説明

基板実装型の電磁継電器及び電子部品組立体

【課題】基板実装型の電磁継電器において、電磁継電器自体の構造上の方策により、慣性による端子への応力集中を防止できるようにする。
【解決手段】電磁継電器10は、本体14と、本体14から延出する端子16とを備える。端子16は、本体14の一側面14cから突出する基部24及び基部24に交差する方向へ延びる中間部26を有する第1部分28と、第1部分28から延長され、回路基板12に導通接続される接続部30を有する第2部分32と、第1部分28から第2部分32とは別に延長され、本体14の一側面14cに当接される支柱部46を有する第3部分44とを備える。電磁継電器10は、回路基板12に実装された状態で振動等の加速度を生じたときに、端子16自体の支柱部46が奏する突っ支い作用により、端子16の基部24と中間部26との間の曲折部48への応力集中を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板実装型の電磁継電器に関する。本発明はまた、基板実装型の電磁継電器を備えた電子部品組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板に実装される電磁継電器において、部品を内蔵する本体の、実装時に回路基板表面に対向しない側面から、L字状に曲折した端子を延出させて、端子先端を回路基板の導体に接続する形式の、いわゆるライトアングル型の端子を有する電磁継電器が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載される表面実装リレーは、箱形のベースの両側面のそれぞれから曲折形状の複数の端子を延出させた構成を有し、個々の端子の末端領域がプリント基板の表面にはんだ付けされるようになっている。各端子は、ベース側面から突出する基部と、基部から略直角に曲がってベース側面に平行に延びる中間部と、中間部から略直角に曲がって延びる末端の接続部とを有する。各端子の接続部を、実装時にプリント基板に対向するベースの底面に重なるように配置することにより、プリント基板上での表面実装リレーの占有面積及び実装高さを削減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−267386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ライトアングル型の端子を有する電磁継電器は、回路基板に実装された状態で振動等の加速度を生じたときに、慣性による応力が端子の曲折部位に集中する傾向がある。慣性による端子への応力集中を回避するためには、電磁継電器の本体を接着剤等の固定手段により回路基板に固定することが有効であるが、その場合には実装工程の工数が増加する。そこで、電磁継電器自体の構造上の方策により、慣性による端子への応力集中を防止できることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、本体と、本体から延出する端子とを具備する基板実装型の電磁継電器において、端子は、本体の側面から突出する基部及び基部に交差する方向へ延びる中間部を有する第1部分と、第1部分から延長され、回路基板に導通接続される接続部を有する第2部分と、第1部分から第2部分とは別に延長され、本体と回路基板との少なくとも一方に当接される支柱部を有する第3部分とを具備すること、を特徴とする電磁継電器を提供する。
【0006】
上記した電磁継電器において、本体は、側面に配置されるシール層を有し、第3部分の支柱部がシール層により側面に固定される構成とすることができる。第3部分の支柱部は、第1部分の基部に平行に配置される部分を有することができる。また、第3部分の支柱部は、第1部分の中間部に平行に配置される部分を有することができる。第2部分の接続部は、回路基板のスルーホールに挿入される部分を有することができる。また、第2部分の接続部は、回路基板の表面に接合される部分を有することができる。
【0007】
本発明の他の態様は、上記した電磁継電器を、回路基板に実装してなる電子部品組立体を提供する。この電子部品組立体では、電磁継電器の端子の第3部分の支柱部は、回路基板の表面に固定される構成とすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様による電磁継電器は、端子の支柱部が本体と回路基板との少なくとも一方に当接されるから、回路基板に実装された状態で振動等の加速度を生じたときに、本体の慣性により本体と端子との間に生じ得る相対的な変位を、端子自体の支柱部が奏する突っ支い作用により抑制することができる。したがって、電磁継電器自体の構造上の方策により、互いに交差する基部及び中間部を有する端子の第1部分への、本体の慣性に起因する応力集中を防止できる。
