埋設管離脱防止装置
【課題】埋設管路の接合部の耐震化を図る埋設管離脱防止装置の提供。
【解決手段】本発明の埋設管離脱防止装置は、本装置装着される管の外周面に喰い込む爪と当該爪を外周面に喰い込ませるように加圧する加圧ボルトとを備えた抜止爪手段が複数個設けられ、既存押輪が装着された前記装着される管の外周面を巡るように装着される、少なくとも2以上の輪片の組み合わせで輪状に組み立てられる分割構成輪体と、一端側が前記分割構成輪体に着脱自在に装着固定され、他端側が前記管の管端部を飲み込んだ他の管の受口フランジに、当該他の管が前記管から抜けようとすると係止可能に延在する架橋部材を、前記分割構成輪体と前記他の管の受口フランジとに架け渡すように複数個配設して構成されたことを特徴とする。
【解決手段】本発明の埋設管離脱防止装置は、本装置装着される管の外周面に喰い込む爪と当該爪を外周面に喰い込ませるように加圧する加圧ボルトとを備えた抜止爪手段が複数個設けられ、既存押輪が装着された前記装着される管の外周面を巡るように装着される、少なくとも2以上の輪片の組み合わせで輪状に組み立てられる分割構成輪体と、一端側が前記分割構成輪体に着脱自在に装着固定され、他端側が前記管の管端部を飲み込んだ他の管の受口フランジに、当該他の管が前記管から抜けようとすると係止可能に延在する架橋部材を、前記分割構成輪体と前記他の管の受口フランジとに架け渡すように複数個配設して構成されたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下に埋設されている既設埋設管路、例えば、ダクタイル製鋳鉄管を用いて構成された既設水道管路の管路を構成する管相互の継ぎ手部分である接合部(以下、既存接合部ともいう)における管の抜け、即ち相互の管の離脱を防止する埋設管離脱防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、従来の既設水道管路は、管の管端部側に他の管の管端部を飲み込む飲み込み口と受口フランジとを有する管を用いて管路が構成されており、その管路を構成する管相互の接合部は押輪を用いて接合されている。
図10乃至図12に示すように、押輪11、12、13は、何れも、接合されている他方の管21の飲み込み口22に挿し込まれる一方の管31の管端部32の外周面に装着された断面楔状のゴム輪41を前記飲み込み口22の奥方向(図において右方向)に押し込めるよう加圧する輪であって、前記管31の管端部32の外周面を巡るように予め受口フランジの無い管端部側から嵌入装着されており、前記ゴム輪41を後押しする状態にて、前記管21の受口フランジ23に締結ボルト51を以って締結される接合手段の主な構成要素である。
【0003】
押輪には、大きく分けて二種あり、その一は、図10に示す普通押輪11と称されるもので、この押輪11は、管21の飲み込み口22に挿し込まれる管31の管端部32の外周に装着された断面楔状のゴム輪41を前記飲み込み口22の奥方向(図において右方向)に押し込めるよう加圧する構成の押輪であって、後述するように、押輪本体に抜け止め用の爪を備えていない。
【0004】
その二は、上記普通押輪11の構成において、更に、押輪自体の抜けを防止するために当該押輪が装着されている管31の外周面側に喰い込む抜け止め用の爪61(61A、61B)を備えた構成の、図11及び図12に示す抜け止め押輪12、13である。
【0005】
抜け止め押輪12、13には、図9に示すような爪61(61A、61B)を喰い込ませる加圧ボルト62(62A、62B)が、図11に示すように、管軸に対して並行する方向に押輪本体にねじ込まれる管軸方向加圧ボルト62Aを備えた抜け止め押輪12と、図12に示すように、管軸に対して直交する方向からねじ込まれる管軸直交方向加圧ボルト62Bを備えた抜け止め押輪13とがある。
【0006】
尚、抜け止め用の爪61(61A、61B)を備えていない普通押輪11は、断面楔状のゴム輪41が管相互間に介在し、ゴム輪の楔作用にて、相互の管(21、31)が抜けないように接合されているだけであるから、当該接合部における離脱防止の作用効果は、当然のことながら爪61(61A、61B)を備えた抜け止め押輪12、13に比べると相対的に弱い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
昨今、東日本大震災を機に、重要なライフラインの一つである水道管路の耐震化を急ぐべく、関係省庁や各事業体から強く要望されている。
既設の埋設された水道管路の耐震化として先ず初めに考えられる方法は、耐震性のある新たな離脱防止手段を備えた管を用いた管路の新設或いは敷設替えであるが、これらの方法では何れも、管路の全長にわたっての地面の掘削工事や新たな管等の資材の調達が必要となって、工事期間の長期化や工事費用の膨大化が避けられない、という大きな課題がある。
【0008】
本発明は、かかる課題の解決を目的とするもので、抜け止め防止用の爪61を備えていない普通押輪11で接合された既設管路はもとより、抜け止め押輪12、13で接合された管路であっても、未だ耐用年数(一般的にはダクタイル製鋳鉄管で45年)に達していない既設管路に対して容易に耐震化することができ、且つ、工事期間の短期化や工事費用の低減化を実現できる耐震化補強手段としての埋設管離脱防止装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の埋設管離脱防止装置の発明は、
装着される管の外周面に喰い込む爪と当該爪を外周面に喰い込ませるように加圧する加圧ボルトとを備えた抜止爪手段が複数個設けられ、既存押輪が装着された前記装着される管の外周面を巡るように装着される、少なくとも2以上の輪片の組み合わせで輪状に組み立てられる分割構成輪体と、一端側が前記分割構成輪体に着脱自在に装着固定され、他端側が前記管の管端部を飲み込んだ他の管の受口フランジに、当該他の管が前記管から抜けようとすると係止可能に延在する架橋部材を、前記分割構成輪体と前記他の管の受口フランジとに架け渡すように複数個配設して構成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の埋設管離脱防止装置において、各架橋部材は、少なくとも当該架橋部材の一端側が前記分割構成輪体への装着固定時において、一つの既存接合手段及び前記他の管の受口フランジに触れないよう跨越して管軸方向に延在するよう配設されたことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2の埋設管離脱防止装置において、架橋部材が既存接合手段及び他の管の受口フランジに触れない間隙は少なくとも3mmであることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3の何れかの埋設管離脱防止装置において、架橋部材は、略帯状に延在する部材であって、延在方向の両端側が同一方向に屈曲されて、中央の延在部の両端側に各々係止部が構成されるよう縦断面において略コ字形状であることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項4の埋設管離脱防止装置において、架橋部材はコ字形形状内に分割構成輪体と受口フランジとが略収まる構成とされたことを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項4の埋設管離脱防止装置において、架橋部材の装着固定端側は略L字状に屈曲されて分割構成輪体の側面側に接して管軸方向へ直交するように延在する接触係止部としたことを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6の埋設管離脱防止装置において、爪を加圧する加圧ボルトが、接触係止部を管軸方向に貫通して分割構成輪体にねじ込まれ、前記爪を喰い込ませると共に架橋部材を前記接触係止部を介して分割構成輪体に装着固定させたことを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項4又は請求項6の埋設管離脱防止装置において、架橋部材の装着固定端側とは反対側の延在部の延在端側は、略L字状に屈曲されて受口フランジの裏側面側に接しないように沿って管軸方向へ直交するように延在する非接触係止部としたことを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8の何れかの埋設管離脱防止装置において、
抜止爪手段は、分割構成輪体の径長に応じて、当該分割構成輪体の環方向に均等間隔にて複数個配設されたことを特徴とする。
