説明

埋設管の推進工法および推進装置のアタッチメント

【課題】止水を簡便に行えるようにし、確実に切羽の崩壊を防止しながら、河床のような含水量の大きな地層で集水管のような強度の弱い埋設管を推進する工事を可能する埋設管の推進工法および推進装置のアタッチメントを提供する。
【解決手段】スクリュー13と、このスクリュー13が収容され、推進機10から軸方向に推力が伝達されるケーシング15と、スクリュー13の先端に配置され、土砂をスクリュに導く排出口20a、20bが形成された面板16を有するオーガヘッド14と、スクリュー先端と着脱自在な連結部と面板16の土砂排出口に重畳可能な開口部23a、23bとを有し、面板16と同軸に重なり合って連れ回り可能でありかつ相対的な回転が許容されるように連結された止水板18と、からアタッチメントを構成し、面板16と止水板18の位相を切り換えることにより、スクリュ13の正転・逆転に応じて排出口の開閉状態を切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋設管の推進工法および推進装置のアタッチメントに係り、例えば、河底の浄化された水を集水する設備の建設工事で集水管を埋設するための推進工法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、上下水道、ガス、電気ケーブルなどのライフライン埋設工事には、開削工法に替わって、立坑から管を水平に推進する非開削工法が普及している。この種の推進工法では、地表から掘削した立坑に推進機を入れて、この推進機で管の後端を押しながら推進していく。推進機には、アタッチメントとして、オーガヘッドを先端に有するスクリューが取り付けられており、オーガヘッドで土砂を掘り崩し、スクリューでその土砂を立坑に排出させる。そして、一定の距離を掘進したところで、管を継ぎ足ながら推進していく。
【0003】
先に、本出願人は、非開削工法による埋設管の推進工法として、スクリューガイド1工程式とパイロット管をガイドする2工程式を併用する推進工法を提案している(特許文献1)
【特許文献1】特開2003−343194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では、非開削推進工法の適用範囲が拡大している。例えば、河床から水を集水する設備の建設工事で、集水管を河床まで埋設する工事への応用が検討されている。
河床まで集水管を延ばす埋設工事の場合、地盤に水が多量に含まれる場合には、次のような解決すべき課題が山積している。
【0005】
まず、オーガヘッドとスクリューを推進機で回転させながら掘進していく従来工法による場合には、集水管を直に推進できないので、最初にケーシングを推進してから、このケーシング内に集水管を押し込むことになる。
【0006】
ケーシングを継ぎ足しなから推進する時には、ケーシング内への水の侵入を止める止水対策を講じながら推進作業を進めなければならない。しかし、ケーシング内に直接スクリューを入れなければならないために、ケーシングにピンチ弁などの止水手段を設けることができないので、地層から水が流入し切羽の崩壊が起こる。このため、ケーシングの推進が完了してから、いざケーシング内に集水管を入れようとすると、土砂が邪魔になって集水管が入らなくなる。この場合、集水管は、水が通れるように金網状の管体であることが多く、強度的に弱く、無理に押し込もうとすると破損する可能性がある。さらに、集水管が入ったとしても、ケーシングを回収するため引き抜くときに、いっしょに集水管が抜けてしまうという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、止水を簡便に行えるようにし、確実に切羽の崩壊を防止しながら、河床のような含水量の大きな地層で集水管のような強度の弱い埋設管を推進する工事を可能する埋設管の推進工法および推進装置のアタッチメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明は、埋設管を非開削で地中に推進する埋設管の推進機に用いられるアタッチメントにおいて、前記推進機により駆動されるスクリューと、前記スクリューが収容され、前記推進機から軸方向に推力が伝達されるケーシングと、前記スクリューの先端に配置され、土砂をスクリュに導く排出口が形成された面板を有するカッターヘッドと、前記スクリュー先端と着脱自在な連結部と前記面板の土砂排出口に重畳可能な開口部とを有し、前記面板と同軸に重なり合って連れ回り可能でありかつ相対的な回転が許容されるように連結された止水板と、前記面板の土砂排出口が前記止水板により閉じられる閉鎖位置と、前記面板の土砂排出口と前記止水板の開口部とが重なり該土砂排出口が開く位置との間で、前記面板と止水板との位相を前記スクリュの正転・逆転に応じて切り換える排出口開閉切換手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明は、立坑に推進機を設置し、前記立坑から集水管を帯水地層中に推進する埋設管推進工法において、掘削した土砂をスクリューに導く排出口の開閉を前記スクリューの正・逆転により切り換え可能なカッターヘッドを用い、前記カッターヘッドを取り付けた前記スクリューと、該スクリューを収容するケーシングをアタッチメントとして推進機を立坑内に設置する工程と、前記推進機によりスクリュを正転させ、前記土砂排出口を開いたままケーシングを推進方向に押し出しながらケーシング1本分を掘進する工程と、1本のケーシングを推進した後、前記スクリュの逆転により前記土砂排出口を閉鎖してから新たなケーシングを継ぎ足す工程と、の繰り返しからなるケーシング推進工程と、目標位置までケーシングを推進した後、土砂排出口を閉鎖してから、スクリューを推進機によって引き抜き、土砂排出口を閉鎖した状態の前記カッターヘッドを残留させたまま該スクリューを回収する工程と、埋設すべき集水管を前記推進機によって押し出し当該集水管を継ぎ足しながら前記ケーシングの内側に押し込む工程と、前記ケーシングを前記推進機によって引き抜き、該ケーシングを回収する工程と、からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ケーシングを継ぎ足しなから推進する時には、スクリューを逆転するだけで簡単にケーシング内への水の侵入を止めることができる。また、ケーシングの推進が完了してから、ケーシング内に集水管を入れようとするときも、ケーシングの先端をカッターヘッドでプラグ状態にしたまま集水管を入れられるので、破損することなく円滑に押し込むことができる。さらに、集水管が入ってから、ケーシングを回収するときも、ケーシングだけを円滑に引き抜くことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明による埋設管の推進工法および装置の一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態による推進機に用いられるアタッチメントの先端部を構成を詳細に示す断面図である。図4は、本発明の実施形態による埋設管推進装置を示す一部断面側面図である。
【0012】
図4において、参照番号10は、非開削で埋設管を地中に推進する工法で用いられる推進機を示し、参照番号12は、推進機10に接続されるアタッチメントの全体を示す。地表からは立坑50が掘られ、推進機10は、この立坑11内に設置される。
【0013】
アタッチメント12は、螺旋状にブレードが軸方向に延びているスクリュー13と、このスクリュー13の先端に取り付けられるカッターヘッドと、ケーシング15とから構成されている。このアタッチメント12の実施形態は、カッターヘッドに、主として土砂からなる地層での掘削に適したオーガヘッド14を適用した実施の形態である。
【0014】
スクリュー13は、ケーシング15の内部に同軸に収容されており、スクリュー13は、推進機10に駆動されて回転するとともに推力が加えられるようになっている。ケーシング15には、推進機10から推力だけが加えられる。なお、ケーシング10およびスクリュー13は、推進が延びるにしたがって、1本づつ継ぎ足しながら推進作業を行う。
【0015】
次に、アタッチメント12の先端の取り付けられるオーガヘッド14について図1乃至図3を参照しながら説明する。
【0016】