【0009】
本発明の他の態様による電子部品組立体によれば、電磁継電器の本体を回路基板に固定する必要が無く、通常の実装工程により、本体の慣性に起因する端子への応力集中を防止可能な状態で電磁継電器を回路基板に実装できるので、電子部品組立体の製造コストの増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態による電磁継電器を、回路基板に実装した状態で示す斜視図である。
【図2】図1の電磁継電器の端子を示す図で、(a)拡大斜視図、(b)半完成品の平面図である。
【図3】変形例による端子を示す図で、(a)拡大斜視図、(b)半完成品の平面図である。
【図4】(a)図2の端子の他の変形例を示す拡大斜視図、(b)図3の端子の他の変形例を示す拡大斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による電磁継電器を、回路基板に実装した状態で示す斜視図である。
【図6】図5の電磁継電器の端子を示す図で、(a)拡大斜視図、(b)半完成品の平面図である。
【図7】変形例による端子を示す図で、(a)拡大斜視図、(b)半完成品の平面図である。
【図8】(a)図6の端子の他の変形例を示す拡大斜視図、(b)図7の端子の他の変形例を示す拡大斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施形態による電磁継電器の端子を示す図で、(a)拡大斜視図、(b)半完成品の平面図である。
【図10】図9の端子の変形例を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態による基板実装型の電磁継電器10を、回路基板12に実装した状態で示す斜視図、図2は、電磁継電器10の1つの端子を示す図である。なお、電磁継電器10の種類、用途等は限定されない。
【0013】
電磁継電器10は、本体14と、本体14から延出する複数の端子16、18とを備える。本体14は、全体として略直方体の外形を有し、実装時に回路基板12の表面12aに対向する底面14aと、底面14aの反対側の頂面14bと、底面14a及び頂面14bに略直交する4つの側面14cとを備えている。図示構成では、本体14は、電磁石や接点部品等の種々の内蔵部品を支持するベース20と、ベース20に組み付けられ、内蔵部品を収容する筐体をベース20と協働して構成するカバー22とを備える。ベース20の外面20aは、本体14の1つの側面14cを構成し、カバー22の外面は、本体14の底面14a、頂面14b及び他の3つの側面14cを構成する。
【0014】
複数の端子16、18の各々は、全体としてL字状に曲折したライトアングル型の形状を有する。図示構成では、例えば、2本の端子16は、開閉可能な一対の接点部品(図示せず)にそれぞれ一体又は別体に連結され、他の2本の端子18は、電磁石(図示せず)の一対のコイル端子(図示せず)にそれぞれ一体又は別体に連結される。それら端子16、18は、互いに独立して、本体14の一側面14c(ベース20の外面20a)の所定位置に形成した複数のスリット(図示せず)に、個別に固定的に取り付けられる。
【0015】
接点部品(図示せず)に連結される各端子16は、本体14の一側面14c(ベース外面20a)から突出する基部24及び基部24に交差する方向へ延びる中間部26を有する第1部分28と、第1部分28から延長され、回路基板12に導通接続される接続部30を有する第2部分32とを備える。図示構成では、端子16の第1部分28は、基部24が、本体14の一側面14c(ベース外面20a)から略鉛直に突出して直線状に延び、基部24の末端の略直角の曲折部を介して、中間部26が、基部24に略直交しかつ本体14の一側面14c(ベース外面20a)に略平行な方向へ直線状に延びる形状を有する。また、端子16の第2部分32は、接続部30が、第1部分28の中間部26から曲折部を介さずに直線状に延びて、本体14の底面14aを越える位置まで突き出る形状を有する。
【0016】
