説明

培養袋及び培養器

【課題】細胞や微生物などの大量培養を安価かつ簡便に行うことのできる培養袋および培養器を提供する。
【解決手段】折り畳み可能な有底有蓋の円筒容器に、撹拌翼を有する回転軸を備える撹拌装置を気密に収納した培養袋を、剛性を有する外殻に収納した培養器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞や微生物などの培養を大量に行うことのできる培養袋及び培養器に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物、昆虫細胞、植物細胞、動物細胞などの大量培養は、医薬、食品などとして有用なタンパク質などの物質の生産に広く用いられている。しかしながら、従来のガラス製やステンレス製の大型の培養器は高価であり、また、培養器を滅菌するために大型の滅菌装置が必要であったり、あるいは培養器自体に滅菌装置を取り付けるなど大掛かりな設備が必要であった。さらに、繰り返し培養器を使用するためには内部の洗浄や装置のメンテナンスに手間がかかるという問題があった。
この様な問題を解決するために、袋状の培養槽が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この培養槽は、培養液や培養体の収納後に蓋体で袋の開放部を封止するものであり、培養器の組立時、あるいは培養液や培養体の収納時に雑菌が混入するおそれがあり、培養器内部の無菌状態の保持には限界があった。
一方、嫌気性微生物を培養するために密閉構造とした培養袋も提案されている(特許文献2)。この培養袋は、培養器内部の無菌状態の保持には適しているが、長方形の2枚のシートを4辺で溶着した平袋の構造であり、培養袋内部を撹拌することは、考慮されていない。
【特許文献1】特開平06−153902号公報
【特許文献2】特開2006−25617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、内部を撹拌可能に構成して細胞や微生物(以下、これらをまとめて「微生物」という。)などの大量培養や大量の微生物に対する種々の操作を安価かつ簡便に行うことのできる培養袋および培養器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、折り畳み可能な基材からなる有底有蓋の円筒容器に撹拌翼を有する回転軸を備える撹拌装置を収納することで解決しうることを知見し、本発明を完成させたものである。
【0005】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)折り畳み可能な有底有蓋の円筒容器に、撹拌翼を有する回転軸を備える攪拌装置を気密に収納した培養袋。
(2)前記回転軸を前記容器の蓋から前記容器の外に回転可能に突出させて前記撹拌装置を気密に収納した(1)の培養袋。
(3)前記容器は、前記容器の外側に突出する一端が封止された前記容器の内外を連通する管状の連通部材が気密に配設された(1)または(2)の培養袋。
(4)前記容器が胴壁の外側に温度センサーを備える(1)ないし(3)のいずれかの培養袋。
(5)前記容器が上縁に吊し部を備える(1)ないし(4)のいずれかの培養袋。
(6)前記吊し部が前記容器の胴壁の延長部である(5)の培養袋。
(7)前記培養袋の内部が無菌状態に保持された(1)ないし(6)のいずれかの培養袋。
(8)(1)ないし(7)のいずれかの培養袋を、剛性を有する外殻に収納した培養器。(9)前記外殻が円筒である(8)の培養器。
(10)前記培養器が前記回転軸を回転させる駆動装置を備える(8)または(9)の培養器。
(11)前記培養器が加温装置を備える(8)ないし(10)のいずれかの培養器。
(12)前記培養器が冷却装置を備える(8)ないし(11)のいずれかの培養器。
(13)前記培養器がpH調整装置を備える(8)ないし(12)のいずれかの培養器。(14)前記培養器が給気装置を備える(8)ないし(13)のいずれかの培養器。
(15)前記培養器が培養袋内のpH、温度、溶存酸素および濁度の一種または二種以上を測定するセンサーを備える(8)ないし(14)のいずれかの培養器。
(16)前記培養器が前記センサーの情報に基づき培養袋内のpH、温度、溶存酸素および濁度の一種または二種以上を制御する制御装置を備える(15)の培養器。
【発明の効果】
【0006】
本発明の培養袋は、袋本体を折り畳み可能な有底有蓋の円筒容器としたので、保管時や輸送時には減容可能で、用時には内部を撹拌可能となり、微生物などの大量培養や大量の微生物に対する種々の操作を安価かつ簡便に行うことができる。また、折り畳み可能な有底有蓋の円筒容器に撹拌装置を気密に収納させてなるため、例えば、本発明の培養袋を清浄な環境下で製造したり、予めまとめてγ線などで滅菌したりして無菌状態に保持しておくことで、都度、手間のかかる滅菌操作を行うことなく簡便に培養を行うことができる。また、使用後の培養袋が使い捨て可能となり、使用後の培養器の洗浄が不要である。そして、容器が円筒状であるので、撹拌操作時に撹拌翼が容器胴壁に接触することがない。また、培養袋の底部に皺ができず培養体等が皺に詰まって培養効率が低下することを避けることができる。
