説明

基板厚み測定装置及び基板厚み測定方法

【課題】樹脂基板の厚みを再現性良く測定することが可能な基板厚み測定装置及び基板厚み測定方法を提供する。
【解決手段】樹脂基板1がテーブルに搭載されていない状態で、基準棒12の先端の平坦面12fをテーブル11に接触させると共に、接触センサ13の先端部13tをテーブル11に接触させて、接触センサ13とテーブル11との接触位置を基準値として保持し、樹脂基板1がテーブル11に搭載された状態で、基準棒12の先端の平坦面12fを樹脂基板1の上面に接触させると共に、接触センサ13の先端部13tをテーブル11に接触させて、接触センサ13とテーブル11との接触位置を測定値とし、基準値と測定値との差分から樹脂基板1の厚みを求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板厚み測定装置及び基板厚み測定方法に関し、特に、接触式のセンサを用いて樹脂基板の厚みを測定する基板厚み測定装置及び基板厚み測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェーハを研磨する両面研磨装置で使用されるキャリアプレートは、ガラスエポキシ等の樹脂基板を使用することがある。キャリアプレートは、その厚みのバラツキによって研磨精度が低下してしまうため、複数のキャリアプレート間で厚みのバラツキを小さく抑えなければならない。そのため、キャリアプレートの厚みを再現性良く測定することが必要となる。
【0003】
従来、キャリアプレートの厚みの測定は、作業者がマイクロメーターを使用して行っていたが、測定の再現性が悪く、また、測定枚数の増大にともない自動化が望まれていた。
【0004】
基板の厚みを精度良く測定する方法としては、レーザーセンサや静電容量センサ等の非接触センサにより厚みを測定する方法が知られている。しかし、キャリアプレートはガラスエポキシ等の樹脂製であり、半透明・非導電性であることから、非接触センサによる測定では、測定結果に大きなバラツキが生じるおそれがある。
【0005】
なお、特許文献1には、ガラスエポキシ等の被測定基板の状態を測定する基板状態測定装置が開示されているが、同文献では、基板の表面状態の測定にCCDカメラを使用しており、ミクロンオーダーでの測定には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3277531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のとおり、非接触センサでは、キャリアプレートの厚み測定は困難であることから、接触センサを用いることが好ましい。
【0008】
しかしながら、キャリアプレートの表面に接触センサを直接接触させて測定を行なうと、測定結果がバラツキ、所期の測定精度を得ることができないことが判明した。これは、キャリアプレートの材質が樹脂であることから、物理的硬度が比較的低く、センサの細い先端部が接触すると表面が凹んでしまうためと考えられる。
【0009】
したがって、本発明は、キャリアプレート等の樹脂基板の厚みを再現性良く測定することが可能な基板厚み測定装置及び基板厚み測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による基板厚み測定装置は、樹脂基板の厚みを測定する装置であって、前記樹脂基板が搭載されるテーブルと、下端に平坦面を有する基準部材と、先端部が前記基準部材の下端よりも僅かに下方に位置すると共に上下方向に伸縮するバネ部を有する接触センサと、前記基準部材及び前記接触センサを一体的に支持する支持部材と、前記支持部材と共に前記基準部材及び前記接触センサを昇降する昇降機構と、前記昇降機構の動作を制御すると共に前記接触センサの出力を処理する制御部とを備え、前記制御部は、前記樹脂基板が前記テーブルに搭載されていない状態で、前記基準部材の下端の平坦面を前記テーブルに接触させると共に、前記接触センサの先端部を前記テーブルに接触させて、前記接触センサと前記テーブルとの接触位置を基準値として保持し、前記樹脂基板が前記テーブルに搭載された状態で、前記基準部材の下端の平坦面を前記樹脂基板の上面に接触させると共に、前記接触センサの先端部を前記テーブルに接触させて、前記接触センサと前記テーブルとの接触位置を測定値とし、前記基準値と前記測定値との差分から前記樹脂基板の厚みを求めることを特徴とする。
【0011】
