説明

基板固定用クランプ

【課題】基板の加工や検査時、前記基板を固定するための基板固定部とベースとを異なる色で形成することにより、測定機のような機械的装置を利用して測定しなくても、基板固定部の摩耗の程度を容易に識別して入れ替え周期を判断することができる基板固定用クランプを提供する。
【解決手段】構造物に配置されて基板を固定する基板固定用クランプである。構造物に設けられるベース11と、ベース11上に形成され、基板に接触する基板固定部12と、を含み、基板固定部12がベース11と異なる色で形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板固定用クランプに関する。
【背景技術】
【0002】
基板の製造工程において、基板の加工や検査が必ず伴っており、特に、前記基板を出荷する前に行われる検査により、機能に異常があるか否かを正確に判断することが非常に重要である。
【0003】
このような基板の加工や検査は、一例として、通常フィクスチャ(Fixture)と称されるジグ(Jig)を利用して、全体ネット(Net)を一度に行う方法があり、他の例として、プローブ(Probe)を利用して部分的に行う方法がある。
【0004】
この際、前記ジグを利用して基板の加工や検査を行う場合、基板を固定(Clamping)するためには、クランプ(Clamp)を含んでいるワークホルダ(Work Holder)という装置が必要である。ここで、前記ワークホルダは、全体フレーム(Frame)の役割をするホルダ(Holder)、基板を支持するためのプレート(Plate)、及び基板を固定するクランプを含む。
【0005】
特許文献1は、前記クランプを含む検査装置に関するものであり、明細書6〜7ページ及び図5に記載されているように、クランプの上、下への回動により基板の各角を固定して、前記基板に対する検査が行われるようにしている。
【0006】
また、特許文献2は、前記クランプを含む加工装置に関するものであり、明細書5〜6ページ及び図5bに記載されているように、ワークテーブル(Work Table)に設けられているクランプの駆動によりロードされた基板の側面を支持固定して、加工が行われるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2005−0091356号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10−2009−0109871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前記特許文献1、特許文献2を含む従来の特許文献に開示されているクランプは、基板を固定するための機能性のみを考慮しているだけで、前記クランプを用いる際に必然的に発生している入れ替えに対しては全く考慮しておらず、このため、前記基板の加工や検査工程における時間的、空間的損失が発生するという問題点がある。
【0009】
即ち、前記クランプは、基板を持続的に、且つ繰り返して支持及び固定しなければならないという特性のため、前記基板との接触部位に物理的摩耗が発生しており、これを放置すると、基板を固定できなくなったり、加工や検査過程で前記基板の分離、曲げや反りなどが発生する可能性がある。このため、現場では、基板を固定する接触部位に摩耗が発生したクランプを入れ替ることを勧奨している。
【0010】
ここで、前記クランプの入れ替え有無に対する判断は、測定機を利用してなされているが、このような測定機を利用して個別クランプに対する摩耗の程度を測定し、これに基づいてクランプの入れ替えを判断する場合、基板の加工や検査工程で前記測定機を別に設けて運用するため、時間的損失だけでなく、空間的損失が発生する。
【0011】
従って、本発明は、測定機のような別の機械的装置を利用して摩耗の程度を測定し、これに基づいてクランプの入れ替え周期を判断することによって生じる問題点を解決するためのものである。
【0012】
本発明の目的は、測定なしで入れ替え周期が把握できるようにした基板固定用クランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を果たすために、本発明は、構造物に配置されて基板を固定する基板固定用クランプであって、前記構造物に設けられるベースと、前記ベース上に形成され、基板に接触する基板固定部と、を含み、前記基板固定部はベースと異なる色で形成されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明による基板固定部は、表面に染料がコーティングされることを特徴とする。
【0015】
また、本発明による基板固定部とベースは、互いに異なる色の染料が混合された樹脂で形成されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明による基板固定部とベースは、互いに異なる色のエポキシ樹脂を射出または鋳造して形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、その境界が区分されるように、基板固定部とベースとを異なる色で形成することにより、基板との物理的衝撃による摩耗の程度を容易に把握し、クランプの入れ替え周期を判断することができる。
【0018】
また、染料をコーティングする方式で基板固定部とベースとを異なる色で形成することにより、境界が確実に区分され、繰り返してコーティングすることが可能であるため、識別力の低下を防止することができる。
【0019】
さらに、互いに異なる色の染料を樹脂に混合して、ベースと基板固定部との境界を区分することにより、物理的衝撃による剥れなどによって識別力が低下することを防止することができる。特に、互いに異なる色のエポキシ樹脂を射出または鋳造する方式は、大量生産に非常に適しているため、クランプの信頼性に関する問題点を迅速に解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるクランプを示す斜視図である。
【図2】本発明によるクランプにより基板を固定することを示す断面図である。
【図3】本発明による基板固定部の摩耗の程度を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施例を添付図面に基づいて詳細に説明すると、次のとおりである。
【0022】
