説明

埋立域の護岸における遮水構造

【課題】埋立域を囲む護岸の遮水性をより向上させ、埋立域の水が護岸を透過してその外部に漏出する、ということをより確実に防止できるようにする。
【解決手段】埋立域の護岸における遮水構造は、埋立域3を囲む護岸4の一部4aに形成されてこの埋立域3の底部に向かって下傾する傾斜面8に敷設される遮水シート9と、護岸4の他部4bを構成し護岸4の一部4aに連設される護岸構造物14との間を遮水するものである。護岸構造物14の外面のうち、埋立域3に面する側の内壁面15に遮水板16が取り付けられる。遮水シート9における護岸構造物14側の端縁部25が、接着材11により遮水板16側に結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋立域を囲む護岸の一部に敷設される遮水シートと、上記護岸の他部を構成する護岸構造物との間を遮水するようにした埋立域の護岸における遮水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃棄物の埋立地など上記埋立域の護岸における遮水構造には、従来、埋立域を囲む護岸の一部に形成されてこの埋立域の底部に向かって下傾する傾斜面に敷設される遮水シートと、上記護岸の他部を構成し上記護岸の一部に連設される護岸構造物であるコンクリート製ケーソンとの間を遮水するようにしたものがある。
【0003】
より具体的には、上記護岸の一部は、砕石や捨石等の透水性材により構成されており、これに遮水性を与えるために上記遮水シートが敷設されている。一方、上記ケーソンの外面のうち、上記埋立域に面する側の内壁面に対し、上記遮水シートにおける上記ケーソン側の端縁部が突き合わせ状に当接もしくは近接配置されている。そして、遮水シートの上記端縁部と上記ケーソンの内壁面とが接着材により互いに結合されて上記遮水シートとケーソンとの間の遮水が行われている。
【0004】
ここで、下記特許文献1に示すように、上記埋立域とは、廃棄物埋立地などであり、ケーソンは、上記埋立域の外縁部に護岸として設置される既成の構築物である。
【特許文献1】特開2006−204965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の技術では、次のような問題点がある。即ち、上記したように、ケーソンはコンクリート製であるため、このケーソンの表層部には、躯体の構造に影響しない程度のクラックが多数発生しがちである。
【0006】
そして、上記のようにクラックが発生したとすると、上記埋立域の汚水が上記クラックに浸入してこれを通過することにより、上記遮水シートの端縁部とケーソン側とを結合している接着材を迂回し、上記護岸の一部の内部にまで達するおそれを生じる。そして、この場合には、上記水は、前記したように透水性である上記護岸の一部の内部を透過して、この護岸の外部に漏出する、という不都合を生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、埋立域を囲む護岸の遮水性をより向上させ、上記埋立域の水が上記護岸を透過してその外部に漏出する、ということをより確実に防止できるようにすることである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、上記護岸の形成作業が容易にできるようにすることである。
【0009】
請求項1の発明は、埋立域3を囲む護岸4の一部4aに形成されてこの埋立域3の底部に向かって下傾する傾斜面8に敷設される遮水シート9と、上記護岸4の他部4bを構成し上記護岸4の一部4aに連設される護岸構造物14との間を遮水するようにした埋立域の護岸における遮水構造において、
上記護岸構造物14の外面のうち、上記埋立域3に面する側の内壁面15に遮水板16を取り付け、上記遮水シート9における上記護岸構造物14側の端縁部25を、接着材11により上記遮水板16側に結合したことを特徴とする埋立域の護岸における遮水構造である。
【0010】
請求項2の発明は、樹脂製で熱可塑性の連結シート26を設け、この連結シート26の一端縁部27を上記遮水板16に熱溶着Bにより結合し、上記連結シート26の他端縁部28と上記遮水シート9の上記端縁部25とを、水W中での接着を可能とする接着材11により結合したことを特徴とする請求項1に記載の埋立域の護岸における遮水構造である。
【0011】
請求項3の発明は、上記護岸4の一部4aの長手方向、かつ、上記傾斜面8に沿った視線Aで見て、上記連結シート26を上記傾斜面8に沿って延びる帯形状とし、この連結シート26の幅方向の両端縁部を上記一端、他端縁部27,28としたことを特徴とする請求項2に記載の埋立域の護岸における遮水構造である。
