説明

基板アッセンブリ、インクジェットヘッド、基板アッセンブリの組立方法および基板アッセンブリの組立装置

【課題】簡単に組み立てることができると共にコンパクトに構成することができる基板アッセンブリ等を提供すること。
【解決手段】両面にそれぞれ接着部を有するベースプレート21と、平板状の基板本体26から「L」字状に屈曲する導通部27から成る一対のフィルム基板と、を備え、各導通部27を内向きに且つ所定の間隙を存して一対のフィルム基板を対向配置する配置工程S1と、間隙にベースプレート21の挿入端面を各導通部27の先端部位に突き当てる挿入工程S2と、各フィルム基板を内側に寄せて各基板本体26を接着部に接着する接着工程S3と、を経て、一対のフィルム基板がベースプレート21に組み付けられた基板アッセンブリであって、一対の導通部27の先端部位が、挿入端面の延在方向において、それぞれ斜めに且つ相補的形状に形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の導通部の先端面が微小間隙を存して対向するように一対のフィルム基板がベースプレートに組み付けられた基板アッセンブリ、インクジェットヘッド、基板アッセンブリの組立方法および基板アッセンブリの組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インク滴を吐出するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、圧力発生室内に圧力変化を生じさせる圧電素子と、圧電素子を保護する圧電素子保持部を有する保護基板および保護基板上に設けられて圧電素子を駆動するための駆動ICから成る基板アッセンブリと、を備えた液体噴射ヘッド(インクジェットヘッド)が知られている(特許文献1参照)。
この基板アッセンブリは、駆動ICが保護基板の表面に形成された駆動配線上に、粒状の絶縁物を混合した接着剤によって固定されると共に、駆動ICの導通部と駆動配線とがボンディングワイヤからなる接続配線によって接続されている。
【特許文献1】特開2004−148813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような基板アッセンブリでは、駆動ICが、保護基板上の駆動配線にボンディングワイヤより接続されているため、液体噴射ヘッドの組み立てにワイヤボンディングを行う特殊な装置を用いる必要があると共に、液体噴射ヘッド(保護基板)の小型化(高密度化)が困難であるという問題があった。
【0004】
本発明は、簡単に組み立てることができると共にコンパクトに構成することができる基板アッセンブリ、インクジェットヘッド、基板アッセンブリの組立方法および基板アッセンブリの組立装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の基板アッセンブリは、両面にそれぞれ接着部を有するベースプレートと、平板状の基板本体および基板本体から「L」字状に屈曲する導通部から成る一対のフィルム基板と、を備え、相互の導通部を内向きに且つ所定の間隙を存して一対のフィルム基板を対向配置する配置工程と、間隙にベースプレートを相対的に挿入して、ベースプレートの挿入端面を一対の導通部の先端部位に突き当てる挿入工程と、一対のフィルム基板を内側に寄せて各基板本体を各接着部に接着する接着工程と、を経て、一対の導通部の先端面が微小間隙を存して対向するように一対のフィルム基板がベースプレートに組み付けられた基板アッセンブリであって、一対の導通部の先端部位が、挿入端面の延在方向において、それぞれ斜めに且つ相補的形状に形成されていることを特徴とする。
【0006】
ところで、複数の工程を経て組み立てられる上記の基板アッセンブリにおいて、ベースプレートの挿入端面が各導通部に接していない状態で、一対のフィルム基板の貼り付け作業(接着工程)を行うと、導通部の先端部位がベースプレートの側面に突き当たって貼り付け作業がうまくいかなかったり、ベースプレートの挿入端面と張り付けたフィルム基板の導通部との間に間隙が生じてしまう等の不具合が生ずる。このため、ベースプレートの挿入端面を各導通部の先端部位に突き当て、この部分をガイドとして貼り付け作業を行うことが必要となる。しかし、このようにすると、一対の導通部の突出寸法を長くする必要があり、一対の導通部が微小間隙を存して対向するように一対のフィルム基板をベースプレートに貼着するためには、ベースプレートを必要以上に厚手に形成する必要がある。