【0018】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項9の何れかの埋設管離脱防止装置において、
架橋部材は、分割構成輪体の径長に応じて、当該分割構成輪体の環方向に均等間隔にて複数個配設されたことを特徴とする。
【0019】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項10の何れかの埋設管離脱防止装置において、
架橋部材の装着固定端側は、分割構成輪体の各輪片に管軸と直交方向に設けられた嵌合係止部に対して管軸と直交方向に抜き差し自在に嵌合するように形成されたことを特徴とする。
【0020】
請求項12の発明は、請求項11の埋設管離脱防止装置において、嵌合係止部は蟻溝形状であり、架橋部材の装着固定端側は前記蟻溝形状に相応して抜き差し自在に密嵌合する断面台形状の差込部を有することを特徴とする。
【0021】
請求項13の発明は、請求項12の埋設管離脱防止装置において、爪を加圧する加圧ボルトが、蟻溝形状の嵌合係止部と当該嵌合係止部に差し込まれた差込部とを管軸方向に貫通して分割構成輪体にねじ込まれ、前記爪を喰い込ませると共に当該架橋部材を分割構成輪体に装着固定させることを特徴とする。
【0022】
請求項14の発明は、請求項1乃至請求項13の何れかの埋設管離脱防止装置において、架橋部材の延在端側は、既存接合手段において予め設定されている一方の管の管軸に対する他方の管の管軸の少なくとも最大傾動範囲内において係止可能に延在形成されたことを特徴とする。
【0023】
請求項15の発明は、請求項1乃至請求項13の何れかの埋設管離脱防止装置において、架橋部材の延在端側は、既存接合手段において予め設定されている一方の管の管軸に対する他方の管の管軸の最大傾動範囲を超えて係止可能に延在形成されたことを特徴とする。
【0024】
請求項16の発明は、請求項1乃至請求項15の何れかの埋設管離脱防止装置において、架橋部材は全長にわたって略帯状体であることを特徴とする。
【0025】
請求項17の発明は、請求項1乃至請求項16の何れかの埋設管離脱防止装置において、架橋部材には既存接合手段の何れかの構成要素との接触を避ける凹部又は孔を設けたことを特徴とする。
【0026】
請求項18の発明は、請求項1乃至請求項17の何れかの埋設管離脱防止装置において、架橋部材には既存接合手段の構成要素であって管軸と直交方向に位置する加圧ボルト頭との接触を避ける孔が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1乃至請求項18の各発明によれば、何れも、既設埋設管路の接合部の近傍の地面だけを掘削して当該接合部を耐震化工事可能に露出させるだけで耐震化作業をおこなうことができ、しかも、当該接合部における既存の接合手段に手には何らの手も加えず、既存の接合状態そのままの上に、本装置を装着するだけで済むので、管路の全長にわたっての地面の掘削工事や新たな管等の資材の調達が無用となり、耐震化工事期間の大幅な短縮化と工事費用の大幅な削減とを実現させることができる。
【0028】
又、本装置は、分割によって軽量化された輪片を輪状に組み合わせ合体させた状態にて、一方の埋設管に装着固定される分割構成輪体と、他方の埋設管の受口フランジに架け渡されるようにして前記分割構成輪体に装着固定される複数の架橋部材との組み合わせ(合体)で構成(合体構成)されているので、本装置の各ダクタイル製の構成部材の製造工程における鋳型制作や鋳造工程における型の抜き取り作業等の容易化、制作コストの低減化、各構成部材の軽量化を図ることができると共に、本装置の各構成部材の組み付け、組み立て、装着固定等の現場作業や運搬、保管等の取扱作業等の作業労力を軽減化させることができ、耐震化作業を容易且つ簡便に行うことができる。
【0029】
請求項2及び請求項3の各発明によれば、何れも、本装置は、既設埋設管路の接合部(既存接合部)に触れずに、微小の空き寸法の間隔(以下、単に間隙ともいう)を保った状態で装着されるので、施工後に地震や地下変動或いは不同沈下等による外力を受けた際に、当該外力を受けた管路部分の接合部において、当該外力による管相互の管軸にズレ(傾き)が生じてから初めて、本装置の架橋部材(の延在端部の非接触係止部)が当該接合部の受口フランジに接することになる。
従って、本装置(の架橋部材)は、当該接合部に生じる瞬間的応力を、直接、瞬時には受けず、一旦間をおいてから、当該応力を二次的に受けることになり、或る程度緩和された二次的な外力に対応することとなるので、大きな外力にも十分対応することができ、離脱防止という高い耐震性能を発揮することができる。
【0030】
請求項4及び請求項8の各発明によれば、何れも、本装置の架橋部材が略コ字形の形状にて、爪が一方の管の管周面に喰い込まされた分割構成輪体から他方の管の受口フランジに架け渡し状態に架設されるので、一方の管に爪が喰い込まされている限り、他方の受口フランジ側の管の抜け(離脱)を確実に防ぐことができ、高い耐震性能を発揮させることができる。
【0031】
請求項9及び請求項10の各発明によれば、何れも、本装置は、その複数の架橋部材が管の外周面を巡る環方向に均等間隔に配設されているので、管路部分の接合部において、外力による管相互の管軸のズレ(傾き)が何れの方向に生じても、離脱防止という高い耐震性能を発揮させることができる。
【0032】
請求項11及び請求項12の各発明によれば、何れも、本装置は、その架橋部材の一端側である装着固定端側が、管軸と直交する方向で分割構成輪体と嵌合された状態に装着固定されるので、管軸をねじる方向の外力や、当該装着固定端側を管軸方向に傾ける方向に外力に対して、高い耐久性を維持させることができ、離脱防止という高い耐震性能を発揮させることができる。
【0033】
請求項7及び請求項13の各発明によれば、何れも、本装置は、爪を加圧する加圧ボルトを以って、架橋部材の一端(装着固定端側)を分割構成輪体に装着固定させるよう兼用させているので、別途に装着固定用のボルトを必要とせず、本装置の構成部品点数を省けると共に、余計な組み立て作業を省いて作業量を低減化させることができる。
【0034】
請求項14及び請求項15の各発明によれば、何れも、本装置は、その受口フランジと係合可能な方向に延在する架橋部材の延在端側の(非接触係合部)延在する長さを予め任意の長さに形成するだけで、既設埋設管の接合部における相互の管に、当該埋設管路の接合部に予め許容されている管軸のズレ(傾き)の範囲即ち傾動範囲に相応する離脱防止作用を発揮できる耐震性能を与えることができる。
又、予め許容されている最大傾動範囲を超えても離脱防止作用を発揮できる一段と高い耐震性能をも容易に与えることができる。
【0035】
請求項16の発明によれば、本装置の架橋部材を帯状にすることによって、管軸をねじる方向の外力に対して高い耐久性を維持させることができる。
【0036】
請求項17及び請求項18の各発明によれば、何れも、本装置は、その架橋部材に予め既存接合手段との接触、例えば管軸直交方向加圧ボルトとの接触等を避けるための凹部や孔を設けておくことで、装置の組み立て後に、既存接合手段との間に所望の間隙が自ずと設けられるので、現場における組み立て作業において、接触しないで済むような工夫や注意を払う必要が無く、本装置の組み付け作業に専念して効率よく耐震化作業を行うことができると共に、前記の請求項2及び請求項3の各発明と同様の作用効果を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例1の埋設管離脱防止装置の要部断面図である。
【図2】図1に示す実施例1の埋設管離脱防止装置の要部平面図である。
【図3】実施例1の埋設管離脱防止装置の装着状態を示す分解斜視図である。
【図4】実施例1の埋設管離脱防止装置の装着状態を示す斜視図である。
【図5】実施例2の埋設管離脱防止装置の要部断面図である。
【図6】図5に示す実施例2の埋設管離脱防止装置の要部平面図である。
【図7】実施例2の埋設管離脱防止装置の装着状態を示す分解斜視図である。
【図8】実施例2の埋設管離脱防止装置の装着状態を示す斜視図である。
【図9】実施例1及び2の爪の形状の例を示す斜視図である。
【図10】普通押輪の装着状態を示す断面図である。
【図11】管軸直交方向加圧ボルトを備えた抜け止め押輪の装着状態を示す断面図である。
