基地局装置、ユーザ装置、通信システム及び通信方法
【課題】上り信号の再送の要否を示す送達確認情報(PHICH)の伝送効率及び受信品質の向上を図ること。
【解決手段】基地局装置はPHICHを用意する手段と、所定のマッピングテーブルに従って、ユーザ多重数分のPHICHの各々を、I又はQチャネルにマッピングする手段と、PHICHを各ユーザに通知する手段とを有する。ユーザ装置は、上りリンクの無線リソースの割当情報を含む下り制御信号を復調する手段と、割当情報に従って、上りリンクで共有データチャネルを送信する手段と、共有データチャネルの再送の要否を示すPHICHを、所定のマッピングテーブルに従って下り制御信号から取り出す手段とを有する。マッピングテーブルは、ユーザ多重数が所定数以下の場合、PHICHをI又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、PHICHをI及びQチャネルに対応付けることを示す。
【解決手段】基地局装置はPHICHを用意する手段と、所定のマッピングテーブルに従って、ユーザ多重数分のPHICHの各々を、I又はQチャネルにマッピングする手段と、PHICHを各ユーザに通知する手段とを有する。ユーザ装置は、上りリンクの無線リソースの割当情報を含む下り制御信号を復調する手段と、割当情報に従って、上りリンクで共有データチャネルを送信する手段と、共有データチャネルの再送の要否を示すPHICHを、所定のマッピングテーブルに従って下り制御信号から取り出す手段とを有する。マッピングテーブルは、ユーザ多重数が所定数以下の場合、PHICHをI又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、PHICHをI及びQチャネルに対応付けることを示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動通信の技術分野に関連し、特に次世代移動通信技術を用いる移動通信システム、基地局装置、ユーザ装置及び方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術分野では、いわゆる第3世代の後継となる移動通信方式が、ワイドバンド符号分割多重接続(W-CDMA)方式の標準化団体3GPPにより検討されている。特に、W-CDMA方式、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)方式及び高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)方式等の後継として、ロングタームエボリューション(LTE: Long Term Evolution)に関する検討が急ピッチで進められている。LTEにおける下りリンクの無線アクセス方式は、直交周波数分割多重接続(OFDM: Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式である。上りリンクについてはシングルキャリア周波数分割多重接続(SC-FDMA: Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)方式が使用される(これについては例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
OFDM方式は、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータを載せて伝送を行うマルチキャリア伝送方式である。サブキャリアを周波数軸上に直交させながら密に並べることで高速伝送を実現し、周波数の利用効率を上げることが期待できる。
【0004】
SC−FDMA方式は、周波数帯域を端末毎に分割し、複数の端末間で異なる周波数帯域を用いて伝送するシングルキャリア伝送方式である。端末間の干渉を簡易且つ効果的に低減することができることに加えて送信電力の変動を小さくできるので、この方式は端末の低消費電力化及びカバレッジの拡大等の観点から好ましい。
【0005】
LTEシステムでは、下りリンクでも上りリンクでもユーザ装置に1つ以上のリソースブロック(RB: Resource Block)又はリソースユニット(RU: Resource Unit)を割り当てることで通信が行われる。リソースブロックはシステム内の多数のユーザ装置で共有される。基地局装置は、LTEでは1msであるサブフレーム(Sub-frame)毎に、複数のユーザ装置の内どのユーザ装置にリソースブロックを割り当てるかを決定する。サブフレームは送信時間間隔(TTI)と呼ばれてもよい。無線リソースの割り当ての決定はスケジューリングと呼ばれる。下りリンクではスケジューリングで選択されたユーザ装置宛に、基地局装置は1以上のリソースブロックで共有チャネルを送信する。この共有チャネルは、下り物理共有チャネル(PDSCH: Physical Downlink Shared CHannel)と呼ばれる。上りリンクではスケジューリングで選択されたユーザ装置が、1以上のリソースブロックで基地局装置に共有チャネルを送信する。この共有チャネルは、上り物理共有チャネル(PUSCH: Physical Uplink Shared CHannel)と呼ばれる。
【0006】
上述したような共有チャネルを用いた通信システムにおいては、原則としてサブフレーム毎にどのユーザ装置に共有チャネルを割り当てるかをシグナリング(通知)する必要がある。このシグナリングに用いられる制御チャネルは、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH: Physical Downlink Control CHannel)または下りL1/L2制御チャネル (DL-L1/L2 Control Channel)と呼ばれる。下り制御信号には、このPDCCHに加えて、物理制御フォーマットインジケータチャネル(PCFICH: Physical Control Format Indicator CHannel)や、物理ハイブリッドARQインジケータチャネル(PHICH: Physical Hybrid ARQ Indicator CHannel)等が含まれてもよい。
【0007】
PDCCHには、例えば次の情報が含まれてよい(これについては例えば、非特許文献2参照):
・下りスケジューリング情報(Downlink Scheduling Information)、
・上りリンクスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)、
・オーバロードインジケータ(Overload Indicator)及び
・送信電力制御コマンドビット(Transmission Power Control Command Bit)。
【0008】
下りスケジューリング情報には、例えば、下りリンクの共有チャネルに関する情報が含まれ、具体的には、下りリンクのリソースブロックの割り当て情報、ユーザ装置の識別情報(UE-ID)、ストリーム数、プリコーディングベクトル(Pre-coding Vector)に関する情報、データサイズ、変調方式、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)に関する情報等が含まれる。
【0009】
また、上りリンクスケジューリンググラントには、例えば、上りリンクの共有チャネルに関する情報が含まれ、具体的には、上りリンクのリソースの割り当て情報、ユーザ装置の識別情報(UE-ID)、データサイズ、変調方式、上りリンクの送信電力情報、アップリンクMIMO(Uplink MIMO)におけるデモジュレーションレファレンスシグナル(Demodulation Reference Signal)の情報等が含まれる。
【0010】
PCFICHは、PDCCHのフォーマットを通知するための情報である。より具体的には、PDCCHのマッピングされるOFDMシンボル数が、PCFICHにより通知される。LTEでは、PDCCHのマッピングされるOFDMシンボル数は1,2又は3であり、サブフレームの先頭のOFDMシンボルから順にマッピングされる。
【0011】
PHICHは、上りリンクで伝送されたPUSCHについて再送を要するか否かを示す送達確認情報(ACK/NACK: Acknowledgement/Non-Acknowledgement information) を含む。
【0012】
なお、用語の定義の問題であるが、PDCCH、PCFICH及びPHICHがそれぞれ対等な独立したチャネルとして定義されてもよいし、或いはPDCCHの中にPCFICH及びPHICHが含まれるように定義されてもよい。
【0013】
上りリンクではPUSCHによりユーザデータ(通常のデータ信号)及びそれに付随する制御情報が伝送される。また、PUSCHとは別に、上りリンク制御チャネル(PUCCH: Physical Uplink Control CHannel)により、下りリンクの品質情報(CQI: Channel Quality Indicator)及びPDSCHの送達確認情報(ACK/NACK)等が伝送される。CQIは、下りリンクにおける共有物理チャネルのスケジューリング処理や適応変復調及び符号化処理(AMCS: Adaptive Modulation and Coding Scheme)等に使用される。上りリンクでは、ランダムアクセスチャネル(RACH)や、上下リンクの無線リソースの割り当て要求を示す信号等も必要に応じて伝送される。
【0014】
図1は下り信号のマッピング例を模試的に示す。図示の例では、リファレンス信号RSとPHICH(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel, or ACK/NACK)が先頭のOFDMシンボルにマッピングされている。例えば1msのサブフレームは、例えば0.5msのスロット2つで構成される。1つのスロットは、例えば6つ又は7つのOFDMシンボルで構成される。上述したように1サブフレームの内、先頭の1〜3個のOFDMシンボルは、下り制御信号(及びリファレンス信号)で占められる。
【0015】
ところで、PHICHはACK/NACKを表現するので本質的には1ビットで表現可能である一方、再送制御で最も基礎的な情報であり、システムのスループットに大きく影響を及ぼす。この点、通常は多ビットで表現される他の制御情報と大きく異なる。図示の例では、ユーザ一人分のPHICH(ACK/NACK)が所定の拡散率SF(例えば、SF=4)で拡散され、4ユーザ分のPHICHが同じ4つのサブキャリアに符号多重されている。図示の例では、信頼性を向上させるため、その4ユーザ分のPHICHが周波数軸上で3箇所にマッピングされている。言い換えれば、この4ユーザ分のPHICHは異なる3つの周波数で同時に伝送される。
【0016】
通常の信号伝送では伝送効率を向上させる観点から、直交変調方式が採用される。しかしながらACK/NACKのような1ビットの情報を同相成分(I-ch)及び直交成分(Q-ch)に分けて伝送することは、伝送効率の観点からは好ましくない。そこでPHICHについては、直交する一方の成分のみで伝送することが考えられる。
【0017】
図2は、4ユーザ分のPHICHを4つのサブキャリア上で符号多重しながらIチャネル(I-ch)だけにマッピングしている様子を示す。Qチャネル(Q-ch)だけにマッピングすることも可能である。
【0018】
図3は、8ユーザ分のPHICHを4つのサブキャリア上で符号多重しながらIチャネル及びQチャネルにマッピングしている様子を示す。1ユーザのPHICHはI又はQチャネルの一方にマッピングされる。ユーザ多重数を増やす観点からは、図3に示されるように多重することが好ましい。4ユーザ分のACK/NACKをIチャネルにマッピングし、別の4ユーザ分のACK/NACKをQチャネルにマッピングすることで、ユーザ多重数(情報伝送量)を2倍に増やすことができる(これについては、例えば非特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】3GPP TR 25.814 (V7.0.0), "Physical Layer Aspects for Evolved UTRA," June 2006
【非特許文献2】3GPP R1-070103, Downlink L1/L2 Control Signaling Channel Structure: Coding
【非特許文献3】3GPP TR36.211(V0.2.2),"Physical Channels and Modulation", November 2006
【非特許文献4】3GPP R1-074580, "PHICH Channel Structure", Motorola, November 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
各ユーザのACK/NACKの伝送効率を向上させるため、Iチャネル及びQチャネルを別々に利用するには、図4に示されるようにIチャネル及びQチャネル間の直交性が正確に確保されていることを要する。しかしながら実際にはチャネル推定精度に若干の誤差が含まれ、直交性がいくらか乱れることもある(図5)。直交性が乱れると、I及びQチャネル間に干渉が生じ、ACK/NACKの誤認定を招き、ひいてはシステムのスループットに悪影響を及ぼすことが懸念される。
【0021】
本発明の課題は、上り信号の再送の要否を示す送達確認情報の伝送効率及び受信品質の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
開示される発明による基地局装置は、
複数のリソースブロックが周波数方向に配置されているとともに、各リソースブロックに対してリソースブロック番号が付与されており、1以上のリソースブロックに割り当てられた上り物理共有チャネルをユーザ装置から受信する受信部と、
前記受信部において受信した上り物理共有チャネルに対する送達確認情報を生成する生成部と、
前記生成部において生成した送達確認情報をユーザ装置へ送信する送信部とを備え、
前記送信部から送信される送達確認情報のリソースは、前記受信部において受信した上り物理共有チャネルを割り当てた1以上のリソースブロックのうち、最小のリソースブロック番号に対応づけられていることを特徴とする基地局装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上り信号の再送の要否を示す送達確認情報の伝送効率及び受信品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】下り信号のマッピング例を示す図である。
【図2】4ユーザのACK/NACKをIチャネルだけにマッピングした様子を示す図である。
