基板、スライダ、近接場光ヘッド、基板検査方法及び基板製造方法
【課題】効率的に製造することができる基板、スライダ、近接場光ヘッド、基板製造方法、及び基板検査方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る基板は、近接場光を発生する近接場光発生素子と、入射した光を出射する導光機能部とを備え、導光機能部の光出射側の面積は、近接場光発生素子の近接場光発生側の面積よりも大きく形成されており、導光機能部は、近接場光発生素子の近接場光発生側の面の形状が所望の大きさであるか否かを判別するために用いられるものであることを特徴とする。
【解決手段】本発明に係る基板は、近接場光を発生する近接場光発生素子と、入射した光を出射する導光機能部とを備え、導光機能部の光出射側の面積は、近接場光発生素子の近接場光発生側の面積よりも大きく形成されており、導光機能部は、近接場光発生素子の近接場光発生側の面の形状が所望の大きさであるか否かを判別するために用いられるものであることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を集光したスポット光を利用して記録媒体に各種の情報を記録再生する基板、スライダ、近接場光ヘッド、基板検査方法及び基板製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ機器におけるハードディスク等の記録媒体(以下、ディスクという)は、より大容量且つ高密度情報の記録再生を行いたい等のニーズを受けて、更なる高密度化が求められている。そのため、隣り合う磁区同士の影響や、熱揺らぎを最小限に抑えるために、保持力の強いものがディスクとして採用され始めている。そのため、ディスクに情報を記録することが困難になっていた。
【0003】
そこで、上述した不具合を解消するために、近接場光を利用して磁区を局所的に加熱して一時的に保持力を低下させ、その間にディスクへの書き込みを行うハイブリッド磁気記録方式の情報記録再生装置が提案されている。特に、近接場光を利用する場合には、従来の光学系において限界とされていた光の波長以下となる領域を加熱することが可能となる。よって、従来の磁気記録再生装置を超える記録ビットの高密度化を図ることができる。
【0004】
上述したハイブリッド磁気記録方式による情報記録再生装置としては、各種のものが提案されているが、その1つとして、特許文献1に示すような構造がある。レーザからの光をスライダ外に設置された導波路を介してスライダに設けられた近接場光ヘッドに供給し、その先端の板状部分と金属薄膜の界面付近の狭窄部から十分エネルギーの大きな近接場光を生成する。この近接場光を利用して、超高分解能の情報記録を行うことができる情報記録再生装置が知られている。
【0005】
この情報記録再生装置は、近接場光ヘッドを備えたスライダをディスク上でスキャンさせ、スライダをディスク上の所望する位置に配置する。その後、近接場光ヘッドから放射された近接場光とスライダから発生する記録磁界とを協働させることで、ディスクに情報を記録することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−146655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に示すようなハイブリッド磁気記録再生装置の記録ヘッドは、基板の浮上面研磨工程において、ELG(Electro Lapping Guide)の手法が用いられる。しかし、この手法を用いるためには、スライダにELG用パターニングをした後に、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術による工程とは別の工程において、ELG用パターンの1つ1つの電極のボンディングを行う必要があり、非常に製造効率が悪いことが問題となっていた。
【0008】
そこで、本発明はこのような事情に考慮して成されたもので、その目的は、効率的に製造することができる基板、スライダ、近接場光ヘッド、基板製造方法、及び基板検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の手段を提供する。
本発明に係る基板は、近接場光を発生する近接場光発生素子と、入射した光を出射する導光機能部とを備え、導光機能部の光出射側の面積は、近接場光発生素子の近接場光発生側の面積よりも大きく形成されており、導光機能部は、近接場光発生素子の近接場光発生側の面の形状が所望の大きさであるか否かを判別するために用いられるものであることを特徴とする。
係る基板は、近接場光発生素子の先端面積よりも大きい先端面積を有する導光機能部を備えることにより、導光機能部からの出射光を利用することで近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさであるか否かを判断することができる。ゆえに、導光機能部からの出射光を確認しながら研磨を行うことで、電気的な接続をすることなく、近接場光発生素子を所望の大きさに仕上げることができる。よって、製造効率のよい基板を提供することができる。
【0010】
本発明に係る基板は、記録媒体の上を浮上するスライダを備えるスライダ基板と、導光機能部を備える導光機能部基板とを備えることを特徴とする。
係る基板は、スライダとは異なるところに導光機能部を備えることにより、個々のスライダに導光機能部を備える必要がなく、製造効率の良い基板を提供する効果に加えてスライダの設計自由度を向上することができる。
【0011】
本発明に係るスライダは、記録媒体の上を浮上するスライダであって、請求項1に記載の基板を備えることを特徴とする。
係るスライダは、個々のスライダに導光機能部を備えることにより、個々のスライダ単位で研磨制御を行うことができる。
【0012】
本発明に係る近接場光ヘッドは、請求項3に記載のスライダを備える近接場光ヘッドであって、スライダに光を供給する光学素子を備え、近接場光発生素子は、光学素子から供給された光を用いて、近接場光を発生するものであることを特徴とする。
係る近接場光ヘッドは、請求項1に示す基板を備えることにより、製造効率のよい近接場光ヘッドを提供できると共に、研磨時に電気的な接続を行う必要がないので近接場光ヘッドの設計自由度を向上することができる。
【0013】
本発明に係る近接場光ヘッドは、請求項4に記載の近接場光ヘッドであって、スライダに備えられており、光学素子から供給された光を、近接場光発生素子まで導波する光導波路を備え、近接場光発生素子は、光導波路から供給された光を用いて近接場光を発生するものであることを特徴とする。
係る近接場光ヘッドは、光学素子からの光を、光導波路を介して近接場光発生素子へ伝搬させることにより、より光効率のよい近接場光ヘッドを提供することができる。
【0014】
本発明に係る基板は、請求項1に記載の基板であって、導光機能部は、光導波路と相似形であることを特徴とする。
係る基板は、導光機能部と光導波路を相似形に形成することにより、導光機能部と近接場光発生素子からの出射光をより近い条件にすることができるため、近接場光発生素子の先端面の大きさの判別をより厳密に行うことができる。
【0015】
本発明に係る基板においては、請求項1に記載の基板であって、導光機能部は、光軸に対して直交する第一面積と、光軸に対して直交するとともに第一面積の大きさとは異なる第二面積とを備えることを特徴とする。
係る基板は、導光機能部が面積の異なる部分を備えていることにより、面積の変化に対応して近接場光発生素子の先端面積を対応付けることができるため、近接場光発生素子の先端面積の大きさをより容易に確認することができる。
【0016】
本発明に係る基板においては、近接場光発生素子は、記録媒体と対向する対向面から所定距離の位置に備えられており、導光機能部は、第一面積から第二面積に変化する境界部分を備え、所定距離の位置は、境界部分に備えられていることを特徴とする。
係る基板は、近接場光発生素子の備えられている位置周辺に、導光機能部の断面積変化をつけることで、導光機能部の記録媒体と対向する面とは反対側の端面面積と、導光機能部の記録媒体と対向する面の端面面積との比を大きくしなくても、近接場光発生素子の備えられている位置周辺の断面積変化を大きくすることができる。ゆえに、近接場光発生素子の記録媒体に対向する面から離れる位置に従って近接場光発生素子の断面積が変化する変化率よりも、導光機能部の同断面積の変化率を大きくつけることができるので、近接場光発生素子の先端面積の大きさをより容易に確認することができる。
【0017】
本発明に係る基板においては、導光機能部は、第一面積から第二面積に向かうに従って断面積が小さくなるように構成されたテーパー部を備えることを特徴とする。
係る基板は、導光機能部がテーパー部を備えることにより、導光機能部の断面積が連続的に変化する。ゆえに、近接場光発生素子がその記録媒体から対向する面から位置が離れるに従って、近接場光発生素子の断面積が連続的に変化する場合であっても、導光機能部の断面積に同様の連続的な変化を与えることができるため、近接場光発生素子の先端面積の大きさをより正確に確認することができる。
【0018】
本発明に係る基板においては、テーパー部の記録媒体に近い部分の第一テーパー角は、第一テーパー角と異なる位置に備えられた第二テーパー角と異なることを特徴とする。
係る基板は、第二テーパー角による導光機能部の断面積の変化率が小さい場合であっても、記録媒体に近い第一テーパー角によって導光機能部の断面積の変化率を大きくすることができるため、近接場光発生素子の先端面積の大きさをより正確に、かつ容易に確認することができる。
【0019】
本発明に係る基板においては、請求項1に記載の基板であって、導光機能部は、コアとクラッドから構成されていることを特徴とする。
係る基板は、コアとクラッドから構成されることにより、MEMS技術のマスクを利用した成膜方法により、テーパー角を容易に制御して形成することができるため、導光機能部をより容易に形成することができると共に、近接場光発生素子の先端面積の大きさをより正確に確認することができる。
【0020】
本発明に係る基板においては、請求項1に記載の基板であって、導光機能部の一部はレンズによる集光構造を備えていることを特徴とする。
係る基板は、導光機能部の一部にレンズを利用することにより、導光機能部がコアとクラッドによる集光構造を有していなくても、導光機能部内を伝搬する光を集光し、導光機能部の記録媒体と対向する面からの位置の変化に対応して、導光機能部からの出射光のスポットサイズを変化させることができる。
【0021】
本発明に係る基板においては、請求項1に記載の基板あって、導光機能部は、光導波路と同一の材料により構成されていることを特徴とする。
係る基板は、導光機能部が光導波路と同一材料により構成されていることにより、導光機能部と光導波路を同一工程で形成することが可能になるため、導光機能部を容易に形成することができる。また同時に、導光機能部と光導波路からの出射光の条件を近づけることができるため、近接場光発生素子の先端面積の大きさをより正確に確認することができる。
【0022】
本発明に係る基板においては、請求項1に記載の基板であって、導光機能部の一部は、不透過性材料で構成されていることを特徴とする。
係る基板は、導光機能部の一部が不透過性材料で構成されていることにより、導光機能部からの出射光の中に影が形成される。ゆえに、導光機能部に集光機能が備わっていない場合であっても、不透過性材料に導光機能部の記録媒体に対向する面から位置が離れるに従って不透過性材料の断面積が小さくなることにより、導光機能部からの出射光に投影される不透過性材料の影のサイズが小さくなるように変化する。よって、影のサイズを測定することにより、近接場光発生素子の先端面積の大きさを確認することができる。
【0023】
本発明に係る基板においては、請求項1に記載の基板であって、導光機能部は、2つ備えられており、記録媒体と対向する対向面に対して直交する直交方向に対してそれぞれ傾いて形成されていることを特徴とする。
係る基板は、導光機能部に集光機能を備えなくても、2つの導光機能部に光を入射させ、出射した光の相対距離から近接場光発生素子の先端面積の大きさを確認することができる。
【0024】
本発明に係る基板においては、導光機能部は、前記直交方向に対してそれぞれ等角度傾いて形成されていることを特徴とする。
係る基板は、導光機能部に集光機能が備わっていない場合であっても、導光機能部の記録媒体に対向する面からの位置が離れるに従って、2つの導光機能部間の距離が変化するため、その距離を測定することにより、近接場光発生素子の先端面積の大きさを確認することができる。
【0025】
本発明に係る基板は、請求項1に記載の基板であって、導光機能部は、2つ備えられており、記録媒体と対向する面方向において、光導波路は、導光機能部のそれぞれと等しくなる位置に備えられていることを特徴とする。
係る基板は、光導波路が2つの導光機能部の中点に備えられることになるため、製造効率のよい基板を提供する効果に加えて、光導波路に光を入射する際に光導波路よりも大きく作られた導光機能部が目印に利用できる効果がある。
【0026】
本発明に係る基板製造方法は、近接場光を発生する近接場光発生素子を備える基板を製造する基板製造方法であって、基板は、入射した光を出射する導光機能部を備え、導光機能部の光出射側の面積は、近接場光発生素子の近接場光発生側の面積よりも大きく形成されており、導光機能部は、近接場光発生素子の近接場光発生側の面の形状が所望の大きさであるか否かを判別するために用いられるものであり、導光機能部の光出射側の面を研磨する研磨工程を有し、研磨工程は、導光機能部の光出射側とは逆側の面から光を入射させ、導光機能部の光出射側の面から出射した導光機能部出射光の状態が基準値を満たしているとき研磨を完了することを特徴とする。
係る基板製造方法は、浮上面研磨工程においてELG手法による研磨を行わなくても、近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさとなるように研磨することができる。ゆえに、ELG手法に必須である電極ボンディングの工程を省くことができるため、基板を効率的に製造することができる。
【0027】
本発明に係る基板製造方法においては、基板は、スライダを備え、導光機能部及びスライダを含む領域を基板から分割する分割工程を備えることを特徴とする。
係る基板製造方法は、スライダバーもしくは個々のスライダに分割してから研磨を行うことにより、ウエハ状態で研磨することによる研磨斑を軽減することができ、製造歩留まりを向上させることができる。
【0028】
本発明に係る基板製造方法においては、分割工程は、研磨工程の後に導光機能部とスライダとを分割することを特徴とする。
係る基板製造方法は、スライダバー状態で研磨することにより、個々のスライダに分割してから、個々のスライダの研磨量を調整しながら研磨するよりも研磨効率を向上させることができるため、基板を効率的に製造することができる。
【0029】
本発明に係る基板製造方法においては、研磨工程後に、近接場光発生素子が良品であるか否かを判別する良否検査工程を備え、研磨工程は、近接場光発生素子が良品でないと判別された場合に再び実行されることを特徴とする。
係る基板製造方法は、研磨工程に近接場光発生素子の良否判定を組み込むことにより、研磨工程後に近接場光発生素子の良否判定を行う必要がなく、基板の製造工程を簡略化することができるため、基板を効率的に製造することができる。
【0030】
本発明に係る基板製造方法においては、近接場光発生素子を形成する近接場発生素子製造工程と、導光機能部を形成する導光機能部製造工程とを有し、導光機能部製造工程と近接場光発生素子製造工程においては、導光機能部と近接場光発生素子を同一マスクで成膜する工程を有することを特徴とする。
