説明

基板検査装置

【課題】各配線パターンに対する電位差の付与及び付与解除の際の配線パターンに接触される接触ピン等の静電容量を考慮して、複数の配線パターンに対する電気特性検査の順番を決定することができ、しかも検査結果の信頼性を低下させることなく、検査速度の向上が図れる基板検査装置を提供する。
【解決手段】この基板検査装置1では、複数の電気特性検査のうちの付与電位差値が所定の基準レベル未満である電気特性検査では、複数の配線パターンのうちの、配線パターンに接触されている接触ピンの数が多いものから順に注目配線パターンに設定され、複数の電気特性検査のうちの付与電位差値が所定の基準レベル以上である電気特性検査では、複数の配線パターンのうちの、配線パターンに接触されている接触ピンの数が少ないものから順に注目配線パターンに設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査基板に設けられた複数の配線パターン間の電気的特性に関する検査を行う基板検査装置に関する。
【0002】
なお、この発明は、プリント配線基板に限らず、例えば、フレキシブル基板、多層配線基板、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用の電極板、及び半導体パッケージ用のパッケージ基板やフィルムキャリアなど種々の基板における電気的配線の検査に適用でき、この明細書では、それら種々の配線基板を総称して「基板」と称する。
【背景技術】
【0003】
検査対象の配線パターン間に微細な短絡部がある場合、配線パターン間に一般的な電位差を発生させると、その微細な短絡部が過電流により焼損し、これによって本来絶縁不良等の問題がある被検査基板が正常と誤判定されてしまうなどの問題が生じることがある。
【0004】
この点に関する従来の基板検査装置として、配線パターンに与える電位差を段階的に変化させ、これによって配線パターンの絶縁不良箇所等が過電流により焼損するのを防止しつつ検査を行うようにしたものがある(例えば、特許文献1)。
【0005】
例えば、第1段階での短絡検査では、配線パターン間に付与する電位差が、隣接する配線パターン間が擬似的に短絡した、あるいは微細な細線部により短絡した極小短絡部が導通し、かつその極小短絡部を流れる電流により極小短絡部が焼損しない値に設定される。第2段階での短絡検査では、配線パターン間に付与する電位差が、第1段階の電位差よりも高い値であって、隣接する配線パターン間のスパークによる電流リークを検出するための値に設定される。
【0006】
また、被検査基板に設けられた複数の配線パターンについて検査を行う際には、極小短絡部に関する第1段階の検査、及びスパークによる電流リークに関する第2段階の検査のいずれも、複数の配線パターンについていずれか1つの配線パターンを同じ順番で検査対象の注目配線パターンに設定していくようになっている。
【0007】
より具体的には、例えば、第1段階及び第2段階のいずれの検査でも、配線面積の大きい配線パターンから順に注目配線パターンに設定される。そして、複数の配線パターンのうちの配線面積の大きいものから順に注目配線パターンとして設定されていくとともに、各時点において注目配線パターンに設定されている配線パターンと、複数の配線パターンのうちのその時点で注目配線パターンに設定されている配線パターン及びその検査内で既に注目配線パターンに設定されたことがある配線パターン以外の配線パターンからなる相対配線パターンとの間に、電位差が付与されて、注目配線パターンと相対線配線パターンとの間の電気的特性が検査される。なお、配線面積の大きい配線パターンから順に注目配線パターンに設定するのは、配線面積の大きい配線パターンは、電位差の付与及び付与解除の際の電荷の充放電に時間がかかるため、配線面積の大きい配線パターンに対する電位差付与(充放電)の回数を減らして検査速度を高速化するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−139036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この種の基板検査装置は短時間に大量の基板に対して検査を行う必要性から、検査速度の高速化が強く求められており、個々の注目配線パターンについて行われる各検査ステップにかけられる時間が益々短縮される傾向にある。その一方で、検査速度の高速化は、検査を行うための充放電に起因する不所望な電流の変化が検出されてしてしまい、検査結果の誤判定を招き易くなる傾向もある。このため、検査の信頼性を低下させずに、如何に検査速度の高速化を図るかが課題となっている。
【0010】
この点に関し、本願発明者の鋭意研究の結果、上述の従来技術のように、第1段階の検査及び第2段階の検査のいずれも、複数の配線パターンについて検査対象の注目配線パターンを設定する順番を同一にした構成では、現在要求されている検査速度では問題ないが、将来的にさらなる検査速度の高速化が進められた場合、検査を行うための充放電に起因する不所望な電流の変化が検出されてしまい、検査結果の誤判定が生じやすくなるおそれがある。具体的には、配線面積の大きい配線パターンから順に注目配線パターンに設定する構成の場合、付与電位差の小さい第1段階の検査では検査速度の向上が図れるが、付与電位差の大きい第2段階の検査で、スパークによる電流リークが発生していないのにもかかわらず、放電流を電流計が検出して、あたかも電流リークがあると判定される誤判定が生じやすくなる。
【0011】
また、上述の従来例では、複数の配線パターンに対して注目配線パターンを選定する順番を配線パターンの配線面積に基づいて決定しているが、配線パターンに対する電位差の付与及び付与解除の際の充放電特性には、配線パターンの配線面積の他に、配線パターンに接触されている検査用の接触ピン及び接触ピンに接続されている導線等の静電容量も大きく影響している。このため、従来例では、注目配線パターンの選定の順番が、接触ピン及び導線等の静電容量の影響が十分に考慮されずに決定されていた。
【0012】
また、この種の基板検査装置では、複数の電流検出部が備えられている場合があるが、一部の電流検出部に使用頻度が片寄り、一部の電流検出部の劣化が他の電流検出部に比して進みやすくなるという問題もあった。
【0013】
