説明

基材上のノンスティックコーティングの耐食性の改善方法

本発明は、基材にベースコートを施すことによって基材上のノンスティックコーティングの耐食性を改善するための方法を提供する。ベースコートは、耐熱性非フルオロポリマーバインダーと無機充填剤粒子との液体組成物を含み、この無機粒子は約2マイクロメートル以下の平均粒径を有する。乾燥塗膜の厚さが少なくとも約10マイクロメートル、好ましくは約10〜約35マイクロメートルである液体組成物を基材に塗布し、乾燥させてからベースコートを得る。そのベースコートの上からノンスティックコーティングを施す。耐熱性非フルオロポリマーバインダーは、好ましくは、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)およびそれらの組合せよりなる群から選択される。より好ましくは、非フルオロポリマーバインダーは少なくとも約15,000の数平均分子量を有するポリアミドイミドを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上のノンスティックコーティングの耐食性を改善する分野に含まれる。特に本発明は、ノンスティックコーティングを表面に有する改善された料理道具であって、このコーティングが改善された耐食性を有しかつ基材への良好な付着性を維持するような改善された料理道具の製造分野に含まれる。
【背景技術】
【0002】
洗剤および塩を含んだ食物による腐食作用(corrosive affects)に対して耐性があるとともに、良好な焦げつき・こびりつき防止性(release properties)のある内側調理表面を有するコーティングされた料理道具を作製することが長い間望まれてきた。
【0003】
ノンスティックコーティングは当該技術分野において周知である。こうしたコーティングでは、多くの場合フルオロポリマー樹脂が使用されているが、それはフルオロポリマー樹脂が耐熱性および耐化学薬品性のみならず、低い表面エネルギーを有するためである。そのようなポリマーは、調理された食品がくっつかないような表面になり、容易に清浄にされ、汚れにくく、調理温度やベーキング温度で有用である。しかし、フルオロポリマー樹脂だけをベースにしたノンスティックコーティングは、料理道具の金属基材への付着性が乏しく、耐食性が不十分である。
【0004】
耐食性を改善するために、料理道具の製造業者はステンレス鋼製の片手鍋およびフライパンを製造してきた。ステンレス鋼は、腐食(発錆)に対して耐性があると通常は考えられているスチールの1ファミリーである。こうしたスチールは所定量のクロムを含有しており、クロムは空気と反応して目に見えない酸化クロム保護表面層を形成する。しかし、熱および塩にさらされた状況(含塩(塩を含有するかまたは塩を生成する)食品を調理するときなどに生じる)では、酸化クロム層が損傷を受けて、塩イオン(鉄)侵食が可能になり、錆の発生(すなわち、赤錆Fe(OH)3)が起こる。より工業的な環境では、含塩物質(ダスト、ガス、および薬品など)が基材上に腐食を引き起こしうる。
【0005】
しかし、ステンレス鋼およびスチールへのフルオロポリマーコーティングの付着性は、より一般的な料理道具のアルミニウム基材への付着性よりもさらにいっそう難しい問題である。基材への付着性が乏しいと、たとえコーティングの完全な状態が影響を受けていなくても、塩イオンがいっそう容易に基材に到達して腐食が増大するという影響が及ぶことになる。
【0006】
付着性の改善は、例えば、サンドブラスト、グラインディング、酸腐食、ブラシ研磨によってまたは熱アーク噴霧による金属またはセラミックの粗い層の形成によって、基材表面を粗くすることにより行うことができる。付着性を増大させるその他の方法としては、フルオロポリマー樹脂を耐熱性ポリマーバインダー樹脂と混合することによってプライマー層を形成し、その後1つまたは複数のフルオロポリマーノンスティック保護膜を施すという方法などがある。フルオロポリマー樹脂はプライマーと保護膜層との間の付着性を促進するのに対し、プライマー中の耐熱性バインダーは基材への付着性を促進する。
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1,016,466B1号明細書
【特許文献2】米国特許第4,380,618号明細書
【特許文献3】米国特許第4,014,834号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
多くの進歩があったにもかかわらず、料理道具、特にステンレス鋼金属から作製される料理道具用の現在のノンスティックコーティングは、たとえステンレス鋼であっても耐食性が不十分である。このことは、10重量%沸騰塩水中に4時間さらした後に錆が生じることから分かる(英国標準規格BS 7069)。こうした試験は化学的侵食性(chemically aggressive)食品の過酷さをシミュレートするものである。
【0009】
金属基材用の改善された耐食性ノンスティックコーティングが、料理道具や家庭電化用品における用途、ならびに工業的利用に望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、基材にベースコートを施すことによって基材上のノンスティックコーティングの耐食性を改善するための方法を提供する。ベースコートは、耐熱性の非フルオロポリマー(non−fluoropolymer)バインダーと無機充填剤粒子との液体組成物を含み、この無機粒子は約2マイクロメートル以下の平均粒径を有する。乾燥塗膜の厚さが少なくとも約10マイクロメートル、好ましくは約10〜約35マイクロメートルの液体組成物を基材に塗布し、乾燥させてからベースコートを得る。そのベースコートの上からノンスティックコーティングを施す。耐熱性非フルオロポリマーバインダーは、好ましくは、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)およびそれらの組合せよりなる群から選択される。非フルオロポリマーバインダーは、より好ましくは、少なくとも約15,000、好ましくは約15,000〜約30,000の範囲の数平均分子量を有するポリアミドイミドを含み、この分子量はノンスティックコーティング組成物にこれまで使用されてきたものより大きい。より好ましい実施形態では、非フルオロポリマーバインダーはポリアミドイミドとポリフェニレンスルフィドの組合せを含む。
