埋設管の引き抜き工法とその引き抜き工法用の連結具及び引き抜き装置
【課題】 簡単な構成で索条体と埋設管とをバランス良く一体化させて迅速且つ確実に埋設管の引き抜きを可能とする。
【解決手段】 埋設管4に挿入させるワイヤー21に、引き抜き方向へ行くに従って拡開する拡開部24を有し、拡開部24の引き抜き方向前端をワイヤー21と交差状に面取形成したコイルスプリング22を所定間隔で複数個取り付けて、引き抜き装置によるワイヤー21の牽引に伴い、コイルスプリング22の拡開部24を埋設管4の内面に係止させて埋設管4をワイヤー21と一体化させ、埋設管4の引き抜きを行うようにした。
【解決手段】 埋設管4に挿入させるワイヤー21に、引き抜き方向へ行くに従って拡開する拡開部24を有し、拡開部24の引き抜き方向前端をワイヤー21と交差状に面取形成したコイルスプリング22を所定間隔で複数個取り付けて、引き抜き装置によるワイヤー21の牽引に伴い、コイルスプリング22の拡開部24を埋設管4の内面に係止させて埋設管4をワイヤー21と一体化させ、埋設管4の引き抜きを行うようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設されるポリエチレン製等の可撓性の埋設管を引き抜くための工法と、その工法において新設管を埋設する場合にその連結に使用される連結具及び、埋設管の引き抜きに使用される引き抜き装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば住宅等への給水に用いられる鉛管等の埋設管は、道路下の本管と住宅側の引き込み管との間で道路を横断する格好で略水平に埋設されている。このような埋設管を地中から除去する場合、道路を掘り返すと通行規制や騒音等の問題があることから、近年、埋設管の両端に当たる道路の両サイドにピットを掘削し、本管側のピットに引き抜き装置を設け、埋設管内に、係止具を設けたワイヤー等の索条体を挿通させて、引き抜き装置で索条体を牽引することで、係止具を介して埋設管を索条体と一体化させて埋設管を引き抜き可能とする引き抜き工法が実施されるようになっている。
【0003】
この引き抜き工法においては、係止具によって索条体と埋設管とが強固に、而もバランス良く接続されないと、索条体に埋設管が追従できなかったり、埋設管が途中で破断したりしてしまうことから、係止具に様々な工夫が施される。例えば特許文献1に示す工法では、索条体となる中空のロッド部材に、放射方向へ拡縮可能な拡径部を設けて、ロッド部材内でオイルを供給するか、別のワイヤを緊張するかして、拡径部をロッド部材の放射方向へ突出させて埋設管内面に圧接させるようにしている。
また、特許文献2に示す工法では、ワイヤーロープに、少なくとも一部に埋設管の内径よりも大きな寸法を有する拡径治具を固着し、ワイヤーロープの牽引で拡径治具により埋設管の一部を拡大させるように塑性変形させることで、埋設管と地盤との間に非接触部分を形成して引き抜き力を軽減するようにしている。
さらに、特許文献3に示す工法では、ワイヤーの複数箇所に、偏心位置で固定され、且つ圧接部が互いに周方向に夫々ずれるように設定された圧接部材を設けて、埋設管の両端に設けられたキャップでワイヤーを緊張させて圧接部材を埋設管の内面に圧接させた後、ワイヤーを牽引することで埋設管を引き抜くようにしている。
そして、特許文献4では、ワイヤー上に所定間隔で複数の鉄リングを外装して、各リングに複数の爪を放射状に突出させて取り付け、ワイヤーに、爪の先端部を外側に付勢するゴムリングを外装した係止具が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−182738号公報
【特許文献2】特開2002−130533号公報
【特許文献3】特開2002−181238号公報
【特許文献4】登録実用新案第3094269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示す工法では、埋設管の引き抜き装置に加えて、ロッド部材内にオイルを供給する油圧機構やワイヤを牽引する牽引機構が別途必要となるため、工法に係る設備が大掛かりとなり、設置や撤去に手間が掛かる上、コストアップにも繋がる。これは特許文献3の工法でも同様で、別途用意したキャップで埋設管の両端にワイヤーロープを一旦固定し、埋設管内でワイヤーロープを緊張させた後に改めて埋設管を引き抜く手順となるため、手間や時間、そしてコストがかさむことになる。特にこの特許文献3では、埋設管の周方向で夫々変位した位置で各圧接部材が圧接するため、埋設管全体へ均等に引張力が加わらず、圧接部材の位置によってはバランスが悪くなって埋設管内で滑ったりするおそれもある。
同様に、特許文献2に示す工法では、拡径治具によって埋設管を強制的に塑性変形させるため、老巧化して強度が低下した埋設管であると、引き抜き時に埋設管が破断等して牽引力が低下或いは失われるおそれがあり、信頼性に欠ける。これは特許文献4に示す係止具についても同じで、鉛管には適用可能であっても合成樹脂製では破断するおそれが非常に高く、可撓管には不向きである。
【0006】
そこで、請求項1に係る発明は、簡単な構成で索条体と埋設管とをバランス良く一体化させて、可撓性の埋設管でも迅速且つ確実に引き抜きが可能となる埋設管の引き抜き工法を提供することを目的としたものである。
また、請求項5に係る発明は、埋設管の引き抜きと共に新設管の引き込みを行う際に用いる連結具であって、新設管を傷付けることなくスムーズに引き込み可能となって引き抜き工法に好適な連結具を提供することを目的としたものである。
さらに、請求項6に記載の発明は、埋設管を引き抜くための引き抜き装置であって、引き抜いた埋設管を回転駆動するドラムに整列状態で効率良く巻取可能となって引き抜き工法に好適な引き抜き装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、係止具を、引き抜き方向へ行くに従って拡開する拡開部を有し、拡開部の引き抜き方向前端を索条体と交差状に面取形成したコイルスプリングとして、索条体の牽引に伴い、拡開部を埋設管の内面に係止させて埋設管を索条体と一体化させることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、埋設管の引き抜き跡に新設管を合理的に埋設するために、索条体における埋設管の引き抜き方向後方側に、連結具を介して新設管を連結し、埋設管の引き抜き跡に新設管を引き込み可能としたものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の目的に加えて、引き抜き装置の設置に係る作業性をより向上させるために、引き抜き装置を、埋設管の引き抜き側に掘削したピットの開口上に設置して、ピット内に設けた支持体で軸支した回転体によって埋設管を上向きに方向転換させて、引き抜き装置で牽引するようにしたものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3の目的に加えて、上向きの引き抜きをよりスムーズに行うために、支持体に、回転体を埋設管の埋設方向で弾性支持するダンパー機構を設けたものである。
【0008】