また、前記容器が連通部材を備えると、チューブを接続して、あるいはそのままの状態で、ここから給排気が行えると共に培養液や培養体が収納された容器を無菌的に接続することで、培養器内に培養液や培養体を収納、取り出しの際、雑菌が混入することがない。
また、前記容器が胴壁の外側に温度センサーを備えると、撹拌装置に接触することなく温度管理が可能となる。
また、前記容器が上縁に吊し部を備えると、支持部材に確実で容易に固定することができる。そして、前記吊し部が前記容器の胴壁の延長部であると、容器の製造時に吊し部を容易に設置できる。また、外殻が円筒である場合に、吊し部を折り返すことによって、容易に容器を外殻に固定することができる。
本発明の培養器は、本発明の培養袋を、剛性を有する外殻に収納させてなるため安定して自立させることができる。そして、前記外殻が円筒であると汎用性が高く、入手の容易なスチールドラム缶、合成樹脂製ドラム缶、紙製のコンポジット缶などを使用することができると共に、培養器をコンパクトにすることができる。
前記培養器が前記回転軸を回転させる駆動装置を備えると、より安定した撹拌培養が可能となる。
また、前記培養器が加温装置を備えると、加温して培養の促進が可能となる。
また、前記培養器が冷却装置を備えると、培養袋内の物質生産や生物反応を特定のタイミングで終了させることができる。
また、前記培養器がpH調整装置を備えると、pHを一定に保って安定した培養が可能となり、また、培養液のpHを変化させて、目的物質を沈殿させたりすることが可能となる。
また、前記培養器が給気装置を備えると、効率のよい通気培養が可能となる。
また、前記培養器が培養袋内のpH、温度、溶存酸素および濁度の一種または二種以上を測定するセンサーを備えると、pH、温度、溶存酸素および濁度をモニターしながら安定した培養が可能となる。
また、前記培養器が前記センサーの情報に基づき培養袋内のpH、温度、溶存酸素およ
び濁度の一種または二種以上を制御する制御装置を備えると、pH、温度、溶存酸素および濁度の制御が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の培養袋は、折り畳み可能な基材からなる。折り畳むことができる基材としては、可撓性、不透水性で強度が高いことから合成樹脂フィルムやシート(本明細書では「フィルム」と「シート」を「フィルム」と総称する。)が好ましい。そして、培養袋を製造する観点からは、熱溶着性を有するものが好ましく、培養の作業性からは、容器内部が透視可能なものが好ましい。その様なフィルムを構成する合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、軟質塩化ビニルなどが挙げられる。特に高い強度が要求される場合は、二軸延伸ナイロンフィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを補強層として積層しも良い。容器に酸素の遮断が求められる場合は、アルミなどの金属箔、無機物蒸着フィルムやエチレン−ビニルアルコール共重合体層などのガスバリア性基材を用いても良い。これらのフィルムや基材が複数層積層されたり、重畳されていても良い。
基材の厚みは特に限定されず、基材の材質や容器の容量に応じて適宜選択することができる。本発明の培養袋は折り畳み可能であると共に、培養器に組み立てる際の作業性や培養時の保形性の観点から、ある程度の腰があることが好ましいので、通常は、50μm〜1000μm程度である。
【0008】
上記のような基材を有底有蓋の円筒容器に成形することにより培養袋を作製することができる。培養袋を有底有蓋の円筒にすることにより外殻に収容したときにも、培養袋の底部に皺ができず培養体等が皺に詰まって培養効率が低下することを避けることができる。また、撹拌時に撹拌翼などが胴壁に接触することを避けることができる。容器の容量は特に制限されないが、例えば、5〜1000Lの容量とすることができる。200L程度の大量培養器として用いる場合は、市販の円筒型ドラム缶内袋、例えば、天面(蓋)にキャップで封止可能な注出口(充填口)を有する藤森工業株式会社製「フジライナー200」の仕様を一部変更して用いることができる。
【0009】
円筒容器の内部には、撹拌翼を有する回転軸を備える攪拌装置を気密に収納する。収納に際して、外部に設置するモーターなどで回転軸を直接駆動する場合は、回転軸を容器の蓋から容器の外に、気密性のある軸受けなどを用いて回転可能に突出させて撹拌装置を気密に収納する。また、磁石を用いて間接的に駆動する場合は、回転軸を容器の蓋から容器の外に突出させることなく気密に収納する。