係る基板製造方法は、導光機能部と近接場光発生素子を同一マスクで成膜し、形成することにより、導光機能部と近接場光発生素子の相互のサイズ関係を精度よく形成することができるため、近接場光発生素子の先端面積をより精度よく制御しながら研磨することができる。
【0031】
本発明に係る基板製造方法においては、入射した光を近接場光発生素子まで導波する光導波路を備え、近接場光発生素子は、光導波路からの光を用いて近接場光を発生するものであり、導光機能部を形成する導光機能部製造工程と、光導波路を形成する光導波路製造工程とを有し、導光機能部製造工程と光導波路製造工程においては、導光機能部と光導波路を同一マスクで同時に成膜する工程を有することを特徴とする。
係る基板製造方法は、導光機能部と光導波路を同一工程で製造することで、効率よく製造することができると共に、導光機能部と光導波路の先端に備えられた近接場光発生素子からの出射光の条件を近づけることができるため、近接場光発生素子の先端面積をより精度よく制御しながら研磨することができる。
【0032】
本発明に係る基板製造方法においては、研磨工程は、導光機能部出射光のスポット径が基準値を満たしているとき研磨を完了することを特徴とする。
係る基板製造方法においては、導光機能部の先端面積の情報を反映しやすい出射光のスポット径を、浮上面研磨を行う際の確認手段とすることで、近接場光発生素子の先端面積をより精度よく制御しながら研磨することができる。
【0033】
本発明に係る基板製造方法においては、導光機能部は、2つ備えられており、記録媒体と対向する対向面に対して直交する直交方向に対してそれぞれ等角度傾いて形成されており、研磨工程は、導光機能部のそれぞれの導光機能部出射光の距離が基準値を満たしているとき研磨を完了することを特徴とする。
係る基板製造方法は、導光機能部の記録媒体に対向する面からの位置の変化に対して、導光機能部の出射光のスポット径が一定であっても、2つの導光機能部からの出射光の距離を確認しながら研磨を行うことにより、近接場光発生素子の先端面積をより精度よく制御しながら研磨することができる。
【0034】
本発明に係る基板の検査方法においては、近接場光を発生する基板を検査する基板検査方法であって、基板は、近接場光を発生する近接場光発生素子と、入射した光を出射する導光機能部とを備え、導光機能部の光出射側の面積は、近接場光発生素子の近接場光発生側の面積よりも大きく形成されており、導光機能部は、近接場光発生素子の近接場光発生側の面の形状が所望の大きさであるか否かを判別するために用いられるものであり、近接場光発生素子が良品であるか否かを判別する良否検査工程を備えることを特徴とする。
係る基板検査方法は、基板の最も重要な素子のひとつである近接場光発生素子の良否検査工程を行うことにより、基板の歩留りを向上させることができる。
【0035】
本発明に係る基板検査方法においては、良否検査工程は、導光機能部の光出射側とは反対側から光を入射し、導光機能部の光出射側から出射された出射光の状態を観察し、出射光が基準値を満たしているとき、近接場光発生素子が良品であると判断することを特徴とする。
係る基板検査方法は、基板を組み立てヘッドジンバルアセンブリとした後に、記録媒体へ記録再生を行う良否検査を実施しなくても、基板の状態で導光機能部を利用して間接的に近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさに形成されているか否かの良否検査を行うことができるため、ヘッドジンバルアセンブリを組み立ててから発生する不良品の個数を低減させることができるため、製造コスト、特に無駄なコストを低減させることができる。
【0036】
本発明に係る基板検査方法においては、良否検査工程は、出射光のスポット径が基準値を満たしているとき、近接場光発生素子が良品であると判断することを特徴とする。
係る基板検査方法においては、導光機能部の先端面積の情報を反映しやすい出射光のスポット径を確認手段とすることで、近接場光発生素子の先端面積をより精度よく確認することができる。
【0037】
本発明に係る基板検査方法においては、導光機能部は、2つ備えられており、記録媒体と対向する対向面に対して直交する直交方向に対してそれぞれ等角度傾いて形成されており、良否検査工程は、導光機能部のそれぞれの導光機能部出射光の距離が基準値を満たしているとき、近接場光発生素子が良品であると判断することを特徴とする。
係る基板検査方法は、導光機能部の記録媒体に対向する面からの位置の変化に対して、導光機能部の出射光のスポット径が一定であっても、2つの導光機能部からの出射光の距離を確認することにより、近接場光発生素子の先端面積をより精度よく確認することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明による基板によれば、近接場光発生素子の先端面積よりも大きい先端面積を有する導光機能部を備えることにより、導光機能部からの出射光を利用することで近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさであるか否かを判断することができる。ゆえに、導光機能部からの出射光を確認しながら研磨を行うことで、電気的な接続をすることなく、近接場光発生素子を所望の大きさに仕上ることができる。よって、製造効率のよい基板を提供することができる。
【0039】
また、本発明による基板製造方法によれば、浮上面研磨工程においてELG手法による研磨を行わなくても、近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさとなるように研磨することができる。ゆえに、ELG手法に必須である電極ボンディングの工程を省くことができるため、基板を効率的に製造することができる。
【0040】
また、本発明による基板検査方法によれば、基板を組み立てヘッドジンバルアセンブリとした後に、記録媒体へ記録再生を行う良否検査を実施しなくても、基板の状態で導光機能部を利用して間接的に近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさに形成されているか否かの良否検査を行うことができるため、ヘッドジンバルアセンブリを組み立ててから発生する不良品の個数を低減させることができるため、製造コスト、特に無駄なコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】情報記録再生装置の一実施形態を示す構成図である。
【図2】スライダが上側に備えられる方向から、ヘッドジンバルアセンブリを拡大して示した斜視図である。
【図3】ヘッドジンバルアセンブリの先端部分を拡大して示した断面図である。
【図4】スライダを示した斜視図である。
【図5】スライダの形成方法を示すフローチャートである。
【図6】スライダ基板に光導波路層を形成する工程を段階的に示した工程図である。
【図7】スライダ浮上面の研磨方法を示したフローチャートである。
【図8】スライダ浮上面の研磨を実施する装置構成図である。
【図9】第2実施形態におけるスライダの形成工程を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態における近接場光発生素子32の良否検査を実施する装置構成図である。
【図11】第3実施形態における光導波路層を積層面に平行に切断した断面図である。
【図12】第3実施形態における光導波路層を積層面に平行に切断した断面図である。
【図13】第3実施形態における光導波路層を積層面に平行に切断した断面図である。
【図14】第4実施形態における光導波路層を積層面に平行に切断した断面図である。
【図15】第5実施形態における光導波路層を積層面に平行に切断した断面図である。
【図16】第6実施形態における光導波路層を積層面に平行に切断した断面図である。
【図17】第7実施形態におけるスライダを示した斜視図である。
【図18】第7実施形態におけるスライダバーを示した斜視図である。
【図19】第7実施形態におけるスライダの形成方法を示すフローチャートである。
【図20】第7実施形態における研磨方法を示したフローチャートである。
【図21】第8実施形態におけるスライダの形成工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態の構造と製造方法を、図1から図9を参照して説明する。
図1は、本発明に係る情報記録再生装置1の一実施形態を示す構成図である。なお、本実施形態の情報記録再生装置1は、垂直記録層を有するディスク(記録媒体)Dに対して、垂直記録方式で書き込みを行う装置である。情報記録再生装置1は、キャリッジ11と、キャリッジ11の基端側から光束を供給するレーザ光源20と、キャリッジ11の先端側に支持され、サスペンション3とサスペンション3の先端に形成されたスライダ2から構成されるヘッドジンバルアセンブリ(HGA)12と、ヘッドジンバルアセンブリ12をディスクDの表面に平行なXY方向に向けてスキャン移動させるアクチュエータ6と、ディスクDを所定の方向に向けて回転させるスピンドルモータ7と、配線4を介してレーザ光源20に接続されており、情報に応じて変調した電流をスライダ2に対して供給する制御部5と、これら各構成品を内部に収容するハウジング(不図示)とを備えている。
【0043】
ハウジングは、アルミニウム等の金属材料からなる上部開口部を有する箱型形状のものであり、上面視四角形状の底部9と、底部9の周縁において底部9に対して鉛直方向に立設する周壁とで構成されている。そして、周壁に囲まれた内側には、上述した各構成品等を収容する凹部が形成される。なお、図1においては、説明を分かりやすくするため、ハウジングの周囲を取り囲む周壁を省略する。また、このハウジングには、ハウジングの開口を塞ぐように図示しない蓋が着脱可能に固定されるようになっている。底部9の略中心には、上述したスピンドルモータ7が取り付けられており、該スピンドルモータ7に中心孔を嵌め込むことでディスクDが着脱自在に固定される。
【0044】
ディスクDの外側、つまり底部9の隅角部には、上述したアクチュエータ6が取り付けられている。このアクチュエータ6には、ピボット軸10を中心にXY方向に対して回動可能なキャリッジ11が取り付けられている。このキャリッジ11は、基端部から先端部に向けてディスクDの表面に沿って延設されたアーム部14と、基端部を介してアーム部14を片持ち状に支持する基部15とが、削り出し加工等により一体形成されたものである。基部15は、ピボット軸10まわりを回動可能に支持されている。つまり、基部15はピボット軸10を介してアクチュエータ6に連結されており、このピボット軸10がキャリッジ11の回転中心となっている。
【0045】
アーム部14は、基端部から先端部に向かうにつれ先細るテーパ形状に形成されており、各アーム部14間に、ディスクDが挟み込まれるように配置されている。つまり、アーム部14とディスクDとが、互い違いになるように配されており、アクチュエータ6の駆動によってアーム部14がディスクDの表面に平行な方向(XY方向)に移動可能とされている。なお、キャリッジ11及びヘッドジンバルアセンブリ12は、ディスクDの回転停止時にアクチュエータ6の駆動によって、ディスクD上から退避するようになっている。
【0046】
図2は、スライダ2が上側に備えられる方向から、ヘッドジンバルアセンブリ12を拡大して示した斜視図である。ヘッドジンバルアセンブリ12は、上述したレーザ光源20からスライダ2まで光束を導くための導光部32と、スライダ2に備えられる後述する記録素子42や再生素子41などを動作させるための電流を供給する電気配線31が、スライダ2に隣接して接続されている。さらにこれらの導光部32、電気配線31及びスライダ2を固定させるサスペンション3が備えられている。
【0047】
サスペンション3は、上面視略四角状に形成されたベースプレート22と、ベースプレート22の先端側にヒンジ板23を介して連結された平面視略三角状のロードビーム24とフレクシャ25で構成されている。
【0048】
ベースプレート22は、ステンレス等の厚みの薄い金属材料によって構成されており、基端側には厚さ方向に貫通する開口22aが形成されている。そして、この開口22aを介してベースプレート22がアーム部14(図1参照)の先端に固定されるようになっている。ベースプレート22の上面には、ステンレス等の金属材料により構成されたシート状のヒンジ板23が配置されている。
【0049】
このヒンジ板23は、ベースプレート22の上面の全面に亘って形成された平板状のものである。ヒンジ板23の先端部分にロードビーム24が連結されている。ロードビーム24は、ベースプレート22と同様にステンレス等の厚みの薄い金属材料によって構成されており、その基端がベースプレート22の先端との間に間隙を有した状態でヒンジ板23に連結されている。これにより、サスペンション3はベースプレート22とロードビーム24との間を中心に屈曲して、ディスクDの表面に垂直なZ方向に向けて撓み易くなっている。
【0050】
フレクシャ25は、ステンレス等の金属材料により支持体18とジンバル17が一体形成されたシート状のものであり、シート状に形成されることで厚さ方向に撓み変形可能に構成されている。また、フレクシャ25は、ロードビーム24の先端側に固定されており、サスペンション3が変形した際にサスペンション3の変形に追従するように構成されている。
【0051】
また、ロードビーム24の先端には、フレクシャ25及びスライダ2の略中心に向かって突出する、突起部19(図3参照)が形成されている。この突起部19の先端は、丸みを帯びた状態となっている。そして突起部19は、スライダ2がディスクDから受ける風圧によりロードビーム24側に浮上したときに、フレクシャ25の先端表面(上面)に点接触するようになっている。つまり、突起部19は、フレクシャ25と導光部32を介して、スライダ2を支持するとともに、ディスクDの表面に向けて(Z方向に向けて)スライダ2に荷重を付与するようになっている。
【0052】
図3は、ヘッドジンバルアセンブリ12の先端部分を拡大して示した断面図である。スライダ2は下側に備えられる方向に示してある。スライダ2は、導光部32を挟んで、ジンバル17に支持されている。ロードビーム24は、突起部19を接点としてジンバル17の上側に備えられている。
【0053】
スライダ2は、アルチックなどでできた基板61と基板61よりもヘッドジンバルアセンブリ12の先端側に順に備えられる再生素子41、記録素子42、光導波路層33から構成されている。スライダ2の底面は、ディスクDの表面に対向する浮上面2aとなっている。この浮上面2aは、回転するディスクDによって生じた空気流の粘性から、浮上するための圧力を発生させる面であり、ABS(Air Bearing Surface)と呼ばれている。
【0054】
導光部32は、先端が45°に形成され、ミラー機能を有している。導光部32を伝播してきた光は、このミラー機能を有した先端部32aで回折され、光導波路層33へ入射される。光導波路層33に入射した光は、スライダ2の下側に向かって伝播し、光導波路層33の先端に設けられた近接場光発生素子34により、近接場光として出射される。
【0055】
