説明

基地局装置、携帯情報端末装置、無線通信方法

【課題】ユーザの主観的評価が反映されたQoSを実現することのできる基地局装置、携帯情報端末装置、無線通信方法を実現する。
【解決手段】携帯通信端末装置10において、基地局装置11との間の通信区間における通信速度に対するユーザの満足度によるQoS値を、基地局装置11へ通知し、基地局装置11は受信したQoS値に基づいて重み付けを行い、無線リソースを携帯通信端末装置10に割り当てる。また、複数の携帯情報端末装置10から取得された要求QoS情報について重み付けを行い、無線リソースを携帯情報端末装置10に割り当てることにより、ユーザの満足度をより適切に考慮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置、携帯情報端末装置、無線通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動体通信においてネットワーク側でのQoS管理は、例えば、基地局装置において行われる。例えば、携帯情報端末装置の伝播環境、アプリケーションソフトウェア(以下、適宜、アプリケーションと呼ぶ)の要求するQoS等を考慮した無線リソースの割り当てを行うような基地局装置が知られている。
携帯情報端末装置の伝播環境にその端末装置の通信性能を含める提案も存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
家庭内のある場所に無線通信可能なチューナー端末装置やビデオを設置し、設置したチューナー端末装置やビデオからAV(Audio Visual)データを無線LANによってストリーム配信する場合に、QoSを保証する提案も存在する(例えば、特許文献2参照)。
ユーザの契約内容や通信量をQoS管理の指標とする提案も存在する(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
ユーザ毎にサービスクラスを予め設定しておく提案も存在する(例えば、特許文献4参照)。
測定エージェントを内蔵した通信端末を含む電気通信ネットワークにおいてサービス品質(QoS)を監視するアーキテクチャーに関する提案も存在する(例えば、特許文献5参照)。
【0005】
また、無線端末に割り当てられているSG(Serving Grant)が十分であるか否かを示すハッピービット(Happy Bit)を、E−DPCCH(Enhanced Dedicated Physical Control Channel)を介して基地局に送信する技術(例えば、特許文献6参照)や、E−DPCCHにおいて、通信端末が現在のサービング許可(SG)に「満足(happy)」か「不満(unhappy)」かを通知する技術(例えば、特許文献7参照)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−039651号公報
【特許文献2】特開2007−124249号公報
【特許文献3】特開2007−058494号公報
【特許文献4】特開2004−164077号公報
【特許文献5】特表2007−528618号公報
【特許文献6】特開2009−094637号公報
【特許文献7】特開2008−022561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
移動体通信において、ユーザの利用形態・要求サービス品質(要求QoS)は多様化しているが、通信端末の通信以外の性能(処理速度等)が考慮されていない。例えば、通信先のCPU(Central Processing Unit)の性能、消費電力制御などによっても、受信データの処理速度には差がある。
ユーザによるQoS評価は極めて主観的であり、同じQoSが実現されていてもユーザ満足度にはばらつきが生じる。すなわち、通信速度について、ユーザの主観的評価がQoSに反映される仕組みがない。この点については、特許文献1〜7に記載の技術では解決することができない。
【0008】
本発明は、ユーザの主観的評価が反映されたQoSを実現することのできる基地局装置、携帯情報端末装置、無線通信方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明による基地局装置は、携帯情報端末装置との間の通信区間における通信速度に関する前記携帯情報端末装置の要求QoS情報を取得するQoS取得部(例えば、図2中の受信用通信部20に対応)と、前記QoS取得部によって取得された要求QoS情報に基づいて無線リソースを前記携帯情報端末装置に割り当てる通信処理部(例えば、図2中のスケジューリング部22に対応)とを含むことを特徴とする。この構成によれば、通信速度に対するユーザの満足度を考慮した通信速度を実現することができる。
【0010】
また、前記通信処理部は、複数の携帯情報端末装置から取得された要求QoS情報について重み付けを行い、無線リソースを前記携帯情報端末装置に割り当てることが好適である。重み付けを行うことにより、複数のユーザの満足度をより適切に考慮することができる。
