説明

基板メーカ品質評価システム

【課題】 少ない時間、工数で総合的、定量的、かつ相対的に判断できる基板メーカ品質評価システムを提供する。
【解決手段】 制御部11が、不良内容に対する発生頻度、影響度、発見難易度、危険係数を基に基板メーカ毎に評点を演算し、当該評点に対応する等級を決定すると共に、特定の等級で選択された工程管理項目に評価点を付与し、当該評価点の平均値を算出し、当該平均値、記憶部12に記憶された書類審査項目の数値、管理体制項目の数値、技術力項目の数値に基づいて工程審査評価値Q2を演算し、基板メーカ毎に実績評価値Q1、工程審査評価値Q2、不良率評価値Q3を基に総合評価値QALLを演算する基板メーカ品質評価システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板メーカの選定において各基板メーカの品質を評価する基板メーカ品質評価システムに係り、特に、少ない時間、工数で総合的に判断できる基板メーカ品質評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来、プリント基板及び基板メーカの品質評価は、セットメーカ等が購買メーカを検討する際に行われてきた。
その場合、ISO9000シリーズの項目等の基板に特化しない総合品質管理評価や価格、実績等を相対的に判断することが主に行われていた。
若しくは、仕様を確定し、当該仕様に対して基板に特化した品質レベルを評価することもあった。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2000−277888号公報「プリント基板の製造方法」(株式会社日立国際電気)[特許文献1]がある。
特許文献1は、プリント基板の製造方法に関するものであるが、このように製造されるプリント基板のメーカを効率的に総合的に評価する方法が提供されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−277888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の品質評価方法では、様々な仕様に対してどのメーカが適しているのか、全体の指標を出すのが難しく、総合的、定量的、かつ相対的に評価するには、非常に時間、工数が掛かるという問題点があった。つまり、一点一様の評価結果となるのが現状であった。
そのため、技術力や価格等の他に重要なファクターによりメーカが決定されることが多かった。
【0006】
また、基板メーカが自社の品質改善を行う際に、同様の検討が為されるが、その場合、改善のために詳細なプロセスの分析と要因解析は行われるが、一般的なレベルの指標がなく、相対的な評価が為されていないという問題点があった。
【0007】
また、昨今、価格競争が激化しており、海外サプライヤの検討の必要性が高まっている。その際の品質確保は、国内メーカに比べ、不良内容の質の違い等、非常に難しい問題がある。
更に、継続して取引のあるメーカでも新たな仕様の技術的課題がある製品の場合、定量的かつ有効な審査方法がないのが現状である。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、少ない時間、工数で総合的、定量的、かつ相対的に判断できる基板メーカ品質評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、基板メーカの品質を評価する基板メーカ品質評価システムであって、基板メーカ毎に実績評価値Q1、不良率評価値Q3、書類審査項目の数値、管理体制項目の数値、技術力項目の数値を記憶すると共に、基板メーカ毎に工程管理項目の不良内容について発生頻度の情報、影響度の情報、発見難易度の情報、危険係数を記憶する記憶部と、処理プログラムの動作によって実現される処理手段として、記憶部に記憶された、不良内容に対する発生頻度の情報、影響度の情報、発見難易度の情報、危険係数を基に基板メーカ毎に評点を演算し、当該評点に対応する等級を決定すると共に、特定の等級で選択された工程管理項目に評価点を付与し、当該評価点の平均値を算出し、当該平均値、記憶部に記憶された書類審査項目の数値、管理体制項目の数値、技術力項目の数値に基づいて工程審査評価値Q2を演算して記憶部に記憶する工程審査評価値演算手段と、基板メーカ毎に記憶部から実績評価値Q1、工程審査評価値Q2、不良率評価値Q3を取得する評価値取得手段と、基板メーカ毎に実績評価値Q1、工程審査評価値Q2、不良率評価値Q3を基に総合評価値QALLを演算する