本発明によるクランプ10は、基板の製造工程ラインに配置されている構造物2に設けられるベース11と、基板1を固定するための基板固定部12と、を含み、前記ベース11と基板固定部12との境界12aが区分されるように、異なる色で形成されることを、その技術的構成の基本特徴とする。
【0023】
ここで、前記クランプ10が配置される構造物2は、ホルダ3及び基板支持用プレート4を含むワークホルダ(Work Holder)であることを実施例とし、これを基準に説明することを予め明らかにしておく。
【0024】
但し、これは、本発明を具体的に説明するための一例であり、前記クランプ10は、基板の製造工程において幅広く用いられることができるため、前記構造物2を必ずしもワークホルダに限定するものではない。
【0025】
一方、本発明によるクランプ10は、上述したように、ベース11を含む。前記ベース11は、図1を基準に、クランプ10の後端に該当する部分であり、構造物2の上部、即ち、実施例としてホルダ3の上面に設けられ、クランプ10が流動しないようにする。
【0026】
このようなベース11は、ホール(Hole)形態に形成された締結孔11aを通じて設けられ、前記締結孔11aにボルトを螺子締結して、ホルダ3にボルト結合(Bolting)することにより、クランプ10が設けられるようになる。
【0027】
前記基板固定部12は、上記図1を基準に、クランプ10の先端に該当する部分であり、基板1を実質的に固定して、通常フィクスチャ(Fixture)と称されるジグ(Jig)との連繋性を考慮して上面が階段状に段差形成されている。
【0028】
このような基板固定部12によって側面が固定された基板1の下部は、プレート4により支持される。即ち、図2に示すように、前記基板1の側面を基板固定部12が密着した状態でプレート4が基板1の下部を支持することにより、前記基板1に対する加工や検査が容易に行われるようになる。
【0029】
一方、本発明による基板固定部12は、ベース11と異なる色で形成されて現場に供給されており、これにより、図3に示すように、基板1を固定する過程で発生する摩耗の程度(W)を識別することができる。
【0030】
ここで、前記基板固定部12の色をベース11と異なるように形成する方法は、次のとおりである。まず、基板固定部12の表面に染料をコーティングすることを実施例とする。
【0031】
即ち、ベース11と異なる色の染料を基板固定部12の表面にコーティング処理することにより、前記ベース11との境界12aが区分され、これにより前記基板固定部12のサイズ(S)対比摩耗の程度(W)を識別して、クランプ10の入れ替え周期を判断するようになる。
【0032】
さらに好ましくは、前記ベースが黄色系列である場合、これと対比される色、例えば、赤色の染料を基板固定部12の表面に繰り返してコーティングして、境界12aが確実に区分されるようにすることにより、誰でも容易に摩耗の程度(W)を識別することができるようにする。
【0033】
他の実施例によると、前記基板固定部12とベース11を製造する過程で、互いに異なる色の染料を混合して形成することができる。この際、基板固定部12とベース11は、別にまたは一体に形成することができる。これをより具体的に説明すると次のとおりである。
【0034】
即ち、例えば、黄色の染料が混合されたエポキシ樹脂を利用してベース11を形成し、赤色の染料が混合されたエポキシ樹脂を利用して基板固定部12を形成すると、最終製造されたクランプ10は、黄色のベース11と赤色の基板固定部12とを有するようになる。
【0035】
このような方式は、クランプ10を射出または鋳造して形成することができるため、大量生産に適しており、特に、基板固定部12が基板1を長期的に、且つ繰り返して固定しても、色の褪色や剥れにより識別力が低下することを防止することができる。
【0036】
ここで、本発明によるクランプ10を利用した基板1の固定過程について具体的に説明すると、次のとおりである。まず、ベース11を利用して前記クランプ10をホルダ3に設ける。
【0037】
その後、基板固定部12によって加工や検査のための基板1を固定するが、前記基板1の固定過程で基板固定部12が基板1の側面に接触することにより固定がなされる。
【0038】
一方、加工または電気検査を終了した基板1は、基板固定部12から分離された後、後工程に移送され、新しい基板1が前記基板固定部12に供給され固定される。
【0039】
この際、新しい基板1を固定する前に、図3に示すように、基板固定部12のサイズ(S)に対比して摩耗の程度(W)が激しい場合には、ホルダ3からクランプ10を分離した後、新しいクランプ10を設けて前記基板1を固定する。
【0040】
従って、前記クランプ10の入れ替え周期を誰でも容易に識別して判断することができ、基板1を加工または検査するにおいて、作業性及び安定性を確保するようになる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、測定なしで入れ替え周期が把握できるようにした基板固定用クランプを提供するに適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 基板
2 構造物
3 ホルダ
4 プレート
10 クランプ
11 ベース
11a 締結孔
12 基板固定部
12a 境界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に配置されて基板を固定する基板固定用クランプであって、
前記構造物に設けられるベースと、
前記ベース上に形成され、基板に接触する基板固定部と、を含み、
前記基板固定部はベースと異なる色で形成されることを特徴とする基板固定用クランプ。
【請求項2】
前記基板固定部は、表面に染料がコーティングされることを特徴とする請求項1に記載の基板固定用クランプ。
【請求項3】
前記基板固定部とベースは、互いに異なる色の染料が混合された樹脂で形成されることを特徴とする請求項1に記載の基板固定用クランプ。
【請求項4】
前記基板固定部とベースは、互いに異なる色のエポキシ樹脂を射出または鋳造して形成されることを特徴とする請求項3に記載の基板固定用クランプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−52661(P2012−52661A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184439(P2011−184439)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】