オーガヘッド14は、ヘッド本体を構成する円板状の面板16と、止水板18とを含む。図2に面板16の正面を示すように、面板16には、複数個のカッター19が直径にそって配列されている。そして面板16には、カッター19によって掘り崩された土砂をスクリュー13に導くための排出口20a、20bが開口している。この実施形態では、排出口20a、20bは、面板16の中心に関して180度対称な位置に形成されており、扇形状の開口形状を有している。
【0017】
また、面板16の中心部には、スリーブ継手21が一体的に形成されており、このスリーブ継手21には、止水板18の軸部22が嵌合し、この軸部22は抜け止め部材22aにより固定されている。このような面板16の中央部には、カッターの一種であるフィシュテール17が取り付けられている。
【0018】
止水板18は、面板16よりも直径の小さな円板からなり、その軸部22を面板16のスリーブ継手21に結合させると、図2に示されるように、両者は同軸に重なり合うようになっている。ここで、図3(a)は、図1におけるA−A矢視図である。図2は、このときに対応する正面を示す(ただし、開口部23a、23bの位置は、排出口20a、20bが閉じるときの位置(図3(b)に対応)を仮想線で示している)。この図4に示されるように、止水板18には、面板16に開口する排出口20a、20bに形状が対応した開口部23a、23bが形成されている。止水板18と面板16とは相対的な回転が許容されるように重なっており、位相を合わせることにより、面板16の排出口20a、20bが止水板16の開口部23a、23bが重畳して土砂排出口が開き、また、位相をずらすことにより、排出口20a、20bを止水板18で閉じることができるようになっている。
【0019】
このような止水板18には、スクリュー13の先端部が着脱自在に嵌合する連結部24が同軸に固着されている。この連結部24は、この実施形態では、六角穴25を有する継手からなり、スクリュー12の先端部は、六角穴25に対応して六角柱状になっており、六角穴25に着脱自在に嵌合するとともに、スクリュー13の回転が止水板18に伝えられる。そして、スクリュー13が正方向に回転(掘削時の回転方向)するに伴って止水板18が回ると、以下のような構造を採用することにより、オーガヘッドの面板16は止水板18とともに連れ回りできるようになっている。
【0020】
図3に示すように、止水板18には、開口部23a、23bに隣接するようにして周方向に延びる一対の長孔26a、26bが形成されている。この長孔26a、26bは、止水板18の中心に関して180度対称な位置にある。そして、面板16には、それぞれ中心に関して180度対称な位置に一対のストッパピン27a、27bが取り付けられており、このストッパピン27a、27bは、それぞれ止水板18の長孔26a、26bに係合するようになっている。
【0021】
これらの長孔26a、26bとストッパピン27a、27bとの組み合わせは、面板16と止水板18との相対的な回転および連れ回りを許容するとともに、前記スクリュの正転・逆転に応じて両者の位相を変えることにより、面板16の排出口20a、20bの開閉状態を切り換える手段を構成している。
【0022】
すなわち、面板16と止水板18との相対的な位置は、図3(a)の位置と図3(b)の位置との間で切り換わり、図3(a)に示す位置では、面板16の土砂排出口20a、20bは止水板18の開口部23a、23bと位相が一致して、土砂排出口20a、20bは開き、図3(b)の位置では、面板16の土砂排出口20a、20bは止水板18により閉じられる閉鎖位置になっている。そしてスクリュー13が正転すると、図3(a)に示すように、長孔26a、26bの正転方向の端部にストッパピン27a、27bが当接するので、面板16の土砂排出口20a、20bと止水板18の開口部23a、23bの位相が合って土砂排出口20a、20bが開き、この状態のまま、面板16と止水板18がいっしょに回るようになっている。
【0023】
これに対して、スクリュー13を若干逆転させると、図3(b)に示すように、長孔26a、26bの逆転方向の端部にストッパピン27a、27bが当接することで、土砂排出口20a、20bが止水板18により閉鎖されるようになっている。
【0024】