撹拌装置としては、例えば、金属製や合成樹脂製の回転軸の先端および/または中間に撹拌翼を固定した撹拌装置が挙げられる。撹拌翼は2枚を、回転軸を挟んで固定すると培養袋を折り畳み易く好ましい。撹拌翼は複数段に分けて設けても良い。この場合、各段の翼の取付位置の角度をずらしても良い。3枚以上固定する場合は、撹拌翼を折り畳み可能とすることが好ましい。撹拌翼の幅が広い場合は、水平方向の捻れ角度を調整可能とすると好ましい。折り畳まれた撹拌翼を広げたり、捻れ角度などを調整したりする際は、基材が可撓性を有するので、容器の外から基材を介して操作することができる。
【0010】
円筒容器には、前記容器の外側に突出する一端が封止された前記容器の内外を連通する管状の連通部材を気密に設けると、合成樹脂製等のチューブを任意の長さで容易に接続することができるので好ましい。連通部材の設置は、具体的には、例えば、円筒容器の蓋に孔を設け、その孔に直接、連通部材を挿入して円筒容器の内外を連通させ、挿入箇所を接着剤や熱溶着などで液密に封止する。あるいは、予め、フランジを有する管を容器の胴壁上部や蓋に設けられた孔の内外に配し、フランジと容器の基材とを接着剤や熱溶着などで気密に固着した後、容器の胴壁と蓋とを接着剤や熱溶着などで気密に固着する。さらには、上記フジライナーの様に円筒容器の天面に孔を設け内側からフランジを有する合成樹脂
製の注出口部材を挿入し外側に突出する注出口を熱溶着して合成樹脂製のキャップで液密に封止可能に構成し、キャップにその内外を連通する連通部材を設けることが好ましい。
キャップに連通部材を設けて給気管を内外に連通させるためには、例えば、予め、キャップに孔を開け、連通部材としてフランジを有する一本または複数本の管やノズルをキャップの内外に配し、フランジとキャップとを接着剤や熱溶着などで液密に封止するとよい。あるいは、キャップに孔を開け、その孔に連通部材となる管を貫通させ、貫通箇所を液密に封止してもよい。さらには、キャップを成型する際に連通部材をキャップの内外に形成してもよい。管やノズルは容器の内側に延設されていても良い。容器の外側となる管やノズルの一端を予め封止しておくか、固着時に熱溶着などで封止すれば気密性は確保される。連通部材は、複数本設けると、給液管、排液管、給気管や排気管などとすることができるので好ましい。連通部材にチューブを接続して給気管や排気管とする場合は、連通部材やチューブの端部に雑菌の混入を防ぐためのフィルターを嵌合、あるいは、接着剤や熱溶着などで固着して封止しておくと、容器内の無菌状態を保持したまま気体の流出入ができ、折り畳む際にも容器内の残存空気を追い出すことができるので好ましい。
【0011】
容器の胴壁の外側には、円筒容器内の培養液や培養体の温度をモニターして制御するために、温度センサーを設置してもよい。温度センサーは、連通部材を介して容器の内部に設置してもよいが、円筒容器の外側に設置することで雑菌の混入を防止できるので好ましい。また、撹拌時、撹拌翼に接触することもない。温度センサーとしては、熱電対やサーミスタなど接触式、放射温度計などの非接触式のものを用いることができる。放射温度計の場合、温度センサーは、外殻に設けても良い。
また、例えば、CHO細胞、ハイブリドーマ等の哺乳類細胞培養等においては、必要に応じ、温度に代えて、あるいは温度と併用して、pH、濁度や酸素濃度等をセンサーによってモニタリングしてもよい。この場合、連通部材にチューブ等を無菌的に接続し、サンプリングを行うか、培養液の一部をクリーンブースなど培養器の外部に循環させて培養液を直接センシングすることが望ましい。そして、センシングの結果をコンピュータなどで処理して、培養袋内のpH、温度、溶存酸素および濁度の一種または二種以上を制御することが望ましい。
【0012】
容器が上縁に吊し部を備えると、この吊し部で容器を支持部材である外殻に容易に支持させることができる。吊し部は、紐やフックを容器外壁に接着剤などで固着しても良いが、吊し部が前記容器の胴壁の延長部であると、容器の製造時に吊し部を容易に設置できる。また、ここに鳩目などを設けても良い。胴壁の延長部からなる吊し部が全周に亘って設けられていると、外殻が円筒である場合に、吊し部を折り返すことによって、容易に容器を外殻に固定することができる。
【0013】
培養袋の内部は、培養体の性質によっては、必ずしも無菌状態とする必要はないが、通常は、無菌状態に保持されることが好ましい。無菌状態は、例えば、本発明の培養袋を清浄な環境下で製造したり、予め滅菌したりして内部を無菌状態することができる。培養袋を滅菌する方法は特に制限されないが、例えば、γ線滅菌などの放射線滅菌、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌、オートクレーブ(AC)滅菌などが挙げられる。EOG滅菌を行う場合は、容器の少なくとも一部をフィルターとすることが好ましい。この場合、フィルターは、PEやPPなどのポリオレフィン系不織布であると、熱融着が可能となり好ましい。
【0014】