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項2乃至4の何れかに記載の引き抜き工法に用いる連結具であって、前方が先細りのテーパ部で、最大径が新設管の外径よりも大径となる本体と、その本体の後方に連設され、新設管を連結可能な連結部とからなり、軸心に挿通させた索条体を固定可能としたものである。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の引き抜き工法に用いる引き抜き装置であって、回転駆動して索条体及び埋設管を巻取可能なドラムを備え、少なくともドラムを、引き抜き時に軸方向へスライド可能としたことを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項6の目的に加えて、より簡単且つ安定状態でドラムのスライドを可能とするために、設置面及び埋設管側への正対面に、引き抜き時にドラムの軸方向への装置全体のスライドを許容可能な支承体を設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、係止具としてコイルスプリングの採用により、コイルスプリングの拡開部の前端全周で埋設管の内面全周に係止させることができる。よって、索条体と埋設管とをバランス良く一体化させることができ、引き抜き時に埋設管を破断等させるおそれがなく、埋設管を確実に引き抜き可能となる。而も、コイルスプリングは拡開方向と逆向きでは埋設管に対して殆ど抵抗を生じさせないため、引き抜き前の埋設管への索条体のセットや引き抜き完了後の埋設管の取り外しがスムーズに行え、作業の迅速化も期待できる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、埋設管の迅速な引き抜きと共に新設管の引き込みが行え、合理的な作業が可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、引き抜き装置をピット内に出し入れする必要がなくなり、作業性が向上すると共に、ピットの掘削スペースも最小限で済む。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加えて、ダンパー機構の採用により引き抜き時の埋設管の傾きや捩れ等を吸収でき、引き抜き装置による引き抜きがスムーズに行える。
【0010】
請求項5に記載の発明によれば、新設管は、連結具で拡げられた穴内を抵抗なく推進でき、新設管を傷付けることなくスムーズに引き込み可能となる。よって、引き抜き工法に好適な連結具を得ることができる。
請求項6に記載の発明によれば、引き抜き時のスライドによって埋設管がドラムの周面へ整列状態で巻き取られるため、小さいドラムでも長い埋設管を効率良く巻き取ることができ、引き抜き工法に好適な引き抜き装置を得ることができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項6の効果に加えて、支承体の採用により、装置全体のスライドで簡単にドラムのスライドを実現できる。また、装置全体のスライドによってスライド時の安定も維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の引き抜き工法の一例を示す説明図で、道路部分を横断面で表している。同図(A)が工事前の状態、同図(B)が当該工法の実施状態を夫々示す。ここで、1は道路の舗装部、2は道路地盤、3は住宅側を示し、埋設管4(例えば口径13mmのポリエチレン管)は、住宅側3と反対の路肩側で道路と平行に埋設される本管5から、舗装部1を横切る格好で図1の左右方向に埋設されて、住宅寄りの路肩側で止水栓6を介して住宅側の引き込み管7と接続されている。8,8は道路両側のL型側溝、9は止水ボックスである。
本工法では、まず道路両側の路肩部を部分的に掘削して埋設管4の両端側でピット10,11を夫々形成し、本管5側のピット10では本管5の分水栓12で止水して埋設管4を切り離し、住宅側のピット11では止水栓6及び止水ボックス9、引き込み管7を夫々一旦撤去する。
【0012】
次に、同図(B)示すように、住宅側3から新設管13(例えば口径20mmのポリエチレン管)をピット11内に引き込んで、連結具となる推進ヘッド14を先端に連結する。
この推進ヘッド14は、図2に示すように、前方が先細りのテーパ部16を有し、新設管13の外径よりも大径となる軸状の本体15の後方(図2の左側)に、本体15よりも小径で外周に雄ネジを形成した連結部17を同軸で一体に有し、軸心に索条体となるワイヤーの挿通孔18を形成したもので、新設管13の先端を連結部17に外装させてさらに連結リング19を外嵌することで、推進ヘッド14と新設管13との連結が可能となっている。20,20,20は、本体15にその半径方向でねじ込み可能なロックボルトで、ねじ込みによって挿通孔18内のワイヤーを押圧固定して本体15と一体化させるものである。ここでは、2つのロックボルト20,20が、本体15の軸方向で前後に重なるように並設され(図2の上側)、1つのロックボルト20が、他の2つから本体15の周方向へ180°回転した位置で他の2つの間に位置するように設けられている(同図下側)。
【0013】
ここで推進ヘッド14の具体例を挙げると、口径20mmの新設管13では、本体15の外径が35mm、長さが71mmで、このうちテーパ部16の長さが31mm、テーパ角が約40°で、連結部17の外径は21mm、長さが40mmのものが使用される。
【0014】
次に、ピット10側からワイヤー21を埋設管4内に挿入する。このワイヤー21には、図3に示すような係止具としてのコイルスプリング22が、所定間隔(例えば6m道路では、道路の中央を境にして前半(本管側)が約30cm間隔、後半が約60cm間隔となるように間隔を変えて12個程度)で取り付けられている。このコイルスプリング22は、ワイヤー21に巻回される等径部23と、その等径部23の前端(埋設管4の引き抜き方向を前方とする。図3では左側となる。)から前方へ行くに従ってラッパ状に拡開する拡開部24とからなる。拡開部24は、前端の最大径部で埋設管4の内径よりもやや大径となっており、その前端面は、ワイヤー21の軸線と直交する方向で面取部25が形成されている。このコイルスプリング22の形状により、等径部23側から埋設管4内に挿入する際には、拡開部24は埋設管4の内径に合わせて伸びながら収縮し、抵抗なく進入でき、逆に拡開部24側から引き抜く際には、拡開部24前端の面取部25が埋設管4の内面に係止して大きな抵抗を生じさせることになる。
【0015】
ここでコイルスプリング22の具体例を挙げると、ワイヤー径8mmに外装される口径13mmの埋設管4用では、線径が1.8〜2.2mmのステンレス材で、等径部23の内径が約8mm、その巻数が5〜10、拡開部24の最大径が約15mm、拡開部24のテーパ角が36°のものが使用される。
なお、コイルスプリング22のワイヤー21への固定は、等径部23の巻回力のみに依っても良いが、溶着やストッパ等を用いてより確実な固定を図っても良い。
【0016】
埋設管4内を通したワイヤー21は、ピット11側で推進ヘッド14の挿通孔18内に挿入させて、ロックボルト20,20で固定する。一方、ピット10内では引き抜き装置30をセットする。この引き抜き装置30は、図4,5に示すように、四角枠状のフレーム31内に、巻き取り用のドラム32と、外部電源で駆動する直流モータ33と、直流モータ33の出力軸の回転を減速してドラム32に伝達するギヤボックス34とを備えてなり、図4に示す正面(埋設管4側への正対面)の左右には、正面にボール36の一部を突出させた支承体としての円盤状の支承盤35が、所定間隔で3個ずつ設けられている。この支承盤35は、設置面となるフレーム31の下面にも、正面側と背面側との側辺に沿って所定間隔で3個ずつ設けられている。
【0017】