【0011】
本発明はさらに、少なくとも約15,000の数平均分子量を有するポリアミドイミド(PAI)耐熱性ポリマーバインダー、液体溶剤、および約2マイクロメートル以下の平均粒径を有する無機充填剤粒子を含む、耐食性組成物を提供する。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、液体溶剤、可溶性耐熱性非フルオロポリマーバインダーおよび耐熱性非フルオロポリマーバインダーの不溶性粒子を含む耐食性組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、良好な焦げつき・こびりつき防止性および良好な付着性を維持するとともに、基材上のノンスティックコーティングの優れた耐食性を達成するための方法である。本発明は、ベースコートを形成させるために、耐熱性非フルオロポリマーバインダーと約2マイクロメートル以下の平均粒径を有する無機充填剤粒子との液体組成物を基材に塗布するための方法に関する。ベースコートは基材に対する強い付着性を有する。
【0014】
本発明の耐熱性非フルオロポリマーバインダー成分は、融解するまで熱すると膜を形成し、耐熱性があり、しかも持続使用温度(sustained use temperature)が少なくとも約140℃であるポリマーから構成される。この成分は、ノンスティック仕上げ剤の用途、フルオロポリマー含有層を基材(特に金属基材)へ付着させる用途、および層の内部でその一部として膜形成させる用途においてよく知られている。フルオロポリマー自体には基材への付着性はほとんどないかまったくない。バインダーは一般にはフッ素を含有しないが、それでもベースコートの上に施されるノンスティックコーティングに含まれることが好ましいフルオロポリマーに、付着するかまたはそれと反応しやすい。そのようなポリマーバインダーの例としては、以下の1つまたは複数がある。(1)ガラス転移温度が約185℃で持続使用温度(sustained service temperature)が約140℃〜160℃の非晶質熱可塑性ポリマーであるポリスルホン、(2)ガラス転移温度が約230℃で、持続使用温度が約170℃〜190℃の非晶質熱可塑性ポリマーであるポリエーテルスルホン(PES)、(3)ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)および/またはポリアミド酸塩(ポリアミドイミドに変換される)(これらのイミドは、特に、融解するまでコーティングを加熱すると架橋し、持続使用温度が250℃を超える)。バインダーは一般にフッ素を含有しないが、上層(over layer)のフルオロポリマー含有ノンスティックコーティングに付着する。こうしたポリマーは清浄な金属表面にもよく付着する。好ましい実施形態では、以下に説明するようなPAIを使用する場合などは、バインダーは有機溶剤に可溶性である。
【0015】
当業者なら、本発明の実施に際して耐熱性ポリマーバインダーの混合物を使用する可能性があることを理解するであろう。本発明では、とりわけ、柔軟性、硬さ、耐蒸気性、耐食性および特に噴霧性などの特定の特性が望ましい場合に、複数種のバインダーの使用が企図される。
【0016】
平均粒径は、所定の量の粒子において、粒子の総量の50%がある特定の粒径以下である場合にその粒径であると定義され、その特定の粒径に等しいパラメーターd50で定義される。例えば、d50=0.15マイクロメートルは、粒径が0.15マイクロメートル以下である粒子の総量が50%であることを意味する。粒径は、所定の量の粒子において、粒子の総量の100%がある特定の粒径以下である場合にその粒径であると定義され、その特定の粒径に等しいパラメーターd100で定義される。例えば、d100=0.30マイクロメートルは、粒径が0.30マイクロメートル以下の粒子の総量が100%であることを意味する。言い換えれば、すべての粒子が0.30マイクロメートル以下であるということである。
【0017】
1つの好ましい実施形態では、有機液体に不溶性であるポリフェニレンスルフィド(PPS)を、ポリマーバインダーの溶液中に不溶性粉末粒子として添加する。ポリフェニレンスルフィド(PPS)は、溶融温度が約280℃でかつ持続使用温度が約200℃〜240℃である部分的に結晶質のポリマーである。本発明によれば、粒子は約5マイクロメートル〜約20マイクロメートルの範囲の平均粒径d50を有する。平均粒径(d50)が10マイクロメートルで、d100が42マイクロメートルのPPS粉末粒子が特に有用である。PPS粒子を添加すると、ポリマーバインダーの溶液の噴霧が促進される。特に、基材に塗布するためにPPSの粒子を高分子量PAI溶液に添加すると、この高粘度組成物の噴霧性の改善が認められる。これは、単なる希釈でPAI粘度を制御する場合とは大きく異なり、希釈の場合には塗布時にコーティングのたるみが生じる傾向がある。好ましい実施形態では、非フルオロポリマーバインダーは溶液状態のPAIと不溶性PPS粉末粒子との混合物を含み、PAIは好ましくは固形分重量%に基づいてPPSの量より多く存在する。最も好ましい実施形態では、耐熱性非フルオロポリマーバインダーは、溶液状態のポリマーバインダー、無機充填剤およびPPS粉末粒子を含む液体組成物の全固形分の30重量%未満、より好ましくは10重量%未満の量でPPS粉末粒子が存在するような、溶液状態のPAIと不溶性PPS粉末粒子の混合物を含む。本発明に用いる場合、固形分重量%でのPAI:PPSの好ましい比率は、80:20〜30:70の範囲内である。