上記の構成によれば、一対の導通部の先端部位をベースプレートの挿入端面の延在方向(長手方向)において、それぞれ斜めに且つ相補的形状に形成することで、各導通部を平面視台形に形成している。これにより、各導通部の幅広に形成された部位は、互いに内側に大きく入り込む形状となるため、各接着部と各基板本体との間隔を十分に取ることができ、且つベースプレートの挿入端面が各導通部に接触しガイド機能が損なわれることがない。すなわち、一対の導通部の先端部位におけるガイド機能を損なうことなく、一対の導通部の突出寸法の合計寸法を短くすることができ、その分、ベースプレートを薄手に形成することができる。したがって、基板アッセンブリ自体を小型化することができる。
【0007】
この場合、各接着部が、両面粘着テープで構成されていることが好ましい。
【0008】
この構成によれば、一対のフィルム基板(基板本体)をベースプレートに対し、簡単に且つ強固に接着することができる。
【0009】
また、この場合、各導通部は、先端部位に各フィルム基板を位置決めするための複数のアライメントマークを有していることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、一対のフィルム基板を正確に位置決めしつつ、ベースプレートに組み付けることができる。これにより、所定の精度で基板アッセンブリ製造することができる。
【0011】
本発明のインクジェットヘッドは、ヘッド駆動部に接続されたヘッド基板が、上記した、いずれかの基板アッセンブリで構成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、小型化した基板アッセンブリを用いた小型のインクジェットヘッドを構成することができる。
【0013】
この場合、ヘッド駆動部とヘッド基板とは、異方性導電接着剤により接続されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、小型化した基板アッセンブリであっても、ヘッド駆動部とヘッド基板とを簡単に且つ適切に接続することができ、従来技術のように、ワイヤボンディングを行う特殊な装置を必要としない。
【0015】
また、この場合、ヘッド駆動部が、複数の吐出ノズルに対応する複数の圧電素子であることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、小型化しつつ、従来通りの高精度な液滴吐出を行うことができる。
【0017】
本発明の基板アッセンブリの組立方法は、上記した基板アッセンブリの組立方法であって、一対のフィルム基板の各導通部を内向きに且つ所定の間隙を存して対向配置する配置工程と、間隙にベースプレートを相対的に挿入して、ベースプレートの挿入端面を一対の導通部の先端部位に突き当てる挿入工程と、対向配置した各導通部の複数のアライメントマークを画像認識し、その認識結果に基づいて、一対のフィルム基板を内側に寄せ各基板本体を各接着部に接着する接着工程と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明の基板アッセンブリの組立装置は、上記した基板アッセンブリの組立装置であって、各導通部が内向きとなるように一対のフィルム基板を対向配置した状態に保持すると共に、保持した一対のフィルム基板を互いに離接方向に移動させる配置・移動手段と、ベースプレートを保持すると共に、保持したベースプレートを間隙に相対的に挿入する挿入手段と、対向配置した各導通部の複数のアライメントマークを画像認識する画像認識手段と、配置・移動手段および挿入手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、一対のフィルム基板の各導通部を内向きに且つ所定の間隙を存して対向配置する配置動作と、間隙にベースプレートを相対的に挿入して、ベースプレートの挿入端面を一対の導通部の先端部位に突き当てる挿入動作と、対向配置した各導通部の複数のアライメントマークを画像認識し、その認識結果に基づいて、一対のフィルム基板を内側に寄せ各基板本体を各接着部に接着する接着動作と、を実施することを特徴とする。
【0019】