また、本発明による基板厚み測定方法は、支持部材によって一体的に支持された基準部材及び接触センサを用いて樹脂基板の厚みを測定する基板厚み測定方法であって、前記基準部材の下端の平坦面をテーブルに接触させると共に、前記接触センサの先端部を前記テーブルに接触させて、前記接触センサと前記テーブルとの接触位置を基準値として保持し、前記樹脂基板を前記テーブル上に搭載し、前記基準部材の下端の平坦面を前記樹脂基板の上面に接触させると共に、前記接触センサの先端部を前記テーブルに接触させて、前記接触センサと前記テーブルとの接触位置を測定値とし、前記基準値と前記測定値との差分から前記樹脂基板の厚みを求めることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、樹脂基板が搭載されるテーブルに接触センサの先端部を接触させ、樹脂基板には基準部材の下端の平坦面を接触させる構成としていることにより、接触センサの細い先端を樹脂基板に直接接触させないことから、測定時に樹脂基板の表面が凹むことが抑制されるため、精度の高い測定が可能となる。
【0013】
本発明による基板厚み測定装置は、前記基準部材及び前記接触センサを自重により落下させて前記樹脂基板の上面及び前記テーブルにそれぞれ接触させることが好ましい。これによれば、基準部材及び接触センサをエアーや電動で樹脂基板の上面及びテーブルに押圧するのと異なり、常に同じ圧力で接触させることができ、測定誤差を低減することが可能となる。
【0014】
本発明による基板厚み測定装置は、少なくとも前記基準部材に接続されたウエイトをさらに備え、前記自重は前記ウエイトの重さを含むことが好ましい。これによれば、ウエイトの重さを変化させることにより、基準部材と接触センサを落下させた際、基準部材の下端の平坦面が樹脂基板の表面に完全に接触し、且つ、樹脂基板表面にダメージを与えない面圧となるように調整することが可能となる。
【0015】
本発明による基板厚み測定装置は、前記樹脂基板の帯電を除去する静電気除去機構をさらに備えることが好ましい。これによれば、静電気により非測定面に塵や埃が付着することを防止することができ、塵や埃による測定誤差を低減させることができる。
【0016】
本発明において、前記樹脂基板は、ガラスエポキシ等の非導電性且つ半透明性を有する基板であることが好ましい。このような基板材料は、非接触センサによる測定が困難であり、本発明において特に効果を奏するものである。
【0017】
前記樹脂基板は、シリコンウェーハを研磨する両面研磨装置で使用される円盤状のキャリアプレートであることが好ましい。キャリアプレートには非常に高い厚み精度が要求されるが、本発明によればその厚みを高精度に測定することができ、顕著な効果を奏することができる。
【0018】
前記キャリアプレートは、中心から偏心した位置に前記シリコンウェーハの収容部である円形の開口部を有し、前記基準部材及び前記接触センサは、前記キャリアプレートの中心と前記開口部の中心とを結ぶ直線上に配置され、前記接触センサは、前記円形の開口部から露出する前記テーブルと接触することが好ましい。また、接触センサを接触させる面として開口部内に露出するテーブルを利用した場合には、測定部の設置位置ができるだけキャリアプレートの中心寄りとなるため、装置全体の小型化を図ることができる。
【0019】
本発明による基板厚み測定装置は、前記直線上の一端側の厚みを測定する第1の基板厚み測定部と、前記直線上の他端側の厚みを測定する第2の基板厚み測定部とを備えることが好ましい。これによれば、キャリアプレートにおいて厚みバラツキが最も問題となる中心付近と外周付近との2カ所を測定できるため測定精度を向上させるができる。
【発明の効果】
【0020】
このように、本発明によれば、キャリアプレート等の樹脂基板の厚みを再現性良く測定することが可能な基板厚み測定装置及び基板厚み測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の好ましい実施形態による基板厚み測定装置10の構成を説明するための略断面図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態による基板厚み測定装置10の構成を説明するための略平面図である。
【図3】測定部100の詳細を示す模式図である。
【図4】キャリアプレート1の厚みを測定する際の測定位置を説明するための概略斜視図である。
【図5】基板厚み測定装置10の動作を説明するための模式図である。
