説明

培養バッグ、培地保存方法および細胞培養方法

【課題】
従来の培地を充填した培養バッグは、培養時における培地への通気が十分である反面、培養前の運搬、保存時における二酸化炭素などの拡散により、培地のpHが変化するため、細胞培地の長期保存が困難であった。
【解決手段】
本発明の培養バッグは、培地の長期保存を可能にする上、培地がバッグ内部に充填された状態で、そのまま十分に通気された条件下での培養を可能にするために、雑菌の混入などの恐れがなく安全な細胞の培養を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培地の長期保存が可能な上に、そのまま細胞培養に使用することができる培養バッグ、培地保存方法および細胞培養方法に関する。さらに、線対称な面を有する通気性シート材と、該通気性シート材と実質同形状の非通気性シート材と、該通気性シート材の縁部と該非通気性シート材の縁部とが接着された強シール部からなるバックであって、該バッグの内部に培地が充填された培養バッグ、該培養バッグを用いた培地保存方法および細胞培養方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、哺乳動物の付着細胞や懸濁細胞を生体外で行う培養は、ポリスチレン製容器の中で行われてきた。しかし、空気との接触面積が小さいために培地への通気が十分ではなく、常時培地を交換する必要があり、培地を浪費していた。さらに、培地を交換する際には、雑菌の混入が問題となる。
【0003】
かかる問題を解決すべく、気体透過性を有するアイオノマー樹脂からなる細胞培養容器が開示されている(引用文献1)。また、気体透過性材料で作製された第1の容器の内部に、液体透過性材料で作製された第2の容器で形成された細胞培養容器が開示されており、外部と第1の容器との間で、十分な酸素付加を可能にし、内部の第2の容器にて高密度で細胞を培養することを可能にした細胞培養容器が開示されている(特許文献2、3)。さらに、容器の一面が気体透過性であるシリコン誘導スチレンポリマーで形成され、強度に優れた培養容器が開示されている(特許文献4)。加えて、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂とポリ−4−メチルペンテン−1樹脂以外のポリオレフィン樹脂からなる組成物で形成され、酸素透過性および光透過性に優れ、植物細胞の培養に適した細胞培養容器が開示されている(特許文献5)。
【0004】
しかし、これらの細胞培養容器は、培養時における培地への通気が十分である反面、培養前の運搬、保存時における二酸化炭素などの拡散により、培地のpHが変化するため、培地の長期保存が困難であった。そのため、多くの場合、細胞を培養する直前に、使用者が空の培養用容器に培地を充填している。大量培養を行う際には培地量が数リットルとなるため、培地の充填作業に多くの労力が必要であった。
【0005】
【特許文献1】特開昭60−160881号公報
【特許文献2】特開平3−10675号公報
【特許文献3】特開平3−10676号公報
【特許文献4】特開平11−28083号公報
【特許文献5】特開2001−190267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、培地の長期保存を可能にし、かつ培養時の培地への通気を十分可能にした培養バッグを提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(1) 線対称な面を有する通気性シート材と、該通気性シート材と実質同形状の非通気性シート材と、該通気性シート材の縁部と該非通気性シート材の縁部とが接着された強シール部からなるバックであって、該バッグの内部に培地が充填された培養バッグ、
(2) 通気性シート材の酸素透過係数が、約100〜5000cm/m・24hr・atmである(1)に記載の培養バッグ、
(3) 通気性シート材の二酸化炭素透過係数が、約1000〜20000cm/m・24hr・atmである(1)に記載の培養バッグ、
(4) 通気性シート材がポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレン−ビニルアセテート)コポリマー、ポリ(エチレン−エチルアクリレート)コポリマーまたはポリ(エチレン−メタアクリレート)コポリマーからなる(1)に記載の培養バッグ。
(5) 非通気性シート材の水蒸気透過係数が、約900g/m・24hr・atm以下である(1)に記載の培養バッグ。
(6) 非通気性シート材の二酸化炭素透過係数が、約900cm/m・24hr・atm以下である(1)に記載の培養バッグ、
