基板上の特徴を撮像する方法及び装置
基板上の特徴を撮像する方法は、前記基板を走査してその画像を生成することと、格子モデルを前記画像の上に重ね合わせることと、前記格子モデルを前記画像上の少なくとも幾つかの前記特徴の位置に適合させることと、前記特徴の画像を抽出することとを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の特徴(feature)を撮像する方法及び装置に関し、そして、特にマイクロアレイ上のスポットを撮像する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上の特徴の撮像と解析は、様々な技術的な用途において重要な仕事である。たとえば生化学的分析において、担体物質の小さなスポットを、所定のパターンに従い、基板に塗布することは、一般的な技術である。その後、少量の異なる細胞材料が、担体物質のスポットに添加され、そして、それぞれのスポットの細胞増殖は、特定の期間の後、基板上のスポットの画像を取得して画像内の特徴を解析することによって、時間の関数として監視される。
【0003】
複数の特徴の撮像は、所定のパターンに従い、基板上にそれらの特徴を配置することによって容易にすることができる。通常、走査を実行するのに、専用のスキャナハードウェアが使用され、そして、基板は、基板の準備中にアノテーションファイルに登録されたスポットの所定の既知の位置だけが走査される。この一般的な技術には、幾つかの面で制限がある。
【0004】
基板の特徴の数に応じて、基板全体の走査には、多数の単一走査が必要となり、スキャナの前に基板を移動させるまたは基板に対してスキャナを移動させるために、走査装置によって実行される対応する多数の反復かつ非常に正確な機械的移動が必要になる。生化学的用途では、基板は、単一の基板上に3888個より多くの特徴を含み、対応する数の機械的移動ステップを必要とする場合がある。したがって、走査には、非常に正確で対応して高価なハードウェアが必要になる。
さらにまた、走査プロセスは、基板上のスポットの位置に関する正確な情報に強く依存する。走査は、正確な位置決めデータの不足の場合、またはスキャナと基板間の不整合の場合には、失敗する可能性がある。
【0005】
これらの欠点を考慮すると、特に、多数の特徴を含む基板の場合に、基板上の特徴をより高速に撮像し、かつ撮像ハードウェアに対する要求を低減することを可能にする改良された方法及び対応する装置に対するニーズがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、簡便化された走査プロセスと迅速な画像化を含む、特徴を撮像する改良された方法及び装置を提供することである。この目的は、独立請求項1の特徴を含む方法、及び独立請求項12の特徴を含む装置によって達成される。
本発明の好適な実施形態は、従属請求項において規定される。
【0007】
基板上の特徴を撮像する本発明の方法は、前記基板を走査して、その画像を生成することと、格子モデルを前記画像に重ね合わせることと、前記格子モデルを前記画像上の少なくとも幾つかの前記特徴の位置に適合させることと、前記特徴の画像を抽出することとを含む。
【0008】
本発明の方法は、前記特徴の前記位置に関係なく、単一または幾つかの走査ステップで、前記基板を独立に走査することを可能にし、そして、前記特徴の前記位置は、前記画像に載置される格子モデルを使用して特定される。前記格子モデルは望ましくは、辺(edge)によって連結される点の集合である。前記格子モデルの各点は、前記基板上の1つの特徴を割り当てられる、すなわち、前記格子モデルの点の数は前記基板上の関係のある特徴の数に等しい。前記格子モデルを前記走査画像に重ね合わせると、前記格子モデルの前記点の位置は、最初は前記基板上の前記特徴の実際の位置と一致しない。前記画像上の前記特徴の前記位置に対する前記格子モデルのその後の適合によって、前記特徴の位置を正確に決定し、そして、更なる解析のために、特定された位置及び周辺の前記特徴の部分画像を抽出することが可能になる。
【0009】
前記格子モデルを前記画像の前記特徴に適合させるので、反復走査ステップを含む走査プロセスは、必要ではない。それゆえに、スキャナへの要求が軽減される。前記スキャナの反復移動ステップの間に費やされる時間を回避できるので、さらに、撮像プロセス全体の時間が低減される。
【0010】
一実施形態によると、前記格子モデルは、先験的に知られる、前記基板上の前記特徴の前記位置のパターンに基づく。特定の基板に対する前記格子モデルを作る場合、前記特徴間の距離、または特徴の相互の方向に関するさらなる情報を含むこのパターンを使用して、前記格子モデルの前記点の初期位置が規定され、そして、対応する点の間の辺が設定され、点の近傍が規定される。
【0011】
別の実施形態によると、前記格子モデルは、正規格子(regular grid)、直線格子(rectilinear grid)、デカルト格子、多角形格子、及び六角形格子を含むグループの1つの格子に基づく。
【0012】
正規格子、直線格子、及びデカルト格子は、それぞれ、合同な矩形による、合同ではない矩形による、または単位正方形による、前記基板面のモザイク細工を表す。前記格子モデルの前記点は、前記モザイク細工のノードに配置される。前記特徴における複数の前記位置のパターンは、多角形または六角形による平面タイル張りを表現する、多角形格子又は六角形格子により表してもよい。前記格子モデルの点は、前記格子の対応するノードに配置される。
【0013】
本発明の別の実施形態によると、前記重ね合わせは、大まかな近似によって、前記基板の幾つかの前記特徴の位置を決定することと、前記格子モデルの前記点の幾つかを前記位置に重ねることとを含む。これは、例えば3個の目立つ点、例えば前記基板の前記画像上の前記特徴の領域の境界点または角などを特定し、前記格子モデルの対応する角をそれらに位置合わせすることにより、行うことができる。アフィン変換のような任意の方法を使用して、前記格子モデルの残りの点を適合させてよい。この重ね合わせは、更なるステップのために初期配置を規定する。
さらに別の実施形態によると、特に、走査処理中に多数の画像が生成される場合、前記基板の前記画像を処理することは、有利である場合がある。特に、画像サイズは、前記格子モデルを適合させる前に縮小してよい。サイズ縮小は、一方においては、処理する必要があるデータの量が減少するために、更なる処理ステップをスピードアップし、他方では、サイズ縮小は、前記画像のガウス平滑化に相当し、従って前記画像におけるノイズが低減される。
【0014】
別の実施形態において、前記画像は、前記格子モデルを適合させる前に、フィルター適用、平滑化、エッジ強調、色順応、などの処理の1つ又は幾つかを含め、さらに処理される。これらの方法の1つまたは幾つかの利用により、前記画像の特徴(feature characteristics)の識別がさらに容易になる。例えば、平滑化は前記画像のノイズの低減に使用できる。あるいは、エッジ強調は、前記特徴の境界とテクスチャの強調に使用できる。選択的な色強調は、特定の色特性を有する特徴の差異の強調に使用できる。
【0015】
更なる実施形態によると、前記適合させることは、前記格子モデルのエネルギー汎関数の結果の反復最適化を含んでよい。前記エネルギー汎関数は、前記格子モデルの前記点の関数であり、前記点の現在のトポロジーを表している。そのうえ、前記エネルギー汎関数はまた、前記画像上の前記特徴の前記位置からの前記格子モデルの前記点の偏位を記述する。全体エネルギー、すなわち前記エネルギー汎関数の結果は、前記格子モデルの点を、その点の所与の近傍において、前記全体エネルギーを最適化する位置に移動させることによって、最適化される。このプロセスは、前記格子モデルの各点に対して繰り返され、次の最適な全体エネルギーが決定される。これは、前記エネルギー汎関数の結果が最適で、さらに改善できなくなるまで繰り返される。反復的な改良の他の方法も、同様に適用してよい。
【0016】
好適な実施形態においては、前記エネルギー汎関数の結果が、最小化される。そのエネルギー汎関数は、E(P)=αF(P)+βG(P)+γH(P)として定義される。ここで、α、β、及びγは、重み付け係数であり、F(P)は、前記格子モデルの隣接点間の距離によって決まる距離の項であり、G(P)は、前記格子モデルの直交性の項である。そして、H(P)は、前記画像の曲率マップから計算される、前記特徴の前記位置からの前記格子モデルの前記点の偏位によって決まる曲率の項である。
【0017】