総合評価値演算手段とを備える制御部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、制御部が、工程審査評価値取得手段により、不良内容に対する発生頻度の情報、影響度の情報、発見難易度の情報、危険係数を基に基板メーカ毎に評点を演算し、当該評点に対応する等級を決定すると共に、特定の等級で選択された工程管理項目に評価点を付与し、当該評価点の平均値を算出し、当該平均値、記憶部に記憶された書類審査項目の数値、管理体制項目の数値、技術力項目の数値に基づいて工程審査評価値Q2を演算し、評価値取得手段により、基板メーカ毎に記憶部から実績評価値Q1、工程審査評価値Q2、不良率評価値Q3を取得し、総合評価値演算手段により、基板メーカ毎に実績評価値Q1、工程審査評価値Q2、不良率評価値Q3を基に総合評価値QALLを演算する基板メーカ品質評価システムとしているので、少ない時間、工数で総合的、定量的、かつ相対的に判断できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板メーカ品質評価システムの構成ブロック図である。
【図2】評価判定基準の例を示す図である。
【図3】総合判定項目の記憶部の概略構成図である。
【図4】総合判定処理のフローチャートである。
【図5】工程管理項目評価指標を示す概略図である。
【図6】工程管理評価項目決定処理を示すフローチャートである。
【図7】工程管理評価項目決定評価例を示す図である。
【図8】工程審査値決定処理のフローチャートである。
【図9】選択工程管理項目評価例を示す図である。
【図10】工程審査値評価例を示す図である。
【図11】総合判定値評価例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る基板メーカ品質評価システムは、基板メーカを総合的、定量的、かつ相対的に品質評価を行うものであり、大項目として、実績値、工程、工程審査値、不良率値について各々定量化指標が与えられた上で、各項目に各々重要度を乗じた計算で総合値を算出し、その数値を総合5段階評価としてレベル分けして評価を行うものである。
【0013】
更に、大項目のうち、工程審査値は、各プロセスの評価値から成り、各プロセスの評価値は、工程審査重要度決定係数の発生要因の発生頻度、影響度、発見難易度、危険係数から決定された重要度により項目が決定される。そのいずれも定量化指標を与えた数値である。
また、工程審査重要度決定係数は、人的要因、装置要因、材料要因、方法要因、測定要因を考慮して決定される。
詳細は、後述する。
【0014】
[基板メーカ品質評価システム:図1]
本発明の実施の形態に係る基板メーカ品質評価システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る基板メーカ品質評価システムの構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る基板メーカ品質評価システム(本システム)は、図1に示すように、処理装置1と、表示部2と、入力部3とを基本的に有している。
処理装置1は、コンピュータで構成され、基本的に制御部11と、記憶部12と、インタフェース部13とを有している。
【0015】
[本システムの各部]
本システムの各部について具体的に説明する。
制御部11は、処理プログラムを読み込んで、後述する処理を実現する。
記憶部12は、図3及び図5に示す項目の記憶部を備えている。
インタフェース部13は、処理装置1を外部のネットワーク、表示部2、入力部3に接続するものである。
【0016】
表示部2は、処理のプロセス内容、処理結果を表示する表示装置である。
入力部3は、処理の指示を入力するもので、キーボード、マウス等の入力装置である。
尚、図3及び図5に示す記憶部を外部に設け、インタフェース部13を介して接続するようにしてもよい。
【0017】
また、処理装置1を処理サーバとし、表示部と入力部を備える端末装置がネットワークを介して処理サーバに接続するネットワークシステムとし、処理サーバで処理を実行し、端末装置で指示の入力と処理内容の表示を行う形態であってもよい。
【0018】
[評価判定基準例:図2]
次に、本発明の実施の形態に係る評価判定基準例について図2を参照しながら説明する。図2は、評価判定基準の例を示す図である。
図2に示すように、項目として、Q1が実績評価値、Q2が工程審査評価値(工程審査値)、Q3が不良率評価値である。そして、各項目について5段階にレベル分けされ、点数として1〜5点が付与されるようになっている。当然、点数が高い方が高い評価となっている。