図1において、面板16の外周部には、短円筒状に突き出した止水シール部28が形成されている。面板16の土砂排出口20aが閉じてケーシング15の先端部の端面に止水シール部28が密着した状態では隙間から水が侵入しないようにシールされるように構成されている。また、止水板18には、スクリュー13のブレードが螺旋状に連続して延びるように、ブレード29が一体的に設けられている。
【0025】
なお、本実施形態では、面板16にストッパピン27a、27bを設け、止水板18に長穴26a、26bを形成しているが、止水板18の方にストッパピンを設け、面板18の方に長孔をあけるようにしてもよい。
【0026】
次に、図4において、推進機10について説明する。この推進機10は、ベースとなるガイドフレーム30の上に推進機本体32が移動可能に設置されている。推進機本体32の左右両側には、推進力を発生するとともに、管の引き抜く引張力を発生する油圧シリンダ33が配設されている。この油圧シリンダ33のピストンロッドの先端部は、反力受34に固定されている。
【0027】
推進機本体32は、油圧モータ35によって駆動される。この油圧モータ35の駆動トルクは、伝達部36を介して中空式減速機37に伝えられる。この中空式減速機37は、中空軸を有する減速機である。スクリュー13の基端部は、中空機減速機37の出力軸に連結される。また、推進機本体32には推力伝達部38が設けられ、ケーシング15の後端は、この推力伝達部38に取り付けられ、油圧シリンダ33で発生した推進力がケーシング15に伝えられるようになっている。
【0028】
次に、以上のように構成される推進機10およびアタッチメント12を使った埋設管の推進工法について、図4乃至図10を参照しながら説明する。
この実施形態は、河川集水設備の建設工事施設における集水管の埋設工事に本発明の推進工法を適用した実施の形態である。
【0029】
図10は、河川集水設備に設けられる放射形取水井を示す。この図10において、参照番号40は、取水井を示す。42は河川を示す。河川42の河床でろ過された水を集水井40に取り込むために、取水井40の底からは、放射状に集水管44が延びている。埋設する管は、集水管44であり、本実施形態では、河川42の河床のような水を多量に含む帯水地層に集水管44を推進していく工事に特に有効な実施形態である。集水管44は、水を取り込むために、例えば、金網を材料にして、無数の穴のあいた管体から構成されている。
そこで、以下、集水管44を埋設する工程を示す図4乃至図9を参照しながら、工程の順を追って説明する。
【0030】
図4は、立坑50に推進機10を設置する工程の説明図である。立坑50は、この実施形態では、最終的には図10の取水井40として利用される。設置した推進機本体32には、スクリュー13、オーガヘッド14、ケーシング15を組み立てたアタッチメント12が取り付けられる。
【0031】
ケーシング15を推進していく場合、推進機10は、油圧シリンダ33のピストンロッドを伸してケーシング15に推力を加えながら、スクリュー13を正方向に回転させる。スクリュー13の回転とともに、面板16と止水板18はいっしょに回転し、オーガヘッド14のカッタ19は土砂を掘り崩していく。そして、油圧シリンダ33の伸長とともに推進機本体32が前進しケーシング15を推進させていく。この推進工程中は、上述したように、スクリュー13の正転により、土砂排出口20a、20bが開いた状態になっており(図3(a)参照)、オーガヘッド14で掘り崩された土砂は、土砂排出口20a、20bからケーシング15内に導入され、スクリュー13によって立坑50まで排出される。
【0032】
こうして、ケーシング15を1本分推進した後、ケーシング15を継ぎ足してから、また推進するというように、推進と継ぎ足しを繰り返す。
【0033】
図5は、ケーシング15を継ぎ足す工程の説明図である。1本分のケーシング15を推進した後、新たなケーシング15を継ぎ足すときには、推進機10の運転を一時停止する。そして、継ぎ足作業をしている間、水や土砂が切羽からケーシング15内へ侵入しないようにするために、スクリュー13を逆転させる。このスクリュー13の逆転により、図3(b)に示すように、止水板18の長孔26a、26bの逆転方向の端部にストッパピン27a、27bが当接することで、土砂排出口20a、20bが止水板18により閉鎖されることになる。閉鎖後、スクリュー13を停止するとともに、推進機10の油圧シリンダ33でわずかにケーシング15を押圧すると、ケーシング15の先端部はオーガヘッド14の面板16に形成されている止水シール部28に当接して密着するので、これにより、ケーシング15の先端部は、オーガヘッド14の面板16でプラグ状態になり、水や土砂の侵入が止まる。
