説明

基地局装置、その通信方法及びプログラム

【課題】Femto AP等の基地局装置の保守管理を保守用端末を用いることなく行えるようにする。
【解決手段】無線側データ識別部9は前段の無線側通信部からの受信データが制御データデータかユーザデータかを判定し、制御データデータの場合は制御データ処理インタフェース部12を通じて制御データ処理部6と通信する。ユーザデータの場合には、ユーザデータ内オペレータ独自のプロトコルスタックをスキャンし、ユーザデータの要求URL情報を監視する。要求URL情報がFemto AP保守管理用URLであった場合は、ユーザデータを保守制御管理インタフェース部10に送信する。これによりFemto APの保守制御管理部にデータを引き渡すことで、携帯端末と保守制御管理部間の接続を確立し、Femto APの保守管理を携帯電話の画面を通じて制御できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はFemto AP等の基地局装置、その通信方法及びこの方法を実行するためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
Femto AP(フェムト・アクセスポイント)は、家庭や小規模オフィス内に設置され、携帯端末と狭い範囲で無線通信する基地局装置であり、屋内に引き込まれているブロードバンド回線を利用して携帯端末からの電波を受信すると共に、携帯端末に電波を送信できるようにした基地局装置である。
【0003】
図3は従来のFemto APの構成及びFemto APを保守管理する場合の構成を示すブロック図である。
図3において、Femto AP1は、携帯電話機等の携帯端末2と通信する無線側通信部3と、無線側通信部3と送受信し、受信データの内容に応じて後段のどの処理部と接続を確立するかを判定するデータ処理部5と、データ処理部5の判定に応じて選択的に接続される保守制御管理部4と制御データ処理部6と、データ処理部5に接続された有線側通信部7とにより構成される。また、Femto AP1を保守管理するローカル保守端末8が有線側通信部7に接続される。制御データ処理部6は携帯端末2とネットワークを接続するための制御信号等を終端する。保守制御管理部4は、Femto AP1の保守制御や、ローカル保守端末8に保守管理制御用のヒューマンインタフェースを提供する。有線側通信部7は、ローカル保守端末8との接続を管理する。
【0004】
上記の構成において、従来ではFemto AP1を日常的に保守管理する場合、Femto AP1はローカル保守端末8との接続を確立し、ファームウェアのダウンロード等の保守管理を行う。
【0005】
なお、Femto APに関する従来技術として、例えば特許文献1,2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−301086号公報
【特許文献2】特開2008−224657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のFemto AP1のファームウェアのダウンロード等の日常の保守管理を行う場合は次のような課題があった。
第1の課題は、ローカル保守端末8をユーザが別途用意する必要があり、これが無いと保守そのものができない。
第2の課題は、Femto AP1の保守管理はローカル保守端末8からのみ行えるため、ユーザがローカル保守端末8の立ち上げから、Femto APとの接続等の作業を行う必要があり、ユーザの負担が重い。
本発明は、携帯端末にFemto APの保守制御用のサービス機能を付加することにより利便性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による基地局装置は、携帯端末と無線通信する無線通信手段と、前記無線通信手段が受信したデータがユーザデータであるか制御データであるかを判定する判定手段と、 前記判定手段が前記受信データが前記制御データであると判定したとき、前記携帯端末と接続を確立する制御データ処理手段と、前記判定手段が前記受信データが前記ユーザデータであると判定したとき、そのユーザデータにおける所定のアドレスデータを検出する検出手段と、当該基地局装置を保守管理するための保守制御データを保持し、前記検出手段が前記所定のアドレスデータを検出したとき、前記保守制御データを前記携帯端末に送信する保守管理手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
本発明による基地局装置の通信方法は、携帯端末と無線通信する無線通信工程と、前記無線通信工程により受信したデータがユーザデータであるか制御データであるかを判定する判定工程と、前記判定工程により前記受信データが前記制御データであると判定したとき、前記携帯端末と接続を確立する制御データ処理工程と、前記判定工程により前記受信データが前記ユーザデータであると判定したとき、そのユーザデータにおける所定のアドレスデータを検出する検出工程と、基地局装置を保守管理するための保守制御データを保持し、前記検出工程により前記所定のアドレスデータを検出したとき、前記保守制御データを前記携帯端末に送信する保守管理工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明によるプログラムは、携帯端末と無線通信する無線通信