本発明による携帯情報端末装置は、基地局装置との間の無線通信区間における通信速度に対するユーザの満足度から要求QoSレベルを判定するQoS判定部(例えば、図4中の要求QoS判定部41に対応)と、前記QoS判定部によって判定された要求QoSレベルを、通信速度の制御のために前記基地局装置へ通知する通信部と(例えば、図4中の通信部40に対応)を含むことを特徴とする。この構成により、基地局装置側で通信品質に対するユーザの満足度を正確に把握できる。
【0011】
また、携帯情報端末装置は、自装置において動作しているアプリケーションソフトウェアからの要求QoSと自装置の処理性能とに基づいて実現可能QoSを算出する端末処理性能判定部を更に含み、前記通信部は、前記要求QoSレベルおよび前記端末処理性能判定部によって算出された前記実現可能QoSを、通信速度の制御のために前記基地局装置へ通知するのが好適である。携帯情報端末装置の処理性能を考慮することにより、ユーザの主観的評価を適切に反映したQoSを実現することができる。
【0012】
本発明による無線通信方法は、携帯情報端末装置との間の通信区間における通信速度に関する前記携帯情報端末装置の要求QoS情報を取得するQoS取得ステップと、前記QoS取得ステップにおいて取得された要求QoS情報に基づいて無線リソースを前記携帯情報端末装置に割り当てる通信処理ステップとを含むことを特徴とする。こうすることにより、通信速度に対するユーザの満足度を考慮した通信速度を実現することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、無線通信区間に関する携帯情報端末装置の要求QoS情報を取得し、この取得された要求QoS情報に基づいて無線リソースを携帯情報端末装置に割り当てることにより、通信速度に対するユーザの満足度を考慮したQoSを実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態にかかる通信システムの全体図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる基地局装置の構成図である。
【図3】基地局装置のQoS記憶部の保有しているデータベースの構成例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる携帯情報端末装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる携帯情報端末装置の変形例の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示されている。
(通信システムの構成例)
図1は本実施形態にかかる通信システム全体図である。同図を参照すると、本発明が適用される通信システムには、基地局装置11と携帯情報端末装置10とが含まれている。基地局装置11と携帯情報端末装置10との間は、無線通信が行われる。なお、携帯情報端末装置10と同等の構成を有する他の携帯情報端末装置(図示せず)も基地局装置11と無線通信を行っているものとする。
【0016】
以下、基地局装置11、携帯情報端末装置10の構成例について、それぞれ図面を用いて説明する。
(基地局装置の構成例)
次に、本実施形態にかかる基地局装置11の構成について説明する。図2は、本実施形態にかかる基地局装置11の構成例を示すブロック図である。
本実施形態にかかる基地局装置11は、携帯情報端末装置10の要求QoS情報を受信する受信用通信部20と、要求QoSを記憶するQoS記憶部21と、要求QoSに基づいて重み付けにより無線リソースを割り当てるスケジューリング部22と、携帯情報端末装置へ送信を行う送信用通信部23とを有している。つまり、受信用通信部20は、携帯情報端末装置10の要求QoS情報を取得するQoS取得部としての機能を有している。また、スケジューリング部22は、取得された要求QoS情報に基づいて、無線リソースを携帯情報端末装置に割り当てる通信処理部としての機能を有している。
【0017】
(QoS記憶部の保有するデータベース)
図3は、QoS記憶部の保有するデータベース(DB)の構成例を示す図である。図3において、本例のデータベースは、「携帯情報端末の種類」、「無線性能」、「ベースバンド性能」、「アプリケーションの要求QoS(下限)」、「端末処理性能による実現可能QoSを考慮した要求QoS(上限)」、「ユーザ特性からの推定要求QoS」を構成要素としている。
【0018】
「携帯情報端末の種類」には、携帯情報端末の種類を示す情報が格納される。「携帯情報端末の種類」は、携帯電話機だけでなく、情報端末(タッチパネル式の端末装置など)を含む移動体端末全般を指す。
「無線性能」は、無線システムに必要とされる受信信号の品質を確保するための最小入力信号である「受信感度」、アナログ信号の電圧値をディジタル信号に変換する際の分解能である「A/D変換ビット数」を構成要素としている。
【0019】
「ベースバンド性能」は、「変調方式」、「誤り訂正」、「キャンセラ」、「軟判定のビット数」を構成要素としている。