そこで、本発明の解決すべき第1の課題は、被検査基板に設けられた複数の配線パターン間の電気的特性に関する検査について、各配線パターンに対する電位差の付与及び付与解除の際の配線パターンに接触される接触ピン等の静電容量を考慮して、複数の配線パターンに対する電気特性検査の順番を決定することができ、しかも検査結果の信頼性を低下させることなく、検査速度の向上が図れる基板検査装置を提供することである。
【0014】
また、本発明の解決すべき第2の課題は、備えられた複数の電流検出部のうちの一部の電流検出部に使用頻度が片寄るのを防止できる基板検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するため、本発明の第1の局面に係る基板検査装置では、被検査基板に設けられる複数の配線パターン間に電位差を付与しつつ検査用の信号を取り出すことにより前記配線パターン間の電気的特性を検査する基板検査装置であって、前記被検査基板に設けられる前記各配線パターンに設定された複数の検査点に接触される複数の接触ピンと、前記複数の接触ピンを介して前記配線パターン間に電位差を付与するとともに、前記配線パターン間に付与する電位差の大きさを変更可能な電源部と、前記複数の接触ピンを介して前記配線パターン間の電気的特性に関する信号を検出する検出部と、複数のスイッチング素子を有し、前記各スイッチング素子をオン、オフさせることにより、前記複数の接触ピンと、前記電源部及び前記検出部との間の電気的な接続関係を切り替える接続切替部と、前記電源部及び前記接続切替部の前記複数のスイッチング素子を制御するとともに、前記検出部の検出結果に基づいて前記配線パターン間の電気的特性を検査する制御部とを備え、前記制御部は、前記配線パターン間に付与する電位差の値である付与電位差値が異なる複数の電気特性検査のための検査処理動作を行い、前記制御部による前記複数の検査処理動作では、その検査処理動作内の複数の検査ステップにおいて前記複数の配線パターンのいずれか1つが注目配線パターンとして順番に設定されていくとともに、その各検査ステップにおいて、その時点で注目配線パターンに設定されている配線パターンと、前記複数の配線パターンのうちのその時点で前記注目配線パターンに設定されている配線パターン及びその検査処理動作内で既に注目配線パターンに設定されたことがある配線パターン以外の配線パターンからなる相対配線パターンとの間に、前記接触ピンを介して前記電源部によりその検査処理動作に対応する前記付与電位差値の電位差が付与されて、前記注目配線パターンと前記相対配線パターンとの間の電気的特性が前記検出部の検出結果に基づいて検査され、前記複数の電気特性検査のうちの前記付与電位差値が所定の基準レベル未満である電気特性検査では、前記複数の配線パターンのうちの、配線パターンに接触されている前記接触ピンの数が多いものから順に前記注目配線パターンに設定され、前記複数の電気特性検査のうちの前記付与電位差値が前記所定の基準レベル以上である電気特性検査では、前記複数の配線パターンのうちの、配線パターンに接触されている前記接触ピンの数が少ないものから順に前記注目配線パターンに設定される。
【0016】
また、本発明の第2の局面に係る基板検査装置では、被検査基板に設けられる複数の配線パターン間に電位差を付与しつつ検査用の信号を取り出すことにより前記配線パターン間の電気的特性を検査する基板検査装置であって、前記被検査基板に設けられる前記各配線パターンに設定された複数の検査点に接触される複数の接触ピンと、前記複数の接触ピンを介して前記配線パターン間に電位差を付与するとともに、前記配線パターン間に付与する電位差の大きさを変更可能な電源部と、前記複数の接触ピンを介して前記配線パターン間の電気的特性に関する信号を検出する検出部と、複数のスイッチング素子を有し、前記各スイッチング素子をオン、オフさせることにより、前記複数の接触ピンと、前記電源部及び前記検出部との間の電気的な接続関係を切り替える接続切替部と、前記電源部及び前記接続切替部の前記複数のスイッチング素子を制御するとともに、前記検出部の検出結果に基づいて前記配線パターン間の電気的特性を検査する制御部とを備え、前記制御部は、前記配線パターン間に付与する電位差の値である付与電位差値が異なる複数の電気特性検査のための検査処理動作を行い、前記制御部による前記複数の検査処理動作では、その検査処理動作内の複数の検査ステップにおいて前記複数の配線パターンのいずれか1つが注目配線パターンとして順番に設定されていくとともに、その各検査ステップにおいて、その時点で注目配線パターンに設定されている配線パターンと、前記複数の配線パターンのうちのその時点で前記注目配線パターンに設定されている配線パターン及びその検査処理動作内で既に注目配線パターンに設定されたことがある配線パターン以外の配線パターンからなる相対配線パターンとの間に、前記接触ピンを介して前記電源部によりその検査処理動作に対応する前記付与電位差値の電位差が付与されて、前記注目配線パターンと前記相対配線パターンとの間の電気的特性が前記検出部の検出結果に基づいて検査され、前記複数の電気特性検査には、第1種及び第2種短絡検査が含まれ、前記1種短絡検査では、前記付与電位差値が、隣接する前記配線パターン間が擬似的に短絡した、あるいは微細な細線部により短絡した極小短絡部が導通し、かつその極小短絡部を流れる電流により前記極小短絡部が焼損しない値に設定され、前記第2種短絡検査では、前記付与電位差値が、前記第1種短絡検査の前記付与電位差値よりも高い値であって、隣接する前記配線パターン間のスパークによる電流リークを検出するための値に設定され、前記第1種短絡検査では、前記複数の配線パターンのうちの、配線パターンに接触されている前記接触ピンの数が多いものから順に前記注目配線パターンに設定され、前記第2種短絡検査では、前記複数の配線パターンのうちの、配線パターンに接触されている前記接触ピンの数が少ないものから順に前記注目配線パターンに設定される。
【0017】
また、本発明の第3の局面に係る基板検査装置では、上記第1の局面又は第2の局面に係る基板検査装置において、前記制御部による前記複数の検査処理動作では、前記複数の電気特性検査が、前記付与電位差値が小さいものから順に行われる。
【0018】
