説明

基板検査装置及び基板検査方法

【課題】複数の基板に対して並列的に短絡検査を実施し、短絡の検査回数を減少させて検査時間を短縮することのできる基板検査装置の提供。
【解決手段】複数の被検査基板の電気的特性を検査する基板検査装置であって、被検査基板の配線パターン上に設定される検査用プローブを複数有し、複数の被検査基板毎に応じて配置される複数の基板検査用治具と、複数の被検査基板毎に、一の配線パターンの検査用プローブを第一検査部と設定し、一の配線パターン以外の配線パターンの検査用プローブを第二検査部と設定する制御手段と、複数の第一検査部を並列接続して第一群αとし、複数の第二検査部を並列接続して第二群βと設定する切替手段4と、第一と第二群間に所定電位差を生じさせる電力供給手段5と、第一と第二群間の電気的特性を検出する検出手段6と、この電気的特性に基づいて短絡の有無を判定する判定手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板検査装置及び基板検査方法に関し、より詳しくは、複数の基板に対して並列的に短絡検査を実施し、短絡の検査回数を減少させて検査時間を短縮することのできる基板検査装置及び基板検査方法に関する。
尚、本発明でいう検査「基板」は、プリント配線基板、フレキシブル配線基板、多層配線基板、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用などの電極板、あるいは半導体パッケージ用のパッケージ基板やフィルムキャリアなどを含むものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の配線パターンを有する基板の導通検査は、検査対象となる配線の両端部に電流又は電圧を印加させて(電源による電力供給を行うことにより)配線の抵抗値を測定し、所定の抵抗値を閾値として良・不良の判定が行われている。また、このような基板が有する配線パターンの短絡検査も、検査対象となる配線に電流又は電圧を印加し(電源による電力供給することにより)、残りの他の配線との間の抵抗値を測定することにより、導通検査と同様に、所定の抵抗値を閾値として良・不良の判定が行われていた。
【0003】
このような導通及び短絡検査を行う場合、一つの基板に対して、この基板に応じる一つの検査用治具と、一つの電源と一つの測定装置(電流計及び/又は電圧計)が用いられていた。このため、一つの基板を検査するためには、検査治具、電源と測定装置を各一台ずつ準備する必要があり、複数枚の基板を同時に検査するためには、これらの装置を基板の枚数に応じて準備する必要があった。
例えば、特許文献1に記載される如き発明では、複数の基板を同時に検査するために、複数の検査用治具(プローブ)を所定方向に配置し、同時に複数の基板を検査することを可能にしている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−21867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の如き複数の基板を同時に検査しようとすると、検査用治具の数を増加させなければならないだけでなく、電源と測定装置の数も同様に増加させなければならず、装置自体が大型にならざるを得ないとともにコスト高になってしまう問題を有していた。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、電源と測定装置の数を増加させることなく、複数の基板に対して並列的に短絡検査を実施し、短絡の検査回数を減少させて検査時間を短縮することのできる基板検査装置及び基板検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、複数の配線パターンを有する被検査基板が複数配置され、該複数の被検査基板の電気的特性を検査する基板検査装置であって、前記被検査基板の配線パターン上に設定される所定の検査点と電気的接触を有する検査用プローブを複数有してなるとともに、前記複数の被検査基板毎に応じて配置される複数の基板検査用治具と、複数の被検査基板毎に、該被検査基板上の前記複数の配線パターンから検査対象となる一の配線パターンと電気的に接触する検査用プローブを第一検査部と設定し、前記検査対象となる一の配線パターン以外の配線パターンと電気的に接触する検査用プローブを第二検査部と設定する制御手段と、前記制御手段の設定に基づいて、前記複数の第一検査部を並列接続して第一群と設定し、前記複数の第二検査部を並列接続して第二群と設定する切替手段と、前記第一群と前記第二群間に所定電位差を生じさせる電力供給手段と、前記電力供給手段により電位差が生じた際の前記第一群と前記第二群間の電気的特性を検出する検出手段と、前記検出手段が検出する電気的特性に基づいて、前記複数の被検査基板の短絡の有無を判定する判定手段を有することを特徴とする基板検査装置を提供する。