図4は、スライダ2の斜視図である。再生素子41や記録素子42は省略しており、図示していない。スライダ2の先端に設けられている光導波路層33には、光を伝播する機能を有する素子が少なくとも2つ以上備えられている。一つは、集光機能を有する光導波路40が備えられており、光導波路40の先端には近接場光発生素子34が備えられている。光導波路40は、SiO2でできており、このSiO2内に屈折率差の異なる領域を設けることにより、光を伝播する機能が備えられている。残りの素子は、光導波路40よりも開口の大きいスライダ導光機能部43が備えられている。スライダ導光機能部43の開口は入射端および出射端共に、光導波路40の開口よりも大きく、光導波路40と相似形に形成されている。また、スライダ導光機能部43の出射端側の先端部分は、近接場光発生素子34と同様の構造が、近接場光発生素子34よりも大きく、相似形に形成されている。つまり、スライダ導光機能部43は、光導波路40と近接場光発生素子34と相似形でサイズの大きいもので構成されている。このように、スライダ導光機能部43を形成することで、光導波路40を伝搬し近接場光発生素子34の先端から発生する微小な近接場光を直接観察しなくても、相似形のより大きく形成されたスライダ導光機能部43から出射される光を観察することで、近接場光発生素子34の出射口や出射光のサイズを推測することができる。
【0056】
次に、図1から図4に示したように組み立てられたヘッドジンバルアセンブリ12により、ディスクDに各種の情報を記録再生する手順について以下に説明する。
まず、図1に示すように、スピンドルモータ7を駆動させてディスクDを所定方向に回転させる。次いで、アクチュエータ6を作動させて、ピボット軸10を回転中心としてキャリッジ11を回動させ、キャリッジ11を介してヘッドジンバルアセンブリ12をXY方向にスキャンさせる。これにより、ディスクD上の所望する位置にスライダ2を配置させることができる。この際、スライダ2は、サスペンション3によって支持されていると共に所定の力でディスクD側に押さえ付けられている。また、これと同時にスライダ2は、浮上面2a(図3参照)がディスクDに対向しているので、回転するディスクDによって生じる風圧の影響を受けて浮上する力を受けている。この両者の力のバランスによって、スライダ2はディスクD上から離間した位置に浮上している状態となっている。また、ディスクDの凹凸やうねり等により、スライダ2にXY方向に向かう風圧が加わったときに、フレクシャ25に備えられたスライダ2は、突起部19を中心としてX軸及びY軸の2軸回りに捩じれるようになっている。これにより、ディスクDのうねりによるZ方向の変位(ディスクDの表面に略直交する方向への変位)を吸収することができ、スライダ2の姿勢が安定するようになっている。
【0057】
ここで、情報の記録を行う場合、制御部5はレーザ光源20を作動させるとともに、情報に応じて変調した電流をスライダ2に供給し、記録素子42を作動させる。
レーザ光源20から出射された光束は、導光部32内を先端(流出端)側に向かって進み、導光部32の先端でディスクDに向かって垂直方向に曲げられる。曲げられた光束は、スライダ2の導光部32が備えられる側から近接場光発生素子34に入射され、近接場光発生素子34を介することにより、近接場光として発生される。すると、ディスクDは、この近接場光によって局所的に加熱されて一時的に保磁力が低下する。一方、制御部5(図1参照)によってスライダ2に電流が供給されると、スライダ2内部の記録素子42により、ディスクDに対して垂直方向の記録磁界を発生させることができる。その結果、近接場光と記録素子42で発生した記録磁界とを協働させたハイブリッド磁気記録方式により情報の記録を行うことができる。さらに、垂直記録方式で記録を行うので、熱揺らぎ現象等の影響を受け難く、安定した記録を行うことができる。よって、書き込みの信頼性を高めることができる。
【0058】
次に、ディスクDに記録された情報を再生する場合には、再生素子41が、ディスクDから漏れ出ている磁界を受けて、その大きさに応じて電気抵抗が変化する。よって、再生素子41の電圧が変化する。これにより制御部5(図1参照)は、ディスクDから漏れ出た磁界の変化を電圧の変化として検出することができる。そして制御部5は、この電圧の変化から信号の再生を行うことで、情報の再生を行うことができる。
このように、スライダ2を利用してディスクDに対して各種の情報を記録再生することができる。
【0059】
次に、本実施形態のスライダ2の製造方法を説明する。
図5は、本発明のスライダ2の形成工程を示すフローチャートである。最初に、アルチックなどでできた基板61上に再生素子41と記録素子42が形成されたスライダ基板60を用意し(S−0)、そのスライダ基板60上に近接場光発生素子34と光導波路40とスライダ導光機能部43を含む光導波路層33を形成する(S−1)。次に、光導波路層33の形成されたスライダ基板62を切り出す(S−2)。切り出す際はバー状に切り出し、次のポリッシング工程(S−3)を終えてからチップ化してもよいし、一度にチップ化してから次のポリッシング工程(S−3)に移行してもよい。前者のポリッシング工程(S−3)を終えてからチップ化する場合は、ポリッシング工程(S−3)の後に、再度、切り出し工程(S−2')が入る。切り出した基板の光導波路層33を積層した面とは垂直面の光導波路40の光入射端面および光出射端面(浮上面2a)をポリッシングする(S−3)。その後に、スライダ2の浮上面2a側の端面に保護膜を形成する(S−4)。最後に、同面に浮上制御の役割を担うレールを形成する(S−5)。
ここで、特にスライダ基板60に光導波路層33を形成する工程(S−1)と、ポリッシング工程(S−3)の光出射面(浮上面2a)の研磨について詳しく説明する。
【0060】
まず、スライダ基板60に光導波路層33を形成する工程について説明する。
図6は、スライダ基板60に光導波路層33を形成する工程を段階的に示した工程図である。左図の(a−1)から(d−1)は、光導波路層33の光出射端側(浮上面2a側)から見た図であり、右図の(a−2)から(d−2)は、左図(a−1)に示した線分A−A'で切断した断面図を示したものである。最初に、アルチック(AL2O3−TiC)などでできた基板61上に、再生素子41と記録素子42が順に積層されたスライダ基板60を用意する(a)。次に、その上にクラッド層36を形成する(b)。クラッド層36は、厚さが2μm程度のSiO2膜やTa2O5などで形成される。次に、光導波路コア40aとスライダ導光機能部コア43aを同時に形成する。この工程では、同一フォトマスクを用いて、光導波路コア40aとスライダ導光機能部コア43aを、同時にレジストパターンを形成、エッチングなどの工程を行うことにより、光導波路40とスライダ導光機能部43は精度のよい相似形および相似比に形成することができる。またこのとき光導波路40とスライダ導光機能部43と同様に、光導波路コア40aとスライダ導光機能部コアaのそれぞれの光出射端側に、近接場発生素子34と、近接場光発生素子34と同様の機能をもつスライダ導光機能部先端部43bも形成する(c)。コアは、SiO2にGeなどのガスをドープしたもので形成される。光導波路コア40aとスライダ導光機能部コア43aは同条件でガスがドープされる。また、スライダ導光機能部コア43aとスライダ導光機能部先端部43bは、光導波路コア40aと近接場光発生素子34が形成されると同時、または直前直後に形成する。最後に、光導波路コア40aとスライダ導光機能部コア43aが形成された上に、さらにクラッド層37を積層し、スライダ基板60に光導波路層33を形成する工程を完了する(d)。最後に積層するクラッド層37は、光導波路コア40aもしくはスライダ導光機能部コア43aのいずれかの基板60から高い位置にある積層面から積層方向に2μm程度覆うことができるように積層する。
【0061】
次に、光出射面(浮上面2a)の研磨について説明する。
図7は、光出射面(浮上面2a)の研磨方法を示したフローチャートである。最初に浮上面2aを所定量研磨する(S−1)。所定量は、素子の設計やダイシングの際の研磨しろの量とそのそれぞれの精度、さらにMEMS加工精度などにも依るが、例えば研磨しろの設計値が5μm程度であり、諸々含めた最大誤差が±500nm程度であるとしたら、4.5μm程度研磨した後、スライダ導光機能部43へ光を入射しその出射光のスポットサイズを測定する(S−2)。測定したスポットサイズが規定値内であれば研磨を完了する(S−4)。測定したスポットサイズが規定値外であればさらに微少量研磨し(S−3)、再度スポットサイズを測定し、規定値(R)内となるまで繰り返す。規定値Rは、近接場光発生素子34とスライダ導光機能部43の構成比と得たい近接場光のサイズとその精度に依る。例えば、近接場光発生素子34の出射端面積とスライダ導光機能部43の出射端面積を1:10程度のサイズ比で作製しているとし、得たい近接場光が50nm±10nm程度であるとすれば、スポットサイズの規定値Rは、400≦R[nm]≦600となる。近接場光発生素子34とスライダ導光機能部43サイズ比は、諸々含めた誤差や加工・測定限界などを考慮して素子設計時に適切な値を定めればよい。
【0062】
また図8は、光出射面(浮上面2a)の研磨を実施する装置構成を示したものである。(a)は研磨状態を示した図である。所定量研磨した後、研磨制御装置52の信号により固定治具55はスライダ2と共に光検出器50上へ移動し、光スポット測定を行う。(b)は、光スポット測定の状態を示した図である。レーザ53からの光は導光部54を介してスライダ導光機能部43へ入射し、出射した光のスポットサイズを光検出器50と光プロファイラ51で測定し、研磨制御装置52でスポットサイズが規定値内か否かを判断し、規定外であれば再度研磨を行う。
【0063】
(第2実施形態)
次に、図9と図10に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、スライダ2の形成工程について第1実施形態と相異しており、それ以外の構成、動作手順は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0064】
図9は、本実施形態におけるスライダ2の形成工程を示すフローチャートである。(S−0)から(S−2)までは第1実施形態とほぼ同様で、再生素子41と記録素子42が形成されたスライダ基板60の上に(S−0)、近接場光発生素子34と光導波路40とスライダ導光機能部43を含む光導波路層33を形成し(S−1)、それらの素子が形成されたスライダ基板62を切り出す(S−2)。その後に、ポリッシングを行う(S−3)。ポリッシングを行う際は、第1実施形態で示したような方法で行ってもよいし、別の研磨手法を用いて行ってもよい。次に、近接場光発生素子32の良否検査を行う(S−4)。この検査で良品と判断されたもののみを次のABSレール形成工程(S−5),(S−6)へ進める。不良品と判断されたものは、この時点で次の加工ステップへは進めないことで、無駄なコストを低減させることができる。
【0065】
ここで、近接場光発生素子32の良否検査工程(S−4)について詳しく説明する。
図10は、近接場光発生素子32の良否検査を実施する装置構成を示したものである。スライダ2は固定治具75に固定されており、スライダ導光機能部43には光ファイバー74を介してレーザ73から光が入射されている。スライダ導光機能部43から出射した光は、光検出器70と光プロファイラ71によりスポットサイズが計測される。計測されたスポットサイズR1が規定値内であれば良品とし、規定値外であれば不良品として使用しない。このようにして、近接場光発生素子32と同じMEMS加工工程において相似形で、かつ近接場光発生素子32よりも大きく形成されたスライダ導光機能部43を用いて間接的に近接場光発生素子32を検査することにより、ハイブリッド磁気記録を行う際の要となる近接場光発生素子32の良否検査を実施することが可能となる。
【0066】
(第3実施形態)
次に、図11から図13に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、光導波路層33内の素子構造について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成ついては同様の符号を付し、説明は省略する。
【0067】
図11から図13は、本実施形態における光導波路層33を積層面に平行に切断した断面図である。本実施形態におけるスライダ導光機能部44、45、46のそれぞれのコア44a、45a、および46aは、出射端側の先端のテーパー角が大きくなっており、それ以外の部分は柱状またはテーパー角が小さく形成されている。
図11のスライダ導光機能部44は入射端開口に対して出射端開口を小さくした集光タイプの例である。
【0068】
図12のスライダ導光機能部45は逆に出射端開口を大きくした末広がりタイプの例である。
図13のスライダ導光機能部46は、図11のスライダ導光機能部44と同様の入射端開口に対して出射端開口を小さくした集光タイプであるが、スライダ導光機能部44では柱状であった部分が、先端部分よりもテーパー角の小さなテーパーがついている。
【0069】
本実施形態によると、スライダ導光機能部44、45、46の入射端開口面積と出射端開口面積の比率を十分大きくしなくても、テーパー角を大きくできるので、浮上面2aに平行にスライダ2の浮上面2a付近を切断したとき、切断位置が僅かに変化しただけで、コア44a、45a、46aの浮上面2aに平行な面の断面積が大きく変化する。ゆえに、スライダ導光機能部44、45、46からの出射光のスポットサイズR1、R2、R3もまた、浮上面2aに平行な面の切断面により大きく変化する。そのため、スライダ導光機能部44、45、46を用いた、近接場光発生素子34の開口や開口からの光のスポットサイズの確認をより精度よく容易に行うことができる。
【0070】
(第4実施形態)
次に、図14に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、光導波路層33内の素子構造について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成ついては同様の符号を付し、説明は省略する。
【0071】
図14は、本実施形態における光導波路層33を積層面に平行に切断した断面図である。本実施形態におけるスライダ導光機能部47は、柱状に形成されたコア47aの内部にレンズ47bが形成されている。これにより、コア47aを柱状に形成したとしても、スライダ導光機能部47を伝搬してきた出射光のスポットサイズR4は、浮上面2aに平行な面の切断面の位置により変化するため、スライダ導光機能部47を利用して近接場光発生素子34の開口や開口からの光のスポットサイズを確認することができる。
【0072】
(第5実施形態)
次に、図15に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、光導波路層33内の素子構造について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成ついては同様の符号を付し、説明は省略する。
【0073】
図15は、本実施形態における光導波路層33を積層面に平行に切断した断面図である。本実施形態におけるスライダ導光機能部48は、柱状に形成されたコア48aの内部に出射端に向かって末広がりの不透過性材料の遮光部48bが形成されている。これにより、コア48aを柱状に形成したとしても、スライダ導光機能部48を伝搬してきた光は遮光部48bにより影を作り、影のサイズは浮上面2aに平行な面の切断面の位置により変化するため、スライダ導光機能部48を利用して近接場光発生素子34の開口や開口からの光のスポットサイズを確認することができる。
【0074】
(第6実施形態)
次に、図16に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、光導波路層33内の素子構造について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成ついては同様の符号を付し、説明は省略する。
【0075】