コイル端子(図示せず)に連結される各端子18は、本体14の一側面14c(ベース外面20a)から突出する基部34及び基部34に交差する方向へ延びる中間部36を有する第1部分38と、第1部分38から延長され、回路基板12に導通接続される接続部40を有する第2部分42とを備える。図示構成では、端子18の第1部分38は、基部34が、本体14の一側面14c(ベース外面20a)から略鉛直に突出して直線状に延び、基部34の末端の略直角の曲折部を介して、中間部36が、基部34に略直交しかつ本体14の一側面14c(ベース外面20a)に略平行な方向へ直線状に延びる形状を有する。また、端子18の第2部分42は、接続部40が、第1部分38の中間部36から曲折部を介さずに直線状に延びて、本体14の底面14aを越える位置まで突き出る形状を有する。
【0017】
接点部品(図示せず)に連結される端子16は、さらに、第1部分28から第2部分32とは別に延長される第3部分44であって、本体14に当接される支柱部46を有する第3部分44を備えている。図示構成では、第3部分44は、第1部分28の中間部26から第1部分28に略直交する横方向へ延び、略直角の曲折部を介して、支柱部46が、基部24に略平行でかつ本体14の一側面14c(ベース外面20a)に略直交する方向へ直線状に延びる形状を有する。第3部分44の支柱部46は、その先端46aで本体14の一側面14c(ベース外面20a)に当接される(図2(a))。
【0018】
端子16は、電気良導性の板金材料から所定形状に打ち抜かれた半加工品(図2(b))を、曲折部48、50で略直角に曲げることにより作製される。図示構成では、第1部分28の基部24と中間部26との間の曲折部48の折り目と、第1部分28の中間部26と第3部分44の支柱部46との間の曲折部50の折り目とは、互いに略直交する方向へ延びている。それにより、電磁継電器10に組み込まれた完成品としての端子16において、基部24と支柱部46とは、それぞれの厚み(及び幅)が互いに略直交する向きに配置される位置関係を有することになる。具体的には、基部24はその厚み方向を本体14の高さ方向に向けて配置され、支柱部46はその幅方向を本体14の高さ方向に向けて配置される。なお、端子16のこのような曲げ加工は、接点部品(図示せず)に連結された半加工品としての端子16を、ベース20のスリット(図示せず)に取り付けた後に実施できる。
【0019】
電磁継電器10は、本体14の底面14aを回路基板12の表面12aに対向させた姿勢(好ましくは互いに面接触した姿勢)で、回路基板12に実装される(図1)。実装状態では、電磁継電器10の複数の端子16、18は、それぞれの第2部分32、42の接続部30、40が、回路基板12に形成した複数のスルーホール52に個別に挿入され、例えばはんだにより、対応のスルーホール52の導体54に導通可能に固定して接続される(図2(a))。これにより、本発明の一実施形態による電子部品組立体100が形成される。
【0020】
上記構成を有する電磁継電器10は、各端子16の支柱部46が先端46aで本体14の一側面14c(ベース外面20a)に当接されているから、回路基板12に実装された状態で振動等の加速度を生じたときに、本体14の慣性により本体14と端子16との間に生じ得る相対的な変位を、端子16自体の支柱部46が奏する突っ支い作用により抑制することができる。その結果、端子16の基部24と中間部26との間の曲折部48への応力集中が防止される。この構成によれば、電磁継電器10の本体14を回路基板12に固定する必要が無く、通常の実装工程により、本体14の慣性に起因する端子16への応力集中を防止可能な状態で電磁継電器10を回路基板12に実装できるので、電子部品組立体100の製造コストの増加を抑制できる。
【0021】
さらに詳述すると、端子16は、基部24と支柱部46との位置関係により、端子16に対して本体14が、回路基板12の表面12aに平行な方向であって本体14上方から見て時計回り方向に変位するときの、中間部26及び曲折部48に生じ得るねじり応力を、支柱部46の突っ支い作用により軽減できる。また、支柱部46がその幅方向を本体14の高さ方向に向けて配置されているから、支柱部46の先端46aを本体14の一側面14c(ベース外面20a)に密着させておくことにより、端子16に対して本体14が回路基板12上で跳ねるように変位するときの、基部24、中間部26及び曲折部48に生じ得る曲げ応力を軽減できる。
【0022】
図3に変形例として示す端子56は、第1部分28から第2部分32とは別に延長される一対の第3部分44を備えている。それら第3部分44は、互いに略平行に延びる支柱部46をそれぞれに有する。各第3部分44は、第1部分28の中間部26から第1部分28に略直交する横方向へ延び、略直角の曲折部50を介して、支柱部46が、基部24に略平行でかつ本体14の一側面14c(ベース外面20a)に略直交する方向へ直線状に延びて、先端46aで本体14の一側面14c(ベース外面20a)に当接される(図3(a))。
【0023】
変形例による端子56は、電気良導性の板金材料から所定形状に打ち抜かれた半加工品(図3(b))を、曲折部48、50で略直角に曲げることにより作製される。図示の半加工品では、一対の第3部分44は、第1部分28を中心として線対称の形状を有する。その他の構成は、図2に示す端子16と同一である。
【0024】
端子16と同様に、端子56は、基部24と一対の支柱部46との位置関係により、端子56に対して本体14が、回路基板12の表面12aに平行な方向であって本体14上方から見て時計回り方向及び反時計回り方向に変位するときの、中間部26及び曲折部48に生じ得るねじり応力を、一対の支柱部46の突っ支い作用により軽減できる。また、両支柱部46の先端46aを本体14の一側面14c(ベース外面20a)に密着させておくことにより、端子56に対して本体14が回路基板12上で跳ねるように変位するときの、基部24、中間部26及び曲折部48に生じ得る曲げ応力を軽減できる。
【0025】
上記構成においては、さらに、端子16、56の支柱部46の先端46aを本体14の一側面14c(ベース外面20a)に固定することもできる。この構成によれば、端子16、56に対する本体14の様々な方向への変位(回転だけでなく平行移動も含む)に起因する端子16、56への応力集中を、支柱部46の補助的な支持作用により一層効果的に防止できる。端子16、56の支柱部46の先端46aを本体14の一側面14c(ベース外面20a)に固定する手段としては、接着や機械的係止を採用できるが、本体14の一側面14c(ベース外面20a)に配置されるシール層58を固定手段に用いた場合には、継電器製造工程の工数を増加させない利点が有る。
【0026】
詳述すると、端子16又は端子56を有する電磁継電器10は、本体14を構成するベース20とカバー22とを互いに組み合わせた後に、本体14の一側面14c(ベース外面20a)にシール層58を設けることにより、ベース20とカバー22との間の隙間、及び端子16、18とベース20のスリット(図示せず)との間の隙間を封止している。そこで、電磁継電器10の製造工程において、ベース20とカバー22とを互いに組み合わせ、端子16又は56の半完成品を曲折部48、50で略直角に曲げて、支柱部46の先端46aを本体14の一側面14c(ベース外面20a)に当接させた状態で、本体14の一側面14c(ベース外面20a)にシール剤を塗布して固化させ、シール層58を形成する。これにより、各端子16の支柱部46が、シール層58によって本体14の一側面14c(ベース外面20a)に固定される。
【0027】
上記した端子16、56は、第2部分32の接続部30が、回路基板12のスルーホール52に挿入される部分を有するものである。これに対し、図4(a)、(b)に他の変形例として示す端子16′、56′は、第2部分32′の接続部30′が、回路基板12の表面12aに接合される部分を有して構成されている。詳述すると、端子16′、56′はそれぞれ、端子16、56の第1部分28及び第3部分44に対応する第1部分28及び第3部分44と、第1部分28から延長され、回路基板12に導通接続される接続部30′を有する第2部分32′とを備える。端子16′、56′の第2部分32′は、接続部30′が、第1部分28の中間部26から略直角の曲折部59を介して、本体14の一側面14c(ベース外面20a)から離れる方向へ直線状に延びる形状を有する。
【0028】
端子16′又は56′を有する電磁継電器10を回路基板12に実装した状態では、端子16′又は56′の第2部分32′の接続部30′が、回路基板12の表面12aに形成したパッド状の導体54に、例えばはんだにより導通可能に固定して接続される。この種の端子16′又は56′を有する電磁継電器10は、例えば表面実装型リレーと称するものであり、端子16′又は56′に設けた第3部分44の支柱部46の作用により、前述した端子16又は56を有する電磁継電器10と同等の効果を奏する。
【0029】