【図3】8ユーザのACK/NACKをIチャネル及びQチャネルにマッピングした様子を示す図である。
【図4】I-Qチャネル間の直交性が正確に維持されている様子を示す図である。
【図5】I-Qチャネル間に干渉が生じる様子を示す図である。
【図6】本発明の一実施例による動作例を示すフローチャートである。
【図7】上りリンクでのリソースブロックの割当例を示す図である。
【図8】PHICH-1〜16と直交変調成分との対応関係を示す図である。
【図9】制御チャネルのマッピング位置を利用する場合に適切なPHICHのマッピング位置を示す図である。
【図10】制御チャネルのマッピング位置を利用する場合には不適切なPHICHのマッピング位置を示す図である。
【図11】上りリンクでのリソースブロックの別の割当例を示す図である。
【図12】PHICH-1〜16と直交変調成分との別の対応関係を示す図である。
【図13】リソースブロックのマッピング位置を利用する場合に適切なPHICHのマッピング位置を示す図である。
【図14】16ユーザ分のPHICHの割当場所が3箇所で互いに異なるようにする例を示す図である。
【図15】本発明の一実施例による基地局装置の一部の機能ブロック図を示す。
【図16】本発明の一実施例によるユーザ装置の一部の機能ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一形態による基地局装置は、少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送される移動通信システムで使用される。基地局装置は、上りリンクで受信した信号の再送の要否を示す送達確認情報を用意する手段と、所定のマッピングテーブルに従って、ユーザ多重数分の送達確認情報の各々を、Iチャネル又はQチャネルにマッピングする手段と、前記送達確認情報を各ユーザに通知する手段とを有する。前記マッピングテーブルは、ユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示す。
【0026】
ユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報(ACK/NACK)をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付けるので、I及びQチャネル双方に対応付ける場合に比べて、送達確認情報の伝送効率及び受信品質を向上させることができる。
【0027】
当該基地局装置は、上りリンクのリソースブロックの割当情報をユーザ毎に用意するスケジューラを更に備えてもよい。下り制御信号中のユーザ毎の割当情報のマッピング位置と、各ユーザへの送達確認情報のIチャネル又はQチャネルにおけるマッピング位置とが一意に対応付けられてもよい。これは、送達確認情報各々に明示的にユーザIDを付随させず、ユーザと送達確認情報のマッピング位置との対応関係を簡易に設定する観点から好ましい。
【0028】
或いは、あるユーザの上り共有データチャネルに割り当てられたリソースブロックと、該ユーザへの送達確認情報のIチャネル又はQチャネルにおけるマッピング位置とが一意に対応付けられてもよい。これは、送達確認情報各々に明示的にユーザIDを付随させず、ユーザと送達確認情報のマッピング位置との対応関係を、実際に使用したリソースブロックの位置から直接的に決定できる点で好ましい。
【0029】
ユーザ多重数が所定数以下であった場合、上りリンクでユーザに割り当てられるリソースブロック数が、偶数個に制限されることが好ましい。これは、奇数番目又は偶数番目のマッピング位置を直交変調チャネルの一方だけに簡易に割り当てる観点から好ましい。
【0030】
所定数以下の送達確認情報の組が、同一サブフレーム内で異なる周波数で反復的に伝送され、ある組と別の組の間で、Iチャネルに又はQチャネルにマッピングされる少なくとも2つの送達確認情報のマッピング順序が異なってもよい。これは、干渉のランダム化を促す観点から好ましい。
【0031】
各ユーザの送達確認情報は所定の拡散率で拡散され、拡散された送達確認情報の複数個が同じ周波数に符号多重されてもよい。
【0032】
本発明の一形態による方法は、少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送される移動通信システムの基地局装置で使用される。本方法は、 上りリンクで受信した信号の再送の要否を示す送達確認情報を用意するステップと、所定のマッピングテーブルに従って、ユーザ多重数分の送達確認情報の各々を、Iチャネル又はQチャネルにマッピングするステップと、前記送達確認情報をユーザに通知するステップとを有する。前記マッピングテーブルは、ユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示す。
【0033】
本発明の一形態によるユーザ装置は、少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送される移動通信システムで使用される。本ユーザ装置は、上りリンクの無線リソースの割当情報を含む下り制御信号を復調する手段と、前記割当情報に従って、上りリンクで共有データチャネルを送信する手段と、前記共有データチャネルの再送の要否を示す送達確認情報を、所定のマッピングテーブルに従って下り制御信号から取り出す手段とを有する。前記マッピングテーブルは、下り制御信号のユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示す。
【0034】
本発明の一形態による方法は、少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送される移動通信システムでのユーザ装置で使用される。本方法は、上りリンクの無線リソースの割当情報を含む下り制御信号を復調するステップと、前記割当情報に従って、上りリンクで共有データチャネルを送信するステップと、前記共有データチャネルの再送の要否を示す送達確認情報を、所定のマッピングテーブルに従って下り制御信号から取り出すステップとを有する。前記マッピングテーブルは、下り制御信号のユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示す。
【0035】
以下、本発明の実施例が以下の観点から説明される。
【0036】
1.制御情報のマッピング位置を利用する動作例
2.リソースブロック番号を利用する動作例
3.並べ替えを行う動作例
4.基地局装置(eNB)
5.ユーザ装置(UE)
【実施例1】
【0037】
<1.制御情報のマッピング位置を利用する動作例>
図6は本発明の一実施例による動作例を示すフローチャートである。ステップS1では、基地局がスケジューリングを行い、下りリンク及び上りリンクについて無線リソースの割当計画を立てる。無線リソースがどのように割り当てられるかは、下りリンクについては、下りスケジューリング情報により示される。上りリンクについては、上りスケジューリング情報(アップリンクスケジューリンググラント)により示される。下り及び上りのスケジューリング情報は、下り物理制御チャネル(PDCCH)に含まれる。
【0038】
本実施例では、上りリンクにSC-FDMA方式を使用する移動通信システムが使用される。従って、一人のユーザに複数個のリソースブロックが割り当てられる場合、その複数個のリソースブロックは連続した周波数帯域を占めるように、スケジューリングは制約される。OFDM方式のようなマルチキャリア方式が使用される場合、そのような制約は必須でない。
【0039】
ステップS2では、PCFICH及びPDCCHを少なくとも含む下り制御信号及び下り物理共有チャネル(PDSCH)が基地局からユーザ装置に送信される。
【0040】
ステップS3では、ユーザ装置が下り制御信号を復調する。物理制御フォーマットインジケータチャネル(PCFICH)を読み取ることで、1サブフレームの内、PDCCHはいくつのOFDMシンボルを占めているか、どのOFDMシンボル以降がPDSCHであるか等を確認することができる。ユーザ装置は、受信したPDCCHの内、自装置宛のPDCCHが含まれているか否かを確認する。制御信号には一般に複数のユーザのPDCCHが多重されている。説明の便宜上、ユーザ多重数をNとし、N個のPDCCHをPDCCH-1, PDCCH-2, …, PDCCH-Nとする。制御信号にはこれらN個のPDCCHの情報ブロックが含まれている。ユーザ装置に下り及び/又は上りリンクの無線リソースが割り当てられている場合、N個の情報ブロックの何れかが、そのユーザ装置宛のPDCCHである。
【0041】
ユーザ装置は、N個の情報ブロックの1つ目から順に復調を試みる。例えば各情報ブロックのCRCに畳み込まれたユーザIDを確認することで、自装置宛のPDCCHを含む情報ブロックの有無を判定することができる。x番目の情報ブロックが自装置宛であった場合、ユーザ装置はその情報ブロックのPDCCH-xから自装置宛のスケジューリング情報等を取り出す。N個の情報ブロックの復調を試みた結果、どの情報ブロックも自装置宛でなかった場合、そのユーザに無線リソースは割り当てられていない。
【0042】
図7は、一例としてユーザ多重数Nが5であり、上りリンクの無線リソースが次のように割り当てられていた場合の例を示す。
【0043】
PDCCH-1: UE-A;RB1;4
PDCCH-2: UE-B;RB5;5
PDCCH-3: UE-C;RB10;2
PDCCH-4: UE-D;RB12;3
PDCCH-5: UE-E;RB15;2。
【0044】
ユーザ装置UE-AにはリソースブロックRB1から4つのリソースブロックRB1〜RB4が割り当てられる。
【0045】
ユーザ装置UE-BにはリソースブロックRB5から5つのリソースブロックRB5〜RB9が割り当てられる。
【0046】
ユーザ装置UE-CにはリソースブロックRB10から2つのリソースブロックRB10,RB11が割り当てられる。
【0047】
ユーザ装置UE-DにはリソースブロックRB12から3つのリソースブロックRB12〜RB14が割り当てられる。
【0048】
ユーザ装置UE-EにはリソースブロックRB15から2つのリソースブロックRB15,RB16が割り当てられる。
【0049】
ユーザ多重数やリソースブロック数等は単なる一例に過ぎず、適切な如何なる数値が使用されてもよい。
【0050】
図6のステップS4では、上りスケジューリング情報に従って上記のリソースブロックで各ユーザ装置から上り物理共有チャネル(PUSCH)が送信される。
【0051】
ステップS5では、各ユーザ装置からのPUSCHを基地局が受信し、再送の要否をPUSCH毎に判定する。再送の要否は、一例としてPUSCHの誤り検出結果に基づいて決定される。再送を要しない場合、肯定応答(ACK)を示す送達確認情報が用意される。再送を要する場合、否定応答(NACK)を示す送達確認情報が用意される。送達確認情報は、PUSCHを送信した全てのユーザに用意される。送達確認情報は、下り制御信号中のPHICHとして各ユーザに通知される。目下の例では、5人のユーザUE-A〜Eが上り物理共有チャネルを送信しているので、5人分の送達確認情報が用意され、便宜上それらをPHICH-1, PHICH-2,…,PHICH-5とする。従って下り制御信号に5人分のPHICHが含まれる。
【0052】
各ユーザは下り制御信号の中から自装置宛のPHICHを取り出す必要がある。この場合、PHICH-1〜5の各々にユーザの識別情報を付随させることが考えられるかもしれないが、情報伝送効率の観点からそれは好ましくない。PHICHのビット数は非常に少ないが、ユーザIDには多くのビット数を要するからである。本実施例では、PHICHの各々に明示的なユーザIDを付随させない。その代わりに、ユーザ装置の各々が適切に自装置宛のPHICHを取り出せるように、下り制御信号におけるPHICHのマッピングが工夫される。
【0053】
ステップS6では、所定のマッピングテーブルに従って、各ユーザのPHICH-1〜5が制御信号にマッピングされる。PHICH-1〜5とUE-A〜Eとの対応関係は、PDCCH-1〜5を介して特定される。例えば、ステップS3で説明した1つ目の情報ブロック(PDCCH-1)にはUE-Aの情報が含まれていたので、UE-A宛のPHICHは、1つ目のPHICH(PHICH-1)に対応付けられる。2つ目の情報ブロック(PDCCH-2)にはUE-Bの情報が含まれていたので、UE-B宛のPHICHは、2つ目のPHICH(PHICH-2)に対応付けられる。以下同様に、UE-C宛のPHICHはPHICH-3に対応付けられ、UE-D宛のPHICHはPHICH-4に対応付けられ、UE-E宛のPHICHはPHICH-5に対応付けられる。
【0054】
本動作例では、ユーザ多重数が所定数以下の場合、各ユーザのPHICHはIチャネルだけにマッピングされる。ユーザ多重数が所定数より多い場合、所定数分はIチャネルにマッピングされ、所定数を越える分はQチャネルにマッピングされる。所定数は、典型的にはPUSCHを同時に送信可能な最大ユーザ多重数の半分である。
【0055】
図8は、PHICH-1〜8はIチャネルにマッピングされ、PHICH-9〜16はQチャネルにマッピングされることを模式的に示す。ユーザ多重数が5の場合、PHICH-1〜5がIチャネルにマッピングされ、この場合、Qチャネルは使用されない。図示の例では、リソースブロック総数16とPHICHの最大ユーザ多重数16とが一致するようになっているが、このことは本発明に必須でない。PUSCHの最大ユーザ多重数とPHICHの最大ユーザ多重数が一致していればよい。
【0056】
図9は、図8のPHICH-1〜16がIチャネル及びQチャネルにどのように対応付けられるかの一例を示す。PHICH-1〜4は、4つのサブキャリア1-4に符号多重され、PHICH-5〜9は別の4つのサブキャリア5-8に符号多重され、それらは全てIチャネルにマッピングされる。符号拡散率SFは4であるものとしている。PHICH-9〜12も、4つのサブキャリア1-4に符号多重され、PHICH-13〜16も別の4つのサブキャリア5-8に符号多重されるが、それらは全てQチャネルにマッピングされる。実際の通信では16個全てのPHICHが常に必要になるわけではない。場合によってはユーザ多重数が8個以下の場合もある。そのような場合、8個以下のPHICHはIチャネルだけにマッピングされ、Qチャネルは使用されない。目下の例では、5つのPHICHが用意されているので、それらは、#1〜#5の場所にマッピングされ、Iチャネルだけが使用される。この場合における1つの「場所」は、I又はQチャネルの何れが使用されるか、4つの拡散符号のどれが使用されるか、及びサブキャリア1-4又は5-8の何れが使用されるかを一意に特定する。