円筒容器は、培養液や培養体が多量に収納されて、ヘッドスペースが小さい場合は、ある程度の自立性を示すが、培養液や培養体が少量である場合や撹拌時の振動を考慮すると外殻を用いて容器の保形性を確保することが好ましい。外殻の形状は、特に制限されず、柱や管を組んだ枠体、箱や円筒缶などを用いることができる。これらは、無底であっても良いが、培養袋を下から支えられるので、有底であることが好ましい。円筒の外殻に収容
することによって本発明の培養袋を安定して自立させることができ、円筒であると培養器をコンパクトにすることができるので好ましい。円筒の外殻の内径は、培養袋と同程度乃至やや小さめとすると、培養液等を充填した場合に、培養袋が外殻に密着するので、外壁のフィルムに負荷がからず、撹拌に際しても安定して撹拌が行えるので好ましい。
外殻の材質は、特に制限されず、培養する培養体や培養液が充填された培養液や培養袋を保持できる程度の剛性があれば良く、金属、プラスチックや板紙などが挙げられる。耐久性、特に培養器を加温する場合は、金属とすることが好ましい。繰り返し使用する場合の錆の発生を考慮するとステンレスがより好ましい。外殻の材質が不透明である場合、培養器内の状態を目視するために外殻に覗き窓を設けてもよい。また、培養器内部に培養袋内の状態を目視しやすくするため照明を設けてもよい。
【0015】
培養器には、培養袋に設置された給気管と接続でき、かつ、培養袋内に気体を送ることのできる送気装置を設置することが好ましい。
培養器には、培養袋内を加温して培養を促進するために加温装置を設置することが好ましい。加温装置は、外殻と培養袋のいずれに設けても良いが、培養器に組み立てるときの作業性から外殻に設けることが好ましい。加温装置は、外殻の内外いずれに設けても良いが、加温効率からは、内側に設けることが好ましい。加温装置を設ける場合は、部分的に設けても攪拌により内部の温度が均一化されるので問題ないが、培養器全体を覆うように設けることが好ましい。加温装置としては、ニクロム線、シーズ線、カーボンやアルミ箔の回路を合成樹脂層に挟み込んだ面状発熱体などの発熱体を用いることができる。外殻が金属缶である場合は、電磁誘導加熱装置、円筒容器がカルボキシル基などの極性基を有する樹脂層を備える場合は、高周波誘導加熱装置を用いることもできる。
培養器には、培養袋内の温度調節あるいは物質生産や生物反応を終了させたりするための、培養袋内を冷却できる冷却装置を設置してもよい。例えば、外殻を収容できるような容器であって、該容器と外殻との間に冷却水を流入させることのできる容器を設置し、培養袋内を冷却できるようにしてもよい。
培養器には、培養袋内の培養液のpHを一定に維持したり、変化させたりするためのpH調整装置が設置されていることが好ましい。pH調整装置としては、目的のpHに調整するために酸またはアルカリを供給できる装置であることが好ましい。
なお、培養器には、上記の加温装置、冷却装置、pH調整装置などを制御するためのコンピュータなどの制御装置が設置されていることが好ましい。
【0016】
本発明の培養器は、微生物などの培養にとどまらず、微生物を利用した物質生産のために使用することができる。
また、本発明の培養器によって微生物等を培養後、微生物等を培養袋の中で担体に固定化しさらにバイオリアクターとしても使用することも可能である。例えば、培養袋にて微生物培養後に微生物固定化用担体を適量培養袋に加え、攪拌装置にて攪拌しながら微生物を固定化し、さらに本発明の培養器内で攪拌しつつ、連通部材を介して空気を導入することにより好気的条件としたり、窒素やアルゴン等の不活性ガスを導入することにより嫌気的条件としたりして目的の反応を行うことが可能である。この場合、使用される担体は特に限定されないが、クラレ株式会社のクラゲールや日清紡績株式会社のAPG等が使用可能である。
【実施例】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の第一の実施態様を具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る培養袋10が折り畳まれた状態の平面図である。図2は、本発明の一実施例に係る培養袋10の斜視図である。図3は、外殻40の斜視図である。図4は、本発明の一実施例に係る培養器100の斜視図で、説明のため外殻40の一部を省略したものである。
図1および図2に示す本発明の培養袋10は、藤森工業株式会社製200Lドラム缶内
袋フジライナー200の仕様を一部変更して有底有蓋の円筒容器11として用いたものである。この容器の天面14(蓋)の中心付近から接着剤で固着された軸受けを介してPP製の回転軸22を突出させ、円筒容器11内にPP製の撹拌翼21を有する撹拌装置20を気密に収納したものである。撹拌装置20を円筒容器11内に気密に収納するには、円筒容器11の底面13や天面14を熱融着するときに封入してもよいし、円筒容器11の天面の中心部に後述する方法で注出口15と同様な注出口を設け、ここから収納してもよい。
【0018】
