説明

基板の製造方法

【課題】ビアを平坦にめっき充填すればめっきによるパターンの厚さが大きくばらつき、めっきによるパターンの厚さを均一にすればビアが平坦にめっき充填できなかった。
【解決手段】絶縁性基材2の表面から裏面に貫通して設けられたビア3内に導電体層7がめっきにより充填され、前記絶縁性基材2の少なくとも表面に導体パターンを形成する導電体層がめっきにより形成された基板において、前記導体パターンと、前記ビア内の充填とを別々のめっきにより形成する基板の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は絶縁性基材の表面と裏面とを接続するためのビアをめっき充填し、絶縁性基材表面にはめっき導電体層による微細なパターンが形成された基板に関するもので、特に半導体素子、電子部品等を搭載するための基板およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁性基材の表面と裏面とを電気的に接続し、表面にパターン形成する場合には絶縁性基材にレーザーやサンドブラストなどにより表面と裏面とを貫通してなるビアを形成し、ビアにめっきを施していたが、パターンの微細化やビア上に積層されたビアを形成するいわゆるビアオンビア構造や、ビア上への部品の搭載などのためにビアをめっき充填などで埋めるいわゆるフィルドビア構造が行われている。このようなビアにめっきを充填してなるフィルドビア構造を実現し、しかも絶縁性基材表面にも同時にパターン形成のために、絶縁性基材表面にも均一なめっき層を形成するいわゆるパネルめっきしてパターンをフォトエッチングによって形成するサブトラクティブ法や、選択的にパターンめっきを形成するいわゆるセミアディティブ法を用いていた。
【0003】
しかしビアをめっきで充填する場合、絶縁性基材表面のパネルめっきや選択的に形成したパターンめっき層の厚さは、ビアをめっきで充填する条件によって決定されるため、パターン形成と無関係に厚く形成される。このことは、パネルめっきの場合めっき層をフォトエッチングによりパターン形成する際、めっき厚さが厚い程サイドエッチングが大きくなるので、微細パターン形成が困難となる。
【0004】
そこで絶縁性基材表面に形成するめっきを、ビアをめっきで充填する条件に関係なく形成するために、図3(a)に示す様に、多層基板9の表面に樹脂層10を形成し、さらにその上から感光性ドライフィルム11をラミネートした後、図3(b)に示す如く、感光性ドライフィルム11と樹脂層10を同時に炭酸ガスレーザーでビア12を形成する。そしてビア12内の樹脂層10の内壁を無電解めっき処理した後感光性ドライフィルム11を引き剥がし、樹脂層10の表面を露出する。その後図3(c)に示す如く、ビア12を埋めるように電気めっきによって導電体層13を形成し、めっきした表面を樹脂層10とほぼ同じレベルで平滑な表面にする。さらに、図3(d)に示す如く、樹脂層10の表面に無電解めっきを施した後、電気めっきによって厚みが薄く均一な銅14を形成する方法が提案されていた。
【0005】
なお、この発明の出願に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2001−156453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ビアにめっきを充填してなるフィルドビア構造を実現し、絶縁性基材表面にも均一なめっき層を形成する、いわゆるパネルめっきしてパターンをフォトエッチングによって形成するサブトラクティブ法では前述の如く、絶縁性基材表面のパネルめっきや選択的パターンめっき層の厚さは、ビアをめっきで充填する条件によって決定されるため、パターン形成と無関係に厚く形成される。すなわち、サブトラクティブ法の場合、めっき層をフォトエッチングによりパターン形成する際に、めっき厚さが厚い程形成されるパターンのサイドエッチングが大きくなり、微細パターン形成が困難となる。
【0007】
また、上記の提案された先行文献の方法では、ビア埋めの電気めっきと樹脂層10の表面にパターン形成を行う銅14の形成が全く別に行われ、パターンの形成領域は薄く均一にめっき形成されるものである。しかしながらパターン形成はサブトラクティブ法によって行われるため、前記サイドエッチングによって微細なパターンでの細りにより、微細パターンの形成は困難であるという問題があった。