【図6】基板厚み測定装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】(a)は実施例の結果を示すグラフであり、(b)は比較例の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
図1及び図2は、本発明の好ましい実施形態による基板厚み測定装置10の構成を説明するための模式図であり、図1は断面図、図2は平面図を示している。
【0024】
図1及び図2に示すように、本実施形態による基板厚み測定装置10はキャリアプレートの厚みを測定するものであり、キャリアプレート1が搭載されるテーブル11と、テーブル11の上方に設けられた2つの測定部100A,100Bと、測定部100A,100Bを制御する制御部16とを備えて構成されている。測定部100A,100Bの各々は、基準棒12、接触センサ13、支持部材14、及び昇降機構15を備えている。測定部100A,100Bは共にテーブル11の上方に架設された梁部11bに固定されている。梁部11bは一枚の金属板をコの字状に折り曲げて形成されている。また、基板厚み測定装置10は、テーブル11上に設けられたキャリアプレート1の外周と略同一の大きさの開口を有するセラミック定盤17を有している。キャリアプレート1は、セラミック定盤17の開口にはめ込まれるように載置され、固定されている。
【0025】
円盤状のキャリアプレート1は、その中心から偏心した位置にシリコンウェーハの収容部である円形の開口部1opを有している。キャリアプレート1は、非導電性且つ半透明性を有する基板であり、ガラスエポキシからなる。また、テーブル11は例えばセラミックからなり、キャリアプレート1よりも十分高い硬度を有している。
【0026】
キャリアプレート1は、上記のとおり非導電性であることから、非常に帯電しやすい。そのため、静電気によりキャリアプレート1の非測定面に塵や埃が付着しやすく、これにより測定値のバラツキが大きくなるおそれがある。そこで、本実施形態による基板厚み測定装置10は、キャリアプレート1の帯電を除去する静電気除去機構としてイオナイザ18を備えている。イオナイザ18によって雰囲気中の空気をイオン化し、イオンを発生させることにより、キャリアプレート1の静電気を中和させることができる。
【0027】
図3は、測定部100(100A,100B)の詳細を示す模式図である。
【0028】
図3に示すように、基準棒12と接触センサ13は、隣接して配置されるように支持部材14によって一体的に支持されている。昇降機構15は、支持部材14と共に基準棒12及び接触センサ13を昇降可能に構成されている。昇降機構15の動作は制御部16によって制御される。測定部100は、その上部にウエイト(デッドウェイト)19を備えており、ウエイト19は少なくとも基準棒12に接続されている。昇降機構15は、シリンダ15cを備えており、支持部材14により支持された基準棒12及び接触センサ13の上昇は、シリンダ15cにより行なわれる。一方、基準棒12と接触センサ13の降下は、シリンダ15cの加圧を解放し、基準棒12及び接触センサ13の自重(支持部材14及びウエイト19の重さを含む)により落下させることにより行なわれる。このように、自重により落下させる構成により、基準棒12及び接触センサ13の先端部13tを非測定部に常に同じ圧力で接触させることができる。
【0029】
また、図3に示すように、基準棒12は、その先端に平坦面12fを有している。接触センサ13は、上下方向に伸縮するバネ部13sを有しており、上昇した位置においては、接触センサ13の先端部13tは基準棒12の先端の平坦面12fよりも僅かに下方に位置している。
【0030】
図4は、キャリアプレート1の厚みを測定する際の測定位置を説明するための概略斜視図である。
【0031】
図4に示すように、キャリアプレート1の厚みの測定においては、2カ所の測定位置20A,20Bに測定部100A,100Bがそれぞれ配置される。測定位置20A,20Bは、キャリアプレート1の中心点O1とキャリアプレート1の開口部1opの中心点O2とを結ぶ直線Aと、開口部1opの外周とが交差する部分であり、特に測定位置20Aはキャリアプレート1の外周部に近い位置に設定されており、測定位置20Bはキャリアプレート1の中心点O1に近い位置に設定されている。各測定位置20A,20Bにおいて、キャリアプレート1上の測定点21に基準棒12の先端が当接され、テーブル11上の測定点22に接触センサ13の先端部13tが当接される。