【図12】管軸方向加圧ボルトを備えた抜け止め押輪の装着状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、爪や61や加圧ボルト62を備えていない普通押輪11における実施例1を図1乃至図4及び図9に基づいて、又、管軸に対して直交する方向にねじ込まれる管軸直交方向加圧ボルト62Bを備えた抜け止め押輪13における実施例2を図5乃至図8及び図9に基づいて説明する。
尚、図1乃至図9において、従来例として示した図10乃至図12中の符号と同一符号は従来例で説明した部材と同様である。
【実施例1】
【0039】
図1乃至図4において、符号11は普通押輪であり、この普通押輪11は、爪や61や加圧ボルト62を備えていない押輪である。
この普通押輪11は、前述したように、管21の飲み込み口22に挿し込まれる管31の管端部32の外周に装着された断面楔状のゴム輪41を前記飲み込み口22の奥方向(図において右方向)に押し込めるよう加圧している。
【0040】
この普通押輪11で接合されている各接合部(既存接合部)における相互の管21と管31とにおいて、本発明の埋設管離脱防止装置70(以下、本装置ともいう)は、ダクタイル鋳鉄製の分割構成輪体74と架橋部材80とで以下のように構成されている。
先ず分割構成輪体74は、図1及び図2に示すように、本装置70の当該分割構成輪体74が装着される一方の管31の外周面に喰い込む爪71と当該爪71を前記管31の外周面に喰い込ませるように加圧する加圧ボルトとしての管軸方向加圧ボルト72とを備えた抜止爪手段73が、既存の普通押輪11が装着されている前記管31の外周面を巡るように複数個設けられており、これらの抜止爪手段73は、図3に一部が示めされているように、当該管31の外周面を巡る環方向に均等間隔をおいて配設されている。
【0041】
図3及び図4において、図示の分割構成輪体74は、埋設されている既設管路(図示せず)を構成する互いに接合されている管(21、31)の接合部近くに受口フランジ23がない一方の管、図示では管31の管端部の外周面を巡るように装着固定させるために、装着状態において一つの輪が環状に形成されるように、少なくとも輪片74Aと輪片74Bとに2分割されている。
【0042】
当該輪体74を構成する輪片の数即ち輪体74の分割数は、装着される管31の管径の大きさに応じて適宜設定すればよい。例えば、3分割(図示せず)或いは4分割(図示せず)以上としてもよく、何れの場合も、要するに、複数個の輪片の組み合わせで一つの環状の輪即ち分割構成輪体が組み立てられればよい。
図3に示すように、各輪片74A、74Bの両端部75、76、77、78は薄く形成されており、管軸方向に相応する端部75と端部76、端部77と端部78が重ね合わされた状態で貫通するように輪片結合ボルト79、79がねじ込まれて輪体74(74A、74B)が形成されている。
【0043】
図1乃至図2において、架橋部材80は、一端側即ち装着固定端側(後述の接触係止部)が前記分割構成輪体74に着脱自在に装着固定され、他端側即ち延長端側(後述の非接触係止部)が前記管31の管端部32を飲み込んだ他の管21の受口フランジ23に架け渡されるように架設される部材であって、相対的に一方の管が他方の管から抜けようとすると、例えば図示において、当該他の管21が前記管31から抜けようとすると、管21の受口フランジ23に当該架橋部材80の他端側即ち延長端側(の非接触係止部)が係止可能となるようにアーム状に延在させた部材である。
図3乃至図4において、この架橋部材80は、管31に装着固定された前記分割構成輪体74と前記他の管21の受口フランジ23とに架け渡されるように配設されており、複数個の架橋部材80、80・・・が、管路を構成する管31の外周面を環状に巡るよう環方向に均等間隔で配設される。
【0044】
図1において、各架橋部材80、80・・・は、少なくとも当該架橋部材80の一端側(後述の接触係止部)が前記分割構成輪体74に装着固定された時点(以下、装着固定時ともいう)において、一つの既存接合手段としての押輪(図示では普通押輪11)及び前記他の管21の受口フランジ23には触れないよう、当該既存接合手段や受口フランジ23(以下、既存接合手段等ともいう)を跨越して管軸方向に延在するよう配設されている。
架橋部材80が既存接合手段及び他の管21の受口フランジ23に触れない間隙は、管径の大きさや既存接合部に予め許容されている管相互の管軸の許容傾き範囲(管軸の許容ズレ量)に応じて適宜設定すればよいが、図示の例では一般的に適当な間隙として約3mmの間隔を空けてある。
【0045】
図示の架橋部材80は、断面において十分な厚みを持つ略帯状に延在するダクタイル製鋳鉄部材であって、当該部材80の延在方向の両端側(81,82)が同一方向に略直角に折り曲げられて屈曲形成され、全体形状としては、当該部材80の中央に略直線状に延びる延在部83の両端側において略L字状に屈曲形成された係止部81と係止部82とが設けられ、縦断面において略コ字形状とされている。
そしてこの架橋部材80は、そのコ字形形状内に、管31に装着固定された分割構成輪体74と管21の受口フランジ23とが略収まるよう構成されている。
【0046】
架橋部材80の装着固定端側即ち係止部81側は、前述のように直線的な中央の延在部83(以下、中央延在部ともいう)の端から略L字状に屈曲されて形成されており、装着された分割構成輪体74の前記受口フランジ23とは反対側の側面側に接して、管軸方向へ直交するように延在する接触係止部81としている。
他方、架橋部材80の前記装着固定端側とは反対側の延在部82の延在端側即ち係止部82は、前記と同様に略L字状に屈曲されて、受口フランジ23の前記分割構成輪体74とは反対側のフランジ裏面のフランジ側面に接しないように沿って、管軸方向へ直交するように延在する非接触係止部82としている。
【0047】
架橋部材80の装着固定端側である接触係止部81は、分割構成輪体74の側面、具体的には各輪片74A,74Bの側面に管軸と直交方向に設けられた嵌合係止部84に対して管軸と直交方向に抜き差し自在に嵌合するように形成してある。
図3に示すように、この実施例1では、嵌合係止部84は蟻溝形状に形成されており、接触係止部81即ち架橋部材80の装着固定端側は、この蟻溝形状に相応して抜き差し自在に密嵌合するように断面が台形状の差込部81Aを備えている。
【0048】
図1において、分割構成輪体74の嵌合係止部84に抜き差し自在に嵌合された接触係止部81は、当該接触係止部81を管軸方向に貫通して分割構成輪体74にねじ込まれる加圧ボルトである管軸方向加圧ボルト72によって分割構成輪体74に装着固定されると共に、ねじ込みにより爪71を加圧する加圧ボルト72が爪71を管31の外周表面に喰い込ませる。
即ち、爪71を加圧する加圧ボルト72が、蟻溝形状の嵌合係止部84と当該嵌合係止部84に差し込まれた接触係止部81(差込部81A)とを管軸方向に貫通して分割構成輪体74にねじ込ませることで、前記爪71を管31に喰い込ませると共に当該架橋部材80を分割構成輪体74に装着固定させているのである
【0049】
この加圧ボルトとしての管軸方向加圧ボルト72は、従来の加圧ボルトが爪の喰い込み専用のボルトとしてのみ機能させているのとは異なり、架橋部材80(の装着固定端側である接触係止部81)を分割構成輪体74に装着固定する機能をも兼用している。
尚、分割構成輪体74(の各輪片74A、74B)に内蔵されて作用する爪71及びその内蔵構造等は従来の抜け止め押輪における構造と略同様である。
【0050】
この実施例1の架橋部材80の延在端側即ち非接触係止部82は、既設埋設管路の接合部における既存接合手段において予め設定(許容)されている一方の管の管軸に対する他方の管の管軸の少なくとも最大傾動の範囲内において係止可能となるように延在形成してあるが、勿論、最大傾動の範囲を超えても係止可能に延在形成してもよい。
【0051】
何れにしても、実施例1の本装置では、受口フランジ23と係合可能な方向に延在する架橋部材80の延在端側の非接触係合部82の延在する長さを、予め任意の長さに形成しておくだけで、既設埋設管の既存接合部における相互の管に、設計上予め許容されている管軸のズレ(傾き)の範囲即ち傾動範囲に相応する離脱防止作用を発揮させるに十分な耐震性能を与えることができる。
又、非接触係合部82の延在する長さを十分に長くすることで、予め許容されている最大傾動範囲を超えても離脱防止作用を発揮できる一段と高い耐震性能をも容易に与えることもできる。
【実施例2】
【0052】
実施例1は本装置を普通押輪11に適用した例を示したが、従来例の図11に示した管軸方向加圧ボルト62を備えた抜け止め押輪12に対しても、普通押輪11と同様に適用することができる。