図16は、本実施形態における光導波路層33を積層面に平行に切断した断面図である。本実施形態におけるスライダ導光機能部49は、2つのコア49aと49bから成り、それぞれは光導波路40の光軸を中心軸に線対称に、光導波路40の光軸から傾いて柱状に形成されている。これにより、スライダ導光機能部49のコア49aと49bの各々にテーパーがつけられていなくても、コア49aとコア49bから出射される光スポットの距離dは、浮上面2aに平行な面の切断面の位置により変化するため、スライダ導光機能部49を利用して近接場光発生素子34の開口サイズを確認することができる。
【0076】
(第7実施形態)
次に、図17〜20に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、スライダ2とスライダ2の形成工程について第1実施形態と相異しており、それ以外の構成、動作手順、装置構成は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0077】
図17は、本実施形態におけるスライダ2の斜視図である。再生素子41や記録素子42は省略しており、図示していない。本実施形態におけるスライダ2の光導波路層80においては、光を伝播する機能を有する素子は光導波路40のみであり、スライダ2にはそれ以外の導光機能を有する素子が備えられていない。
【0078】
図18は、スライダバー81の斜視図である。スライダバー81は、スライダ領域82とスライダ外領域83から構成されており、スライダ領域82は切り出してチップ化することによりスライダ2となるものである。スライダ外領域83には、導光機能を有するスライダバー導光機能部84が少なくとも1つ備えられている。スライダバー導光機能部84の開口は、入射端および出射端共に、個々のスライダ2に備えられる光導波路40の開口よりも大きく、相似形に形成されている。このように、スライダバー導光機能部84を形成することで、個々のスライダ2にスライダ導光機能部43を形成しなくても、第1実施例と同様の効果が得られる。
【0079】
次にスライダ2の形成工程について以下に説明する。
図19は、本実施形態の形成工程を示すフローチャートである。最初にスライダ基板60を用意し(S−0)、そのスライダ基板60上に近接場光発生素子34、光導波路40とスライダバー導光機能部84を含む光導波路層80を形成する(S−1)。次に、光導波路層80の形成されたスライダ基板85をバー状のスライダバー81として切り出す(S−2)。切り出したスライダバー81の光導波路層80を積層した面とは垂直面の光導波路40の光入射端面および光出射端面(浮上面2a)をポリッシングする(S−3)。このように、バー状のまま複数のスライダ2を同時に研磨することで、研磨工程を短縮することができる。その後、スライダバー81をチップ状に切り出し、スライダ2とする。スライダ2の浮上面2a側の端面に保護膜を形成し(S−4)、最後に同面に浮上制御用のレールを形成する(S−5)。
ここで、スライダバー81の光導波路40の光入射端面および光出射面(浮上面2a)のポリッシングについて説明する。
【0080】
図20は、本実施形態のポリッシング工程を示したフローチャートである。最初に光導波路40の光入射端および光出射端(浮上面2a)を所定量研磨する(S−1)。次に、研磨工程における近接場光発生素子34の良否検査を行う(S−2)。この際、近接場光発生素子34が良品と判断されれば、研磨を終了する。一方、近接場光発生素子34が不良品と判断された場合、再度(S−1)に戻る。このとき不良品とは、近接場光発生素子34が実質的にねらい値よりも小さいと判断されたものであることが望ましい。
【0081】
(第8実施形態)
次に、図21に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、スライダ2の形成工程について第7実施形態と相異しており、それ以外の構成、動作手順、装置構成は第7実施形態とほぼ同様である。また、本実施形態の良否検査工程で使用する装置構成は、第2実施形態のそれとほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0082】
図21は、本実施形態におけるスライダ2の形成工程を示すフローチャートである。(S−0)から(S−2)までは第7実施形態とほぼ同様で、磁気記録再生素子の形成されたスライダ基板60の上に(S−0)、近接場光発生素子34と光導波路40とスライダバー導光機能部86を含む光導波路層87を形成し(S−1)、それらの素子が形成されたスライダ基板88をバー状のスライダバー89として切り出す(S−2)。その後に、ポリッシングを行う(S−3)。ポリッシングを行う際は、第7実施形態で示したような方法で行ってもよいし、別の研磨手法を行ってもよい。次に、近接場光発生素子34の良否検査を行う(S−4)。良否検査は、スライダバー導光機能部86を用いる。スライダバー導光機能部86に光を入射させ、出射した光のスポットサイズの計測値が規定値内であれば良品とし、規定値外であれば不良品とする。この検査で良品と判断されたもののみを、次のチップ化に切り出す工程(S−4)、さらにABSレール形成工程(S−5),(S−6)へ進める。不良品と判断されたものは、この時点で次の加工ステップへ進めないことで、無駄なコストを低減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明による基板によれば、近接場光発生素子の先端面積よりも大きい先端面積を有する導光機能部を備えることにより、導光機能部からの出射光を利用することで近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさであるか否かを判断することができる。ゆえに、導光機能部からの出射光を確認しながら研磨を行うことで、電気的な接続をすることなく、近接場光発生素子を所望の大きさに仕上ることができる。よって、製造効率のよい基板を提供することができる。
【0084】
また、本発明による基板製造方法によれば、浮上面研磨工程においてELG手法による研磨を行わなくても、近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさとなるように研磨することができる。ゆえに、ELG手法に必須である電極ボンディングの工程を省くことができるため、基板を効率的に製造することができる。
【0085】
また、本発明による基板検査方法によれば、基板を組み立てヘッドジンバルアセンブリとした後に、記録媒体へ記録再生を行う良否検査を実施しなくても、基板の状態で導光機能部を利用して間接的に近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさに形成されているか否かの良否検査を行うことができるため、ヘッドジンバルアセンブリを組み立ててから発生する不良品の個数を低減させることができるため、製造コスト、特に無駄なコストを低減させることができる。
【符号の説明】
【0086】
D:ディスク(記録媒体)
1:情報記録再生装置
2:スライダ
2a:浮上面
3:サスペンション
4:配線
5:制御部
6:アクチュエータ
7:スピンドルモータ
9:ハウジング底部
10:ピボット軸
11:キャリッジ
12:ヘッドジンバルアセンブリ
14:アーム部
15:基部
17:ジンバル
18:支持体
19:突起部
20:レーザ光源
22:ベースプレート
22a:開口
23:ヒンジ板
24:ロードビーム
25:フレクシャ
31:電気配線
32:導光部
33,80,87:光導波路層
34:近接場光発生素子
36,37:クラッド層
40:光導波路
40a:光導波路コア
41:再生素子
42:記録素子
43,44,45,46,47,48,49:スライダ導光機能部
43a,44a,45a,46a,47a,48a,49a,49b:スライダ導光機能部コア
43b:スライダ導光機能部先端部
47b:レンズ
48b:遮光部
50,70:光検出器
51,71:光プロファイラ
52:研磨制御装置
53,73:レーザ
54,74:光ファイバー
55,75:固定治具
56:研磨装置
60,62,85,88:スライダ基板
61:基板
81,89:スライダバー
82:スライダ領域
83:スライダ外領域
84,86:スライダバー導光機能部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を集光したスポット光を利用して記録媒体に各種の情報を記録再生する基板、スライダ、近接場光ヘッド、基板検査方法及び基板製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ機器におけるハードディスク等の記録媒体(以下、ディスクという)は、より大容量且つ高密度情報の記録再生を行いたい等のニーズを受けて、更なる高密度化が求められている。そのため、隣り合う磁区同士の影響や、熱揺らぎを最小限に抑えるために、保持力の強いものがディスクとして採用され始めている。そのため、ディスクに情報を記録することが困難になっていた。
【0003】
そこで、上述した不具合を解消するために、近接場光を利用して磁区を局所的に加熱して一時的に保持力を低下させ、その間にディスクへの書き込みを行うハイブリッド磁気記録方式の情報記録再生装置が提案されている。特に、近接場光を利用する場合には、従来の光学系において限界とされていた光の波長以下となる領域を加熱することが可能となる。よって、従来の磁気記録再生装置を超える記録ビットの高密度化を図ることができる。
【0004】
上述したハイブリッド磁気記録方式による情報記録再生装置としては、各種のものが提案されているが、その1つとして、特許文献1に示すような構造がある。レーザからの光をスライダ外に設置された導波路を介してスライダに設けられた近接場光ヘッドに供給し、その先端の板状部分と金属薄膜の界面付近の狭窄部から十分エネルギーの大きな近接場光を生成する。この近接場光を利用して、超高分解能の情報記録を行うことができる情報記録再生装置が知られている。
【0005】
この情報記録再生装置は、近接場光ヘッドを備えたスライダをディスク上でスキャンさせ、スライダをディスク上の所望する位置に配置する。その後、近接場光ヘッドから放射された近接場光とスライダから発生する記録磁界とを協働させることで、ディスクに情報を記録することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−146655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に示すようなハイブリッド磁気記録再生装置の記録ヘッドは、基板の浮上面研磨工程において、ELG(Electro Lapping Guide)の手法が用いられる。しかし、この手法を用いるためには、スライダにELG用パターニングをした後に、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術による工程とは別の工程において、ELG用パターンの1つ1つの電極のボンディングを行う必要があり、非常に製造効率が悪いことが問題となっていた。
【0008】
そこで、本発明はこのような事情に考慮して成されたもので、その目的は、効率的に製造することができる基板、スライダ、近接場光ヘッド、基板製造方法、及び基板検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の手段を提供する。
本発明に係る基板は、近接場光を発生する近接場光発生素子と、入射した光を出射する導光機能部とを備え、導光機能部の光出射側の面積は、近接場光発生素子の近接場光発生側の面積よりも大きく形成されており、導光機能部は、近接場光発生素子の近接場光発生側の面の形状が所望の大きさであるか否かを判別するために用いられるものであることを特徴とする。
係る基板は、近接場光発生素子の先端面積よりも大きい先端面積を有する導光機能部を備えることにより、導光機能部からの出射光を利用することで近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさであるか否かを判断することができる。ゆえに、導光機能部からの出射光を確認しながら研磨を行うことで、電気的な接続をすることなく、近接場光発生素子を所望の大きさに仕上げることができる。よって、製造効率のよい基板を提供することができる。
【0010】
本発明に係る基板は、記録媒体の上を浮上するスライダを備えるスライダ基板と、導光機能部を備える導光機能部基板とを備えることを特徴とする。
係る基板は、スライダとは異なるところに導光機能部を備えることにより、個々のスライダに導光機能部を備える必要がなく、製造効率の良い基板を提供する効果に加えてスライダの設計自由度を向上することができる。
【0011】
本発明に係るスライダは、記録媒体の上を浮上するスライダであって、請求項1に記載の基板を備えることを特徴とする。
係るスライダは、個々のスライダに導光機能部を備えることにより、個々のスライダ単位で研磨制御を行うことができる。
【0012】
本発明に係る近接場光ヘッドは、請求項3に記載のスライダを備える近接場光ヘッドであって、スライダに光を供給する光学素子を備え、近接場光発生素子は、光学素子から供給された光を用いて、近接場光を発生するものであることを特徴とする。
係る近接場光ヘッドは、請求項1に示す基板を備えることにより、製造効率のよい近接場光ヘッドを提供できると共に、研磨時に電気的な接続を行う必要がないので近接場光ヘッドの設計自由度を向上することができる。
【0013】
本発明に係る近接場光ヘッドは、請求項4に記載の近接場光ヘッドであって、スライダに備えられており、光学素子から供給された光を、近接場光発生素子まで導波する光導波路を備え、近接場光発生素子は、光導波路から供給された光を用いて近接場光を発生するものであることを特徴とする。
係る近接場光ヘッドは、光学素子からの光を、光導波路を介して近接場光発生素子へ伝搬させることにより、より光効率のよい近接場光ヘッドを提供することができる。
【0014】
本発明に係る基板は、請求項1に記載の基板であって、導光機能部は、光導波路と相似形であることを特徴とする。
係る基板は、導光機能部と光導波路を相似形に形成することにより、導光機能部と近接場光発生素子からの出射光をより近い条件にすることができるため、近接場光発生素子の先端面の大きさの判別をより厳密に行うことができる。
【0015】
本発明に係る基板においては、請求項1に記載の基板であって、導光機能部は、光軸に対して直交する第一面積と、光軸に対して直交するとともに第一面積の大きさとは異なる第二面積とを備えることを特徴とする。
係る基板は、導光機能部が面積の異なる部分を備えていることにより、面積の変化に対応して近接場光発生素子の先端面積を対応付けることができるため、近接場光発生素子の先端面積の大きさをより容易に確認することができる。
【0016】
本発明に係る基板においては、近接場光発生素子は、記録媒体と対向する対向面から所定距離の位置に備えられており、導光機能部は、第一面積から第二面積に変化する境界部分を備え、所定距離の位置は、境界部分に備えられていることを特徴とする。
係る基板は、近接場光発生素子の備えられている位置周辺に、導光機能部の断面積変化をつけることで、導光機能部の記録媒体と対向する面とは反対側の端面面積と、導光機能部の記録媒体と対向する面の端面面積との比を大きくしなくても、近接場光発生素子の備えられている位置周辺の断面積変化を大きくすることができる。ゆえに、近接場光発生素子の記録媒体に対向する面から離れる位置に従って近接場光発生素子の断面積が変化する変化率よりも、導光機能部の同断面積の変化率を大きくつけることができるので、近接場光発生素子の先端面積の大きさをより容易に確認することができる。
【0017】
本発明に係る基板においては、導光機能部は、第一面積から第二面積に向かうに従って断面積が小さくなるように構成されたテーパー部を備えることを特徴とする。