【0012】
請求項4の発明は、特に図4に例示するように、上記遮水板16に突設されて上記接着材11に埋入されるアンカー36を設けたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の埋立域の護岸における遮水構造である。
【0013】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0014】
本発明による効果は、次の如くである。
【0015】
請求項1の発明は、埋立域を囲む護岸の一部に形成されてこの埋立域の底部に向かって下傾する傾斜面に敷設される遮水シートと、上記護岸の他部を構成し上記護岸の一部に連設される護岸構造物との間を遮水するようにした埋立域の護岸における遮水構造において、
上記護岸構造物の外面のうち、上記埋立域に面する側の内壁面に遮水板を取り付け、上記遮水シートにおける上記護岸構造物側の端縁部を、接着材により上記遮水板側に結合している。
【0016】
このため、仮に、上記護岸構造物の内壁面の表層部にクラックが発生したとしても、このようなクラックに上記埋立域の汚水が浸入してこれを通過する、ということは上記遮水板により防止される。よって、上記埋立域の水が上記クラックに浸入してこれを通過することにより、上記遮水シートの端縁部と護岸構造物側とを結合している接着材を迂回して上記護岸の一部の内部にまで達し、ここから、この護岸の外部に漏出する、という不都合の発生は防止される。
【0017】
請求項2の発明は、樹脂製で熱可塑性の連結シートを設け、この連結シートの一端縁部を上記遮水板に熱溶着により結合し、上記連結シートの他端縁部と上記遮水シートの上記端縁部とを、水中での接着を可能とする接着材により結合している。
【0018】
このため、第1に、上記護岸構造物に取り付けた遮水板と上記連結シートとの結合は、上記埋立域の外部の大気側ででき、よって、上記遮水板と連結シートとの結合作業は、これを水中ですることに比べて容易にできる。そして、これら両部材の結合後に、上記護岸構造物を上記両部材と共に上記埋立域の外縁部の所定位置に設置して、上記遮水シートの端縁部と連結シートの他端縁部とを互いに接着させればよい。
【0019】
また、第2に、上記遮水シートと連結シートとは共に可撓性を有しているため、これら遮水シートの端縁部と連結シートの他端縁部とは、その長手方向の各部で互いに所定の等距離をおいて上記接着材により互いに接着させる、ということが容易にできる。よって、上記両部材の接着作業は、これが埋立域の水中で行われるとしても容易にできる。
【0020】
上記の結果、上記護岸の形成作業は容易にできる。
【0021】
請求項3の発明は、上記護岸の一部の長手方向、かつ、上記傾斜面に沿った視線で見て、上記連結シートを上記傾斜面に沿って延びる帯形状とし、この連結シートの幅方向の両端縁部を上記一端、他端縁部としている。
【0022】
このため、上記連結シートは形状が単純な帯形状とされたことから、その形成作業が容易にできると共に、上記遮水シートの端縁部との接着作業も容易にできる。よって、その分、上記護岸の形成作業は、より容易にすることができる。
【0023】
請求項4の発明は、上記遮水板に突設されて上記接着材に埋入されるアンカーを設けている。
【0024】
ここで、上記遮水シートの端縁部と護岸構造物とは、これら遮水シートや護岸構造物が何らかの外力を受けることにより、互いに離反しようとすることがある。この場合、この離反に連動して、上記護岸構造物の内壁面に取り付けられた遮水板と上記接着材との間にクラックが生じるおそれがある。そして、これは上記遮水シートと端縁部と護岸構造物との間のシール性能を低下させるものであって好ましくない。
【0025】
しかし、上記したように、遮水板に突設されたアンカーが上記接着材に埋入されているため、これら接着材とアンカーとは互いに強固に結合される。よって、上記したように、遮水シートの端縁部と護岸構造物とが互いに多少離反しようとしても、遮水シートの端縁部と接着材との間にクラックが生じることは防止されて、上記シール性能は良好なままに維持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の埋立域の護岸における遮水構造に関し、埋立域を囲む護岸の遮水性をより向上させ、上記埋立域の水が上記護岸を透過してその外部に漏出する、ということをより確実に防止できるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
【0027】