電磁継電器10は、上記以外の様々な変形を施すことができる。例えば、第1部分28、第2部分32及び第3部分44が互いに一体に形成される上記構成に代えて、第1部分28に対し第2部分32及び第3部分44のいずれか一方又は両方を別部材から作製して、後工程で第1部分28に溶接等により接続する構成とすることもできる。この構成によれば、板金材料からプレス加工により作製される端子16、56に限らず、ピン状の端子においても、支柱部を有する第3部分を形成することが可能になる。また、コイル端子(図示せず)に連結される端子18にも、端子16、56と同様に、支柱部を有する第3部分を形成することができる。さらに、端子16、56の第1部分28、第2部分32及び第3部分44の形状、寸法、配置等は、図示の構成に限らず、様々に変更することができる。
【0030】
また、図示の電磁継電器10は、実装時の高さ寸法を削減した低背薄形の構造を有しており、例えば、高背薄形の自立構造を有する電磁継電器に対し、その複数の端子を後工程で適宜曲折して作製できるものである。しかし、電磁継電器10の寸法や形状は、図示の構成に限らず、様々に変更することができる。
【0031】
図5は、本発明の第2の実施形態による基板実装型の電磁継電器60を、回路基板12に実装した状態で示す斜視図、図2は、電磁継電器60の1つの端子62を示す図である。電磁継電器60は、接点部品(図示せず)に連結される端子62の構成以外は、前述した電磁継電器10と同一の構成を有する。したがって、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。
【0032】
電磁継電器60は、本体14と、本体14から延出する複数の端子62、18とを備える。複数の端子62、18の各々は、全体としてL字状に曲折したライトアングル型の形状を有する。図示構成では、例えば、2本の端子62は、開閉可能な一対の接点部品(図示せず)にそれぞれ一体又は別体に連結され、他の2本の端子18は、電磁石(図示せず)の一対のコイル端子(図示せず)にそれぞれ一体又は別体に連結される。それら端子62、18は、互いに独立して、本体14の一側面14c(ベース20の外面20a)の所定位置に形成した複数のスリット(図示せず)に、個別に固定的に取り付けられる。
【0033】
接点部品(図示せず)に連結される各端子62は、本体14の一側面14c(ベース外面20a)から突出する基部64及び基部64に交差する方向へ延びる中間部66を有する第1部分68と、第1部分68から延長され、回路基板12に導通接続される接続部70を有する第2部分72とを備える。図示構成では、端子62の第1部分68は、基部64が、本体14の一側面14c(ベース外面20a)から略鉛直に突出して直線状に延び、基部64の末端の略直角の曲折部を介して、中間部66が、基部64に略直交しかつ本体14の一側面14c(ベース外面20a)に略平行な方向へ直線状に延びる形状を有する。また、端子62の第2部分72は、接続部70が、第1部分68の中間部66から曲折部を介さずに直線状に延びて、本体14の底面14aを越える位置まで突き出る形状を有する。
【0034】
端子62は、さらに、第1部分68から第2部分72とは別に延長される第3部分74であって、回路基板12に当接される支柱部76を有する第3部分74を備えている。図示構成では、第3部分74は、第1部分68の基部64から第1部分68に略直交する横方向へ延び、略直角の曲折部を介して、支柱部76が、中間部66に略平行でかつ回路基板12の表面12aに略直交する方向へ直線状に延びる形状を有する。第3部分74の支柱部76は、その先端76aで回路基板12の表面12aに当接される(図6(a))。
【0035】
端子62は、電気良導性の板金材料から所定形状に打ち抜かれた半加工品(図6(b))を、曲折部78、80で略直角に曲げることにより作製される。図示構成では、第1部分68の基部64と中間部66との間の曲折部78の折り目と、第1部分68の基部64と第3部分74の支柱部76との間の曲折部80の折り目とは、互いに略直交する方向へ延びている。それにより、電磁継電器60に組み込まれた完成品としての端子62において、中間部66と支柱部76とは、それぞれの厚み(及び幅)が互いに略直交する向きに配置される位置関係を有することになる。具体的には、中間部66はその厚み方向を本体14の一側面14c(ベース外面20a)に略直交する方向に向けて配置され、支柱部76はその幅方向を本体14の一側面14c(ベース外面20a)に略直交する方向に向けて配置される。なお、端子62のこのような曲げ加工は、接点部品(図示せず)に連結された半加工品としての端子62を、ベース20のスリット(図示せず)に取り付けた後に実施できる。