【0008】
一方、セミアディティブ法では、サブトラクティブ法のようなサイドエッチングが無く微細なパターン形成が可能であるが、ビアと同時にパターンをめっき形成した場合、めっき厚さがパターンとマスクとの粗密やパターン幅などのパターン寸法などによってめっき厚さが2倍以上の大きな膜厚差を生じ、電気的抵抗や後の工程である半導体や部品の実装の大きな障害となるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、絶縁性基材の表面から裏面に貫通して設けられたビア内に導電体層がめっきにより充填され、前記絶縁性基材の少なくとも表面に導体パターンを形成する導電体層がめっきにより形成された基板において、前記導体パターンの形成と、前記ビア内の導電体層の充填とを別々のめっき工程により形成することで、ビア充填のめっきとパターン形成のめっきのそれぞれのめっき性を制御することを可能とする。
【0010】
めっきにより前記導体パターンを形成する際に前記ビアの領域にめっきマスクを形成し、めっきにより前記ビア内に前記導電体層を充填する際に前記導体パターン形成領域に別のめっきマスクを形成することによって、前記ビア内のめっき充填と前記導体パターンのめっき形成とをそれぞれ別々に行うことを可能とする。
【0011】
ここで、ビア内に導電体層を充填するための第1の電解めっき液の組成と導体パターンを形成するための第2の電解めっき液の組成とが異なることで、それぞれに適しためっき液組成とし、前記ビア内の充填を表面の凹みを小さくし、導体パターンの厚さをパターンの粗密や幅に関係なく均一に形成するものである。
【0012】
このようにそれぞれのめっき液組成が、ビア内充填の第1の電解めっき液を導体パターン形成の第2の電解めっき液よりも硫酸銅濃度が高くかつ硫酸濃度を低くすることで実現できる。すなわち、これらのめっき液組成は第1の電解めっき液の硫酸銅濃度が150g/リットル以上、硫酸濃度が100g/リットル以下で、第2の電解めっき液は硫酸銅濃度が150g/リットル以下、硫酸濃度が130g/リットル以上とすることが好ましい。
【0013】
すなわち、絶縁性基材を貫通するビアを形成する工程と、無電解めっきにより前記絶縁性基材が露出した表面に導電体層を形成する工程と、前記ビアが形成されていない領域にめっきマスクを形成する工程と、第1の電解めっき液により前記ビア内に導電体層を充填し形成する工程と、前記ビアが形成された領域にマスクを形成する工程と、前記絶縁性基材表面に所望導体パターンを第2のめっき液によりめっき形成する工程とを備えたことによって実現できる。
【0014】
尚、絶縁性基材を貫通するビアを形成する工程と無電解めっきにより前記絶縁性基材が露出した表面に導電体層を形成する工程との後に、前記ビアが形成された領域にマスクを形成する工程と、前記絶縁性基材表面に所望導体パターンを第2のめっき液によりめっき形成する工程を有することによって、所望導体パターンのめっきのマスク形成でビア部での凹凸に関係なく形成できるため、比較的薄いマスク材料が選択でき、より微細なパターン形成が可能となり、その後に前記ビアが形成されていない領域にめっきマスクを形成する工程と、第1の電解めっき液により前記ビア内に導電体層を充填し形成する工程とによって実現できる。
【0015】
また、絶縁性基材を貫通するビアを形成する工程と無電解めっきにより前記絶縁性基材が露出した表面に導電体層を形成する工程との後に、前記ビアが形成されていない領域にめっきマスクを形成する工程と、第1の電解めっき液により前記ビア内に導電体層をめっき充填し形成する工程とを有することによって、ビア部が充填されているため空間が無く、ビア部のマスクに特にテンティング性の良いマスク材料を必要とせず容易にマスク形成が可能であり、その後に前記ビアが形成された領域にマスクを形成する工程と、前記絶縁性基材表面に所望導体パターンを第2のめっき液によりめっき形成する工程とを有することでも実現できる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明は、ビアにめっきを充填してビア部の表面がほぼ平坦となるようなフィルドビア構造を実現し、絶縁性基材表面のめっき導体パターンの厚さをパターンの粗密などによらず均一な厚さで任意に形成することができるもので、セミアディティブ法によってサイドエッチングが無く微細パターン形成を可能とするものである。