【0057】
図示の例では最大ユーザ多重数は16であるが、別の数値が使用されてもよい。最大ユーザ多重数がセル毎に異なる場合、その最大ユーザ多重数毎にPHICHのマッピングパターンがシステムで用意され、それらのマッピングパターンは全てのユーザ装置に予め記憶されている。最大ユーザ多重数は報知情報等で報知される。従ってユーザ装置は報知情報を読み取ることで、在圏セルでどのようなマッピングパターンが使用されているかを特定できる。
【0058】
図6のステップS7では、図9に示されるような場所にマッピングされているPHICH(上記の例では、PHICH-1〜5)が各ユーザに通知される。
【0059】
ステップS8では、上記のマッピングテーブルを利用して、各ユーザ装置は自装置に関連するPHICHを下り制御信号から読み取る。この場合における下り制御信号は、PCFICH及びPDCCHに加えてPHICHを含んでいる。各ユーザ装置は、ステップS3で自装置宛のPDCCHが何番目にマッピングされていたかを記憶している。x番目にマッピングされていた場合、そのユーザの送達確認情報は、x番目のPHICH(PHICH-x)に書き込まれている。従って、
ユーザ装置UE-Aは、PHICH-1を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0060】
ユーザ装置UE-Bは、PHICH-2を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0061】
ユーザ装置UE-Cは、PHICH-3を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0062】
ユーザ装置UE-Dは、PHICH-4を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0063】
ユーザ装置UE-Eは、PHICH-5を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0064】
再送を要しない場合、未送信の(新規の)PUSCHがステップS9で送信される。新規のPUSCH用の無線リソースは、ステップS7で通知されたPDCCHのアップリンクスケジューリンググラントで指定される。再送を要する場合、ステップS4で送信したPUSCHがステップS9で再送される。再送用の無線リソースは、新規のパケットとは別に予め決められていてもよいし、新規パケットと同様にアップリンクスケジューリンググラントに従って再送の度に通知されてもよい。
【0065】
本動作例によれば、最大で16ユーザが多重可能な場合、8ユーザ以下の多重数であれば、Iチャネルだけ又はQチャネルだけにPHICHをマッピングし、PHICHの伝送効率及び受信品質の向上を図ることができる。
【0066】
図9の例では、先にIチャネルから順にPHICHがマッピングされるようになっていたが、Qチャネルから順にマッピングするように、マッピングテーブルが用意されてもよい。PHICHのマッピング方法は図9に示されるものに限定されず、様々なマッピングがなされてもよい。しかしながら、#1から番号順にPHICHをマッピングする際、図10に示されるように、4ユーザ分のPHICHがIチャネルに、別の4ユーザ分のPHICHがQチャネルにマッピングされたのでは上記の利点が得られなくなってしまう点に留意を要する。従って、より一般的には、最大ユーザ多重数の半分(目下の例では、8)以下の個数のPHICHが、2つの直交変調成分の一方だけにマッピングされる必要がある。
【0067】
<2.リソースブロック番号を利用する動作例>
以下の動作例も図6に示されるのと同様なフローチャートで表現されるので、本動作例でも各ステップが順に説明される。但し、リソースブロックの割当法(ステップS1)、マッピングテーブル(ステップS6)及びユーザ装置での処理(ステップS8)での動作が説明済みの動作と特に異なる。
【0068】
ステップS1では、基地局がスケジューリングを行い、下りリンク及び上りリンクについて無線リソースの割当計画を立てる。
【0069】
本動作例でも、上りリンクにSC-FDMA方式を使用する移動通信システムが使用される。従って、一人のユーザに複数個のリソースブロックが割り当てられる場合、その複数個のリソースブロックは連続した周波数帯域を占めるように、スケジューリングは制約される。更に、本動作例では、下り制御信号で多重するユーザ数が所定数以下であるか否かが判定され、ユーザ多重数が所定数以下(典型的には、最大多重数の半分以下)であれば、ユーザに割り当てられるリソースブロック数は偶数個に制限される。ユーザ多重数が所定数より大きかった場合、割り当てるリソースブロック数は奇数でも偶数でもよい。ユーザ多重数に応じて、割り当てられるリソースブロック数に制約が課せられたり課せられなかったりすることは、第1の動作例と大きく異なる。
【0070】
ステップS2では、PCFICH及びPDCCHを少なくとも含む下り制御信号及び下り物理共有チャネル(PDSCH)が基地局からユーザ装置に送信される。
【0071】
ステップS3では、ユーザ装置が下り制御信号を復調する。ユーザ装置は、受信したPDCCHの内、自装置宛のPDCCHが含まれているか否かを確認する。自装置宛のPDCCHが存在していた場合、指定されているリソースブロックを用いた通信に備える。
【0072】
図11はこのPDCCHにより指定され上りリンクの無線リソースの割当例を示す。図示の例では、ユーザ多重数は5(UE-A〜E)≦8なので、リソースブロックの割当数は偶数個に制限される。
【0073】
ユーザ装置UE-AにはリソースブロックRB1から4つのリソースブロックRB1〜RB4が割り当てられる。
【0074】
ユーザ装置UE-BにはリソースブロックRB5から4つのリソースブロックRB5〜RB8が割り当てられる。
【0075】
ユーザ装置UE-CにはリソースブロックRB9から2つのリソースブロックRB9,RB10が割り当てられる。
【0076】
ユーザ装置UE-DにはリソースブロックRB11から4つのリソースブロックRB11〜RB14が割り当てられる。
【0077】
ユーザ装置UE-EにはリソースブロックRB15から2つのリソースブロックRB15,RB16が割り当てられる。
【0078】
ステップS4では、上りスケジューリング情報に従って、図11に示されるようなリソースブロックで各ユーザ装置から上り物理共有チャネル(PUSCH)が送信される。
【0079】
ステップS5では、各ユーザ装置からのPUSCHを基地局が受信し、再送の要否を判定する。再送の要否は、一例としてPUSCHの誤り検出結果に基づいて決定される。再送を要しない場合、肯定応答(ACK)を示す送達確認情報が用意される。再送を要する場合、否定応答(NACK)を示す送達確認情報が用意される。送達確認情報は、PUSCHを送信した全てのユーザ毎に用意される。目下の例では、5人のユーザUE-A〜Eが上り物理共有チャネルを送信しているので、5人分の送達確認情報が用意される。
【0080】
ステップS6では、所定のマッピングテーブルに従って、各ユーザのPHICHが制御信号にマッピングされる。5ユーザのPHICHとUE-A〜Eとの対応関係は、上り物理共有チャネルPUSCHのリソースブロックで区別される。この点、上記の第1の動作例と異なる。目下の例では、図11に示されるようなリソースブロックの割り当てが行われていた。PHICH用の場所は、リソースブロック総数だけ確保される。UE-AにはリソースブロックRB1から順にリソースブロックが割り当てられていたので、UE-Aの送達確認情報は、PHICHの1つ目の場所(PHICH-1)に書き込まれる。UE-BにはリソースブロックRB5から順にリソースブロックが割り当てられていたので、UE-Bの送達確認情報は、PHICHの5つ目の場所(PHICH-5)に書き込まれる。以下同様に、UE-Cの送達確認情報は、PHICHの9つ目の場所(PHICH-9)に書き込まれる。UE-Dの送達確認情報は、PHICHの11個目の場所(PHICH-11)に書き込まれる。UE-Eの送達確認情報は、PHICHの15個目の場所(PHICH-15)に書き込まれる。
【0081】
図12はPHICH用の場所と直交変調成分との対応関係を示す。本動作例では、奇数番目のPHICHはIチャネルにマッピングされ、偶数番目のPHICHはQチャネルにマッピングされる。ユーザ多重数が8以下でリソースブロックが常に偶数個割り当てられる場合、各ユーザには、常に奇数番号のリソースブロックから偶数個のリソースブロックが割り当てられることになる。上記の例では、1,5,9,11,15番目のリソースブロックからリソースブロックが割り当てられている。従って、図12のような上記の取り決めを設定することで、これらのユーザのPHICHを全てIチャネルだけにマッピングできる。
【0082】
図13は、図12のPHICH-1〜16がIチャネル及びQチャネルにどのように対応付けられるかの一例を示す。PHICH-1,3,5,7は、4つのサブキャリア1-4に符号多重され、PHICH-9,11,13,15は別の4つのサブキャリア5-8に符号多重され、それらは全てIチャネルにマッピングされる。符号拡散率SFは4であるものとしている。PHICH-2,4,6,8も、4つのサブキャリア1-4に符号多重され、PHICH-10,12,14,16も別の4つのサブキャリア5-8に符号多重されるが、それらは全てQチャネルにマッピングされる。
【0083】
実際の通信では16個全てのPHICHが常に必要になるわけではない。場合によってはユーザ多重数が8個以下の場合もある。そのような場合、8個以下のPHICHはIチャネルだけにマッピングされ、Qチャネルは使用されない。目下の例では、5つのPHICHが用意されているので、それらは、#1,#5,#9,#11,#15の場所にマッピングされ、Iチャネルだけが使用される。この場合における1つの「場所」も、I又はQチャネルの何れが使用されるか、4つの拡散符号のどれが使用されるか、及びサブキャリア1-4又は5-8の何れが使用されるかを一意に特定する。
【0084】
図示の例では最大ユーザ多重数は16であるが、第1の動作例の場合と同様に、別の数値が使用されてもよい。また、リソースブロックは、1〜16の番号で区別されていたが、0〜15の番号で区別されてもよい。この場合、奇数と偶数の上記の関係が逆になることに留意を要する。但し、ユーザ多重数が所定数以下の場合、リソースブロックの割当数は偶数に制約される点は同じである。上記の動作例では、Iチャネルを奇数番号に、Qチャネルを偶数番号に対応付けていたが、逆に、Iチャネルを偶数番号に、Qチャネルを奇数番号に対応付けてもよい。図9では所定数個の一連の番号が直交変調成分の一方だけに対応付けられることを予定し、実際のユーザ多重数個分のPHICHが若番順にマッピングされていた(図8)。これに対して、図13では1つおきの所定数個の番号が直交変調成分の一方だけに対応付けられることを予定し、実際のユーザ多重数個分のPHICHのマッピングは必ずしも連続番号順ではないことに留意を要する(図12)。
【0085】
図6のステップS7では、図13に示されるような場所にマッピングされているPHICH(上記の例では、PHICH-1,5,9,11,15)が各ユーザに通知される。
【0086】
ステップS8では、上記のマッピングテーブルを利用して、各ユーザ装置は自装置に関連するPHICHを下り制御信号から読み取る。この場合における下り制御信号は、PCFICH及びPDCCHに加えてPHICHを含んでいる。各ユーザ装置は、ステップS4でどのリソースブロックでPUSCHを送信したかを記憶している。x番目以降のリソースブロックでPUSCHが送信された場合、そのユーザの送達確認情報は、x番目のPHICH(PHICH-x)に書き込まれている。従って、
ユーザ装置UE-Aは、PHICH-1を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0087】
ユーザ装置UE-Bは、PHICH-5を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0088】
ユーザ装置UE-Cは、PHICH-9を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0089】
ユーザ装置UE-Dは、PHICH-11を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0090】
ユーザ装置UE-Eは、PHICH-15を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0091】
再送を要しない場合、未送信の(新規の)PUSCHがステップS9で送信される。新規のPUSCH用の無線リソースは、ステップS7で通知されたPDCCHのアップリンクスケジューリンググラントで指定される。再送を要する場合、ステップS4で送信したPUSCHがステップS9で再送される。再送用の無線リソースは、新規のパケットとは別に予め決められていてもよいし、新規パケットと同様にアップリンクスケジューリンググラントに従って再送の度に通知されてもよい。
【0092】
本動作例によれば、最大で16ユーザが多重可能な場合、8ユーザ以下の多重数であれば、Iチャネルだけ又はQチャネルだけにPHICHをマッピングし、PHICHの伝送効率及び受信品質の向上を図ることができる。但し、本動作例では8ユーザ以下の場合、リソースブロックの割当数が偶数個になるようスケジューリングが制限される。このことはスケジューリングの自由度を狭めてしまうかもしれないが、狭めると言ってもそれは高々リソースブロック1つ分の自由度に過ぎない。PHICHの伝送効率及び品質を向上させることで、結果的により多くの恩恵をもたらすことができる。
【0093】
<3.並べ替えを行う動作例>
図1の説明で言及されたように、信頼性を高める観点から、4ユーザ分のPHICHの組3つが、それぞれ異なる周波数で同時に伝送される。各ユーザのPHICH各々は、所定の拡散率SF(例えば、SF=4)で拡散され、4つのサブキャリアに符号多重される。1つの組の中におけるPHICHの割当順序は、同時に送信される3つの組の間で同じでもよいし、異なってもよい。信頼性を高める観点からは、PHICHの割当順序を様々に変えることが好ましい。
【0094】
図14は、16ユーザ分のPHICHの割当場所が、3つの周波数の各々で互いに異なるようにする例を示す。直交性が崩れた場合、同じ周波数での干渉が特に大きくなりやすい。
【0095】
第1の組の場合に直交性が崩れると、
#1,#2,#3,#4の場所と#9,#10,#11,#12の場所との間の干渉や、