【0019】
実績評価値Q1は、取引の実績を評価するもので、5点が「自社取引5年以上」、4点が「自社取引3年以上」、3点が「自社G取引のみ」、2点が「自社G含め取引なし」、1点が「新規企業」となっている。
尚、「自社G」とは、「自社を含めたグループ会社、関連会社」の意味である。
【0020】
工程審査値Q2は、工程の状況を評価するもので、5点が「業界TOPクラス」、4点が「特色あり」、3点が「標準」、2点が「改善要求」、1点が「認定不可」となっている。
【0021】
不良率評価値Q3は、不良発生の状況を評価するもので、5点が「3年不具合なし」、4点が「1年不具合なし」、3点が「軽微不具合(1件以内/年)のみ」、2点が「軽微不具合(2件以内/年)もしくは対応悪い」、1点が「重欠点による不具合あり」となっている。
【0022】
[総合判定項目の記憶部の構成:図3]
次に、本システムの記憶部12における総合判定項目を記憶する構成について図3を参照しながら説明する。図3は、総合判定項目の記憶部の概略構成図である。
図3に示すように、記憶部12には、総合判定項目を記憶する構成として、実績評価値Q1記憶部121と、工程審査値Q2記憶部122と、不良率評価値Q3記億部123とを備えている。
【0023】
尚、説明を分かりやすくするために、各値を記憶する記憶部を分離しているが、分離せずに記憶部12に各値をテーブル状で記憶させるようにしてもよい。この場合、基板メーカの識別子(ID)に関連付けて各値を記憶するようにする。
【0024】
実績評価値Q1記憶部121は、図2に示した実績評価値Q1を基板メーカ(基板メーカID)毎に記憶する。
工程審査値Q2記憶部122は、図2に示した工程審査値Q2を基板メーカ(基板メーカID)毎に記憶する。
不良率評価値Q3記億部123は、図2に示した不良率評価値Q3を基板メーカ(基板メーカID)毎に記憶する。
【0025】
[工程審査値Q2記億部122]
そして、工程審査値Q2記億部122について具体的に説明する。
工程審査値Q2記億部122は、基板メーカ(基板メーカID)毎に工程審査値Q2を記憶すると共に、工程管理項目記憶部122aと、書類審査項目記憶部122bと、品質体制項目記憶部122cと、技術力項目記憶部122dとを備えている。
図3では、スペースの関係から各記憶部122a〜122dと工程審査値Q2記億部122を別個に描画しているが、本来は、各記憶部122a〜122dは、工程審査値Q2記億部122に含まれている。但し、工程審査値Q2記億部122と各記憶部122a〜122dを別構成としてもよい。
【0026】
[各記憶部122a〜122d]
工程管理項目記憶部122aは、不良に関連する情報(不良の発生頻度、不良の影響度、不良要因の発見難易度、危険係数)を基板メーカ(基板メーカID)毎に記憶する。詳細は後述する。
書類審査項目記憶部122bは、基板メーカID毎に書類審査項目の数値(書類審査値)を記憶する。
品質体制項目記憶部122cは、基板メーカID毎に品質体制項目の数値を記憶する。
技術力項目記憶部122dは、基板メーカID毎に技術力項目の数値を記憶する。
【0027】
[総合判定フロー:図4]
次に、本システムの制御部11で実現される総合判定処理について図4を参照しながら説明する。図4は、総合判定処理のフローチャートである。
制御部11は、基板メーカIDに基づいて実績評価値Q1記憶部121から実績評価値Q1を取得し(S1)、工程審査値Q2記億部122から工程審査評価値Q2を取得し(S2)、不良率評価値Q3記億部123から不良率評価値Q3を取得し(S3)、実績評価値Q1、工程審査評価値Q2及び不良率評価値Q3に基づいて総合評価値(総合判定値)を算出し、総合判定を行う(S4)。
【0028】
尚、処理S1は実績評価値取得手段により、処理S2は工程審査評価値取得手段により、処理S3は不良率評価値取得手段により、処理S4は総合評価値演算手段により実行される。処理S1〜S3の各評価値取得手段を、まとめて評価値取得手段と呼ぶことがある。
【0029】
総合評価値は、各値Q1〜Q3に対して各々重要度を加味して算出される。
Q1〜Q3の各評価値は、定量化されており、例えば、実績評価値Q1は、図2に示すように、取引実績年数等の数値化された指標を含み、定量化されている。工程審査評価値Q2及び不良率評価値Q3についても数値化された指標を含み、定量化されている。
【0030】
また、総合評価値QALLは、各評価値が5段階評価の場合、例えば、次式で算出される。