それは、普通押輪11を示した図10と押輪12を示す図11との構造の比較で明らかな通り、押輪11の抜止手段が図10の普通押輪11の内周面側に内蔵された構造であって、加圧ボルトが管軸と平行に管軸方向にねじ込まれるように設定されており、当該押輪12の外形サイズが押輪11と同様であるからである。
【0053】
しかしながら、図12で示す押輪13では、その管軸直交方向加圧ボルトのボルト頭が、実施例1で架設される架橋部材80(の中央の延在部83)と接触する位置にあって、実施例1の架橋部材80の構造のままでは、実施例1に示す本装置をそのまま適用することができない。
【0054】
よって、その解決策を示したのがこの実施例2である。
実施例2は、本装置の架橋部材80に、既存接合手段の何れかの構成要素との接触を避けるための凹部や孔を設け例である。
即ち、実施例2を示す図5乃至図8において、架橋部材80には、既存接合手段の構成要素であって管軸と直交方向に位置する管軸直交加圧ボルト62Bのボルト頭との接触を避けるための孔86を当該架橋部材80の中央の延在部83に、当該延在部83を貫通するように設けてある。
この孔86の内周面側とボルト頭(62B)の外周面との間隙も、上記実施例1において接触を避けるための間隙と同様の趣旨で、約3mmの間隔が空くように形成されている。
【0055】
実施例2においては、架橋部材80の延在部83に貫通する孔86を設けているが、必ずしも貫通孔とする必要はなく、所望の間隙が形成されるのであれば凹部(図示せず)としてもよい。
又、貫通孔や凹部は必ずしも延在部83に設ける必要はなく、架橋部材80の必要な部位に設ければよい。
何れにしても、既存の接合部等に接触させないで架橋部材80を架け渡すために当該架設部材80の所要箇所に前記のような貫通孔86や図示されてない凹部を設けることによって、既存の接合部等と接触させずこれ等を跨越すようにして受口フランジ23に架橋部材80を架設することができる。
【0056】
これにより、管軸直交加圧ボルト62Bを備えた抜け止め押輪13(図12)の接合手段に対しても本装置を適用することができる。
尚、実施例2において説明した孔86や凹部を架橋部材80に設ける外の部材や構造及び作用効果は実施例1と同様であるので、実施例2を示す図5乃至図8において同一符号を付してその説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、水道管路に限らず、広く、押輪を用いて構成された埋設管路だけでなく、新設される管路についても耐震化手段として、産業上利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
11 押輪(普通押輪)
12 押輪(管軸方向加圧ボルトを備えた抜け止め押輪)
13 押輪(管軸直交方向加圧ボルトを備えた抜け止め押輪)
21 管(受口フランジが図示された管)
22 飲み込み口(管21)
23 受口フランジ(管21)
31 管(分割構成輪体が装着される管)
32 管端部(管31)
41 ゴム輪
51 締結ボルト
61 爪
62 加圧ボルト(押輪11)
62A 管軸方向加圧ボルト(押輪12)
62B 管軸直交方向加圧ボルト(押輪13)
70 埋設管離脱防止装置(本装置)
71 爪
72 管軸方向加圧ボルト
73 抜止爪手段
74 分割構成輪体
74A,74B 輪片(分割構成輪体)
80 架橋部材
81 接触係止部(架橋部材の装着固定端側)
81A 差込部(接触係止部)
82 非接触係止部(架橋部材の延在端側)
83 延在部(架橋部材)
84 嵌合係止部(分割構成輪体)
86 孔(貫通孔)
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下に埋設されている既設埋設管路、例えば、ダクタイル製鋳鉄管を用いて構成された既設水道管路の管路を構成する管相互の継ぎ手部分である接合部(以下、既存接合部ともいう)における管の抜け、即ち相互の管の離脱を防止する埋設管離脱防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、従来の既設水道管路は、管の管端部側に他の管の管端部を飲み込む飲み込み口と受口フランジとを有する管を用いて管路が構成されており、その管路を構成する管相互の接合部は押輪を用いて接合されている。
図10乃至図12に示すように、押輪11、12、13は、何れも、接合されている他方の管21の飲み込み口22に挿し込まれる一方の管31の管端部32の外周面に装着された断面楔状のゴム輪41を前記飲み込み口22の奥方向(図において右方向)に押し込めるよう加圧する輪であって、前記管31の管端部32の外周面を巡るように予め受口フランジの無い管端部側から嵌入装着されており、前記ゴム輪41を後押しする状態にて、前記管21の受口フランジ23に締結ボルト51を以って締結される接合手段の主な構成要素である。
【0003】
押輪には、大きく分けて二種あり、その一は、図10に示す普通押輪11と称されるもので、この押輪11は、管21の飲み込み口22に挿し込まれる管31の管端部32の外周に装着された断面楔状のゴム輪41を前記飲み込み口22の奥方向(図において右方向)に押し込めるよう加圧する構成の押輪であって、後述するように、押輪本体に抜け止め用の爪を備えていない。
【0004】
その二は、上記普通押輪11の構成において、更に、押輪自体の抜けを防止するために当該押輪が装着されている管31の外周面側に喰い込む抜け止め用の爪61(61A、61B)を備えた構成の、図11及び図12に示す抜け止め押輪12、13である。
【0005】
抜け止め押輪12、13には、図9に示すような爪61(61A、61B)を喰い込ませる加圧ボルト62(62A、62B)が、図11に示すように、管軸に対して並行する方向に押輪本体にねじ込まれる管軸方向加圧ボルト62Aを備えた抜け止め押輪12と、図12に示すように、管軸に対して直交する方向からねじ込まれる管軸直交方向加圧ボルト62Bを備えた抜け止め押輪13とがある。
【0006】
尚、抜け止め用の爪61(61A、61B)を備えていない普通押輪11は、断面楔状のゴム輪41が管相互間に介在し、ゴム輪の楔作用にて、相互の管(21、31)が抜けないように接合されているだけであるから、当該接合部における離脱防止の作用効果は、当然のことながら爪61(61A、61B)を備えた抜け止め押輪12、13に比べると相対的に弱い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
昨今、東日本大震災を機に、重要なライフラインの一つである水道管路の耐震化を急ぐべく、関係省庁や各事業体から強く要望されている。
既設の埋設された水道管路の耐震化として先ず初めに考えられる方法は、耐震性のある新たな離脱防止手段を備えた管を用いた管路の新設或いは敷設替えであるが、これらの方法では何れも、管路の全長にわたっての地面の掘削工事や新たな管等の資材の調達が必要となって、工事期間の長期化や工事費用の膨大化が避けられない、という大きな課題がある。
【0008】
本発明は、かかる課題の解決を目的とするもので、抜け止め防止用の爪61を備えていない普通押輪11で接合された既設管路はもとより、抜け止め押輪12、13で接合された管路であっても、未だ耐用年数(一般的にはダクタイル製鋳鉄管で45年)に達していない既設管路に対して容易に耐震化することができ、且つ、工事期間の短期化や工事費用の低減化を実現できる耐震化補強手段としての埋設管離脱防止装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の埋設管離脱防止装置の発明は、