また、本発明の第4の局面に係る基板検査装置では、上記第1ないし第3の局面のいずれかに係る基板検査装置において、前記検出部は、前記複数の接触ピンを複数のグループに分割してなる複数の接触ピン群にそれぞれ割り当てられ、その対応する接触ピン群に属する接触ピンを介して、前記注目配線パターン又は前記相対配線パターンと前記電源部との間に流れる電流を検出する複数の電流検出部を備え、前記制御部は、前記各電気特性検査内において、前記複数の電流検出部の使用頻度が分散されるように、前記各検査ステップで前記電流の検出に用いる前記検出部の前記電流検出部を選択する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の局面に係る基板検査装置によれば、各電気特性検査における複数の配線パターンに対する注目配線パターンの選定の順番が、検査時に配線パターンに接触される接触ピンの数に基づいて決定される。配線パターンに接触される接触ピンの数は、配線面積の大きい配線パターンほど多くなる傾向にあるため、注目配線パターンの選定の順番を接触ピンの数に基づいて決定することにより、配線パターン、その配線パターンに接触される接触ピン、及びその接触ピンに接続される導線等からなる全体の静電容量を考慮して、注目配線パターンの選定の順番を決定することができる。
【0020】
また、複数の電気特性検査のうちの付与電位差値が所定の基準レベル未満である電気特性検査では、複数の配線パターンのうちの、配線パターンに接触されている接触ピンの数が多いものから順に注目配線パターンに設定され、複数の電気特性検査のうちの付与電位差値が所定の基準レベル以上である電気特性検査では、複数の配線パターンのうちの、配線パターンに接触されている接触ピンの数が少ないものから順に注目配線パターンに設定される。このため、複数の電気特性検査のうちの付与電位差値が所定の基準レベル未満である電気特性検査では、接触される接触ピンが多く、接触ピン等を含む全体の静電容量の大きい配線パターンから順に注目配線パターンに設定することにより、全体の静電容量の大きい配線パターンに対する電位差の付与及び付与解除の回数を抑制できる。その結果、配線パターンに対する電位差の付与及び付与解除の際の所要時間(充放電等に要する時間)を短縮して、検査速度の高速化が図れる。その一方、複数の電気特性検査のうちの付与電位差値が所定の基準レベル以上である電気特性検査では、接触される接触ピンが少なく、接触ピン等を含む全体の静電容量の小さい配線パターンから順に注目配線パターンに設定することにより、検査結果の誤判定を抑制して、検査の信頼性が低下するのが回避される。その結果、検査結果の信頼性を低下させることなく、検査速度の向上が図れる。
【0021】
本発明の第2の局面に係る基板検査装置によれば、各電気特性検査における複数の配線パターンに対する注目配線パターンの選定の順番が、検査時に配線パターンに接触される接触ピンの数に基づいて決定される。配線パターンに接触される接触ピンの数は、配線面積の大きい配線パターンほど多くなる傾向にあるため、注目配線パターンの選定の順番を接触ピンの数に基づいて決定することにより、配線パターン、その配線パターンに接触される接触ピン、及びその接触ピンに接続される導線等からなる全体の静電容量を考慮して、注目配線パターンの選定の順番を決定することができる。
【0022】
また、付与電位差値が配線パターン間の極小短絡部に関する検査に対応した小さな値に設定される第1種短絡検査では、複数の配線パターンのうちの、配線パターンに接触されている接触ピンの数が多いものから順に注目配線パターンに設定され、付与電位差値が配線パターン間のスパークによる電流リークに関する検査に対応した大きな値に設定される第2種短絡検査では、複数の配線パターンのうちの、配線パターンに接触されている接触ピンの数が少ないものから順に注目配線パターンに設定される。このため、付与電位差値の小さい第1種短絡検査では、接触される接触ピンが多く、接触ピン等を含む全体の静電容量の大きい配線パターンから順に注目配線パターンに設定することにより、全体の静電容量の大きい配線パターンに対する電位差の付与及び付与解除の回数を抑制できる。その結果、配線パターンに対する電位差の付与及び付与解除の際の所要時間(充放電等に要する時間)を短縮して、検査速度の高速化が図れる。その一方、付与電位差値の大きい第2種短絡検査では、接触される接触ピンが少なく、接触ピン等を含む全体の静電容量の小さい配線パターンから順に注目配線パターンに設定することにより、検査結果の誤判定を抑制して、検査の信頼性が低下するのが回避される。その結果、検査結果の信頼性を低下させることなく、検査速度の向上が図れる。
【0023】
本発明の第3の局面に係る基板検査装置によれば、複数の電気特性検査が付与電位差値の小さいものから順に行われるため、検査時の過電流により極小短絡部が焼損するのを回避しつつ、配線パターン間の電気的特性について検査できる。
【0024】
本発明の第4の局面に係る基板検査装置によれば、各電気特性検査内において、複数の電流検出部の使用頻度が分散されるように、各検査ステップで電流の検出に用いる検出部の電流検出部が選択されるため、一部の電流検出部に使用頻度が片寄るのを防止して、一部の電流検出部の劣化が他の電流検出部に比して進むのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板検査装置の電気的構成を示す図である。
【図2】被検査基板に設けられる配線パターンの構成等を模式的に示す図である。
【図3】図2の被検査基板に設けられる配線パターンとその配線パターンに接触される接触ピンの数の対応関係を例示した図である。
【図4】図1の基板検査装置の検査手順を示すフローチャートである。
【図5】第1及び第2種短絡検査の各検査ステップにおける注目配線パターン及び相対配線パターンの設定手順を説明するための図である。
【図6】図1の基板検査装置の変形例に関し、複数の電流検出部の使用形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1ないし図5を参照して、本発明の一実施形態に係る基板検査装置について説明する。この基板検査装置1は、図1及び図2に示すように、複数の接触ピンP1,P2,・・・(これらを総称する場合は符号「P」とする)、電源部11、複数の電流検出部A1,A2,・・・(これらを総称する場合は符号「A」を用いる)、電位差検出部V、接続切替部12、及び制御部13を備えており、被検査基板2に設けられる複数の配線パターンN1,N2,・・・(これらを総称する場合は符号「N」を用いる)間に電位差を付与しつつ検査用の信号を取り出すことにより配線パターンN間の電気的特性を検査する。本発明の検出部には、電流検出部A及び電位差検出部Vが対応している。