また、絶縁性基板の変わりに水晶などの圧電性基板による表面弾性波素子やセンサー素子などにして、絶縁性基材を絶縁層とし、ビアによって素子の電極と表面とを接続するパッケージにも用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について、本発明の特に請求項1〜7に記載の発明について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1(a)〜(g)は本発明の実施の形態1における基板の製造方法の断面図である。
【0019】
まず、図1(a)に示すように絶縁性基板1として、ガラス等の絶縁性繊維として例えばガラス繊維を縦糸と横糸として布状に織ったいわゆるガラスクロス(ガラス織布)に、樹脂としてエポキシ樹脂を含浸させ、さらにガラスクロスの両面に、例えば厚さ5〜20μm程度のエポキシ層を形成したガラスエポキシ基板であり、少なくとも表面にはランドなどの導体パターン4が形成されている。なお、この絶縁性基板1は回路形成された通常の回路基板や全層IVH構造の例えばALIVH基板であっても構わない。また、絶縁性基板1は、水晶やリチウムタンタレイトなどの圧電性基板およびセラミックなどの無機材料による基板やエポキシやイミド系などの樹脂基板や、アラミド樹脂であってもよい。
【0020】
さらに絶縁性基板1の表面に、ガラス等の絶縁性繊維として例えばガラス繊維を縦糸と横糸として布状に織ったいわゆるガラスクロス(ガラス織布)に、樹脂としてエポキシ樹脂を含浸させ、さらにガラスクロスの両面に、例えば厚さ5〜20μm程度のエポキシ層を形成したガラスエポキシなどの材料として例えば味の素ファインテクノ(株)の厚さ40μmのABF系樹脂フィルムを真空ラミネートして絶縁性基材2を形成する。尚、このときに絶縁性基材2の表面に銅箔などの金属箔をプレスや接着しても構わない。
【0021】
次に、炭酸ガスやYAGなどのレーザーによって、例えば100μmΦのビア3を、絶縁性基材2を貫通するように形成し、絶縁性基板1の表面の導体パターン4の所望ランドを露出する。このとき、絶縁性基材2の表面に金属箔が形成されている場合には、必要に応じてビア形成領域やその周辺も含んで金属箔をエッチング除去する。そして、ビア3の側壁および絶縁性基材2の表面の露出部分に、無電解めっきによる導電体層5を例えば厚さ0.5μm程度形成し、表面を電気めっきが可能な様に導体化する。ここで、多層配線の場合、層間の絶縁性基材厚さがビア3の接続部と同様に薄くなるため、レーザーによるビア形成が容易にできる。なお、ビア3は、セラミックや水晶などの無機材料であれば、サンドブラストや高圧水などによって形成してもよい。
【0022】
尚、この無電解めっきによる導電体層5は、無電解めっきの他にスパッターや真空蒸着などでも構わない。また、金属箔表面にも形成されても構わない。絶縁性基板1が水晶などの圧電性基板による表面弾性波素子やセンサー素子など、導体パターン4が表面弾性波素子やセンサー素子などの電極であっても、以下説明する工程で絶縁性基材を絶縁層として、ビアによって素子の電極と表面とを接続するパッケージにも用いることができる。
【0023】
次に図1(b)に示す如く、絶縁性基材2の表面に銅箔など金属箔や無電解めっきによる導電体層5の表面に、ドライフィルムレジストを被着した後、露光現像によって、ビア3と必要に応じてその周辺部の表面およびビア3側壁の無電解めっきによる導電体層5を露出して、ドライフィルムレジストによるマスク6を形成する。このとき、マスクすべき領域はほぼ平坦であるため、マスク6の材料であるドライフィルムレジストの厚さやテンティング性は必要としない。
【0024】
次に図1(c)に示す如く、第1の電解めっき液による電解めっきで、ビア3および必要に応じてその周辺部の前記導電体層5の露出した領域にめっきを行うことによって、ビア3内をめっき充填した平坦な導電体層7を形成する。ここで、第1の電解めっき液の組成として、硫酸銅濃度を高くかつ硫酸濃度を低くすることで、ビア3内への銅の供給を良好にすることができる。具体的には、第1の電解めっき液は、硫酸銅濃度が150g/リットル〜250g/リットル、硫酸濃度が10g/リットル〜100g/リットルの組成が適している。さらに微量な添加剤として塩酸などによる塩素イオンや、例えばポリエチレングリコールなどの抑制剤によってビア周辺でのめっき被着を抑制し、さらにチオールやジスフィルドなどの官能基を持つ促進剤またはヤヌスグリーンなどのレベリング剤を添加することによって、ビア3内への銅のめっき充填を促進し、ビア3がほぼ平坦となるまで充填することができる。本実施の形態では、第1の電解めっき液の硫酸銅濃度を200g/リットル、硫酸濃度を25g/リットルの組成のめっき液で電解めっきを実施した。
