【0041】
図2において左側に示される階層構造は、第1の誘電層207により分離される少なくとも第1及び第2の導電層206、208を有する1つ又は複数の階層構造により形成される。ここに示される実施形態において、最も外部の層は、第2の誘電層209である。この層は、目標組織105からコンデンサを分離する第1の誘電層と同じタイプとすることができる。この実施形態において、最も内部の3つの層は、最も外部の誘電層と同一とすることができる誘電層205と、相互接続層204と、最も外部の誘電層と同一とすることができる誘電層203とである。ある実施形態において、相互接続層204は、埋め込み型デバイス104に電極102を電気的に接続する相互接続層204に埋め込まれる導電性ワイヤを有する。ワイヤの厚み(直径)は好ましくは、相互接続層204の厚みより少ないべきである。また、相互接続層204は、プローブ101において内部的に一緒にコンデンサを接続する。例として、単一の一体化されたコンデンサ106bは、2つの円筒状の部分、即ち上部と下部とに分割されることができる。すると相互接続層204は、例えば下部の第1の導電層206に上部の第2の導電層208を接続することにより、これらの2つの部分を一緒に接続するのに使用されることができる。相互接続層の他のジオメトリも可能である。相互接続層は、その静電容量を増加させるため、一体化されたコンデンサの追加的な導電層として(部分的に)用いられることもできる。
【0042】
プローブの中央は、本実施形態において、脳にプローブを挿入するために必要とされる固いガイドワイヤのための空間を残す空腔202を持つ。即ち、一旦プローブが配置されれば(図1を参照)、このガイドは除去される。
【0043】
図3a,bは、本発明によるプローブ101の一実施形態を示す。ここで、プローブが、屈曲可能な分離部分302により連結される複数のセグメント301に分割される。この部分302は、例えばゴム、プラスチック等の任意のタイプの変形可能材料とすることができる。電極102は、前の例において述べられる相互接続層204に埋め込まれるワイヤ(図示省略)を接続することにより、上記埋め込み型デバイス104に接続される。ここに示されるように、コンデンサ106bは並列及び/又は直列に接続される複数のサブコンデンサに分割される。ここで、1つ又は複数のサブコンデンサは、各個別のセグメント301に埋め込まれる。ここに示されるように、1つのコンデンサは、1つのセグメント301に埋め込まれる。直列接続にある各コンデンサが個別にアドレス指定可能である場合、シリアルな接続は通常、有益であろう。なぜなら、他方は静電容量の値を単に減らすにすぎないからである。図3bにて図示するように、コンデンサ106b及びプローブを斯かるセグメント/サブコンデンサに分割することにより、コンデンサ106bを有するプローブ101の機械的な柔軟性及び可屈曲性は、強化されることになる。
【0044】
ある実施形態において、そこに埋め込まれる上記コンデンサ106bを有するプローブ101は、基板(図示省略)上での金属及び誘電層の直接的な堆積により作られることができる。ここで、この基板は、円筒状(例えば中空シリンダー)であるか、又は最終的な形状へと後に曲げられる平坦な基板とすることができる。例えば、基板は、誘電体(図2を参照)に埋め込まれる相互接続層204をすでに含むことができるか、又は相互接続層は、コンデンサの他の層と同じ態様で作られることもできる。基板は、蒸発器において回転されることができる。ここで、例えば金又はプラチナといった金属の薄い層が、基板周りで蒸発される。その後、例えばパリレン−Cの共形層が、化学蒸着により堆積されることができる。例えば図2に示されるような最終的な構造が実現されるまで、回転蒸発及び化学蒸着ステップは繰り返されることができる。
【0045】
円筒状のプローブに一体化されることができる静電容量は、

により近似されることができる。ここで、εは、物質の誘電率であり、dは、誘電層の厚みであり、Dは、プローブ101の直径であり、Lは、プローブ101の長さである。例として、D=1.27mm、L=10cm、ε=3(パリレン−Cの場合)、d=1μmである場合、結果として生じる静電容量Cは、0.01μFになる。
【0046】
この式はすでに、物質の誘電率を上昇させ、誘電層の厚みを減らし、及び/又は、コンデンサの有効な領域を増加させることにより、どのくらい大きな静電容量が実現されることができるかを示す。これは、下記の3つの例において更に詳細に説明される。