【0036】
電磁継電器60は、本体14の底面14aを回路基板12の表面12aに対向させた姿勢(好ましくは互いに面接触した姿勢)で、回路基板12に実装される(図5)。実装状態では、電磁継電器60の複数の端子62、18は、それぞれの第2部分72、42の接続部70、40が、回路基板12に形成した複数のスルーホール52に個別に挿入され、例えばはんだにより、対応のスルーホール52の導体54に導通可能に固定して接続される(図6(a))。これにより、本発明の他の実施形態による電子部品組立体102が形成される。
【0037】
上記構成を有する電磁継電器60は、各端子62の支柱部76が先端76aで回路基板12の表面12aに当接されているから、回路基板12に実装された状態で振動等の加速度を生じたときに、本体14の慣性により本体14と端子62との間に生じ得る相対的な変位を、端子62自体の支柱部76が奏する突っ支い作用により抑制することができる。その結果、端子62の基部64と中間部66との間の曲折部78への応力集中が防止される。この構成によれば、電磁継電器60の本体14を回路基板12に固定する必要が無く、通常の実装工程により、本体14の慣性に起因する端子62への応力集中を防止可能な状態で電磁継電器60を回路基板12に実装できるので、電子部品組立体102の製造コストの増加を抑制できる。
【0038】
さらに詳述すると、端子62は、中間部66と支柱部76との位置関係により、端子62に対して本体14が、回路基板12の表面12aに交差する方向であって本体14の一側面14c(ベース外面20a)に向かって見て時計回り方向に変位するときの、基部64及び曲折部78に生じ得るねじり応力を、支柱部76の突っ支い作用により軽減できる。また、支柱部76がその幅方向を本体14の一側面14c(ベース外面20a)に略直交する方向に向けて配置されているから、支柱部76の先端76aを回路基板12の表面12aに密着させておくことにより、端子62に対して本体14が回路基板12上で跳ねるように変位するときの、基部64、中間部66及び曲折部78に生じ得る曲げ応力を軽減できる。
【0039】
図7に変形例として示す端子82は、第1部分68から第2部分72とは別に延長される一対の第3部分74を備えている。それら第3部分74は、互いに略平行に延びる支柱部76をそれぞれに有する。各第3部分74は、第1部分68の基部64から第1部分68に略直交する横方向へ延び、略直角の曲折部80を介して、支柱部76が、中間部66に略平行でかつ回路基板12の表面12aに略直交する方向へ直線状に延びて、先端76aで回路基板12の表面12aに当接される(図7(a))。
【0040】
変形例による端子82は、電気良導性の板金材料から所定形状に打ち抜かれた半加工品(図7(b))を、曲折部78、80で略直角に曲げることにより作製される。図示の半加工品では、一対の第3部分74は、第1部分68を中心として線対称の形状を有する。その他の構成は、図6に示す端子62と同一である。
【0041】
端子62と同様に、端子82は、中間部66と一対の支柱部76との位置関係により、端子82に対して本体14が、回路基板12の表面12aに交差する方向であって本体14の一側面14c(ベース外面20a)に向かって見て時計回り方向及び反時計回り方向に変位するときの、基部64及び曲折部78に生じ得るねじり応力を、一対の支柱部76の突っ支い作用により軽減できる。また、両支柱部76の先端76aを回路基板12の表面12aに密着させておくことにより、端子82に対して本体14が回路基板12上で跳ねるように変位するときの、基部64、中間部66及び曲折部78に生じ得る曲げ応力を軽減できる。
【0042】
上記構成においては、さらに、端子62、82の支柱部76の先端76aを回路基板12の表面12aに固定することもできる。この構成によれば、端子62、82に対する本体14の様々な方向への変位(回転だけでなく平行移動も含む)に起因する端子62、82への応力集中を、支柱部76の補助的な支持作用により一層効果的に防止できる。端子62、82の支柱部76の先端76aを回路基板12の表面12aに固定する手段としては、接着や機械的係止を採用できるが、回路基板12の表面12aの導体54に端子62、82の接続部70を導通接続するためのはんだ(図示せず)を固定手段に用いた場合には、継電器実装工程の工数を増加させない利点が有る。