それぞれの項は、次のように与られる。
【数1】
【0018】
ここで、f(p,q)=(Dinterspot-d(p,q))2である。
【数2】
【0019】
ここで、
【0020】
である。
【数3】
【0021】
特に、F(P)とG(P)の項は、前記格子モデルの空間構成を表し、前記格子モデルの前記点がデカルト格子に近づくことを保証する。特に、スポット間の距離が、既知の距離から偏位する場合、F(P)はより大きい値を有する。隣接2点間の角度が90度から偏位する場合、G(P)はより大きい値を有する。空間特性のほかに、H(P)は、前記格子モデルの前記点と前記特徴位置との間の関連性を形成するのに使用される。H(P)は、後述するように前記基板の前記画像の前記曲率マップより導出され、前記点が特徴場所から遠い場合、より大きい値を有する。
【0022】
実施形態によると、前記格子モデルを少なくとも幾つかの前記特徴の前記位置に適合させることは、前記格子モデルの前記点を前記特徴の中心に適合させることを含む。ここでは、前記格子モデルの前記点は、前記適合処理の後、各特徴の中心を示すように、最適化される。
【0023】
好適な実施形態は、前記特徴がマイクロアレイ上のスポットであることを含む。
【0024】
更なる実施形態によると、前記マイクロアレイは、siRNAトランスフェクト(transfected)された細胞の成長の結果を含む。この実施形態において、前記基板は、前記マイクロアレイを含み、そして、前記特徴は前記マイクロアレイ上の前記スポットを含む。各スポットは、siRNAトランスフェクトされた細胞の成長の前記結果を有する。
【0025】
本発明はまた、装置を含む。本発明の画像装置は、特徴の基板を走査して、少なくともその部分画像を生成するように適合されている画像取得装置と、前記画像上の前記特徴の位置を特定して、格子モデルを前記画像に重ね合わせ、前記格子モデルを少なくとも幾つかの前記特徴の前記位置に適合させて、前記特徴の画像を抽出するように適合されている解析装置とを含む。
【0026】
本発明の画像取得装置は、基板に配置された前記特徴の前記位置に関係なく、前記基板を走査するように適合されている。前記基板の単一または複数の画像となるように、前記走査が実行されてよい。画像データは、データベースに保存されるか、または前記解析装置によってすぐに使用され、前記画像上の前記特徴の前記位置が特定される。特定するために、前記解析装置は、格子モデルを使用する。そのモデルは、1つまたは幾つかの走査画像を含む前記画像に重ね合わせられ、前記特徴の前記位置に適合される。前記解析装置は、前記格子モデルの前記点の最終的な位置に基づいて、前記特徴の部分画像を抽出する。
【0027】
本装置の実施形態によると、前記基板上の前記特徴は、パターンに従い配置される。そのパターンは、正規格子、直線格子、デカルト格子、多角形格子、及び六角形格子を含むグループの1つの格子である。前記特徴の特定の配置の選択によっては、前記画像上の前記特徴の解析プロセスと前記格子モデルを適合させることとに有利に働く場合がある。
【0028】
一実施形態において、前記基板は、マイクロアレイである。前記マイクロアレイは、1つまたは幾つかの核酸のスポットを含んでよく、あるいは細胞マイクロアレイであってよい。一実施形態によると、前記画像取得装置は、細胞より細かい解像度を有する前記画像を生成するように適合されている。
【0029】
更なる実施形態によると、本装置は、基板上に前記特徴を生成する印刷装置と、前記特徴の前記位置を含むアノテーションファイルとを更に含む。前記アノテーションファイルは、前記特徴のトポロジーを記述しており、従って、前記格子モデルの初期パターンを規定し、かつ必要なデータと情報を提供するのに使用してよい。
【0030】
本装置のさらに別の実施形態によると、前記印刷装置は、スポットを生成し、そして、前記マイクロアレイがライブラリ全体、またはそのサブセットに相当するように、各スポットに対して、ライブラリの核酸、またはライブラリの合成物が塗布される。前記ライブラリィは、RNAiライブラリ、siRNAライブラリ、または合成物ライブラリ/cDNAライブラリを含む。この実施形態において、前記画像装置は、スポットを含む前記マイクロアレイを走査し、前記対応する画像上の前記スポットの前記位置を特定し、更なる解析のために前記スポットの前記画像を抽出する。
【0031】
本発明の更なる機能、利点、及び特徴は、添付の図面と組み合わせて、本発明の例示的実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による撮像装置の一実施形態を概略的に示す。
【図2A】本発明の一実施形態による撮像方法のステップとステップの結果とを示しており、基板上の特徴の画像の走査を含んでいる。
【図2B】本発明の一実施形態による撮像方法のステップとステップの結果とを示しており、前記走査によって得られる特徴の単一画像を含んでいる。
【図2C】本発明の一実施形態による撮像方法のステップとステップの結果とを示しており、前記基板の前記画像へのデカルト格子モデルの重ね合わせを含む。
【図2D】本発明の一実施形態による撮像方法のステップとステップの結果とを示しており、適合させたデカルト格子モデルを含む。
【図3A】本発明の一実施形態による2つの隣接した点間の距離を含む、格子モデルのエネルギー汎関数の項を表す。
【図3B】本発明の一実施形態による格子モデルの2つの隣接した点間の直交性を含む、格子モデルのエネルギー汎関数の項を表す。
【図3C】本発明の一実施形態による、画像の曲率マップを含む、格子モデルのエネルギー汎関数の項を表す。
【図4A】本発明の一実施形態による適合処理によって得られる座標を使用して抽出された特徴の矩形の画像を示す。
【図4B】本発明の一実施形態による大きなマイクロアレイに適合させた格子モデルを示し、欠落したスポットの検出と赤いsiRNAスポット画像上への格子の重ね合わせとを示している。
【図5】本発明の一実施形態による撮像装置における画像取得装置によって生成されたスポットチャンネルの画像を示しており、前記基板は、siRNAトランスフェクトされた細胞のスポットを含むマイクロアレイである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明による撮像装置1の実施形態を示し、基板の画像11を生成する画像取得装置10、解析装置12、印刷装置13、及びデータベース14を含んでいる。
【0034】
多量の特徴を含む基板131は、特徴の位置に関係なく、画像取得装置10によって走査され、基板の単一の画像11または複数の部分画像11が得られる。
【0035】
例えば細胞より細かい解像度を使用して、3888個のスポットを有するマイクロアレイを含む基板131を走査すると、約5500個のグレースケール画像、または約1800個のRGB画像が得られる。これらの画像は、組み合せると、マイクロアレイの表面全体を表すことができる。基板の画像11は、データベース14に格納され、解析装置12で更に処理される。
【0036】
図1に示す実施形態によると、解析装置12は、画像の更なる処理を実行する前に、先ずデータベース14にアクセスして、画像の解像度を減らす(図1のステップ121)。しかし、このステップは省略することができる。基板の複数の画像11が画像取得装置10で生成されると、解析装置12は、画像を整列し結合して、基板131の表面全体の単一画像を形成する。
【0037】
次のステップでは、解析装置12は、格子モデルを基板の画像11の特徴の位置に適合させる(図1のステップ122)。後で更に詳しく説明するこの適合処理には、基板131の特徴のトポロジー、例えばそれらのサイズ、または互いに関する相対的位置などについての知識がある程度必要になる。この情報は、例えば基板131の製造中に作成されるアノテーションファイル132に格納されていてよく、あるいは、その後、当業者に既知の適切な方法によって測定してよい。特徴は、パターン、例えば、正規格子、直線格子、デカルト格子、多角形格子、六角形格子その他などによって、基板131の上に配置されることが多い。
【0038】
格子モデルを適合させた(図1のステップ122)後に、特徴の画像は、適合した格子モデルによって得られる特徴の位置に関する情報に基づいて、抽出される(図1のステップ123)。画像サイズが、格子モデルを適合させる前に、縮小されている場合、元の画像がデータベース14から読み出され、特徴の画像を抽出するために、縮小サイズの画像の代わりに使用される。同じ特徴が基板の複数の画像11に見出されることがある点に留意する必要がある。したがって、特徴の画像を抽出するのに、基板の幾つかの画像11を必要とする場合がある。
【0039】
後続のステップにおいて、特徴の抽出画像が、後述するように解析される(図1のステップ124)。本実施形態において、基板131は印刷装置13によって作成され、そして、基板131は、マイクロアレイ、望ましくは、カプセル封入の混合物を含む核酸または細胞マイクロアレイを含む。細胞は、その後マイクロアレイ上で成長し、こうして各スポット位置で核酸によってトランスフェクトされる。印刷装置13はまた、各スポットの座標を含むアノテーションファイル132を生成する。しかし、この情報は、細胞増殖を含む基板131のサイズと不ぞろいのために、基板の画像11の作成のためには使用されない点に留意する必要がある。それでも、この情報は、解析装置12の格子モデルを適合させるステップ122の初期格子モデルを規定するのに使用される。
【0040】
前に言及した基板上の特徴を特定する方法を、図2A-2Dに示される特定の実施形態に基づいて説明する。基板上の特徴の画像201は、単一画像上、または、整列し結合され基板の全体画像を形成する複数の画像21上の特徴20を含む(図2A)。通常、特徴20は、図2Bに示すように、必ずしも画像22の中心にはないが、画像23の端または角の1つにより近そうであり、そして、ある場合においては、最大4つの隣接画像21の一部となる場合がある。
【0041】
図2Cに示すように、特徴の画像201は、初期の格子モデル203によって重ね合わされている。一実施形態において、初期格子モデル203は、辺28によって連結される点25を含む。初期格子モデル203の点25と、辺28によって規定されるそれらの点の近傍とは、基板上の特徴20の位置パターンに基づいており、任意の適切なパターン、例えば、正規格子、直線格子、(図2Cに示すような)デカルト格子、または六角形格子のような多角形格子などを構成してよい。
【0042】
初期格子モデル203は、特徴20の位置をおおまかに近似することによって、特徴の画像201上に配置される。近似は、任意の適切な技法によって行ってよい。たとえば、初期格子モデル203の角の点24のうちの3つは、特徴の全体画像201上の特徴20のグループの対応する角に置いてよい。画像201上への初期格子モデル203の配置は、手動で行うことができる。しかし、自動的な処理も使用してよい。それから、初期格子モデル203は、剪断(shearing)を含め、アフィン変換のような適切な技法によって変形される。格子モデル203の初期配置の後、初期格子モデル203の点25は、特徴20の位置に適合させて、図2Dで示すように適合した格子モデル204が得られる。適合処理の後、適合した格子モデル204の各点26は、特徴20の正確な位置を示す。たとえ特徴20が破損したか、または欠落しているとしても、適合した格子モデル204の対応する点27は、欠落した特徴の最も可能性の高い位置を示す。
【0043】
初期格子モデル203の点25を特徴20の位置に適合させることは、統計的方法、または最適化方法を含む任意の適切な技法によって行ってよい。好ましくは、適合は、格子モデルに束縛されたエネルギー汎関数の結果を最適化することによって行われる。
【0044】
エネルギー汎関数は最小化可能であって、格子モデル203、204の点25の3つの項の加重和と定義することができる。図3A-3Cで例示されるように、それらの項は、2つの隣接した点25間の距離31を距離の項301として、格子モデル203、204の直交性を直交性の項302として、点25の近傍における特徴の画像201の特性(characteristics)を曲率の項303として表している。加重和の項の重み付け係数は、全体的なエネルギー、即ち、エネルギー汎関数の結果に関して各項の相対的な重要性を規定するのに使用できる。
【0045】
2つの点25間の距離31の初期値は、基板上の特徴の基礎となっているパターンによって予め決定されており、図3Aに示すようにその初期状態における辺28の長さによって与えられる。デカルト格子の場合、例えば距離31は、辺28によって連結される点25の各ペアに対して同一である。エネルギー汎関数の一部を定義するのに使用できる対応する距離の項301は、2つの点25間の距離31が初期値から大きくそれるとき、より大きい値を有する。したがって、距離の項301を最小化することによって、点25が互いにほぼ初期の距離を維持することが保証される。
【0046】
図3Bで例示されるように、格子モデル203と204の直交性は、点33の2つの隣接点34を連結する2つの辺28の間の角度32によって特徴付けられる。例えば正規格子の場合、角度32の初期値は、望ましくは90度である。しかし、それは、任意の値であってよく、初期格子モデル203によって規定される。エネルギー汎関数の対応する直交性の項302は、角度32が初期値から大きくそれるとき、より大きい値を有する。距離の項301と同様に、直交性の項302を最小化することによって、点25が、適合した正規格子モデル204において矩形パターンの近くにとどまることが保証される。
【0047】
この実施形態において、エネルギー汎関数の曲率の項303は、特徴の画像201上に投影される格子モデル203と204の点25の近傍によって与えられる。この実施形態において、特徴の画像201は、画素(ピクセル)のマトリックスを含む。各ピクセルは、少なくとも1つの色値(color value)、例えばグレースケール画像の場合は1つの値、RGB画像の場合は3つの値を有する。曲率の項303は、点25の現在位置によって与えられる近傍における、特徴の画像201のピクセルの色値の関数である。近傍は、任意のサイズと形状のウインドウによって規定される。ウインドウは、画像処理において使用される大部分の畳み込み技法の場合と同様に、矩形サイズであってよい。この特定の実施形態において、矩形のウィンドウサイズは、図2C、2D、3A、及び3Bに示すように、格子モデル203、204の点25の周りの正方形として表現されている。代わりに、円形または楕円形サイズのような、ウインドウの各々のサイズと形状が使用できることは、明らかである。曲率の項303は、例えば図3Cに示される計算曲率マップに基づいてよく、その項は、点25が特徴20の位置から遠いとき、より高い値を有する。
【0048】
曲率マップcurv()は、画像Iσのガウス曲率と元の画像Iσの点ごとの積として定義される(Iσは、画像Iをサイズσのガウスカーネルによるフィルタリングの結果である)。関数curv()は、所定サイズのスポットのような対象が強調されるマップを生成する傾向がある。ある点における2次元表面のガウスの曲率は、この点におけるヘッセ行列の行列式である(ヘッセ行列は、2次導関数の行列である)。この正の値は、対象とする点がキャップまたはカップを構成する場合にのみ、大きい。この点の元の画像の値が乗算されると、カップはマップ上に小さい値を生成し、キャップは大きい値を生成する。したがって、負の曲率の項303の最小化によって、すべての点25(すべての位置に対する点の和)が特徴の画像201上の特徴20の位置の方へ向かうことが保証される。
【0049】
エネルギー汎関数は、E(P)=αF(P)+βG(P)+γH(P)として与えてよい。ここで、α、β、及びγは、重み付け係数であって、P=(p1,1、p1,2、・・・pn,m)は格子モデル203と204の点25であって、そして、対応する項は、それぞれ次のように与えられる。距離の項301として、
【数4】
【0050】
ここで、f(p,q)=(Dinterspot-d(p,q))2であって、Dinterspot は距離31の初期値であり、そして、d(p,q)は、辺28によって連結される2つの点25のpとqの最新の距離31を表す。
【0051】
そして、直交性の項302として、
【数5】
【0052】
ここで、
【0053】
である。そして、上述の曲率マップに基づく曲率の項303として
【数6】
【0054】
格子モデル204を適合させた後、各点25の座標は、図4Aに示すように特徴の画像401を抽出するのに使用される。上記のように、特徴20は、最高4つの隣接画像21に見出される場合がある。特定の実施形態において、この特徴は、格子モデル204を低減された解像度の画像上に適合させることによって得られる座標を使用して、隣接する高解像度画像から生成される高解像度合成スポット画像となってよい。
【0055】