【0027】
被検査基板2に設けられる各配線パターンNには、配線パターンNの役割(電源配線、グランド配線、信号配線等)、及び形態(配線長、配線形状等)に応じて、検査時に1又は複数の接触ピンPが接触される。このとき、配線面積が大きい配線パターンNほど多くの接触ピンPが接触される傾向にある。図2に示す例では、配線パターンN1には2つの接触ピンPが接触され、配線パターンN2には3つの接触ピンPが接触されている。
【0028】
接触ピンPは、基板検査装置1の各配線パターンNに対する電気的な接続点を形成するためのものであり、図示しない絶縁性の保持部材により保持された状態で、図示しない昇降機構等により保持部材ごと昇降されて、検査時にその先端部が対応する配線パターンNの接触点に接触される。接触ピンPの後端部は、電極部を介して基板検査装置1の本体側と接続された導線と導通される。また、このような接触ピンPは、複数の接触ピンPからなる複数のピングループPG1,PG2,・・・(これらを総称する場合は符号「PG」を用いる)にグループ分けされている。
【0029】
電源部11は、後述する制御部13の制御により、配線パターンN間の電気的特性を検出するための電位差を接触ピンPを介して各配線パターンN間に付与する。また、電源部11が配線パターンN間に付与する電位差の大きさは、制御部13の制御により変更可能となっている。
【0030】
電流検出部Aは、ピングループPGごとに1つずつ設けられ、全体として複数設けられており、対応するピングループPGの接触ピンPを介して、配線パターンNと電源部11との間に流れる電流を検出し、検出結果を制御部13に与える。このような電流検出部Aは、例えば接続切替部12の2段目の各スイッチング素子SW2aと電源部11の一方側出力部(例えば、プラス側出力部)との間を接続する導電路に介挿される。なお、変形例として、電流検出部Aを接続切替部12の2段目の各スイッチング素子SW2bと電源部11の他方側出力部(例えば、マイナス側出力部)との間を接続する導電路に介挿してもよい。
【0031】
電位差検出部Vは、電源部11により配線パターンN間に付与されている電位差を接触ピンPを介して検出し、検出結果を制御部13に与える。
【0032】
なお、本実施形態では、電流検出部A及び電位差検出部Vの両方を設けたが、電源部11の出力電位差値又は出力電流値に基づいて、各配線パターンN間に付与される電位差値又は電源部11から注目配線パターンに供給される電流値に関する情報が取得できる場合には、電流検出部Aと電位差検出部Vとの一方を省いてもよい。
【0033】
接続切替部12は、制御部13の制御によりオン、オフ動作する複数のスイッチング素子(例えば、半導体スイッチング素子)SW1,SW2を有している。そして、そのスイッチング素子SW1,SW2をオン、オフすることにより、各接触ピンPと、装置本体側の構成(電源部11、電流検出部A及び電位差検出部V)との電気接続関係を切り替える。本実施形態では、複数のスイッチング素子SW1と複数のスイッチング素子SW2が2段構成で備えられている。
【0034】
1段目のスイッチング素子SW1は、各接触ピンPごとに設けられ、そのスイッチング素子SW1がオンすることにより、複数の接触ピンPのうちからそのスイッチング素子SW1が対応する接触ピンPが、2段目のスイッチング素子SW2を介して装置本体側の構成(電源部11、電流検出部A及び電位差検出部V)に接続される。
【0035】
2段目のスイッチング素子SW2は、各ピングループPGごとに3つずつ設けられている。そして、3つのスイッチング素子SW2のいずれがオンすると、その3つのスイッチング素子SW2が対応するピングループPGの接触ピンPが、1段目のスイッチング素子SW1を介して、電源部11の一方側出力端子(例えば、プラス側出力端子)、電源部11の他方側出力端子(例えば、マイナス側出力端子)、及びグランド電位のうちのいずれかに接続される。例えば、スイッチング素子SW2aがオンすると、対応するピングループPGの接触ピンPが、1段目のスイッチング素子SW1を介して、電源部11の一方側出力端子(例えば、プラス側出力端子)に接続される。スイッチング素子SW2bがオンすると、対応するピングループPGの接触ピンPが、1段目のスイッチング素子SW1を介して、電源部11の他方側出力端子(例えば、マイナス側出力端子)に接続される。スイッチング素子SW2cがオンすると、対応するピングループPGの接触ピンPが、1段目のスイッチング素子SW1を介して、グランド電位に接続される。
【0036】
制御部13は、この基板検査装置1の制御及び被検査基板2に対する検査処理を司るものである。この制御部13の制御動作には、電源部11の出力のオン、オフ、電源部11が配線パターンN間に付与する電位差の大きさの変更又は調節、及び、接続切替部12の各スイッチング素子SW1,SW2をオン、オフ動作させることによる、複数の接触ピンPと装置本体側の構成(電源部11、電流検出部A及び電位差検出部V)との電気接続関係の切り替え等が含まれる。
【0037】
制御部13による検査処理には、配線パターンN間に付与する電位差の値である付与電位差値が異なる複数の電気特性検査のための検査処理動作が含まれている。その各検査処理動作では、その検査処理動作内の複数の検査ステップにおいて複数の配線パターンNのいずれか1つが注目配線パターンとして順番に設定されていく。それとともに、その各検査ステップにおいて、その時点で注目配線パターンに設定されている配線パターンNと、複数の配線パターンNのうちのその時点で注目配線パターンに設定されている配線パターンN及びその検査処理動作内で既に注目配線パターンNに設定されたことがある配線パターンN以外の配線パターンNからなる相対配線パターンとの間に、接触ピンPを介して電源部11によりその検査処理動作に対応する付与電位差値の電位差が付与される。そして、注目配線パターンと相対配線パターンとの間の電気的特性(本実施形態では、絶縁性)が、電流検出部A及び電位差検出部Vの検出結果に基づいて検査される。
【0038】