この円筒容器11の胴壁12は、直径580mm、厚さ100μmのPE製インフレーションチューブ2枚を870mmと1000mmに裁断し、長い方のチューブ内に短い方のチューブを挿入したものである。胴壁12を二重構造としたのは、万が一、いずれかの胴壁12にピンホールが発生しても培養液や培養袋10が漏洩することを防止するためである。もちろん、厚い単層のチューブを用いても差し支えない。
この容器は、この胴壁12となる二枚のチューブの下端を揃え、直径600mm、厚さ100μmのPEフィルムを底面13とし、底面13から870mm上方に同型、同材質のPEフィルムを天面14としてリング状のインパルスシーラーを用いて10mm幅で熱融着したものである。天面14となるフィルムには、予め直径80mmの孔が中心部およびフィルムの円周と孔の円周との最短の間隔が100mmとなる位置に設けられ、それぞれ20mm幅のフランジを有する内径70mmのPE製の注出口15が熱融着されている。
【0019】
これらの注出口15の筒部には外ネジが設けられ、内ネジを有するキャップ30が螺合されている。中心部の注出口15を封止するキャップ30の天面の中心には、孔が穿設され、注出口15から収容された撹拌装置20の回転軸22が気密性のある軸受けを介して回転可能に挿入されている。外側(右側)のキャップ30の天面には、4個の孔が穿設され、外側の一端が封止された4本のPE製の管からなる図示しない連通部材が挿入されて接着剤で気密に固着されている。この連通部材は、それぞれPEやPP等の合成樹脂製チューブが接続されて、円筒容器11に対して、培養液等を注入する給液管32、サンプル採取、培養液等の循環、あるいは過剰や不要となった液体を排出する排液管33、空気や窒素などの気体を導入する給気管34、気体を排出する排気管35として用いられる。排液管33は、開口端部が円筒容器11の底面近傍に位置するように延設されていても良い。給気管34は、開口端部が円筒容器11の底面近傍に位置するように延設されることが好ましい。この場合、延設部先端に重りを付加すると給気管34の延設部が培養液中に深く沈むことに加えて給気管34が安定して垂れ下がるので、撹拌翼21が接触することがなくより好ましい。給気管34の延設部に沿って複数の孔が開口されていても良い。この場合、延設部先端は、封止されることが好ましい。給液管32および排液管33の円筒容器の外側先端は、それぞれ熱融着で封止されている。封止は、ピンチコック、栓、などの適宜な手段で行っても良い。給気管34および排気管35の先端は、それぞれフィルター36としてHEPAフィルターが組み込まれた部材を接着剤で取り付けて封止されている。フィルター36は、不織布などを開口端部に直接熱融着しても良い。
【0020】
円筒容器11の胴壁の外側には、熱電対を用いた温度センサー16が粘着テープで貼付されている。貼付には、接着剤を用いても良い。このセンサーから温度情報が図示しない制御装置に送られて培養袋10内部の加温温度が制御される。
円筒容器11の上縁には、胴壁12を形成する長い方のチューブが一枚、開口状態で残されている。この開口は、培養袋10が外殻40に収容された場合に、外殻40の縁で折り返されて、培養袋10を外殻40に吊す吊し部17として機能する。
攪拌装置20が収納された円筒容器11を、回転軸22が挿入されたキャップ30および連通部材を有するキャップ30で気密に封止した。気密性をより確実なものとするためにはキャップ30の胴部下端を粘着テープやシュリンクチューブで覆っておくことが好ま
しい。円筒容器11をγ線で滅菌し、撹拌装置20を含めて内部全体を無菌状態として本発明の培養袋10が得られる。なお、経済的観点から、γ線滅菌は、円筒容器11をさらに可能な限りコンパクトに折り畳み、5〜20袋程度を外装段ボール等に集合包装して行うことが好ましい。
【0021】
図3に示す外殻40は、200Lのステンレスのオープンドラム缶を外殻本体41としたものである。このドラム缶(外殻本体)41の内径は約570mmである。ドラム缶41の外面にニクロム線を編み込んだシリコンラバーのターポリンからなるバンド状のヒーター43を配設した。ヒーター43は、複数配設しても良い。天板42には、培養袋10から突出した二つの部材、すなわち、回転軸22が挿入されたキャップ30および連通部材を有するキャップ30が貫通可能な二つの孔を設け、注出口15を突出させた。さらに、天板42には、内部観察用の直径60mmの窓47を設け透明なアクリル板をボルトで固定して封をした。
【0022】
ドラム缶41に本発明の培養袋10の吊し部17をドラム缶41の開口縁で折り返してドラム缶41の外側上部を覆うように収容した。天板42を天蓋としてドラム缶41の開口に外レバー式のバンドで培養袋10の吊し部17と一緒に締め付けた。
天板42の中央付近にフランジを有する筒体が立設された金属製のモーター固定台44をボルトで固定した。両端にフランジを有する金属パイプ46およびモーター45の回転軸と同軸となるようにモーター45にボルトで固定されたフランジを有する金属製の筒部材(不図示)に培養袋10の回転軸22を挿入してからモーター45に接続して、モーター固定台44と金属パイプ46とモーター45の筒部材との各フランジをそれぞれへルールで固定して図4に示す本発明の培養器100とした。