図4Bは、大きなマイクロアレイに適合させた格子モデル204を含む特定の実施形態の結果を示しており、差し込み図で示すように、赤いsiRNAスポット画像上への格子の重ね合わせと同様に欠落したスポットの検出27を示している。印刷されなかったスポットは、自動的に検出され、以下の方法で更なる解析から除外することができる。適合した格子モデル204の点25によって与えられる、各スポットの理論的な位置の近傍は、正しく印刷されたスポットに対しては、比較的強いスポット強度と曲率を有する像を示すはずである。したがって、アレイ上の正規分布より低い強度と曲率を示す像は、非印刷のスポットと見なされ、除去される。
【0056】
siRNAスポットを含むマイクロアレイから得られる画像を使用することができる。スポットチャンネルから得られるそのような画像の一例が、図5に与えられている。画像は、4つのスポット50と51を含み、それらのうちの1つのスポット50は全体が画像上にあって、残りの3つのスポット51は部分的にしか見えない。
【0057】
一旦、格子モデル204が適合され、そして、特徴画像401が、自動的に1つずつ抽出されると、それら特徴画像は、更なるアルゴリズムを使用して解析することができる。こうして、各々が画像ごとに中心に置かれた単一の特徴を有するアノテーション付の画像の流れが生成される。このアプリケーション領域の大部分の画像解析アルゴリズムは、特に単一スポットにある細胞を解析するようになっているので、本発明の一実施形態で開示されるようなマイクロアレイ上のスポットの解析にとっては、この種の画像は、有利である。
【0058】
本発明の記載された機能と特性は、任意の組み合せでも本発明のために重要な場合がある。
【符号の説明】
【0059】
1:撮像装置 図1
10:画像取得装置
11:基板の画像
12:解析装置
121:画像解像度を減らすステップ
122:格子モデルを適合させるステップ
123:特徴の画像を抽出するステップ
124:特徴の抽出画像を解析するステップ
13:印刷装置
131:基板
132:アノテーションファイル
14:データベース
201:特徴の画像 図2
20:特徴
21:画像
202:画像上の特徴の位置
22:中心に特徴を有する画像
23:複数の特徴を有する画像
203:初期の格子モデル
24:角(かど)の点
25:点
28:辺
204:適合させた格子モデル
26:特徴に適合した点
27:欠落した特徴に適合した点
301:距離の項 図3
31:距離
302:直交性の項
32:角度
33:点
34:隣接点
303:曲率の項
401:特徴の抽出画像 図4
402:適合させた格子モデル
5:スポットを含むマイクロアレイの部分画像 図5
50:スポット
51:部分スポット
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の特徴(feature)を撮像する方法及び装置に関し、そして、特にマイクロアレイ上のスポットを撮像する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上の特徴の撮像と解析は、様々な技術的な用途において重要な仕事である。たとえば生化学的分析において、担体物質の小さなスポットを、所定のパターンに従い、基板に塗布することは、一般的な技術である。その後、少量の異なる細胞材料が、担体物質のスポットに添加され、そして、それぞれのスポットの細胞増殖は、特定の期間の後、基板上のスポットの画像を取得して画像内の特徴を解析することによって、時間の関数として監視される。
【0003】
複数の特徴の撮像は、所定のパターンに従い、基板上にそれらの特徴を配置することによって容易にすることができる。通常、走査を実行するのに、専用のスキャナハードウェアが使用され、そして、基板は、基板の準備中にアノテーションファイルに登録されたスポットの所定の既知の位置だけが走査される。この一般的な技術には、幾つかの面で制限がある。
【0004】
基板の特徴の数に応じて、基板全体の走査には、多数の単一走査が必要となり、スキャナの前に基板を移動させるまたは基板に対してスキャナを移動させるために、走査装置によって実行される対応する多数の反復かつ非常に正確な機械的移動が必要になる。生化学的用途では、基板は、単一の基板上に3888個より多くの特徴を含み、対応する数の機械的移動ステップを必要とする場合がある。したがって、走査には、非常に正確で対応して高価なハードウェアが必要になる。
さらにまた、走査プロセスは、基板上のスポットの位置に関する正確な情報に強く依存する。走査は、正確な位置決めデータの不足の場合、またはスキャナと基板間の不整合の場合には、失敗する可能性がある。
【0005】
これらの欠点を考慮すると、特に、多数の特徴を含む基板の場合に、基板上の特徴をより高速に撮像し、かつ撮像ハードウェアに対する要求を低減することを可能にする改良された方法及び対応する装置に対するニーズがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、簡便化された走査プロセスと迅速な画像化を含む、特徴を撮像する改良された方法及び装置を提供することである。この目的は、独立請求項1の特徴を含む方法、及び独立請求項12の特徴を含む装置によって達成される。
本発明の好適な実施形態は、従属請求項において規定される。
【0007】
基板上の特徴を撮像する本発明の方法は、前記基板を走査して、その画像を生成することと、格子モデルを前記画像に重ね合わせることと、前記格子モデルを前記画像上の少なくとも幾つかの前記特徴の位置に適合させることと、前記特徴の画像を抽出することとを含む。
【0008】
本発明の方法は、前記特徴の前記位置に関係なく、単一または幾つかの走査ステップで、前記基板を独立に走査することを可能にし、そして、前記特徴の前記位置は、前記画像に載置される格子モデルを使用して特定される。前記格子モデルは望ましくは、辺(edge)によって連結される点の集合である。前記格子モデルの各点は、前記基板上の1つの特徴を割り当てられる、すなわち、前記格子モデルの点の数は前記基板上の関係のある特徴の数に等しい。前記格子モデルを前記走査画像に重ね合わせると、前記格子モデルの前記点の位置は、最初は前記基板上の前記特徴の実際の位置と一致しない。前記画像上の前記特徴の前記位置に対する前記格子モデルのその後の適合によって、前記特徴の位置を正確に決定し、そして、更なる解析のために、特定された位置及び周辺の前記特徴の部分画像を抽出することが可能になる。
【0009】
前記格子モデルを前記画像の前記特徴に適合させるので、反復走査ステップを含む走査プロセスは、必要ではない。それゆえに、スキャナへの要求が軽減される。前記スキャナの反復移動ステップの間に費やされる時間を回避できるので、さらに、撮像プロセス全体の時間が低減される。
【0010】
一実施形態によると、前記格子モデルは、先験的に知られる、前記基板上の前記特徴の前記位置のパターンに基づく。特定の基板に対する前記格子モデルを作る場合、前記特徴間の距離、または特徴の相互の方向に関するさらなる情報を含むこのパターンを使用して、前記格子モデルの前記点の初期位置が規定され、そして、対応する点の間の辺が設定され、点の近傍が規定される。
【0011】
別の実施形態によると、前記格子モデルは、正規格子(regular grid)、直線格子(rectilinear grid)、デカルト格子、多角形格子、及び六角形格子を含むグループの1つの格子に基づく。
【0012】
正規格子、直線格子、及びデカルト格子は、それぞれ、合同な矩形による、合同ではない矩形による、または単位正方形による、前記基板面のモザイク細工を表す。前記格子モデルの前記点は、前記モザイク細工のノードに配置される。前記特徴における複数の前記位置のパターンは、多角形または六角形による平面タイル張りを表現する、多角形格子又は六角形格子により表してもよい。前記格子モデルの点は、前記格子の対応するノードに配置される。
【0013】
本発明の別の実施形態によると、前記重ね合わせは、大まかな近似によって、前記基板の幾つかの前記特徴の位置を決定することと、前記格子モデルの前記点の幾つかを前記位置に重ねることとを含む。これは、例えば3個の目立つ点、例えば前記基板の前記画像上の前記特徴の領域の境界点または角などを特定し、前記格子モデルの対応する角をそれらに位置合わせすることにより、行うことができる。アフィン変換のような任意の方法を使用して、前記格子モデルの残りの点を適合させてよい。この重ね合わせは、更なるステップのために初期配置を規定する。