「アプリケーションの要求QoS(下限)」には、アプリケーションの要求QoSの下限値が格納される。例えば、1秒間に1Mビットのデータ通信をするアプリケーションがあった場合、サービス利用のために最低限必要な通信速度は1Mbpsとなる。アプリケーションによっては遅延への要求がある場合も考えられる。
【0020】
また、「端末処理性能による実現可能QoSを考慮した要求QoS(上限)」には、端末処理性能による実現可能QoSを考慮した要求QoSの上限値が格納される。例えば、端末が1秒間に受信できるデータ量が1Mビットでも、端末が1秒間に画面に表示処理ができるデータ量が0.5Mビットだった場合、0.5Mbpsの通信速度が確保されれば良いと考えられる。
【0021】
さらに、「ユーザ特性からの推定要求QoS」には、携帯情報端末装置のユーザ特性からの推定要求QoSの値が格納される。例えば、ユーザが1秒間に読むことができる情報量が1画面(例えば1Mビット)だった場合、1Mbpsの通信速度が確保されれば良いと考えられる。
本実施形態では、QoS記憶部の保有するデータベースに、上記の情報が記憶される。上記の情報は例示であり、それらの情報に限定されるものではない。
【0022】
(携帯情報端末装置の構成例)
続いて、本実施形態にかかる携帯情報端末装置10の構成について説明する。図4は、本実施形態にかかる携帯情報端末装置10の構成例を示すブロック図である。
本実施形態にかかる携帯情報端末装置10は、通信速度に対するユーザの満足度から要求QoSレベルを判定する、通信速度に対するユーザ満足度による要求QoS判定部41と、それらを記憶するQoS記憶部42と、QoS記憶部52に記憶されたQoSを通信速度の制御のために基地局装置11へ通知する通信部40とを有している。
【0023】
ここで、本実施形態にかかる基地局装置11と携帯情報端末装置10との関係について説明する。携帯情報端末装置10は、通信速度に対するユーザの満足度から要求QoSレベルを判定する。そして、携帯情報端末装置10は、要求QoS情報を、通信速度の制御のために基地局装置11へ通知する。基地局装置11は携帯情報端末装置10から受信した要求QoS情報に基づいた重み付けを行い、無線リソースを割り当てる。
【0024】
(基地局装置の動作)
本実施形態にかかる基地局装置11の動作について説明する。受信用通信部20は携帯情報端末装置10から要求QoS情報を受信し、QoS記憶部21にその情報を格納する。QoS記憶部21は要求QoS情報を記憶し、スケジューリング部22の要求に応じて情報を提供する。スケジューリング部22はQoS記憶部21に格納されている要求QoSに基づいて重み付けにより無線リソースを携帯情報端末装置10へ割り当てる。
【0025】
(重み付けによる無線リソース割り当て)
以下に、代表的なスケジューリング方式による無線リソース割り当てについて説明する。ここでは、例として、WRR(Weighted Round Robin)、PF(Proportional Fairness)について説明する。
(WRR)
WRRは重み付け係数に従い各々のユーザへ無線リソースを割り当てる。WRRでは、式(1)に従って、無線リソースの割り当てが行われる。なお、式(1)において、n=全ユーザ数、αi=ユーザiの重み付け係数、である。
【0026】
【数1】

【0027】
本例では、全ユーザ数n=3とし、その場合の無線リソース割り当ての例を表1にまとめた。
【0028】
【表1】

【0029】
表1の(a)は各ユーザの要求QoSを元に定めた重み付け係数αである。表1の(b)は無線リソース割り当ての結果である。ユーザA、B、Cの要求QoSをそれぞれ5、3、1とすると、WRRによる無線リソースの割り当てはA:B:C=5:3:1となる。本方式を採用する場合は、重み付け係数に従い、複数のユーザの携帯情報端末装置へ無線リソースを割り当てるため、通信の機会を割り当てられないユーザが存在しないというメリットがある。
【0030】
(PF)
PFは、重み付けの大きい順に無線リソースを割り当てるのが基本方式である。PFについては、重み付けの方法について数々の提案がなされている。ここでは、瞬時SNR(Signal to Noise Ratio)に、重み付け係数αiを乗算した場合の無線リソース割り当てについて説明する。PFでは、式(2)に従って、無線リソースの割り当てが行われる。なお、式(2)において、αi=ユーザiの重み付け係数である。
【0031】
【数2】

【0032】
本例では、全ユーザ数n=3とし、その場合の無線リソース割り当ての例を表2にまとめた。
【0033】
【表2】

【0034】
表2の(a)は各ユーザの要求QoSを元に定めた重み付け係数αi、瞬時SNR値、及び、平均SNR値である。表2の(b)は無線リソース割り当ての結果である。ユーザA、B、Cの要求QoSをそれぞれ5、3、1とすると、PFによる無線リソースの割り当ては、A:B:C=5:9:6(=2.5:4.5:3)となる。