一方、ピット10の底面には、図6に示すように、埋設管4側に鉛直板38を有する断面L字状の誘導プレート37を固定して、引き抜き装置30を誘導プレート37上に載置し、埋設管4に挿入させたワイヤー21を鉛直板38に形成された四角窓39を通してドラム32の周面で端部寄りに連結する。このとき、埋設管4の先端を把持させたクリッパもドラム32の周面に併せて連結して、ドラム32によってワイヤー21と埋設管4とを同時に引っ張るようにするのが望ましい。
【0018】
こうしてセット完了後、直流モータ33を駆動させてドラム32を回転させ、ワイヤー21を引っ張る。なお、最初から最大電力でドラム32を回転させると埋設管4への負担が大きく、破断のおそれもあることから、図示しないコントローラによって最小電圧から時間の経過に従って徐々に電圧を上げるスロースタート制御を実行している。
ワイヤー21の引っ張りに伴い、図7に示すように、埋設管4内の各コイルスプリング22が拡開部24の拡開方向(同図左側)へ引っ張られて拡開部24の前端が埋設管4の内面に係止するため、ワイヤー21と埋設管4とが各コイルスプリング22を介して一体化され、ワイヤー21と共に埋設管4が引き抜かれてドラム32に巻き取られる。このとき、埋設管4は、ドラム32の端部から反対側へ順に巻き付くことになるが、埋設管4の地中からの引出し位置は変わらないため、引き抜き装置30にはドラム32への巻き付き側と反対方向への反力が生じる。よって、正面及び底面の支承盤35のボール36によって引き抜き装置30全体が誘導プレート37上で図6(A)の矢印方向へスライドし、これによって埋設管4がドラム32の周面へ順序よく巻き付けられることになる。巻取がドラム32の反対側へ達すると、今度は同図(B)のように反対側へスライドしながら先の巻取部分に重ねて巻取が行われる。
【0019】
一方、ワイヤー21が引っ張られることで、図7のように埋設管4の後を進む格好で推進ヘッド14も前端のテーパ部16で埋設管4の穴を拡げながら前進するため、推進ヘッド14に連結される新設管13が追従して地中内を進む。このとき、推進ヘッド14の本体15よりも新設管13の方が小径であるため、新設管13は推進ヘッド14で拡げられた穴内をスムーズに通過できる。
ちなみに、口径13mmで6mの長さの埋設管4に推進ヘッド14を介して口径20mmの新設管13を連結し、約7850Nの引き抜き力で引き抜きを行った場合、5〜6分程度で埋設管4の引き抜きが行える。
【0020】
埋設管4が完全に抜き取られて新設管13が所定位置に達すると、直流モータ33の駆動を停止させて推進ヘッド14を新設管13から取り外し、ワイヤー21を新設管13から抜き取る。そして、引き抜き装置30をピット10から撤去して、新設管13を本管5の分水栓12に接続する。最後にピット10,11を埋め戻し開口部を舗装すれば工事が完了する。
【0021】
このように、上記形態の引き抜き工法によれば、係止具を、引き抜き方向へ行くに従って拡開する拡開部24を有し、拡開部24の引き抜き方向前端をワイヤー21と直交状に面取形成したコイルスプリング22として、ワイヤー21の牽引に伴い、拡開部24を埋設管4の内面に係止させて埋設管4をワイヤー21と一体化させるようにしたことで、コイルスプリング22の拡開部24の前端全周で埋設管4の内面全周に係止させることができる。よって、ワイヤー21と埋設管4とをバランス良く一体化させることができ、引き抜き時に埋設管4を破断等させるおそれがなく、埋設管4を確実に引き抜き可能となる。而も、コイルスプリング22は拡開方向と逆向きでは埋設管4に対して殆ど抵抗を生じさせないため、引き抜き前の埋設管4へのワイヤー21のセットや引き抜き完了後の埋設管4の取り外しがスムーズに行え、作業の迅速化も期待できる。
特にここでは、ワイヤー21における埋設管4の引き抜き方向後方側に、推進ヘッド14を介して新設管13を連結し、埋設管4の引き抜き跡に新設管13を引き込み可能としたことで、埋設管4の迅速な引き抜きと共に新設管13の引き込みが行え、合理的な作業が可能となる。
【0022】
また、引き抜き工法に用いる連結具を、前方が先細りのテーパ部16で、最大径が新設管13の外径よりも大径となる本体15と、その本体15の後方に連設され、新設管13を連結可能な連結部17とからなり、軸心に挿通させたワイヤー21を固定可能な推進ヘッド14としたことで、新設管13は、推進ヘッド14で拡げられた穴内を抵抗なく推進でき、新設管13を傷付けることなくスムーズに引き込み可能となる。
さらに、引き抜き工法に用いる引き抜き装置30を、回転駆動してワイヤー21及び埋設管4を巻取可能なドラム32を備え、設置面及び埋設管4の引き抜き側への正対面に、引き抜き時にドラム32の軸方向への装置全体のスライドを許容可能な支承盤35を設けてなる構成としたことで、引き抜き時のスライドによって埋設管4がドラム32の周面へ整列状態で巻き取られ、小さいドラムでも長い埋設管4を効率良く巻き取ることができる。特に、支承盤35の採用により、装置全体のスライドで簡単にドラム32のスライドを実現でき、スライド時の安定も維持できる。
【0023】
以下、変更例を説明する。
上記形態では、ピット10内に引き抜き装置30をセットして埋設管4に正対して引き抜くようにしているが、図8に示すように、ピット10の開口に設けたベース板40から垂下され、下端に回転体としての滑車42を支持する支持体となるフレーム41を用いて、埋設管4を上向きに方向転換させ、ベース板40上で引き抜き装置30に引っ張らせる構造も採用可能である。ここで用いるフレーム41は、ベース板40に固定される固定フレーム43と、その固定フレーム43に遊挿されて滑車42を支持するスライドフレーム44とからなり、スライドフレーム44に沿って所定間隔で穿設された差込孔45,45・・を選択してメインフレーム43の下端で一対のピン46,46を水平に差し込むことで、フレーム41を伸縮させて滑車42の位置を調整可能となっている。例えば一般的な埋設管4の埋設位置に合わせて、下部取付位置900cmから上部取付位置600cm(何れもベース板40上面から滑車42の下側の水平接線までの鉛直距離)までの間で調整可能とすれば良い。
【0024】
他のコイルスプリングや推進ヘッドは先に説明した形態と同じで、引き抜き装置30も、直流モータ33及びギヤボックス34がドラム32の上側で横向きに設置される点を除いて基本構造は同じであるため、重複する説明は省略する。但し、引き抜き装置30は、ベース板40の上面で平行に固着されたアングル等の一対のレール部材47,47によってドラム32の軸方向(図8(A)の左右方向)へスライド可能となっている。ベース40には埋設管4等を貫通させる図示しない四角窓が形成されている。48は、スライドフレーム44の後面に取り付けられ、引き抜き時にピット10の内面に当接してスライドフレーム44の後方への傾動を規制する当て板である。
【0025】
この変更例においては、ピット10にベース板40をセットして、埋設管4内に挿通させたワイヤー21を滑車42を介して上方に引き上げ、ベース板40上の引き抜き装置30のドラム32に接続して牽引し、埋設管4も上方へ方向転換させてドラム32で巻き取ることになる。
このように、引き抜き装置30を、埋設管4の引き抜き側に掘削したピット10の開口上に設置して、ピット10内に設けたフレーム41で軸支した滑車42によって埋設管4を上向きに方向転換させて牽引するようにしたことで、引き抜き装置30をピット10内に出し入れする必要がなくなり、作業性が向上すると共に、ピットの掘削スペースも最小限で済む。
【0026】