ALL =[1.5*Q1+{3+(Q2−3)*10}+Q3]÷3
上記式は、例えば、これまでの実績から調整して求めたものである。
【0031】
[工程管理項目記憶部122a:図5]
次に、工程管理項目記憶部122aについて図5を参照しながら説明する。図5は、工程管理項目評価指標を示す概略図である。
工程管理項目記憶部122aは、工程別の機能、各工程に対する故障モード、故障モードに対する項目、項目に対する不良内容、不良内容に対する推定要因、推定要因に対する5M種類、推定要因に対する等級別の防止方法等を記憶すると共に、図5に示すように、不良の発生頻度記憶部122a1と、不良の影響度記憶部122a2と、不良要因の発見難易度記憶部122a3と、危険係数記憶部122a4とを備えている。
【0032】
[工程管理項目記憶部122aの各記憶部]
不良の発生頻度記憶部122a1は、不良の発生頻度の数値を基板メーカID毎に記憶している。
不良の影響度記憶部122a2は、発生した不良の影響度の数値を基板メーカID毎に記憶している。
不良要因の発見難易度記憶部122a3は、発生した不良について不良要因の発見難易度の数値を基板メーカID毎に記憶している。
危険係数記憶部122a4は、不良発生に関する危険係数の数値を基板メーカID毎に記憶している。
【0033】
[工程管理評価項目決定フロー:図6]
次に、工程管理評価項目決定処理フローについて図6を参照しながら説明する。図6は、工程管理評価項目決定処理を示すフローチャートである。
処理装置1の制御部11は、処理プログラムを読み込んで工程管理評価項目決定処理を開始し、工程管理項目記憶部122aから必要なデータを読み取って、工程別にその機能を定義し(S11)、各工程で発生する不良の故障モードを定義する(S12)。
後述する図7を例にすると、工程「デスミア加工」について機能「接続部のスミアを削除する」を定義し、更に、故障モード「スミア残渣」を定義する。
【0034】
次に、故障モードに対して具体的な不具合の内容、推定要因を挙げる(S13)。そして、各要因に対して5M(人、機会、材料、方法、測定)の、どの側面に関係するのか分別する(S14)。更に、5M要因を加味し、不良の評価指標の発生頻度を評価する(S15)。
【0035】
図7の例では、6つの不良内容について17個の推定要因(推定原因)が定義され、各推定要因に5Mの分類を行い、基板メーカIDに基づいて不良内容に対して不良の発生頻度記憶部122a1から不良の影響における発生頻度を読み込む。
【0036】
具体的には、工程管理項目記憶部122aには、不良内容に対応付けて推定要因と5M種類が記憶されているので、制御部11は、工程管理項目記憶部122aから必要な情報を読み込むようになっている。
【0037】
次に、定義した不良の工程の機能に対する影響度を評価し(S16)、不良が発生した場合の不良要因の発見難易度を評価し(S17)、その作業の3H(初めて、変化、久しぶり度)を評価する(S18)。3Hの度合は、不具合の発生確率の指標となり、危険係数を示すものである。
【0038】
具体的には、制御部11は、基板メーカIDに基づいて、不良の影響度記憶部122a2から影響度を読み込み、不良要因の発見難易度記憶部122a3から不良要因の発見難易度を読み込み、危険係数記憶部122a4から危険係数(3H)を読み込む。
【0039】
そして、制御部11は、発生頻度、影響度、発見難易度、3H度により総合点(評点)を計算する(S19)。
この計算値により、チェックすべき工程や、その注意すべき不良発生要因の取捨選択が可能となる。
【0040】
[工程管理評価項目決定評価例:図7]
工程管理評価項目決定評価例について図7を参照しながら説明する。図7は、工程管理評価項目決定評価例を示す図である。
図7の工程管理評価項目決定評価例では、工程管理項目として、「機能」「工程」「故障モード」「項目」「不良内容」「推定原因」「5M種類」「不良の影響」「等級」「防止方法」がある。
【0041】
尚、図7の工程管理評価項目決定評価例は、図6の工程管理評価項目決定処理フローにより工程管理評価項目決定評価テーブルとして工程管理項目記憶部122aに生成されるものである。
図7における「機能」「工程」「故障モード」「項目」「不良内容」「推定原因」「5M種類」「防止方法」は、工程管理項目記憶部122aに記憶されている。
また、「不良の影響」の評点を除く各項目は、不良の発生頻度記憶部122a1、不良の影響度記憶部122a2、不良要因の発見難易度記憶部122a3、危険係数記憶部122a4に基板メーカID毎に記憶されている。