【0018】
本発明に使用する液体は、耐熱性ポリマーバインダーを溶かす有機溶剤が好ましい。すなわち、コーティング組成物中に存在する主な液体は有機溶剤である。かかる溶剤としては、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、およびクレゾール酸などがあるが、これは使用する特定のポリマーバインダーによって異なるであろう。NMPは、比較的安全であり、環境許容性(environmental acceptability)があるので、好ましい溶剤である。溶剤の混合物を使用できることは当業者なら理解するであろう。有機溶剤の場合、清浄にされたグリットブラスト仕上げの基材上にさびが発生するのを避けられる。
【0019】
好ましいバインダーの1例として、無機充填剤を添加する前の、N−メチルピロリドンなどの融合助剤に溶解させたポリアミドイミド(PAI)がある。好ましい実施形態では、ポリアミドイミドは、少なくとも約15,000、好ましくは約15,000〜約30,000の範囲、より好ましくは約18,000〜約25,000の数平均分子量を有する。PAIの分子量が大きくなると、生成されるベースコートの膜は厚くなる。すなわち、乾燥塗膜(dried film)の厚さ(DFT)が少なくとも約10マイクロメートルとなる。高分子量のポリアミドイミドは日立化成工業株式会社(Hitachi Chemical)から入手可能である。このような分子量のPAIは、典型的には電線に使用されるが、料理道具用のノンスティックコーティングにはこれまで使用されてこなかった。以下に説明し、実施例で示すように、ベースコート中のPAIの数平均分子量が大きくなると、気泡形成が生じることなく、より厚いコーティングを形成できるという相関関係がある。
【0020】
上述したように、フルオロポリマーは低い表面エネルギーを有するので、基材にあまり付着しない。基材(特にステンレス鋼)へのより優れた付着性を実現するには、本発明においてベースコートの形成に使用する液体組成物は、実質的にフルオロポリマーを含まないことが好ましい。「実質的にフルオロポリマーを含まない」とは、使用する組成物に含まれるそのようなフルオロポリマーの全固形分が約0.5重量%未満であることを意味する。本発明に使用する無機充填剤粒子は、約2マイクロメートル以下、好ましくは1マイクロメートル以下、より好ましくは約0.1〜約2マイクロメートルの範囲の平均粒径d50を有する。充填剤の粒径は、ドイツ国のシンパテック社(SYMPATEC GmbH(Germany))から入手可能なヘロス・アンド・ロドス・レーザー・ディフラクション・アナライザー(Helos&Rodos Laser Diffraction Analyser)を用いて測定した体積配分粒径(volume distribution particle size)d50である。充填剤粒子により、乾燥およびベーキング時のベースコートの収縮が避けられる。上述のPPS粒子とよく似ているが、充填剤粒子も、同じ固形分%を有する組成物の粘度の減少、したがって液体組成物の噴霧性を促進する。充填剤粒子の粒径範囲は決定的に重要である。充填剤粒子が大きくなると、噴霧性が改善されるが、粒子の寸法が小さくなると、耐食性が改善される。無機充填剤粒子は、好ましくは、無機窒化物、カーバイド、ホウ化物および酸化物およびそれらの混合物の群から選択される。有用な充填剤粒子の例としては、チタン、アルミニウム、亜鉛、およびスズのそれぞれの酸化物、酸化ケイ素などの無機カーバイド、およびそれらの混合物がある。TiO2の小粒子は、手頃な価格で容易に入手できるので特に好ましい。1つの実施形態では、ベースコートを形成させるために本発明で使用する液体組成物は、耐熱性ポリマーバインダー、および全固形分が約80重量%以下、好ましくは50重量%以下の無機充填剤粒子、より好ましくは20固形分重量%〜70固形分重量%の無機充填剤粒子を含有する。
【0021】
本発明の組成物は、通常の手段で基材に塗布できる。塗布対象の基材にもよるが、噴霧塗布およびローラー塗布は最も便利な塗布方法である。その他のよく知られているディッピングやコイル塗装を含む塗装方法が好適である。
【0022】
基材は、ベースコートを施した後にノンスティックコーティングを施すことによって耐食性が増大する金属が好ましい。有用な基材の例としては、アルミニウム、陽極処理アルミニウム、炭素鋼、およびステンレス鋼がある。上述したように、本発明は特にステンレス鋼に適用できる。ステンレス鋼は熱分散性(heat distribution properties)が乏しいため、料理鍋は多くの場合アルミニウムとステンレス鋼からなる多層構造である。この場合、アルミニウムにより料理鍋はより均一な温度分布となり、ステンレス鋼により耐食性のある調理表面が提供されるようになっている。
【0023】
本発明による基材のコーティング方法は、
(a)耐熱性非フルオロポリマーバインダーと約2マイクロメートル以下の平均粒径d50を有する無機充填剤粒子とを含む液体組成物を前記基材に塗布して、乾燥塗膜の厚さが少なくとも約10マイクロメートルであるベースコートを得る工程と、
(b)前記組成物を乾燥させて前記ベースコートを得る工程と、
(c)前記ノンスティックコーティングを前記ベースコートに塗布してコーティングされた基材を形成させる工程と
を含む。この方法は、前記コーティングされた基材をベーキングすることをさらに含んでもよい。