注目配線パターンと相対配線パターンとの間の絶縁性に検査は、例えば次のようにして行われる。すなわち、両配線パターン間に電源部11により電位差を付与し、そのときに電位差検出部Vにより両配線パターン間の電位差値を検出するとともに、電流検出部Aにより両配線パターン間に流れる電流を検出する。そして、検出された電位差値を電流値で割り算して、両配線パターン間の仮想的な抵抗値を算出し、その抵抗値が判定基準となる基準抵抗値以上であれば、適正と判定され、その抵抗値が基準抵抗値未満であれば不良と判定される。なお、判定基準の基準抵抗値は、電気特性検査ごとに検査対象に応じた値に設定するのが好ましい。
【0039】
また、複数の電気特性検査は、付与電位差値が小さいものから順に行われるようになっている。
【0040】
さらに、複数の電気特性検査のうちの付与電位差値が所定の基準レベル未満である電気特性検査では、複数の配線パターンNのうちの、配線パターンNに接触されている接触ピンPの数が多いものから順に注目配線パターンに設定される。一方、複数の電気特性検査のうちの付与電位差値が所定の基準レベル以上である電気特性検査では、複数の配線パターンNのうちの、配線パターンNに接触されている接触ピンPの数が少ないものから順に注目配線パターンに設定される。
【0041】
より具体的には、本実施形態では、複数の電気特性検査として、第1種及び第2種短絡検査が行われるようになっている。第1種短絡検査では、付与電位差値が、隣接する配線パターンN間が擬似的に短絡した、あるいは微細な細線部により短絡した極小短絡部が導通し、かつその極小短絡部を流れる電流により極小短絡部が焼損しない値(第1の付与電位差値)に設定される。第2種短絡検査では、付与電位差値が、第1種短絡検査の付与電位差値よりも高い値であって、隣接する配線パターン間のスパークによる電流リークを検出するための値(第2の付与電位差値)に設定される。そして、付与電位差値に対する基準レベルは、前記第1の付与電位差値よりも大きく、かつ第2の付与電位差値以下の値(例えば、150〜250V)に設定される。なお、本実施形態では、複数の電気特性検査として第1及び第2種短絡検査からなる2つの電気特性検査を行うようにしたが、3つ以上の電気特性検査を行うようにしてもよい。
【0042】
このため、付与電位差値が小さい第1種短絡検査では、複数の配線パターンNのうちの、配線パターンNに接触されている接触ピンPの数が多いものから順に注目配線パターンに設定される。付与電位差値の大きい第2種短絡検査では、複数の配線パターンNのうちの、配線パターンNに接触されている接触ピンPの数が少ないものから順に注目配線パターンに設定される。
【0043】
さらに詳細には、第1種短絡検査では、配線パターンN間が擬似的に短絡した、あるいは微細な細線部により短絡した極小短絡部による絶縁不良の有無が検査される。極小短絡部には、本明細書記載の特許文献1の図3(a)及び図3(b)に示すような微細短絡部と、同図4に示されるような疑似短絡部とが含まれる。
【0044】
微細短絡部は、例えば、配線パターンNのエッチング処理の際に、除去されるべき不要な配線材料が完全に除去されずに残ったエッチング残等によって生じる。このような微細短絡部は、例えばミクロンオーダー等の微細な太さであるため、短絡検査の際に配線パターンNに大きな電位差をかけると、微細短絡部を流れる電流により焼損してしまうことがある。このような微細短絡部の抵抗値は、約100Ω程度以下である場合が多い。
【0045】
疑似短絡部とは、隣接する配線パターンNを疑似的に短絡させて絶縁不良を引き起こすものであり、隣接する配線パターンN間に橋渡されるように断続的に形成され、その疑似短絡部にかかる電位差の増大に伴って非導通状態から導通状態に変化するようになっている不良である。このような疑似短絡部は、例えば、隣接する配線パターンN間に橋渡されるように断続的に連なって形成された一又は複数の微細導体粒又は微細導体片(例えば、配線パターンNの材料からなる微細導体粉又は微細導体片)からなっている。そして、このような疑似短絡部の場合も、短絡検査の際に配線パターンNに大きな電位差をかけると、疑似短絡部を流れる電流により焼損してしまうことがある。このような疑似短絡部の抵抗値は約10MΩ−約100MΩ程度である場合が多い。
【0046】
第2種短絡検査では、隣接する配線パターンN間のスパークによる電流リークを検出することにより、配線パターンN間の絶縁不良の有無が検査される。このようなスパークによる電流リークを引き起こすような絶縁不良箇所には、例えば本明細書の特許文献1の図5に示すパターン接近部が挙げられる。この図5のパターン接近部は、配線パターンNの形成時のパターン不良等により生じ、隣接する配線パターンN同士が異常に接近した部分であり、スパークによる絶縁不良を引き起こす。このパターン接近部の抵抗値は、スパークが生じる前は実質的に無限大であり、スパークが発生したときはその隙間寸法等に応じた有限の値、例えば約1MΩ程度になる。
【0047】
次に、具体例として、図3の表に示すような4つの配線パターンN1−N4について、第1種及び第2種短絡検査が行われる場合について説明する。図3の表より、配線パターンN1には2つの接触ピンPが接触され、配線パターンN2には3つの接触ピンPが接触され、配線パターンN3には5つの接触ピンPが接触され、配線パターンN4には7つの接触ピンPが接触されるようになっている。
【0048】
検査の順序は、図4に示すように、ステップST1で第1種短絡検査が行われた後、ステップST2で第2種短絡検査が行われる。
【0049】
第1種短絡検査では、電源部11により注目配線パターンと相対配線パターンとの間に付与される付与電位差値が第1の付与電位差値(例えば、10V)に設定され、図5の表の上側部分に示すように、検査ステップSa1、検査ステップSa2、検査ステップSa3の順序で進められる。
【0050】