係る基板は、導光機能部がテーパー部を備えることにより、導光機能部の断面積が連続的に変化する。ゆえに、近接場光発生素子がその記録媒体から対向する面から位置が離れるに従って、近接場光発生素子の断面積が連続的に変化する場合であっても、導光機能部の断面積に同様の連続的な変化を与えることができるため、近接場光発生素子の先端面積の大きさをより正確に確認することができる。
【0018】
本発明に係る基板においては、テーパー部の記録媒体に近い部分の第一テーパー角は、第一テーパー角と異なる位置に備えられた第二テーパー角と異なることを特徴とする。
係る基板は、第二テーパー角による導光機能部の断面積の変化率が小さい場合であっても、記録媒体に近い第一テーパー角によって導光機能部の断面積の変化率を大きくすることができるため、近接場光発生素子の先端面積の大きさをより正確に、かつ容易に確認することができる。
【0019】
本発明に係る基板においては、請求項1に記載の基板であって、導光機能部は、コアとクラッドから構成されていることを特徴とする。
係る基板は、コアとクラッドから構成されることにより、MEMS技術のマスクを利用した成膜方法により、テーパー角を容易に制御して形成することができるため、導光機能部をより容易に形成することができると共に、近接場光発生素子の先端面積の大きさをより正確に確認することができる。
【0020】
本発明に係る基板においては、請求項1に記載の基板であって、導光機能部の一部はレンズによる集光構造を備えていることを特徴とする。
係る基板は、導光機能部の一部にレンズを利用することにより、導光機能部がコアとクラッドによる集光構造を有していなくても、導光機能部内を伝搬する光を集光し、導光機能部の記録媒体と対向する面からの位置の変化に対応して、導光機能部からの出射光のスポットサイズを変化させることができる。
【0021】
本発明に係る基板においては、請求項1に記載の基板あって、導光機能部は、光導波路と同一の材料により構成されていることを特徴とする。
係る基板は、導光機能部が光導波路と同一材料により構成されていることにより、導光機能部と光導波路を同一工程で形成することが可能になるため、導光機能部を容易に形成することができる。また同時に、導光機能部と光導波路からの出射光の条件を近づけることができるため、近接場光発生素子の先端面積の大きさをより正確に確認することができる。
【0022】
本発明に係る基板においては、請求項1に記載の基板であって、導光機能部の一部は、不透過性材料で構成されていることを特徴とする。
係る基板は、導光機能部の一部が不透過性材料で構成されていることにより、導光機能部からの出射光の中に影が形成される。ゆえに、導光機能部に集光機能が備わっていない場合であっても、不透過性材料に導光機能部の記録媒体に対向する面から位置が離れるに従って不透過性材料の断面積が小さくなることにより、導光機能部からの出射光に投影される不透過性材料の影のサイズが小さくなるように変化する。よって、影のサイズを測定することにより、近接場光発生素子の先端面積の大きさを確認することができる。
【0023】
本発明に係る基板においては、請求項1に記載の基板であって、導光機能部は、2つ備えられており、記録媒体と対向する対向面に対して直交する直交方向に対してそれぞれ傾いて形成されていることを特徴とする。
係る基板は、導光機能部に集光機能を備えなくても、2つの導光機能部に光を入射させ、出射した光の相対距離から近接場光発生素子の先端面積の大きさを確認することができる。
【0024】
本発明に係る基板においては、導光機能部は、前記直交方向に対してそれぞれ等角度傾いて形成されていることを特徴とする。
係る基板は、導光機能部に集光機能が備わっていない場合であっても、導光機能部の記録媒体に対向する面からの位置が離れるに従って、2つの導光機能部間の距離が変化するため、その距離を測定することにより、近接場光発生素子の先端面積の大きさを確認することができる。
【0025】
本発明に係る基板は、請求項1に記載の基板であって、導光機能部は、2つ備えられており、記録媒体と対向する面方向において、光導波路は、導光機能部のそれぞれと等しくなる位置に備えられていることを特徴とする。
係る基板は、光導波路が2つの導光機能部の中点に備えられることになるため、製造効率のよい基板を提供する効果に加えて、光導波路に光を入射する際に光導波路よりも大きく作られた導光機能部が目印に利用できる効果がある。
【0026】
本発明に係る基板製造方法は、近接場光を発生する近接場光発生素子を備える基板を製造する基板製造方法であって、基板は、入射した光を出射する導光機能部を備え、導光機能部の光出射側の面積は、近接場光発生素子の近接場光発生側の面積よりも大きく形成されており、導光機能部は、近接場光発生素子の近接場光発生側の面の形状が所望の大きさであるか否かを判別するために用いられるものであり、導光機能部の光出射側の面を研磨する研磨工程を有し、研磨工程は、導光機能部の光出射側とは逆側の面から光を入射させ、導光機能部の光出射側の面から出射した導光機能部出射光の状態が基準値を満たしているとき研磨を完了することを特徴とする。
係る基板製造方法は、浮上面研磨工程においてELG手法による研磨を行わなくても、近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさとなるように研磨することができる。ゆえに、ELG手法に必須である電極ボンディングの工程を省くことができるため、基板を効率的に製造することができる。
【0027】
本発明に係る基板製造方法においては、基板は、スライダを備え、導光機能部及びスライダを含む領域を基板から分割する分割工程を備えることを特徴とする。
係る基板製造方法は、スライダバーもしくは個々のスライダに分割してから研磨を行うことにより、ウエハ状態で研磨することによる研磨斑を軽減することができ、製造歩留まりを向上させることができる。
【0028】
本発明に係る基板製造方法においては、分割工程は、研磨工程の後に導光機能部とスライダとを分割することを特徴とする。
係る基板製造方法は、スライダバー状態で研磨することにより、個々のスライダに分割してから、個々のスライダの研磨量を調整しながら研磨するよりも研磨効率を向上させることができるため、基板を効率的に製造することができる。
【0029】
本発明に係る基板製造方法においては、研磨工程後に、近接場光発生素子が良品であるか否かを判別する良否検査工程を備え、研磨工程は、近接場光発生素子が良品でないと判別された場合に再び実行されることを特徴とする。
係る基板製造方法は、研磨工程に近接場光発生素子の良否判定を組み込むことにより、研磨工程後に近接場光発生素子の良否判定を行う必要がなく、基板の製造工程を簡略化することができるため、基板を効率的に製造することができる。
【0030】
本発明に係る基板製造方法においては、近接場光発生素子を形成する近接場発生素子製造工程と、導光機能部を形成する導光機能部製造工程とを有し、導光機能部製造工程と近接場光発生素子製造工程においては、導光機能部と近接場光発生素子を同一マスクで成膜する工程を有することを特徴とする。
係る基板製造方法は、導光機能部と近接場光発生素子を同一マスクで成膜し、形成することにより、導光機能部と近接場光発生素子の相互のサイズ関係を精度よく形成することができるため、近接場光発生素子の先端面積をより精度よく制御しながら研磨することができる。
【0031】
本発明に係る基板製造方法においては、入射した光を近接場光発生素子まで導波する光導波路を備え、近接場光発生素子は、光導波路からの光を用いて近接場光を発生するものであり、導光機能部を形成する導光機能部製造工程と、光導波路を形成する光導波路製造工程とを有し、導光機能部製造工程と光導波路製造工程においては、導光機能部と光導波路を同一マスクで同時に成膜する工程を有することを特徴とする。
係る基板製造方法は、導光機能部と光導波路を同一工程で製造することで、効率よく製造することができると共に、導光機能部と光導波路の先端に備えられた近接場光発生素子からの出射光の条件を近づけることができるため、近接場光発生素子の先端面積をより精度よく制御しながら研磨することができる。
【0032】
本発明に係る基板製造方法においては、研磨工程は、導光機能部出射光のスポット径が基準値を満たしているとき研磨を完了することを特徴とする。
係る基板製造方法においては、導光機能部の先端面積の情報を反映しやすい出射光のスポット径を、浮上面研磨を行う際の確認手段とすることで、近接場光発生素子の先端面積をより精度よく制御しながら研磨することができる。
【0033】
本発明に係る基板製造方法においては、導光機能部は、2つ備えられており、記録媒体と対向する対向面に対して直交する直交方向に対してそれぞれ等角度傾いて形成されており、研磨工程は、導光機能部のそれぞれの導光機能部出射光の距離が基準値を満たしているとき研磨を完了することを特徴とする。
係る基板製造方法は、導光機能部の記録媒体に対向する面からの位置の変化に対して、導光機能部の出射光のスポット径が一定であっても、2つの導光機能部からの出射光の距離を確認しながら研磨を行うことにより、近接場光発生素子の先端面積をより精度よく制御しながら研磨することができる。
【0034】
本発明に係る基板の検査方法においては、近接場光を発生する基板を検査する基板検査方法であって、基板は、近接場光を発生する近接場光発生素子と、入射した光を出射する導光機能部とを備え、導光機能部の光出射側の面積は、近接場光発生素子の近接場光発生側の面積よりも大きく形成されており、導光機能部は、近接場光発生素子の近接場光発生側の面の形状が所望の大きさであるか否かを判別するために用いられるものであり、近接場光発生素子が良品であるか否かを判別する良否検査工程を備えることを特徴とする。
係る基板検査方法は、基板の最も重要な素子のひとつである近接場光発生素子の良否検査工程を行うことにより、基板の歩留りを向上させることができる。
【0035】
本発明に係る基板検査方法においては、良否検査工程は、導光機能部の光出射側とは反対側から光を入射し、導光機能部の光出射側から出射された出射光の状態を観察し、出射光が基準値を満たしているとき、近接場光発生素子が良品であると判断することを特徴とする。
係る基板検査方法は、基板を組み立てヘッドジンバルアセンブリとした後に、記録媒体へ記録再生を行う良否検査を実施しなくても、基板の状態で導光機能部を利用して間接的に近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさに形成されているか否かの良否検査を行うことができるため、ヘッドジンバルアセンブリを組み立ててから発生する不良品の個数を低減させることができるため、製造コスト、特に無駄なコストを低減させることができる。
【0036】
本発明に係る基板検査方法においては、良否検査工程は、出射光のスポット径が基準値を満たしているとき、近接場光発生素子が良品であると判断することを特徴とする。
係る基板検査方法においては、導光機能部の先端面積の情報を反映しやすい出射光のスポット径を確認手段とすることで、近接場光発生素子の先端面積をより精度よく確認することができる。
【0037】
本発明に係る基板検査方法においては、導光機能部は、2つ備えられており、記録媒体と対向する対向面に対して直交する直交方向に対してそれぞれ等角度傾いて形成されており、良否検査工程は、導光機能部のそれぞれの導光機能部出射光の距離が基準値を満たしているとき、近接場光発生素子が良品であると判断することを特徴とする。
係る基板検査方法は、導光機能部の記録媒体に対向する面からの位置の変化に対して、導光機能部の出射光のスポット径が一定であっても、2つの導光機能部からの出射光の距離を確認することにより、近接場光発生素子の先端面積をより精度よく確認することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明による基板によれば、近接場光発生素子の先端面積よりも大きい先端面積を有する導光機能部を備えることにより、導光機能部からの出射光を利用することで近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさであるか否かを判断することができる。ゆえに、導光機能部からの出射光を確認しながら研磨を行うことで、電気的な接続をすることなく、近接場光発生素子を所望の大きさに仕上ることができる。よって、製造効率のよい基板を提供することができる。
【0039】
また、本発明による基板製造方法によれば、浮上面研磨工程においてELG手法による研磨を行わなくても、近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさとなるように研磨することができる。ゆえに、ELG手法に必須である電極ボンディングの工程を省くことができるため、基板を効率的に製造することができる。
【0040】
また、本発明による基板検査方法によれば、基板を組み立てヘッドジンバルアセンブリとした後に、記録媒体へ記録再生を行う良否検査を実施しなくても、基板の状態で導光機能部を利用して間接的に近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさに形成されているか否かの良否検査を行うことができるため、ヘッドジンバルアセンブリを組み立ててから発生する不良品の個数を低減させることができるため、製造コスト、特に無駄なコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】情報記録再生装置の一実施形態を示す構成図である。
【図2】スライダが上側に備えられる方向から、ヘッドジンバルアセンブリを拡大して示した斜視図である。
【図3】ヘッドジンバルアセンブリの先端部分を拡大して示した断面図である。
【図4】スライダを示した斜視図である。
【図5】スライダの形成方法を示すフローチャートである。
【図6】スライダ基板に光導波路層を形成する工程を段階的に示した工程図である。
【図7】スライダ浮上面の研磨方法を示したフローチャートである。
【図8】スライダ浮上面の研磨を実施する装置構成図である。
【図9】第2実施形態におけるスライダの形成工程を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態における近接場光発生素子32の良否検査を実施する装置構成図である。
【図11】第3実施形態における光導波路層を積層面に平行に切断した断面図である。
【図12】第3実施形態における光導波路層を積層面に平行に切断した断面図である。
【図13】第3実施形態における光導波路層を積層面に平行に切断した断面図である。
【図14】第4実施形態における光導波路層を積層面に平行に切断した断面図である。
【図15】第5実施形態における光導波路層を積層面に平行に切断した断面図である。
【図16】第6実施形態における光導波路層を積層面に平行に切断した断面図である。
【図17】第7実施形態におけるスライダを示した斜視図である。
【図18】第7実施形態におけるスライダバーを示した斜視図である。
【図19】第7実施形態におけるスライダの形成方法を示すフローチャートである。
【図20】第7実施形態における研磨方法を示したフローチャートである。
【図21】第8実施形態におけるスライダの形成工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態の構造と製造方法を、図1から図9を参照して説明する。