(7) 非通気性シート材が、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデンコートポリエステル、ポリ塩化ビニルコートポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレン−ビニルアルコール)コポリマー、アルミ蒸着ポリエステルまたはシリカコートポリエステルからなる(1)に記載の培養バッグ、
(8) 培地の充填量が、バッグの内容積を100%としたとき、約0.1〜90%である(1)に記載の培養バッグ、
(9) 線対称な面を有する通気性シート材と、該通気性シート材と実質同形状の非通気性シート材と、該通気性シート材の縁部と該非通気性シート材の縁部とが接着された強シール部からなり、内部に培地が充填された培養バッグであって、対称線で通気性シート材側に2つ折りで、重なり合った強シール部を固定手段で固定した培養バッグ。
(10) さらに、強シール部に少なくとも一対の開放手段を設けた(9)に記載の培養バッグ、
(11) 線対称な面を有する通気性シート材と、該通気性シート材と実質同形状の非通気性シート材と、該通気性シート材の縁部と該非通気性シート材の縁部とが接着された強シール部からなるバックであって、該バッグの内部に培地が充填された培養バッグにおいて、対称線で通気性シート材側に2つ折りにすることを特徴とする培地保存方法、
(12) さらに、重なり合った強シール部を固定することを特徴とする(11)に記載の培地保存方法、
および、(13) 線対称な面を有する通気性シート材と、該通気性シート材と実質同形状の非通気性シート材と、該通気性シート材の縁部と該非通気性シート材の縁部とが接着された強シール部からなり、内部に培地が充填された培養バッグを、対称線で通気性シート材側に2つ折りにし、重なり合った強シール部を固定手段で固定した培養バッグにおいて、該固定手段を取り除き、通気性シート材を外気に晒した後、細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の培養バッグは、培地の長期保存および十分に通気された条件下での培養を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明における培養バッグは、線対称な面を有する通気性シート材と、該通気性シート材と実質同形状の非通気性シート材と、該通気性シート材の縁部と該非通気性シート材の縁部とが接着された強シール部からなるバックであって、該バッグの内部に培地が充填されたことを特徴としている。通気性シート材および該通気性シート材と実質同形状の非通気性シート材は、それぞれ可撓性を有するシート状の材料であり、その形状は、線対称な面を有する形状であれば特に限定するものではない。具体的には、正方形、長方形、菱形、円形および楕円形などがあげられ、外見および製造の容易性などの観点から長方形が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0010】
通気性シート材は、一般に通気性材料と称される材料を選択すればよく、温度約25℃、湿度約50%における酸素の透過係数が約100〜5000cm/m・24hr・atm、好ましくは約1100〜3000cm/m・24hr・atm、さらに好ましくは約1250〜2750cm/m・24hr・atmであり、二酸化炭素透過係数が約1000〜20000cm/m・24hr・atm、好ましくは約3000〜11500cm/m・24hr・atmであり、さらに好ましくは約5000〜10000cm/m・24hr・atmである。さらに工業的に成形加工性に優れ、ガンマ線滅菌に耐えうるものであり、かつ内部の培地の様子を観察することができる透明性の材料であることが好ましい。選択すべき適切な材料としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレン−ビニルアセテート)コポリマー、ポリ(エチレン−エチルアクリレート)コポリマーおよびポリ(エチレン−メタアクリレート)コポリマーなどが挙げられ、これらを使用した積層体であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0011】
本発明の非通気性シート材は、一般に通気性材料と呼ばれている材料を選択すればよく、温度約25℃、湿度約50%、大気圧下における二酸化炭素透過係数が900cm/m・24hr・atm以下、好ましくは約100cm/m・24hr・atm以下であり、さらに好ましくは約1cm/m・24hr・atm以下であり、水蒸気透過係数が約900g/m・24hr・atm以下、好ましくは約100g/m・24hr・atm以下であり、さらに好ましくは約10g/m・24hr・atm以下である。さらに工業的に成形加工性に優れ、ガンマ線滅菌に耐えうるものが好ましい。選択すべき適切な材料としては、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデンコートポリエステル、ポリ塩化ビニルコートポリプロピレン、アルミ蒸着ポリエステル、シリカ蒸着ポリエステル、ポリビニルアルコールおよびポリ(エチレン−ビニルアルコール)コポリマーなどが挙げられ、これらを使用した積層材料であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0012】