さらに別の実施形態によると、特に、走査処理中に多数の画像が生成される場合、前記基板の前記画像を処理することは、有利である場合がある。特に、画像サイズは、前記格子モデルを適合させる前に縮小してよい。サイズ縮小は、一方においては、処理する必要があるデータの量が減少するために、更なる処理ステップをスピードアップし、他方では、サイズ縮小は、前記画像のガウス平滑化に相当し、従って前記画像におけるノイズが低減される。
【0014】
別の実施形態において、前記画像は、前記格子モデルを適合させる前に、フィルター適用、平滑化、エッジ強調、色順応、などの処理の1つ又は幾つかを含め、さらに処理される。これらの方法の1つまたは幾つかの利用により、前記画像の特徴(feature characteristics)の識別がさらに容易になる。例えば、平滑化は前記画像のノイズの低減に使用できる。あるいは、エッジ強調は、前記特徴の境界とテクスチャの強調に使用できる。選択的な色強調は、特定の色特性を有する特徴の差異の強調に使用できる。
【0015】
更なる実施形態によると、前記適合させることは、前記格子モデルのエネルギー汎関数の結果の反復最適化を含んでよい。前記エネルギー汎関数は、前記格子モデルの前記点の関数であり、前記点の現在のトポロジーを表している。そのうえ、前記エネルギー汎関数はまた、前記画像上の前記特徴の前記位置からの前記格子モデルの前記点の偏位を記述する。全体エネルギー、すなわち前記エネルギー汎関数の結果は、前記格子モデルの点を、その点の所与の近傍において、前記全体エネルギーを最適化する位置に移動させることによって、最適化される。このプロセスは、前記格子モデルの各点に対して繰り返され、次の最適な全体エネルギーが決定される。これは、前記エネルギー汎関数の結果が最適で、さらに改善できなくなるまで繰り返される。反復的な改良の他の方法も、同様に適用してよい。
【0016】
好適な実施形態においては、前記エネルギー汎関数の結果が、最小化される。そのエネルギー汎関数は、E(P)=αF(P)+βG(P)+γH(P)として定義される。ここで、α、β、及びγは、重み付け係数であり、F(P)は、前記格子モデルの隣接点間の距離によって決まる距離の項であり、G(P)は、前記格子モデルの直交性の項である。そして、H(P)は、前記画像の曲率マップから計算される、前記特徴の前記位置からの前記格子モデルの前記点の偏位によって決まる曲率の項である。
【0017】
それぞれの項は、次のように与られる。
【数1】
【0018】
ここで、f(p,q)=(Dinterspot-d(p,q))2である。
【数2】
【0019】
ここで、
【0020】
である。
【数3】
【0021】
特に、F(P)とG(P)の項は、前記格子モデルの空間構成を表し、前記格子モデルの前記点がデカルト格子に近づくことを保証する。特に、スポット間の距離が、既知の距離から偏位する場合、F(P)はより大きい値を有する。隣接2点間の角度が90度から偏位する場合、G(P)はより大きい値を有する。空間特性のほかに、H(P)は、前記格子モデルの前記点と前記特徴位置との間の関連性を形成するのに使用される。H(P)は、後述するように前記基板の前記画像の前記曲率マップより導出され、前記点が特徴場所から遠い場合、より大きい値を有する。
【0022】
実施形態によると、前記格子モデルを少なくとも幾つかの前記特徴の前記位置に適合させることは、前記格子モデルの前記点を前記特徴の中心に適合させることを含む。ここでは、前記格子モデルの前記点は、前記適合処理の後、各特徴の中心を示すように、最適化される。
【0023】
好適な実施形態は、前記特徴がマイクロアレイ上のスポットであることを含む。
【0024】
更なる実施形態によると、前記マイクロアレイは、siRNAトランスフェクト(transfected)された細胞の成長の結果を含む。この実施形態において、前記基板は、前記マイクロアレイを含み、そして、前記特徴は前記マイクロアレイ上の前記スポットを含む。各スポットは、siRNAトランスフェクトされた細胞の成長の前記結果を有する。
【0025】
本発明はまた、装置を含む。本発明の画像装置は、特徴の基板を走査して、少なくともその部分画像を生成するように適合されている画像取得装置と、前記画像上の前記特徴の位置を特定して、格子モデルを前記画像に重ね合わせ、前記格子モデルを少なくとも幾つかの前記特徴の前記位置に適合させて、前記特徴の画像を抽出するように適合されている解析装置とを含む。
【0026】
本発明の画像取得装置は、基板に配置された前記特徴の前記位置に関係なく、前記基板を走査するように適合されている。前記基板の単一または複数の画像となるように、前記走査が実行されてよい。画像データは、データベースに保存されるか、または前記解析装置によってすぐに使用され、前記画像上の前記特徴の前記位置が特定される。特定するために、前記解析装置は、格子モデルを使用する。そのモデルは、1つまたは幾つかの走査画像を含む前記画像に重ね合わせられ、前記特徴の前記位置に適合される。前記解析装置は、前記格子モデルの前記点の最終的な位置に基づいて、前記特徴の部分画像を抽出する。
【0027】
本装置の実施形態によると、前記基板上の前記特徴は、パターンに従い配置される。そのパターンは、正規格子、直線格子、デカルト格子、多角形格子、及び六角形格子を含むグループの1つの格子である。前記特徴の特定の配置の選択によっては、前記画像上の前記特徴の解析プロセスと前記格子モデルを適合させることとに有利に働く場合がある。
【0028】
一実施形態において、前記基板は、マイクロアレイである。前記マイクロアレイは、1つまたは幾つかの核酸のスポットを含んでよく、あるいは細胞マイクロアレイであってよい。一実施形態によると、前記画像取得装置は、細胞より細かい解像度を有する前記画像を生成するように適合されている。
【0029】
更なる実施形態によると、本装置は、基板上に前記特徴を生成する印刷装置と、前記特徴の前記位置を含むアノテーションファイルとを更に含む。前記アノテーションファイルは、前記特徴のトポロジーを記述しており、従って、前記格子モデルの初期パターンを規定し、かつ必要なデータと情報を提供するのに使用してよい。
【0030】
本装置のさらに別の実施形態によると、前記印刷装置は、スポットを生成し、そして、前記マイクロアレイがライブラリ全体、またはそのサブセットに相当するように、各スポットに対して、ライブラリの核酸、またはライブラリの合成物が塗布される。前記ライブラリィは、RNAiライブラリ、siRNAライブラリ、または合成物ライブラリ/cDNAライブラリを含む。この実施形態において、前記画像装置は、スポットを含む前記マイクロアレイを走査し、前記対応する画像上の前記スポットの前記位置を特定し、更なる解析のために前記スポットの前記画像を抽出する。
【0031】
本発明の更なる機能、利点、及び特徴は、添付の図面と組み合わせて、本発明の例示的実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による撮像装置の一実施形態を概略的に示す。
【図2A】本発明の一実施形態による撮像方法のステップとステップの結果とを示しており、基板上の特徴の画像の走査を含んでいる。
【図2B】本発明の一実施形態による撮像方法のステップとステップの結果とを示しており、前記走査によって得られる特徴の単一画像を含んでいる。
【図2C】本発明の一実施形態による撮像方法のステップとステップの結果とを示しており、前記基板の前記画像へのデカルト格子モデルの重ね合わせを含む。
【図2D】本発明の一実施形態による撮像方法のステップとステップの結果とを示しており、適合させたデカルト格子モデルを含む。
【図3A】本発明の一実施形態による2つの隣接した点間の距離を含む、格子モデルのエネルギー汎関数の項を表す。
【図3B】本発明の一実施形態による格子モデルの2つの隣接した点間の直交性を含む、格子モデルのエネルギー汎関数の項を表す。
【図3C】本発明の一実施形態による、画像の曲率マップを含む、格子モデルのエネルギー汎関数の項を表す。
【図4A】本発明の一実施形態による適合処理によって得られる座標を使用して抽出された特徴の矩形の画像を示す。
【図4B】本発明の一実施形態による大きなマイクロアレイに適合させた格子モデルを示し、欠落したスポットの検出と赤いsiRNAスポット画像上への格子の重ね合わせとを示している。
【図5】本発明の一実施形態による撮像装置における画像取得装置によって生成されたスポットチャンネルの画像を示しており、前記基板は、siRNAトランスフェクトされた細胞のスポットを含むマイクロアレイである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明による撮像装置1の実施形態を示し、基板の画像11を生成する画像取得装置10、解析装置12、印刷装置13、及びデータベース14を含んでいる。