検査ステップSa1では、接触している接触ピンPの数(以下、「ピン数」という)が最も多い配線パターンN4が注目配線パターンに設定され、それ以外のすべての配線パターンN1−N3が相対配線パターンに設定され、配線パターンN4と配線パターンN1−N3との間の極小短絡部に関する絶縁検査が行われる。具体的な動作としては、例えば、配線パターンN1−N4に接触されている接触ピンPに対応する接続切替部12の1段目のスイッチング素子SW1がオンされるとともに、2段目のスイッチング素子SW2のうちの配線パターンN4に接触された接触ピンPに対応するいずれか1つのスイッチング素子SW2aがオンされ、配線パターンN1に接触された接触ピンPに対応するいずれか1つのスイッチング素子SW2bがオンされ、配線パターンN2に接触された接触ピンPに対応するいずれか1つのスイッチング素子SW2bがオンされ、配線パターンN3に接触された接触ピンPに対応するいずれか1つのスイッチング素子SW2bがオンされる。このとき、2段目の他のスイッチング素子SW2はすべてオフされる。
【0051】
これにより、注目配線パターンである配線パターンN4が、接触ピンP、接続切替部12のスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2aを介して、電源部11の一方側出力部(例えば、プラス側出力部)と接続される。また、相対配線パターンである配線パターンN1−N3が、接触ピンP、接続切替部12のスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2bを介して、電源部11の他方側出力部(例えば、マイナス側出力部)と接続される。そして、電源部11により配線パターンN4と配線パターンN1−N3との間に第1の付与電位差値の電位差が付与され、そのときに配線パターンN4と配線パターンN1−N3との間に流れる電流(厳密には、電源部11の一方側出力部と配線パターンN4との間に流れる電流)が電流検出部Aにより検出されるとともに、配線パターンN4と配線パターンN1−N3との間に付与された電位差が電位差検出部Vにより検出される。続いて、その検出された電流値と電位差値に基づいて配線パターンN4と配線パターンN1−N3との間の仮想的な抵抗値が算出され、その抵抗値に基づいて配線パターンN4と配線パターンN1−N3との間の極小短絡部の有無が判定される。これにより、配線パターンN4に対する第1種短絡検査は終了する。
【0052】
そして、配線パターンN1−N4に接触された接触ピンPに対応する1段目のスイッチング素子SW1がオンされた状態で、2段目のスイッチング素子SW2のうちの配線パターンN1−N4に接触された接触ピンPにそれぞれ対応するスイッチング素子SW2cがオンされ、配線パターンN1−N4が、接触ピンP、スイッチング素子SW1,SW2cを介してグランド電位に接続される。これにより、電位差付与により配線パターンN1−N4に溜まった電荷が放電される。
【0053】
続く検査ステップSa2では、ピン数が2番目に多い配線パターンN3が注目配線パターンに設定される。相対配線パターンには、配線パターンN3と既に注目配線パターンに設定された配線パターンN4とを除いた残りの配線パターンN1,N2が設定される。そして、例えば、配線パターンN1−N3に接触されている接触ピンPに対応する接続切替部12の1段目のスイッチング素子SW1がオンされるとともに、2段目のスイッチング素子SW2のうちの配線パターンN1に接触された接触ピンPに対応するいずれか1つのスイッチング素子SW2bがオンされ、配線パターンN2に接触された接触ピンPに対応するいずれか1つのスイッチング素子SW2bがオンされる。このとき、2段目の他のスイッチング素子SW2はすべてオフされる。
【0054】
これにより、注目配線パターンである配線パターンN3が、接触ピンP、接続切替部12のスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2aを介して、電源部11の一方側出力部(例えば、プラス側出力部)と接続される。また、相対配線パターンである配線パターンN1,N2が、接触ピンP、接続切替部12のスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2bを介して、電源部11の他方側出力部(例えば、マイナス側出力部)と接続される。そして、電源部11により配線パターンN3と配線パターンN1,N2との間に第1の付与電位差値の電位差が付与され、そのときに配線パターンN3と配線パターンN1,N2との間に流れる電流(厳密には、電源部11の一方側出力部と配線パターンN3との間に流れる電流)が電流検出部Aにより検出されるとともに、配線パターンN3と配線パターンN1,N2との間に付与された電位差が電位差検出部Vにより検出される。続いて、その検出された電流値と電位差値に基づいて配線パターンN3と配線パターンN1,N2との間の仮想的な抵抗値が算出され、その抵抗値に基づいて配線パターンN3と配線パターンN1,N2との間の極小短絡部の有無が判定される。これにより、配線パターンN3に対する第1種短絡検査は終了する。
【0055】
そして、配線パターンN1−N3に接触された接触ピンPに対応する1段目のスイッチング素子SW1がオンされた状態で、2段目のスイッチング素子SW2のうちの配線パターンN1−N3に接触された接触ピンPにそれぞれ対応するスイッチング素子SW2cがオンされ、配線パターンN1−N3が、接触ピンP、スイッチング素子SW1,SW2cを介してグランド電位に接続される。これにより、電位差付与により配線パターンN1−N3に溜まった電荷が放電される。
【0056】
続く検査ステップSa3では、ピン数が3番目に多い配線パターンN2が注目配線パターンに設定される。相対配線パターンには、配線パターンN2と既に注目配線パターンに設定された配線パターンN4,N3とを除いた残りの配線パターンN1が設定される。そして、例えば、配線パターンN1,N2に接触されている接触ピンPに対応する接続切替部12の1段目のスイッチング素子SW1がオンされるとともに、2段目のスイッチング素子SW2のうちの配線パターンN1に接触された接触ピンPに対応するいずれか1つのスイッチング素子SW2bがオンされる。このとき、2段目の他のスイッチング素子SW2はすべてオフされる。
【0057】