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記制御手段は、前記第一検査部として設定された検査用プローブ以外の検査用プローブを、順次第一検査部として設定し、前記第二検査部は、前記第一検査部として設定されていない配線パターンの電気的な接触を有する検査用プローブ全てが設定されていることを特徴とする請求項1記載の基板検査装置を提供する。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記電力供給手段は、前記第一群と直列に接続され、前記検出手段は、前記第二群と直列に接続されていることを特徴とする請求項1記載の基板検査装置を提供する。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記検出手段は電流計であり、前記判定手段は、前記電流計が測定した電流値を所定閾値と比較することにより、前記被検査基板の短絡の有無を判定することを特徴とする請求項1又は3に記載の基板検査装置を提供する。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記複数の被検査基板は、同じ種類の基板であり、前記制御手段が設定する被検査基板毎の第一検査部と第二検査部が、同じ検査点にある検査用プローブであることを特徴とする請求項1に記載の基板検査方法を提供する。
【0011】
請求項6記載の発明は、複数の配線パターンを有する被検査基板が複数配置され、該複数の被検査基板の電気的特性を検査する基板検査方法であって、前記被検査基板の配線パターン上に設定される所定の検査点と電気的接触を有する検査用プローブを複数有してなるとともに、前記複数の被検査基板毎に応じて配置される複数の基板検査用治具を、前記検査点と前記検査用プローブが電気的に接触するように被検査基板上に配置し、複数の被検査基板毎に、該被検査基板上の前記複数の配線パターンから検査対象となる一の配線パターンと電気的に接触する検査用プローブを第一検査部と設定し、前記検査対象となる一の配線パターン以外の配線パターンと電気的に接触する検査用プローブを第二検査部と設定し、前記複数の第一検査部を並列接続して第一群と設定し、前記複数の第二検査部を並列接続して第二群と設定し、前記第一群と前記第二群間に所定電位差を生じさせ、前記電位差が生じた際の前記第一群と前記第二群間の電気的特性を検出し、前記電気的特性を基に、前記複数の被検査基板の短絡の有無を判定することを特徴とする基板検査方法を提供する。
これらの発明を提供することによって、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、複数の被検査基板毎に、被検査基板上の複数の配線パターンから検査対象となる一の配線パターンと電気的に接触する検査用プローブを第一検査部と設定し、検査対象となる一の配線パターン以外の配線パターンと電気的に接触する検査用プローブを第二検査部と設定し、第一群と第二群間に所定電位差を生じさせ、電位差が生じた際の第一群と第二群間の電気的特性を検出して、この電気的特性に基づいて、複数の被検査基板の短絡の有無を判定するので、一つの電力供給手段と一つの検出手段を用いて、複数の基板の短絡検査を実施することができる。このため、複数の基板に対して並列的に短絡検査を実施し、短絡の検査回数を減少させて検査時間を短縮することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、制御手段が、第一検査部として設定された検査用プローブ以外の検査用プローブを、順次第一検査部として設定し、第二検査部は第一検査部として設定されていない配線パターンの電気的な接触を有する検査用プローブ全てが設定されるので、全ての基板に設けられる配線パターンを効率良く検査することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、電力供給手段は第一群と直列に接続され、検出手段は第二群と直列に接続されているので、短絡不良を容易に且つ確実に発見することができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、検出手段は電流計であり、判定手段は電流計が測定した電流値を所定閾値と比較することにより、被検査基板の短絡の有無を判定するので、短絡不良を容易に且つ確実に発見することができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、複数の被検査基板が同じ種類の基板であり、制御手段が設定する被検査基板毎の第一検査部と第二検査部が、同じ検査点にある検査用プローブであるので、同じ配線パターン模様を有する基板の短絡検査を容易に且つ迅速に短絡検査を行うことができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、被検査基板の配線パターン上に設定される所定の検査点と電気的接触を有する検査用プローブを複数有してなるとともに、複数の被検査基板毎に応じて配置される複数の基板検査用治具を、前記検査点と前記検査用プローブが電気的に接触するように被検査基板上に配置し、複数の被検査基板毎に、被検査基板上の複数の配線パターンから検査対象となる一の配線パターンと電気的に接触する検査用プローブを第一検査部と設定し、検査対象となる一の配線パターン以外の配線パターンと電気的に接触する検査用プローブを第二検査部と設定し、複数の第一検査部を並列接続して第一群と設定し、複数の第二検査部を並列接続して第二群と設定し、第一群と第二群間に所定電位差を生じさせ、電位差が生じた際の第一群と第二群間の電気的特性を検出し、電気的特性を基に、複数の被検査基板の短絡の有無を判定するので、一つの電力供給手段と一つの検出手段を用いて、複数の基板の短絡検査を実施することができる。