本方式を採用した場合は、瞬時SNR及び平均SNRを考慮することでシステム全体の効率をある程度維持することができるというメリットがある。また、重み付け係数を用いることによって、複数のユーザ間の優先度付けとのトレードオフが可能である。
【0035】
ここで、瞬時SNR及び平均SNRについては、以下のように定義される。すなわち、基地局装置11と携帯情報端末装置10との間の通信を行うスケジューリングタイムスロットの最小単位をT[sec]とし、携帯情報端末装置10からはシステムにより定められた間隔で移動機端末の受信環境を示す指標としてあるタイムスロットにおけるSNRを基地局に送信する。これを瞬時SNRとする。そして、基地局装置11において、受信した携帯情報端末装置10からSNRを一定タイムスロット数記憶しておき、平均SNRを算出する。
例えば、携帯情報端末装置10から基地局装置11へのSNR報告を毎タイムスロット行い、4タイムスロットごとの平均SNRを算出した場合、以下のようになる。
【0036】
【表3】

【0037】
すなわち、本例では、タイムスロットT1からT4までの瞬時SNR(T1)〜瞬時SNR(T4)について平均値である平均SNR(T1〜T4の平均値)を算出する。また、タイムスロットT5からT8までの瞬時SNR(T5)〜瞬時SNR(T8)について平均値である平均SNR(T5〜T8の平均値)を算出する。その後のタイムスロットについても同様に、4タイムスロットごとに平均SNRを算出する。
【0038】
(携帯情報端末装置の動作)
本実施形態にかかる携帯情報端末装置10の動作について説明する。通信速度に対するユーザ満足度による要求QoS判定部41はユーザの満足度から要求QoSを判定し、QoS記憶部42に格納する。QoS記憶部42は通信速度に対するユーザ満足度による要求QoS判定部41から受け取った要求QoS情報を記憶する。通信部40はQoS記憶部42から要求QoS情報を読み出し、基地局装置11に通知する。
【0039】
なお、ユーザ満足度による要求QoS判定部41のより詳細な動作例としては、以下の(例1)、(例2)のような手法が考えられる。
(例1)ユーザ操作ログなどから、ユーザの要求QoSのレベルを推定する手法
例えば、Webブラウザによってブラウジング中のWebページ表示から次の操作までの時間を測定し、ユーザの処理能力を測定する。また、ユーザによるボタン入力の速度などからユーザの操作能力を測定するようにしてもよい。
【0040】
ブラウジング中のWebページ表示から次の操作までの時間については、ブラウザアプリケーションの動作ログや、基地局装置との通信ログなどから算出することができる。また、ボタン入力速度については端末装置内のキー入力ログから算出することができる。これらの測定は、どちらもデバイス管理クライアントなどを用いて実現可能である。また、携帯情報端末装置10がインカメラのついた携帯電話機であれば、眼球の動きなどを測定することで、これらを測定することも考えられる。
【0041】
(例2)センサを利用したストレス度の測定
センサを利用してストレス度を測定する。例えば、携帯情報端末装置10に搭載したセンサからストレス度を測定する。そして、提供QoSとの比例関係を算出することで要求QoSを推定する。ストレス度については、一般に、唾液センサや脈拍などに基づいて測定することができる。
【0042】
また、「分子通信」と呼ばれるバイオチップを用いてストレス度を測定してもよい。なお、「分子通信」については、Webページ「URL:http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/080327_00.html」に記載されている。
さらにまた、耳たぶに装着したセンサによってストレス度を測定してもよい。耳たぶに装着したセンサを用いる技術については、Webページ「URL:http://www.kddi.com/business/oyakudachi/square/labo/030/index.html」に記載されている。
【0043】
(携帯情報端末装置の変形例)
さらに、本発明の実施形態にかかる携帯情報端末装置10の変形例について説明する。図5はその構成を示すブロック図である。
図5において、本実施形態にかかる携帯情報端末装置10は、通信速度に対するユーザの満足度から要求QoSレベルを判定する、通信速度に対するユーザ満足度による要求QoS判定部41と、それらを記憶するQoS記憶部42と、QoS記憶部42に記憶されたQoSを通信速度の制御のために基地局装置へ通知する通信部40とを有する。以上は図4を参照して説明した構成と同様である。
【0044】
変形例ではそれらに加え、自装置にインストールされ動作しているアプリケーションからの要求QoSを算出するアプリケーション要求QoS部44と、端末の性能を考慮して実現可能QoSを算出する端末処理性能判定部43とを有している。