これらの構成によれば、ベースプレートを薄手に形成することができるため、基板アッセンブリを薄手に構成することができる。また、正確に位置決めした状態で、一対のフィルム基板をベースプレートに組み付けることができる。これにより、小型且つ高精度な基板アッセンブリを構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明のヘッド基板(基板アッセブリ)およびヘッド基板の組立方法を適用した組立装置について説明する。このヘッド基板は、一対の導通部を有する一対のCOF基板(フィルム基板)が対向するようにベースプレートの両面に貼着して構成されたものであり、インクジェットヘッドの吐出ノズルに対応する複数の圧電素子(ヘッド駆動部)に接続されるものである。そこで、先ず、インクジェットヘッドについて説明する。
【0021】
図1および図2に示すように、インクジェットヘッド1は、吐出ノズル16が穿設されたノズルプレート11と、複数の圧力室12aが形成された流路形成基板12と、圧電素子19を保護する保護基板13と、流路形成基板12および保護基板13に連通する共通室17を封止するシール基板14と、インクジェットヘッド1の外装を為すヘッドケース15と、を下側から順に積層して構成されている。また、このインクジェットヘッド1には、ヘッドケース15および保護基板13を貫通して流路形成基板12上に立設するように、ヘッド基板2が組み込まれている。ヘッド基板2は、圧電素子19を駆動させるための駆動回路25が実装された一対のCOF基板22(フィルム基板)を、ベースプレート21の両側面に接着されて成り、一対のCOF基板22の下部折曲げ部分(後述する導通部27)が、流路形成基板12上の電極(後述するリード電極18)に導通している。
【0022】
ノズルプレート11は、ステンレス等で形成され、流路形成基板12の一方の面に接着剤等によって接着されている。また、ノズルプレート11のノズル面には、複数の吐出ノズル16が等ピッチで穿設されており、複数の吐出ノズル16は、相互に平行に列設された2列のノズル列を構成している。
【0023】
流路形成基板12は、隔壁によって区画された複数の圧力室12aが、複数の吐出ノズル16に対応するように幅方向に相互に平行に2列並設されている。流路形成基板12の長手方向外側の領域には、図外の機能液供給装置から供給された機能液を貯留する共通室17が形成されており、各圧力室12aと共通室17とは、それぞれ供給路12bを介して連通している。なお、共通室17は、保護基板13と連通しており、ヘッドケース15に設けられた機能液導入口15aを介して機能液供給装置からの機能液の供給を受ける。
【0024】
保護基板13は、流路形成基板12側から順に、弾性膜13a、絶縁体膜13bを介して流路形成基板12に連結されている。絶縁体膜13b上には、複数の圧力室12aに対応する数の圧電素子19が形成されており、保護基板13には、厚さ方向に貫通する貫通孔13cが形成されると共に、各圧電素子19を収容するための機構部13dが内側に凹設されている。各圧電素子19には、リード電極18の一方の端部が接続されており、リード電極18の他方の端部は、貫通孔13c内に露出するように延設している。このリード電極18の他方の端部には、上記したヘッド基板2(正確には各COF基板22の導通部27)が接続されるようになっている。そして、圧電素子19に電圧を印加して絶縁体膜13b(および弾性膜13a)を変形させることで、圧力室12aの体積変化を利用して共通室17から機能液を導入すると共に、吐出ノズル16から機能液滴を吐出する。
【0025】
ヘッドケース15は、保護基板13側から順に、封止膜14a、固定板14bとから成るシール基板14を介して保護基板13に連結されている。この封止膜14aによってのみ共通室17が封止されている。ヘッドケース15には、保護基板13に設けられた貫通孔13cと連通するヘッド基板保持孔15bが設けられており、ヘッド基板2は、ヘッド基板保持孔15b内に挿通されて接着剤(異方性導電ペースト)を介してリード電極18と接続されている。
【0026】
次に、図2および図3を参照して、ヘッド基板2(基板アッセンブリ)について説明する。ヘッド基板2は、上記したように、ステンレス製の板状部材であるベースプレート21と、ベースプレート21の両側面に貼付された一対のCOF基板22(Chip On Film)と、から構成されている。ベースプレート21は、詳細は図示しないが、略方形のステンレス板の中間上部に凹状の切欠き部を形成したものであり、ヘッド基板2をリード電極18に接続する際に、この切欠き部の部分で、ヘッド基板2を押圧するようになっている。
【0027】