本発明の培養バッグは、通気性シート材と非通気性シート材を重ね合わせた上で、縁部を強シールすることで強シール部を設ける。強シールは、ヒートシール法で成形された熱溶着部であり、内部に充填する培地が外部に漏れない状態にしたものを意味する。強シール部の幅は特に限定されるものではないが、周囲から約1〜10mm、好ましくは約10〜50mm、さらに好ましくは約20〜30mmである。この際、細胞懸濁液を導入、導出するポートをそれぞれ設けることが、取り扱いの上で好ましい。上記ポートは、通気性シート材および非通気性シート材で挟んだ状態で強シールすることで設けることができる。
【0013】
上記強シール部を設ける際、材料の組み合わせによっては通気性シート材と非通気性シート材との溶着が困難な場合がある。このような場合、非通気性シート材を、通気性シート材と熱溶着を容易にするような樹脂層を設けた複数の層構造にすればよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート/アルミ蒸着膜/ポリエチレンなどの3層構造や、ポリエチレン/シリカ蒸着膜/ポリエチレンテレフタレート/シリカ蒸着膜/ポリエチレンなどの5層構造など、外層にポリエチレンなどのヒートシール性に優れた材料が挙げられる。
【0014】
上記強シール部の作成条件は、通気性シート材と非通気性シート材との接着面における材料の組み合わせに依存するため一概には決定できないが、例えば、通気性シート材としてポリエチレン、非通気性シート材としてポリエチレン/シリカ蒸着膜/ポリエチレンテレフタレート/シリカ蒸着膜/ポリエチレンの5層シートを選択する場合、通気性シート材と非通気性シート材との接着面における材料の組み合わせは共にポリエチレンであるため、温度約100〜300度、好ましくは約120〜200度、荷重約1〜10kg/cm、好ましくは約3〜6kg/cmで熱溶着させることができる。
【0015】
本発明の培養バッグに充填する培地は、基本的にエネルギー源、栄養素、補酵素、無機イオン、血清およびpH緩衝液から構成される汎用の細胞を増殖させるものを意味する。これらの培地成分は、培養する細胞に応じてそれぞれの配合量で調製する。エネルギー源は細胞の生理活動に必要な燃料となり、グルコースなどが挙げられる。栄養素として核酸、アミノ酸などが添加され、細胞構成原料となる。アミノ酸はバリン、ロイシン、リシンなどの必須アミノ酸だけでなく、非必須アミノ酸なども添加される。補酵素は、ビタミン類や微量金属などの細胞内酵素活性の増強と安定化させる役割がある。無機イオンは生体内に存在するイオンであり、培地の浸透圧の調整を行う役割を果たす。例としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンなどが挙げられる。また必要に応じて、血清や細胞成長因子も添加する。そして、pH緩衝液は以上の成分を配合した培地のpHを調整する役割を果たし、リン酸緩衝液、炭酸塩(重曹)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)などが挙げられる。特に培養バッグに充填する培地が、pH緩衝液として溶媒に溶解したときに二酸化炭素を発生する炭酸塩(重曹)を含有する培地である場合に、本発明の培養バッグは最も効果を奏ずる。炭酸塩の例としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムおよび炭酸マグネシウムなどが挙げられるが、一般に炭酸水素ナトリウムが使用される。
【0016】
また、これらの培地には上記成分以外の組成物または天然物を適時加えてもよい。これらの添加物としては、インスリン、ホルボールエステル、ヒドロコルチゾンおよび動物由来脳下垂体抽出物などが挙げられる。
【0017】
本発明の培養バッグは、対称線にて通気性シート材側に2つ折りにし、非通気性シート材のみを外気に晒し、通気性シート材を外気に晒さないようにすることで、充填された培地の長期保存を可能にする。この際、充填する培地の量は、特に限定されるものではないが、2つ折りを容易にする量であることが好ましく、バッグの内容積を100%とした場合、充填する培地の量は、10〜90%、好ましくは30〜80%、さらに好ましくは50〜70%である。
【0018】