図1は、本発明に係る情報記録再生装置1の一実施形態を示す構成図である。なお、本実施形態の情報記録再生装置1は、垂直記録層を有するディスク(記録媒体)Dに対して、垂直記録方式で書き込みを行う装置である。情報記録再生装置1は、キャリッジ11と、キャリッジ11の基端側から光束を供給するレーザ光源20と、キャリッジ11の先端側に支持され、サスペンション3とサスペンション3の先端に形成されたスライダ2から構成されるヘッドジンバルアセンブリ(HGA)12と、ヘッドジンバルアセンブリ12をディスクDの表面に平行なXY方向に向けてスキャン移動させるアクチュエータ6と、ディスクDを所定の方向に向けて回転させるスピンドルモータ7と、配線4を介してレーザ光源20に接続されており、情報に応じて変調した電流をスライダ2に対して供給する制御部5と、これら各構成品を内部に収容するハウジング(不図示)とを備えている。
【0043】
ハウジングは、アルミニウム等の金属材料からなる上部開口部を有する箱型形状のものであり、上面視四角形状の底部9と、底部9の周縁において底部9に対して鉛直方向に立設する周壁とで構成されている。そして、周壁に囲まれた内側には、上述した各構成品等を収容する凹部が形成される。なお、図1においては、説明を分かりやすくするため、ハウジングの周囲を取り囲む周壁を省略する。また、このハウジングには、ハウジングの開口を塞ぐように図示しない蓋が着脱可能に固定されるようになっている。底部9の略中心には、上述したスピンドルモータ7が取り付けられており、該スピンドルモータ7に中心孔を嵌め込むことでディスクDが着脱自在に固定される。
【0044】
ディスクDの外側、つまり底部9の隅角部には、上述したアクチュエータ6が取り付けられている。このアクチュエータ6には、ピボット軸10を中心にXY方向に対して回動可能なキャリッジ11が取り付けられている。このキャリッジ11は、基端部から先端部に向けてディスクDの表面に沿って延設されたアーム部14と、基端部を介してアーム部14を片持ち状に支持する基部15とが、削り出し加工等により一体形成されたものである。基部15は、ピボット軸10まわりを回動可能に支持されている。つまり、基部15はピボット軸10を介してアクチュエータ6に連結されており、このピボット軸10がキャリッジ11の回転中心となっている。
【0045】
アーム部14は、基端部から先端部に向かうにつれ先細るテーパ形状に形成されており、各アーム部14間に、ディスクDが挟み込まれるように配置されている。つまり、アーム部14とディスクDとが、互い違いになるように配されており、アクチュエータ6の駆動によってアーム部14がディスクDの表面に平行な方向(XY方向)に移動可能とされている。なお、キャリッジ11及びヘッドジンバルアセンブリ12は、ディスクDの回転停止時にアクチュエータ6の駆動によって、ディスクD上から退避するようになっている。
【0046】
図2は、スライダ2が上側に備えられる方向から、ヘッドジンバルアセンブリ12を拡大して示した斜視図である。ヘッドジンバルアセンブリ12は、上述したレーザ光源20からスライダ2まで光束を導くための導光部32と、スライダ2に備えられる後述する記録素子42や再生素子41などを動作させるための電流を供給する電気配線31が、スライダ2に隣接して接続されている。さらにこれらの導光部32、電気配線31及びスライダ2を固定させるサスペンション3が備えられている。
【0047】
サスペンション3は、上面視略四角状に形成されたベースプレート22と、ベースプレート22の先端側にヒンジ板23を介して連結された平面視略三角状のロードビーム24とフレクシャ25で構成されている。
【0048】
ベースプレート22は、ステンレス等の厚みの薄い金属材料によって構成されており、基端側には厚さ方向に貫通する開口22aが形成されている。そして、この開口22aを介してベースプレート22がアーム部14(図1参照)の先端に固定されるようになっている。ベースプレート22の上面には、ステンレス等の金属材料により構成されたシート状のヒンジ板23が配置されている。
【0049】
このヒンジ板23は、ベースプレート22の上面の全面に亘って形成された平板状のものである。ヒンジ板23の先端部分にロードビーム24が連結されている。ロードビーム24は、ベースプレート22と同様にステンレス等の厚みの薄い金属材料によって構成されており、その基端がベースプレート22の先端との間に間隙を有した状態でヒンジ板23に連結されている。これにより、サスペンション3はベースプレート22とロードビーム24との間を中心に屈曲して、ディスクDの表面に垂直なZ方向に向けて撓み易くなっている。
【0050】
フレクシャ25は、ステンレス等の金属材料により支持体18とジンバル17が一体形成されたシート状のものであり、シート状に形成されることで厚さ方向に撓み変形可能に構成されている。また、フレクシャ25は、ロードビーム24の先端側に固定されており、サスペンション3が変形した際にサスペンション3の変形に追従するように構成されている。
【0051】
また、ロードビーム24の先端には、フレクシャ25及びスライダ2の略中心に向かって突出する、突起部19(図3参照)が形成されている。この突起部19の先端は、丸みを帯びた状態となっている。そして突起部19は、スライダ2がディスクDから受ける風圧によりロードビーム24側に浮上したときに、フレクシャ25の先端表面(上面)に点接触するようになっている。つまり、突起部19は、フレクシャ25と導光部32を介して、スライダ2を支持するとともに、ディスクDの表面に向けて(Z方向に向けて)スライダ2に荷重を付与するようになっている。
【0052】
図3は、ヘッドジンバルアセンブリ12の先端部分を拡大して示した断面図である。スライダ2は下側に備えられる方向に示してある。スライダ2は、導光部32を挟んで、ジンバル17に支持されている。ロードビーム24は、突起部19を接点としてジンバル17の上側に備えられている。
【0053】
スライダ2は、アルチックなどでできた基板61と基板61よりもヘッドジンバルアセンブリ12の先端側に順に備えられる再生素子41、記録素子42、光導波路層33から構成されている。スライダ2の底面は、ディスクDの表面に対向する浮上面2aとなっている。この浮上面2aは、回転するディスクDによって生じた空気流の粘性から、浮上するための圧力を発生させる面であり、ABS(Air Bearing Surface)と呼ばれている。
【0054】
導光部32は、先端が45°に形成され、ミラー機能を有している。導光部32を伝播してきた光は、このミラー機能を有した先端部32aで回折され、光導波路層33へ入射される。光導波路層33に入射した光は、スライダ2の下側に向かって伝播し、光導波路層33の先端に設けられた近接場光発生素子34により、近接場光として出射される。
【0055】
図4は、スライダ2の斜視図である。再生素子41や記録素子42は省略しており、図示していない。スライダ2の先端に設けられている光導波路層33には、光を伝播する機能を有する素子が少なくとも2つ以上備えられている。一つは、集光機能を有する光導波路40が備えられており、光導波路40の先端には近接場光発生素子34が備えられている。光導波路40は、SiO2でできており、このSiO2内に屈折率差の異なる領域を設けることにより、光を伝播する機能が備えられている。残りの素子は、光導波路40よりも開口の大きいスライダ導光機能部43が備えられている。スライダ導光機能部43の開口は入射端および出射端共に、光導波路40の開口よりも大きく、光導波路40と相似形に形成されている。また、スライダ導光機能部43の出射端側の先端部分は、近接場光発生素子34と同様の構造が、近接場光発生素子34よりも大きく、相似形に形成されている。つまり、スライダ導光機能部43は、光導波路40と近接場光発生素子34と相似形でサイズの大きいもので構成されている。このように、スライダ導光機能部43を形成することで、光導波路40を伝搬し近接場光発生素子34の先端から発生する微小な近接場光を直接観察しなくても、相似形のより大きく形成されたスライダ導光機能部43から出射される光を観察することで、近接場光発生素子34の出射口や出射光のサイズを推測することができる。
【0056】
次に、図1から図4に示したように組み立てられたヘッドジンバルアセンブリ12により、ディスクDに各種の情報を記録再生する手順について以下に説明する。
まず、図1に示すように、スピンドルモータ7を駆動させてディスクDを所定方向に回転させる。次いで、アクチュエータ6を作動させて、ピボット軸10を回転中心としてキャリッジ11を回動させ、キャリッジ11を介してヘッドジンバルアセンブリ12をXY方向にスキャンさせる。これにより、ディスクD上の所望する位置にスライダ2を配置させることができる。この際、スライダ2は、サスペンション3によって支持されていると共に所定の力でディスクD側に押さえ付けられている。また、これと同時にスライダ2は、浮上面2a(図3参照)がディスクDに対向しているので、回転するディスクDによって生じる風圧の影響を受けて浮上する力を受けている。この両者の力のバランスによって、スライダ2はディスクD上から離間した位置に浮上している状態となっている。また、ディスクDの凹凸やうねり等により、スライダ2にXY方向に向かう風圧が加わったときに、フレクシャ25に備えられたスライダ2は、突起部19を中心としてX軸及びY軸の2軸回りに捩じれるようになっている。これにより、ディスクDのうねりによるZ方向の変位(ディスクDの表面に略直交する方向への変位)を吸収することができ、スライダ2の姿勢が安定するようになっている。
【0057】
ここで、情報の記録を行う場合、制御部5はレーザ光源20を作動させるとともに、情報に応じて変調した電流をスライダ2に供給し、記録素子42を作動させる。
レーザ光源20から出射された光束は、導光部32内を先端(流出端)側に向かって進み、導光部32の先端でディスクDに向かって垂直方向に曲げられる。曲げられた光束は、スライダ2の導光部32が備えられる側から近接場光発生素子34に入射され、近接場光発生素子34を介することにより、近接場光として発生される。すると、ディスクDは、この近接場光によって局所的に加熱されて一時的に保磁力が低下する。一方、制御部5(図1参照)によってスライダ2に電流が供給されると、スライダ2内部の記録素子42により、ディスクDに対して垂直方向の記録磁界を発生させることができる。その結果、近接場光と記録素子42で発生した記録磁界とを協働させたハイブリッド磁気記録方式により情報の記録を行うことができる。さらに、垂直記録方式で記録を行うので、熱揺らぎ現象等の影響を受け難く、安定した記録を行うことができる。よって、書き込みの信頼性を高めることができる。
【0058】
次に、ディスクDに記録された情報を再生する場合には、再生素子41が、ディスクDから漏れ出ている磁界を受けて、その大きさに応じて電気抵抗が変化する。よって、再生素子41の電圧が変化する。これにより制御部5(図1参照)は、ディスクDから漏れ出た磁界の変化を電圧の変化として検出することができる。そして制御部5は、この電圧の変化から信号の再生を行うことで、情報の再生を行うことができる。
このように、スライダ2を利用してディスクDに対して各種の情報を記録再生することができる。
【0059】
次に、本実施形態のスライダ2の製造方法を説明する。
図5は、本発明のスライダ2の形成工程を示すフローチャートである。最初に、アルチックなどでできた基板61上に再生素子41と記録素子42が形成されたスライダ基板60を用意し(S−0)、そのスライダ基板60上に近接場光発生素子34と光導波路40とスライダ導光機能部43を含む光導波路層33を形成する(S−1)。次に、光導波路層33の形成されたスライダ基板62を切り出す(S−2)。切り出す際はバー状に切り出し、次のポリッシング工程(S−3)を終えてからチップ化してもよいし、一度にチップ化してから次のポリッシング工程(S−3)に移行してもよい。前者のポリッシング工程(S−3)を終えてからチップ化する場合は、ポリッシング工程(S−3)の後に、再度、切り出し工程(S−2')が入る。切り出した基板の光導波路層33を積層した面とは垂直面の光導波路40の光入射端面および光出射端面(浮上面2a)をポリッシングする(S−3)。その後に、スライダ2の浮上面2a側の端面に保護膜を形成する(S−4)。最後に、同面に浮上制御の役割を担うレールを形成する(S−5)。
ここで、特にスライダ基板60に光導波路層33を形成する工程(S−1)と、ポリッシング工程(S−3)の光出射面(浮上面2a)の研磨について詳しく説明する。
【0060】
まず、スライダ基板60に光導波路層33を形成する工程について説明する。
図6は、スライダ基板60に光導波路層33を形成する工程を段階的に示した工程図である。左図の(a−1)から(d−1)は、光導波路層33の光出射端側(浮上面2a側)から見た図であり、右図の(a−2)から(d−2)は、左図(a−1)に示した線分A−A'で切断した断面図を示したものである。最初に、アルチック(AL2O3−TiC)などでできた基板61上に、再生素子41と記録素子42が順に積層されたスライダ基板60を用意する(a)。次に、その上にクラッド層36を形成する(b)。クラッド層36は、厚さが2μm程度のSiO2膜やTa2O5などで形成される。次に、光導波路コア40aとスライダ導光機能部コア43aを同時に形成する。この工程では、同一フォトマスクを用いて、光導波路コア40aとスライダ導光機能部コア43aを、同時にレジストパターンを形成、エッチングなどの工程を行うことにより、光導波路40とスライダ導光機能部43は精度のよい相似形および相似比に形成することができる。またこのとき光導波路40とスライダ導光機能部43と同様に、光導波路コア40aとスライダ導光機能部コアaのそれぞれの光出射端側に、近接場発生素子34と、近接場光発生素子34と同様の機能をもつスライダ導光機能部先端部43bも形成する(c)。コアは、SiO2にGeなどのガスをドープしたもので形成される。光導波路コア40aとスライダ導光機能部コア43aは同条件でガスがドープされる。また、スライダ導光機能部コア43aとスライダ導光機能部先端部43bは、光導波路コア40aと近接場光発生素子34が形成されると同時、または直前直後に形成する。最後に、光導波路コア40aとスライダ導光機能部コア43aが形成された上に、さらにクラッド層37を積層し、スライダ基板60に光導波路層33を形成する工程を完了する(d)。最後に積層するクラッド層37は、光導波路コア40aもしくはスライダ導光機能部コア43aのいずれかの基板60から高い位置にある積層面から積層方向に2μm程度覆うことができるように積層する。
【0061】
次に、光出射面(浮上面2a)の研磨について説明する。
図7は、光出射面(浮上面2a)の研磨方法を示したフローチャートである。最初に浮上面2aを所定量研磨する(S−1)。所定量は、素子の設計やダイシングの際の研磨しろの量とそのそれぞれの精度、さらにMEMS加工精度などにも依るが、例えば研磨しろの設計値が5μm程度であり、諸々含めた最大誤差が±500nm程度であるとしたら、4.5μm程度研磨した後、スライダ導光機能部43へ光を入射しその出射光のスポットサイズを測定する(S−2)。測定したスポットサイズが規定値内であれば研磨を完了する(S−4)。測定したスポットサイズが規定値外であればさらに微少量研磨し(S−3)、再度スポットサイズを測定し、規定値(R)内となるまで繰り返す。規定値Rは、近接場光発生素子34とスライダ導光機能部43の構成比と得たい近接場光のサイズとその精度に依る。例えば、近接場光発生素子34の出射端面積とスライダ導光機能部43の出射端面積を1:10程度のサイズ比で作製しているとし、得たい近接場光が50nm±10nm程度であるとすれば、スポットサイズの規定値Rは、400≦R[nm]≦600となる。近接場光発生素子34とスライダ導光機能部43サイズ比は、諸々含めた誤差や加工・測定限界などを考慮して素子設計時に適切な値を定めればよい。
【0062】