各COF基板22は、圧電素子19を駆動させるための駆動回路25と、駆動回路25が実装されると共に、ベースプレート21に接着される平板状の基板本体26と、基板本体26から「L」字状に屈曲する(折り曲げて形成した)導通部27と、を備えている。一対のCOF基板22は、各導通部27の先端部位が内向きに対峙するように、且つベースプレート21の下端面に沿うように配置されており、ベースプレート21の両側側面に両面粘着テープ23によって貼付されている。そして、一対の導通部27は、流路形成基板12上に突き当てられ、接着剤を介してリード電極18に接続されている。
【0028】
一対の導通部27の先端部位は、ベースプレート21の挿入端面24の延在方向(長手方向)において、それぞれ斜めに且つ相補的形状に形成されている(図3(c)および(d)の底面参照)。また、基板本体26の長手方向、両端部位には、後述する各保持アーム52に突設された一対のCOFセットピン55に係合する一対のCOFセット孔28が形成されており(いずれも図5参照)、各導通部27の長手方向、両先端部位には、各COF基板22を位置決めするための複数(各2つ)のアライメントマークMが形成されている。
【0029】
ここで、ヘッド基板2の組立手順について簡単に説明する。先ず、相互の導通部27を内向きにして一対のCOF基板22を対向配置し(図3(a)参照)、各COF基板22の間隙にベースプレート21を相対的に挿入する(図3(b)参照)。そして、ベースプレート21の挿入端面24を一対の導通部27の先端部位に突き当てた状態で(図3(c)参照)、各COF基板22を内側(ベースプレート21側)に寄せて各基板本体26を各両面粘着テープ23に接着する(図3(d)参照)。これにより、一対の導通部27の先端面が微小な間隙を存して対向するように一対のCOF基板22がベースプレート21に組み付けられたヘッド基板2が完成する。
【0030】
上記のように、一対の導通部27は、各COF基板22の貼り付け時(接着時)に、ガイドとしての役割を担っている。このため、ベースプレート21の各両面粘着テープ23と各基板本体26とが接触しない間隙を設けつつ、挿入端面24を各導通部27の先端部位に突き当てるためには、各導通部27を、この間隙とガイドなる部分を加味した寸法とする必要があり、ベースプレート21を厚手な構成しないと、これに組み付けた一対のCOF基板22の導通部27同士が接触してしまうことになる。
【0031】
そこで、本実施形態では、一対の導通部27の先端部位は、ベースプレート21の挿入端面24の延在方向(長手方向)において、それぞれ斜めに且つ相補的形状に形成することで右問題を解決している。具体的には、各導通部27は、長手方向において、一方の幅を狭く、他方の幅を広くして、平面視台形に形成し、各COF基板22は、一対の導通部27を、幅が狭い側と広い側とが互いに向き合うように配置されている(図3(c)の底面参照)。そして、一対の各COF基板22は、一対の導通部27の先端面が、長手方向、斜めに微小な間隙を存してベースプレート21に貼り合わされる(図3(d)の底面参照)。すなわち、一対の導通部27の突出寸法の合計寸法を小さくしたとしても、幅広に形成された側の導通部27が、ベースプレート21の中心側に入り込んだ位置に配置されるため、ガイド機能が損なわれることがなく、また、各両面粘着テープ23と各基板本体26との間隔を十分に開けることができ、且つベースプレート21の挿入端面24が確実に接触することとなる。これにより、ベースプレート21を薄く形成することができるため、ヘッド基板2を小型化することができる。
【0032】
次に、図4ないし図7を参照して、ヘッド基板2の組立装置3について説明する。組立装置3は、一対のCOF基板22を保持する基板組込み部30と、ベースプレート21を保持するプレート組込み部31と、基板組込み部30に併設した画像認識部32(画像認識手段)と、組立装置3全体を統括制御する制御部33(制御手段)と、から構成されている。
【0033】
図4に示すように、基板組込み部30は、対向配置した一対のCOF基板22を互いに離接させる幅寄せ機構34(配置・移動手段)と、幅寄せ機構34をY軸方向にスライド自在に支持するY軸移動機構35と、幅寄せ機構34およびY軸移動機構35を載置する機台36と、を備えている。
【0034】