【0042】
また、「不良の影響」の評点は、「不良の影響」の各項目の5段階評価に基づいて演算され、評点の値によって「等級」が決定されるものである。図7の評点は、各項目の数値に重み付けを行い、算出している。
例えば、評点=相乗平均−4√(abcd)の演算式等で算出するものである。
「防止方法」は、工程管理項目記憶部122aに「推定原因」毎に「等級」別に記憶されており、決定された「等級」に基づいて該当する「防止方法」が読み出される。
【0043】
図7における各項目を具体的に説明すると、「機能」は「接続部のスミアを削除する」であり、「工程」は「デスミア加工」であり、「故障モード」は「スミア残渣」である。
「項目」は、「仕様」「薬液分析」「薬品補給」「浸漬時間」「装置」に分類され、「不良内容」は「仕様」が「投入間違え」と「仕様指示なし」に分けられ、「薬液分析」が「分析結果伝達ミス」であり、「薬品補給」が「補給量間違え」であり、「浸漬時間」が「条件誤り」であり、「装置」が「老朽・劣化・故障」である。
【0044】
「推定原因」は「投入間違え」と「仕様指示なし」について「投入指示ミス」「仕様あいまい」「取り決めあいまい」があり、「分析結果伝達ミス」について「記入間違え」「記入忘れ」「フォーマット項目不足」があり、「補給量間違え」について「記入間違え」「記入忘れ」「フォーマット項目不足」「補給後確認なし」があり、「条件誤り」については「条件ミス」があり、「老朽・劣化・故障」について「日常管理」「始業点検」「振動機構他」がある。
【0045】
そして、「5M種類」は、各推定原因に対して、人、機会、材料、方法、測定について評価されて「○」入力されており、「不良の影響」は「不良内容」毎に「頻度」「影響度」「発見難易」「3H」、更に評点(総合点)が演算され、当該評点に対応した「等級」(ランク)が付与され、「等級」に応じた「防止方法」が「推定原因」毎に設定される。
【0046】
[工程審査値決定フロー:図8]
次に、工程審査値決定処理フローについて図8を参照しながら説明する。図8は、工程審査値決定処理のフローチャートである。
処理装置1の制御部11は、処理プログラムを読み込んで工程審査値決定処理を開始し、対象の基板・技術について図6のフローで演算された評点を決定する(S21)。決定した評点により等級を、例えばI〜IIIに分ける(S22)。
【0047】
そして、どの等級以上のものを評価基準に上げるか決定する(S23)。例えば、ランク(等級)Iを基準にした場合、Iの内容を工程審査時に評点し、工程管理評価値を算出する(S24)。
具体的には、ランクIの内容(項目)に対して図7のテーブルから「評点」を読み込み、「評価点」として設定し、設定した「評価点」を例えば上記演算式を用いて「工程管理評価値」として演算する。
【0048】
[選択工程管理項目評価例:図9]
ここで、ランクIの工程管理項目に対する評価例について図9を参照しながら説明する。図9は、選択工程管理項目評価例を示す図である。
図7に示した工程管理項目決定評価例で決定された等級について、等級(ランク)Iを抽出(選択)し、図9に示す選択工程管理項目評価テーブルを工程管理項目記憶部122aに生成する。
【0049】
具体的には、図7のテーブルを参照して、ランクIをランク欄に設定し、ランクIに対応する工程名を設定する。更に、工程名に対応する項目(不良内容)を設定し、項目毎の評価点(評点)を設定する。そして、評価点の平均値を算出して「工程管理評価値(工程管理項目の数値)」とする。
ここで、図7は、基板メーカ毎に作成されたものであるから、図9のテーブルも基板メーカ毎に作成されるものである。
【0050】
次に、図8で、工程審査の他の3つの要素(書類審査値、品質体制、技術力)について評点する(S25)。
具体的には、制御部11は、基板メーカIDに基づいて、書類審査項目記憶部122bから書類審査項目の数値(書類審査値)を読み込み、品質体制項目記憶部122cから品質体制項目の数値を読み込み、技術項目記憶部122dから技術力項目の数値を読み込み、図9の工程管理評価値と共に、工程審査値Q2を演算し、工程審査値Q2記憶部122に記憶する。
ここで、制御部11が、工程審査値Q2を演算し、工程審査値Q2記憶部122に記憶する処理は、工程審査値(工程審査評価値)演算手段で実現するものである。
【0051】
[工程審査値評価例:図10]
3つの要素についての評点について図10を参照しながら説明する。図10は、工程審査値評価例を示す図である。