このため、複数の基板に対して並列的に短絡検査を実施し、短絡の検査回数を減少させて検査時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明に係る基板検査装置が検査対象とする被検査基板の一実施形態を示す平面図であり、図2は、本発明に係る基板検査装置の概略構成図を示し、図3は、本発明に係る基板検査用装置の基板検査用治具の一実施形態の外観斜視図を示し、図4は、本発明に係る基板検査装置と被検査基板の電気的接続を示す概略図である。尚、図4で示される如き説明図では、被検査基板が4本の配線パターンを有する場合を説明しているが特に限定されるものではない。
【0019】
本発明に係る基板検査装置は、複数の基板を同時に短絡検査の実施を可能として検査時間を短縮することができる。さらに、一つの電力供給手段と一つの検出手段を用いることにより、経済的に低コストであるとともに、一つの電力供給手段と一つの検出手段を有する基板検査装置であれば、複数の被検査基板の短絡検査を同時に(並列に)処理することにより、検査の処理能力を向上させようとするものである。
【0020】
本基板検査装置1は、複数の被検査基板100を同時に短絡検査の処理を行うことができる。この基板検査装置1が検査処理する被検査基板100は、上記の如き基板を例示することができるとともに、複数の種類の基板を処理することができる。
本明細書中では、同一種類の基板を用いることによって、本基板検査装置1が効率良く短絡検査を行うことができるので、同一種類の基板を用いる場合を説明する。
尚、相違する基板を用いた場合であっても、後述する第一群(第一検査部)や第二群(第二検査部)を制御手段が設定する検査用プローブの場所を被検査基板毎に把握しておくことにより、短絡検査を短縮することが可能となる。
【0021】
図1で示される一実施形態の被検査基板では、帯状のシート部材101に複数の配線パターンの模様Aが形成されて、複数の被検査基板100が形成されている。この図1では、配線パターンの模様Aが3つ形成され、被検査基板100が3つ形成されている。
図1で示される被検査基板は、シート部材101に複数の配線パターンの模様Aが長手方向に沿って配置されている。
尚、この図1で示される配線パターンの模様は、基板の種類に応じて作成者により適宜変更される。
【0022】
本発明の基板検査装置1は、図2で示される如く、基板検査用治具2、制御手段3、切替手段4、電力供給手段5、検出手段6と判定手段7を備えてなる。
基板検査用治具2は、被検査基板100の表面及び/又は裏面に当接して、被検査基板100の配線パターン上に設定される所定の検査点と電気的な接触を得る。この基板検査用治具2は、図3で示される如く、被検査基板100の配線パターンに接触する接触子を有する多針状接触部21を有してなる。
この多針状接触部21は、図3で示される如く、複数の所定の検査点に接触するように、多針状に配置される複数の検査用プローブ211を有して成る。この検査用プローブ211が、検査点に直接接触したり、所定間隔を有して配置され、この所定間隔による静電容量結合したりことにより、電気的接触状態となる。このため、検査用プローブ211の一端は、検査点と電気的に接触状態となり、検査用プローブ211の他端は、基板検査用治具2が有する電極部(図示せず)と電気的に接触する。この電極部は、後述する電力供給手段及び/又は検出手段と電気的に接続されることができる。
この結果、被検査基板100の検査点から電気的信号の授受を、この基板検査用治具2を介して行うことができる。
尚、この基板検査用治具2は、被検査基板100の所定の検査点へ、短絡検査のための電力を供給したり、短絡検査のための電気的特性を検出したりすることができるように、検査点と基板検査装置1を電気的に接続することのできるものであれば、図3の如き形状に特定されるものではない。
【0023】
本基板検査装置1は、複数の被検査基板100に対して、同時に複数の被検査基板100の短絡検査を行うために、同時に短絡検査を行う被検査基板100の枚数と同数の基板検査用治具2が準備される。例えば、図1で示される如く、3つの被検査基板100の短絡検査を同時に処理するためには、3つの被検査基板100に対する基板検査用治具2を配置する。この図1に示される3つの被検査基板100(100a,100b,100c)に対応して検査するためには、被検査基板100に対応する基板検査用治具2を3つ並列に配置する。