上記保存状態にある培養バッグは、2つ折りの状態を保つために、重なり合ったバッグ周囲の強シール部において何らかの固定手段を設ける。例えば、ステープラーで固定する方法、強シール部間に両面テープ、チャック部または弱シール部で固定する方法またはクリップなどの狭持体で挟む方法などが挙げられるが、より機密性を保つためにはチャック部を設けることが好ましい。
【0019】
上記チャック部は、対称線を中心とした片側の強シール部に設けた凹溝と、対称線のもう一方のシール部に設けた上記凹溝と相対向する位置に、上記凹溝と密巌可能な突条からなり、上記凹溝と上記凸部を重ね合わせ、押圧することにより上記凹溝と突条が密巌されるものを意味する。
【0020】
本発明の培養バッグを用いた培養方法とは、対称線で2つ折りにし、さらにバッグの周囲の強シール部間の固定を解除し、2つ折りを広げ、通気性シート材を外気に晒した状態で培養することで、培養中のガス交換を十分に行うことができる方法である。
【0021】
本発明はさらに、2つ折りで重なり合った強シール部間の固定を解除するために、2つ折りで重なり合った強シール部の周囲に少なくとも一対の開放手段を設けることを特徴としている。該開放手段は、人為的な外力で固定手段を取り除くことを容易に可能とするものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、図5に示すように左右線対称に凸部を設けた形状である通気性シート材、および該通気性シート材と同形状の非通気性シート材を重ね合わせ、外周部および該凸部で強シール部を形成させ、培地を充填後、対称線で2つ折りにする。次いで重なりあった強シール部のうち凸部以外の箇所を弱シールすることで、該凸部が一対の開放手段となる。そして培養時に、上記一対の開放手段をそれぞれ上下に引っ張ることによって容易に剥離することができる。
【実施例】
【0022】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
実施例1:図1に示す培養バッグ
20cm×30cmの長方形の形状を有し、ポリエチレンからなる通気性シート材1と、ポリエチレン/シリカ蒸着膜/ポリエチレンテレフタレート/シリカ蒸着膜/ポリエチレンの5層シートからなる非通気性シート材2を重ねあわせ、1辺に導入および導出ポート31、32を設けた状態で周囲約2cmをヒートシールすることで強シール部4を設け、バッグを成型した。ヒートシールの条件は、温度約160度、荷重約4kg/cmとした。次に導入ポートよりDMEM培地(容量約500ml)を充填することで、本発明の培養バッグを作成した(図1(a))。充填した培地は37℃、5%CO環境下でpH7.2であった。
【0024】
次に、短辺(20cm)と平行である対称線5で、通気性シート材1側に折り曲げ、重なり合った強シール4部をステープラー61で固定することで、バッグ内部の培地を保存状態にした。つまり、バッグの形状は、20cm×15cmの長方形となる(図2)。
【0025】
3ヶ月後の充填したDMEM培地は37℃、5%CO2環境下でpH7.2であり、pHの変化がなく、長期の保存が可能であった。したがって、本発明の培養バッグは長期の保存が可能であることが示された。
【0026】
実施例2:図3に示す培養バッグ
対称線6を中心とした片側の強シール部に設けた凹溝722と、対称線のもう一方の側のシール部に設けた上記凹溝721と相対向する位置に、上記凹溝721と密巌可能な突条722からなるチャック部72を設けたこと以外は、実施例1と同様の培養バッグを作成した(図3)。
【0027】
次に、短辺(20cm)と平行である対称線で、通気性シート材1側に2つ折りにし、重なり合った凹溝721と突条722を押圧することでバッグ内部の培地を保存状態にした。つまり、バッグの形状は、図2と同様に20cm×15cmの長方形となる。
【0028】
実施例3:図4に示す培養バッグ
実施例1の培養バッグの2つの短辺(20cm)それぞれに上記短辺の中点を中心とした半径5cmの半円の凸部7を設けた(図4)。
【0029】
次に、短辺(20cm)と平行である対称線で、通気性シート材1側に2つ折りにし、重なり合った強シール4部をステープラー61で固定することで、バッグ内部の培地を保存状態にした。つまり、バッグの形状は、図5に示すとおりになる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の培養バッグは、培地の長期保存を可能にする上、培地がバッグ内部に充填された状態で、そのまま十分に通気された条件下での培養を可能にするために、雑菌の混入などの恐れがなく安全な細胞の培養を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の培養バッグの実施形態の図面である。
【図2】図1の培養バッグを対称線にて通気性シート材側に2つ折りにした形態の図面である。
【図3】本発明の培養バッグの図1とは別の実施形態の図面である。