【0047】
1.高いε誘電体を用いる場合。
【0048】
ほとんどの生物学的適合性のポリマーは、約3.0の低い誘電率を持つ。しかしながら、窒化ケイ素は、より高いε(6.0〜8.0)を持つ。階層構造(例えば、図4に示されるようなもの)は、標準的な薄膜微細加工技術を用いて実現されることができる。例えば階層構造を形成した後上記プローブ101を形成するためにくるまれるシリコンウエハから、この層は解放されることができる。文献は、低ストレス窒化ケイ素が故障なしに長期間曲げに対し耐えることができることを示した。
【0049】
この例において、最上の層401は、パリレン−Cとすることができ、第2の層402は、金属1とすることができ、第3の層403は、窒化ケイ素とすることができ、第4の層404は、金属2(それは、金属1と同一とすることができる)とすることができ、第5の層405は、ポリイミドとすることができ、最下層406は、上記シリコンウエハ層とすることができる。
【0050】
2.誘電層厚を減らす場合。
【0051】
更に、誘電層厚は、薄膜技術を用いて、容易に減らされることができる。10nmより薄いセラミック層(例えばシリコン酸化物)は日常的に、CMOS製造において堆積される。それは既に、静電容量(厚さが10nmの誘電層で

となる)において、すでに100倍の増加を与える。
【0052】
3.有効な表面領域を増加させる場合。
【0053】
薄膜技術は、マイクロ構造をこの層に導入し、そのような態様で有効な表面領域を増加させるためにも用いられることができる。図5は、斯かるマイクロ構造の例を概略的に示す。ここで、(幾何学的な領域にわたり)2倍以上の有効な表面領域における増加が実現されることができる。
【0054】
図5における層の構成は、図4の層と同様である。即ち、最上の層501は、パリレン−Cとすることができ、第2の層502は、金属1とすることができ、第3の層503は、窒化ケイ素とすることができる、第4の層504は、金属2(それは、金属1と同一とすることができる)とすることができ、第5の層505は、ポリイミドとすることができ、最下層506はシリコンウエハ層とすることができる。
【0055】
図6及び7は、互いに嵌合されたコンデンサレイアウトを用いて有効な表面領域を増加させる別の態様を示す。互いに嵌合されたコンデンサレイアウトが、図6において断面で示され、図7においてその内部金属フィンガー構造を示す上面図で示される。図6に示される実施形態では、最上の層604は、誘電体(例えばパリレン−C)であり、白い領域部分603は、誘電物質であり、陰影のついた部分602は、金属(例えば金属1)であり、パターン化された部分601は、金属(例えば金属2)である。最下層606は、シリコンウエハとすることができ、最上層605は、例えばポリイミドとすることができる。
【0056】
金属内部の横方向の静電容量が、選ばれた処理技術における金属間の垂直方向の静電容量より高い特定の領域的静電容量を持つ場合、この互いに嵌合された構造は有利である。金属厚が同じ金属層における2つのトラック間の最小許容可能間隔より十分に大きくなる場合に、これは発生する。
【0057】
図8は、複数のコンデンサを並列に作るために積み重ねられたサンドイッチ構造を示し、誘電層803により分離される金属層802、804の反復を示す。最上層は好ましくは、誘電層801であり、最下層は例えばシリコンウエハ806とすることができる。その上には、例えばポリイミド層805がある。
【0058】
本発明の明白な及び完全な理解を提供するため、開示された実施形態のある特定の詳細が、限定目的ではなく説明目的で記載される。しかしながら、本発明の精神及び範囲から大幅に逸脱することなしに、本書に記載される詳細に正確に従うものではない他の実施形態において、本発明が実行されることが出来る点を当業者であれば理解されたい。更に、この文脈において、簡潔さ及び明快さのために、よく知られた装置、回路及び方法論の詳細な説明は、不必要な詳細及び混乱の可能性を回避するべく省略されている。
【0059】
参照符号が請求項に含まれる。しかしながら、参照符号の包含は、明確さのためだけに行われ、請求項の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み型医療システムであって、
電気パルスを生成するよう構成される電気要素に動作可能に接続される電源を有する埋め込み型デバイスと、