【0025】
また、この様なめっき液組成によってパターン形成を行えば、めっき領域と非めっき領域の面積の差すなわちパターンの粗密やパターン幅などによって大きくは2倍程度のめっき厚さの差が生じるという不具合、すなわち後の工程で半導体やチップ部品などを実装する際に均一に接触させることができず接触不良や断線の原因となるため、上記の組成のめっき液はビア3内への充填のみとしている。
【0026】
次に前記形成したマスク6を剥離除去した後図1(d)に示す如く、少なくとも前記電解めっきによって充填した導電体層7を含んで所望パターンを形成すべく別のドライフィルムレジストによってマスク16を新たに形成する。ここで、このマスク16としてのドライフィルムレジストについては、ビア3の空間は第1のめっき液組成による電解めっきによって表面が平坦に充填された導電体層7が形成されているため、特にテンティング性を必要としないので、15μm程度の比較的薄い物を用いることが可能であり、この場合薄いドライフィルムレジストであるため、解像度が高く微細なパターン形成が可能である。
【0027】
次に図1(e)に示す如く、第2の電解めっき液による電解めっきで所望パターン8を形成する。ここで、第2の電解めっき液の組成として、硫酸銅濃度を低くかつ硫酸濃度を高くすることでパターンのめっき厚さを均一に形成できる。第2の電解めっき液は、硫酸銅濃度が50g/リットル〜150g/リットル、硫酸濃度が130g/リットル〜230g/リットルの組成が適している。さらに微量な添加剤として塩酸などによる塩素イオンや、例えばポリエチレングリコールなどの抑制剤によってビア周辺でのめっき被着を抑制し、さらにチオールやジスフィルドなどの官能基を持つ促進剤またはヤヌスグリーンなどのレベリング剤を添加ポリエチレングリコールなどの抑制剤によって、ビア周辺でのめっき被着を抑制している。さらにチオールやジスフィルドなどの官能基を持つ促進剤またはヤヌスグリーンなどのレベリング剤を添加しても良い。また、例えばポリエチレングリコールなどの抑制剤を低くするかもしくは用いないことによって、パターンの粗密やパターン幅に関わらず所望パターンの厚さを均一にし、平坦なパターン形成を可能とする。本実施の形態では、第2の電解めっきの硫酸銅濃度を100g/リットル、硫酸濃度を180g/リットルの組成で電解めっきを実施した。
【0028】
次に図1(f)に示す如く、前記所望パターン8をめっき形成するためのマスク16を剥離除去した後露出した絶縁性基材2の表面に銅箔など金属箔や無電解めっきにより形成された導電体層5を、硫酸と過酸化水素水系のエッチング液によってエッチング除去することによって、図1(g)に示す如く、ビア3がめっき充填され、平坦な導電体層7および微細な所望パターン8が均一な厚さで形成された基板が形成できる。
【0029】
以上説明した本発明によれば、セミアディティブ法によるパターン形成により、微細なパターン形成が可能なばかりでなく、ビア3内を充填する第1のめっき液と所望パターン8を形成する第2のめっき液の組成を変えることで、ビア3の表面は平坦に充填でき、所望パターン8のめっきの厚さがパターンの粗密や幅に関係なく均一な厚さに形成される。さらにビア3内を充填するためのめっきと所望パターン8を形成するためのめっきがそれぞれ別に行われるために、所望パターンのめっき厚さはビアの充填めっきとは無関係に任意に設定でき、マスク16に薄いドライフィルムの採用が可能となるので、解像度が高くなり微細化がさらに可能となる。また、ビア3を充填して平坦にされた導電体層7を形成した後にマスク16を形成することで、マスク16であるドライフィルムレジストのテンティング性を必要としないことからも、薄いドライフィルムレジストの採用を可能とし微細化を可能とする。
【0030】
尚、以上説明した図1(a)〜(g)による工程を更に繰り返すことによって多層化が可能であることは言うまでもない。