このように、3つ基板検査用治具2を配置することによって、被検査基板100を3つ同時に検査処理することができるとともに、3つの被検査基板100を連続して処理することが可能となる。
【0024】
制御手段3は、被検査基板100に設けられる複数の配線パターンから、検査対象となる一の配線パターンWと電気的に接触する検査用プローブPを第一検査部S1と設定する。この第一検査部S1として設定される配線パターンWが、他の配線パターンWと短絡しているかどうかが検査されることになる。このため、第一検査部S1として設定される配線パターンWは、後述する方法により短絡検査が実施され、不良な配線パターンでないことが確認されると、未だ短絡検査が行われていない配線パターンWを第一検査部S1として順次設定され、全ての配線パターンWが検査されることになる。
この制御手段3が設定する第一検査部S1は、複数の被検査基板100に対して夫々設定され、複数の被検査基板100が同種類の基板である場合には、第一検査部S1は同じ場所の検査用プローブP(配線パターンW)が設定される。
【0025】
この制御手段3は、第一検査部S1が設定されるとともに、第二検査部S2が設定される。この第二検査部S2は、第一検査部S1で設定される配線パターンWに対して、短絡を有しているかが検査される配線パターンWである。この第二検査部S2は、第一検査部S1で設定された配線パターンW以外の配線パターンWと電気的に接触する検査用プローブPが設定される。この第二検査部S2に設定される検査用プローブPは、少なくとも第一検査部S1に設定される配線パターンWと隣接する配線パターンWが設定される。第一検査部S1に設定される配線パターンWが微細で複雑である場合には、第二検査部S2として設定される配線パターンWを、第一検査部S1として設定される配線パターンW以外の配線パターンWに電気的に接触する検査用プローブP全てを設定する。
このように設定することにより、第一検査部S1として設定される配線パターンWと、第二検査部S2として設定される残り全ての配線パターンWが対応することになり、より確実に短絡検査を実施することができる。
尚、第一検査部S1は順次配線パターンWが設定されるので、第二検査部S2も順次配線パターンWが設定されることになり、また、複数の被検査基板100が同種類の基板である場合には各被検査基板の第二検査部S2が同じ場所の検査用プローブPが設定される。
【0026】
図4では、3つの被検査基板100(100a,100b,100c)が示され、紙面に向って左手側に第一検査部S1となる配線パターンWが3本示されている。また、この図4では、被検査基板100の配線パターンWの総数が4本の場合が示され、第二検査部S2となる配線パターンWが、各被検査基板100で3本示されるとともに総数9本が示されている。
【0027】
切替手段4は、制御手段3で設定される第一検査部S1と第二検査部S2の夫々の配線パターンWを、後述する電力供給手段5と検出手段6に接続する。この切替手段4は、各被検査基板100の第一検査部S1として設定された各検査用プローブPを並列接続して、第一群αとして接続し、各被検査基板100の各第二検査部S2として設定された各検査用プローブPを並列接続して、第二群βとして接続する。
このように、第一群αと第二群βが設定されることにより、複数の被検査基板100の配線パターンWを第一群αと第二群β二つの組に設定することになる。
尚、この切替手段4は、各検査用プローブPと接続するスイッチ素子を用いることができ、このスイッチ素子の切替により、電力供給手段5や検出手段6と接続可能に切り替えが行われる。
図4では、第一群αとして3本の配線パターンWが接続され、第二群βとして9本の配線パターンWが接続される。
【0028】
電力供給手段5は、第一群αと第二群β間に所定電位差を生じさせる。この電力供給手段5により電位差を第一群αと第二群βに生じさせることにより短絡を発見する。
電力供給手段5は、電流制御(Current Control)電源を用いることができ、所定の電流値を制御することにより、所定電圧を第一群αに印加して、第一群αと第二群βに所定電位差を生じさせる。この電力供給手段5は第一群αと第二群βに所定電位差を生じさせることができる装置であれば特に限定されない。
この電力供給手段5は、第一群αと直列に接続されるとともに、図4で示される如き配線パターンW間の閉回路において電気的に上流側に配置されることになる。図4では、電力供給手段5が、第一群αである3つの配線パターンWに対して、夫々所定電圧を印加することができるように設定されている。
【0029】
検出手段6は、電力供給手段5により第一群αと第二群βの間に電位差が生じた場合における第一群αと第二群β間の電気的特性を検出する。この検出手段6が、第一群αと第二群β間に生じる電気的特性を検出することにより、後述する判定手段7において被検査基板100の短絡判定を行うことができる。