#5,#6,#7,#8の場所と#13,#14,#15,#16の場所との間の干渉が特に大きくなりやすい。
【0096】
第2の組の場合に直交性が崩れると、
#1,#3,#5,#7の場所と#9,#11,#13,#15の場所との間の干渉や、
#2,#4,#6,#8の場所と#10,#12,#14,#16の場所との間の干渉が特に大きくなりやすい。
【0097】
第3の組の場合に直交性が崩れると、
#1,#6,#3,#8の場所と#9,#14,#11,#16の場所との間の干渉や、
#5,#2,#7,#4の場所と#13,#10,#15,#12の場所との間の干渉が特に大きくなりやすい。
【0098】
3つの組の間で、干渉が大きくなる場所の組み合わせはそれぞれ異なる。従って、直交性が崩れて干渉が生じたとしても、その干渉はランダム化され、直交性の崩れによるPHICHの品質劣化を或る程度抑制できる。
【0099】
図14の例では、3つのどの組でも#1〜#8はIチャネルに属し、#9〜#16はQチャネルに属する。直交性の乱れ及びPHICHの割当場所に起因する干渉をランダム化する観点からは、Iチャネル内だけでなく、I及びQチャネル双方の間でPHICHの割当順序を、3つの組の各々でランダムに変えることが考えられる。しかしながら、上記の第1の動作例や第2の動作例では、ユーザ多重数が最大値の半分以下であった場合、PHICHをI又はQチャネルの一方だけにマッピングすることが必須であった。従って、第1又は第2の動作例と並べ替えの本動作例との組み合わせによる相乗効果を期待する観点からは、図14のように、PHICHの割当順序の並べ替えは、どの組でも直交変調成分の一方の中だけに限定することが好ましい。なお、図14では、#1〜#8の連続番号がIチャネルに対応付けられているが、第2の動作例を適用する場合、図14の#1〜#8を8つの奇数に置換し、#9〜#16を8つの偶数に置換すればよい。
【0100】
<4.基地局装置(eNB)>
図15は本発明の一実施例による基地局の一部の機能ブロック図を示す。図15には、スケジューラ10、PDCCH生成部11、PHICH生成部12、PCFICH生成部13、制御チャネルマッピング部14、マッピングテーブル15、PDSCH生成部16及び多重部17が示されている。
【0101】
スケジューラ10はスケジューリングを行い、上りリンク及び下りリンクの無線リソースの割当計画を立てる。スケジューリングは無線伝搬状況等に応じて行われ、無線伝搬状況は、各ユーザ装置から報告された下りリンクのCQIや、上りリンクで測定されたSINR等に基づいて測定される。無線伝搬状況の良否は、誤り検出結果にも影響するので、誤り検出結果がスケジューリングに加味されてもよい。
【0102】
PDCCH生成部11は、下りスケジューリング情報や上りスケジューリング情報等の情報を含む下り物理制御チャネルPDCCHを作成する。
【0103】
PHICH生成部12は、上り物理共有チャネルPUSCHを送信したユーザに通知する送達確認情報を用意する。送達確認情報は、PUSCHの再送を要求する否定応答(NACK)又はPUSCHの再送を要求しない肯定応答(ACK)で表現される。各ユーザのPHICHは、所定の拡散率SFで符号拡散される。
【0104】
PCFICH生成部13は、PDCCHがサブフレームの中で占めるOFDMシンボル数が、いくつであるかを示す。そのOSDMシンボル数は、1,2又は3であり、ユーザ多重数等に応じて異なる。
【0105】
制御チャネルマッピング部14は、PDCCH、PHICH及びPCFCH等を含む制御信号を適切な周波数にマッピングする。上述したように、所定のユーザ数分のPHICHは、同じサブキャリアに符号多重される。
【0106】
マッピングテーブル15は、各ユーザのPHICHがIチャネル及び/又はQチャネルにどのように対応付けられるかを示す。
【0107】
PDSCH生成部16は、下り物理共有チャネルPUSCHを用意する。
【0108】
多重部17は、制御チャネル及びPDSCHが多重され、多重後の信号を後段の下り信号生成部(図示せず)に与える。下り信号生成部では、OFDM方式で変調された送信シンボルが生成される。多重部17では、必要に応じてリファレンス信号も多重される。
【0109】
<5.ユーザ装置(UE)>
図16は、本発明の一実施例によるユーザ装置の一部の機能ブロック図を示す。図16には、信号分離部20、PDCCH復調部21、PHICH復調部22、マッピングテーブル23及びPUSCH生成部24が示されている。
【0110】
信号分離部20は、ベースバンドの受信信号からリファレンス信号、制御チャネル及び下り物理共有チャネル等を適切に分離する。図示の例では、制御チャネルに関する部分が特に示されている。
【0111】
PDCCH復調部21は、PCFICHを読み取ることでPDCCHの占めるOFDMシンボル数を特定する。PDCCH復調部は、PDCCHの復調を試行し、自装置宛のPDCCHの有無を確認する。自装置宛のPDCCHが存在していた場合、そのPDCCHが、ユーザ多重数の内何番目にあったかを記憶する(上記の第1の動作例の場合は必須であるが、第2の動作例の場合は必須でない)。自装置宛のPDCCHを読み取ることで、PUSCH及び/又はPDSCHに使用可能な無線リソースが特定される。
【0112】
PHICH復調部22は、自装置に関するPHICHを読み取り、そのユーザ装置が過去に送信したPUSCHについて、再送が必要であるか否かを判定する。ユーザ装置は、マッピングテーブル23に従って、自装置宛のPHICHを特定し、読み取る。上記の第1の動作例の場合、過去に送信したPUSCHのスケジューリング情報を含んでいた過去のPDCCHのマッピング位置に基づいて、自動値宛のPHICHが特定される。上記の第2の動作例の場合、過去に送信したPUSCHのリソースブロックの識別番号に基づいて、自装置宛のPHICHが特定される。
【0113】
PUSCH生成部24は、上り物理共有チャネルPUSCHを用意する。再送を要しない場合、未送信の新規のパケット(上りトラフィックデータ)がPUSCHとして用意され、送信部へ伝送される。再送を要する場合、再送対象のパケットがPUSCHとして再び用意され、送信部へ伝送される。
【0114】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、実施例は単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。
【0115】
発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。
【0116】
説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウエアで、ソフトウエアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。
【0117】
本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【0118】
以下、開示される発明により教示される装置及び方法等を例示的に列挙する。
【0119】
[付記項1]
少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送される移動通信システムで使用される基地局装置であって、
上りリンクで受信した信号の再送の要否を示す送達確認情報を用意する手段と、
所定のマッピングテーブルに従って、ユーザ多重数分の送達確認情報の各々を、Iチャネル又はQチャネルにマッピングする手段と、
前記送達確認情報を各ユーザに通知する手段と、
を有し、前記マッピングテーブルは、ユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示すようにした基地局装置。
【0120】
[付記項2]
当該基地局装置は、上りリンクのリソースブロックの割当情報をユーザ毎に用意するスケジューラを更に有し、
下り制御信号中のユーザ毎の割当情報のマッピング位置と、各ユーザへの送達確認情報のIチャネル又はQチャネルにおけるマッピング位置とが一意に対応付けられている付記項1記載の基地局装置。
【0121】
[付記項3]
当該基地局装置は、上りリンクのリソースブロックの割当情報をユーザ毎に用意するスケジューラを更に有し、
あるユーザの上り共有データチャネルに割り当てられたリソースブロックと、該ユーザへの送達確認情報のIチャネル又はQチャネルにおけるマッピング位置とが一意に対応付けられている付記項1記載の基地局装置。
【0122】
[付記項4]
ユーザ多重数が所定数以下であった場合、上りリンクでユーザに割り当てられるリソースブロック数が、偶数個に制限される付記項3記載の基地局装置。
【0123】
[付記項5]
所定数以下の送達確認情報の組が、同一サブフレーム内で異なる周波数で反復的に伝送され、ある組と別の組の間で、Iチャネルにマッピングされる少なくとも2つの送達確認情報のマッピング順序が異なる付記項1記載の基地局装置
[付記項6]
所定数以下の送達確認情報の組が、同一サブフレーム内で異なる周波数で反復的に伝送され、ある組と別の組の間で、Qチャネルにマッピングされる少なくとも2つの送達確認情報のマッピング順序が異なる付記項1記載の基地局装置
[付記項7]
各ユーザの送達確認情報は所定の拡散率で拡散され、拡散された送達確認情報の複数個が同じ周波数に符号多重される付記項1記載の基地局装置。
【0124】
[付記項8]
少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送される移動通信システムの基地局装置で使用される方法であって、
上りリンクで受信した信号の再送の要否を示す送達確認情報を用意するステップと、
所定のマッピングテーブルに従って、ユーザ多重数分の送達確認情報の各々を、Iチャネル又はQチャネルにマッピングするステップと、
前記送達確認情報をユーザに通知するステップと、
を有し、前記マッピングテーブルは、ユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示すようにした方法。
【0125】
[付記項9]
少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送される移動通信システムで使用されるユーザ装置であって、
上りリンクの無線リソースの割当情報を含む下り制御信号を復調する手段と、
前記割当情報に従って、上りリンクで共有データチャネルを送信する手段と、
前記共有データチャネルの再送の要否を示す送達確認情報を、所定のマッピングテーブルに従って下り制御信号から取り出す手段と、
を有し、前記マッピングテーブルは、下り制御信号のユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示すようにしたユーザ装置。
【0126】
[付記項10]
下り制御信号中のユーザ毎の割当情報のマッピング位置と、各ユーザへの送達確認情報のIチャネル又はQチャネルにおけるマッピング位置とが一意に対応付けられている付記項9記載のユーザ装置。
【0127】
[付記項11]
あるユーザの上り共有データチャネルに割り当てられたリソースブロックと、該ユーザへの送達確認情報のIチャネル又はQチャネルにおけるマッピング位置とが一意に対応付けられている付記項9記載のユーザ装置。
【0128】
[付記項12]
ユーザ多重数が所定数以下の場合、上りリンクでユーザに割り当てられるリソースブロック数が、偶数個に制限される付記項11記載のユーザ装置。
【0129】
[付記項13]
所定数以下の送達確認情報の組が、同一サブフレーム内で異なる周波数で反復的に伝送され、ある組と別の組の間で、Iチャネルにマッピングされる少なくとも2つの送達確認情報のマッピング順序が異なる付記項9記載のユーザ装置
[付記項14]
所定数以下の送達確認情報の組が、同一サブフレーム内で異なる周波数で反復的に伝送され、ある組と別の組の間で、Qチャネルにマッピングされる少なくとも2つの送達確認情報のマッピング順序が異なる付記項UE9記載のユーザ装置
[付記項15]
各ユーザの送達確認情報は所定の拡散率で拡散され、拡散された送達確認情報の複数個が同じ周波数に符号多重される付記項9記載のユーザ装置。
【0130】
[付記項16]
少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送される移動通信システムのユーザ装置で使用される方法であって、
上りリンクの無線リソースの割当情報を含む下り制御信号を復調するステップと、
前記割当情報に従って、上りリンクで共有データチャネルを送信するステップと、
前記共有データチャネルの再送の要否を示す送達確認情報を、所定のマッピングテーブルに従って下り制御信号から取り出すステップと、
を有し、前記マッピングテーブルは、下り制御信号のユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示すようにした方法。
【0131】
[付記項17]
基地局装置及び該基地局装置と無線通信するユーザ装置を有する移動通信システムであって、少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送され、前記基地局装置は、
上りリンクで受信した信号の再送の要否を示す送達確認情報を用意する手段と、
所定のマッピングテーブルに従って、ユーザ多重数分の送達確認情報の各々を、Iチャネル又はQチャネルにマッピングする手段と、
前記送達確認情報を各ユーザに通知する手段と、
を有し、前記ユーザ装置は、
上りリンクの無線リソースの割当情報を含む下り制御信号を復調する手段と、
前記割当情報に従って、上りリンクで共有データチャネルを送信する手段と、
前記共有データチャネルの再送の要否を示す送達確認情報を、所定のマッピングテーブルに従って下り制御信号から取り出す手段と、
を有し、前記マッピングテーブルは、ユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示すようにした移動通信システム。
【符号の説明】
【0132】
10 スケジューラ
11 PDCCH生成部
12 PHICH生成部
13 PCFICH生成部
14 制御チャネルマッピング部
15 マッピングテーブル
16 PDSCH生成部
17 多重部
20 信号分離部
21 PDCCH復調部
22 PHICH復調部
23 マッピングテーブル