また図8は、光出射面(浮上面2a)の研磨を実施する装置構成を示したものである。(a)は研磨状態を示した図である。所定量研磨した後、研磨制御装置52の信号により固定治具55はスライダ2と共に光検出器50上へ移動し、光スポット測定を行う。(b)は、光スポット測定の状態を示した図である。レーザ53からの光は導光部54を介してスライダ導光機能部43へ入射し、出射した光のスポットサイズを光検出器50と光プロファイラ51で測定し、研磨制御装置52でスポットサイズが規定値内か否かを判断し、規定外であれば再度研磨を行う。
【0063】
(第2実施形態)
次に、図9と図10に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、スライダ2の形成工程について第1実施形態と相異しており、それ以外の構成、動作手順は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0064】
図9は、本実施形態におけるスライダ2の形成工程を示すフローチャートである。(S−0)から(S−2)までは第1実施形態とほぼ同様で、再生素子41と記録素子42が形成されたスライダ基板60の上に(S−0)、近接場光発生素子34と光導波路40とスライダ導光機能部43を含む光導波路層33を形成し(S−1)、それらの素子が形成されたスライダ基板62を切り出す(S−2)。その後に、ポリッシングを行う(S−3)。ポリッシングを行う際は、第1実施形態で示したような方法で行ってもよいし、別の研磨手法を用いて行ってもよい。次に、近接場光発生素子32の良否検査を行う(S−4)。この検査で良品と判断されたもののみを次のABSレール形成工程(S−5),(S−6)へ進める。不良品と判断されたものは、この時点で次の加工ステップへは進めないことで、無駄なコストを低減させることができる。
【0065】
ここで、近接場光発生素子32の良否検査工程(S−4)について詳しく説明する。
図10は、近接場光発生素子32の良否検査を実施する装置構成を示したものである。スライダ2は固定治具75に固定されており、スライダ導光機能部43には光ファイバー74を介してレーザ73から光が入射されている。スライダ導光機能部43から出射した光は、光検出器70と光プロファイラ71によりスポットサイズが計測される。計測されたスポットサイズR1が規定値内であれば良品とし、規定値外であれば不良品として使用しない。このようにして、近接場光発生素子32と同じMEMS加工工程において相似形で、かつ近接場光発生素子32よりも大きく形成されたスライダ導光機能部43を用いて間接的に近接場光発生素子32を検査することにより、ハイブリッド磁気記録を行う際の要となる近接場光発生素子32の良否検査を実施することが可能となる。
【0066】
(第3実施形態)
次に、図11から図13に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、光導波路層33内の素子構造について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成ついては同様の符号を付し、説明は省略する。
【0067】
図11から図13は、本実施形態における光導波路層33を積層面に平行に切断した断面図である。本実施形態におけるスライダ導光機能部44、45、46のそれぞれのコア44a、45a、および46aは、出射端側の先端のテーパー角が大きくなっており、それ以外の部分は柱状またはテーパー角が小さく形成されている。
図11のスライダ導光機能部44は入射端開口に対して出射端開口を小さくした集光タイプの例である。
【0068】
図12のスライダ導光機能部45は逆に出射端開口を大きくした末広がりタイプの例である。
図13のスライダ導光機能部46は、図11のスライダ導光機能部44と同様の入射端開口に対して出射端開口を小さくした集光タイプであるが、スライダ導光機能部44では柱状であった部分が、先端部分よりもテーパー角の小さなテーパーがついている。
【0069】
本実施形態によると、スライダ導光機能部44、45、46の入射端開口面積と出射端開口面積の比率を十分大きくしなくても、テーパー角を大きくできるので、浮上面2aに平行にスライダ2の浮上面2a付近を切断したとき、切断位置が僅かに変化しただけで、コア44a、45a、46aの浮上面2aに平行な面の断面積が大きく変化する。ゆえに、スライダ導光機能部44、45、46からの出射光のスポットサイズR1、R2、R3もまた、浮上面2aに平行な面の切断面により大きく変化する。そのため、スライダ導光機能部44、45、46を用いた、近接場光発生素子34の開口や開口からの光のスポットサイズの確認をより精度よく容易に行うことができる。
【0070】
(第4実施形態)
次に、図14に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、光導波路層33内の素子構造について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成ついては同様の符号を付し、説明は省略する。
【0071】
図14は、本実施形態における光導波路層33を積層面に平行に切断した断面図である。本実施形態におけるスライダ導光機能部47は、柱状に形成されたコア47aの内部にレンズ47bが形成されている。これにより、コア47aを柱状に形成したとしても、スライダ導光機能部47を伝搬してきた出射光のスポットサイズR4は、浮上面2aに平行な面の切断面の位置により変化するため、スライダ導光機能部47を利用して近接場光発生素子34の開口や開口からの光のスポットサイズを確認することができる。
【0072】
(第5実施形態)
次に、図15に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、光導波路層33内の素子構造について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成ついては同様の符号を付し、説明は省略する。
【0073】
図15は、本実施形態における光導波路層33を積層面に平行に切断した断面図である。本実施形態におけるスライダ導光機能部48は、柱状に形成されたコア48aの内部に出射端に向かって末広がりの不透過性材料の遮光部48bが形成されている。これにより、コア48aを柱状に形成したとしても、スライダ導光機能部48を伝搬してきた光は遮光部48bにより影を作り、影のサイズは浮上面2aに平行な面の切断面の位置により変化するため、スライダ導光機能部48を利用して近接場光発生素子34の開口や開口からの光のスポットサイズを確認することができる。
【0074】
(第6実施形態)
次に、図16に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、光導波路層33内の素子構造について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成ついては同様の符号を付し、説明は省略する。
【0075】
図16は、本実施形態における光導波路層33を積層面に平行に切断した断面図である。本実施形態におけるスライダ導光機能部49は、2つのコア49aと49bから成り、それぞれは光導波路40の光軸を中心軸に線対称に、光導波路40の光軸から傾いて柱状に形成されている。これにより、スライダ導光機能部49のコア49aと49bの各々にテーパーがつけられていなくても、コア49aとコア49bから出射される光スポットの距離dは、浮上面2aに平行な面の切断面の位置により変化するため、スライダ導光機能部49を利用して近接場光発生素子34の開口サイズを確認することができる。
【0076】
(第7実施形態)
次に、図17〜20に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、スライダ2とスライダ2の形成工程について第1実施形態と相異しており、それ以外の構成、動作手順、装置構成は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0077】
図17は、本実施形態におけるスライダ2の斜視図である。再生素子41や記録素子42は省略しており、図示していない。本実施形態におけるスライダ2の光導波路層80においては、光を伝播する機能を有する素子は光導波路40のみであり、スライダ2にはそれ以外の導光機能を有する素子が備えられていない。
【0078】
図18は、スライダバー81の斜視図である。スライダバー81は、スライダ領域82とスライダ外領域83から構成されており、スライダ領域82は切り出してチップ化することによりスライダ2となるものである。スライダ外領域83には、導光機能を有するスライダバー導光機能部84が少なくとも1つ備えられている。スライダバー導光機能部84の開口は、入射端および出射端共に、個々のスライダ2に備えられる光導波路40の開口よりも大きく、相似形に形成されている。このように、スライダバー導光機能部84を形成することで、個々のスライダ2にスライダ導光機能部43を形成しなくても、第1実施例と同様の効果が得られる。
【0079】
次にスライダ2の形成工程について以下に説明する。
図19は、本実施形態の形成工程を示すフローチャートである。最初にスライダ基板60を用意し(S−0)、そのスライダ基板60上に近接場光発生素子34、光導波路40とスライダバー導光機能部84を含む光導波路層80を形成する(S−1)。次に、光導波路層80の形成されたスライダ基板85をバー状のスライダバー81として切り出す(S−2)。切り出したスライダバー81の光導波路層80を積層した面とは垂直面の光導波路40の光入射端面および光出射端面(浮上面2a)をポリッシングする(S−3)。このように、バー状のまま複数のスライダ2を同時に研磨することで、研磨工程を短縮することができる。その後、スライダバー81をチップ状に切り出し、スライダ2とする。スライダ2の浮上面2a側の端面に保護膜を形成し(S−4)、最後に同面に浮上制御用のレールを形成する(S−5)。
ここで、スライダバー81の光導波路40の光入射端面および光出射面(浮上面2a)のポリッシングについて説明する。
【0080】
図20は、本実施形態のポリッシング工程を示したフローチャートである。最初に光導波路40の光入射端および光出射端(浮上面2a)を所定量研磨する(S−1)。次に、研磨工程における近接場光発生素子34の良否検査を行う(S−2)。この際、近接場光発生素子34が良品と判断されれば、研磨を終了する。一方、近接場光発生素子34が不良品と判断された場合、再度(S−1)に戻る。このとき不良品とは、近接場光発生素子34が実質的にねらい値よりも小さいと判断されたものであることが望ましい。
【0081】
(第8実施形態)
次に、図21に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、スライダ2の形成工程について第7実施形態と相異しており、それ以外の構成、動作手順、装置構成は第7実施形態とほぼ同様である。また、本実施形態の良否検査工程で使用する装置構成は、第2実施形態のそれとほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0082】
図21は、本実施形態におけるスライダ2の形成工程を示すフローチャートである。(S−0)から(S−2)までは第7実施形態とほぼ同様で、磁気記録再生素子の形成されたスライダ基板60の上に(S−0)、近接場光発生素子34と光導波路40とスライダバー導光機能部86を含む光導波路層87を形成し(S−1)、それらの素子が形成されたスライダ基板88をバー状のスライダバー89として切り出す(S−2)。その後に、ポリッシングを行う(S−3)。ポリッシングを行う際は、第7実施形態で示したような方法で行ってもよいし、別の研磨手法を行ってもよい。次に、近接場光発生素子34の良否検査を行う(S−4)。良否検査は、スライダバー導光機能部86を用いる。スライダバー導光機能部86に光を入射させ、出射した光のスポットサイズの計測値が規定値内であれば良品とし、規定値外であれば不良品とする。この検査で良品と判断されたもののみを、次のチップ化に切り出す工程(S−4)、さらにABSレール形成工程(S−5),(S−6)へ進める。不良品と判断されたものは、この時点で次の加工ステップへ進めないことで、無駄なコストを低減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明による基板によれば、近接場光発生素子の先端面積よりも大きい先端面積を有する導光機能部を備えることにより、導光機能部からの出射光を利用することで近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさであるか否かを判断することができる。ゆえに、導光機能部からの出射光を確認しながら研磨を行うことで、電気的な接続をすることなく、近接場光発生素子を所望の大きさに仕上ることができる。よって、製造効率のよい基板を提供することができる。
【0084】
また、本発明による基板製造方法によれば、浮上面研磨工程においてELG手法による研磨を行わなくても、近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさとなるように研磨することができる。ゆえに、ELG手法に必須である電極ボンディングの工程を省くことができるため、基板を効率的に製造することができる。
【0085】
また、本発明による基板検査方法によれば、基板を組み立てヘッドジンバルアセンブリとした後に、記録媒体へ記録再生を行う良否検査を実施しなくても、基板の状態で導光機能部を利用して間接的に近接場光発生素子の先端面積が所望の大きさに形成されているか否かの良否検査を行うことができるため、ヘッドジンバルアセンブリを組み立ててから発生する不良品の個数を低減させることができるため、製造コスト、特に無駄なコストを低減させることができる。
【符号の説明】
【0086】
D:ディスク(記録媒体)
1:情報記録再生装置
2:スライダ
2a:浮上面
3:サスペンション
4:配線
5:制御部
6:アクチュエータ
7:スピンドルモータ
9:ハウジング底部
10:ピボット軸
11:キャリッジ
12:ヘッドジンバルアセンブリ
14:アーム部
15:基部
17:ジンバル
18:支持体
19:突起部
20:レーザ光源
22:ベースプレート
22a:開口
23:ヒンジ板
24:ロードビーム
25:フレクシャ
31:電気配線
32:導光部
33,80,87:光導波路層
34:近接場光発生素子
36,37:クラッド層
40:光導波路
40a:光導波路コア
41:再生素子
42:記録素子
43,44,45,46,47,48,49:スライダ導光機能部
43a,44a,45a,46a,47a,48a,49a,49b:スライダ導光機能部コア
43b:スライダ導光機能部先端部
47b:レンズ
48b:遮光部
50,70:光検出器
51,71:光プロファイラ
52:研磨制御装置
53,73:レーザ
54,74:光ファイバー
55,75:固定治具
56:研磨装置
60,62,85,88:スライダ基板
61:基板
81,89:スライダバー
82:スライダ領域
83:スライダ外領域
84,86:スライダバー導光機能部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接場光を発生する近接場光発生素子と、
入射した光を出射する導光機能部と
を備え、
前記導光機能部の光出射側の面積は、前記近接場光発生素子の近接場光発生側の面積よりも大きく形成されており、
前記導光機能部は、前記近接場光発生素子の近接場光発生側の面の形状が所望の大きさであるか否かを判別するために用いられるものである
ことを特徴とする基板。
【請求項2】
記録媒体の上を浮上するスライダを備えるスライダ基板と、
前記導光機能部を備える導光機能部基板と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の基板。
【請求項3】