図5に示すように、幅寄せ機構34は、相互の導通部27を内向きにして一対のCOF基板22を対向配置する(セットする)一対の幅寄せアーム部41と、幅寄せアーム部41をX軸方向にスライド自在に支持する一対のX軸ガイドレール42と、X軸ガイドレール42を介して一対の幅寄せアーム部41をセンターリング動作させるX軸機構部43と、X軸機構部43を駆動するX軸モーター44と、を備えている。
【0035】
幅寄せアーム部41は、一対のX軸ガイドレール42にスライド自在に係合する一対のX軸スライドアーム51と、相互の導通部27を内向きにして一対のCOF基板22を対向配置する一対の保持アーム52と、保持アーム52の一方をY軸方向に移動させる微調機構53と、を備えている。
【0036】
一対のX軸スライドアーム51は、X軸方向に並ぶように配設され、一対のX軸ガイドレール42上を横断するように延在している。各X軸スライドアーム51は、その裏面に設けられた一対のX軸スライダー54により、各X軸ガイドレール42にスライド自在に係合している。
【0037】
一対の保持アーム52は、それぞれ直方体に形成された部材であり、各保持アーム52は、長手方向、一方の部位が、X軸ガイドレール42から突き出すように延びた各X軸スライドアーム51の端部位に固定されている。各保持アーム52は、他方の端面を、相互に対向するように配置されており、各保持アーム52の対向する端面には、真空吸引装置(図示省略)に連通する複数の吸引孔(図示省略)が形成されている。また、各保持アーム52の対向する端面には、上記のCOF基板22(基板本体26)に形成された一対のCOFセット孔28に係合する一対のCOFセットピン55が突設されている。本実施形態では、この各COFセットピン55に各COFセット孔28を係合させることにより、位置決めされた状態で仮固定することができる。そして、真空吸引装置を駆動させ、複数の吸引孔を介して各COF基板22(の基板本体26)に吸引力を作用させることにより、各保持アーム52にCOF基板22を安定保持できるようになっている。
【0038】
微調機構53は、操作摘み56を手動で回転操作することで、一方の保持アーム52を基準として、他方の保持アーム52をY軸方向に微小に移動させ、一対のCOF基板22のY軸方向の位置ズレを調整するものである。これにより、真空吸着セットした一対のCOF基板22の高精度なアライメント(位置決め)をすることができる。
【0039】
X軸モーター44は、ステッピングモーター等で構成されており、正転することで、X軸機構部43を介して一対の幅寄せアーム部41を接触する方向に移動させ、COF基板22を相互に内向き方向に寄せる。また、逆転することにより、X軸機構部43を介して一対の幅寄せアーム部41を離反する方向に移動させ、COF基板22を相互に外向き方向に引き離す。なお、X軸モーター44およびX軸機構部43に代えて、リニアモーターを用いるようにしてもよい。
【0040】
図4に示すように、Y軸移動機構35は、幅寄せ機構34を搭載したY軸テーブル45(ステッピングモーター等)と、Y軸テーブル45をY軸方向にスライド自在に支持する一対のY軸ガイドレール46と、Y軸ガイドレール46を介してY軸テーブル45をY軸方向に移動させるY軸機構部47と、Y軸機構部47を駆動するY軸モーター48と、を備えている。このY軸移動機構35は、幅寄せ機構34を、一対のCOF基板22の給材位置A1(図4では手前側)とアライメント位置A2(図4では奥側)との間で往復移動させる。
【0041】
一対のY軸ガイドレール46の間の機台36上には、画像認識部32が有する一対のCCDカメラ70(後述)がY軸方向に並ぶように固定的に配設されており、Y軸テーブル45には、一対のCCDカメラ70が臨むカメラ開口49が形成されている。
【0042】
この基板組込み部30は、一対の保持アーム52に保持された一対のCOF基板22を一対のCCDカメラ70が臨むカメラ開口49上に移動させる。そして、各導通部27に形成されたアライメントマークMの画像認識結果から、一対のCOF基板22は、Y軸方向の位置決め(アライメント)がなされる。その後、幅寄せ機構34により、各COF基板22はセンターリングされ、一対のCOF基板22の間に挿入されたベースプレート21に対して接着される。
【0043】
図6に示すように、プレート組込み部31は、ベースプレート21を保持するプレート挟持機構37と、プレート挟持機構37をZ軸方向にスライド自在に支持するZ軸移動機構38と、プレート挟持機構37およびZ軸移動機構38を、基板組込み部の上方に支持するブラケット架台39と、を備えている。