これにより、注目配線パターンである配線パターンN2が、接触ピンP、接続切替部12のスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2aを介して、電源部11の一方側出力部(例えば、プラス側出力部)と接続される。また、相対配線パターンである配線パターンN1が、接触ピンP、接続切替部12のスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2bを介して、電源部11の他方側出力部(例えば、マイナス側出力部)と接続される。そして、電源部11により配線パターンN2と配線パターンN1との間に第1の付与電位差値の電位差が付与され、そのときに配線パターンN2と配線パターンN1との間に流れる電流(厳密には、電源部11の一方側出力部と配線パターンN2との間に流れる電流)が電流検出部Aにより検出されるとともに、配線パターンN2と配線パターンN1との間に付与された電位差が電位差検出部Vにより検出される。続いて、その検出された電流値と電位差値に基づいて配線パターンN2と配線パターンN1との間の仮想的な抵抗値が算出され、その抵抗値に基づいて配線パターンN2と配線パターンN1との間の極小短絡部の有無が判定される。これにより、配線パターンN2に対する第1種短絡検査が終了するとともに、配線パターンN1に対する第1種短絡検査も終了し、すべての配線パターンN1−N4に対する第1種短絡検査が終了する。
【0058】
そして、配線パターンN1,N2に接触された接触ピンPに対応する1段目のスイッチング素子SW1がオンされた状態で、2段目のスイッチング素子SW2のうちの配線パターンN1,N2に接触された接触ピンPにそれぞれ対応するスイッチング素子SW2cがオンされ、配線パターンN1,N2が、接触ピンP、スイッチング素子SW1,SW2cを介してグランド電位に接続される。これにより、電位差付与により配線パターンN1,N2に溜まった電荷が放電される。
【0059】
続いて、第2種短絡検査が行われる。第2種短絡検査では、電源部11により注目配線パターンと相対配線パターンとの間に付与される付与電位差値が第2の付与電位差値(例えば、250V)に設定され、図5の表の下側部分に示すように、検査ステップSb1、検査ステップSb2、検査ステップSb3の順序で進められる。
【0060】
なお、この第2種短絡検査における接続切替部12の各スイッチング素子SW1,SWbによる切替動作については、複数の配線パターンN1−N4に対して注目配線パターンを設定する際の順番が上述の第1種短絡検査と逆になったことによる違いを除いて、第1種短絡検査のときと同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0061】
最初の検査ステップSb1では、ピン数が最も少ない配線パターンN1が注目配線パターンに設定され、それ以外のすべての配線パターンN2−N3が相対配線パターンに設定され、電源部11により接触ピンP及び接続切替部12を介して配線パターンN1と配線パターンN2−N4との間に第2の付与電位差値の電位差が付与される。そのときに配線パターンN1と配線パターンN2−N4との間に流れる電流(厳密には、電源部11の一方側出力部と配線パターンN1との間に流れる電流)が電流検出部Aにより検出されるとともに、配線パターンN1と配線パターンN2−N4との間に付与された電位差が電位差検出部Vにより検出される。続いて、その検出された電流値と電位差値に基づいて配線パターンN1と配線パターンN2−N4との間の仮想的な抵抗値が算出され、その抵抗値に基づいて配線パターンN1と配線パターンN2−N4との間のスパークによるリーク電流の有無が判定される。これにより、配線パターンN1に対する第2種短絡検査は終了する。そして、配線パターンN1−N4が、接触ピンP及び接続切替部12を介してグランド電位に接続され、電位差付与により配線パターンN1−N4に溜まった電荷が放電される。
【0062】
続く検査ステップSb2では、ピン数が2番目に少ない配線パターンN2が注目配線パターンに設定される。相対配線パターンには、配線パターンN2と既に注目配線パターンに設定された配線パターンN1とを除いた残りの配線パターンN3,N4が設定される。そして、電源部11により配線パターンN2と配線パターンN3,N4との間に第2の付与電位差値の電位差が付与され、そのときに配線パターンN2と配線パターンN3,N4との間に流れる電流(厳密には、電源部11の一方側出力部と配線パターンN2との間に流れる電流)が電流検出部Aにより検出されるとともに、配線パターンN2と配線パターンN3,N4との間に付与された電位差が電位差検出部Vにより検出される。続いて、その検出された電流値と電位差値に基づいて配線パターンN2と配線パターンN3,N4との間の仮想的な抵抗値が算出され、その抵抗値に基づいて配線パターンN2と配線パターンN3,N4との間のスパークによるリーク電流の有無が判定される。これにより、配線パターンN2に対する第2種短絡検査は終了する。そして、配線パターンN2−N4が、接触ピンP及び接続切替部12を介してグランド電位に接続され、電位差付与により配線パターンN2−N4に溜まった電荷が放電される。
【0063】
続く検査ステップSb3では、ピン数が3番目に少ない配線パターンN3が注目配線パターンに設定される。相対配線パターンには、配線パターンN3と既に注目配線パターンに設定された配線パターンN1,N2とを除いた残りの配線パターンN4が設定される。そして、電源部11により配線パターンN3と配線パターンN4との間に第2の付与電位差値の電位差が付与され、そのときに配線パターンN3と配線パターンN4との間に流れる電流(厳密には、電源部11の一方側出力部と配線パターンN3との間に流れる電流)が電流検出部Aにより検出されるとともに、配線パターンN3と配線パターンN4との間に付与された電位差が電位差検出部Vにより検出される。続いて、その検出された電流値と電位差値に基づいて配線パターンN3と配線パターンN4との間の仮想的な抵抗値が算出され、その抵抗値に基づいて配線パターンN3と配線パターンN4との間のスパークによるリーク電流の有無が判定される。これにより、配線パターンN3に対する第2種短絡検査が終了するとともに、配線パターンN4に対する第2種短絡検査も終了し、すべての配線パターンN1−N4に対する第2種短絡検査が終了する。そして、配線パターンN3,N4が、接触ピンP及び接続切替部12を介してグランド電位に接続され、電位差付与により配線パターンN3,N4に溜まった電荷が放電される。
【0064】