遠位端部及び近位端を持つプローブであって、前記遠位端部が、目標組織と電気的に接触するよう構成される1つ又は複数の電極と、前記埋め込み型デバイスに前記1つ又は複数の電極を接続するワイヤとを含み、前記ワイヤが、前記埋め込み型デバイスから、前記1つ又は複数の電極へ、及び前記目標組織へ前記電気パルスを伝える、プローブとを有し、
前記プローブが、少なくとも1つのコンデンサと、前記少なくとも1つのコンデンサが、前記埋め込み型デバイスの前記電気要素の一部を形成するよう、前記埋め込み型デバイスに含まれる前記電気要素に前記少なくとも1つのコンデンサを接続するワイヤとを有する、埋め込み型医療システム。
【請求項2】
前記プローブに含まれる前記少なくとも1つのコンデンサの形状が、前記プローブの幾何学的な形状に適合される、請求項1に記載の埋め込み型医療システム。
【請求項3】
前記埋め込み型デバイスに含まれる前記電気要素が、前記少なくとも1つのコンデンサに加えて少なくとも1つの追加的なコンデンサを含む、請求項1に記載の埋め込み型医療システム。
【請求項4】
前記プローブの前記幾何学的な形状が、円筒状である、請求項2に記載の埋め込み型医療システム。
【請求項5】
前記コンデンサが、並列及び/又は直列に接続される複数のサブコンデンサに分割される、請求項1に記載の埋め込み型医療システム。
【請求項6】
前記プローブが、屈曲可能な分離部分により連結される複数のセグメントに分割され、前記セグメントは、前記サブコンデンサを少なくとも有する、請求項1又は3に記載の埋め込み型医療システム。
【請求項7】
前記コンデンサが、誘電層により分離される少なくとも第1及び第2の導電層を有する階層構造により形成される、請求項1に記載の埋め込み型医療システム。
【請求項8】
前記誘電層の誘電率が、5以上である、請求項7に記載の埋め込み型医療システム。
【請求項9】
前記誘電層の厚みが、25nm以下である、請求項7に記載の埋め込み型医療システム。
【請求項10】
前記階層構造が、前記階層構造の前記有効な表面領域を増加させるため、マイクロ構造化される、請求項7に記載の埋め込み型医療システム。
【請求項11】
前記階層構造が、前記階層構造の前記有効な表面領域を増加させるため、互いに嵌合されたコンデンサデザインを有する、請求項7に記載の埋め込み型医療システム。
【請求項12】
前記階層構造が、金属−誘電−金属層の反復又は前記互いに嵌合されたコンデンサデザインの反復を有する、請求項7に記載の埋め込み型医療システム。
【請求項13】
前記コンデンサが、並列に接続される、請求項10に記載の埋め込み型医療システム。
【請求項14】
前記階層構造が更に、中に埋め込まれる前記ワイヤを備える相互接続層を含み、前記相互接続層は、前記埋め込み型デバイスに一緒に含まれる前記少なくとも1つのコンデンサと前記電気要素とを接続する、請求項7に記載の埋め込み型医療システム。
【請求項15】
埋め込み型デバイスに接続されるよう適合されるプローブであって、
前記埋め込み型デバイスが、電気パルスを生成するよう構成される電気要素に動作可能に接続される電源を有し、前記プローブが、遠位端部及び近位端を持ち、前記遠位端部が、目標組織と電気的に接触するよう構成される1つ又は複数の電極と、前記埋め込み型デバイスから、前記1つ又は複数の電極へ、及び前記目標組織へ前記電気パルスを伝えるため、前記埋め込み型デバイスに前記電極を接続するよう構成され、前記1つ又は複数の電極から前記近位端部へと延在するワイヤとを有し、
前記プローブが、少なくとも1つのコンデンサと、前記少なくとも1つのコンデンサが前記埋め込み型デバイスの前記電気要素の一部を形成するよう、前記埋め込み型デバイスに含まれる前記電気要素に前記少なくとも1つのコンデンサを接続するよう構成され、前記1つの電極から前記近位端部へと延在するワイヤとを有する、プローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−508639(P2012−508639A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543857(P2011−543857)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054894
【国際公開番号】WO2010/055442
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】