装着される管の外周面に喰い込む爪と当該爪を外周面に喰い込ませるように加圧する加圧ボルトとを備えた抜止爪手段が複数個設けられ、既存押輪が装着された前記装着される管の外周面を巡るように装着される、少なくとも2以上の輪片の組み合わせで輪状に組み立てられる分割構成輪体と、一端側が前記分割構成輪体に着脱自在に装着固定され、他端側が前記管の管端部を飲み込んだ他の管の受口フランジに、当該他の管が前記管から抜けようとすると係止可能に延在する架橋部材を、前記分割構成輪体と前記他の管の受口フランジとに架け渡すように複数個配設して構成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の埋設管離脱防止装置において、各架橋部材は、少なくとも当該架橋部材の一端側が前記分割構成輪体への装着固定時において、一つの既存接合手段及び前記他の管の受口フランジに触れないよう跨越して管軸方向に延在するよう配設されたことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2の埋設管離脱防止装置において、架橋部材が既存接合手段及び他の管の受口フランジに触れない間隙は少なくとも3mmであることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3の何れかの埋設管離脱防止装置において、架橋部材は、略帯状に延在する部材であって、延在方向の両端側が同一方向に屈曲されて、中央の延在部の両端側に各々係止部が構成されるよう縦断面において略コ字形状であることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項4の埋設管離脱防止装置において、架橋部材はコ字形形状内に分割構成輪体と受口フランジとが略収まる構成とされたことを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項4の埋設管離脱防止装置において、架橋部材の装着固定端側は略L字状に屈曲されて分割構成輪体の側面側に接して管軸方向へ直交するように延在する接触係止部としたことを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6の埋設管離脱防止装置において、爪を加圧する加圧ボルトが、接触係止部を管軸方向に貫通して分割構成輪体にねじ込まれ、前記爪を喰い込ませると共に架橋部材を前記接触係止部を介して分割構成輪体に装着固定させたことを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項4又は請求項6の埋設管離脱防止装置において、架橋部材の装着固定端側とは反対側の延在部の延在端側は、略L字状に屈曲されて受口フランジの裏側面側に接しないように沿って管軸方向へ直交するように延在する非接触係止部としたことを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8の何れかの埋設管離脱防止装置において、
抜止爪手段は、分割構成輪体の径長に応じて、当該分割構成輪体の環方向に均等間隔にて複数個配設されたことを特徴とする。
【0018】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項9の何れかの埋設管離脱防止装置において、
架橋部材は、分割構成輪体の径長に応じて、当該分割構成輪体の環方向に均等間隔にて複数個配設されたことを特徴とする。
【0019】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項10の何れかの埋設管離脱防止装置において、
架橋部材の装着固定端側は、分割構成輪体の各輪片に管軸と直交方向に設けられた嵌合係止部に対して管軸と直交方向に抜き差し自在に嵌合するように形成されたことを特徴とする。
【0020】
請求項12の発明は、請求項11の埋設管離脱防止装置において、嵌合係止部は蟻溝形状であり、架橋部材の装着固定端側は前記蟻溝形状に相応して抜き差し自在に密嵌合する断面台形状の差込部を有することを特徴とする。
【0021】
請求項13の発明は、請求項12の埋設管離脱防止装置において、爪を加圧する加圧ボルトが、蟻溝形状の嵌合係止部と当該嵌合係止部に差し込まれた差込部とを管軸方向に貫通して分割構成輪体にねじ込まれ、前記爪を喰い込ませると共に当該架橋部材を分割構成輪体に装着固定させることを特徴とする。
【0022】
請求項14の発明は、請求項1乃至請求項13の何れかの埋設管離脱防止装置において、架橋部材の延在端側は、既存接合手段において予め設定されている一方の管の管軸に対する他方の管の管軸の少なくとも最大傾動範囲内において係止可能に延在形成されたことを特徴とする。
【0023】
請求項15の発明は、請求項1乃至請求項13の何れかの埋設管離脱防止装置において、架橋部材の延在端側は、既存接合手段において予め設定されている一方の管の管軸に対する他方の管の管軸の最大傾動範囲を超えて係止可能に延在形成されたことを特徴とする。
【0024】
請求項16の発明は、請求項1乃至請求項15の何れかの埋設管離脱防止装置において、架橋部材は全長にわたって略帯状体であることを特徴とする。
【0025】
請求項17の発明は、請求項1乃至請求項16の何れかの埋設管離脱防止装置において、架橋部材には既存接合手段の何れかの構成要素との接触を避ける凹部又は孔を設けたことを特徴とする。
【0026】
請求項18の発明は、請求項1乃至請求項17の何れかの埋設管離脱防止装置において、架橋部材には既存接合手段の構成要素であって管軸と直交方向に位置する加圧ボルト頭との接触を避ける孔が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1乃至請求項18の各発明によれば、何れも、既設埋設管路の接合部の近傍の地面だけを掘削して当該接合部を耐震化工事可能に露出させるだけで耐震化作業をおこなうことができ、しかも、当該接合部における既存の接合手段に手には何らの手も加えず、既存の接合状態そのままの上に、本装置を装着するだけで済むので、管路の全長にわたっての地面の掘削工事や新たな管等の資材の調達が無用となり、耐震化工事期間の大幅な短縮化と工事費用の大幅な削減とを実現させることができる。
【0028】
又、本装置は、分割によって軽量化された輪片を輪状に組み合わせ合体させた状態にて、一方の埋設管に装着固定される分割構成輪体と、他方の埋設管の受口フランジに架け渡されるようにして前記分割構成輪体に装着固定される複数の架橋部材との組み合わせ(合体)で構成(合体構成)されているので、本装置の各ダクタイル製の構成部材の製造工程における鋳型制作や鋳造工程における型の抜き取り作業等の容易化、制作コストの低減化、各構成部材の軽量化を図ることができると共に、本装置の各構成部材の組み付け、組み立て、装着固定等の現場作業や運搬、保管等の取扱作業等の作業労力を軽減化させることができ、耐震化作業を容易且つ簡便に行うことができる。
【0029】
請求項2及び請求項3の各発明によれば、何れも、本装置は、既設埋設管路の接合部(既存接合部)に触れずに、微小の空き寸法の間隔(以下、単に間隙ともいう)を保った状態で装着されるので、施工後に地震や地下変動或いは不同沈下等による外力を受けた際に、当該外力を受けた管路部分の接合部において、当該外力による管相互の管軸にズレ(傾き)が生じてから初めて、本装置の架橋部材(の延在端部の非接触係止部)が当該接合部の受口フランジに接することになる。
従って、本装置(の架橋部材)は、当該接合部に生じる瞬間的応力を、直接、瞬時には受けず、一旦間をおいてから、当該応力を二次的に受けることになり、或る程度緩和された二次的な外力に対応することとなるので、大きな外力にも十分対応することができ、離脱防止という高い耐震性能を発揮することができる。
【0030】
請求項4及び請求項8の各発明によれば、何れも、本装置の架橋部材が略コ字形の形状にて、爪が一方の管の管周面に喰い込まされた分割構成輪体から他方の管の受口フランジに架け渡し状態に架設されるので、一方の管に爪が喰い込まされている限り、他方の受口フランジ側の管の抜け(離脱)を確実に防ぐことができ、高い耐震性能を発揮させることができる。
【0031】
請求項9及び請求項10の各発明によれば、何れも、本装置は、その複数の架橋部材が管の外周面を巡る環方向に均等間隔に配設されているので、管路部分の接合部において、外力による管相互の管軸のズレ(傾き)が何れの方向に生じても、離脱防止という高い耐震性能を発揮させることができる。
【0032】
請求項11及び請求項12の各発明によれば、何れも、本装置は、その架橋部材の一端側である装着固定端側が、管軸と直交する方向で分割構成輪体と嵌合された状態に装着固定されるので、管軸をねじる方向の外力や、当該装着固定端側を管軸方向に傾ける方向に外力に対して、高い耐久性を維持させることができ、離脱防止という高い耐震性能を発揮させることができる。
【0033】
請求項7及び請求項13の各発明によれば、何れも、本装置は、爪を加圧する加圧ボルトを以って、架橋部材の一端(装着固定端側)を分割構成輪体に装着固定させるよう兼用させているので、別途に装着固定用のボルトを必要とせず、本装置の構成部品点数を省けると共に、余計な組み立て作業を省いて作業量を低減化させることができる。
【0034】