処理と、前記無線通信処理により受信したデータがユーザデータであるか制御データであるかを判定する判定処理と、前記判定処理により前記受信データが前記制御データであると判定したとき、前記携帯端末と接続を確立する制御データ処理と、前記判定処理により前記ユーザデータと判定したとき、そのユーザデータにおける所定のアドレスデータを検出する検出処理と、前記検出処理により前記所定のアドレスデータを検出したとき、当該基地局装置を保守管理するための保守制御データを記携帯端末に送信する保守管理処理とをコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、携帯端末から基地局装置を保守管理することができるので、従来のように保守管理用のローカル端末を別途用意する必要がなくなり、また、それを立ち上げたりする作業も必要がなく、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態による動作を示すフローチャートである。
【図3】従来のFemto APの構成及びFemto APを保守管理する場合の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
本実施の形態は、予めFemto AP用保守制御用URLを決定すると共に、Femto APがオペレータ独自のユーザプレーン用プロトコルを保持することで、データ処理部5において、受信データがユーザデータであることを判定した後、上記オペレータ独自のユーザプレーン用プロトコル上をスキャンニングすることでFemto AP用保守制御用URLがあるかどうかを判定し、Femto AP用保守制御用URLであった場合には保守制御管理部4との接続を確立することにより、携帯端末2を用いてFemto APの保守制御を可能にしたものである。
【0014】
図1は図3におけるFemto AP1のデータ処理部5の本発明の実施の形態による構成を示すブロック図である。
図1において、無線データ識別部5は、予めオペレータが規定したユーザプレーン用プロトコルスタックを所有する。また、この無線データ識別部5は、図3の無線側通信部3と送受信するデータを監視し、受信したデータが制御データ(制御プレーンデータ)かユーザデータ(ユーザプレーンデータ)かを識別すると共に、ユーザデータである場合にそのユーザデータの行き先を振り分ける。保守制御管理インタフェース部10、ユーザデータ処理部11、制御データ処理インタフェース部12は、無線データ識別部9の識別に応じて選択的に接続される。また、これらの各部10,11,12は有線側データ識別部13に接続される。
【0015】
有線側データ識別部13は図3の有線側通信部7に接続される。また、保守制御管理インタフェース部10は図3の保守制御管理部4のインタフェースであり、制御データ処理インタフェース部12は図3の制御データ処理部6のインタフェースである。また、保守制御管理部4は、Femto AP1を保守管理する保守制御データ等を所有し、これを携帯端末2に送信する機能を有する。
【0016】
次に、上記構成による動作について説明する。
図1において、無線側データ識別部5は、図3の無線側通信部3からの受信データが制御データデータか、ユーザデータかを判定する。制御データデータであると判定した場合は、制御データ処理インタフェース部12を通じて制御データ処理部6と送受信を行い、携帯端末2との接続を確立する。
【0017】
また、受信データがユーザデータであると判定した場合は、従来ではユーザデータ処理部11にそのまま送信していたが、本実施の形態では、所有する前記オペレータ独自のプロトコルスタックをスキャンし、ユーザデータの要求URL情報を監視する。要求URL情報が予め決定したFemto AP保守管理用URLであることを検出した場合には、ユーザデータ処理部11にユーザデータを転送するのではなく、保守制御管理インタフェース部10を介して保守制御管理部4にユーザデータを引き渡す。これにより携帯端末2と保守制御管理部4との間に接続を確立させ、保守制御管理部4は保守管理操作用画面等の保守制御データを携帯端末2に送信する。この結果、Femto AP1の保守管理を携帯端末2の画面を通じて実行できるようになる。
【0018】
図2はデータ処理部5の動作を示すフローチャートである。
最初に無線側通信部3から受信するデータのヘッダー情報を確認し(ステップS1)、ユーザデータか、制御データかを判定する(ステップS2)。判定の結果、制御データの場合は、従来通り制御データ処理インタフェース部12と接続して送受信させる(ステップS3)。
【0019】
受信データがユーザデータである場合は、ユーザデータ内のオペレータ独自プロトコルを解析し(ステップS4)、実際のユーザデータ内の要求される行き先URLがFemto AP保守管理用URLであるか否かを判定し(ステップS5)、保守管理用URLの場合には、保守制御管理インタフェース部10との接続を確立させる(ステップS6)。その他のユーザデータについてはユーザデータ処理部11と接続を確立させる(ステップS7)。
【0020】
なお、本実施の形態では、Femto AP1の保守制御管理部4により ローカル保守端末8等と図3のように接続すれば、従来と同様にFemto AP1の保守管理を行うこともできる。
【0021】