【0024】
さらに詳述すると、液体組成物を塗布する前に、基材は清浄にして、付着性を阻害することがある汚染物質およびグリースを除去することが好ましい。好ましい実施形態では、その後で基材をグリットブラストする。清浄化および/またはグリットブラストの工程により、ベースコートは基材によりよく付着できるようになる。通常の石けんおよびクレンザーを使用して清浄にすることができる。基材は、空気中において高温(800°F(427℃)以上の温度)でベーキングすることによりさらに清浄にすることができる。その後、清浄にした基材を砂または酸化アルミニウムなどの研磨粒子でグリットブラストして、ベースコートが付着できる粗面を形成させる。ベースコートの付着性に望ましい粗面化は、40〜160マイクロインチ(1〜4マイクロメートル)の平均粗さ(roughness average)で特徴づけることができる。
【0025】
好ましい実施形態では、ベースコートは噴霧によって施す。ベースコートは、乾燥塗膜の厚さDFTが約10マイクロメートルより厚く、好ましくは約12マイクロメートルより厚くなるまで、さらに他の実施形態では約15〜約30マイクロメートルの範囲および約18〜約22マイクロメートルの範囲で施す。ベースコートの厚さは耐食性に影響する。ベースコートが薄過ぎると、基材が完全に被覆されず、耐食性が減少する。ベースコートが厚過ぎると、コーティングにひびが入るか気泡が形成されて、塩イオンが侵食できる領域が生じ、そのために耐食性が減少する。液体組成物を塗布してから乾燥させて、ベースコートを形成させる。乾燥温度は組成物に基づいて120℃から250℃まで変わるが、典型的には、例えば、150℃で20分間または180℃で10分間にすることができる。
【0026】
ベースコートを施して乾燥させた後、通常のノンスティックコーティングを、好ましくはプライマーおよびトップコートの形態で施すことができ、ノンスティックコーティングは1つまたは複数の中間コート(intermediate coats)を含んでよい。1つの好ましい多層コーティングは、プライマー(8〜15マイクロメートル)、中間層(8〜15マイクロメートル)およびトップコート(5〜15マイクロメートル)を含む。ノンスティックコーティングは、任意の好適なノンスティック組成物(例えば、シリコーンまたはフルオロポリマー)であってよい。フルオロポリマーが特に好ましい。ノンスティックコーティングを施した後、基材をベーキングする。3層のノンスティックフルオロポリマーコーティングを有する1つの好ましい実施形態では、基材を427℃で3〜5分間ベーキングするが、ベーキング時間はノンスティックコーティングの組成および厚さによって異なることになる。
【0027】
本発明で用いるノンスティックコーティング用のフルオロポリマーは、溶融粘度が少なくとも1×107Pa・sである非溶融成形可能なフルオロポリマーであってよい。1つの実施形態は、溶融粘度が380℃で少なくとも1×108Pa・sであり、フルオロポリマーの中でも最も熱安定性の高いポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。かかるPTFEは、ベーキング(融解)時の膜形成能力を改善する少量のコモノマー改質剤も含んでいてよい。改質剤は、パーフルオロオレフィン、特にヘキサフルオロプロピレン(HFP)またはパーフルオロ(アルキルビニル)エーテル(特にここでアルキル基は1個〜5個の炭素原子を含む)などであり、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)が好ましい。かかる改質剤の量は、PTFEを溶融成形可能(melt−fabricability)にするには不十分なものであり、一般には0.5モル%以下である。また簡単にするために、PTFEは単一溶融粘度、通常は少なくとも1×109Pa・sを有してよいが、種々の溶融粘度を有するPTFEの混合物を使用してノンスティック成分にすることもできる。
【0028】
フルオロポリマーは、PTFEと組み合わせる(ブレンドする)かまたはPTFEの代わりに用いるかのいずれかの、溶融成形可能なフルオロポリマーであってもよい。かかる溶融成形可能なフルオロポリマーの例としては、TFEと少なくとも1種のフッ素化共重合性モノマー(コモノマー)とのコポリマーがあり、少なくとも1種のフッ素化共重合性モノマーは、コポリマーの融点を、TFEホモポリマーであるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の融点よりも実質的に下まで(例えば、315℃以下の溶融温度まで)減少させるのに十分な量でポリマー中に存在する。TFEの場合の好ましいコモノマーとしては、3個〜6個の炭素原子を有するパーフルオロオレフィン(perfluoroolefins)およびパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)(ここで、アルキル基は1個〜5個の炭素原子、特に1個〜3個の炭素原子を含む)などの過フッ素化されているモノマーなどがある。特に好ましいコモノマーとしては、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)およびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)などがある。好ましいTFEコポリマーとしては、FEP(TFE/HFPコポリマー)、PFA(TFE/PAVEコポリマー)、TFE/HFP/PAVE(ここで、PAVEはPEVEおよび/またはPPVEである)およびMFA(TFE/PMVE/PAVEであって、ここでPAVEのアルキル基は少なくとも2個の炭素原子を有する)などがある。溶融成形可能なテトラフルオロエチレンコポリマーの分子量は重要ではないが、ただし、アンダーコートの用途においては、膜形成されるほど十分なものであるべきあり、ばらばらにならないように成形品を維持できるようなものであるべきである。典型的には、溶融粘度は、ASTM D−1238に従って372℃で測定した場合に、少なくとも1×102Pa・sになり、約60〜100×103Pa・sまでであってよい。好ましい組成物は、溶融粘度が1×107〜1×1011Pa・sの範囲にある非溶融成形可能なフルオロポリマーと粘度が1×103〜1×105Pa・sの範囲にある溶融成形可能なフルオロポリマーとのブレンドである。