この検出手段6は、第一群αと第二群β間の電気的特性である電流を検出する電流計を用いることができるが、電気的特性を検出することのできる装置であれば特に限定されるものではない。検出手段6は、第二群βと直列に接続されるとともに、図4で示される如き配線パターンW間の閉回路において電気的に下流側に配置されることになる。図4では、検出手段6が、第二群βである9本の配線パターンWに対して、夫々配線パターンWからの電流を検出することができるように直列に接続されている。
【0030】
判定手段7は、検出手段6が検出する電気的特性に基づいて、複数の被検査基板100の短絡の有無を判定する。この判定手段7は、予め設定される電気的特性の設定値と検出手段6が検出する電気的特性の検出値を比較する。例えば、第一群αと第二群β間(各群を形成する配線パターンW間)で短絡が存在している場合には、第一群αと第二群β間において電流が流れることになる。このため、電気的に下流側に配置される検出手段6は何らかの電気的変化を検出することになる。この結果、この電気的変化が検出されると、第一群αと第二群βに短絡が生じていることになる。
この判定手段7は、検出手段6が電流計を用いる場合には、この検出手段6である電流計が測定した電流値を、判定手段7に予め設定される所定閾値と比較することにより、被検査基板100の短絡の有無を判定するように設定する。
【0031】
この判定手段7が短絡有りと判定した場合、複数の被検査基板100を同時に検査しているので、どの基板で短絡を起こしているのか特定する。この場合、短絡が判定手段7により判定されると、第一群αを形成する第一検査部S1を夫々再度検査する。この結果、被検査基板100毎に再度短絡検査されることになるので、短絡を有する不良の基板を発見することができる。
【0032】
本基板検査装置1は、上記の説明の如く、制御手段3と切替手段4を用いることによって、複数の基板に対して同時に短絡検査を行うことができる。このため、複数の基板に対して、その複数の検査点と電気的接触を有する検査装置であれば、一つの電力供給手段5と一つの検出手段6を備えているだけで、制御手段3と切替手段4を用いて、本発明の短絡検査方法を用いることができる。この結果、複雑な基板検査装置の構成を必要とすることなく短絡の検査時間を短縮することができる。
以上が、本発明に係る基板検査装置1の構成の説明である。
【0033】
次に、本発明に係る基板検査装置の動作について説明する。
図5は、本発明に係る基板検査装置の動作を示すフローチャートであり、図6は基板検査装置と被検査基板の電気的接続を示す一実施例である。
まず、検査を行う基板を準備する。この場合、複数の基板を準備するとともに、同じ配線パターンの模様を有する複数の基板を検査する(例えば、図1参照)。
複数の基板が準備されると、検査する基板に対して、図3で示される如き多針状の基板検査用治具2を被検査基板100の配線パターンW上の検査点に接触させる(S1)。
このとき、各被検査基板100に対して、夫々多針状の基板検査用治具2を接触させ、同時に検査を行うようにする。
【0034】
被検査基板100に対して、基板検査用治具2が準備されると、まず、この基板検査用治具2を用いて、被検査基板100の配線パターンWの導通を検査する(S2)。
このとき、導通検査は、例えば、各配線パターンWにも設定される2点間の検査用プローブPを用いて実行される。
【0035】
被検査基板100の導通検査が良品であると判定され終了すると、短絡検査の準備が行われる。
まず、短絡検査を行うために、被検査基板100の配線パターンWと電気的に接触する検査用プローブPを第一検査部S1と第二検査部S2に分ける(S3)。
次に、各被検査基板100の第一検査部S1同士を並列接続して第一群αを形成するとともに、各被検査基板100の第二検査部S2同士を並列接続して第二群βを形成する(S4)。
次に、第一群αと第二群β間に所定の電位差を生じさせるために、第一群αが電力供給手段5と直列接続される。また、一方で、第一群αと第二群β間の電気的特性を検出するために検出手段6を第二群βと直列接続させる。
このとき、電力供給手段5が第一群αに電圧を印加し、検出手段6が電気的特性を検出する(S5)。
例えば、図6で示される如く、3つの被検査基板100(100a,100b,100c)が配置され、真ん中に配置される被検査基板100bが短絡Tを有する場合を説明する。
各被検査基板の3つの第一検査部S1により形成される第一群αが、電力供給手段5により電圧が印加されると、被検査基板100が有する短絡Tにより電流が流れることによって、検出手段6は電気的特性の変化である電流を検出する。検出手段6が電気的特性の変化である電流(予め設定された電流設定値よりも大きい検出電流値)を検出すると、3つの被検査基板100a,100b,100cのうちいずれか又は複数の基板が短絡不良を有していると判定される。短絡不良と判定されると、図6で示される切替手段4の3つのスイッチSW1,SW2,SW3を夫々オフして、夫々を単独で起動させる。その結果、スイッチSW1とスイッチSW3を起動させても、検出手段6は電気的特性の変化(電流)を検出せず、スイッチSW2を起動させた際に検出手段6が電気的特性の変化を検出することになる。そうすると、被検査基板100bが短絡Tを有していることが発見され、この被検査基板100bが不良基板であると判定することができる(S6)。