記録媒体の上を浮上するスライダであって、
請求項1に記載の基板を備えることを特徴とするスライダ。
【請求項4】
請求項3に記載のスライダを備える近接場光ヘッドであって、
前記スライダに前記光を供給する光学素子を備え、
前記近接場光発生素子は、前記光学素子から供給された前記光を用いて、前記近接場光を発生するものであることを特徴とする近接場光ヘッド。
【請求項5】
請求項4に記載の近接場光ヘッドであって、
前記スライダに備えられており、前記光学素子から供給された前記光を、前記近接場光発生素子まで導波する光導波路を備え、
前記近接場光発生素子は、前記光導波路から供給された前記光を用いて前記近接場光を発生するものであることを特徴とする近接場光ヘッド。
【請求項6】
請求項1に記載の基板であって、
前記導光機能部は、前記光導波路と相似形であることを特徴とする基板。
【請求項7】
請求項1に記載の基板であって、
前記導光機能部は、光軸に対して直交する第一面積と、前記光軸に対して直交するとともに前記第一面積の大きさとは異なる第二面積とを備えることを特徴とする基板。
【請求項8】
前記近接場光発生素子は、記録媒体と対向する対向面から所定距離の位置に備えられており、
前記導光機能部は、前記第一面積から前記第二面積に変化する境界部分を備え、
前記所定距離の位置は、前記境界部分に備えられていることを特徴とする請求項7に記載の基板。
【請求項9】
前記導光機能部は、前記第一面積から前記第二面積に向かうに従って断面積が小さくなるように構成されたテーパー部を備えることを特徴とする請求項7に記載の基板。
【請求項10】
前記テーパー部の記録媒体に近い部分の第一テーパー角は、前記第一テーパー角と異なる位置に備えられた第二テーパー角と異なることを特徴とする請求項9に記載の基板。
【請求項11】
請求項1に記載の基板であって、
前記導光機能部は、コアとクラッドから構成されていることを特徴とする基板。
【請求項12】
請求項1に記載の基板であって、
前記導光機能部の一部はレンズによる集光構造を備えていることを特徴とする基板。
【請求項13】
請求項1に記載の基板あって、
前記導光機能部は、前記光導波路と同一の材料により構成されていることを特徴とする基板。
【請求項14】
請求項1に記載の基板であって、
前記導光機能部の一部は、不透過性材料で構成されていることを特徴とする基板。
【請求項15】
請求項1に記載の基板であって、
前記導光機能部は、2つ備えられており、記録媒体と対向する対向面に対して直交する直交方向に対してそれぞれ傾いて形成されていることを特徴とする基板。
【請求項16】
前記導光機能部は、前記直交方向に対してそれぞれ等角度傾いて形成されていることを特徴とする請求項15に記載の基板。
【請求項17】
請求項1に記載の基板であって、
前記導光機能部は、2つ備えられており、
記録媒体と対向する面方向において、前記光導波路は、前記導光機能部のそれぞれと等しくなる位置に備えられていることを特徴とする基板。
【請求項18】
近接場光を発生する近接場光発生素子を備える基板を製造する基板製造方法であって、
前記基板は、入射した光を出射する導光機能部を備え、
前記導光機能部の光出射側の面積は、前記近接場光発生素子の近接場光発生側の面積よりも大きく形成されており、
前記導光機能部は、前記近接場光発生素子の近接場光発生側の面の形状が所望の大きさであるか否かを判別するために用いられるものであり、
前記導光機能部の光出射側の面を研磨する研磨工程を有し、
前記研磨工程は、前記導光機能部の光出射側とは逆側の面から光を入射させ、前記導光機能部の光出射側の面から出射した導光機能部出射光の状態が基準値を満たしているとき研磨を完了することを特徴とする基板製造方法。
【請求項19】
前記基板は、スライダを備え、
前記導光機能部及び前記スライダを含む領域を前記基板から分割する分割工程を備えることを特徴とする請求項18に記載の基板製造方法。
【請求項20】
前記分割工程は、前記研磨工程の後に前記導光機能部と前記スライダとを分割することを特徴とする請求項19に記載の基板製造方法。
【請求項21】
前記研磨工程後に、前記近接場光発生素子が良品であるか否かを判別する良否検査工程を備え、
前記研磨工程は、前記近接場光発生素子が良品でないと判別された場合に再び実行されることを特徴とする請求項18に記載の基板製造方法。
【請求項22】
前記近接場光発生素子を形成する近接場発生素子製造工程と、
前記導光機能部を形成する導光機能部製造工程と
を有し、
前記導光機能部製造工程と前記近接場光発生素子製造工程においては、
前記導光機能部と前記近接場光発生素子を同一マスクで成膜する工程を有することを特徴とする請求項18に記載の基板製造方法。
【請求項23】
入射した光を前記近接場光発生素子まで導波する光導波路を備え、
前記近接場光発生素子は、前記光導波路からの前記光を用いて前記近接場光を発生するものであり、
前記導光機能部を形成する導光機能部製造工程と、
前記光導波路を形成する光導波路製造工程と
を有し、
前記導光機能部製造工程と前記光導波路製造工程においては、
前記導光機能部と前記光導波路を同一マスクで同時に成膜する工程を有することを特徴とする請求項18に記載の基板製造方法。
【請求項24】
前記研磨工程は、前記導光機能部出射光のスポット径が基準値を満たしているとき研磨を完了することを特徴とする請求項18に記載の基板製造方法。
【請求項25】
前記導光機能部は、2つ備えられており、記録媒体と対向する対向面に対して直交する直交方向に対してそれぞれ等角度傾いて形成されており、
前記研磨工程は、前記導光機能部のそれぞれの導光機能部出射光の距離が基準値を満たしているとき研磨を完了することを特徴とする請求項18に記載の基板製造方法。
【請求項26】
近接場光を発生する基板を検査する基板検査方法であって、
前記基板は、
前記近接場光を発生する近接場光発生素子と、
入射した光を出射する導光機能部と
を備え、
前記導光機能部の光出射側の面積は、前記近接場光発生素子の近接場光発生側の面積よりも大きく形成されており、
前記導光機能部は、前記近接場光発生素子の近接場光発生側の面の形状が所望の大きさであるか否かを判別するために用いられるものであり、
前記近接場光発生素子が良品であるか否かを判別する良否検査工程を備えることを特徴とする基板検査方法。
【請求項27】
前記良否検査工程は、
前記導光機能部の光出射側とは反対側から光を入射し、
前記導光機能部の光出射側から出射された出射光の状態を観察し、前記出射光が基準値を満たしているとき、前記近接場光発生素子が良品であると判断する
ことを特徴とする請求項26に記載の基板検査方法。
【請求項28】
前記良否検査工程は、前記出射光のスポット径が基準値を満たしているとき、前記近接場光発生素子が良品であると判断することを特徴とする請求項26に記載の基板検査方法。
【請求項29】
前記導光機能部は、2つ備えられており、記録媒体と対向する対向面に対して直交する直交方向に対してそれぞれ等角度傾いて形成されており、
前記良否検査工程は、前記導光機能部のそれぞれの導光機能部出射光の距離が基準値を満たしているとき、前記近接場光発生素子が良品であると判断することを特徴とする請求項26に記載の基板検査方法。
【請求項1】
近接場光を発生する近接場光発生素子と、
入射した光を出射する導光機能部と
を備え、
前記導光機能部の光出射側の面積は、前記近接場光発生素子の近接場光発生側の面積よりも大きく形成されており、
前記導光機能部は、前記近接場光発生素子の近接場光発生側の面の形状が所望の大きさであるか否かを判別するために用いられるものである
ことを特徴とする基板。
【請求項2】
記録媒体の上を浮上するスライダを備えるスライダ基板と、
前記導光機能部を備える導光機能部基板と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の基板。
【請求項3】
記録媒体の上を浮上するスライダであって、
請求項1に記載の基板を備えることを特徴とするスライダ。
【請求項4】
請求項3に記載のスライダを備える近接場光ヘッドであって、
前記スライダに前記光を供給する光学素子を備え、
前記近接場光発生素子は、前記光学素子から供給された前記光を用いて、前記近接場光を発生するものであることを特徴とする近接場光ヘッド。
【請求項5】
請求項4に記載の近接場光ヘッドであって、
前記スライダに備えられており、前記光学素子から供給された前記光を、前記近接場光発生素子まで導波する光導波路を備え、
前記近接場光発生素子は、前記光導波路から供給された前記光を用いて前記近接場光を発生するものであることを特徴とする近接場光ヘッド。
【請求項6】
請求項1に記載の基板であって、
前記導光機能部は、前記光導波路と相似形であることを特徴とする基板。
【請求項7】
請求項1に記載の基板であって、
前記導光機能部は、光軸に対して直交する第一面積と、前記光軸に対して直交するとともに前記第一面積の大きさとは異なる第二面積とを備えることを特徴とする基板。
【請求項8】
前記近接場光発生素子は、記録媒体と対向する対向面から所定距離の位置に備えられており、
前記導光機能部は、前記第一面積から前記第二面積に変化する境界部分を備え、
前記所定距離の位置は、前記境界部分に備えられていることを特徴とする請求項7に記載の基板。
【請求項9】
前記導光機能部は、前記第一面積から前記第二面積に向かうに従って断面積が小さくなるように構成されたテーパー部を備えることを特徴とする請求項7に記載の基板。
【請求項10】
前記テーパー部の記録媒体に近い部分の第一テーパー角は、前記第一テーパー角と異なる位置に備えられた第二テーパー角と異なることを特徴とする請求項9に記載の基板。
【請求項11】
請求項1に記載の基板であって、
前記導光機能部は、コアとクラッドから構成されていることを特徴とする基板。
【請求項12】
請求項1に記載の基板であって、
前記導光機能部の一部はレンズによる集光構造を備えていることを特徴とする基板。
【請求項13】
請求項1に記載の基板あって、
前記導光機能部は、前記光導波路と同一の材料により構成されていることを特徴とする基板。
【請求項14】
請求項1に記載の基板であって、
前記導光機能部の一部は、不透過性材料で構成されていることを特徴とする基板。
【請求項15】
請求項1に記載の基板であって、
前記導光機能部は、2つ備えられており、記録媒体と対向する対向面に対して直交する直交方向に対してそれぞれ傾いて形成されていることを特徴とする基板。
【請求項16】
前記導光機能部は、前記直交方向に対してそれぞれ等角度傾いて形成されていることを特徴とする請求項15に記載の基板。
【請求項17】
請求項1に記載の基板であって、
前記導光機能部は、2つ備えられており、
記録媒体と対向する面方向において、前記光導波路は、前記導光機能部のそれぞれと等しくなる位置に備えられていることを特徴とする基板。
【請求項18】
近接場光を発生する近接場光発生素子を備える基板を製造する基板製造方法であって、
前記基板は、入射した光を出射する導光機能部を備え、
前記導光機能部の光出射側の面積は、前記近接場光発生素子の近接場光発生側の面積よりも大きく形成されており、
前記導光機能部は、前記近接場光発生素子の近接場光発生側の面の形状が所望の大きさであるか否かを判別するために用いられるものであり、
前記導光機能部の光出射側の面を研磨する研磨工程を有し、
前記研磨工程は、前記導光機能部の光出射側とは逆側の面から光を入射させ、前記導光機能部の光出射側の面から出射した導光機能部出射光の状態が基準値を満たしているとき研磨を完了することを特徴とする基板製造方法。
【請求項19】
前記基板は、スライダを備え、
前記導光機能部及び前記スライダを含む領域を前記基板から分割する分割工程を備えることを特徴とする請求項18に記載の基板製造方法。
【請求項20】
前記分割工程は、前記研磨工程の後に前記導光機能部と前記スライダとを分割することを特徴とする請求項19に記載の基板製造方法。
【請求項21】
前記研磨工程後に、前記近接場光発生素子が良品であるか否かを判別する良否検査工程を備え、
前記研磨工程は、前記近接場光発生素子が良品でないと判別された場合に再び実行されることを特徴とする請求項18に記載の基板製造方法。
【請求項22】
前記近接場光発生素子を形成する近接場発生素子製造工程と、
前記導光機能部を形成する導光機能部製造工程と
を有し、
前記導光機能部製造工程と前記近接場光発生素子製造工程においては、
前記導光機能部と前記近接場光発生素子を同一マスクで成膜する工程を有することを特徴とする請求項18に記載の基板製造方法。
【請求項23】
入射した光を前記近接場光発生素子まで導波する光導波路を備え、
前記近接場光発生素子は、前記光導波路からの前記光を用いて前記近接場光を発生するものであり、
前記導光機能部を形成する導光機能部製造工程と、
前記光導波路を形成する光導波路製造工程と
を有し、
前記導光機能部製造工程と前記光導波路製造工程においては、
前記導光機能部と前記光導波路を同一マスクで同時に成膜する工程を有することを特徴とする請求項18に記載の基板製造方法。
【請求項24】
前記研磨工程は、前記導光機能部出射光のスポット径が基準値を満たしているとき研磨を完了することを特徴とする請求項18に記載の基板製造方法。
【請求項25】
前記導光機能部は、2つ備えられており、記録媒体と対向する対向面に対して直交する直交方向に対してそれぞれ等角度傾いて形成されており、
前記研磨工程は、前記導光機能部のそれぞれの導光機能部出射光の距離が基準値を満たしているとき研磨を完了することを特徴とする請求項18に記載の基板製造方法。
【請求項26】
近接場光を発生する基板を検査する基板検査方法であって、
前記基板は、
前記近接場光を発生する近接場光発生素子と、
入射した光を出射する導光機能部と
を備え、
前記導光機能部の光出射側の面積は、前記近接場光発生素子の近接場光発生側の面積よりも大きく形成されており、
前記導光機能部は、前記近接場光発生素子の近接場光発生側の面の形状が所望の大きさであるか否かを判別するために用いられるものであり、
前記近接場光発生素子が良品であるか否かを判別する良否検査工程を備えることを特徴とする基板検査方法。
【請求項27】
前記良否検査工程は、
前記導光機能部の光出射側とは反対側から光を入射し、
前記導光機能部の光出射側から出射された出射光の状態を観察し、前記出射光が基準値を満たしているとき、前記近接場光発生素子が良品であると判断する
ことを特徴とする請求項26に記載の基板検査方法。
【請求項28】
前記良否検査工程は、前記出射光のスポット径が基準値を満たしているとき、前記近接場光発生素子が良品であると判断することを特徴とする請求項26に記載の基板検査方法。
【請求項29】
前記導光機能部は、2つ備えられており、記録媒体と対向する対向面に対して直交する直交方向に対してそれぞれ等角度傾いて形成されており、
前記良否検査工程は、前記導光機能部のそれぞれの導光機能部出射光の距離が基準値を満たしているとき、前記近接場光発生素子が良品であると判断することを特徴とする請求項26に記載の基板検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−190531(P2012−190531A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−22038(P2012−22038)
【出願日】平成24年2月3日(2012.2.3)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月3日(2012.2.3)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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