なお、培養中に培養袋内部が陽圧とならない場合は、キャップ30の下端と天板42との間に、例えばU字型の切り欠きを有する板を挟み込んで注出口15を天板42の孔に固定しておくことが好ましい。
【0023】
図4を用いて、本発明の培養器100の使用方法を説明する。
外殻本体41に本発明の培養袋10が収容され、天板42で蓋されてなる培養器100の給液管32に図示しない滅菌された培養液が収容された培養液容器を無菌的に接続した。接続に際しては、テルモ株式会社製無菌接合装置SCD−IIBを用いた。なお、無菌接合装置を用いなくても無菌チャンバー内で接続作業を行うことで無菌的に接続することができる。
【0024】
培養液容器を無菌的に接続した培養袋10に給液管32を介して培養液を充填する。次に、培養液を充填した培養袋10に同様に給液管32より培養体を注入する。
給気管34と給気用のチューブを、フィルター36を介して接続しておき、ポンプ等を用いて、空気等の気体を必要により、培養袋10内に圧送し、回転軸22を介してモーター45で撹拌翼21を回転させて撹拌しながら培養作業を行う。
【0025】
培養袋10内は、必要に応じて外殻40の外面に設けられたヒーター43で加温される。温度は天板42のキャップ30が貫通する孔の隙間を経由して培養袋10に貼付した温度センサー16でモニターする。温度センサー16で検知した温度情報に基づき、図示しない制御装置により、ヒーター43で培養袋10内を所定温度に維持する。培養体が所定濃度に達したら培養を終了し、培養袋10を開封し、培養体を回収する。培養体の濃度のチェックは、排液管33から培養袋10内に吸引用のチューブを無菌的に接続してポンプ等で吸引し、サンプルを採取して行う。
次に培養を行うときは、新たな培養袋10を用意し、外殻40にセットして同様に培養を行う。
なお、培養器100の組立は、培養袋10に培養液や培養体の充填が終了した後、最後
に外殻本体41を天板42で蓋して培養器100としても良い。
【0026】
次に、図面を参照して本発明の第二の実施態様を具体的に説明する。
図5は、本発明の他の実施例に係る培養袋10が折り畳まれた状態の平面図である。図6は、本発明の他の実施例に係る培養器100の概略斜視図である。
図5に示す本発明の培養袋10は、第一の実施態様と同様に藤森工業株式会社製200Lドラム缶内袋フジライナー200を有底有蓋の円筒容器11としてその仕様を一部変更して用いたものである。
【0027】
本態様の場合、容器天面14からPP製の回転軸22を突出させることなく、円筒容器11内にPP製の撹拌翼21を有する撹拌装置20を気密に収納したものである。この培養袋10に収納された回転軸22の上端には、鉄などの磁性体が固着されたフランジが接合されている。本実施形態では、鉄板をフランジ内に埋め込んだ。
【0028】
そして、この培養袋10は、第一の実施態様と同様のPE製の注出口15が、中心とその左右に合計3カ所、第一の実施態様と同様にして熱融着され、それぞれキャップ30が螺着されている。左右の注出口のキャップ30には、それぞれ3本の第一の実施態様と同様の連通部材が第一の実施態様と同様にして固着されている。中心のキャップ30は、孔を設けることなくオリジナルのままとした。
攪拌装置20が収納された円筒容器11のそれぞれの注出口15をそれぞれのキャップ30で気密に封止して、第一の実施態様と同様に撹拌装置20を含めて内部全体を無菌状態として本発明の培養袋10とした。
【0029】
得られた培養袋10を第一の実施態様と同様な200Lのステンレスのオープンドラム缶(外殻41)に収容した。なお、本態様においては、本発明の培養袋10の吊し部17をドラム缶41の縁で折り返してドラム缶41の外側上部を覆うように収容しただけで、天板で蓋することなく開放状態とした。なお、培養袋の吊し部17は、PPバンドなどでドラム缶41の胴部に締め付けられるようにしても良い。
【0030】
さらに、ドラム缶41を、上下に二分した250L用ステンレス製オープンドラム缶の下半分(半裁ドラム缶60)に収容した。半裁ドラム缶60には給水源61から水が供給され、温度調節や培養を終了させる時など、必要に応じ、培養袋10内を冷却できるようになっている。水の供給は電子弁62によって調節され、冷却に使用された水は排水装置59に送られるようになっている。なお、バンド状のヒーター43は、濡れない様にドラム缶41の内側に設置してある。
【0031】
この半裁ドラム缶60の上端近傍の外壁にステンレスの枠体63を溶接し、枠体63の横枠の中間に回転軸の先端に磁石を有するモーター45を回転軸が下を向くように固定した。回転軸の先端を培養袋10の天面中心に位置するキャップ30の天面外側に密着させ、磁力で培養袋10内の攪拌装置20の磁性体を引き寄せてフランジをキャップ30の天面の内側に密着させた。この様にして、培養袋10の容器天面14をキャップ30とモーター45を介して枠体63に固定すると共に、モーター45および攪拌装置20のそれぞれの回転軸がキャップ30の天面で摺動回転しながらモーター45の回転力を攪拌装置20の回転軸22に伝達可能とした。