即ち、埋立域の護岸における遮水構造は、埋立域を囲む護岸の一部に形成されてこの埋立域の底部に向かって下傾する傾斜面に敷設される遮水シートと、上記護岸の他部を構成し上記護岸の一部に連設される護岸構造物との間を遮水するようにしている。上記護岸構造物の外面のうち、上記埋立域に面する側の内壁面に遮水板が取り付けられる。上記遮水シートにおける上記護岸構造物側の端縁部が、接着材により上記遮水板側に結合される。
【実施例1】
【0028】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例1を添付の図1〜3に従って説明する。
【0029】
図1〜3において、符号1は、海岸における廃棄物埋立地である。
【0030】
上記埋立地1の地盤2上が廃棄物の投棄による埋立域3とされ、この埋立域3を囲むよう、この埋立域3の外縁部に沿って長く延びる護岸4が設けられている。上記地盤2の上面には、樹脂(ゴムを含む)製の遮水シートである保護シート5が全体的に敷設され、この保護シート5の上面側が埋立域3の底部6とされている。
【0031】
上記護岸4の長手方向の一部4aは、砕石や捨石等の通水性材により構成されている。上記護岸4の一部4aにおける上記埋立域3に面する側の面は、この埋立域3の底部6に向かって下傾する傾斜面8とされている。この傾斜面8を全体的に覆うようこの傾斜面8に遮水シート9が敷設されている。この遮水シート9は、熱可塑性の低密度ポリエチレン樹脂製であって可撓性を有している。また、上記遮水シート9の軟化点はほぼ110℃、溶融開始点はほぼ200℃である。なお、この遮水シート9は高密度ポリエチレンや塩化ビニールなどの樹脂製であってもよい。
【0032】
上記埋立域3の底部6側における上記遮水シート9の下端縁部10は、上記保護シート5の上面に接着材11により結合されている。この接着材11は、熱可塑性遮水材であって、アスファルトマスチックといわれるものである。この接着材11は、160±20℃で粘性の大きい熱溶融状態となる。上記接着材11による接着作業は、接着部位を覆ったり囲んだりする板金製等のカバー体12と、このカバー体12内に上記熱溶融状態で流入させられる上記接着材11とにより達成され、この接着作業は、水W中においても可能とされている。
【0033】
なお、説明の便宜上、図例では、保護シート5の上面と遮水シート9の下端縁部10との間にのみ接着材11を介在させている。しかし、実際には、上記カバー体12で覆われたり、囲われたりした範囲内に上記接着材11が充填され、この接着材11による接着とシールとがより確実に達成されるようになっている。また、下記する接着材11についても、上記と同じ構造とされる。
【0034】
上記護岸4の他部4bは、この護岸4の一部4aの端部に対しほぼ直交するよう連設され、かつ、上記埋立域3の外縁部に沿って列設される複数の護岸構造物14と、これら各護岸構造物14の外面のうち、上記埋立域3に面する側の内壁面15を全体的に覆うようこの内壁面15に取り付けられる遮水板16とにより構成されている。
【0035】
上記各護岸構造物14はコンクリート製ケーソンであって、既成の中空構造物である。また、上記各護岸構造物14は、それぞれ直方体形状をなして互いに同形同大とされている。一方、上記遮水板16は、上記各護岸構造物14の内壁面15をそれぞれ全体的に覆いこの内壁面15に面接触するよう設けられる遮水板本体17と、この遮水板本体17の裏面から一体的に突出し、上記内壁面15の内部に埋設されて固定される複数の固定突起18とを備えている。上記遮水板16は、熱可塑性の樹脂製である。
【0036】
上記各護岸構造物14と遮水板16とは、その列設方向で、互いに隣り合う護岸構造物14同士、および遮水板16の遮水板本体17同士の間の隙間21に充填された接着材11により互いに結合されている。また、上記各遮水板16の下端縁部とこれらに対向する上記保護シート5とは、これらの間の隙間22に充填された接着材11により互いに結合されている。
【0037】
上記遮水シート9における上記護岸構造物14側の端縁部25は、そのほぼ全体が上記した水W中にて接着可能な接着材11により上記遮水板16の遮水板本体17の表面側に結合されている。
【0038】
より具体的には、上記護岸4の一部4aの長手方向、かつ、上記傾斜面8に沿った視線Aで見て、この傾斜面8に沿って延びる帯形状の連結シート26が設けられ、この連結シート26は、上記遮水シート9と同材料とされている。上記連結シート26の幅方向の一端縁部27は、その全体が上記遮水板16の遮水板本体17の表面に熱溶着Bにより結合されている。この熱溶着Bによる結合は、上記護岸構造物14を上記埋立域3の外縁部の所定位置に設置する前の段階で、大気側で行われる。なお、上記遮水シート9と連結シート26とは互いに異なる材料であってもよい。