【0032】
以上のような構成の基板厚み測定装置10によるキャリアプレート1の厚みの測定は、制御部16により、以下のように行なわれる。
【0033】
図5は、基板厚み測定装置10の動作を説明するための模式図である。
【0034】
まず、図5(a)に示すように、キャリアプレート1がテーブル11上に搭載されていない状態で、基準棒12及び接触センサ13を支持部材14とともに自重により落下させ、基準棒12の先端の平坦面12fをテーブル11の表面に接触させると共に、接触センサ13の先端部13tをテーブル11の表面に接触させて、接触センサ13とテーブル11との接触位置を基準値として保持する(以下、「ゼロ調整」という。)。接触センサ13は、図3に示したように、上昇した位置においてはその先端部13tが基準棒12の先端の平坦面12fよりもわずかに下方に位置しているが、ゼロ調整においては、図5(a)に示すように接触センサ13のバネ部13sが縮み、基準棒12の先端の平坦面12fと縦方向における位置が揃った状態となる。
【0035】
次に、図5(b)に示すように、キャリアプレート1がテーブル11上に搭載された状態で、基準棒12及び接触センサ13を支持部材14とともに自重により落下させ、基準棒12の先端の平坦面12fをキャリアプレート1の上面に接触させると共に、接触センサ13の先端部13tをテーブル11の表面に接触させて、接触センサ13とテーブル11との接触位置を測定値として保持する。このとき、接触センサ13のバネ部13sは、ゼロ調整時よりも伸びた状態となる。ここで、本実施形態では、測定部を2つ(100A,100B)備えており、2カ所の測定位置20それぞれに対し測定を行なうことから2つの測定値が得られる。
【0036】
そして、基準値と測定値との差分からキャリアプレート1の厚みを求める。なお、ゼロ調整は、複数枚のキャリアプレート1の厚み測定を行なう場合、一枚の測定の度に毎回行なう必要はなく、例えば所定枚数の測定を行なう毎に行なえば十分である。
【0037】
このように、キャリアプレート1が搭載されるテーブル11の表面に接触センサ13の先端部13tを接触させる一方、キャリアプレート1には基準棒12の先端の平坦面12fを接触させて測定を行なう。これにより、接触センサ13の細い先端部13tがキャリアプレート1の表面に直接接触することがない。すなわち、キャリアプレート1の表面には点ではなく平面が接するため、接触部にかかる圧力(面圧)が緩和されることから、測定時に樹脂基板であるキャリアプレート1の表面が凹むことが抑制される。また、テーブル11の表面は、上述のとおり十分高い硬度を有しているため、接触センサ13の細い先端部13tが接触してもその部分が凹むことはほとんどない。したがって、精度の高い測定が可能となる。
【0038】
また、上述のとおり、基準棒12と接触センサ13を自重(支持部材14及びウエイト19の重さを含む)により落下させることにより、基準棒12及び接触センサ13の先端をそれぞれテーブル11及びキャリアプレート1の表面に常に同じ圧力で接触させることができることから、測定誤差を低減することが可能となる。なお、ウエイト19の重さは、基準棒12と接触センサ13を落下させた際、基準棒12の先端の平坦面12fがキャリアプレート1の表面に完全に接触し、且つ、キャリアプレート1表面にダメージを与えない面圧となるように調整される。圧力不足でシリンダ15cが降下しなかったり、本来よりも厚めの値が測定されたりすることがないよう、ウエイト19の重さを適切に設定することが好ましい。
【0039】
次に、基板厚み測定装置10の動作につき、図6のフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、ここでは、ゼロ調整が行なわれた後の動作につき説明する。
【0040】
まず、イオナイザ18によりキャリアプレート1の表面にイオンを吹き付けることによりキャリアプレート1の静電気を除去する(ステップS1)。次に、測定位置20において、支持部材14により支持された基準棒12及び接触センサ13を昇降機構15のシリンダ15cにより上昇させた状態から、シリンダ15cの加圧を解放し、自重により降下させる(ステップS2)。続いて、測定位置20において接触センサ13とテーブル11との接触位置を測定する(ステップS3)。その後、ゼロ調整によって得られた基準値とステップS3で得られた測定値との差分を演算する(ステップS4)。演算終了後、支持部材14により支持された基準棒12及び接触センサ13並びにウエイト19を昇降機構15のシリンダ15cにより再度上昇させる(ステップS5)。