【0031】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態について、本発明の特に請求項1〜6,8の発明について、図2(a)〜(g)を参照しながら説明する。なお、実施の形態1と同様の構成を有するものについては、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0032】
まず、図2(a)に示すように、絶縁性基板1として、ガラス等の絶縁性繊維として例えばガラス繊維を縦糸と横糸として布状に織ったいわゆるガラスクロス(ガラス織布)に、樹脂としてエポキシ樹脂を含浸させ、さらにガラスクロスの両面に、例えば厚さ5〜20μm程度のエポキシ層を形成したガラスエポキシ基板であり、少なくとも表面にはランドなどの導体パターン4が形成されている。なお、この絶縁性基板1は回路形成された通常の回路基板や全層IVH構造の例えばALIVH基板であっても構わない。また、絶縁性基板1は、水晶やリチウムタンタレイトなどの圧電性基板およびセラミックなどの無機材料による基板やエポキシやイミド系などの樹脂基板や、アラミド樹脂であってもよい。
【0033】
さらに絶縁性基板1の表面に、ガラス等の絶縁性繊維として例えばガラス繊維を縦糸と横糸として布状に織ったいわゆるガラスクロス(ガラス織布)に、樹脂としてエポキシ樹脂を含浸させ、さらにガラスクロスの両面に、例えば厚さ5〜20μm程度のエポキシ層を形成したガラスエポキシなどの材料として例えば味の素ファインテクノ(株)の厚さ40μmのABF系樹脂フィルムを真空ラミネートして絶縁性基材2を形成する。尚、このときに絶縁性基材2の表面に銅箔など金属箔をプレスや接着しても構わない。
【0034】
次に絶縁性基材2に、炭酸ガスやYAGなどのレーザーによって、例えば100μmΦのビア3を、絶縁性基材2を貫通するように形成し、絶縁性基板1の表面の導体パターン4の所望ランドを露出する。このとき、絶縁性基材2の表面に金属箔が形成されている場合には、必要に応じてビア形成領域やその周辺も含んで金属箔をエッチング除去する。そして、ビア3の側壁および絶縁性材料2の表面の露出部分に無電解めっきによる導電体層5を例えば厚さ0.5μm程度形成し、表面を電気めっきが可能な様に導体化する。ここで、多層配線の場合、層間の絶縁性基材厚さがビア3の接続部と同様に薄くなるため、レーザーによるビア形成が容易にできる。なお、ビア3は、セラミックや水晶などの無機材料であればサンドブラストや高圧水などによって形成してもよい。
【0035】
尚、この無電解めっきによる導電体層5は、無電解めっきの他にスパッターや真空蒸着などでも構わない。また、金属箔表面にも形成されても構わない。絶縁性基板1が水晶などの圧電性基板による表面弾性波素子やセンサー素子などで、導体パターン4が表面弾性波素子やセンサー素子などの電極であっても、以下説明する工程で絶縁性基材を絶縁層として、ビアによって素子の電極と表面とを接続するパッケージにも用いることができる。
【0036】
次に図2(b)に示す如く、絶縁性基材2の表面に銅箔など金属箔や無電解めっきによる導電体層5の表面に、次の工程で所望パターン8を形成するためにドライフィルムレジストを被着した後、露光現像によってビア3と必要に応じてその周辺部を含んで所望パターン8の領域にマスク16を形成する。このとき、ビア3部において貫通ビアなどの大きさ数百μmと比較して100μm以下の微細なビア3の空間が形成されるが、大きなテンティング性は必要なく、さらにビア3部にはめっきによる導電体層も形成されていないため、所望パターン8の形成領域も含めてきわめて平坦な面にマスク16を形成することになり、マスク16に用いるドライフィルムレジストには高い解像度の薄いドライフィルムの採用が可能である。このため微細な所望パターン8の形成が可能である。
【0037】