また、フレーム41は、図9,10に示すように、スライドフレーム44の下方にダンパー機構を備えるものが望ましい。これは、スライドフレーム44の下端で滑車42の支持軸49を、スライドフレーム44の下端の左右の水平部に溝50を設けることによって水平姿勢のまま前後移動可能とすると共に、各水平部内で、支持軸49を軸支する軸受リング51にロッド52を連結し、そのロッド52を、ロッド52に設けたストッパ53を介してコイルバネ54で引き抜き方向前方へ付勢するようにしたものである。この構成により、引き抜き時に埋設管4から滑車42へ加わる負荷に応じて支持軸49の一端又は両端が後退して滑車42を傾動させ、埋設管4の方向を修正して引き抜き装置30へ導くことができる。すなわち、フレーム41に、滑車42を埋設管4の埋設方向で弾性支持するダンパー機構を設けたことで、引き抜き時の埋設管4の傾きや捩れ等を吸収でき、引き抜き装置30による引き抜きがスムーズに行えるのである。
【0027】
一方、図11,12に示すような変更例も考えられる。これは、フレーム41におけるスライドフレーム55の下方前方を面取状に傾斜形成して、スライドフレーム55の下端水平部から傾斜部分にかけて、支持軸56で回転可能に支持される回転体としてのローラ57〜59を3つ並設したもので、ここでは、埋設管4の引き抜き位置寄り(図12の最上位置)のローラ57が最も案内溝の幅が広く、そこから上方へ行く程案内溝が軸方向で狭くなるようにローラ57〜59が段階的に小さくなっている。
この変更例においても、埋設管4の傾き等にかかわりなく、ローラ57〜59の徐々に狭くなる案内溝によって方向修正が行われるため、引き抜き時の埋設管4の傾き等が吸収されて引き抜きがスムーズに行える。
【0028】
その他、索条体としてはワイヤーに限らず、ロープやチェーン等も使用できるし、索条体に設けるコイルスプリングも、拡開部によって埋設管内面への係止が可能であれば、等径部と拡開部との巻き数や長さ、設置間隔や設置数等は埋設管の口径やワイヤーの径等に応じて適宜変更可能である。特に設置間隔については、索条体の全長に亘って等間隔としても引き抜きは可能であるが、上記形態のように引き抜き側前半を反対側よりも密に配置すれば、引き抜き装置の引き抜き力が初動時から埋設管へ効率良く伝わり、好ましい態様となる。さらに、拡開部前端の面取部も、索条体の軸線に対して直交状とする形態に限定する必要はなく、埋設管の内面に対して鋭角で係止するように形成して、より効果的な一体化を図っても良い。
また、連結具も、上記推進ヘッドでは本体の全体形状をテーパ状としたり、連結部も本体側へ行く程大径になるテーパ形状にしたり、連結リングを半割クランプ構造にしたり等の設計変更が可能である。索条体との連結構造も、上記形態のロックボルトの場合では、数の増減や配置の変更(例えば3つのロックボルトを推進ヘッドの周方向へ120°度間隔で配置する等)が可能であるし、他にピン結合等を採用することもできる。
【0029】
さらに、引き抜き装置では、回転駆動するドラムによる巻取の他、油圧シリンダ等のアクチュエータによって埋設管を把持するクランパを直線状に進退動させる構造等の他の牽引手段が採用できる。勿論支承体も、上記ボールによる他、ローラやキャスタ、リニヤガイド等を用いることができる。また、このように支承体を用いて装置全体をドラムの軸方向にスライドさせる形態に限らず、ドラムを、回転駆動軸と、その回転駆動軸にキー結合やスプライン結合等によって一体回転且つ軸方向へスライド可能に外装される巻取部とで形成して、回転駆動軸の回転に伴い、巻取部のみを軸方向へスライドさせて埋設管の整列巻取を行うことも可能である。
加えて、方向転換用の回転体を備える支持体は、ベースの下面に連結するものに限らず、ピット内に単独で設置しても良いし、回転体をピットの開口部上方にさらに設置して方向転換を複数回行うようにしても良い。ダンパー機構も、コイルバネ以外の板バネやゴム等の他の弾性体を使用したり、オイルダンパーに代えたりして差し支えない。
【0030】
そして、上記形態では、埋設管の引き抜きと共に新設管の引き込みを実施する手順で説明しているが、新設管の引き込みを行わない場合も埋設管の引き抜きのみに本発明を実施できることは当然である。よって、上記形態のような水平方向での埋設に限らず、傾斜方向や鉛直方向の埋設管であっても本発明による引き抜きは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】引き抜き工法の説明図で、(A)が工事前、(B)が当該工法の実施状態を夫々示す。
【図2】推進ヘッドの説明図である。
【図3】コイルスプリングの説明図である。
【図4】引き抜き装置の正面図である。
【図5】引き抜き装置の右側面図である。
【図6】引き抜き装置のスライド動作を示す説明図である。
【図7】地中での引き抜き状態を示す説明図である。
【図8】フレームを用いた引き抜き工法の変更例を示す説明図で、左が側方から見た状態、右が引き抜き方向前方から見た状態を夫々示す。
【図9】フレームの変更例を示す説明図である。
【図10】ダンパー機構を下側から見た説明図である。
【図11】フレームの変更例を示す説明図である。
【図12】ローラ部分を下側から見た説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1・・舗装部、2・・道路地盤、3・・住宅側、4・・埋設管、5・・本管、10,11・・ピット、13・・新設管、14・・推進ヘッド、15・・本体、16・・テーパ部、17・・連結部、21・・ワイヤー、22・・コイルスプリング、23・・等径部、24・・拡開部、25・・面取部、30・・引き抜き装置、32・・ドラム、33・・直流モータ、35・・支承盤、37・・誘導プレート、41・・フレーム、42・・滑車、57〜59・・ローラ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設されるポリエチレン製等の可撓性の埋設管を引き抜くための工法と、その工法において新設管を埋設する場合にその連結に使用される連結具及び、埋設管の引き抜きに使用される引き抜き装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば住宅等への給水に用いられる鉛管等の埋設管は、道路下の本管と住宅側の引き込み管との間で道路を横断する格好で略水平に埋設されている。このような埋設管を地中から除去する場合、道路を掘り返すと通行規制や騒音等の問題があることから、近年、埋設管の両端に当たる道路の両サイドにピットを掘削し、本管側のピットに引き抜き装置を設け、埋設管内に、係止具を設けたワイヤー等の索条体を挿通させて、引き抜き装置で索条体を牽引することで、係止具を介して埋設管を索条体と一体化させて埋設管を引き抜き可能とする引き抜き工法が実施されるようになっている。
【0003】
この引き抜き工法においては、係止具によって索条体と埋設管とが強固に、而もバランス良く接続されないと、索条体に埋設管が追従できなかったり、埋設管が途中で破断したりしてしまうことから、係止具に様々な工夫が施される。例えば特許文献1に示す工法では、索条体となる中空のロッド部材に、放射方向へ拡縮可能な拡径部を設けて、ロッド部材内でオイルを供給するか、別のワイヤを緊張するかして、拡径部をロッド部材の放射方向へ突出させて埋設管内面に圧接させるようにしている。
また、特許文献2に示す工法では、ワイヤーロープに、少なくとも一部に埋設管の内径よりも大きな寸法を有する拡径治具を固着し、ワイヤーロープの牽引で拡径治具により埋設管の一部を拡大させるように塑性変形させることで、埋設管と地盤との間に非接触部分を形成して引き抜き力を軽減するようにしている。
さらに、特許文献3に示す工法では、ワイヤーの複数箇所に、偏心位置で固定され、且つ圧接部が互いに周方向に夫々ずれるように設定された圧接部材を設けて、埋設管の両端に設けられたキャップでワイヤーを緊張させて圧接部材を埋設管の内面に圧接させた後、ワイヤーを牽引することで埋設管を引き抜くようにしている。