24 PUSCH生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は移動通信の技術分野に関連し、特に次世代移動通信技術を用いる移動通信システム、基地局装置、ユーザ装置及び方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術分野では、いわゆる第3世代の後継となる移動通信方式が、ワイドバンド符号分割多重接続(W-CDMA)方式の標準化団体3GPPにより検討されている。特に、W-CDMA方式、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)方式及び高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)方式等の後継として、ロングタームエボリューション(LTE: Long Term Evolution)に関する検討が急ピッチで進められている。LTEにおける下りリンクの無線アクセス方式は、直交周波数分割多重接続(OFDM: Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式である。上りリンクについてはシングルキャリア周波数分割多重接続(SC-FDMA: Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)方式が使用される(これについては例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
OFDM方式は、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータを載せて伝送を行うマルチキャリア伝送方式である。サブキャリアを周波数軸上に直交させながら密に並べることで高速伝送を実現し、周波数の利用効率を上げることが期待できる。
【0004】
SC−FDMA方式は、周波数帯域を端末毎に分割し、複数の端末間で異なる周波数帯域を用いて伝送するシングルキャリア伝送方式である。端末間の干渉を簡易且つ効果的に低減することができることに加えて送信電力の変動を小さくできるので、この方式は端末の低消費電力化及びカバレッジの拡大等の観点から好ましい。
【0005】
LTEシステムでは、下りリンクでも上りリンクでもユーザ装置に1つ以上のリソースブロック(RB: Resource Block)又はリソースユニット(RU: Resource Unit)を割り当てることで通信が行われる。リソースブロックはシステム内の多数のユーザ装置で共有される。基地局装置は、LTEでは1msであるサブフレーム(Sub-frame)毎に、複数のユーザ装置の内どのユーザ装置にリソースブロックを割り当てるかを決定する。サブフレームは送信時間間隔(TTI)と呼ばれてもよい。無線リソースの割り当ての決定はスケジューリングと呼ばれる。下りリンクではスケジューリングで選択されたユーザ装置宛に、基地局装置は1以上のリソースブロックで共有チャネルを送信する。この共有チャネルは、下り物理共有チャネル(PDSCH: Physical Downlink Shared CHannel)と呼ばれる。上りリンクではスケジューリングで選択されたユーザ装置が、1以上のリソースブロックで基地局装置に共有チャネルを送信する。この共有チャネルは、上り物理共有チャネル(PUSCH: Physical Uplink Shared CHannel)と呼ばれる。
【0006】
上述したような共有チャネルを用いた通信システムにおいては、原則としてサブフレーム毎にどのユーザ装置に共有チャネルを割り当てるかをシグナリング(通知)する必要がある。このシグナリングに用いられる制御チャネルは、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH: Physical Downlink Control CHannel)または下りL1/L2制御チャネル (DL-L1/L2 Control Channel)と呼ばれる。下り制御信号には、このPDCCHに加えて、物理制御フォーマットインジケータチャネル(PCFICH: Physical Control Format Indicator CHannel)や、物理ハイブリッドARQインジケータチャネル(PHICH: Physical Hybrid ARQ Indicator CHannel)等が含まれてもよい。
【0007】
PDCCHには、例えば次の情報が含まれてよい(これについては例えば、非特許文献2参照):
・下りスケジューリング情報(Downlink Scheduling Information)、
・上りリンクスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)、
・オーバロードインジケータ(Overload Indicator)及び
・送信電力制御コマンドビット(Transmission Power Control Command Bit)。
【0008】
下りスケジューリング情報には、例えば、下りリンクの共有チャネルに関する情報が含まれ、具体的には、下りリンクのリソースブロックの割り当て情報、ユーザ装置の識別情報(UE-ID)、ストリーム数、プリコーディングベクトル(Pre-coding Vector)に関する情報、データサイズ、変調方式、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)に関する情報等が含まれる。
【0009】
また、上りリンクスケジューリンググラントには、例えば、上りリンクの共有チャネルに関する情報が含まれ、具体的には、上りリンクのリソースの割り当て情報、ユーザ装置の識別情報(UE-ID)、データサイズ、変調方式、上りリンクの送信電力情報、アップリンクMIMO(Uplink MIMO)におけるデモジュレーションレファレンスシグナル(Demodulation Reference Signal)の情報等が含まれる。
【0010】
PCFICHは、PDCCHのフォーマットを通知するための情報である。より具体的には、PDCCHのマッピングされるOFDMシンボル数が、PCFICHにより通知される。LTEでは、PDCCHのマッピングされるOFDMシンボル数は1,2又は3であり、サブフレームの先頭のOFDMシンボルから順にマッピングされる。
【0011】
PHICHは、上りリンクで伝送されたPUSCHについて再送を要するか否かを示す送達確認情報(ACK/NACK: Acknowledgement/Non-Acknowledgement information) を含む。
【0012】
なお、用語の定義の問題であるが、PDCCH、PCFICH及びPHICHがそれぞれ対等な独立したチャネルとして定義されてもよいし、或いはPDCCHの中にPCFICH及びPHICHが含まれるように定義されてもよい。
【0013】
上りリンクではPUSCHによりユーザデータ(通常のデータ信号)及びそれに付随する制御情報が伝送される。また、PUSCHとは別に、上りリンク制御チャネル(PUCCH: Physical Uplink Control CHannel)により、下りリンクの品質情報(CQI: Channel Quality Indicator)及びPDSCHの送達確認情報(ACK/NACK)等が伝送される。CQIは、下りリンクにおける共有物理チャネルのスケジューリング処理や適応変復調及び符号化処理(AMCS: Adaptive Modulation and Coding Scheme)等に使用される。上りリンクでは、ランダムアクセスチャネル(RACH)や、上下リンクの無線リソースの割り当て要求を示す信号等も必要に応じて伝送される。
【0014】
図1は下り信号のマッピング例を模試的に示す。図示の例では、リファレンス信号RSとPHICH(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel, or ACK/NACK)が先頭のOFDMシンボルにマッピングされている。例えば1msのサブフレームは、例えば0.5msのスロット2つで構成される。1つのスロットは、例えば6つ又は7つのOFDMシンボルで構成される。上述したように1サブフレームの内、先頭の1〜3個のOFDMシンボルは、下り制御信号(及びリファレンス信号)で占められる。
【0015】
ところで、PHICHはACK/NACKを表現するので本質的には1ビットで表現可能である一方、再送制御で最も基礎的な情報であり、システムのスループットに大きく影響を及ぼす。この点、通常は多ビットで表現される他の制御情報と大きく異なる。図示の例では、ユーザ一人分のPHICH(ACK/NACK)が所定の拡散率SF(例えば、SF=4)で拡散され、4ユーザ分のPHICHが同じ4つのサブキャリアに符号多重されている。図示の例では、信頼性を向上させるため、その4ユーザ分のPHICHが周波数軸上で3箇所にマッピングされている。言い換えれば、この4ユーザ分のPHICHは異なる3つの周波数で同時に伝送される。
【0016】
通常の信号伝送では伝送効率を向上させる観点から、直交変調方式が採用される。しかしながらACK/NACKのような1ビットの情報を同相成分(I-ch)及び直交成分(Q-ch)に分けて伝送することは、伝送効率の観点からは好ましくない。そこでPHICHについては、直交する一方の成分のみで伝送することが考えられる。
【0017】
図2は、4ユーザ分のPHICHを4つのサブキャリア上で符号多重しながらIチャネル(I-ch)だけにマッピングしている様子を示す。Qチャネル(Q-ch)だけにマッピングすることも可能である。
【0018】
図3は、8ユーザ分のPHICHを4つのサブキャリア上で符号多重しながらIチャネル及びQチャネルにマッピングしている様子を示す。1ユーザのPHICHはI又はQチャネルの一方にマッピングされる。ユーザ多重数を増やす観点からは、図3に示されるように多重することが好ましい。4ユーザ分のACK/NACKをIチャネルにマッピングし、別の4ユーザ分のACK/NACKをQチャネルにマッピングすることで、ユーザ多重数(情報伝送量)を2倍に増やすことができる(これについては、例えば非特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】3GPP TR 25.814 (V7.0.0), "Physical Layer Aspects for Evolved UTRA," June 2006
【非特許文献2】3GPP R1-070103, Downlink L1/L2 Control Signaling Channel Structure: Coding
【非特許文献3】3GPP TR36.211(V0.2.2),"Physical Channels and Modulation", November 2006
【非特許文献4】3GPP R1-074580, "PHICH Channel Structure", Motorola, November 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
各ユーザのACK/NACKの伝送効率を向上させるため、Iチャネル及びQチャネルを別々に利用するには、図4に示されるようにIチャネル及びQチャネル間の直交性が正確に確保されていることを要する。しかしながら実際にはチャネル推定精度に若干の誤差が含まれ、直交性がいくらか乱れることもある(図5)。直交性が乱れると、I及びQチャネル間に干渉が生じ、ACK/NACKの誤認定を招き、ひいてはシステムのスループットに悪影響を及ぼすことが懸念される。
【0021】
本発明の課題は、上り信号の再送の要否を示す送達確認情報の伝送効率及び受信品質の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
開示される発明による基地局装置は、
複数のリソースブロックが周波数方向に配置されているとともに、各リソースブロックに対してリソースブロック番号が付与されており、1以上のリソースブロックに割り当てられた上り物理共有チャネルをユーザ装置から受信する受信部と、
前記受信部において受信した上り物理共有チャネルに対する送達確認情報を生成する生成部と、
前記生成部において生成した送達確認情報をユーザ装置へ送信する送信部とを備え、
前記送信部から送信される送達確認情報のリソースは、前記受信部において受信した上り物理共有チャネルを割り当てた1以上のリソースブロックのうち、最小のリソースブロック番号に対応づけられていることを特徴とする基地局装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上り信号の再送の要否を示す送達確認情報の伝送効率及び受信品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】下り信号のマッピング例を示す図である。
【図2】4ユーザのACK/NACKをIチャネルだけにマッピングした様子を示す図である。
【図3】8ユーザのACK/NACKをIチャネル及びQチャネルにマッピングした様子を示す図である。
【図4】I-Qチャネル間の直交性が正確に維持されている様子を示す図である。
【図5】I-Qチャネル間に干渉が生じる様子を示す図である。
【図6】本発明の一実施例による動作例を示すフローチャートである。
【図7】上りリンクでのリソースブロックの割当例を示す図である。
【図8】PHICH-1〜16と直交変調成分との対応関係を示す図である。
【図9】制御チャネルのマッピング位置を利用する場合に適切なPHICHのマッピング位置を示す図である。
【図10】制御チャネルのマッピング位置を利用する場合には不適切なPHICHのマッピング位置を示す図である。
【図11】上りリンクでのリソースブロックの別の割当例を示す図である。
【図12】PHICH-1〜16と直交変調成分との別の対応関係を示す図である。
【図13】リソースブロックのマッピング位置を利用する場合に適切なPHICHのマッピング位置を示す図である。
【図14】16ユーザ分のPHICHの割当場所が3箇所で互いに異なるようにする例を示す図である。
【図15】本発明の一実施例による基地局装置の一部の機能ブロック図を示す。
【図16】本発明の一実施例によるユーザ装置の一部の機能ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一形態による基地局装置は、少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送される移動通信システムで使用される。基地局装置は、上りリンクで受信した信号の再送の要否を示す送達確認情報を用意する手段と、所定のマッピングテーブルに従って、ユーザ多重数分の送達確認情報の各々を、Iチャネル又はQチャネルにマッピングする手段と、前記送達確認情報を各ユーザに通知する手段とを有する。前記マッピングテーブルは、ユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示す。
【0026】
ユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報(ACK/NACK)をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付けるので、I及びQチャネル双方に対応付ける場合に比べて、送達確認情報の伝送効率及び受信品質を向上させることができる。
【0027】
当該基地局装置は、上りリンクのリソースブロックの割当情報をユーザ毎に用意するスケジューラを更に備えてもよい。下り制御信号中のユーザ毎の割当情報のマッピング位置と、各ユーザへの送達確認情報のIチャネル又はQチャネルにおけるマッピング位置とが一意に対応付けられてもよい。これは、送達確認情報各々に明示的にユーザIDを付随させず、ユーザと送達確認情報のマッピング位置との対応関係を簡易に設定する観点から好ましい。
【0028】
或いは、あるユーザの上り共有データチャネルに割り当てられたリソースブロックと、該ユーザへの送達確認情報のIチャネル又はQチャネルにおけるマッピング位置とが一意に対応付けられてもよい。これは、送達確認情報各々に明示的にユーザIDを付随させず、ユーザと送達確認情報のマッピング位置との対応関係を、実際に使用したリソースブロックの位置から直接的に決定できる点で好ましい。
【0029】
ユーザ多重数が所定数以下であった場合、上りリンクでユーザに割り当てられるリソースブロック数が、偶数個に制限されることが好ましい。これは、奇数番目又は偶数番目のマッピング位置を直交変調チャネルの一方だけに簡易に割り当てる観点から好ましい。
【0030】
所定数以下の送達確認情報の組が、同一サブフレーム内で異なる周波数で反復的に伝送され、ある組と別の組の間で、Iチャネルに又はQチャネルにマッピングされる少なくとも2つの送達確認情報のマッピング順序が異なってもよい。これは、干渉のランダム化を促す観点から好ましい。
【0031】
各ユーザの送達確認情報は所定の拡散率で拡散され、拡散された送達確認情報の複数個が同じ周波数に符号多重されてもよい。
【0032】
本発明の一形態による方法は、少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送される移動通信システムの基地局装置で使用される。本方法は、 上りリンクで受信した信号の再送の要否を示す送達確認情報を用意するステップと、所定のマッピングテーブルに従って、ユーザ多重数分の送達確認情報の各々を、Iチャネル又はQチャネルにマッピングするステップと、前記送達確認情報をユーザに通知するステップとを有する。前記マッピングテーブルは、ユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示す。
【0033】
本発明の一形態によるユーザ装置は、少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送される移動通信システムで使用される。本ユーザ装置は、上りリンクの無線リソースの割当情報を含む下り制御信号を復調する手段と、前記割当情報に従って、上りリンクで共有データチャネルを送信する手段と、前記共有データチャネルの再送の要否を示す送達確認情報を、所定のマッピングテーブルに従って下り制御信号から取り出す手段とを有する。前記マッピングテーブルは、下り制御信号のユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示す。
【0034】
本発明の一形態による方法は、少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送される移動通信システムでのユーザ装置で使用される。本方法は、上りリンクの無線リソースの割当情報を含む下り制御信号を復調するステップと、前記割当情報に従って、上りリンクで共有データチャネルを送信するステップと、前記共有データチャネルの再送の要否を示す送達確認情報を、所定のマッピングテーブルに従って下り制御信号から取り出すステップとを有する。前記マッピングテーブルは、下り制御信号のユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示す。
【0035】
以下、本発明の実施例が以下の観点から説明される。
【0036】
1.制御情報のマッピング位置を利用する動作例
2.リソースブロック番号を利用する動作例
3.並べ替えを行う動作例
4.基地局装置(eNB)
5.ユーザ装置(UE)
【実施例1】
【0037】
<1.制御情報のマッピング位置を利用する動作例>
図6は本発明の一実施例による動作例を示すフローチャートである。ステップS1では、基地局がスケジューリングを行い、下りリンク及び上りリンクについて無線リソースの割当計画を立てる。無線リソースがどのように割り当てられるかは、下りリンクについては、下りスケジューリング情報により示される。上りリンクについては、上りスケジューリング情報(アップリンクスケジューリンググラント)により示される。下り及び上りのスケジューリング情報は、下り物理制御チャネル(PDCCH)に含まれる。
【0038】
本実施例では、上りリンクにSC-FDMA方式を使用する移動通信システムが使用される。従って、一人のユーザに複数個のリソースブロックが割り当てられる場合、その複数個のリソースブロックは連続した周波数帯域を占めるように、スケジューリングは制約される。OFDM方式のようなマルチキャリア方式が使用される場合、そのような制約は必須でない。
【0039】
ステップS2では、PCFICH及びPDCCHを少なくとも含む下り制御信号及び下り物理共有チャネル(PDSCH)が基地局からユーザ装置に送信される。
【0040】
ステップS3では、ユーザ装置が下り制御信号を復調する。物理制御フォーマットインジケータチャネル(PCFICH)を読み取ることで、1サブフレームの内、PDCCHはいくつのOFDMシンボルを占めているか、どのOFDMシンボル以降がPDSCHであるか等を確認することができる。ユーザ装置は、受信したPDCCHの内、自装置宛のPDCCHが含まれているか否かを確認する。制御信号には一般に複数のユーザのPDCCHが多重されている。説明の便宜上、ユーザ多重数をNとし、N個のPDCCHをPDCCH-1, PDCCH-2, …, PDCCH-Nとする。制御信号にはこれらN個のPDCCHの情報ブロックが含まれている。ユーザ装置に下り及び/又は上りリンクの無線リソースが割り当てられている場合、N個の情報ブロックの何れかが、そのユーザ装置宛のPDCCHである。
【0041】
ユーザ装置は、N個の情報ブロックの1つ目から順に復調を試みる。例えば各情報ブロックのCRCに畳み込まれたユーザIDを確認することで、自装置宛のPDCCHを含む情報ブロックの有無を判定することができる。x番目の情報ブロックが自装置宛であった場合、ユーザ装置はその情報ブロックのPDCCH-xから自装置宛のスケジューリング情報等を取り出す。N個の情報ブロックの復調を試みた結果、どの情報ブロックも自装置宛でなかった場合、そのユーザに無線リソースは割り当てられていない。
【0042】
図7は、一例としてユーザ多重数Nが5であり、上りリンクの無線リソースが次のように割り当てられていた場合の例を示す。
【0043】
PDCCH-1: UE-A;RB1;4
PDCCH-2: UE-B;RB5;5
PDCCH-3: UE-C;RB10;2
PDCCH-4: UE-D;RB12;3
PDCCH-5: UE-E;RB15;2。
【0044】
ユーザ装置UE-AにはリソースブロックRB1から4つのリソースブロックRB1〜RB4が割り当てられる。
【0045】
ユーザ装置UE-BにはリソースブロックRB5から5つのリソースブロックRB5〜RB9が割り当てられる。
【0046】
ユーザ装置UE-CにはリソースブロックRB10から2つのリソースブロックRB10,RB11が割り当てられる。
【0047】
ユーザ装置UE-DにはリソースブロックRB12から3つのリソースブロックRB12〜RB14が割り当てられる。
【0048】
ユーザ装置UE-EにはリソースブロックRB15から2つのリソースブロックRB15,RB16が割り当てられる。
【0049】
ユーザ多重数やリソースブロック数等は単なる一例に過ぎず、適切な如何なる数値が使用されてもよい。
【0050】
図6のステップS4では、上りスケジューリング情報に従って上記のリソースブロックで各ユーザ装置から上り物理共有チャネル(PUSCH)が送信される。
【0051】
ステップS5では、各ユーザ装置からのPUSCHを基地局が受信し、再送の要否をPUSCH毎に判定する。再送の要否は、一例としてPUSCHの誤り検出結果に基づいて決定される。再送を要しない場合、肯定応答(ACK)を示す送達確認情報が用意される。再送を要する場合、否定応答(NACK)を示す送達確認情報が用意される。送達確認情報は、PUSCHを送信した全てのユーザに用意される。送達確認情報は、下り制御信号中のPHICHとして各ユーザに通知される。目下の例では、5人のユーザUE-A〜Eが上り物理共有チャネルを送信しているので、5人分の送達確認情報が用意され、便宜上それらをPHICH-1, PHICH-2,…,PHICH-5とする。従って下り制御信号に5人分のPHICHが含まれる。
【0052】
各ユーザは下り制御信号の中から自装置宛のPHICHを取り出す必要がある。この場合、PHICH-1〜5の各々にユーザの識別情報を付随させることが考えられるかもしれないが、情報伝送効率の観点からそれは好ましくない。PHICHのビット数は非常に少ないが、ユーザIDには多くのビット数を要するからである。本実施例では、PHICHの各々に明示的なユーザIDを付随させない。その代わりに、ユーザ装置の各々が適切に自装置宛のPHICHを取り出せるように、下り制御信号におけるPHICHのマッピングが工夫される。
【0053】
ステップS6では、所定のマッピングテーブルに従って、各ユーザのPHICH-1〜5が制御信号にマッピングされる。PHICH-1〜5とUE-A〜Eとの対応関係は、PDCCH-1〜5を介して特定される。例えば、ステップS3で説明した1つ目の情報ブロック(PDCCH-1)にはUE-Aの情報が含まれていたので、UE-A宛のPHICHは、1つ目のPHICH(PHICH-1)に対応付けられる。2つ目の情報ブロック(PDCCH-2)にはUE-Bの情報が含まれていたので、UE-B宛のPHICHは、2つ目のPHICH(PHICH-2)に対応付けられる。以下同様に、UE-C宛のPHICHはPHICH-3に対応付けられ、UE-D宛のPHICHはPHICH-4に対応付けられ、UE-E宛のPHICHはPHICH-5に対応付けられる。
【0054】
本動作例では、ユーザ多重数が所定数以下の場合、各ユーザのPHICHはIチャネルだけにマッピングされる。ユーザ多重数が所定数より多い場合、所定数分はIチャネルにマッピングされ、所定数を越える分はQチャネルにマッピングされる。所定数は、典型的にはPUSCHを同時に送信可能な最大ユーザ多重数の半分である。
【0055】
図8は、PHICH-1〜8はIチャネルにマッピングされ、PHICH-9〜16はQチャネルにマッピングされることを模式的に示す。ユーザ多重数が5の場合、PHICH-1〜5がIチャネルにマッピングされ、この場合、Qチャネルは使用されない。図示の例では、リソースブロック総数16とPHICHの最大ユーザ多重数16とが一致するようになっているが、このことは本発明に必須でない。PUSCHの最大ユーザ多重数とPHICHの最大ユーザ多重数が一致していればよい。
【0056】
図9は、図8のPHICH-1〜16がIチャネル及びQチャネルにどのように対応付けられるかの一例を示す。PHICH-1〜4は、4つのサブキャリア1-4に符号多重され、PHICH-5〜9は別の4つのサブキャリア5-8に符号多重され、それらは全てIチャネルにマッピングされる。符号拡散率SFは4であるものとしている。PHICH-9〜12も、4つのサブキャリア1-4に符号多重され、PHICH-13〜16も別の4つのサブキャリア5-8に符号多重されるが、それらは全てQチャネルにマッピングされる。実際の通信では16個全てのPHICHが常に必要になるわけではない。場合によってはユーザ多重数が8個以下の場合もある。そのような場合、8個以下のPHICHはIチャネルだけにマッピングされ、Qチャネルは使用されない。目下の例では、5つのPHICHが用意されているので、それらは、#1〜#5の場所にマッピングされ、Iチャネルだけが使用される。この場合における1つの「場所」は、I又はQチャネルの何れが使用されるか、4つの拡散符号のどれが使用されるか、及びサブキャリア1-4又は5-8の何れが使用されるかを一意に特定する。
【0057】
図示の例では最大ユーザ多重数は16であるが、別の数値が使用されてもよい。最大ユーザ多重数がセル毎に異なる場合、その最大ユーザ多重数毎にPHICHのマッピングパターンがシステムで用意され、それらのマッピングパターンは全てのユーザ装置に予め記憶されている。最大ユーザ多重数は報知情報等で報知される。従ってユーザ装置は報知情報を読み取ることで、在圏セルでどのようなマッピングパターンが使用されているかを特定できる。
【0058】
図6のステップS7では、図9に示されるような場所にマッピングされているPHICH(上記の例では、PHICH-1〜5)が各ユーザに通知される。
【0059】
ステップS8では、上記のマッピングテーブルを利用して、各ユーザ装置は自装置に関連するPHICHを下り制御信号から読み取る。この場合における下り制御信号は、PCFICH及びPDCCHに加えてPHICHを含んでいる。各ユーザ装置は、ステップS3で自装置宛のPDCCHが何番目にマッピングされていたかを記憶している。x番目にマッピングされていた場合、そのユーザの送達確認情報は、x番目のPHICH(PHICH-x)に書き込まれている。従って、
ユーザ装置UE-Aは、PHICH-1を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0060】
ユーザ装置UE-Bは、PHICH-2を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0061】
ユーザ装置UE-Cは、PHICH-3を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0062】
ユーザ装置UE-Dは、PHICH-4を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0063】
ユーザ装置UE-Eは、PHICH-5を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0064】