【0044】
プレート挟持機構37は、ベースプレート21の長手方向両側から挟み込むようにして保持する挟持アーム部61と、挟持アーム部61をY軸方向にスライド自在に支持する一対のY軸アームガイドレール62と、Y軸アームガイドレール62を介して挟持アーム部61を直動させるY軸シリンダーユニット63と、を備えている。
【0045】
挟持アーム部61は、一対のY軸アームガイドレール62にスライド自在に係合する一対のY軸スライドアーム64と、各Y軸スライドアーム64の下端部において突設した挟持アーム本体65と、挟持アーム本体65の自由端部から相互に対向するように突設した挟持部66と、を備えている。
【0046】
一対のY軸スライドアーム64は、Y軸方向に並ぶように配設され、その上方は、一対のY軸アームガイドレール62上を横断するように延在している。各Y軸スライドアーム64は、その裏面に設けられた一対のY軸スライダーにより、各Y軸アームガイドレール62にスライド自在に係合している。各挟持部66は、ベースプレート21の長手方向、両側面(コバ部分)に、それぞれ接してベースプレート21を挟持している。
【0047】
一対のY軸シリンダーユニット63は、図外のエアー供給装置から供給されたエアーにより駆動される復動のエアーシリンダーで構成されている。
【0048】
このプレート挟持機構37は、幅寄せ機構34と同様に、各挟持アーム61を中心に向かって離接自在に移動させるセンターリング機構で構成されている。この一対のY軸シリンダーユニット63により、各挟持アーム61(挟持部66)を内側に寄せて、ベースプレート21の長手方向両側面(コバ部分)を挟んで、ベースプレート21を横向き鉛直姿勢に保持する。
【0049】
Z軸移動機構38は、プレート挟持機構37を搭載したZ軸テーブル68と、Z軸テーブル68をZ軸方向にスライド自在に支持する一対のZ軸ガイドレール67と、Z軸ガイドレール67を介してZ軸テーブル68を直動させるZ軸シリンダーユニット69と、を備えている。
【0050】
Z軸シリンダーユニット69は、上記した各Y軸シリンダーユニット63と同様に、エアー供給装置から供給されたエアーにより駆動される復動のエアーシリンダーで構成されている。なお、エアーシリンダーに代えて、ステッピングモーターやリニアモーター等を用いるようにしてもよい。詳細は後述するが、このプレート組込み部31は、Z軸シリンダーユニット69を駆動することで、プレート挟持機構37により挟持したベースプレート21をZ軸方向に移動させ、幅寄せ機構34に所定の間隙を存してセットした一対のCOF基板22相互の間隙に挿入する。
【0051】
図4に示すように、画像認識部32は、一対のCCDカメラ70であり、上記したように、一対のY軸ガイドレール46の間にY軸方向に並んで配設されており、Y軸テーブル45のカメラ開口49に臨む一対のCOF基板22のアライメントマークMを撮像する。なお、各画像認識部32は、CCDカメラ70に限られたものではなく、CMOSカメラ等、他の撮像方式の撮像手段を用いてもよい。
【0052】
図7に示すように、制御部33は、パーソナルコンピュータ(PC)で構成されており(図4参照)、組立装置3全体を統括制御するものであり、制御部33は、キーボード等の入力デバイス71を用いてユーザーからの各種パラメーターの入力を受けると共に、ディスプレイ72やスピーカー73等の出力手段により組立装置3の状態をユーザーに提示(報知)する。制御部33には、各部30,31,32を接続するためのインタフェース74と、一時的に記憶可能な記憶領域を有し、制御処理のための作業領域として使用されるRAM75と、各種記憶領域を有し、制御プログラムや制御データを記憶するROM76と、各手段からの各種データ等を記憶すると共に、各種データを処理するためのプログラム等を記憶するHDD77と、ROM76やHDD77に記憶されたプログラム等に従い、各種データを演算処理するCPU78と、これらを互いに接続するバス79と、が備えられている。
【0053】