そして、特許文献4では、ワイヤー上に所定間隔で複数の鉄リングを外装して、各リングに複数の爪を放射状に突出させて取り付け、ワイヤーに、爪の先端部を外側に付勢するゴムリングを外装した係止具が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−182738号公報
【特許文献2】特開2002−130533号公報
【特許文献3】特開2002−181238号公報
【特許文献4】登録実用新案第3094269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示す工法では、埋設管の引き抜き装置に加えて、ロッド部材内にオイルを供給する油圧機構やワイヤを牽引する牽引機構が別途必要となるため、工法に係る設備が大掛かりとなり、設置や撤去に手間が掛かる上、コストアップにも繋がる。これは特許文献3の工法でも同様で、別途用意したキャップで埋設管の両端にワイヤーロープを一旦固定し、埋設管内でワイヤーロープを緊張させた後に改めて埋設管を引き抜く手順となるため、手間や時間、そしてコストがかさむことになる。特にこの特許文献3では、埋設管の周方向で夫々変位した位置で各圧接部材が圧接するため、埋設管全体へ均等に引張力が加わらず、圧接部材の位置によってはバランスが悪くなって埋設管内で滑ったりするおそれもある。
同様に、特許文献2に示す工法では、拡径治具によって埋設管を強制的に塑性変形させるため、老巧化して強度が低下した埋設管であると、引き抜き時に埋設管が破断等して牽引力が低下或いは失われるおそれがあり、信頼性に欠ける。これは特許文献4に示す係止具についても同じで、鉛管には適用可能であっても合成樹脂製では破断するおそれが非常に高く、可撓管には不向きである。
【0006】
そこで、請求項1に係る発明は、簡単な構成で索条体と埋設管とをバランス良く一体化させて、可撓性の埋設管でも迅速且つ確実に引き抜きが可能となる埋設管の引き抜き工法を提供することを目的としたものである。
また、請求項5に係る発明は、埋設管の引き抜きと共に新設管の引き込みを行う際に用いる連結具であって、新設管を傷付けることなくスムーズに引き込み可能となって引き抜き工法に好適な連結具を提供することを目的としたものである。
さらに、請求項6に記載の発明は、埋設管を引き抜くための引き抜き装置であって、引き抜いた埋設管を回転駆動するドラムに整列状態で効率良く巻取可能となって引き抜き工法に好適な引き抜き装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、係止具を、引き抜き方向へ行くに従って拡開する拡開部を有し、拡開部の引き抜き方向前端を索条体と交差状に面取形成したコイルスプリングとして、索条体の牽引に伴い、拡開部を埋設管の内面に係止させて埋設管を索条体と一体化させることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、埋設管の引き抜き跡に新設管を合理的に埋設するために、索条体における埋設管の引き抜き方向後方側に、連結具を介して新設管を連結し、埋設管の引き抜き跡に新設管を引き込み可能としたものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の目的に加えて、引き抜き装置の設置に係る作業性をより向上させるために、引き抜き装置を、埋設管の引き抜き側に掘削したピットの開口上に設置して、ピット内に設けた支持体で軸支した回転体によって埋設管を上向きに方向転換させて、引き抜き装置で牽引するようにしたものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3の目的に加えて、上向きの引き抜きをよりスムーズに行うために、支持体に、回転体を埋設管の埋設方向で弾性支持するダンパー機構を設けたものである。
【0008】
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項2乃至4の何れかに記載の引き抜き工法に用いる連結具であって、前方が先細りのテーパ部で、最大径が新設管の外径よりも大径となる本体と、その本体の後方に連設され、新設管を連結可能な連結部とからなり、軸心に挿通させた索条体を固定可能としたものである。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の引き抜き工法に用いる引き抜き装置であって、回転駆動して索条体及び埋設管を巻取可能なドラムを備え、少なくともドラムを、引き抜き時に軸方向へスライド可能としたことを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項6の目的に加えて、より簡単且つ安定状態でドラムのスライドを可能とするために、設置面及び埋設管側への正対面に、引き抜き時にドラムの軸方向への装置全体のスライドを許容可能な支承体を設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、係止具としてコイルスプリングの採用により、コイルスプリングの拡開部の前端全周で埋設管の内面全周に係止させることができる。よって、索条体と埋設管とをバランス良く一体化させることができ、引き抜き時に埋設管を破断等させるおそれがなく、埋設管を確実に引き抜き可能となる。而も、コイルスプリングは拡開方向と逆向きでは埋設管に対して殆ど抵抗を生じさせないため、引き抜き前の埋設管への索条体のセットや引き抜き完了後の埋設管の取り外しがスムーズに行え、作業の迅速化も期待できる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、埋設管の迅速な引き抜きと共に新設管の引き込みが行え、合理的な作業が可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、引き抜き装置をピット内に出し入れする必要がなくなり、作業性が向上すると共に、ピットの掘削スペースも最小限で済む。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加えて、ダンパー機構の採用により引き抜き時の埋設管の傾きや捩れ等を吸収でき、引き抜き装置による引き抜きがスムーズに行える。
【0010】
請求項5に記載の発明によれば、新設管は、連結具で拡げられた穴内を抵抗なく推進でき、新設管を傷付けることなくスムーズに引き込み可能となる。よって、引き抜き工法に好適な連結具を得ることができる。
請求項6に記載の発明によれば、引き抜き時のスライドによって埋設管がドラムの周面へ整列状態で巻き取られるため、小さいドラムでも長い埋設管を効率良く巻き取ることができ、引き抜き工法に好適な引き抜き装置を得ることができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項6の効果に加えて、支承体の採用により、装置全体のスライドで簡単にドラムのスライドを実現できる。また、装置全体のスライドによってスライド時の安定も維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の引き抜き工法の一例を示す説明図で、道路部分を横断面で表している。同図(A)が工事前の状態、同図(B)が当該工法の実施状態を夫々示す。ここで、1は道路の舗装部、2は道路地盤、3は住宅側を示し、埋設管4(例えば口径13mmのポリエチレン管)は、住宅側3と反対の路肩側で道路と平行に埋設される本管5から、舗装部1を横切る格好で図1の左右方向に埋設されて、住宅寄りの路肩側で止水栓6を介して住宅側の引き込み管7と接続されている。8,8は道路両側のL型側溝、9は止水ボックスである。