【0029】
フルオロポリマー成分は一般にポリマーの水分散液として市販されているが、これは塗布のしやすさおよび環境許容性の点で本発明の組成物にとって好ましい形態である。「分散液」は、フルオロポリマー粒子が水性媒体中に安定して分散していることを意味し、分散液が使用されるときに粒子の沈降が起こらない。このことは、寸法の小さいフルオロポリマー粒子(典型的には0.2マイクロメートルのオーダーにある)および分散液製造業者が水性分散液中で界面活性剤を使用していることによって実現される。かかる分散液は、分散重合として知られている方法(任意選択的にその後で濃縮および/またはさらに界面活性剤を添加する)によって直接得ることができる。
【0030】
有用なフルオロポリマーとしては、ミクロ粉末(micropowders)として一般に知られているものもある。こうしたフルオロポリマーは一般に、372℃において1×102Pa・s〜1×106Pa・sの溶融粘度を有する。かかるポリマーとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)ポリマーとして知られているポリマーの群をベースにしたものがあるが、これらに限定されない。これらのポリマーは直接重合してもよく、あるいは分子量の大きいPTFE樹脂を分解して作ってもよい。TFEポリマーとしては、TFEのホモポリマー(PTFE)、および樹脂が非溶融加工性のままであるような低い濃度の共重合性改質コモノマー(<1.0モルパーセント)とTFEとのコポリマー(改質PTFE)などがある。改質モノマーは、例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(プロピルビニル)エーテル(PPVE)、パーフルオロブチルエチレン、クロロトリフルオロエチレン、あるいは側基を分子に導入するその他のモノマーであってよい。
【0031】
さらに本発明によれば、耐食性組成物は、液体有機溶剤、上述の可溶性耐熱性非フルオロポリマーバインダーおよび耐熱性非フルオロポリマーバインダーの不溶性粒子を含んでよい。
【0032】
また本発明によれば、少なくとも15,000の数平均分子量を有するポリアミドイミド(PAI)耐熱性ポリマーバインダー、液体溶剤、および約2マイクロメートル以下の平均粒径を有する無機充填剤粒子を含む、耐食性組成物が提供される。
【0033】
特に有用なノンスティックコーティングシステムは(特許文献1)に記載されており、さらに詳しくはその出願の実施例に記載されている。
【0034】
実施例で示すように、本発明の原理に従ってベースコートを特にステンレス鋼基材に施す方法を使用しないコーティングシステムの場合、英国標準規格BS 7069(沸騰水中10重量%の塩)をほんの4時間実施しただけで錆の発生およびふくれが生じて耐食性が減少したことが分かる。それに対して、本発明の方法に従って作製したステンレス鋼基材は、同じ条件下において、少なくとも24時間、好ましくは少なくとも40時間、より好ましくは少なくとも56時間、80時間を超えるほどの長い間、錆の発生およびふくれに持ちこたえることができる。
【0035】
本発明の方法および組成物を用いて作られた耐食性ノンスティック仕上げ剤を有する製品としては、フライパン、片手鍋、耐熱皿、炊飯器とその内釜(inserts therefor)、家庭電化用品、アイロンの底面、コンベヤ、シュート、ロール表面、刃、加工容器などがある。
【0036】
(試験法)
(耐食性試験(英国標準規格BS 7069))
以下に示す変更形態では、耐食性はBS 7069で測定している。実施例に示されているように、ステンレス鋼鍋(SS♯304)を清浄にしてグリットブラストし、鍋をコーティングしてからその鍋をベーキングしてコーティングを形成させることにより、試験体を作製する。10重量%の塩を含有している塩水溶液を清浄な試験鍋に入れて、鍋の側面の中間点を越えるレベルまで満たす。鍋の側面に容器の最初の水位の印を付ける。鍋を熱源の上に置き、BS 7069で規定されている24時間の代わりに8時間間隔で沸騰させる。量水標の15mm以内に常に水位が維持されるように脱イオン水を追加する。8時間経過した時点で試験体は、食器用洗剤を用いて温水で洗い、付着している塩を除去する。試験体に欠陥がないか視覚的に検査する。その後この過程を繰り返す。
【0037】
(付着性試験(剥離試験))
寸法が10×5×1mmである試験パネル304 SSを、以下の実施例で説明されているように清浄化、グリットブラスト、コーティング、ベーキングを行ってから、沸騰水に浸す。コーティングされたパネルを入れた後、沸騰水が完全に沸騰するようにさせてから、時間測定を開始する。沸騰水処理の後、パネルは急冷させないで室温まで冷却し、完全に乾燥させる。平行した切り傷をパネル上の乾燥塗膜コーティングに10mm間隔で入れる。剥離速度が約50mm/分の90度の角度において、膜を剥がす力を測定する。これは金属基材への膜の付着強度(adhesive strength)の尺度である。
【0038】
(気泡形成試験)