【0034】
こうして、確実な止水を施してから、図5において、スクリュー13と推進機本体32との連結を外し、油圧シリンダ33のピストンロッドを後退させることにより、推進機本体32を待避させ、ケーシング15を継ぎ足すための作業スペースを確保する。
【0035】
図5に示すように、クレーンにより吊った新たなケーシング15aを立坑50内に搬入する。この場合、ケーシング15aにはスクリュー13aをあらかじめ入れておく。そして、吊った状態のまま、心を合わせながら、ケーシング15aとスクリュー13aの先端をすでに地中に推進したケーシング15、スクリュー13の後端に接続する。そして、スクリュー13a、ケーシング15aの後端を推進機本体32に連結する。以上のようなケーシング15の継ぎ足し作業が終われば、推進作業を再開する。以下、推進工程と新たなケーシングを継ぎ足す工程とを繰り返しながら、目標位置までケーシング15を推進する。
【0036】
図6は、目標位置までケーシング15を推進した後、スクリュー13を回収する工程の説明図である。スクリュー13を回収するに際しては、水や土砂が地層からケーシング15内へ侵入しないようにするために、スクリュー15を逆転させて、継ぎ足し工程と全く同じようにして、オーガヘッド14の面板16の土砂排出口20a、20bを止水板18で閉鎖し、オーガヘッド14の面板16でプラグ状態にしておく。そして、図6において、油圧シリンダ33により推進機本体32を後退させながらスクリュー13を引き抜く。このとき、スクリュー13の先端部は、図1に示したように、止水板18の連結部25に形成した六角穴26に嵌合しているので、スクリュー13を引っ張ると、スクリュー13だけが抜けてオーガヘッド14と止水板18が一体で残留することになる。このとき、オーガヘッド14によって、ケーシング15の先端はプラグ状態が維持されており、確実に止水が施されていることはいうまでもない。
【0037】
そこで、図6において、スクリュー13を1本分づつ推進機本体32を後退させながら引き抜き、連結を外して立坑50から搬出する。
【0038】
次に、図7は、上記のように、スクリュー13を回収して後、埋設すべき集水管44をケーシング15の内部に押し込む工程の説明図である。集水管44は、ケーシング15と同じように短い集水管44を継ぎ足しながら推進機本体32で押し込んでいく点は同様である。もっとも、集水管44の場合、ケーシング15に較べて強度が弱いため、ロッド62を併用しなから押し込むことになる。
【0039】
図7に示すように、先頭の集水管44には、ほぼ同じ外径の円板64が取り付けられている。先頭のロッド62の先端は、この円板64に固着されていている。そして、集水管44とロッド62の後端は推進機本体32の推力伝達部38に取り付けられる。集水管44とロッド62を推進機本体32に接続した後は、油圧シリンダ33のピストンロッドを伸ばすことにより、ケーシング15の推進と同様に、推進機本体32を前進させながら集水管44をケーシング15内に押し込むことができる。そして、ロッド62には、各集水管44と同じ長さのものを使用し、集水管44といっしょに継ぎ足しながら延伸させていく。
【0040】
このようにして集水管44の内部にロッド62を入れていっしょに押し込むことにより、集水管60の先端にはロッド62を介し引張力が作用する。このため、強度的に弱い集水管44であっても、引張力をかけながら押し込めることになるので、集水管44の破損を確実に防止しながら効率良く円滑に押し込むことが可能となる。
【0041】
なお、推進機本体32によって集水管44を継ぎ足しながらケーシング15の内側に押し込む間、ケーシング15の先端では、オーガヘッド14と止水板18とによってプラグされた状態は維持されているので、土砂がケーシング15内に入り込まないように確実に防止されている。したがって、土砂の侵入を確実に防止できるという点からも、強度的に弱い集水管44を破損することなく円滑に押し込む上で顕著な効果が得られるものである。