【0034】
多量の特徴を含む基板131は、特徴の位置に関係なく、画像取得装置10によって走査され、基板の単一の画像11または複数の部分画像11が得られる。
【0035】
例えば細胞より細かい解像度を使用して、3888個のスポットを有するマイクロアレイを含む基板131を走査すると、約5500個のグレースケール画像、または約1800個のRGB画像が得られる。これらの画像は、組み合せると、マイクロアレイの表面全体を表すことができる。基板の画像11は、データベース14に格納され、解析装置12で更に処理される。
【0036】
図1に示す実施形態によると、解析装置12は、画像の更なる処理を実行する前に、先ずデータベース14にアクセスして、画像の解像度を減らす(図1のステップ121)。しかし、このステップは省略することができる。基板の複数の画像11が画像取得装置10で生成されると、解析装置12は、画像を整列し結合して、基板131の表面全体の単一画像を形成する。
【0037】
次のステップでは、解析装置12は、格子モデルを基板の画像11の特徴の位置に適合させる(図1のステップ122)。後で更に詳しく説明するこの適合処理には、基板131の特徴のトポロジー、例えばそれらのサイズ、または互いに関する相対的位置などについての知識がある程度必要になる。この情報は、例えば基板131の製造中に作成されるアノテーションファイル132に格納されていてよく、あるいは、その後、当業者に既知の適切な方法によって測定してよい。特徴は、パターン、例えば、正規格子、直線格子、デカルト格子、多角形格子、六角形格子その他などによって、基板131の上に配置されることが多い。
【0038】
格子モデルを適合させた(図1のステップ122)後に、特徴の画像は、適合した格子モデルによって得られる特徴の位置に関する情報に基づいて、抽出される(図1のステップ123)。画像サイズが、格子モデルを適合させる前に、縮小されている場合、元の画像がデータベース14から読み出され、特徴の画像を抽出するために、縮小サイズの画像の代わりに使用される。同じ特徴が基板の複数の画像11に見出されることがある点に留意する必要がある。したがって、特徴の画像を抽出するのに、基板の幾つかの画像11を必要とする場合がある。
【0039】
後続のステップにおいて、特徴の抽出画像が、後述するように解析される(図1のステップ124)。本実施形態において、基板131は印刷装置13によって作成され、そして、基板131は、マイクロアレイ、望ましくは、カプセル封入の混合物を含む核酸または細胞マイクロアレイを含む。細胞は、その後マイクロアレイ上で成長し、こうして各スポット位置で核酸によってトランスフェクトされる。印刷装置13はまた、各スポットの座標を含むアノテーションファイル132を生成する。しかし、この情報は、細胞増殖を含む基板131のサイズと不ぞろいのために、基板の画像11の作成のためには使用されない点に留意する必要がある。それでも、この情報は、解析装置12の格子モデルを適合させるステップ122の初期格子モデルを規定するのに使用される。
【0040】
前に言及した基板上の特徴を特定する方法を、図2A-2Dに示される特定の実施形態に基づいて説明する。基板上の特徴の画像201は、単一画像上、または、整列し結合され基板の全体画像を形成する複数の画像21上の特徴20を含む(図2A)。通常、特徴20は、図2Bに示すように、必ずしも画像22の中心にはないが、画像23の端または角の1つにより近そうであり、そして、ある場合においては、最大4つの隣接画像21の一部となる場合がある。
【0041】
図2Cに示すように、特徴の画像201は、初期の格子モデル203によって重ね合わされている。一実施形態において、初期格子モデル203は、辺28によって連結される点25を含む。初期格子モデル203の点25と、辺28によって規定されるそれらの点の近傍とは、基板上の特徴20の位置パターンに基づいており、任意の適切なパターン、例えば、正規格子、直線格子、(図2Cに示すような)デカルト格子、または六角形格子のような多角形格子などを構成してよい。
【0042】
初期格子モデル203は、特徴20の位置をおおまかに近似することによって、特徴の画像201上に配置される。近似は、任意の適切な技法によって行ってよい。たとえば、初期格子モデル203の角の点24のうちの3つは、特徴の全体画像201上の特徴20のグループの対応する角に置いてよい。画像201上への初期格子モデル203の配置は、手動で行うことができる。しかし、自動的な処理も使用してよい。それから、初期格子モデル203は、剪断(shearing)を含め、アフィン変換のような適切な技法によって変形される。格子モデル203の初期配置の後、初期格子モデル203の点25は、特徴20の位置に適合させて、図2Dで示すように適合した格子モデル204が得られる。適合処理の後、適合した格子モデル204の各点26は、特徴20の正確な位置を示す。たとえ特徴20が破損したか、または欠落しているとしても、適合した格子モデル204の対応する点27は、欠落した特徴の最も可能性の高い位置を示す。
【0043】
初期格子モデル203の点25を特徴20の位置に適合させることは、統計的方法、または最適化方法を含む任意の適切な技法によって行ってよい。好ましくは、適合は、格子モデルに束縛されたエネルギー汎関数の結果を最適化することによって行われる。
【0044】
エネルギー汎関数は最小化可能であって、格子モデル203、204の点25の3つの項の加重和と定義することができる。図3A-3Cで例示されるように、それらの項は、2つの隣接した点25間の距離31を距離の項301として、格子モデル203、204の直交性を直交性の項302として、点25の近傍における特徴の画像201の特性(characteristics)を曲率の項303として表している。加重和の項の重み付け係数は、全体的なエネルギー、即ち、エネルギー汎関数の結果に関して各項の相対的な重要性を規定するのに使用できる。
【0045】
2つの点25間の距離31の初期値は、基板上の特徴の基礎となっているパターンによって予め決定されており、図3Aに示すようにその初期状態における辺28の長さによって与えられる。デカルト格子の場合、例えば距離31は、辺28によって連結される点25の各ペアに対して同一である。エネルギー汎関数の一部を定義するのに使用できる対応する距離の項301は、2つの点25間の距離31が初期値から大きくそれるとき、より大きい値を有する。したがって、距離の項301を最小化することによって、点25が互いにほぼ初期の距離を維持することが保証される。
【0046】
図3Bで例示されるように、格子モデル203と204の直交性は、点33の2つの隣接点34を連結する2つの辺28の間の角度32によって特徴付けられる。例えば正規格子の場合、角度32の初期値は、望ましくは90度である。しかし、それは、任意の値であってよく、初期格子モデル203によって規定される。エネルギー汎関数の対応する直交性の項302は、角度32が初期値から大きくそれるとき、より大きい値を有する。距離の項301と同様に、直交性の項302を最小化することによって、点25が、適合した正規格子モデル204において矩形パターンの近くにとどまることが保証される。
【0047】
この実施形態において、エネルギー汎関数の曲率の項303は、特徴の画像201上に投影される格子モデル203と204の点25の近傍によって与えられる。この実施形態において、特徴の画像201は、画素(ピクセル)のマトリックスを含む。各ピクセルは、少なくとも1つの色値(color value)、例えばグレースケール画像の場合は1つの値、RGB画像の場合は3つの値を有する。曲率の項303は、点25の現在位置によって与えられる近傍における、特徴の画像201のピクセルの色値の関数である。近傍は、任意のサイズと形状のウインドウによって規定される。ウインドウは、画像処理において使用される大部分の畳み込み技法の場合と同様に、矩形サイズであってよい。この特定の実施形態において、矩形のウィンドウサイズは、図2C、2D、3A、及び3Bに示すように、格子モデル203、204の点25の周りの正方形として表現されている。代わりに、円形または楕円形サイズのような、ウインドウの各々のサイズと形状が使用できることは、明らかである。曲率の項303は、例えば図3Cに示される計算曲率マップに基づいてよく、その項は、点25が特徴20の位置から遠いとき、より高い値を有する。