【図4】図3の培養バッグを対称線にて通気性シート材側に2つ折りにした形態の図面である。
【図5】本発明の培養バッグの図1および図3とは別の実施形態の図面である。
【図6】図5の培養バッグを対称線にて通気性シート材側に2つ折りにした形態の図面である。
【符号の説明】
【0032】
1 通気性シート材
2 非通気性シート材
31 導入ポート
32 導出ポート
4 強シール部
5 培地
6 対称線
71 ステープラー
721 凹溝
722 突条
8 開放手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
線対称な面を有する通気性シート材と、該通気性シート材と実質同形状の非通気性シート材と、該通気性シート材の縁部と該非通気性シート材の縁部とが接着された強シール部からなるバックであって、該バッグの内部に培地が充填された培養バッグ。
【請求項2】
通気性シート材の酸素透過係数が、約100〜5000cm/m・24hr・atmである請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項3】
通気性シート材の二酸化炭素透過係数が、約1000〜20000cm/m・24hr・atmである請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項4】
通気性シート材がポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレン−ビニルアセテート)コポリマー、ポリ(エチレン−エチルアクリレート)コポリマーまたはポリ(エチレン−メタアクリレート)コポリマーからなる請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項5】
非通気性シート材の水蒸気透過係数が、約900g/m・24hr・atm以下である請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項6】
非通気性シート材の二酸化炭素透過係数が、約900cm/m・24hr・atm以下である請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項7】
非通気性シート材が、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデンコートポリエステル、ポリ塩化ビニルコートポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレン−ビニルアルコール)コポリマー、アルミ蒸着ポリエステルまたはシリカコートポリエステルからなる請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項8】
培地の充填量が、バッグの内容積を100%としたとき、約0.1〜90%である請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項9】
線対称な面を有する通気性シート材と、該通気性シート材と実質同形状の非通気性シート材と、該通気性シート材の縁部と該非通気性シート材の縁部とが接着された強シール部からなり、内部に培地が充填された培養バッグであって、対称線で通気性シート材側に2つ折りにし、重なり合った強シール部を固定手段で固定した培養バッグ。
【請求項10】
さらに、強シール部に少なくとも一対の開放手段を設けた請求項9に記載の培養バッグ。
【請求項11】
線対称な面を有する通気性シート材と、該通気性シート材と実質同形状の非通気性シート材と、該通気性シート材の縁部と該非通気性シート材の縁部とが接着された強シール部からなるバックであって、該バッグの内部に培地が充填された培養バッグにおいて、対称線で通気性シート材側に2つ折りにすることを特徴とする培地保存方法。
【請求項12】
さらに、重なり合った強シール部を固定することを特徴とする請求項11に記載の培地保存方法。
【請求項13】
線対称な面を有する通気性シート材と、該通気性シート材と実質同形状の非通気性シート材と、該通気性シート材の縁部と該非通気性シート材の縁部とが接着された強シール部からなり、内部に培地が充填された培養バッグを、対称線で通気性シート材側に2つ折りにし、重なり合った強シール部を固定手段で固定した培養バッグにおいて、該固定手段を取り除き、通気性シート材を外気に晒した後、細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−262876(P2006−262876A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90013(P2005−90013)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】