本工法では、まず道路両側の路肩部を部分的に掘削して埋設管4の両端側でピット10,11を夫々形成し、本管5側のピット10では本管5の分水栓12で止水して埋設管4を切り離し、住宅側のピット11では止水栓6及び止水ボックス9、引き込み管7を夫々一旦撤去する。
【0012】
次に、同図(B)示すように、住宅側3から新設管13(例えば口径20mmのポリエチレン管)をピット11内に引き込んで、連結具となる推進ヘッド14を先端に連結する。
この推進ヘッド14は、図2に示すように、前方が先細りのテーパ部16を有し、新設管13の外径よりも大径となる軸状の本体15の後方(図2の左側)に、本体15よりも小径で外周に雄ネジを形成した連結部17を同軸で一体に有し、軸心に索条体となるワイヤーの挿通孔18を形成したもので、新設管13の先端を連結部17に外装させてさらに連結リング19を外嵌することで、推進ヘッド14と新設管13との連結が可能となっている。20,20,20は、本体15にその半径方向でねじ込み可能なロックボルトで、ねじ込みによって挿通孔18内のワイヤーを押圧固定して本体15と一体化させるものである。ここでは、2つのロックボルト20,20が、本体15の軸方向で前後に重なるように並設され(図2の上側)、1つのロックボルト20が、他の2つから本体15の周方向へ180°回転した位置で他の2つの間に位置するように設けられている(同図下側)。
【0013】
ここで推進ヘッド14の具体例を挙げると、口径20mmの新設管13では、本体15の外径が35mm、長さが71mmで、このうちテーパ部16の長さが31mm、テーパ角が約40°で、連結部17の外径は21mm、長さが40mmのものが使用される。
【0014】
次に、ピット10側からワイヤー21を埋設管4内に挿入する。このワイヤー21には、図3に示すような係止具としてのコイルスプリング22が、所定間隔(例えば6m道路では、道路の中央を境にして前半(本管側)が約30cm間隔、後半が約60cm間隔となるように間隔を変えて12個程度)で取り付けられている。このコイルスプリング22は、ワイヤー21に巻回される等径部23と、その等径部23の前端(埋設管4の引き抜き方向を前方とする。図3では左側となる。)から前方へ行くに従ってラッパ状に拡開する拡開部24とからなる。拡開部24は、前端の最大径部で埋設管4の内径よりもやや大径となっており、その前端面は、ワイヤー21の軸線と直交する方向で面取部25が形成されている。このコイルスプリング22の形状により、等径部23側から埋設管4内に挿入する際には、拡開部24は埋設管4の内径に合わせて伸びながら収縮し、抵抗なく進入でき、逆に拡開部24側から引き抜く際には、拡開部24前端の面取部25が埋設管4の内面に係止して大きな抵抗を生じさせることになる。
【0015】
ここでコイルスプリング22の具体例を挙げると、ワイヤー径8mmに外装される口径13mmの埋設管4用では、線径が1.8〜2.2mmのステンレス材で、等径部23の内径が約8mm、その巻数が5〜10、拡開部24の最大径が約15mm、拡開部24のテーパ角が36°のものが使用される。
なお、コイルスプリング22のワイヤー21への固定は、等径部23の巻回力のみに依っても良いが、溶着やストッパ等を用いてより確実な固定を図っても良い。
【0016】
埋設管4内を通したワイヤー21は、ピット11側で推進ヘッド14の挿通孔18内に挿入させて、ロックボルト20,20で固定する。一方、ピット10内では引き抜き装置30をセットする。この引き抜き装置30は、図4,5に示すように、四角枠状のフレーム31内に、巻き取り用のドラム32と、外部電源で駆動する直流モータ33と、直流モータ33の出力軸の回転を減速してドラム32に伝達するギヤボックス34とを備えてなり、図4に示す正面(埋設管4側への正対面)の左右には、正面にボール36の一部を突出させた支承体としての円盤状の支承盤35が、所定間隔で3個ずつ設けられている。この支承盤35は、設置面となるフレーム31の下面にも、正面側と背面側との側辺に沿って所定間隔で3個ずつ設けられている。
【0017】
一方、ピット10の底面には、図6に示すように、埋設管4側に鉛直板38を有する断面L字状の誘導プレート37を固定して、引き抜き装置30を誘導プレート37上に載置し、埋設管4に挿入させたワイヤー21を鉛直板38に形成された四角窓39を通してドラム32の周面で端部寄りに連結する。このとき、埋設管4の先端を把持させたクリッパもドラム32の周面に併せて連結して、ドラム32によってワイヤー21と埋設管4とを同時に引っ張るようにするのが望ましい。
【0018】
こうしてセット完了後、直流モータ33を駆動させてドラム32を回転させ、ワイヤー21を引っ張る。なお、最初から最大電力でドラム32を回転させると埋設管4への負担が大きく、破断のおそれもあることから、図示しないコントローラによって最小電圧から時間の経過に従って徐々に電圧を上げるスロースタート制御を実行している。
ワイヤー21の引っ張りに伴い、図7に示すように、埋設管4内の各コイルスプリング22が拡開部24の拡開方向(同図左側)へ引っ張られて拡開部24の前端が埋設管4の内面に係止するため、ワイヤー21と埋設管4とが各コイルスプリング22を介して一体化され、ワイヤー21と共に埋設管4が引き抜かれてドラム32に巻き取られる。このとき、埋設管4は、ドラム32の端部から反対側へ順に巻き付くことになるが、埋設管4の地中からの引出し位置は変わらないため、引き抜き装置30にはドラム32への巻き付き側と反対方向への反力が生じる。よって、正面及び底面の支承盤35のボール36によって引き抜き装置30全体が誘導プレート37上で図6(A)の矢印方向へスライドし、これによって埋設管4がドラム32の周面へ順序よく巻き付けられることになる。巻取がドラム32の反対側へ達すると、今度は同図(B)のように反対側へスライドしながら先の巻取部分に重ねて巻取が行われる。
【0019】
一方、ワイヤー21が引っ張られることで、図7のように埋設管4の後を進む格好で推進ヘッド14も前端のテーパ部16で埋設管4の穴を拡げながら前進するため、推進ヘッド14に連結される新設管13が追従して地中内を進む。このとき、推進ヘッド14の本体15よりも新設管13の方が小径であるため、新設管13は推進ヘッド14で拡げられた穴内をスムーズに通過できる。
ちなみに、口径13mmで6mの長さの埋設管4に推進ヘッド14を介して口径20mmの新設管13を連結し、約7850Nの引き抜き力で引き抜きを行った場合、5〜6分程度で埋設管4の引き抜きが行える。
【0020】
埋設管4が完全に抜き取られて新設管13が所定位置に達すると、直流モータ33の駆動を停止させて推進ヘッド14を新設管13から取り外し、ワイヤー21を新設管13から抜き取る。そして、引き抜き装置30をピット10から撤去して、新設管13を本管5の分水栓12に接続する。最後にピット10,11を埋め戻し開口部を舗装すれば工事が完了する。
【0021】
このように、上記形態の引き抜き工法によれば、係止具を、引き抜き方向へ行くに従って拡開する拡開部24を有し、拡開部24の引き抜き方向前端をワイヤー21と直交状に面取形成したコイルスプリング22として、ワイヤー21の牽引に伴い、拡開部24を埋設管4の内面に係止させて埋設管4をワイヤー21と一体化させるようにしたことで、コイルスプリング22の拡開部24の前端全周で埋設管4の内面全周に係止させることができる。よって、ワイヤー21と埋設管4とをバランス良く一体化させることができ、引き抜き時に埋設管4を破断等させるおそれがなく、埋設管4を確実に引き抜き可能となる。而も、コイルスプリング22は拡開方向と逆向きでは埋設管4に対して殆ど抵抗を生じさせないため、引き抜き前の埋設管4へのワイヤー21のセットや引き抜き完了後の埋設管4の取り外しがスムーズに行え、作業の迅速化も期待できる。