制御部11は、図3に示した書類審査項目記憶部122b、品質体制項目記憶部122c、技術力項目記憶部122dから書類審査値、品質体制項目の数値、技術力項目の数値を基板メーカ毎に読み出し、図10の工程審査値評価テーブルを工程審査値Q2記憶部122に生成する。
【0052】
更に、図9で基板メーカ毎に計算した評価点を対応する基板メーカの工程管理項目に評価点の平均値(工程管理評価値)を設定する。
そして、基板メーカ毎に、工程管理項目の平均値、書類審査値、品質体制項目の数値、技術力項目の数値を読み込み、各数値を統合し、工程審査値Q2を決定する(S26)。
具体的には、各数値の平均値を求めて工程審査値Q2に設定する。
【0053】
[総合判定値評価例:図11]
次に、総合判定値評価例について図11を参照しながら説明する。図11は、総合判定値評価例を示す図である。
図11に示すように、制御部11は、基板メーカ毎に、実績評価値Q1、工程審査値Q2、不良率評価値Q3を基に図11の総合判定値評価テーブルを記憶部内に生成し、実績評価値Q1、工程審査値Q2、不良率評価値Q3に基づいて、上述したQALLの算出式により総合判定値QALLを演算して設定し、その総合判定値QALLにより、「継続採用」「採用検討」「再検討」「不採用」等の決定事項を設定する。
【0054】
尚、「継続採用」は、実績において自社取引があり、総合判定値QALLが高い基板メーカである。また、「採用検討」は、実績において自社取引がないが、総合判定値QALLが高い基板メーカである。
【0055】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、従来に比べて少ない時間、工数で全ての基板の専門的な不良要因を考慮した提供的、相対的な基板メーカの品質評価を行うことができ、コスト、納期等の品質と別の項目と容易に総合判断ができる効果がある。
【0056】
また、本システムでは、海外メーカ等の新規サプライヤ検討においても、品質確保の歯止め要因とすることができる効果がある。
更に、本システムでは、新たな仕様に関しても、品質検討項目の選択検討が容易となる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、少ない時間、工数で総合的、定量的、かつ相対的に判断できる基板メーカ品質評価システムに好適である。
【符号の説明】
【0058】
1…処理装置、 2…表示部、 3…入力部、 11…制御部、 12…記憶部、 13…インタフェース部、 121…実績評価値Q1記憶部、 122…工程審査値Q2記憶部、 123…不良率評価値Q3記億部、 122a…工程管理項目記憶部、 122b…書類審査項目記憶部、 122c…品質体制項目記憶部、 122d…技術力項目記憶部、 122a1…不良の発生頻度記憶部、 122a2…不良の影響度記憶部、 122a3…不良要因の発見難易度記憶部、 122a4…危険係数記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板メーカの品質を評価する基板メーカ品質評価システムであって、
基板メーカ毎に実績評価値Q1、不良率評価値Q3、書類審査項目の数値、管理体制項目の数値、技術力項目の数値を記憶すると共に、基板メーカ毎に工程管理項目の不良内容について発生頻度の情報、影響度の情報、発見難易度の情報、危険係数を記憶する記憶部と、
処理プログラムの動作によって実現される処理手段として、
前記記憶部に記憶された、前記不良内容に対する前記発生頻度の情報、前記影響度の情報、前記発見難易度の情報、前記危険係数を基に基板メーカ毎に評点を演算し、当該評点に対応する等級を決定すると共に、特定の等級で選択された工程管理項目に評価点を付与し、当該評価点の平均値を算出し、当該平均値、前記記憶部に記憶された前記書類審査項目の数値、前記管理体制項目の数値、前記技術力項目の数値に基づいて工程審査評価値Q2を演算して前記記憶部に記憶する工程審査評価値演算手段と、
基板メーカ毎に前記記憶部から前記実績評価値Q1、前記工程審査評価値Q2、前記不良率評価値Q3を取得する評価値取得手段と、
基板メーカ毎に前記実績評価値Q1、前記工程審査評価値Q2、前記不良率評価値Q3を基に総合評価値QALLを演算する総合評価値演算手段とを備える制御部とを有することを特徴とする基板メーカ品質評価システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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