【0039】
また、上記遮水シート9の上記端縁部25と上記連結シート26の他端縁部28とは、上記埋立域3の水W中での上記接着材11による接着作業により、互いに結合されている。
【0040】
また、上記遮水シート9と連結シート26との上面に上記護岸4の一部4aと同様の材料もしくは異なる材料である埋立材31が積層される。この埋立材31にも、上記傾斜面8とほぼ同様の他の傾斜面が形成される。この他の傾斜面上に、上記遮水シート9と同じ構成の他の遮水シート32が敷設され、この他の遮水シート32も、上記連結シート26と同じ構成の他の連結シート33によって、上記遮水板16の遮水板本体17の表面側に結合される。
【0041】
上記構成によれば、護岸構造物14の外面のうち、上記埋立域3に面する側の内壁面15に遮水板16を取り付け、上記遮水シート9における上記護岸構造物14側の端縁部25を、接着材11により上記遮水板16側に結合している。
【0042】
このため、仮に、上記護岸構造物14の内壁面15の表層部にクラックが発生したとしても、このようなクラックに上記埋立域3の汚水Wが浸入してこれを通過する、ということは上記遮水板16により防止される。よって、上記埋立域3の水Wが上記クラックに浸入してこれを通過することにより、上記遮水シート9の端縁部25と護岸構造物14側とを結合している接着材11を迂回して上記護岸4の一部4aの内部にまで達し、ここから、この護岸4の外部に漏出する、という不都合の発生は防止される。
【0043】
また、前記したように、樹脂製で熱可塑性の連結シート26を設け、この連結シート26の一端縁部27を上記遮水板16に熱溶着Bにより結合し、上記連結シート26の他端縁部28と上記遮水シート9の上記端縁部25とを、水W中での接着を可能とする接着材11により結合している。
【0044】
このため、第1に、上記護岸構造物14に取り付けた遮水板16と上記連結シート26との結合は、上記埋立域3の外部の大気側ででき、よって、上記遮水板16と連結シート26との結合作業は、これを水W中ですることに比べて容易にできる。そして、これら両部材16,26の結合後に、上記護岸構造物14を上記両部材16,26と共に上記埋立域3の外縁部の所定位置に設置して、上記遮水シート9の端縁部25と連結シート26の他端縁部28とを互いに接着させればよい。この場合、上記各護岸構造物14内には水Wや石等が充填される。
【0045】
また、第2に、上記遮水シート9と連結シート26とは共に可撓性を有しているため、これら遮水シート9の端縁部25と連結シート26の他端縁部28とは、その長手方向の各部で互いに所定の等距離をおいて上記接着材11により互いに接着させる、ということが容易にできる。よって、上記両部材9,26の接着作業は、これが埋立域3の水中で行われるとしても容易にできる。
【0046】
上記の結果、上記護岸4の形成作業は容易にできる。
【0047】
また、前記したように、護岸4の一部4aの長手方向、かつ、上記傾斜面8に沿った視線Aで見て、上記連結シート26を上記傾斜面8に沿って延びる帯形状とし、この連結シート26の幅方向の両端縁部を上記一端、他端縁部27,28としている。
【0048】
このため、上記連結シート26は形状が単純な帯形状とされたことから、その形成作業が容易にできると共に、上記遮水シート9の端縁部25との接着作業も容易にできる。よって、その分、上記護岸4の形成作業は、より容易にすることができる。
【0049】
なお、以上は図示の例によるが、上記保護シート5と遮水シート9とは一体的なシートであってもよい。また、上記保護シート5はなくてもよい。この場合、地盤2は原地盤のままでもよく、その表層部にセメントなどを混合して固化し、不透水性地盤となるようにしてもよい。また、上記したように、保護シート5を設けない場合には、遮水シート9の下端縁部10や護岸構造物14は、上記地盤2の上面に直接密着させるよう設置される。
【0050】
また、上記護岸構造物14は、中実のコンクリート製であってもよく、また、鉄板や鉄骨などを組み合せた金属製のものであってもよい。また、上記遮水板16の遮水板本体17は、上記護岸構造物14の内壁面15において、上記遮水シート9の端縁部25に対応するところの一部にのみ取り付けてもよい。また、上記埋立材31、他の遮水シート32、および他の連結シート33はなくてもよい。
【0051】
以下の図4は、実施例2を示している。この実施例2は、前記実施例1と構成、作用効果において多くの点で共通している。そこで、これら共通するものについては、図面に共通の符号を付してその重複した説明を省略し、異なる点につき主に説明する。また、これら実施例における各部分の構成を、本発明の目的、作用効果に照らして種々組み合せてもよい。