寸法が30×10×1mmの長い試験パネル304 SSを清浄にして、グリットブラストする。長さ方向に厚さが徐々に増大するようにベースコートをパネルに施す。厚さは、15〜40マイクロメートルの厚さの範囲に及んでいる。倍率40倍で顕微鏡によって塗膜を観察し、厚さが徐々に増大しているコーティングで最初に気泡形成が生じている場所を突き止める。気泡形成が観察される場合、厚さの測定を行う。この試験により、耐食性にとって不利になる気泡形成が生じることなく、どれくらいの厚さのベースコートを施すことができるかが判定される。
【実施例】
【0039】
(ベースコートの原料成分)
可溶性ポリマーバインダーは、日本国東京の日立化成工業株式会社(Hitachi Chemical,Tokyo,Japan)から入手可能な約20,000の数平均分子量を有するポリアミドイミドHPC−5000である。
【0040】
充填剤粒子は、デュポン・タイワン(DuPont Taiwan)から入手可能な、平均粒径d50が0.15で粒径d100が0.30である二酸化チタンR−900である。粒径は、ドイツ国のシンパテック社(SYMPATEC GmbH Germany)から入手可能なヘロス・アンド・ロドス(Heloe&Rodos)レーザー回折KA/LAアナライザーで測定される。
【0041】
不溶性ポリマーバインダー粒子は、日本国東京の大日本インキ化学工業株式会社(Dainippon Ink and Chemicals,Inc.(Tokyo,Japan))から入手可能な、10マイクロメートルの平均粒径を有するポリフェニレンスルフィド(PQ−208)である。
【0042】
【表1】

【0043】
(ノンスティックコーティング(特許文献1)(プライマー、中間層、トップコート)の原料成分)
(フルオロポリマー)
PTFE分散液:本願特許出願人から入手可能なデュポン(DuPont)TFEフルオロポリマー樹脂分散液グレード30。
【0044】
FEP分散液:固形分が54.5〜56.5重量%でRDPSが150〜210ナノメートルのTFE/HFPフルオロポリマー樹脂分散液。この樹脂は、HFP含量が9.3〜12.4重量%であり、米国特許公報(特許文献2)に記載されているように変更されたASTM D−1238の方法で372℃において測定した溶融流量が11.8〜21.3である。
【0045】
PFA分散液:本願特許出願人から入手可能なデュポン(DuPont)PFAフルオロポリマー樹脂分散液グレード335。
【0046】
(ポリマーバインダー)
PAIは、トーロン(Torlon(登録商標))AI−10ポリ(アミド−イミド)(アモコ・ケミカルズ社(Amoco Chemicals Corp.)であり、これは6〜8%の残留NMPを含有し、およそ12,000の数平均分子量を有する固体樹脂(ポリアミド酸塩(polyamic salt)に戻すことができる)である。
【0047】
ポリアミド酸塩は、N,N−ジメチルアセトアミド中0.5重量%溶液として30℃で測定された内部粘度が少なくとも0.1であるポリアミド酸として一般には入手可能である。これを融合助剤(N−メチルピロリドンなど)および粘度降下剤(フルフリルアルコールなど)中に溶解させ、第三アミン(好ましくはトリエチルアミン)と反応させて水溶性の塩を形成させる。これは米国特許公報(特許文献3)(コンカノン(Concannon))に詳しく記載されているとおりに行う。
【0048】
(無機硬膜剤(Inorganic Film Hardener)
ドイツ国ミュンヘンのエレクトロシュメルツベルク・ケンプテン社(ESK)(Elektroschmelzwerk Kempten GmbH(ESK)、Munich Germany)から供給される炭化珪素。
【0049】
P 600=25.8±1マイクロメートルの平均粒径
P 400=35.0±1.5マイクロメートルの平均粒径
P 320=46.2±1.5マイクロメートルの平均粒径
【0050】
平均粒径は、供給者提供の情報に従ってFEPA−Standard−43−GB 1984R 1993 resp.ISO 6344を使用した沈降によって測定する。
【0051】
酸化アルミニウム(小粒子)は、コンデア・ビスタ社(Condea Vista Co.)から供給されるセラロックス(Ceralox)HPA0.5(平均粒径が0.35〜0.50マイクロメートル)である。
【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
【表4】

【0055】
(実施例1)
洗浄してグリースが取り除かれてからグリットブラストされたステンレス鋼♯304の鍋およびパネルに噴霧することにより、表1に記載されている高分子量ポリアミドイミド、PPSおよびTiO2のベースコートを施す。バインダー(PAI+PPS)/TiO2の比率は50/50である。施されたベースコートの乾燥コーティングの厚さ(DFT)は、表4に示すように8〜36ミクロンの範囲である。ベーキングされたコーティングの厚さは、渦電流の原理に基づく膜厚計(film thickness instrument)(例えば、アイソスコープ(Isoscope))で測定する(ASTM B244)。
【0056】
このベースコートは150℃で20分間強制空気乾燥を行って乾燥させる。(特許文献1)に記載されているコーティングと同様のノンスティックコーティングを以下のように施す。耐熱性ポリマーバインダー、充填剤および顔料を含有するプライマーコーティングを、ベースコートの上から噴霧する。プライマーの組成は表2に示してある。ベースコートおよびプライマーのポリマーバインダー分子量、充填剤タイプおよび粒径が異なっていることに注目されたい。この後、中間層を乾燥プライマーの上から噴霧する。この中間層にトップコートをウェットオンウェットで施す。中間層およびトップコートの組成を表3および4にそれぞれ示す。コーティングされた基材を427℃で3〜5分間ベーキングする。プライマー/中間層/トップコートの乾燥コーティングの厚さ(DFT)を渦電流解析で測定すると、17マイクロメートル/15マイクロメートル/7マイクロメートルとなる。