再送を要しない場合、未送信の(新規の)PUSCHがステップS9で送信される。新規のPUSCH用の無線リソースは、ステップS7で通知されたPDCCHのアップリンクスケジューリンググラントで指定される。再送を要する場合、ステップS4で送信したPUSCHがステップS9で再送される。再送用の無線リソースは、新規のパケットとは別に予め決められていてもよいし、新規パケットと同様にアップリンクスケジューリンググラントに従って再送の度に通知されてもよい。
【0065】
本動作例によれば、最大で16ユーザが多重可能な場合、8ユーザ以下の多重数であれば、Iチャネルだけ又はQチャネルだけにPHICHをマッピングし、PHICHの伝送効率及び受信品質の向上を図ることができる。
【0066】
図9の例では、先にIチャネルから順にPHICHがマッピングされるようになっていたが、Qチャネルから順にマッピングするように、マッピングテーブルが用意されてもよい。PHICHのマッピング方法は図9に示されるものに限定されず、様々なマッピングがなされてもよい。しかしながら、#1から番号順にPHICHをマッピングする際、図10に示されるように、4ユーザ分のPHICHがIチャネルに、別の4ユーザ分のPHICHがQチャネルにマッピングされたのでは上記の利点が得られなくなってしまう点に留意を要する。従って、より一般的には、最大ユーザ多重数の半分(目下の例では、8)以下の個数のPHICHが、2つの直交変調成分の一方だけにマッピングされる必要がある。
【0067】
<2.リソースブロック番号を利用する動作例>
以下の動作例も図6に示されるのと同様なフローチャートで表現されるので、本動作例でも各ステップが順に説明される。但し、リソースブロックの割当法(ステップS1)、マッピングテーブル(ステップS6)及びユーザ装置での処理(ステップS8)での動作が説明済みの動作と特に異なる。
【0068】
ステップS1では、基地局がスケジューリングを行い、下りリンク及び上りリンクについて無線リソースの割当計画を立てる。
【0069】
本動作例でも、上りリンクにSC-FDMA方式を使用する移動通信システムが使用される。従って、一人のユーザに複数個のリソースブロックが割り当てられる場合、その複数個のリソースブロックは連続した周波数帯域を占めるように、スケジューリングは制約される。更に、本動作例では、下り制御信号で多重するユーザ数が所定数以下であるか否かが判定され、ユーザ多重数が所定数以下(典型的には、最大多重数の半分以下)であれば、ユーザに割り当てられるリソースブロック数は偶数個に制限される。ユーザ多重数が所定数より大きかった場合、割り当てるリソースブロック数は奇数でも偶数でもよい。ユーザ多重数に応じて、割り当てられるリソースブロック数に制約が課せられたり課せられなかったりすることは、第1の動作例と大きく異なる。
【0070】
ステップS2では、PCFICH及びPDCCHを少なくとも含む下り制御信号及び下り物理共有チャネル(PDSCH)が基地局からユーザ装置に送信される。
【0071】
ステップS3では、ユーザ装置が下り制御信号を復調する。ユーザ装置は、受信したPDCCHの内、自装置宛のPDCCHが含まれているか否かを確認する。自装置宛のPDCCHが存在していた場合、指定されているリソースブロックを用いた通信に備える。
【0072】
図11はこのPDCCHにより指定され上りリンクの無線リソースの割当例を示す。図示の例では、ユーザ多重数は5(UE-A〜E)≦8なので、リソースブロックの割当数は偶数個に制限される。
【0073】
ユーザ装置UE-AにはリソースブロックRB1から4つのリソースブロックRB1〜RB4が割り当てられる。
【0074】
ユーザ装置UE-BにはリソースブロックRB5から4つのリソースブロックRB5〜RB8が割り当てられる。
【0075】
ユーザ装置UE-CにはリソースブロックRB9から2つのリソースブロックRB9,RB10が割り当てられる。
【0076】
ユーザ装置UE-DにはリソースブロックRB11から4つのリソースブロックRB11〜RB14が割り当てられる。
【0077】
ユーザ装置UE-EにはリソースブロックRB15から2つのリソースブロックRB15,RB16が割り当てられる。
【0078】
ステップS4では、上りスケジューリング情報に従って、図11に示されるようなリソースブロックで各ユーザ装置から上り物理共有チャネル(PUSCH)が送信される。
【0079】
ステップS5では、各ユーザ装置からのPUSCHを基地局が受信し、再送の要否を判定する。再送の要否は、一例としてPUSCHの誤り検出結果に基づいて決定される。再送を要しない場合、肯定応答(ACK)を示す送達確認情報が用意される。再送を要する場合、否定応答(NACK)を示す送達確認情報が用意される。送達確認情報は、PUSCHを送信した全てのユーザ毎に用意される。目下の例では、5人のユーザUE-A〜Eが上り物理共有チャネルを送信しているので、5人分の送達確認情報が用意される。
【0080】
ステップS6では、所定のマッピングテーブルに従って、各ユーザのPHICHが制御信号にマッピングされる。5ユーザのPHICHとUE-A〜Eとの対応関係は、上り物理共有チャネルPUSCHのリソースブロックで区別される。この点、上記の第1の動作例と異なる。目下の例では、図11に示されるようなリソースブロックの割り当てが行われていた。PHICH用の場所は、リソースブロック総数だけ確保される。UE-AにはリソースブロックRB1から順にリソースブロックが割り当てられていたので、UE-Aの送達確認情報は、PHICHの1つ目の場所(PHICH-1)に書き込まれる。UE-BにはリソースブロックRB5から順にリソースブロックが割り当てられていたので、UE-Bの送達確認情報は、PHICHの5つ目の場所(PHICH-5)に書き込まれる。以下同様に、UE-Cの送達確認情報は、PHICHの9つ目の場所(PHICH-9)に書き込まれる。UE-Dの送達確認情報は、PHICHの11個目の場所(PHICH-11)に書き込まれる。UE-Eの送達確認情報は、PHICHの15個目の場所(PHICH-15)に書き込まれる。
【0081】
図12はPHICH用の場所と直交変調成分との対応関係を示す。本動作例では、奇数番目のPHICHはIチャネルにマッピングされ、偶数番目のPHICHはQチャネルにマッピングされる。ユーザ多重数が8以下でリソースブロックが常に偶数個割り当てられる場合、各ユーザには、常に奇数番号のリソースブロックから偶数個のリソースブロックが割り当てられることになる。上記の例では、1,5,9,11,15番目のリソースブロックからリソースブロックが割り当てられている。従って、図12のような上記の取り決めを設定することで、これらのユーザのPHICHを全てIチャネルだけにマッピングできる。
【0082】
図13は、図12のPHICH-1〜16がIチャネル及びQチャネルにどのように対応付けられるかの一例を示す。PHICH-1,3,5,7は、4つのサブキャリア1-4に符号多重され、PHICH-9,11,13,15は別の4つのサブキャリア5-8に符号多重され、それらは全てIチャネルにマッピングされる。符号拡散率SFは4であるものとしている。PHICH-2,4,6,8も、4つのサブキャリア1-4に符号多重され、PHICH-10,12,14,16も別の4つのサブキャリア5-8に符号多重されるが、それらは全てQチャネルにマッピングされる。
【0083】
実際の通信では16個全てのPHICHが常に必要になるわけではない。場合によってはユーザ多重数が8個以下の場合もある。そのような場合、8個以下のPHICHはIチャネルだけにマッピングされ、Qチャネルは使用されない。目下の例では、5つのPHICHが用意されているので、それらは、#1,#5,#9,#11,#15の場所にマッピングされ、Iチャネルだけが使用される。この場合における1つの「場所」も、I又はQチャネルの何れが使用されるか、4つの拡散符号のどれが使用されるか、及びサブキャリア1-4又は5-8の何れが使用されるかを一意に特定する。
【0084】
図示の例では最大ユーザ多重数は16であるが、第1の動作例の場合と同様に、別の数値が使用されてもよい。また、リソースブロックは、1〜16の番号で区別されていたが、0〜15の番号で区別されてもよい。この場合、奇数と偶数の上記の関係が逆になることに留意を要する。但し、ユーザ多重数が所定数以下の場合、リソースブロックの割当数は偶数に制約される点は同じである。上記の動作例では、Iチャネルを奇数番号に、Qチャネルを偶数番号に対応付けていたが、逆に、Iチャネルを偶数番号に、Qチャネルを奇数番号に対応付けてもよい。図9では所定数個の一連の番号が直交変調成分の一方だけに対応付けられることを予定し、実際のユーザ多重数個分のPHICHが若番順にマッピングされていた(図8)。これに対して、図13では1つおきの所定数個の番号が直交変調成分の一方だけに対応付けられることを予定し、実際のユーザ多重数個分のPHICHのマッピングは必ずしも連続番号順ではないことに留意を要する(図12)。
【0085】
図6のステップS7では、図13に示されるような場所にマッピングされているPHICH(上記の例では、PHICH-1,5,9,11,15)が各ユーザに通知される。
【0086】
ステップS8では、上記のマッピングテーブルを利用して、各ユーザ装置は自装置に関連するPHICHを下り制御信号から読み取る。この場合における下り制御信号は、PCFICH及びPDCCHに加えてPHICHを含んでいる。各ユーザ装置は、ステップS4でどのリソースブロックでPUSCHを送信したかを記憶している。x番目以降のリソースブロックでPUSCHが送信された場合、そのユーザの送達確認情報は、x番目のPHICH(PHICH-x)に書き込まれている。従って、
ユーザ装置UE-Aは、PHICH-1を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0087】
ユーザ装置UE-Bは、PHICH-5を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0088】
ユーザ装置UE-Cは、PHICH-9を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0089】
ユーザ装置UE-Dは、PHICH-11を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0090】
ユーザ装置UE-Eは、PHICH-15を読み取ることで、再送の要否を判定する。
【0091】
再送を要しない場合、未送信の(新規の)PUSCHがステップS9で送信される。新規のPUSCH用の無線リソースは、ステップS7で通知されたPDCCHのアップリンクスケジューリンググラントで指定される。再送を要する場合、ステップS4で送信したPUSCHがステップS9で再送される。再送用の無線リソースは、新規のパケットとは別に予め決められていてもよいし、新規パケットと同様にアップリンクスケジューリンググラントに従って再送の度に通知されてもよい。
【0092】
本動作例によれば、最大で16ユーザが多重可能な場合、8ユーザ以下の多重数であれば、Iチャネルだけ又はQチャネルだけにPHICHをマッピングし、PHICHの伝送効率及び受信品質の向上を図ることができる。但し、本動作例では8ユーザ以下の場合、リソースブロックの割当数が偶数個になるようスケジューリングが制限される。このことはスケジューリングの自由度を狭めてしまうかもしれないが、狭めると言ってもそれは高々リソースブロック1つ分の自由度に過ぎない。PHICHの伝送効率及び品質を向上させることで、結果的により多くの恩恵をもたらすことができる。
【0093】
<3.並べ替えを行う動作例>
図1の説明で言及されたように、信頼性を高める観点から、4ユーザ分のPHICHの組3つが、それぞれ異なる周波数で同時に伝送される。各ユーザのPHICH各々は、所定の拡散率SF(例えば、SF=4)で拡散され、4つのサブキャリアに符号多重される。1つの組の中におけるPHICHの割当順序は、同時に送信される3つの組の間で同じでもよいし、異なってもよい。信頼性を高める観点からは、PHICHの割当順序を様々に変えることが好ましい。
【0094】
図14は、16ユーザ分のPHICHの割当場所が、3つの周波数の各々で互いに異なるようにする例を示す。直交性が崩れた場合、同じ周波数での干渉が特に大きくなりやすい。
【0095】
第1の組の場合に直交性が崩れると、
#1,#2,#3,#4の場所と#9,#10,#11,#12の場所との間の干渉や、
#5,#6,#7,#8の場所と#13,#14,#15,#16の場所との間の干渉が特に大きくなりやすい。
【0096】
第2の組の場合に直交性が崩れると、
#1,#3,#5,#7の場所と#9,#11,#13,#15の場所との間の干渉や、
#2,#4,#6,#8の場所と#10,#12,#14,#16の場所との間の干渉が特に大きくなりやすい。
【0097】
第3の組の場合に直交性が崩れると、
#1,#6,#3,#8の場所と#9,#14,#11,#16の場所との間の干渉や、
#5,#2,#7,#4の場所と#13,#10,#15,#12の場所との間の干渉が特に大きくなりやすい。
【0098】
3つの組の間で、干渉が大きくなる場所の組み合わせはそれぞれ異なる。従って、直交性が崩れて干渉が生じたとしても、その干渉はランダム化され、直交性の崩れによるPHICHの品質劣化を或る程度抑制できる。
【0099】
図14の例では、3つのどの組でも#1〜#8はIチャネルに属し、#9〜#16はQチャネルに属する。直交性の乱れ及びPHICHの割当場所に起因する干渉をランダム化する観点からは、Iチャネル内だけでなく、I及びQチャネル双方の間でPHICHの割当順序を、3つの組の各々でランダムに変えることが考えられる。しかしながら、上記の第1の動作例や第2の動作例では、ユーザ多重数が最大値の半分以下であった場合、PHICHをI又はQチャネルの一方だけにマッピングすることが必須であった。従って、第1又は第2の動作例と並べ替えの本動作例との組み合わせによる相乗効果を期待する観点からは、図14のように、PHICHの割当順序の並べ替えは、どの組でも直交変調成分の一方の中だけに限定することが好ましい。なお、図14では、#1〜#8の連続番号がIチャネルに対応付けられているが、第2の動作例を適用する場合、図14の#1〜#8を8つの奇数に置換し、#9〜#16を8つの偶数に置換すればよい。
【0100】
<4.基地局装置(eNB)>
図15は本発明の一実施例による基地局の一部の機能ブロック図を示す。図15には、スケジューラ10、PDCCH生成部11、PHICH生成部12、PCFICH生成部13、制御チャネルマッピング部14、マッピングテーブル15、PDSCH生成部16及び多重部17が示されている。