請求項14及び請求項15の各発明によれば、何れも、本装置は、その受口フランジと係合可能な方向に延在する架橋部材の延在端側の(非接触係合部)延在する長さを予め任意の長さに形成するだけで、既設埋設管の接合部における相互の管に、当該埋設管路の接合部に予め許容されている管軸のズレ(傾き)の範囲即ち傾動範囲に相応する離脱防止作用を発揮できる耐震性能を与えることができる。
又、予め許容されている最大傾動範囲を超えても離脱防止作用を発揮できる一段と高い耐震性能をも容易に与えることができる。
【0035】
請求項16の発明によれば、本装置の架橋部材を帯状にすることによって、管軸をねじる方向の外力に対して高い耐久性を維持させることができる。
【0036】
請求項17及び請求項18の各発明によれば、何れも、本装置は、その架橋部材に予め既存接合手段との接触、例えば管軸直交方向加圧ボルトとの接触等を避けるための凹部や孔を設けておくことで、装置の組み立て後に、既存接合手段との間に所望の間隙が自ずと設けられるので、現場における組み立て作業において、接触しないで済むような工夫や注意を払う必要が無く、本装置の組み付け作業に専念して効率よく耐震化作業を行うことができると共に、前記の請求項2及び請求項3の各発明と同様の作用効果を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例1の埋設管離脱防止装置の要部断面図である。
【図2】図1に示す実施例1の埋設管離脱防止装置の要部平面図である。
【図3】実施例1の埋設管離脱防止装置の装着状態を示す分解斜視図である。
【図4】実施例1の埋設管離脱防止装置の装着状態を示す斜視図である。
【図5】実施例2の埋設管離脱防止装置の要部断面図である。
【図6】図5に示す実施例2の埋設管離脱防止装置の要部平面図である。
【図7】実施例2の埋設管離脱防止装置の装着状態を示す分解斜視図である。
【図8】実施例2の埋設管離脱防止装置の装着状態を示す斜視図である。
【図9】実施例1及び2の爪の形状の例を示す斜視図である。
【図10】普通押輪の装着状態を示す断面図である。
【図11】管軸直交方向加圧ボルトを備えた抜け止め押輪の装着状態を示す断面図である。
【図12】管軸方向加圧ボルトを備えた抜け止め押輪の装着状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、爪や61や加圧ボルト62を備えていない普通押輪11における実施例1を図1乃至図4及び図9に基づいて、又、管軸に対して直交する方向にねじ込まれる管軸直交方向加圧ボルト62Bを備えた抜け止め押輪13における実施例2を図5乃至図8及び図9に基づいて説明する。
尚、図1乃至図9において、従来例として示した図10乃至図12中の符号と同一符号は従来例で説明した部材と同様である。
【実施例1】
【0039】
図1乃至図4において、符号11は普通押輪であり、この普通押輪11は、爪や61や加圧ボルト62を備えていない押輪である。
この普通押輪11は、前述したように、管21の飲み込み口22に挿し込まれる管31の管端部32の外周に装着された断面楔状のゴム輪41を前記飲み込み口22の奥方向(図において右方向)に押し込めるよう加圧している。
【0040】
この普通押輪11で接合されている各接合部(既存接合部)における相互の管21と管31とにおいて、本発明の埋設管離脱防止装置70(以下、本装置ともいう)は、ダクタイル鋳鉄製の分割構成輪体74と架橋部材80とで以下のように構成されている。
先ず分割構成輪体74は、図1及び図2に示すように、本装置70の当該分割構成輪体74が装着される一方の管31の外周面に喰い込む爪71と当該爪71を前記管31の外周面に喰い込ませるように加圧する加圧ボルトとしての管軸方向加圧ボルト72とを備えた抜止爪手段73が、既存の普通押輪11が装着されている前記管31の外周面を巡るように複数個設けられており、これらの抜止爪手段73は、図3に一部が示めされているように、当該管31の外周面を巡る環方向に均等間隔をおいて配設されている。
【0041】
図3及び図4において、図示の分割構成輪体74は、埋設されている既設管路(図示せず)を構成する互いに接合されている管(21、31)の接合部近くに受口フランジ23がない一方の管、図示では管31の管端部の外周面を巡るように装着固定させるために、装着状態において一つの輪が環状に形成されるように、少なくとも輪片74Aと輪片74Bとに2分割されている。
【0042】
当該輪体74を構成する輪片の数即ち輪体74の分割数は、装着される管31の管径の大きさに応じて適宜設定すればよい。例えば、3分割(図示せず)或いは4分割(図示せず)以上としてもよく、何れの場合も、要するに、複数個の輪片の組み合わせで一つの環状の輪即ち分割構成輪体が組み立てられればよい。
図3に示すように、各輪片74A、74Bの両端部75、76、77、78は薄く形成されており、管軸方向に相応する端部75と端部76、端部77と端部78が重ね合わされた状態で貫通するように輪片結合ボルト79、79がねじ込まれて輪体74(74A、74B)が形成されている。
【0043】
図1乃至図2において、架橋部材80は、一端側即ち装着固定端側(後述の接触係止部)が前記分割構成輪体74に着脱自在に装着固定され、他端側即ち延長端側(後述の非接触係止部)が前記管31の管端部32を飲み込んだ他の管21の受口フランジ23に架け渡されるように架設される部材であって、相対的に一方の管が他方の管から抜けようとすると、例えば図示において、当該他の管21が前記管31から抜けようとすると、管21の受口フランジ23に当該架橋部材80の他端側即ち延長端側(の非接触係止部)が係止可能となるようにアーム状に延在させた部材である。
図3乃至図4において、この架橋部材80は、管31に装着固定された前記分割構成輪体74と前記他の管21の受口フランジ23とに架け渡されるように配設されており、複数個の架橋部材80、80・・・が、管路を構成する管31の外周面を環状に巡るよう環方向に均等間隔で配設される。
【0044】
図1において、各架橋部材80、80・・・は、少なくとも当該架橋部材80の一端側(後述の接触係止部)が前記分割構成輪体74に装着固定された時点(以下、装着固定時ともいう)において、一つの既存接合手段としての押輪(図示では普通押輪11)及び前記他の管21の受口フランジ23には触れないよう、当該既存接合手段や受口フランジ23(以下、既存接合手段等ともいう)を跨越して管軸方向に延在するよう配設されている。
架橋部材80が既存接合手段及び他の管21の受口フランジ23に触れない間隙は、管径の大きさや既存接合部に予め許容されている管相互の管軸の許容傾き範囲(管軸の許容ズレ量)に応じて適宜設定すればよいが、図示の例では一般的に適当な間隙として約3mmの間隔を空けてある。
【0045】
図示の架橋部材80は、断面において十分な厚みを持つ略帯状に延在するダクタイル製鋳鉄部材であって、当該部材80の延在方向の両端側(81,82)が同一方向に略直角に折り曲げられて屈曲形成され、全体形状としては、当該部材80の中央に略直線状に延びる延在部83の両端側において略L字状に屈曲形成された係止部81と係止部82とが設けられ、縦断面において略コ字形状とされている。
そしてこの架橋部材80は、そのコ字形形状内に、管31に装着固定された分割構成輪体74と管21の受口フランジ23とが略収まるよう構成されている。
【0046】
架橋部材80の装着固定端側即ち係止部81側は、前述のように直線的な中央の延在部83(以下、中央延在部ともいう)の端から略L字状に屈曲されて形成されており、装着された分割構成輪体74の前記受口フランジ23とは反対側の側面側に接して、管軸方向へ直交するように延在する接触係止部81としている。
他方、架橋部材80の前記装着固定端側とは反対側の延在部82の延在端側即ち係止部82は、前記と同様に略L字状に屈曲されて、受口フランジ23の前記分割構成輪体74とは反対側のフランジ裏面のフランジ側面に接しないように沿って、管軸方向へ直交するように延在する非接触係止部82としている。
【0047】
架橋部材80の装着固定端側である接触係止部81は、分割構成輪体74の側面、具体的には各輪片74A,74Bの側面に管軸と直交方向に設けられた嵌合係止部84に対して管軸と直交方向に抜き差し自在に嵌合するように形成してある。
図3に示すように、この実施例1では、嵌合係止部84は蟻溝形状に形成されており、接触係止部81即ち架橋部材80の装着固定端側は、この蟻溝形状に相応して抜き差し自在に密嵌合するように断面が台形状の差込部81Aを備えている。
【0048】