次に、図8を参照して、この組立装置3を用いたヘッド基板2の組立方法について説明する。このヘッド基板2の組立方法は、一対のCOF基板22の各導通部27を内向きに且つ所定の間隙を存して対向配置する配置工程S1と、その間隙にベースプレート21を相対的に挿入して、ベースプレート21の挿入端面24を一対の導通部27の先端部位に突き当てる挿入工程S2と、対向配置した各導通部27の複数のアライメントマークMを画像認識し、その認識結果に基づいて一対のCOF基板22を内側に寄せて、各基板本体26を各両面粘着テープ23に接着する接着工程S3と、に大分される。配置工程S1および接着工程S3では、基板組込み部30が、挿入工程S2では、プレート組込み部31が用いられる。なお、以下の説明では、プレート組込み部31のプレート挟持機構37には、ベースプレート21が、既に挟持されているものとする。
【0054】
先ず、ユーザーは、Y軸移動機構35を駆動させ、幅寄せ機構34を給材位置A1に移動させる。そして、各導通部27が下側になるように、且つ相互に内側を向くようにして、COF基板22をCOFセットピン55に仮固定した後に、真空吸引装置を駆動させて一対のCOF基板22を真空吸着セットする(配置工程S1)。この際、給材位置A1において、仮固定作業を行い易いように、各保持アーム52を広く離した状態で行うことが好ましい。
【0055】
COF基板22を真空吸着セットした後に、Y軸移動機構35を駆動させ、幅寄せ機構34をアライメント位置A2に移動させる。そして、幅寄せ機構34を駆動させ、各COF基板22を所定の間隙を構成するように移動させる。この間隙の大きさは、後の挿入工程S2においてベースプレート21を挿入した際に、ベースプレート21の両側面に貼付した両面粘着テープ23が、COF基板22に接触しない間隙を存している。なお、この間隙は、ベースプレート21の厚みおよび導通部27の最大幅によって異なるため、予め計算により求めておき、制御部33に入力デバイス71を介してパラメーターとして入力されているものとする。
【0056】
次に、Z軸移動機構38を駆動させ、挟持されたベースプレート21をZ軸方向に移動させ、一対のCOF基板22が形成する間隙に挿入する(挿入工程S2)。この挿入工程S2でのZ軸方向の移動距離は予め設定されており、設定された距離だけ移動することによって、ベースプレート21の挿入端面24が、導通部27に接触するようになっている。
【0057】
ベースプレート21の挿入端面24が、各導通部27に接触した後、ユーザーは、ディスプレイ72に表示された各導通部27のアライメントマークMを確認しながら微調機構53を操作して、各COF基板22相互のY軸方向の位置ズレを補正(アライメント)する。なお、制御部33が自動で行うようにしてもよい。
【0058】
アライメントが終了した後、幅寄せ機構34を駆動して、挿入されたベースプレート21に対して両側面方向から挟み込むように各COF基板22を移動させ、各基板本体26を各両面粘着テープ23に接着する(接着工程S3)。そして、制御部33は、各COF基板22をベースプレート21に貼り合わせた後に、互いのCOF基板22のY軸方向のズレが所定の範囲内であるか否かを判定する。なお、ズレの許容範囲は、予め制御部33に入力デバイス71を介してパラメーターとして入力されているものとする。
【0059】
以上の構成によれば、一対の導通部27の先端部位をベースプレート21の挿入端面24の延在方向(長手方向)において、それぞれ斜めに且つ相補的形状に形成しているため、各両面粘着テープ23と各基板本体26との間隔を十分に取ることができ、且つベースプレート21の挿入端面24が各導通部27に接触し易くなる。したがって、各導通部27の接触部分を確保しつつ、ヘッド基板2を小型化することができる。もって、これを用いたインクジェットヘッド1の小型化も可能となる。また、本実施形態のインクジェットヘッド1では、小型化したヘッド基板2と各圧電素子19(リード電極18)とが、接着剤(異方性導電ペースト)により、簡単に且つ適切に接続されているため、接続部分が短絡して駆動回路25が破壊される等の問題を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施形態に係るインクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図2】本実施形態に係るインクジェットヘッドの断面図である。
【図3】本実施形態に係るヘッド基板の組立手順について説明する側面図および底面図である。
【図4】本実施形態に係る組立装置の斜視図である。
【図5】組立装置の基板組込み部の斜視図である。
【図6】組立装置のプレート組込み部の斜視図である。
【図7】組立装置の制御部のブロック図である。