【0043】
上記した端子62、82は、第2部分72の接続部70が、回路基板12のスルーホール52に挿入される部分を有するものである。これに対し、図8(a)、(b)に他の変形例として示す端子62′、82′は、第2部分72′の接続部70′が、回路基板12の表面12aに接合される部分を有して構成されている。詳述すると、端子62′、82′はそれぞれ、端子62、82の第1部分68及び第3部分74に対応する第1部分68及び第3部分74と、第1部分68から延長され、回路基板12に導通接続される接続部70′を有する第2部分72′とを備える。端子62′、82′の第2部分72′は、接続部70′が、第1部分68の中間部66から略直角の曲折部84を介して、本体14の一側面14c(ベース外面20a)から離れる方向へ直線状に延びる形状を有する。
【0044】
端子62′又は82′を有する電磁継電器60を回路基板12に実装した状態では、端子62′又は82′の第2部分72′の接続部70′が、回路基板12の表面12aに形成したパッド状の導体54に、例えばはんだにより導通可能に固定して接続される。この種の端子62′又は82′を有する電磁継電器60は、例えば表面実装型リレーと称するものであり、端子62′又は82′に設けた第3部分74の支柱部76の作用により、前述した端子62又は82を有する電磁継電器60と同等の効果を奏する。なお、電磁継電器60も、電磁継電器10と同様の、様々な変形を施すことができる。
【0045】
図9は、本発明の第3の実施形態による基板実装型の電磁継電器の1つの端子86を示す。第3の実施形態による電磁継電器(本体14の一側面14c(ベース外面20a)のみ図示)は、端子86の構成以外は、前述した電磁継電器10と同一の構成を有する。したがって、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。
【0046】
端子86は、前述した端子56と端子82との双方の特徴を併せ持つものであり、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。詳述すると、端子86は、本体14の一側面14c(ベース外面20a)から突出する基部24及び基部24に交差する方向へ延びる中間部26を有する第1部分28と、第1部分28から延長され、回路基板12に導通接続される接続部30を有する第2部分32と、第1部分28から第2部分32とは別に延長される一対の第3部分88であって、各々が、本体14に当接される第1の支柱部46及び回路基板12に当接される第2の支柱部76を有する一対の第3部分88とを備えている。
【0047】
図示構成では、端子86の第1部分28は、基部24が、本体14の一側面14c(ベース外面20a)から略鉛直に突出して直線状に延び、基部24の末端の略直角の曲折部48を介して、中間部26が、基部24に略直交しかつ本体14の一側面14c(ベース外面20a)に略平行な方向へ直線状に延びる形状を有する。また、端子86の第2部分32は、接続部30が、第1部分28の中間部26から曲折部を介さずに直線状に延びて、本体14の底面14a(図1)を越える位置まで突き出る形状を有する。また、端子86の一対の第3部分88の各々は、第1部分28の中間部26から第1部分28に略直交する横方向へ延び、略直角の曲折部50を介して、第1の支柱部46が、基部24に略平行でかつ本体14の一側面14c(ベース外面20a)に略直交する方向へ直線状に延びるとともに、第2の支柱部76が、第1の支柱部46の中途で分岐して、中間部26に略平行でかつ回路基板12の表面12aに略直交する方向へ直線状に延びる形状を有する。第1の支柱部46は、その先端46aで本体14の一側面14c(ベース外面20a)に当接され、第2の支柱部76は、その先端76aで回路基板12の表面12aに当接される(図9(a))。
【0048】
端子86は、電気良導性の板金材料から所定形状に打ち抜かれた半加工品(図9(b))を、曲折部48、50で略直角に曲げることにより作製される。図示の半加工品では、一対の第3部分88は、第1部分28を中心として線対称の形状を有する。その他の構成は、図2に示す端子16及び図6に示す端子62と実質的に同一である。端子86を備えた電磁継電器は、前述した端子56と端子82との双方の特徴を併せ持つことで、支柱部46、76の本数が増加しているから、前述した電磁継電器10及び60と同等の効果を奏することに加えて、端子86の耐久性を向上させることができる。