【0041】
以上により、基板厚み測定装置10によるキャリアプレート1の厚み測定が終了する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態による基板厚み測定装置10は、キャリアプレート1が搭載されたテーブル11上に接触センサ13の先端部13tを接触させ、キャリアプレート1には基準棒12の先端の平坦面を接触させるので、接触センサ13の細い先端が樹脂基板11に直接接触することがない。したがって、測定時に樹脂基板の表面が凹むことを抑制することができ、精度の高い測定が可能となる。また特に、基準棒12及び接触センサ13を自重により落下させてキャリアプレートの上面及び前記テーブルにそれぞれ接触させるので、基準棒12及び接触センサ13をキャリアプレート1の上面及びテーブル11に過度に強く押しつけることがない。したがって、測定時に樹脂基板の表面が凹むことを確実に防止することができ、測定誤差を低減することができる。
【0043】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0044】
例えば、上記実施形態は、シリコンウェーハを研磨する両面研磨装置で使用されるキャリアプレートの測定に適用した場合を挙げたが、本発明の適用対象はキャリアプレートに限られるものではなく、樹脂製の基板の厚み測定全般に適用可能である。
【0045】
また、上記実施形態による基板厚み測定装置10は、2つの測定部100A,100Bを備えているが、測定部は1つであってもよく、3つ以上であってもかまわない。また、測定位置も上述した位置に限定されない。
【0046】
また、上記実施形態においては、イオナイザ18によりキャリアプレート1の表面にイオンを吹き付けてキャリアプレート1の静電気を除去した後、キャリアプレート1の厚み測定を開始しているが、イオナイザ18で常に静電気除去を行いながら、キャリアプレート1の測定開始及び終了を繰り返し行ってもよい。
【0047】
また、上記実施形態においては、接触センサ13に対する基準部材として基準棒12を用いているが、本発明は必ずしも棒状の部材に限定されず、下端に平坦面を有する種々の部材を用いることができる。
【実施例】
【0048】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
【0049】
[実施例]
上記実施形態による基板厚み測定装置10を用いて、ガラスエポキシ製のキャリアプレートの厚みの測定を繰り返し行なった。被測定キャリアプレートの厚さは、マイクロメーターでの測定で800μmであったものを用いた。測定の繰り返し回数は600回とした。基準棒の先端の面積は16mm、ウエイトの重さは3454gとした。接触センサは精度がおよそ0.01μmのものを用いた。
【0050】
測定の結果、図7(a)に示すように、測定回数が300〜500回の辺りで測定結果が799μmとなったが、その他では全て800μmとなり、測定結果のバラツキを1μm以内に抑えることができることが確認された。
【0051】
[比較例]
エアシリンダを用いた加圧により接触センサをキャリアプレートに直接当てる従来の基板厚み測定装置を用いて、ガラスエポキシ製のキャリアプレートの厚みの測定を繰り返し行なった。被測定キャリアプレートは、上記実施例と同一のものを用いた。測定の繰り返し回数は600回とした。接触センサは上記実施例と同様、精度がおよそ0.01μmのものを用いた。
【0052】
測定の結果、図7(b)に示すように、測定回数の少ない段階では、測定結果は800μmとなったが、その後、測定回数が増えるのに従い、測定結果は799μm、798μmとなり、最終的には797μmまで下がった。このように、測定結果のバラツキが3μmとなることが確認された。
【符号の説明】
【0053】
1 キャリアプレート(樹脂基板)
1op キャリアプレートの開口部
O1 キャリアプレートの中心点
O2 キャリアプレートの開口部の中心点
10 測定装置
11 テーブル
12 基準棒
12f 基準棒の平坦面
13 接触センサ
13s 接触センサのバネ部
13t 接触センサの先端部
14 支持部材
15 昇降機構
15c シリンダ
16 制御部
17 セラミック定盤
18 イオナイザ
19 ウエイト