図1において、分割構成輪体74の嵌合係止部84に抜き差し自在に嵌合された接触係止部81は、当該接触係止部81を管軸方向に貫通して分割構成輪体74にねじ込まれる加圧ボルトである管軸方向加圧ボルト72によって分割構成輪体74に装着固定されると共に、ねじ込みにより爪71を加圧する加圧ボルト72が爪71を管31の外周表面に喰い込ませる。
即ち、爪71を加圧する加圧ボルト72が、蟻溝形状の嵌合係止部84と当該嵌合係止部84に差し込まれた接触係止部81(差込部81A)とを管軸方向に貫通して分割構成輪体74にねじ込ませることで、前記爪71を管31に喰い込ませると共に当該架橋部材80を分割構成輪体74に装着固定させているのである
【0049】
この加圧ボルトとしての管軸方向加圧ボルト72は、従来の加圧ボルトが爪の喰い込み専用のボルトとしてのみ機能させているのとは異なり、架橋部材80(の装着固定端側である接触係止部81)を分割構成輪体74に装着固定する機能をも兼用している。
尚、分割構成輪体74(の各輪片74A、74B)に内蔵されて作用する爪71及びその内蔵構造等は従来の抜け止め押輪における構造と略同様である。
【0050】
この実施例1の架橋部材80の延在端側即ち非接触係止部82は、既設埋設管路の接合部における既存接合手段において予め設定(許容)されている一方の管の管軸に対する他方の管の管軸の少なくとも最大傾動の範囲内において係止可能となるように延在形成してあるが、勿論、最大傾動の範囲を超えても係止可能に延在形成してもよい。
【0051】
何れにしても、実施例1の本装置では、受口フランジ23と係合可能な方向に延在する架橋部材80の延在端側の非接触係合部82の延在する長さを、予め任意の長さに形成しておくだけで、既設埋設管の既存接合部における相互の管に、設計上予め許容されている管軸のズレ(傾き)の範囲即ち傾動範囲に相応する離脱防止作用を発揮させるに十分な耐震性能を与えることができる。
又、非接触係合部82の延在する長さを十分に長くすることで、予め許容されている最大傾動範囲を超えても離脱防止作用を発揮できる一段と高い耐震性能をも容易に与えることもできる。
【実施例2】
【0052】
実施例1は本装置を普通押輪11に適用した例を示したが、従来例の図11に示した管軸方向加圧ボルト62を備えた抜け止め押輪12に対しても、普通押輪11と同様に適用することができる。
それは、普通押輪11を示した図10と押輪12を示す図11との構造の比較で明らかな通り、押輪11の抜止手段が図10の普通押輪11の内周面側に内蔵された構造であって、加圧ボルトが管軸と平行に管軸方向にねじ込まれるように設定されており、当該押輪12の外形サイズが押輪11と同様であるからである。
【0053】
しかしながら、図12で示す押輪13では、その管軸直交方向加圧ボルトのボルト頭が、実施例1で架設される架橋部材80(の中央の延在部83)と接触する位置にあって、実施例1の架橋部材80の構造のままでは、実施例1に示す本装置をそのまま適用することができない。
【0054】
よって、その解決策を示したのがこの実施例2である。
実施例2は、本装置の架橋部材80に、既存接合手段の何れかの構成要素との接触を避けるための凹部や孔を設け例である。
即ち、実施例2を示す図5乃至図8において、架橋部材80には、既存接合手段の構成要素であって管軸と直交方向に位置する管軸直交加圧ボルト62Bのボルト頭との接触を避けるための孔86を当該架橋部材80の中央の延在部83に、当該延在部83を貫通するように設けてある。
この孔86の内周面側とボルト頭(62B)の外周面との間隙も、上記実施例1において接触を避けるための間隙と同様の趣旨で、約3mmの間隔が空くように形成されている。
【0055】
実施例2においては、架橋部材80の延在部83に貫通する孔86を設けているが、必ずしも貫通孔とする必要はなく、所望の間隙が形成されるのであれば凹部(図示せず)としてもよい。
又、貫通孔や凹部は必ずしも延在部83に設ける必要はなく、架橋部材80の必要な部位に設ければよい。
何れにしても、既存の接合部等に接触させないで架橋部材80を架け渡すために当該架設部材80の所要箇所に前記のような貫通孔86や図示されてない凹部を設けることによって、既存の接合部等と接触させずこれ等を跨越すようにして受口フランジ23に架橋部材80を架設することができる。
【0056】
これにより、管軸直交加圧ボルト62Bを備えた抜け止め押輪13(図12)の接合手段に対しても本装置を適用することができる。
尚、実施例2において説明した孔86や凹部を架橋部材80に設ける外の部材や構造及び作用効果は実施例1と同様であるので、実施例2を示す図5乃至図8において同一符号を付してその説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、水道管路に限らず、広く、押輪を用いて構成された埋設管路だけでなく、新設される管路についても耐震化手段として、産業上利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
11 押輪(普通押輪)
12 押輪(管軸方向加圧ボルトを備えた抜け止め押輪)
13 押輪(管軸直交方向加圧ボルトを備えた抜け止め押輪)
21 管(受口フランジが図示された管)
22 飲み込み口(管21)
23 受口フランジ(管21)
31 管(分割構成輪体が装着される管)
32 管端部(管31)
41 ゴム輪
51 締結ボルト
61 爪
62 加圧ボルト(押輪11)
62A 管軸方向加圧ボルト(押輪12)
62B 管軸直交方向加圧ボルト(押輪13)
70 埋設管離脱防止装置(本装置)
71 爪
72 管軸方向加圧ボルト
73 抜止爪手段
74 分割構成輪体
74A,74B 輪片(分割構成輪体)
80 架橋部材
81 接触係止部(架橋部材の装着固定端側)
81A 差込部(接触係止部)
82 非接触係止部(架橋部材の延在端側)
83 延在部(架橋部材)
84 嵌合係止部(分割構成輪体)
86 孔(貫通孔)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着される管の外周面に喰い込む爪と当該爪を外周面に喰い込ませるように加圧する加圧ボルトとを備えた抜止爪手段が複数個設けられ、既存押輪が装着された前記装着される管の外周面を巡るように装着される、少なくとも2以上の輪片の組み合わせで輪状に組み立てられる分割構成輪体と、一端側が前記分割構成輪体に着脱自在に装着固定され、他端側が前記管の管端部を飲み込んだ他の管の受口フランジに、当該他の管が前記管から抜けようとすると係止可能に延在する架橋部材を、前記分割構成輪体と前記他の管の受口フランジとに架け渡すように複数個配設して構成されたことを特徴とする埋設管離脱防止装置。
【請求項2】
各架橋部材は、少なくとも当該架橋部材の一端側が前記分割構成輪体への装着固定時において、一つの既存接合手段及び前記他の管の受口フランジに触れないよう跨越して管軸方向に延在するよう配設されたことを特徴とする請求項1の埋設管離脱防止装置。
【請求項3】
架橋部材が既存接合手段及び他の管の受口フランジに触れない間隙は少なくとも3mmであることを特徴とする請求項2の埋設管離脱防止装置。
【請求項4】
架橋部材は、略帯状に延在する部材であって、延在方向の両端側が同一方向に屈曲されて、中央の延在部の両端側に各々係止部が構成されるよう縦断面において略コ字形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかの埋設管離脱防止装置。
【請求項5】
架橋部材はコ字形形状内に分割構成輪体と受口フランジとが略収まる構成とされたことを特徴とする請求項4の埋設管離脱防止装置。
【請求項6】
架橋部材の装着固定端側は略L字状に屈曲されて分割構成輪体の側面側に接して管軸方向へ直交するように延在する接触係止部としたことを特徴とする請求項4の埋設管離脱防止装置。
【請求項7】
爪を加圧する加圧ボルトが、接触係止部を管軸方向に貫通して分割構成輪体にねじ込まれ、前記爪を喰い込ませると共に架橋部材を前記接触係止部を介して分割構成輪体に装着固定させたことを特徴とする請求項6の埋設管離脱防止装置。
【請求項8】
架橋部材の装着固定端側とは反対側の延在部の延在端側は、略L字状に屈曲されて受口フランジの裏側面側に接しないように沿って管軸方向へ直交するように延在する非接触係止部としたことを特徴とする請求項4又は請求項6の埋設管離脱防止装置。
【請求項9】
抜止爪手段は、分割構成輪体の径長に応じて、当該分割構成輪体の環方向に均等間隔にて複数個配設されたことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかの埋設管離脱防止装置。