【0042】
次に、図8は、集水管44を押し込んだ後、ケーシング15を引き抜き、回収する工程の説明図である。
ケーシング15を回収する工程では、図8に示すように、推進機本体32の中空式減速機37の中空構造を活用して突っ張りロッド66を用いる。この場合、集水管44の後端には、円板65を取り付けておき、突っ張りロッド66を中空式減速機37を貫通するまで伸ばして、円板65と反力受34の間に掛け渡しておく。このような突っ張りロッド66で集水管60をバックアップ支持しておくことにより、推進機本体32を後退させながらケーシング15を引き抜いても、ケーシング15につられて集水管44が抜けてしまうのを確実に防止でき、ケーシング15だけを確実に回収することができる。
【0043】
なお、ケーシング15を回収するときには、1本分のケーシング15が引き抜けたら、突っ張りロッド66を外しておく。そして、ケーシング15の接続を外してから、クレーンで吊って立坑50から搬出すればよい。その後、突っ張りロッド66をまた取り付けてから、ケーシング15を引き抜くというように繰り返して、すべてのケーシング15を回収することができる。
【0044】
最後に、図9に示すように、集水管44の終端で坑口部回りにセメント67等により止水を施す。また、推進機10を立坑50から回収することで施工が完了する。
【0045】
なお、図10に示した放射形取水井の場合は、立坑50から何本もの集水管44を放射状に推進するので、以上説明した図4乃至図9の工程を繰り返すことになる。
【0046】
以上、本発明について、ケーシング15の先端に設けるカッターヘッドにオーガヘッド14を用いた実施形態を挙げて説明したが、本発明では、地層が砂礫層である場合には、オーガヘッド14に替えてディスクカッターヘッドを用いるようにしてもよい。
【0047】
また、本発明は、河床に集水管を推進する工事に限定されるものではなく、河床に限らず、さまざまな帯水地層中に管を推進する工事に適用可能であることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明による埋設管推進装置のアタッチメントを示す縦断面図。
【図2】図1のアタッチメントの正面図。
【図3】図1のA−A矢視図で、図3(a)は、土砂排出口が開いた位置、図3(b)は土砂排出口が閉じた位置を示す。
【図4】推進機を立坑に設置し、ケーシングを推進する工程の説明図。
【図5】ケーシングを継ぎ足す工程の説明図。
【図6】スクリューを回収する工程の説明図。
【図7】ケーシングの中に集水管を押し込む工程の説明図。
【図8】ケーシングを回収する工程の説明図。
【図9】集水管の推進が完了した状態の説明図。
【図10】本発明が適用される河床集水設備における取水井の説明図。
【符号の説明】
【0049】
10 推進機
12 アタッチメント
13 スクリュー
14 オーガヘッド
15 ケーシング
16 面板
18 止水板
19 カッター
20a、20b 土砂排出口
27a、27b ストッパピン
32 推進機本体
33 油圧シリンダ
44 集水管
50 立坑

【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋設管を非開削で地中に推進する埋設管の推進機に用いられるアタッチメントにおいて、
前記推進機により駆動されるスクリューと、
前記スクリューが収容され、前記推進機から軸方向に推力が伝達されるケーシングと、
前記スクリューの先端に配置され、土砂をスクリュに導く排出口が形成された面板を有するカッターヘッドと、
前記スクリュー先端と着脱自在な連結部と前記面板の土砂排出口に重畳可能な開口部とを有し、前記面板と同軸に重なり合って連れ回り可能でありかつ相対的な回転が許容されるように連結された止水板と、
前記面板の土砂排出口が前記止水板により閉じられる閉鎖位置と、前記面板の土砂排出口と前記止水板の開口部とが重なり該土砂排出口が開く位置との間で、前記面板と止水板との位相を前記スクリュの正転・逆転に応じて切り換える排出口開閉切換手段と、
を備えたことを特徴とする埋設管推進装置のアタッチメント。