尚、図6で示される2つの基板100a,100cは、短絡不良を有しておらず、良品であると判定される。また、検出手段6が電気的特性を検出しない場合には、検査対象となる被検査基板100は良品であると判定されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る基板検査装置が検査対象とする被検査基板の一実施形態を示す平面図である。
【図2】本発明に係る基板検査装置の概略構成図を示す。
【図3】本発明に係る基板検査用装置の基板検査用治具の一実施形態の外観斜視図を示す。
【図4】本発明に係る基板検査装置と被検査基板の電気的接続を示す概略図である。
【図5】本発明に係る基板検査装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】基板検査装置と被検査基板の電気的接続を示す一実施例である。
【符号の説明】
【0037】
1・・・・基板検査装置
2・・・・基板検査用治具
3・・・・制御手段
4・・・・切替手段
5・・・・電力供給手段
6・・・・検出手段
7・・・・判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配線パターンを有する被検査基板が複数配置され、該複数の被検査基板の電気的特性を検査する基板検査装置であって、
前記被検査基板の配線パターン上に設定される所定の検査点と電気的接触を有する検査用プローブを複数有してなるとともに、前記複数の被検査基板毎に応じて配置される複数の基板検査用治具と、
複数の被検査基板毎に、該被検査基板上の前記複数の配線パターンから検査対象となる一の配線パターンと電気的に接触する検査用プローブを第一検査部と設定し、前記検査対象となる一の配線パターン以外の配線パターンと電気的に接触する検査用プローブを第二検査部と設定する制御手段と、
前記制御手段の設定に基づいて、前記複数の第一検査部を並列接続して第一群と設定し、前記複数の第二検査部を並列接続して第二群と設定する切替手段と、
前記第一群と前記第二群間に所定電位差を生じさせる電力供給手段と、
前記電力供給手段により電位差が生じた際の前記第一群と前記第二群間の電気的特性を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出する電気的特性に基づいて、前記複数の被検査基板の短絡の有無を判定する判定手段を有することを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記第一検査部として設定された検査用プローブ以外の検査用プローブを、順次第一検査部として設定し、
前記第二検査部は、前記第一検査部として設定されていない配線パターンの電気的な接触を有する検査用プローブ全てが設定されていることを特徴とする請求項1記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記電力供給手段は、前記第一群と直列に接続され、
前記検出手段は、前記第二群と直列に接続されていることを特徴とする請求項1記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記検出手段は電流計であり、前記判定手段は、前記電流計が測定した電流値を所定閾値と比較することにより、前記被検査基板の短絡の有無を判定することを特徴とする請求項1又は3に記載の基板検査装置。
【請求項5】
前記複数の被検査基板は、同じ種類の基板であり、
前記制御手段が設定する被検査基板毎の第一検査部と第二検査部が、同じ検査点にある検査用プローブであることを特徴とする請求項1に記載の基板検査方法。
【請求項6】
複数の配線パターンを有する被検査基板が複数配置され、該複数の被検査基板の電気的特性を検査する基板検査方法であって、
前記被検査基板の配線パターン上に設定される所定の検査点と電気的接触を有する検査用プローブを複数有してなるとともに、前記複数の被検査基板毎に応じて配置される複数の基板検査用治具を、前記検査点と前記検査用プローブが電気的に接触するように被検査基板上に配置し、
複数の被検査基板毎に、該被検査基板上の前記複数の配線パターンから検査対象となる一の配線パターンと電気的に接触する検査用プローブを第一検査部と設定し、前記検査対象となる一の配線パターン以外の配線パターンと電気的に接触する検査用プローブを第二検査部と設定し、
前記複数の第一検査部を並列接続して第一群と設定し、前記複数の第二検査部を並列接続して第二群と設定し、
前記第一群と前記第二群間に所定電位差を生じさせ、
前記電位差が生じた際の前記第一群と前記第二群間の電気的特性を検出し、
前記電気的特性を基に、前記複数の被検査基板の短絡の有無を判定することを特徴とする基板検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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