【0032】
培養袋10に培地である培養液および培養対象である培養体を無菌的に充填し、左のキャップ30の連通部材のひとつにチューブを接続して培養袋10の内外に延びる給液管32とした。この給液管32に、pHを調整するための塩酸等の酸と水酸化ナトリウム等のアルカリをそれぞれ収容した容器56、57およびこれらの容器から酸またはアルカリを選択して送液するポンプ55からなるpH調節装置を接続してある。
さらに、左のキャップ30の連通部材のもうひとつにチューブを無菌的に接続して培養袋10の内外に延びる給気管34とし、これに、気体を供給するコンプレッサー58が接続されている。なお、給気管34は、効率よく泡を発生させるために孔が多数穿設された先端近傍がループ状になっている。
【0033】
そして、右のキャップ30の連通部材のひとつにチューブを無菌的に接続して培養袋10の内外に延びる排液管33とし、これに、培養袋10内の培養液のpH、温度、溶存酸素および濁度を測定するセンサー(pH・温度センサー51、溶存酸素濃度センサー52、濁度センサー53)に培養液を環流して培養液を測定する培養液測定装置を接続してある。なお、図示しない他の連通部材は、予備として、外側端部を封止したまま残してある。
この様にして、図6に示す本発明の培養器100とした。
【0034】
培養器100の使用方法は、第一の実施態様と同様であるが、培養中は、常時、ポンプ55、pH・温度センサー51、溶存酸素濃度センサー52、濁度センサー53、電子弁62はコンピュータなどの制御装置54で測定・制御される。図6の破線の矢印は、制御装置54が測定・制御する装置であることを指し示す。
【0035】
以下に第二の実施態様の培養器100を用いた培養実施例を挙げさらに説明を行う。
この実施態様の培養器100は、左右の注出口15、15に羅着されるキャップ30、30に径が50mmの孔をあけ、内外に連通する3本の連通部材が予め形成されたプラスチック製の円盤状中蓋をそれぞれのキャップ30に挿入し強く螺合して、キャップ30の縁と注出口15の先端で挟みこみ、連通部材以外からは外気が培養袋に入らないようにしたこと、
各連通部材にシリコンチューブを接続し、中蓋の外側に突出するチューブをクランプで挟むことにより必要に応じて内外の出入りを可能にし、チューブの先端は、フィルターに代えて図示しないプラスチック製のコネクターを装着してポリ袋で覆い、使用する直前にそれを外すようにしたこと、
培養袋10の底部に図示しない留め具を接着し給気管34を固定したこと、以外は、第二の実施態様で説明した培養袋10と同様にして図5に示す内部が滅菌された培養袋10を作製した。
【0036】
第二の実施態様と同様、それぞれのチューブを無菌下で接続して図6に示す本発明の培養器100とした。
【0037】
本実施態様の培養器100を用いた培養例の指標微生物として大腸菌HB101株を用いた。グリセロールストックとして保存しておいた大腸菌HB101株10mlを5LのLB培地(tryptone 1%,yeast extract 0.5%, NaCl 1%)に播種し、一晩振盪培養を行い、培養体を得た(前培養)。
第一の実施態様と同様に、半裁ドラム缶60に収容された外殻本体41に収容された培養袋10に滅菌済みのLB培地150Lを給液管32より無菌的に供給し、さらに前培養した培養体を全量播種した。培養液の温度を37℃になるように設定し、攪拌翼21を300rpmで回転させると同時に図示しないフィルターで濾過された空気200L/minをコンプレッサー58にて給気管34より給気し、排気管35から外気が侵入しないように培養袋10内を陽圧に保持して培養を行った。
培養に際しては、pH・温度センサー51でpHと温度のモニタリングを行い制御装置54で制御し、必要に応じて、半裁ドラム缶60に給水源61から冷却水を供給し、あるいは、外殻本体41の内側に巻きつけたヒーター43で培養体の温度をコントロールした。さらに、必要に応じて、ポンプ55を作動させ、酸収容容器56、アルカリ収容容器57から酸またはアルカリを供給した。
培養開始後は、排液管33を用いて培養液を還流させてサンプリングを行い、濁度センサー53で濁度(OD600)を1時間間隔で測定値を取得することにより増殖の確認を行った。なお、OD600は、その値が高いほど微生物が増殖していることを意味する。
【0038】
一方、比較実験として500mlフラスコおよび500mlバッフルフラスコにそれぞれLB100mlを分注し、上記の前培養した培養体をそれぞれ200μl播種し、37℃、200rpmにて十分な空気を供給しつつ振盪培養を行った。
図7に結果を示す。
図7に示す通り、既存のフラスコ、さらには酸素取り込み量が大きいバッフルフラスコと比較すると、本発明の培養袋は、微生物が高増殖であることが判る。この結果から、培地組成の変更や酸素を直接バブリングすることでさらに高い収量が得られると期待される。