【0057】
上記の試験法の項で説明したようにして鍋の耐食性試験を実施する。上記の試験法の項で説明したようにしてパネルの付着性剥離試験を実施する。結果を表5に示す。ベースコーティングの厚さは優れた耐食性を得るうえで決定的に重要である。
【0058】
【表5】

【0059】
(比較実施例A)
実施例1と同様に、同じプライマー/中間層/トップコートを有するノンスティックコーティングを、ベースコートがない以外は同様に作製したステンレス鋼パネルおよびステンレス鋼鍋(♯304)に施す。パネルの付着性試験を実施する。鍋の耐食性試験を実施する。付着性は2.0Kgf/cmである。耐食性は4時間しかない。
【0060】
(実施例2)
実施例1に記載されているように、ステンレス鋼のパネルおよび鍋を作製し、ベースコートおよびノンスティックコーティング(プライマー/中間層/トップコート)でコーティングする。バインダーポリマー(PAIおよびPPS)と充填剤の間の比率は表6に従って変える。パネルおよび鍋について付着性試験および耐食性試験を実施し、結果は表6に示すとおりである。ベースコート中のバインダーの量が多くなると、耐食性が向上し、かつ付着性が向上するという相関関係がある。
【0061】
【表6】

【0062】
(実施例3)
長いステンレス鋼パネル(30×10×1)を実施例1と同様にして作製し、ベースコートでコーティングする。可溶性ポリマーバインダー(PAI)の分子量を表7に従って変える。PPSの量は一定のままであり、バインダーと充填剤との比率も一定のままである。長さ方向に厚さが徐々に増大するようにベースコートをパネルに施す。厚さは、15〜40マイクロメートルの厚さの範囲に及んでいる。パネルに関して試験法の項で記載した気泡形成試験を実施する。結果を表7に示す。
【0063】
ベースコート中のPAIの数平均分子量が大きくなると、気泡形成が生じることなくより厚いコーティングを形成できるという相関関係がある。
【0064】
【表7】

【0065】
(実施例4)
実施例1に記載されているように、ステンレス鋼のパネルおよび鍋を作製し、ベースコートおよびノンスティックコーティング(プライマー/中間層/トップコート)でコーティングする。充填剤のサイズを表8に示すように変える。バインダー(PAI+PPS)/TiO2の比率は50/50である。パネルおよび鍋について付着性試験および耐食性試験を実施し、結果は表9に示すとおりである。ベースコート中の無機充填剤の粒径が小さくなると、耐食性が向上するという相関関係がある。
【0066】
【表8】

【0067】
さまざまな無機充填剤の粒径は、ドイツ国のシンパテック社(SYMPATEC GmbH(Germany))から入手可能なヘロス・アンド・ロドス・レーザー・ディフラクション・アナライザー(Helos&Rodos Laser Diffraction Analyser)を用いて測定する。
【0068】
50=0.15マイクロメートルは、粒径が0.15マイクロメートル以下の粒子の総量が50%であることを意味する。d100=0.30マイクロメートルは、粒径が0.30マイクロメートル以下の粒子の総量が100%であることを意味する。言い換えれば、すべての粒子が0.30マイクロメートル以下であるということである。
【0069】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上のノンスティックコーティングの耐食性の改善方法であって、
(a)耐熱性非フルオロポリマーバインダーと約2マイクロメートル以下の平均粒径を有する無機充填剤粒子とを含む液体組成物を前記基材に塗布して、乾燥塗膜の厚さが少なくとも約10マイクロメートルであるベースコートを得る工程と、
(b)前記組成物を乾燥させて前記ベースコートを得る工程と、
(c)前記ノンスティックコーティングを前記ベースコートに施してコーティングされた基材を形成させる工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記コーティングされた基材をベーキングする工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ベースコートの乾燥塗膜の厚さが少なくとも約12マイクロメートルであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ベースコートの乾燥塗膜の厚さが約10〜約35マイクロメートルの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ベースコートの乾燥塗膜の厚さが約15〜約30マイクロメートルの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ベースコートの乾燥塗膜の厚さが約18〜約22マイクロメートルの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記液体組成物が有機溶剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記非フルオロポリマーバインダーが、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)およびそれらの組合せよりなる群から選択されるポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記非フルオロポリマーバインダーが少なくとも15,000の数平均分子量を有するポリアミドイミド(PAI)を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記非フルオロポリマーバインダーが、約15,000〜約30,000の範囲内の数平均分子量を有するポリアミドイミド(PAI)を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記非フルオロポリマーバインダーが、約18,000〜約25,000の範囲内の数平均分子量を有するポリアミドイミド(PAI)を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記非フルオロポリマーバインダーがポリアミドイミド(PAI)とポリフェニレンスルフィド(PPS)の組合せを含むことを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項13】