【0101】
スケジューラ10はスケジューリングを行い、上りリンク及び下りリンクの無線リソースの割当計画を立てる。スケジューリングは無線伝搬状況等に応じて行われ、無線伝搬状況は、各ユーザ装置から報告された下りリンクのCQIや、上りリンクで測定されたSINR等に基づいて測定される。無線伝搬状況の良否は、誤り検出結果にも影響するので、誤り検出結果がスケジューリングに加味されてもよい。
【0102】
PDCCH生成部11は、下りスケジューリング情報や上りスケジューリング情報等の情報を含む下り物理制御チャネルPDCCHを作成する。
【0103】
PHICH生成部12は、上り物理共有チャネルPUSCHを送信したユーザに通知する送達確認情報を用意する。送達確認情報は、PUSCHの再送を要求する否定応答(NACK)又はPUSCHの再送を要求しない肯定応答(ACK)で表現される。各ユーザのPHICHは、所定の拡散率SFで符号拡散される。
【0104】
PCFICH生成部13は、PDCCHがサブフレームの中で占めるOFDMシンボル数が、いくつであるかを示す。そのOSDMシンボル数は、1,2又は3であり、ユーザ多重数等に応じて異なる。
【0105】
制御チャネルマッピング部14は、PDCCH、PHICH及びPCFCH等を含む制御信号を適切な周波数にマッピングする。上述したように、所定のユーザ数分のPHICHは、同じサブキャリアに符号多重される。
【0106】
マッピングテーブル15は、各ユーザのPHICHがIチャネル及び/又はQチャネルにどのように対応付けられるかを示す。
【0107】
PDSCH生成部16は、下り物理共有チャネルPUSCHを用意する。
【0108】
多重部17は、制御チャネル及びPDSCHが多重され、多重後の信号を後段の下り信号生成部(図示せず)に与える。下り信号生成部では、OFDM方式で変調された送信シンボルが生成される。多重部17では、必要に応じてリファレンス信号も多重される。
【0109】
<5.ユーザ装置(UE)>
図16は、本発明の一実施例によるユーザ装置の一部の機能ブロック図を示す。図16には、信号分離部20、PDCCH復調部21、PHICH復調部22、マッピングテーブル23及びPUSCH生成部24が示されている。
【0110】
信号分離部20は、ベースバンドの受信信号からリファレンス信号、制御チャネル及び下り物理共有チャネル等を適切に分離する。図示の例では、制御チャネルに関する部分が特に示されている。
【0111】
PDCCH復調部21は、PCFICHを読み取ることでPDCCHの占めるOFDMシンボル数を特定する。PDCCH復調部は、PDCCHの復調を試行し、自装置宛のPDCCHの有無を確認する。自装置宛のPDCCHが存在していた場合、そのPDCCHが、ユーザ多重数の内何番目にあったかを記憶する(上記の第1の動作例の場合は必須であるが、第2の動作例の場合は必須でない)。自装置宛のPDCCHを読み取ることで、PUSCH及び/又はPDSCHに使用可能な無線リソースが特定される。
【0112】
PHICH復調部22は、自装置に関するPHICHを読み取り、そのユーザ装置が過去に送信したPUSCHについて、再送が必要であるか否かを判定する。ユーザ装置は、マッピングテーブル23に従って、自装置宛のPHICHを特定し、読み取る。上記の第1の動作例の場合、過去に送信したPUSCHのスケジューリング情報を含んでいた過去のPDCCHのマッピング位置に基づいて、自動値宛のPHICHが特定される。上記の第2の動作例の場合、過去に送信したPUSCHのリソースブロックの識別番号に基づいて、自装置宛のPHICHが特定される。
【0113】
PUSCH生成部24は、上り物理共有チャネルPUSCHを用意する。再送を要しない場合、未送信の新規のパケット(上りトラフィックデータ)がPUSCHとして用意され、送信部へ伝送される。再送を要する場合、再送対象のパケットがPUSCHとして再び用意され、送信部へ伝送される。
【0114】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、実施例は単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。
【0115】
発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。
【0116】
説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウエアで、ソフトウエアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。
【0117】
本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【0118】
以下、開示される発明により教示される装置及び方法等を例示的に列挙する。
【0119】
[付記項1]
少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送される移動通信システムで使用される基地局装置であって、
上りリンクで受信した信号の再送の要否を示す送達確認情報を用意する手段と、
所定のマッピングテーブルに従って、ユーザ多重数分の送達確認情報の各々を、Iチャネル又はQチャネルにマッピングする手段と、
前記送達確認情報を各ユーザに通知する手段と、
を有し、前記マッピングテーブルは、ユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示すようにした基地局装置。
【0120】
[付記項2]
当該基地局装置は、上りリンクのリソースブロックの割当情報をユーザ毎に用意するスケジューラを更に有し、
下り制御信号中のユーザ毎の割当情報のマッピング位置と、各ユーザへの送達確認情報のIチャネル又はQチャネルにおけるマッピング位置とが一意に対応付けられている付記項1記載の基地局装置。
【0121】
[付記項3]
当該基地局装置は、上りリンクのリソースブロックの割当情報をユーザ毎に用意するスケジューラを更に有し、
あるユーザの上り共有データチャネルに割り当てられたリソースブロックと、該ユーザへの送達確認情報のIチャネル又はQチャネルにおけるマッピング位置とが一意に対応付けられている付記項1記載の基地局装置。
【0122】
[付記項4]
ユーザ多重数が所定数以下であった場合、上りリンクでユーザに割り当てられるリソースブロック数が、偶数個に制限される付記項3記載の基地局装置。
【0123】
[付記項5]
所定数以下の送達確認情報の組が、同一サブフレーム内で異なる周波数で反復的に伝送され、ある組と別の組の間で、Iチャネルにマッピングされる少なくとも2つの送達確認情報のマッピング順序が異なる付記項1記載の基地局装置
[付記項6]
所定数以下の送達確認情報の組が、同一サブフレーム内で異なる周波数で反復的に伝送され、ある組と別の組の間で、Qチャネルにマッピングされる少なくとも2つの送達確認情報のマッピング順序が異なる付記項1記載の基地局装置
[付記項7]
各ユーザの送達確認情報は所定の拡散率で拡散され、拡散された送達確認情報の複数個が同じ周波数に符号多重される付記項1記載の基地局装置。
【0124】
[付記項8]
少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送される移動通信システムの基地局装置で使用される方法であって、
上りリンクで受信した信号の再送の要否を示す送達確認情報を用意するステップと、
所定のマッピングテーブルに従って、ユーザ多重数分の送達確認情報の各々を、Iチャネル又はQチャネルにマッピングするステップと、
前記送達確認情報をユーザに通知するステップと、
を有し、前記マッピングテーブルは、ユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示すようにした方法。
【0125】
[付記項9]
少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送される移動通信システムで使用されるユーザ装置であって、
上りリンクの無線リソースの割当情報を含む下り制御信号を復調する手段と、
前記割当情報に従って、上りリンクで共有データチャネルを送信する手段と、
前記共有データチャネルの再送の要否を示す送達確認情報を、所定のマッピングテーブルに従って下り制御信号から取り出す手段と、
を有し、前記マッピングテーブルは、下り制御信号のユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示すようにしたユーザ装置。
【0126】
[付記項10]
下り制御信号中のユーザ毎の割当情報のマッピング位置と、各ユーザへの送達確認情報のIチャネル又はQチャネルにおけるマッピング位置とが一意に対応付けられている付記項9記載のユーザ装置。
【0127】
[付記項11]
あるユーザの上り共有データチャネルに割り当てられたリソースブロックと、該ユーザへの送達確認情報のIチャネル又はQチャネルにおけるマッピング位置とが一意に対応付けられている付記項9記載のユーザ装置。
【0128】
[付記項12]
ユーザ多重数が所定数以下の場合、上りリンクでユーザに割り当てられるリソースブロック数が、偶数個に制限される付記項11記載のユーザ装置。
【0129】
[付記項13]
所定数以下の送達確認情報の組が、同一サブフレーム内で異なる周波数で反復的に伝送され、ある組と別の組の間で、Iチャネルにマッピングされる少なくとも2つの送達確認情報のマッピング順序が異なる付記項9記載のユーザ装置
[付記項14]
所定数以下の送達確認情報の組が、同一サブフレーム内で異なる周波数で反復的に伝送され、ある組と別の組の間で、Qチャネルにマッピングされる少なくとも2つの送達確認情報のマッピング順序が異なる付記項UE9記載のユーザ装置
[付記項15]
各ユーザの送達確認情報は所定の拡散率で拡散され、拡散された送達確認情報の複数個が同じ周波数に符号多重される付記項9記載のユーザ装置。
【0130】
[付記項16]
少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送される移動通信システムのユーザ装置で使用される方法であって、
上りリンクの無線リソースの割当情報を含む下り制御信号を復調するステップと、
前記割当情報に従って、上りリンクで共有データチャネルを送信するステップと、
前記共有データチャネルの再送の要否を示す送達確認情報を、所定のマッピングテーブルに従って下り制御信号から取り出すステップと、
を有し、前記マッピングテーブルは、下り制御信号のユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示すようにした方法。
【0131】
[付記項17]
基地局装置及び該基地局装置と無線通信するユーザ装置を有する移動通信システムであって、少なくとも共有データチャネルがI及びQチャネルを用いる直交変調方式で伝送され、前記基地局装置は、
上りリンクで受信した信号の再送の要否を示す送達確認情報を用意する手段と、
所定のマッピングテーブルに従って、ユーザ多重数分の送達確認情報の各々を、Iチャネル又はQチャネルにマッピングする手段と、
前記送達確認情報を各ユーザに通知する手段と、
を有し、前記ユーザ装置は、
上りリンクの無線リソースの割当情報を含む下り制御信号を復調する手段と、
前記割当情報に従って、上りリンクで共有データチャネルを送信する手段と、
前記共有データチャネルの再送の要否を示す送達確認情報を、所定のマッピングテーブルに従って下り制御信号から取り出す手段と、
を有し、前記マッピングテーブルは、ユーザ多重数が所定数以下の場合、送達確認情報をIチャネルのみに又はQチャネルのみに対応付け、ユーザ多重数が所定数より多かった場合、送達確認情報をI及びQチャネルに対応付けることを示すようにした移動通信システム。
【符号の説明】
【0132】
10 スケジューラ
11 PDCCH生成部
12 PHICH生成部
13 PCFICH生成部
14 制御チャネルマッピング部
15 マッピングテーブル
16 PDSCH生成部
17 多重部
20 信号分離部
21 PDCCH復調部
22 PHICH復調部
23 マッピングテーブル
24 PUSCH生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリソースブロックが周波数方向に配置されているとともに、各リソースブロックに対してリソースブロック番号が付与されており、1以上のリソースブロックに割り当てられた上り物理共有チャネルをユーザ装置から受信する受信部と、
前記受信部において受信した上り物理共有チャネルに対する送達確認情報を生成する生成部と、
前記生成部において生成した送達確認情報をユーザ装置へ送信する送信部とを備え、
前記送信部から送信される送達確認情報のリソースは、前記受信部において受信した上り物理共有チャネルを割り当てた1以上のリソースブロックのうち、最小のリソースブロック番号に対応づけられていることを特徴とする基地局装置。
【請求項1】
複数のリソースブロックが周波数方向に配置されているとともに、各リソースブロックに対してリソースブロック番号が付与されており、1以上のリソースブロックに割り当てられた上り物理共有チャネルをユーザ装置から受信する受信部と、
前記受信部において受信した上り物理共有チャネルに対する送達確認情報を生成する生成部と、
前記生成部において生成した送達確認情報をユーザ装置へ送信する送信部とを備え、
前記送信部から送信される送達確認情報のリソースは、前記受信部において受信した上り物理共有チャネルを割り当てた1以上のリソースブロックのうち、最小のリソースブロック番号に対応づけられていることを特徴とする基地局装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−102475(P2013−102475A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−281671(P2012−281671)
【出願日】平成24年12月25日(2012.12.25)
【分割の表示】特願2008−1667(P2008−1667)の分割
【原出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月25日(2012.12.25)
【分割の表示】特願2008−1667(P2008−1667)の分割
【原出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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