特にここでは、ワイヤー21における埋設管4の引き抜き方向後方側に、推進ヘッド14を介して新設管13を連結し、埋設管4の引き抜き跡に新設管13を引き込み可能としたことで、埋設管4の迅速な引き抜きと共に新設管13の引き込みが行え、合理的な作業が可能となる。
【0022】
また、引き抜き工法に用いる連結具を、前方が先細りのテーパ部16で、最大径が新設管13の外径よりも大径となる本体15と、その本体15の後方に連設され、新設管13を連結可能な連結部17とからなり、軸心に挿通させたワイヤー21を固定可能な推進ヘッド14としたことで、新設管13は、推進ヘッド14で拡げられた穴内を抵抗なく推進でき、新設管13を傷付けることなくスムーズに引き込み可能となる。
さらに、引き抜き工法に用いる引き抜き装置30を、回転駆動してワイヤー21及び埋設管4を巻取可能なドラム32を備え、設置面及び埋設管4の引き抜き側への正対面に、引き抜き時にドラム32の軸方向への装置全体のスライドを許容可能な支承盤35を設けてなる構成としたことで、引き抜き時のスライドによって埋設管4がドラム32の周面へ整列状態で巻き取られ、小さいドラムでも長い埋設管4を効率良く巻き取ることができる。特に、支承盤35の採用により、装置全体のスライドで簡単にドラム32のスライドを実現でき、スライド時の安定も維持できる。
【0023】
以下、変更例を説明する。
上記形態では、ピット10内に引き抜き装置30をセットして埋設管4に正対して引き抜くようにしているが、図8に示すように、ピット10の開口に設けたベース板40から垂下され、下端に回転体としての滑車42を支持する支持体となるフレーム41を用いて、埋設管4を上向きに方向転換させ、ベース板40上で引き抜き装置30に引っ張らせる構造も採用可能である。ここで用いるフレーム41は、ベース板40に固定される固定フレーム43と、その固定フレーム43に遊挿されて滑車42を支持するスライドフレーム44とからなり、スライドフレーム44に沿って所定間隔で穿設された差込孔45,45・・を選択してメインフレーム43の下端で一対のピン46,46を水平に差し込むことで、フレーム41を伸縮させて滑車42の位置を調整可能となっている。例えば一般的な埋設管4の埋設位置に合わせて、下部取付位置900cmから上部取付位置600cm(何れもベース板40上面から滑車42の下側の水平接線までの鉛直距離)までの間で調整可能とすれば良い。
【0024】
他のコイルスプリングや推進ヘッドは先に説明した形態と同じで、引き抜き装置30も、直流モータ33及びギヤボックス34がドラム32の上側で横向きに設置される点を除いて基本構造は同じであるため、重複する説明は省略する。但し、引き抜き装置30は、ベース板40の上面で平行に固着されたアングル等の一対のレール部材47,47によってドラム32の軸方向(図8(A)の左右方向)へスライド可能となっている。ベース40には埋設管4等を貫通させる図示しない四角窓が形成されている。48は、スライドフレーム44の後面に取り付けられ、引き抜き時にピット10の内面に当接してスライドフレーム44の後方への傾動を規制する当て板である。
【0025】
この変更例においては、ピット10にベース板40をセットして、埋設管4内に挿通させたワイヤー21を滑車42を介して上方に引き上げ、ベース板40上の引き抜き装置30のドラム32に接続して牽引し、埋設管4も上方へ方向転換させてドラム32で巻き取ることになる。
このように、引き抜き装置30を、埋設管4の引き抜き側に掘削したピット10の開口上に設置して、ピット10内に設けたフレーム41で軸支した滑車42によって埋設管4を上向きに方向転換させて牽引するようにしたことで、引き抜き装置30をピット10内に出し入れする必要がなくなり、作業性が向上すると共に、ピットの掘削スペースも最小限で済む。
【0026】
また、フレーム41は、図9,10に示すように、スライドフレーム44の下方にダンパー機構を備えるものが望ましい。これは、スライドフレーム44の下端で滑車42の支持軸49を、スライドフレーム44の下端の左右の水平部に溝50を設けることによって水平姿勢のまま前後移動可能とすると共に、各水平部内で、支持軸49を軸支する軸受リング51にロッド52を連結し、そのロッド52を、ロッド52に設けたストッパ53を介してコイルバネ54で引き抜き方向前方へ付勢するようにしたものである。この構成により、引き抜き時に埋設管4から滑車42へ加わる負荷に応じて支持軸49の一端又は両端が後退して滑車42を傾動させ、埋設管4の方向を修正して引き抜き装置30へ導くことができる。すなわち、フレーム41に、滑車42を埋設管4の埋設方向で弾性支持するダンパー機構を設けたことで、引き抜き時の埋設管4の傾きや捩れ等を吸収でき、引き抜き装置30による引き抜きがスムーズに行えるのである。
【0027】
一方、図11,12に示すような変更例も考えられる。これは、フレーム41におけるスライドフレーム55の下方前方を面取状に傾斜形成して、スライドフレーム55の下端水平部から傾斜部分にかけて、支持軸56で回転可能に支持される回転体としてのローラ57〜59を3つ並設したもので、ここでは、埋設管4の引き抜き位置寄り(図12の最上位置)のローラ57が最も案内溝の幅が広く、そこから上方へ行く程案内溝が軸方向で狭くなるようにローラ57〜59が段階的に小さくなっている。
この変更例においても、埋設管4の傾き等にかかわりなく、ローラ57〜59の徐々に狭くなる案内溝によって方向修正が行われるため、引き抜き時の埋設管4の傾き等が吸収されて引き抜きがスムーズに行える。
【0028】
その他、索条体としてはワイヤーに限らず、ロープやチェーン等も使用できるし、索条体に設けるコイルスプリングも、拡開部によって埋設管内面への係止が可能であれば、等径部と拡開部との巻き数や長さ、設置間隔や設置数等は埋設管の口径やワイヤーの径等に応じて適宜変更可能である。特に設置間隔については、索条体の全長に亘って等間隔としても引き抜きは可能であるが、上記形態のように引き抜き側前半を反対側よりも密に配置すれば、引き抜き装置の引き抜き力が初動時から埋設管へ効率良く伝わり、好ましい態様となる。さらに、拡開部前端の面取部も、索条体の軸線に対して直交状とする形態に限定する必要はなく、埋設管の内面に対して鋭角で係止するように形成して、より効果的な一体化を図っても良い。
また、連結具も、上記推進ヘッドでは本体の全体形状をテーパ状としたり、連結部も本体側へ行く程大径になるテーパ形状にしたり、連結リングを半割クランプ構造にしたり等の設計変更が可能である。索条体との連結構造も、上記形態のロックボルトの場合では、数の増減や配置の変更(例えば3つのロックボルトを推進ヘッドの周方向へ120°度間隔で配置する等)が可能であるし、他にピン結合等を採用することもできる。
【0029】
さらに、引き抜き装置では、回転駆動するドラムによる巻取の他、油圧シリンダ等のアクチュエータによって埋設管を把持するクランパを直線状に進退動させる構造等の他の牽引手段が採用できる。勿論支承体も、上記ボールによる他、ローラやキャスタ、リニヤガイド等を用いることができる。また、このように支承体を用いて装置全体をドラムの軸方向にスライドさせる形態に限らず、ドラムを、回転駆動軸と、その回転駆動軸にキー結合やスプライン結合等によって一体回転且つ軸方向へスライド可能に外装される巻取部とで形成して、回転駆動軸の回転に伴い、巻取部のみを軸方向へスライドさせて埋設管の整列巻取を行うことも可能である。