前記PAIが前記PPSの量より多くの量で存在することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ベースコートがフルオロポリマーを実質的に含まないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記基材が、アルミニウム、ステンレス、および炭素鋼よりなる群から選択される金属基材であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記基材がステンレス鋼であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記無機充填剤粒子が約1ミクロン以下の平均粒径を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記無機充填剤粒子が約0.1〜約2.0マイクロメートルの範囲の平均粒径d50を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ノンスティックコーティングが、プライマーとトップコートおよび任意選択的に1つまたは複数の中間層を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ノンスティックコーティングがフルオロポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記無機充填剤が、無機窒化物、カーバイド、ホウ化物および酸化物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記無機充填剤が、チタンの無機酸化物、アルミニウムの無機酸化物、亜鉛の無機酸化物、スズの無機酸化物およびそれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記無機充填剤が二酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記ベースコートが、存在するバインダーの量が充填剤の量以上であるような充填剤対バインダーの比率を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記ノンスティックコーティングが、プライマー、中間層、およびトップ層を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記ベースコートを施す前に前記基材をグリットブラストする工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記コーティングされた基材のBS 7049による10%沸騰塩水耐食性が少なくとも24時間であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記コーティングされた基材のBS 7049による10%沸騰塩水耐食性が少なくとも40時間であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記構造コーティングされた基材のBS 7049による10%沸騰塩水耐食性が少なくとも56時間であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記基材への前記ノンスティックコーティングの付着性が少なくとも約2.0Kg/cmであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記基材への前記ノンスティックコーティングの付着性が少なくとも約3.0Kg/cmであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも15,000の数平均分子量を有するポリアミドイミド(PAI)耐熱性ポリマーバインダー、液体溶剤、および約2マイクロメートル以下の平均粒径を有する無機充填剤粒子を含むことを特徴とする耐食性組成物。
【請求項33】
前記組成物がポリフェニレンスルフィド耐熱性ポリマーバインダーも含むことを特徴とする請求項32に記載の耐食性組成物。
【請求項34】
有機溶剤、可溶性耐熱性非フルオロポリマーバインダーおよび耐熱性非フルオロポリマーバインダーの不溶性粒子を含むことを特徴とする耐食性組成物。
【請求項35】
前記組成物がフルオロポリマーを実質的に含まないことを特徴とする請求項34に記載の耐食性組成物。

【公表番号】特表2009−504386(P2009−504386A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526179(P2008−526179)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/031140
【国際公開番号】WO2007/021800
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】