【0039】
以上、本発明を、いくつかの実施態様に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されることなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、天板に代えて、柱や管をドラム缶の縁に差し渡してモーターを固定しても良い。
また、ステンレスドラム缶に代えて、プラスチックドラムやファイバードラムを用いても良いし、無底無蓋の単なる筒体でもよい。それらは、透明なものを用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0040】
細胞や微生物などの大量培養や大量の微生物に対する種々の操作を安価かつ簡便に行うことのできる培養袋や培養器に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施態様に係る培養袋を折り畳んだ状態の平面図。
【図2】本発明の第1の実施態様に係る培養袋の斜視図。
【図3】本発明の第1の実施態様に係る培養器の外殻の斜視図。
【図4】本発明の第1の実施態様に係る培養器の斜視図。
【図5】本発明の第2の実施態様に係る培養袋を折り畳んだ状態の平面図。
【図6】本発明の第2の実施態様に係る培養器の斜視図。
【図7】本発明の培養器または500mlフラスコ、500mlバッフルフラスコで培養したときの大腸菌(HB101株)増殖曲線を示す図。
【符号の説明】
【0042】
10.培養袋 11.円筒容器 12.容器胴壁 13.容器底面 14.容器天面(蓋) 15.注出口 16.温度センサー 17.吊し部 20.撹拌装置 21.撹拌翼 22.回転軸 30.キャップ 32.給液管 33.排液管 34.給気管 35.排気管 36.フィルター 40.外殻 41.外殻本体(ドラム缶) 42.外殻天板 43.ヒーター 44.モーター固定台
45.モーター 46.金属パイプ 47.観察窓 51.pH・温度センサー 52.溶存酸素濃度センサー 53.濁度センサー 54.制御装置 55.ポンプ 56.酸収容容器 57.アルカリ収容容器 58.コンプレッサー 59.排水装置 60.半裁ドラム缶 61.給水源 62.電子弁 63.枠体 100.培養器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み可能な有底有蓋の円筒容器に、撹拌翼を有する回転軸を備える攪拌装置を気密に収納した培養袋。
【請求項2】
前記回転軸を前記容器の蓋から前記容器の外に回転可能に突出させて前記撹拌装置を気密に収納した請求項1に記載の培養袋。
【請求項3】
前記容器は、前記容器の外側に突出する一端が封止された前記容器の内外を連通する管状の連通部材が気密に配設された請求項1または2に記載の培養袋。
【請求項4】
前記容器が胴壁の外側に温度センサーを備える請求項1ないし3のいずれか一項に記載の培養袋。
【請求項5】
前記容器が上縁に吊し部を備える請求項1ないし4のいずれか一項に記載の培養袋。
【請求項6】
前記吊し部が前記容器の胴壁の延長部である請求項5に記載の培養袋。
【請求項7】
前記培養袋の内部が無菌状態に保持された請求項1ないし6のいずれか一項に記載の培養袋。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の培養袋を、剛性を有する外殻に収納した培養器。
【請求項9】
前記外殻が円筒である請求項8に記載の培養器。
【請求項10】
前記培養器が前記回転軸を回転させる駆動装置を備える請求項8または9に記載の培養器。
【請求項11】
前記培養器が加温装置を備える請求項8ないし10のいずれか一項に記載の培養器。
【請求項12】
前記培養器が冷却装置を備える請求項8ないし11のいずれか一項に記載の培養器。
【請求項13】
前記培養器がpH調整装置を備える請求項8ないし12のいずれか一項に記載の培養器。
【請求項14】
前記培養器が送気装置を備える請求項8ないし13のいずれか一項に記載の培養器。
【請求項15】
前記培養器が培養袋内のpH、温度、溶存酸素および濁度の一種または二種以上を測定するセンサーを備える請求項8ないし14のいずれか一項に記載の培養器。
【請求項16】
前記培養器が前記センサーの情報に基づき培養袋内のpH、温度、溶存酸素および濁度の一種または二種以上を制御する制御装置を備える請求項15に記載の培養器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−282629(P2007−282629A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65387(P2007−65387)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】