加えて、方向転換用の回転体を備える支持体は、ベースの下面に連結するものに限らず、ピット内に単独で設置しても良いし、回転体をピットの開口部上方にさらに設置して方向転換を複数回行うようにしても良い。ダンパー機構も、コイルバネ以外の板バネやゴム等の他の弾性体を使用したり、オイルダンパーに代えたりして差し支えない。
【0030】
そして、上記形態では、埋設管の引き抜きと共に新設管の引き込みを実施する手順で説明しているが、新設管の引き込みを行わない場合も埋設管の引き抜きのみに本発明を実施できることは当然である。よって、上記形態のような水平方向での埋設に限らず、傾斜方向や鉛直方向の埋設管であっても本発明による引き抜きは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】引き抜き工法の説明図で、(A)が工事前、(B)が当該工法の実施状態を夫々示す。
【図2】推進ヘッドの説明図である。
【図3】コイルスプリングの説明図である。
【図4】引き抜き装置の正面図である。
【図5】引き抜き装置の右側面図である。
【図6】引き抜き装置のスライド動作を示す説明図である。
【図7】地中での引き抜き状態を示す説明図である。
【図8】フレームを用いた引き抜き工法の変更例を示す説明図で、左が側方から見た状態、右が引き抜き方向前方から見た状態を夫々示す。
【図9】フレームの変更例を示す説明図である。
【図10】ダンパー機構を下側から見た説明図である。
【図11】フレームの変更例を示す説明図である。
【図12】ローラ部分を下側から見た説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1・・舗装部、2・・道路地盤、3・・住宅側、4・・埋設管、5・・本管、10,11・・ピット、13・・新設管、14・・推進ヘッド、15・・本体、16・・テーパ部、17・・連結部、21・・ワイヤー、22・・コイルスプリング、23・・等径部、24・・拡開部、25・・面取部、30・・引き抜き装置、32・・ドラム、33・・直流モータ、35・・支承盤、37・・誘導プレート、41・・フレーム、42・・滑車、57〜59・・ローラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設される可撓性の埋設管内に、係止具を所定間隔で複数個備えた索条体を挿入し、前記索条体を引き抜き装置で牽引することで、前記係止具を介して前記埋設管を前記索条体と一体化させて地中から引き抜く埋設管の引き抜き工法であって、
前記係止具を、引き抜き方向へ行くに従って拡開する拡開部を有し、前記拡開部の引き抜き方向前端を索条体と交差状に面取形成したコイルスプリングとして、前記索条体の牽引に伴い、前記拡開部を前記埋設管の内面に係止させて前記埋設管を索条体と一体化させることを特徴とする埋設管の引き抜き工法。
【請求項2】
索条体における埋設管の引き抜き方向後方側に、連結具を介して新設管を連結し、前記埋設管の引き抜き跡に前記新設管を引き込み可能とした請求項1に記載の埋設管の引き抜き工法。
【請求項3】
引き抜き装置を、埋設管の引き抜き側に掘削したピットの開口上に設置して、前記ピット内に設けた支持体で軸支した回転体によって前記埋設管を上向きに方向転換させて、前記引き抜き装置で牽引するようにした請求項1又は2に記載の埋設管の引き抜き工法。
【請求項4】
支持体に、回転体を埋設管の埋設方向で弾性支持するダンパー機構を設けた請求項3に記載の埋設管の引き抜き工法。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れかに記載の引き抜き工法に用いる連結具であって、前方が先細りのテーパ部で、最大径が新設管の外径よりも大径となる本体と、その本体の後方に連設され、前記新設管を連結可能な連結部とからなり、軸心に挿通させた索条体を固定可能とした引き抜き工法用の連結具。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れかに記載の引き抜き工法に用いる引き抜き装置であって、回転駆動して索条体及び埋設管を巻取可能なドラムを備え、少なくとも前記ドラムを、引き抜き時に軸方向へスライド可能としたことを特徴とする引き抜き工法用の引き抜き装置。
【請求項7】
設置面及び埋設管側への正対面に、引き抜き時にドラムの軸方向への装置全体のスライドを許容可能な支承体を設けた請求項6に記載の引き抜き工法用の引き抜き装置。
【請求項1】
地中に埋設される可撓性の埋設管内に、係止具を所定間隔で複数個備えた索条体を挿入し、前記索条体を引き抜き装置で牽引することで、前記係止具を介して前記埋設管を前記索条体と一体化させて地中から引き抜く埋設管の引き抜き工法であって、
前記係止具を、引き抜き方向へ行くに従って拡開する拡開部を有し、前記拡開部の引き抜き方向前端を索条体と交差状に面取形成したコイルスプリングとして、前記索条体の牽引に伴い、前記拡開部を前記埋設管の内面に係止させて前記埋設管を索条体と一体化させることを特徴とする埋設管の引き抜き工法。
【請求項2】
索条体における埋設管の引き抜き方向後方側に、連結具を介して新設管を連結し、前記埋設管の引き抜き跡に前記新設管を引き込み可能とした請求項1に記載の埋設管の引き抜き工法。
【請求項3】
引き抜き装置を、埋設管の引き抜き側に掘削したピットの開口上に設置して、前記ピット内に設けた支持体で軸支した回転体によって前記埋設管を上向きに方向転換させて、前記引き抜き装置で牽引するようにした請求項1又は2に記載の埋設管の引き抜き工法。
【請求項4】
支持体に、回転体を埋設管の埋設方向で弾性支持するダンパー機構を設けた請求項3に記載の埋設管の引き抜き工法。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れかに記載の引き抜き工法に用いる連結具であって、前方が先細りのテーパ部で、最大径が新設管の外径よりも大径となる本体と、その本体の後方に連設され、前記新設管を連結可能な連結部とからなり、軸心に挿通させた索条体を固定可能とした引き抜き工法用の連結具。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れかに記載の引き抜き工法に用いる引き抜き装置であって、回転駆動して索条体及び埋設管を巻取可能なドラムを備え、少なくとも前記ドラムを、引き抜き時に軸方向へスライド可能としたことを特徴とする引き抜き工法用の引き抜き装置。
【請求項7】
設置面及び埋設管側への正対面に、引き抜き時にドラムの軸方向への装置全体のスライドを許容可能な支承体を設けた請求項6に記載の引き抜き工法用の引き抜き装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−32759(P2007−32759A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219310(P2005−219310)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(591270556)名古屋市 (77)
【出願人】(505285353)財団法人 水道サービス (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(591270556)名古屋市 (77)
【出願人】(505285353)財団法人 水道サービス (1)
【Fターム(参考)】
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