【0048】
曲率マップcurv()は、画像Iσのガウス曲率と元の画像Iσの点ごとの積として定義される(Iσは、画像Iをサイズσのガウスカーネルによるフィルタリングの結果である)。関数curv()は、所定サイズのスポットのような対象が強調されるマップを生成する傾向がある。ある点における2次元表面のガウスの曲率は、この点におけるヘッセ行列の行列式である(ヘッセ行列は、2次導関数の行列である)。この正の値は、対象とする点がキャップまたはカップを構成する場合にのみ、大きい。この点の元の画像の値が乗算されると、カップはマップ上に小さい値を生成し、キャップは大きい値を生成する。したがって、負の曲率の項303の最小化によって、すべての点25(すべての位置に対する点の和)が特徴の画像201上の特徴20の位置の方へ向かうことが保証される。
【0049】
エネルギー汎関数は、E(P)=αF(P)+βG(P)+γH(P)として与えてよい。ここで、α、β、及びγは、重み付け係数であって、P=(p1,1、p1,2、・・・pn,m)は格子モデル203と204の点25であって、そして、対応する項は、それぞれ次のように与えられる。距離の項301として、
【数4】
【0050】
ここで、f(p,q)=(Dinterspot-d(p,q))2であって、Dinterspot は距離31の初期値であり、そして、d(p,q)は、辺28によって連結される2つの点25のpとqの最新の距離31を表す。
【0051】
そして、直交性の項302として、
【数5】
【0052】
ここで、
【0053】
である。そして、上述の曲率マップに基づく曲率の項303として
【数6】
【0054】
格子モデル204を適合させた後、各点25の座標は、図4Aに示すように特徴の画像401を抽出するのに使用される。上記のように、特徴20は、最高4つの隣接画像21に見出される場合がある。特定の実施形態において、この特徴は、格子モデル204を低減された解像度の画像上に適合させることによって得られる座標を使用して、隣接する高解像度画像から生成される高解像度合成スポット画像となってよい。
【0055】
図4Bは、大きなマイクロアレイに適合させた格子モデル204を含む特定の実施形態の結果を示しており、差し込み図で示すように、赤いsiRNAスポット画像上への格子の重ね合わせと同様に欠落したスポットの検出27を示している。印刷されなかったスポットは、自動的に検出され、以下の方法で更なる解析から除外することができる。適合した格子モデル204の点25によって与えられる、各スポットの理論的な位置の近傍は、正しく印刷されたスポットに対しては、比較的強いスポット強度と曲率を有する像を示すはずである。したがって、アレイ上の正規分布より低い強度と曲率を示す像は、非印刷のスポットと見なされ、除去される。
【0056】
siRNAスポットを含むマイクロアレイから得られる画像を使用することができる。スポットチャンネルから得られるそのような画像の一例が、図5に与えられている。画像は、4つのスポット50と51を含み、それらのうちの1つのスポット50は全体が画像上にあって、残りの3つのスポット51は部分的にしか見えない。
【0057】
一旦、格子モデル204が適合され、そして、特徴画像401が、自動的に1つずつ抽出されると、それら特徴画像は、更なるアルゴリズムを使用して解析することができる。こうして、各々が画像ごとに中心に置かれた単一の特徴を有するアノテーション付の画像の流れが生成される。このアプリケーション領域の大部分の画像解析アルゴリズムは、特に単一スポットにある細胞を解析するようになっているので、本発明の一実施形態で開示されるようなマイクロアレイ上のスポットの解析にとっては、この種の画像は、有利である。
【0058】
本発明の記載された機能と特性は、任意の組み合せでも本発明のために重要な場合がある。
【符号の説明】
【0059】
1:撮像装置 図1
10:画像取得装置
11:基板の画像
12:解析装置
121:画像解像度を減らすステップ
122:格子モデルを適合させるステップ
123:特徴の画像を抽出するステップ
124:特徴の抽出画像を解析するステップ
13:印刷装置
131:基板
132:アノテーションファイル
14:データベース
201:特徴の画像 図2
20:特徴
21:画像
202:画像上の特徴の位置
22:中心に特徴を有する画像
23:複数の特徴を有する画像
203:初期の格子モデル
24:角(かど)の点
25:点
28:辺
204:適合させた格子モデル
26:特徴に適合した点
27:欠落した特徴に適合した点
301:距離の項 図3
31:距離
302:直交性の項
32:角度
33:点
34:隣接点
303:曲率の項
401:特徴の抽出画像 図4
402:適合させた格子モデル
5:スポットを含むマイクロアレイの部分画像 図5
50:スポット
51:部分スポット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の特徴(20)を撮像する方法であって、本方法は、
前記基板を走査して、その画像(21)を生成することと、
格子モデル(203)を前記画像(21)に重ね合わせることと、
前記格子モデル(204)を、前記画像(21)上の少なくとも幾つかの特徴(20)の位置に適合させることと、
前記特徴(20)の画像を抽出することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記格子モデル(203)が、前記基板上の前記特徴(20)の前記位置のパターンに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記格子モデル(203)が、正規格子、直線格子、デカルト格子、多角形格子、及び六角形格子を含むグループのうちの1つの格子に基づく、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記重ね合わせは、大まかな近似によって前記基板上の幾つかの前記特徴(20)の位置を決定することと、前記格子モデル(203)の幾つかの前記点(25)を前記位置に重ねることとを含む、請求項1から3のうちの1つに記載の方法。
【請求項5】
前記画像(21)のサイズが、前記格子モデル(203)を適合させる前に、縮小される、請求項1から4のうちの1つに記載の方法。
【請求項6】
前記画像(21)が、前記格子モデル(203)を適合させる前に、処理され、この処理が、フィルター適用、平滑化、エッジ強調、及び色順応のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から5のうちの1つに記載の方法。
【請求項7】
前記適合させることが、前記格子モデル(203)のエネルギー汎関数の結果の反復最適化を含む、請求項1から6のうちの1つに記載の方法。
【請求項8】
前記エネルギー汎関数の結果が最小化され、かつ前記エネルギー汎関数は、E(P)=αF(P)+βG(P)+γH(P)と定義され、
ここで、α、β、及びγは重み付け係数であり、
F(P)は、前記格子モデル(203)の隣接点(25)間の距離(31)によって決まる距離の項(301)であり、
G(P)は、前記格子モデル(203)の直交性の項(302)であり、
H(P)は、前記画像(21)の曲率マップから計算される、前記特徴(20)の前記位置からの前記格子モデル(203)の前記点(25)の偏位によって決定される曲率の項(303)であり、そして、それぞれの項は、
【数1】
であり、ただし、f(p,q)=(Dinterspot-d(p,q))2
【数2】
であり、ただし、
であって、
【数3】
で与えられる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記格子モデル(203)を少なくとも幾つかの前記特徴(20)の前記位置に適合させることは、前記格子モデル(203)の前記点(25)を前記特徴(20)の中心に適合させることを含む、請求項1から8のうちの1つに記載の方法。
【請求項10】
前記特徴(20)が、マイクロアレイ上のスポットである、請求項1から9のうちの1つに記載の方法。
【請求項11】
前記マイクロアレイが、siRNAトランスフェクトされた細胞の成長の結果を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
撮像装置(1)であって、
特徴の基板(131)を走査し、少なくともその部分画像(11)を生成するように適合されている画像取得装置(10)と、