【実施例2】
【0052】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例2を添付の図4に従って説明する。
【0053】
図4において、上記遮水シート9の端縁部25は、前記連結シート26を介することなく上記遮水板16の遮水板本体17の表面に直接接着材11により結合されている。この場合、一端部が上記遮水板16の遮水板本体17の表面に熱溶着や接着により結合され、他端部が上記遮水板本体17の表面から外方に向かって突出するアンカー36が設けられている。このアンカー36は、上記遮水板本体17の表面に面接触して結合されるベースプレート37と、このベースプレート37から一体的に突出するフック部38とを備えている。そして、上記アンカー36における少なくともフック部38が上記接着材11に埋入されている。
【0054】
上記構成によれば、遮水板16に突設されて上記接着材11に埋入されるアンカー36を設けている。
【0055】
ここで、上記遮水シート9の端縁部25と護岸構造物14とは、これら遮水シート9や護岸構造物14が何らかの外力を受けることにより、互いに離反しようとすることがある。この場合、この離反に連動して、上記護岸構造物14の内壁面15に取り付けられた遮水板16と上記接着材11との間にクラックが生じるおそれがある。そして、これは上記遮水シート9と端縁部25と護岸構造物14との間のシール性能を低下させるものであって好ましくない。
【0056】
しかし、上記したように、遮水板16に突設されたアンカー36が上記接着材11に埋入されているため、これら接着材11とアンカー36とは互いに強固に結合される。よって、上記したように、遮水シート9の端縁部25と護岸構造物14とが互いに多少離反しようとしても、遮水シート9の端縁部25と接着材11との間にクラックが生じることは防止されて、上記シール性能は良好なままに維持される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例1を示し、埋立地の部分斜視図である。
【図2】実施例1を示し、埋立地の部分側面断面図である。
【図3】実施例1を示し、図2のIII−III線矢視断面図である。
【図4】実施例2を示し、遮水シートの端縁部と護岸構造物との結合部の横断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 埋立地
2 地盤
3 埋立域
4 護岸
4a 一部
4b 他部
5 保護シート
6 底部
8 傾斜面
9 遮水シート
10 下端縁部
11 接着材
14 護岸構造物
15 内壁面
16 遮水板
17 遮水板本体
18 固定突起
25 端縁部
26 連結シート
27 一端縁部
28 他端縁部
36 アンカー
37 ベースプレート
38 フック部
A 視線
B 熱溶着
W 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋立域を囲む護岸の一部に形成されてこの埋立域の底部に向かって下傾する傾斜面に敷設される遮水シートと、上記護岸の他部を構成し上記護岸の一部に連設される護岸構造物との間を遮水するようにした埋立域の護岸における遮水構造において、
上記護岸構造物の外面のうち、上記埋立域に面する側の内壁面に遮水板を取り付け、上記遮水シートにおける上記護岸構造物側の端縁部を、接着材により上記遮水板側に結合したことを特徴とする埋立域の護岸における遮水構造。
【請求項2】
樹脂製で熱可塑性の連結シートを設け、この連結シートの一端縁部を上記遮水板に熱溶着により結合し、上記連結シートの他端縁部と上記遮水シートの上記端縁部とを、水中での接着を可能とする接着材により結合したことを特徴とする請求項1に記載の埋立域の護岸における遮水構造。
【請求項3】
上記護岸の一部の長手方向、かつ、上記傾斜面に沿った視線で見て、上記連結シートを上記傾斜面に沿って延びる帯形状とし、この連結シートの幅方向の両端縁部を上記一端、他端縁部としたことを特徴とする請求項2に記載の埋立域の護岸における遮水構造。
【請求項4】
上記遮水板に突設されて上記接着材に埋入されるアンカーを設けたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の埋立域の護岸における遮水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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