【0049】
また、端子56、82と同様の手法により、端子86の各第3部分88の第1の支柱部46の先端46a及び第2の支柱部76の先端76aを、それぞれ、本体14の一側面14c(ベース外面20a)及び回路基板12の表面12aに固定することもできる。この構成によれば、端子86に対する本体14の様々な方向への変位(回転だけでなく平行移動も含む)に起因する端子86への応力集中を、支柱部46、76の補助的な支持作用により一層効果的に防止できる。
【0050】
上記した端子86は、第2部分32の接続部30が、回路基板12のスルーホール52に挿入される部分を有するものである。これに対し、図10に変形例として示す端子86′は、第2部分32′の接続部30′が、回路基板12の表面12aに接合される部分を有して構成されている。詳述すると、端子86′は、端子86の第1部分28及び一対の第3部分88に対応する第1部分28及び一対の第3部分88と、第1部分28から延長され、回路基板12に導通接続される接続部30′を有する第2部分32′とを備える。端子86′の第2部分32′は、接続部30′が、第1部分28の中間部26から略直角の曲折部59を介して、本体14の一側面14c(ベース外面20a)から離れる方向へ直線状に延びる形状を有する。
【0051】
上記した端子86′を有する表面実装型の電磁継電器は、端子88′に設けた一対の第3部分88の支柱部46、76の作用により、前述した電磁継電器10及び60と同等の効果を奏する。なお、この電磁継電器も、電磁継電器10、60と同様の、様々な変形を施すことができる。
【符号の説明】
【0052】
10、60 電磁継電器
12 回路基板
14 本体
16、16′、18、56、56′、62、62′、82、82′、86、86′ 端子
24、34、64 基部
26、36、66 中間部
28、38、68 第1部分
30、30′、40、70 接続部
32、32′、42、72 第2部分
44、74、88 第3部分
46 (第1の)支柱部
52 スルーホール
54 導体
58 シール層
76 (第2の)支柱部
100、102 電子部品組立体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、該本体から延出する端子とを具備する基板実装型の電磁継電器において、
前記端子は、
前記本体の側面から突出する基部及び該基部に交差する方向へ延びる中間部を有する第1部分と、
前記第1部分から延長され、回路基板に導通接続される接続部を有する第2部分と、
前記第1部分から前記第2部分とは別に延長され、前記本体と前記回路基板との少なくとも一方に当接される支柱部を有する第3部分とを具備すること、
を特徴とする電磁継電器。
【請求項2】
前記本体は、前記側面に配置されるシール層を有し、前記第3部分の前記支柱部が該シール層により前記側面に固定される、請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記第3部分の前記支柱部が、前記第1部分の前記基部に平行に配置される部分を有する、請求項2に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記第3部分の前記支柱部が、前記第1部分の前記中間部に平行に配置される部分を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記第2部分の前記接続部が、回路基板のスルーホールに挿入される部分を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記第2部分の前記接続部が、回路基板の表面に接合される部分を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電磁継電器を、回路基板に実装してなる電子部品組立体。
【請求項8】
前記電磁継電器の前記端子の前記第3部分の前記支柱部が、前記回路基板の表面に固定される、請求項7に記載の電子部品組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−14936(P2012−14936A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149742(P2010−149742)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】