前記画像(11)の前記特徴の位置を特定して、格子モデルを前記画像(11)上に重ね合わせ、前記格子モデルを少なくとも幾つかの前記特徴の前記位置に適合(122)させ、前記特徴の画像を抽出(123)するように適合されている解析装置(12)と、
を含む、画像装置。
【請求項13】
前記基板(131)上の前記特徴が、パターンに従って配置され、そのパターンは、正規格子(regular grid)、直線格子(rectilinear grid)、デカルト格子、多角形格子、及び六角形格子を含むグループのなかの1つの格子である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記基板(131)が、スポットを含むマイクロアレイであって、前記画像取得装置(10)が、細胞より細かい解像度を有する前記画像(11)を生成するように適合される、請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
基板(131)上に前記特徴を製作する印刷装置(13)と、前記特徴の前記位置を含むアノテーションファイル(132)とを更に含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記印刷装置(13)は、スポットを生成し、そして、
前記マイクロアレイがライブラリ全体、ライブラリのサブセット、またはそれらの任意の組み合せに相当するように、各スポットに対して、ライブラリの核酸、またはライブラリの合成物が塗布され、そのライブラリがRNAiライブラリ、siRNAライブラリ、または合成物ライブラリ/cDNAライブラリを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項1】
基板上の特徴(20)を撮像する方法であって、本方法は、
前記基板を走査して、その画像(21)を生成することと、
格子モデル(203)を前記画像(21)に重ね合わせることと、
前記格子モデル(204)を、前記画像(21)上の少なくとも幾つかの特徴(20)の位置に適合させることと、
前記特徴(20)の画像を抽出することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記格子モデル(203)が、前記基板上の前記特徴(20)の前記位置のパターンに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記格子モデル(203)が、正規格子、直線格子、デカルト格子、多角形格子、及び六角形格子を含むグループのうちの1つの格子に基づく、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記重ね合わせは、大まかな近似によって前記基板上の幾つかの前記特徴(20)の位置を決定することと、前記格子モデル(203)の幾つかの前記点(25)を前記位置に重ねることとを含む、請求項1から3のうちの1つに記載の方法。
【請求項5】
前記画像(21)のサイズが、前記格子モデル(203)を適合させる前に、縮小される、請求項1から4のうちの1つに記載の方法。
【請求項6】
前記画像(21)が、前記格子モデル(203)を適合させる前に、処理され、この処理が、フィルター適用、平滑化、エッジ強調、及び色順応のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から5のうちの1つに記載の方法。
【請求項7】
前記適合させることが、前記格子モデル(203)のエネルギー汎関数の結果の反復最適化を含む、請求項1から6のうちの1つに記載の方法。
【請求項8】
前記エネルギー汎関数の結果が最小化され、かつ前記エネルギー汎関数は、E(P)=αF(P)+βG(P)+γH(P)と定義され、
ここで、α、β、及びγは重み付け係数であり、
F(P)は、前記格子モデル(203)の隣接点(25)間の距離(31)によって決まる距離の項(301)であり、
G(P)は、前記格子モデル(203)の直交性の項(302)であり、
H(P)は、前記画像(21)の曲率マップから計算される、前記特徴(20)の前記位置からの前記格子モデル(203)の前記点(25)の偏位によって決定される曲率の項(303)であり、そして、それぞれの項は、
【数1】
であり、ただし、f(p,q)=(Dinterspot-d(p,q))2
【数2】
であり、ただし、
であって、
【数3】
で与えられる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記格子モデル(203)を少なくとも幾つかの前記特徴(20)の前記位置に適合させることは、前記格子モデル(203)の前記点(25)を前記特徴(20)の中心に適合させることを含む、請求項1から8のうちの1つに記載の方法。
【請求項10】
前記特徴(20)が、マイクロアレイ上のスポットである、請求項1から9のうちの1つに記載の方法。
【請求項11】
前記マイクロアレイが、siRNAトランスフェクトされた細胞の成長の結果を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
撮像装置(1)であって、
特徴の基板(131)を走査し、少なくともその部分画像(11)を生成するように適合されている画像取得装置(10)と、
前記画像(11)の前記特徴の位置を特定して、格子モデルを前記画像(11)上に重ね合わせ、前記格子モデルを少なくとも幾つかの前記特徴の前記位置に適合(122)させ、前記特徴の画像を抽出(123)するように適合されている解析装置(12)と、
を含む、画像装置。
【請求項13】
前記基板(131)上の前記特徴が、パターンに従って配置され、そのパターンは、正規格子(regular grid)、直線格子(rectilinear grid)、デカルト格子、多角形格子、及び六角形格子を含むグループのなかの1つの格子である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記基板(131)が、スポットを含むマイクロアレイであって、前記画像取得装置(10)が、細胞より細かい解像度を有する前記画像(11)を生成するように適合される、請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
基板(131)上に前記特徴を製作する印刷装置(13)と、前記特徴の前記位置を含むアノテーションファイル(132)とを更に含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記印刷装置(13)は、スポットを生成し、そして、
前記マイクロアレイがライブラリ全体、ライブラリのサブセット、またはそれらの任意の組み合せに相当するように、各スポットに対して、ライブラリの核酸、またはライブラリの合成物が塗布され、そのライブラリがRNAiライブラリ、siRNAライブラリ、または合成物ライブラリ/cDNAライブラリを含む、請求項15に記載の装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【公表番号】特表2011−527890(P2011−527890A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517782(P2011−517782)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004951
【国際公開番号】WO2010/006727
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(509080129)インスティチュート・パスツール・コリア (6)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT PASTEUR KOREA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004951
【国際公開番号】WO2010/006727
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(509080129)インスティチュート・パスツール・コリア (6)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT PASTEUR KOREA
【Fターム(参考)】
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