この携帯情報端末装置10の変形例の動作について説明する。通信速度に対するユーザ満足度による要求QoS判定部41は、ユーザの満足度から要求QoSを判定し、その要求QoSをQoS記憶部42に格納する。また、アプリケーション要求QoS部44は、動作しているアプリケーションからの要求QoSを算出し、端末処理性能判定部43に格納する。端末処理性能判定部43は、アプリケーションからの要求QoSと携帯情報端末装置の処理性能とを考慮して実現可能QoSを算出し、その実現可能QoS情報をQoS記憶部42に格納する。
【0045】
アプリケーション要求QoS部44は、アプリケーションから発生する通信をそのままアプリケーションからの要求QoSとしてもよいし、通信がオールIP(Internet Protocol)化された場合には、パケット内にそれらの情報が含まれるので、それを参照することによって、ネットワークで要求QoSを把握できる。
端末処理性能判定部43は、例えばテストプログラムを動かすことによって、携帯情報端末装置10の性能を測定する。
QoS記憶部42は通信速度に対するユーザ満足度による要求QoS判定部41から受け取った要求QoS情報及び端末処理性能判定部43から受け取った実現可能QoS情報を記憶する。通信部40はQoS記憶部42から要求QoS情報を読み出し、基地局装置11に通知する。
【0046】
(無線通信方法)
上述した基地局装置においては、以下のような無線通信方法が採用されている。すなわち、携帯情報端末装置との間の通信区間に関する前記携帯情報端末装置の要求QoS情報を取得するQoS取得ステップ(受信用通信部20の動作に対応)と、前記QoS取得ステップにおいて取得された要求QoS情報に基づいて無線リソースを前記携帯情報端末装置に割り当てる通信処理ステップ(スケジューリング部22の動作に対応)とを含む無線通信方法が採用されている。この方法によれば、通信速度に対するユーザの満足度を考慮した通信速度を実現することができる。
【0047】
(まとめ)
本実施形態による基地局装置は、通信相手である携帯情報端末装置の要求QoS情報を取得して記憶しておき、記憶した要求QoSに基づいて重み付けにより無線リソースを割り当てることにより、通信速度に対するユーザの満足度を考慮した通信速度を実現できる。
【0048】
本実施形態による携帯情報端末装置においては、通信速度に対するユーザの満足度から要求QoSレベルを判定し、通信速度の制御のために基地局装置へ通知する通信機能を有することにより、基地局装置側で通信品質に対するユーザの満足度をより正確に把握できる。
【符号の説明】
【0049】
10…携帯情報端末装置
11…基地局装置
20…受信用通信部
21…QoS記憶部
22…スケジューリング部
23…送信用通信部
40…通信部
41…通信速度に対するユーザ満足度による要求QoS判定部
42…QoS記憶部
43…端末処理性能判定部
44…アプリケーション要求QoS部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯情報端末装置との間の通信区間における通信速度に関する前記携帯情報端末装置の要求QoS情報を取得するQoS取得部と、前記QoS取得部によって取得された要求QoS情報に基づいて無線リソースを前記携帯情報端末装置に割り当てる通信処理部とを含むことを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記通信処理部は、複数の携帯情報端末装置から取得された要求QoS情報について重み付けを行い、無線リソースを前記携帯情報端末装置に割り当てることを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
基地局装置との間の無線通信区間における通信速度に対するユーザの満足度から要求QoSレベルを判定するQoS判定部と、前記QoS判定部によって判定された要求QoSレベルを、通信速度の制御のために前記基地局装置へ通知する通信部とを含むことを特徴とする携帯情報端末装置。
【請求項4】
自装置において動作しているアプリケーションソフトウェアからの要求QoSと自装置の処理性能とに基づいて実現可能QoSを算出する端末処理性能判定部を更に含み、前記通信部は、前記要求QoSレベルおよび前記端末処理性能判定部によって算出された前記実現可能QoSを、通信速度の制御のために前記基地局装置へ通知することを特徴とする請求項3に記載の携帯情報端末装置。
【請求項5】
携帯情報端末装置との間の通信区間における通信速度に関する前記携帯情報端末装置の要求QoS情報を取得するQoS取得ステップと、前記QoS取得ステップにおいて取得された要求QoS情報に基づいて無線リソースを前記携帯情報端末装置に割り当てる通信処理ステップとを含むことを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−109775(P2012−109775A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256773(P2010−256773)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】