次に図2(c)に示す如く、第2の電解めっき液による電解めっきで所望パターン8を形成する。ここで、第2の電解めっき液の組成として、硫酸銅濃度を低くかつ硫酸濃度を高くすることで、パターンのめっき厚さを均一に形成できる。第2の電解めっき液は、硫酸銅濃度が50g/リットル〜150g/リットル、硫酸濃度が130g/リットル〜230g/リットルの組成が適している。さらに微量な添加剤として塩酸などによる塩素イオンや例えばポリエチレングリコールなどの抑制剤によってビア周辺でのめっき被着を抑制し、さらにチオールやジスフィルドなどの官能基を持つ促進剤またはヤヌスグリーンなどのレベリング剤を添加ポリエチレングリコールなどの抑制剤によって、ビア周辺でのめっき被着を抑制している。さらにチオールやジスフィルドなどの官能基を持つ促進剤またはヤヌスグリーンなどのレベリング剤を添加しても良い。また、例えばポリエチレングリコールなどの抑制剤を低くするかもしくは用いないことによってパターンの粗密やパターン幅に関わらず所望パターンの厚さを均一にし、平坦なパターン形成を可能とする。本実施の形態では、第2の電解めっきの硫酸銅濃度を100g/リットル、硫酸濃度を180g/リットルの組成で電解めっきを実施した。
【0038】
次に前記形成したマスク16を剥離除去した後、図2(d)に示す如く、絶縁性基材2の表面にめっきにより形成された所望パターン8を含んで、銅箔などの金属箔や無電解めっきによる導電体層5の表面に別のドライフィルムレジストを被着し、露光現像によってビア3と必要に応じてその周辺部の表面、およびビア3の側壁の無電解めっきによる導電体層5を露出してマスク6を新たに形成する。このときビア3は数十μmの大きさであり、解像度にほとんど影響を及ぼさないものであるので、本実施の形態では30μmの厚いドライフィルムレジストが採用でき、20μm程度に厚く形成された電解めっきによる所望パターン8でも完全に被覆してしまうため、所望パターン8を厚く形成することもでき、配線抵抗を低くすることが可能となる。
【0039】
次に図2(e)に示す如く、第1のめっき液による電解めっきでビア3および必要に応じてその周辺の前記露出した領域にめっきを行うことによって、ビア3内をめっき充填した平坦な導電体層7を形成する。ここで、第1のめっき液の組成として、硫酸銅濃度を高くかつ硫酸濃度を低くすることで、ビアへの銅の供給を良好にすることができる。具体的には、第1の電解めっき液は、硫酸銅濃度が150g/リットル〜250g/リットル、硫酸濃度が10g/リットル〜100g/リットルの組成が適している。さらに微量な添加剤として塩酸などによる塩素イオンや、例えばポリエチレングリコールなどの抑制剤によってビア周辺でのめっき被着を抑制し、さらにチオールやジスフィルドなどの官能基を持つ促進剤またはヤヌスグリーンなどのレベリング剤を添加することによって、ビア3内への銅のめっき充填を促進し、ビア3がほぼ平坦となるまで充填することができる。本実施の形態では、第1の電解めっき液の硫酸銅濃度を200g/リットル、硫酸濃度を25g/リットルの組成のめっき液で電解めっきを実施した。
【0040】
また、この様なめっき液組成によってパターン形成を行えば、めっき領域と非めっき領域の面積の差すなわちパターンの粗密やパターン幅などによって大きくは2倍程度のめっき厚さの差が生じるという不具合が生じ、後の工程で半導体やチップ部品などを実装する際に均一に接触させることができず接触不良や断線の原因となるため、上記の組成のめっき液は、ビア内への充填のみとしている。
【0041】
次に図2(f)に示す如く、前記マスク6を剥離除去した後、露出した絶縁性基材2の表面に銅箔など金属箔や無電解めっきにより形成された導電体層5を、硫酸と過酸化水素水系のエッチング液によってエッチング除去することによって、図2(g)に示す如く、ビア3内がめっきにより充填された、平坦な導電体層7が形成され、しかも微細な所望パターン8が均一な厚さで形成された基板が形成できる。
【0042】
以上説明した本発明によれば、セミアディティブ法によるパターン形成により、微細なパターン形成が可能なばかりでなく、ビア3内を充填する第1の電解めっき液と所望パターン8を形成する第2の電解めっき液の組成が異なることで、ビア3の表面を平坦に充填でき、所望パターン8のめっき厚さをパターンの粗密や幅に関係なく均一な厚さに形成することができる。さらにビア3内を充填するためのめっきと所望パターン8を形成するためのめっきがそれぞれ別に行われるために、所望パターンのめっき厚さはビア3内の充填めっきとは無関係に任意に設定でき、厚く所望パターン8を形成することで配線抵抗を小さくすることも可能である。また、ビア3内へは所望パターンに関係なく厚く電解めっきで充填することも可能であり、平坦な導電体層7の形成が可能である。
【0043】