【請求項2】
前記排出口開閉切換手段は、前記面板または止水板の周方向に延び、180度対称な位置に形成された一対の長孔と、前記止水板または面板に180度対称な位置に取り付けられ、前記長孔にそれぞれ係合する一対のストッパピンとからなり、スクリューの正転では、長孔の正転方向の端部にストッパピンが当接することで前記面板の土砂排出口と止水板の開口部の位相が合い、スクリューの逆転では、長孔の逆転方向の端部にストッパピンが当接することで、前記面板の土砂排出口が止水板により閉鎖されることを特徴とする請求項1に記載の埋設管推進装置のアタッチメント。
【請求項3】
前記止水板の連結部は、前記スクリューの先端が着脱自在に嵌合する六角穴を有する継手からなることを特徴とする請求項1に記載の埋設管推進装置のアタッチメント。
【請求項4】
前記面板は、前記ケーシングの先端部の端面に密着して隙間をシール可能な止水シール部を有することを特徴とする請求項1に記載の埋設管推進装置のアタッチメント。
【請求項5】
前記カッターヘッドは、土砂層を掘削するオーガヘッドまたは砂礫層を掘削するディスクカッターヘッドからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載の埋設管推進装置のアタッチメント。
【請求項6】
立坑に推進機を設置し、前記立坑から集水管を帯水地層中に推進する埋設管推進工法において、
掘削した土砂をスクリューに導く排出口の開閉を前記スクリューの正・逆転により切り換え可能なカッターヘッドを用い、前記カッターヘッドを取り付けた前記スクリューと、該スクリューを収容するケーシングをアタッチメントとして推進機を立坑内に設置する工程と、
前記推進機によりスクリュを正転させ、前記土砂排出口を開いたままケーシングを推進方向に押し出しながらケーシング1本分を掘進する工程と、1本のケーシングを推進した後、前記スクリュの逆転により前記土砂排出口を閉鎖してから新たなケーシングを継ぎ足す工程と、の繰り返しからなるケーシング推進工程と、
目標位置までケーシングを推進した後、土砂排出口を閉鎖してから、スクリューを推進機によって引き抜き、土砂排出口を閉鎖した状態の前記カッターヘッドを残留させたまま該スクリューを回収する工程と、
埋設すべき集水管を前記推進機によって押し出し当該集水管を継ぎ足しながら前記ケーシングの内側に押し込む工程と、
前記ケーシングを前記推進機によって引き抜き、該ケーシングを回収する工程と、
からなることを特徴とする埋設管の推進工法。
【請求項7】
前記カッターヘッドには、土砂排出口が形成された面板と、前記スクリュー先端と着脱自在な連結部と前記面板の土砂排出口に重畳可能な開口部とを有し、前記面板に対する相対的な回転位置の位相を切り換え可能なように前記面板と同軸に重なり合う止水板と、前記面板の土砂排出口が前記止水板により閉じられる閉鎖位置と、前記面板の土砂排出口と前記止水板の開口部とが重なり該土砂排出口が開く位置との間で、前記面板と止水板との位相を前記スクリュの正転・逆転により切り換える排出口開閉切換手段と、を備えるオーガヘッドまたはディスクカッターヘッドを用いることを特徴とする請求項6に記載の埋設管の推進工法。
【請求項8】
前記埋設する集水管を前記ケーシング内側に押し込む工程では、前記集水管の先端に円板を取り付け、前記円板と推進機の間にロッドを架け渡し、前記ロッドを介し前記集水管に引張力を与えながら推進機で集水管を押し出することを特徴とする請求項6に記載の埋設管の推進工法。
【請求項9】
前記ケーシングを回収する工程では、推進機の中空式減速機を貫通する突っ張りロッドで前記集水管の後端をバックアップ支持しながら、前記ケーシングを推進機で引っ張ることを特徴とする請求項5に記載の埋設管の推進工法。
【請求項10】
前記埋設する集水管は、河床等の帯水地層中に埋設され、金網等の強度の弱い管体からなる集水管であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかの項に記載の埋設管の推進工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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