20A,20B 測定位置
21,22 測定点
100A,100B 測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂基板の厚みを測定する装置であって、
前記樹脂基板が搭載されるテーブルと、
下端に平坦面を有する基準部材と、
先端部が前記基準部材の下端よりも下方に位置すると共に上下方向に伸縮するバネ部を有する接触センサと、
前記基準部材及び前記接触センサを一体的に支持する支持部材と、
前記支持部材と共に前記基準部材及び前記接触センサを昇降する昇降機構と、
前記昇降機構の動作を制御すると共に前記接触センサの出力を処理する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記樹脂基板が前記テーブルに搭載されていない状態で、前記基準部材の下端の平坦面を前記テーブルに接触させると共に、前記接触センサの先端部を前記テーブルに接触させて、前記接触センサと前記テーブルとの接触位置を基準値として保持し、
前記樹脂基板が前記テーブルに搭載された状態で、前記基準部材の下端の平坦面を前記樹脂基板の上面に接触させると共に、前記接触センサの先端部を前記テーブルに接触させて、前記接触センサと前記テーブルとの接触位置を測定値とし、
前記基準値と前記測定値との差分から前記樹脂基板の厚みを求めることを特徴とする基板厚み測定装置。
【請求項2】
前記基準部材及び前記接触センサを自重により落下させて前記樹脂基板の上面及び前記テーブルにそれぞれ接触させることを特徴とする請求項1に記載の基板厚み測定装置。
【請求項3】
少なくとも前記基準部材に接続されたウエイトをさらに備え、前記自重は前記ウエイトの重さを含むことを特徴とする請求項2に記載の基板厚み測定装置。
【請求項4】
前記樹脂基板の帯電を除去する静電気除去機構をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板厚み測定装置。
【請求項5】
前記樹脂基板は、非導電性且つ半透明性を有する基板であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板厚み測定装置。
【請求項6】
前記樹脂基板は、シリコンウェーハを研磨する両面研磨装置で使用される円盤状のキャリアプレートであることを特徴とする請求項4又は5に記載の基板厚み測定装置。
【請求項7】
前記キャリアプレートは、中心から偏心した位置に前記シリコンウェーハの収容部である円形の開口部を有し、
前記基準部材及び前記接触センサは、前記キャリアプレートの中心と前記開口部の中心とを結ぶ直線上に配置され、前記接触センサは、前記円形の開口部から露出する前記テーブルと接触することを特徴とする請求項6に記載の基板厚み測定装置。
【請求項8】
前記直線上の一端側の厚みを測定する第1の基板厚み測定部と、前記直線上の他端側の厚みを測定する第2の基板厚み測定部とを備えることを特徴とする請求項7に記載の基板厚み測定装置。
【請求項9】
支持部材によって一体的に支持された基準部材及び接触センサを用いて樹脂基板の厚みを測定する基板厚み測定方法であって、
前記基準部材の下端の平坦面をテーブルに接触させると共に、前記接触センサの先端部を前記テーブルに接触させて、前記接触センサと前記テーブルとの接触位置を基準値として保持し、
前記樹脂基板を前記テーブル上に搭載し、前記基準部材の下端の平坦面を前記樹脂基板の上面に接触させると共に、前記接触センサの先端部を前記テーブルに接触させて、前記接触センサと前記テーブルとの接触位置を測定値とし、
前記基準値と前記測定値との差分から前記樹脂基板の厚みを求めることを特徴とする基板厚み測定方法。
【請求項10】
前記基準部材及び前記接触センサを自重により落下させて前記樹脂基板の上面及び前記テーブルにそれぞれ接触させることを特徴とする請求項9に記載の基板厚み測定方法。
【請求項11】
前記支持部材は少なくとも前記基準部材に接続されたウエイトを備え、前記自重は前記ウエイトの重さを含むことを特徴とする請求項10に記載の基板厚み測定方法。
【請求項12】
前記樹脂基板を前記テーブル上に搭載した後、前記樹脂基板の帯電を除去することを特徴とする請求9乃至11のいずれか一項に記載の基板厚み測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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