尚、以上説明した図2(a)〜(g)による工程を更に繰り返すことによって多層化が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、絶縁性基材に形成されたビア表面をほぼ平坦に電気めっきによって充填ししかも電解めっきによる微細なパターンの導電体層を形成した基板であって、多層配線を必要とする基板を形成することもできるものである。また、絶縁性基板の変わりに水晶などの圧電性基板による表面弾性波素子やセンサー素子などにして絶縁性基材を絶縁層としてビアによって素子の電極と表面とを接続するパッケージにも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態1における基板の製造方法を示す工程断面図
【図2】本発明の実施の形態2における基板の製造方法を示す工程断面図
【図3】従来の基板の製造方法を示す工程断面図
【符号の説明】
【0046】
1 絶縁性基板
2 絶縁性基材
3 ビア
4 導体パターン
5 無電解めっきによる導電体層
6、16 めっきマスク
7 導電体層
8 所望パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基材の表面から裏面に貫通して設けられたビア内に導電体層がめっきにより充填され、前記絶縁性基材の少なくとも表面に導体パターンを形成する導電体層がめっきにより形成された基板において、前記導体パターンの形成と、前記ビア内の導電体層の充填とを別々のめっき工程により形成することを特徴とする基板の製造方法。
【請求項2】
めっきにより前記導体パターンを形成する際に前記ビアの領域にめっきマスクを形成し、めっきにより前記ビア内に導電体層を充填する際に前記導体パターン形成領域に別のめっきマスクを形成することを特徴とする請求項1に記載の基板の製造方法。
【請求項3】
ビア内に導電体層を充填するための第1の電解めっき液の組成と導体パターンを形成するための第2の電解めっき液の組成とが異なることを特徴とする請求項1,2に記載の基板の製造方法。
【請求項4】
第1の電解めっき液は第2の電解めっき液よりも硫酸銅濃度が高くかつ硫酸濃度が低いことを特徴とする請求項3に記載の基板の製造方法。
【請求項5】
第1の電解めっき液の硫酸銅濃度が150g/リットル以上、硫酸濃度が100g/リットル以下で、第2の電解めっき液は硫酸銅濃度が150g/リットル以下、硫酸濃度が130g/リットル以上であることを特徴とする請求項3に記載の基板の製造方法。
【請求項6】
少なくとも、絶縁性基材を貫通するビアを形成する工程と、無電解めっきにより前記絶縁性基材が露出した表面に導電体層を形成する工程と、前記ビアが形成されていない領域にめっきマスクを形成する工程と、第1の電解めっき液により前記ビア内に導電体層を充填し形成する工程と、前記ビアが形成された領域にマスクを形成する工程と、前記絶縁性基材表面に所望導体パターンを第2のめっき液により形成する工程とを備えたことを特徴とする請求項1乃至5に記載の基板の製造方法。
【請求項7】
少なくとも、絶縁性基材を貫通するビアを形成する工程と無電解めっきにより前記絶縁性基材が露出した表面に導電体層を形成する工程との後に、前記ビアが形成された領域にマスクを形成する工程と前記絶縁性基材表面に所望導体パターンを第2のめっき液によりめっき形成する工程を有し、その後に前記ビアが形成されていない領域にめっきマスクを形成する工程と第1の電解めっき液により前記ビア内に導電体層をめっき充填し形成する工程とを有することを特徴とする請求項1乃至6に記載の基板の製造方法。
【請求項8】
少なくとも、絶縁性基材を貫通するビアを形成する工程と無電解めっきにより前記絶縁性基材が露出した表面に導電体層を形成する工程との後に、前記ビアが形成されていない領域にめっきマスクを形成する工程と第1の電解めっき液により前記ビア内に導電体層をめっき充填し形成する工程とを有し、その後に前記ビアが形成された領域にマスクを形成する工程と前記絶縁性基材表面に所望導体パターンを第2のめっき液によりめっき形成する工程とを有することを特徴とする請求項1乃至6に記載の基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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