以上説明したように、本実施の形態によれば、保守制御管理部4に保守制御データを持たせると共に、無線データ識別部5が当該基地局装置のアドレスを検出したとき、上記保守制御データを携帯端末2に送信するように構成したので、Femto AP1に一度使用許可が得られた携帯端末2の画面を操作することにより、当該基地局装置の保守管理を行うことができる。
【0022】
従って、従来のようにFemto APのユーザがローカル保守端末を別途準備することなく、Femto APの日常の保守管理ができ、利便性を高めることができる。
なお、本発明は、Femto AP、携帯端末と接続するホームゲートウェイ、携帯端末と接続するホームルータ等に利用することができる。
【0023】
次に、本発明の実施の形態によるプログラム及びコンピュータ読取可能な記録媒体について説明する。
前記実施の形態におけるフローチャートで説明した機能をプログラム化し、予めROMなどの記録媒体に書き込んでおき、このROMを画像形成装置に搭載し、そこのCPUやマイクロプロセッサでROM内のプログラムを実行することによって、本発明の目的を達成することができる。その場合、上記プログラムおよび記録媒体は本発明によるプログラムおよびコンピュータ読取可能な記録媒体を構成する。記録媒体としては半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD−R等)、磁気媒体(たとえば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステム等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。さらに、上述したプログラムをサーバコンピュータのHDD等の記憶装置に格納しておき、ネットワークで接続された利用者のコンピュータからダウンロードして頒布する場合、また、サーバコンピュータから配信して頒布する場合、このサーバコンピュータの記憶装置も本発明の記録媒体に含まれる。このように、本発明の機能をプログラムして、記録媒体に記録し頒布することによって、コスト、可搬性、汎用性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 Femto AP
2 携帯端末
3 無線側通信部
4 保守制御管理部
5 データ処理部
6 制御データ処理部
9 無線データ識別部
10 保守制御管理インタフェース部
11 ユーザデータ処理部
12 制御データ処理インタフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と無線通信する無線通信手段と、
前記無線通信手段が受信したデータがユーザデータであるか制御データであるかを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記受信データが前記制御データであると判定したとき、前記携帯端末と接続を確立する制御データ処理手段と、
前記判定手段が前記受信データが前記ユーザデータであると判定したとき、そのユーザデータにおける所定のアドレスデータを検出する検出手段と、
当該基地局装置を保守管理するための保守制御データを保持し、前記検出手段が前記所定のアドレスデータを検出したとき、前記保守制御データを前記携帯端末に送信する保守管理手段とを備えたことを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
当該基地局装置がFemto APであることを特徴とする請求項1項記載の基地局装置。
【請求項3】
携帯端末と無線通信する無線通信工程と、
前記無線通信工程により受信したデータがユーザデータであるか制御データであるかを判定する判定工程と、
前記判定工程により前記受信データが前記制御データであると判定したとき、前記携帯端末と接続を確立する制御データ処理工程と、
前記判定工程により前記受信データが前記ユーザデータであると判定したとき、そのユーザデータにおける所定のアドレスデータを検出する検出工程と、
基地局装置を保守管理するための保守制御データを保持し、前記検出工程により前記所定のアドレスデータを検出したとき、前記保守制御データを前記携帯端末に送信する保守管理工程とを備えたことを特徴とする基地局装置の通信方法。
【請求項4】
前記基地局装置がFemto APであることを特徴とする請求項3項記載の基地局装置の通信方法。
【請求項5】
携帯端末と無線通信する無線通信処理と、
前記無線通信処理により受信したデータがユーザデータであるか制御データであるかを判定する判定処理と、
前記判定処理により前記受信データが前記制御データであると判定したとき、前記携帯端末と接続を確立する制御データ処理と、
前記判定処理により前記ユーザデータと判定したとき、そのユーザデータにおける所定のアドレスデータを検出する検出処理と、
前記検出処理により前記所定のアドレスデータを検出したとき、当該基地局装置を保守管理するための保守制御データを記携帯端末に送信する保守管理処理とをコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−161710(P2010−161710A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3556(P2009−3556)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】