【図8】ヘッド基板の組立方法について説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1:インクジェットヘッド、2:ヘッド基板、19:圧電素子、21:ベースプレート、22:COF基板、23:両面粘着テープ、26:基板本体、27:導通部、M:アライメントマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面にそれぞれ接着部を有するベースプレートと、平板状の基板本体および前記基板本体から「L」字状に屈曲する導通部から成る一対のフィルム基板と、を備え、
相互の前記導通部を内向きに且つ所定の間隙を存して前記一対のフィルム基板を対向配置する配置工程と、前記間隙に前記ベースプレートを相対的に挿入して、前記ベースプレートの挿入端面を前記一対の導通部の先端部位に突き当てる挿入工程と、前記一対のフィルム基板を内側に寄せて前記各基板本体を前記各接着部に接着する接着工程と、を経て、前記一対の導通部の先端面が微小間隙を存して対向するように前記一対のフィルム基板が前記ベースプレートに組み付けられた基板アッセンブリであって、
前記一対の導通部の先端部位が、前記挿入端面の延在方向において、それぞれ斜めに且つ相補的形状に形成されていることを特徴とする基板アッセンブリ。
【請求項2】
前記各接着部が、両面粘着テープで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の基板アッセンブリ。
【請求項3】
前記各導通部は、前記先端部位に前記各フィルム基板を位置決めするための複数のアライメントマークを有していることを特徴とする請求項1または2に記載の基板アッセンブリ。
【請求項4】
ヘッド駆動部に接続されたヘッド基板が、請求項1ないし3のいずれかに記載の基板アッセンブリで構成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記ヘッド駆動部と前記ヘッド基板とは、異方性導電接着剤により接続されていることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
前記ヘッド駆動部が、複数の吐出ノズルに対応する複数の圧電素子であることを特徴とする請求項4または5に記載のインクジェットヘッド。
【請求項7】
請求項3に記載の基板アッセンブリの組立方法であって、
前記一対のフィルム基板の前記各導通部を内向きに且つ所定の間隙を存して対向配置する配置工程と、
前記間隙に前記ベースプレートを相対的に挿入して、前記ベースプレートの挿入端面を前記一対の導通部の先端部位に突き当てる挿入工程と、
対向配置した前記各導通部の前記複数のアライメントマークを画像認識し、その認識結果に基づいて、前記一対のフィルム基板を内側に寄せ前記各基板本体を前記各接着部に接着する接着工程と、を備えたことを特徴とする基板アッセンブリの組立方法。
【請求項8】
請求項3に記載の基板アッセンブリの組立装置であって、
前記各導通部が内向きとなるように前記一対のフィルム基板を対向配置した状態に保持すると共に、保持した前記一対のフィルム基板を互いに離接方向に移動させる配置・移動手段と、
前記ベースプレートを保持すると共に、保持した前記ベースプレートを前記間隙に相対的に挿入する挿入手段と、
対向配置した前記各導通部の前記複数のアライメントマークを画像認識する画像認識手段と、
前記配置・移動手段および前記挿入手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記一対のフィルム基板の前記各導通部を内向きに且つ所定の間隙を存して対向配置する配置動作と、前記間隙に前記ベースプレートを相対的に挿入して、前記ベースプレートの挿入端面を前記一対の導通部の先端部位に突き当てる挿入動作と、対向配置した前記各導通部の前記複数のアライメントマークを画像認識し、その認識結果に基づいて、前記一対のフィルム基板を内側に寄せ前記各基板本体を前記各接着部に接着する接着動作と、を実施することを特徴とする基板アッセンブリの組立装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−137514(P2010−137514A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318653(P2008−318653)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】