【請求項10】
架橋部材は、分割構成輪体の径長に応じて、当該分割構成輪体の環方向に均等間隔にて複数個配設されたことを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れかの埋設管離脱防止装置。
【請求項11】
架橋部材の装着固定端側は、分割構成輪体の各輪片に管軸と直交方向に設けられた嵌合係止部に対して管軸と直交方向に抜き差し自在に嵌合するように形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れかの埋設管離脱防止装置。
【請求項12】
嵌合係止部は蟻溝形状であり、架橋部材の装着固定端側は前記蟻溝形状に相応して抜き差し自在に密嵌合する断面台形状の差込部を有することを特徴とする請求項11の埋設管離脱防止装置。
【請求項13】
爪を加圧する加圧ボルトが、蟻溝形状の嵌合係止部と当該嵌合係止部に差し込まれた差込部とを管軸方向に貫通して分割構成輪体にねじ込まれ、前記爪を喰い込ませると共に当該架橋部材を分割構成輪体に装着固定させることを特徴とする請求項12の埋設管離脱防止装置。
【請求項14】
架橋部材の延在端側は、既存接合手段において予め設定されている一方の管の管軸に対する他方の管の管軸の少なくとも最大傾動範囲内において係止可能に延在形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項13の何れかの埋設管離脱防止装置。
【請求項15】
架橋部材の延在端側は、既存接合手段において予め設定されている一方の管の管軸に対する他方の管の管軸の最大傾動範囲を超えて係止可能に延在形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項13の何れかの埋設管離脱防止装置。
【請求項16】
架橋部材は全長にわたって略帯状体であることを特徴とする請求項1乃至請求項15の何れかの埋設管離脱防止装置。
【請求項17】
架橋部材には既存接合手段の何れかの構成要素との接触を避ける凹部又は孔を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項16の何れかの埋設管離脱防止装置。
【請求項18】
架橋部材には既存接合手段の構成要素であって管軸と直交方向に位置する加圧ボルト頭との接触を避ける孔が設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項17の何れかの埋設管離脱防止装置。
【請求項1】
装着される管の外周面に喰い込む爪と当該爪を外周面に喰い込ませるように加圧する加圧ボルトとを備えた抜止爪手段が複数個設けられ、既存押輪が装着された前記装着される管の外周面を巡るように装着される、少なくとも2以上の輪片の組み合わせで輪状に組み立てられる分割構成輪体と、一端側が前記分割構成輪体に着脱自在に装着固定され、他端側が前記管の管端部を飲み込んだ他の管の受口フランジに、当該他の管が前記管から抜けようとすると係止可能に延在する架橋部材を、前記分割構成輪体と前記他の管の受口フランジとに架け渡すように複数個配設して構成されたことを特徴とする埋設管離脱防止装置。
【請求項2】
各架橋部材は、少なくとも当該架橋部材の一端側が前記分割構成輪体への装着固定時において、一つの既存接合手段及び前記他の管の受口フランジに触れないよう跨越して管軸方向に延在するよう配設されたことを特徴とする請求項1の埋設管離脱防止装置。
【請求項3】
架橋部材が既存接合手段及び他の管の受口フランジに触れない間隙は少なくとも3mmであることを特徴とする請求項2の埋設管離脱防止装置。
【請求項4】
架橋部材は、略帯状に延在する部材であって、延在方向の両端側が同一方向に屈曲されて、中央の延在部の両端側に各々係止部が構成されるよう縦断面において略コ字形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかの埋設管離脱防止装置。
【請求項5】
架橋部材はコ字形形状内に分割構成輪体と受口フランジとが略収まる構成とされたことを特徴とする請求項4の埋設管離脱防止装置。
【請求項6】
架橋部材の装着固定端側は略L字状に屈曲されて分割構成輪体の側面側に接して管軸方向へ直交するように延在する接触係止部としたことを特徴とする請求項4の埋設管離脱防止装置。
【請求項7】
爪を加圧する加圧ボルトが、接触係止部を管軸方向に貫通して分割構成輪体にねじ込まれ、前記爪を喰い込ませると共に架橋部材を前記接触係止部を介して分割構成輪体に装着固定させたことを特徴とする請求項6の埋設管離脱防止装置。
【請求項8】
架橋部材の装着固定端側とは反対側の延在部の延在端側は、略L字状に屈曲されて受口フランジの裏側面側に接しないように沿って管軸方向へ直交するように延在する非接触係止部としたことを特徴とする請求項4又は請求項6の埋設管離脱防止装置。
【請求項9】
抜止爪手段は、分割構成輪体の径長に応じて、当該分割構成輪体の環方向に均等間隔にて複数個配設されたことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかの埋設管離脱防止装置。
【請求項10】
架橋部材は、分割構成輪体の径長に応じて、当該分割構成輪体の環方向に均等間隔にて複数個配設されたことを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れかの埋設管離脱防止装置。
【請求項11】
架橋部材の装着固定端側は、分割構成輪体の各輪片に管軸と直交方向に設けられた嵌合係止部に対して管軸と直交方向に抜き差し自在に嵌合するように形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れかの埋設管離脱防止装置。
【請求項12】
嵌合係止部は蟻溝形状であり、架橋部材の装着固定端側は前記蟻溝形状に相応して抜き差し自在に密嵌合する断面台形状の差込部を有することを特徴とする請求項11の埋設管離脱防止装置。
【請求項13】
爪を加圧する加圧ボルトが、蟻溝形状の嵌合係止部と当該嵌合係止部に差し込まれた差込部とを管軸方向に貫通して分割構成輪体にねじ込まれ、前記爪を喰い込ませると共に当該架橋部材を分割構成輪体に装着固定させることを特徴とする請求項12の埋設管離脱防止装置。
【請求項14】
架橋部材の延在端側は、既存接合手段において予め設定されている一方の管の管軸に対する他方の管の管軸の少なくとも最大傾動範囲内において係止可能に延在形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項13の何れかの埋設管離脱防止装置。
【請求項15】
架橋部材の延在端側は、既存接合手段において予め設定されている一方の管の管軸に対する他方の管の管軸の最大傾動範囲を超えて係止可能に延在形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項13の何れかの埋設管離脱防止装置。
【請求項16】
架橋部材は全長にわたって略帯状体であることを特徴とする請求項1乃至請求項15の何れかの埋設管離脱防止装置。
【請求項17】
架橋部材には既存接合手段の何れかの構成要素との接触を避ける凹部又は孔を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項16の何れかの埋設管離脱防止装置。
【請求項18】
架橋部材には既存接合手段の構成要素であって管軸と直交方向に位置する加圧ボルト頭との接触を避ける孔が設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項17の何れかの埋設管離脱防止装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−68311(P2013−68311A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209279(P2011−209279)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(501328854)川▲崎▼ファクトリー株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(501328854)川▲崎▼ファクトリー株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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