以上のように、本実施形態によれば、第1種及び第2種短絡検査における複数の配線パターンNに対する注目配線パターンの選定の順番が、検査時に配線パターンNに接触される接触ピンPの数に基づいて決定される。配線パターンNに接触される接触ピンPの数は、配線面積の大きい配線パターンNほど多くなる傾向にあるため、注目配線パターンの選定の順番を接触ピンPの数に基づいて決定することにより、配線パターンN、その配線パターンNに接触される接触ピンP、及びその接触ピンPに接続される導線等からなる全体の静電容量を考慮して、注目配線パターンの選定の順番を決定することができる。
【0065】
また、付与電位差値が配線パターンN間の極小短絡部に関する検査に対応した小さな値に設定される第1種短絡検査では、複数の配線パターンNのうちの、配線パターンNに接触されている接触ピンPの数が多いものから順に注目配線パターンに設定され、付与電位差値が配線パターンN間のスパークによる電流リークに関する検査に対応した大きな値に設定される第2種短絡検査では、複数の配線パターンNのうちの、配線パターンNに接触されている接触ピンPの数が少ないものから順に注目配線パターンに設定される。
【0066】
このため、付与電位差値の小さい第1種短絡検査では、接触される接触ピンPが多く、接触ピンP等を含む全体の静電容量の大きい配線パターンNから順に注目配線パターンに設定することにより、全体の静電容量の大きい配線パターンNに対する電位差の付与及び付与解除の回数を抑制できる。その結果、配線パターンPに対する電位差の付与及び付与解除の際の所要時間(充放電等に要する時間)を短縮して、検査速度の高速化が図れる。
【0067】
その一方、付与電位差値の大きい第2種短絡検査では、接触される接触ピンPが少なく、接触ピンP等を含む全体の静電容量の小さい配線パターンNから順に注目配線パターンに設定することにより、検査結果の誤判定を抑制して、検査の信頼性が低下するのが回避される。
【0068】
このように、検査結果の誤判定が、第2種短絡検査においてピン数の小さい配線パターンNから順に注目配線パターンに設定することによって抑制されるのは、次のような理由によるものと考えられる。
【0069】
まず、従来技術において第2種短絡検査にて検査結果の誤判定が生じていた原因について検討する。第2種短絡検査では、大きな電位差が配線パターンN間に付与されるため、電位差付与による注目配線パターン及び接触ピン等の帯電量が大きくなる。このため、注目配線パターンに蓄積された電荷を、次の検査ステップに移行する際にグランド電位に放電するのに要する放電時間が長くなる。一方、検査速度の高速化のため、各検査ステップに割り当てられる割り当て時間が短く切り詰められる傾向にある。このような事情により、第2種短絡検査では、各検査ステップで注目配線パターンと相対配線パターンとの間の絶縁検査を行う際に、1つ前の検査ステップで注目配線パターンに設定された配線パターンNからの放電が影響し、これが検査結果の誤判定の原因になっている可能性がある。
【0070】
また、従来の検査装置のように、第2種短絡検査の際に配線面積の最も大きい配線パターンから順に注目配線パターンに設定する構成では、各検査ステップが終了して次の検査ステップに移行する際、次の検査ステップで注目配線パターンに設定される配線パターンよりも配線面積の大きな配線パターン(これは、1つ前の検査ステップで注目配線パターンであった配線パターンである)からの放電が常に行われることとなる。このため、この1つ前の検査ステップで注目配線パターンに設定されていた配線パターンからの放電が、各検査ステップでの注目配線パターンに対する絶縁検査にさらに影響を与えやすくなっている可能性がある。
【0071】
これに対し、本実施形態では、第2種短絡検査の各検査ステップSb1−Sb3の注目配線パターンに対する絶縁検査において、ピン数の小さい配線パターンNから順に注目配線パターンに設定される。これにより、各検査ステップSb1−Sb3が終了して次の検査ステップに移行する際に、1つ前の検査ステップSb1−Sb3で注目配線パターンに設定されていた配線パターンNの接触ピンP等を含む全体の静電容量が、次の検査ステップSb1−Sb3で注目配線パターンに設定される配線パターンNの接触ピンP等を含む全体の静電容量よりも小さいこととなる。このため、検査ステップSb1−Sb3間の移行の際に、1つ前の検査ステップSb1−Sb3で注目配線パターンに設定されていた配線パターンNからの放電が、次の検査ステップSb1−Sb3で注目配線パターンに設定される配線パターンNに対して行われる電位差付与時の充電に要する時間に比して比較的短時間で終了することとなる。その結果、1つ前の検査ステップSb1−Sb3で注目配線パターンに設定されていた配線パターンNからの放電が、次の検査ステップSb1−Sb3での注目配線パターンに対する絶縁検査に影響を与える確率が抑制されると考えられる。
【0072】
このように、本実施形態によれば、第1種短絡検査での検査速度を向上させつつ、検査速度の高速化により検査結果の誤判定が生じやすい第2種短絡検査での検査結果の信頼性を向上させることにより、第1種及び第2種短絡検査全体として、検査結果の信頼性を低下させることなく、検査速度の向上が図れる。
【0073】
また、第1種及び第2種短絡検査が付与電位差値の小さいものから順に行われるため、検査時の過電流により極小短絡部が焼損するのを回避しつつ、配線パターンN間の絶縁性について検査できる。
【0074】
次に、図6を参照して上述の実施形態に係る基板検査装置1の変形例について説明する。この変形例では、制御部13が、上述の第1種短絡検査及び第2種短絡検査の各検査内において、複数の電流検出部Aの使用頻度が分散されるように(好ましくは、使用頻度が均等になるように)、各検査ステップで電流の検出に用いる電流検出部Aを選択するようになっている。
【0075】
この制御部13による電流検出部Aの選択動作について、図6に示す具体例に基づいて説明する。図6に示す例では、4つの電流検出部A1−A4が設けられ、各電流検出部A1−A4に64本の接触ピンPが割り当てられている。より具体的には、電流検出部A1に接触ピンP1−P64が割り当てられ、電流検出部A2に接触ピンP65−P128が割り当てられ、電流検出部A3に接触ピンP129−P192が割り当てられ、電流検出部A4に接触ピンP193−P256が割り当てられている。
【0076】
そして、第1種及び第2種短絡検査において、配線パターンNa1−Na4に対する絶縁検査が行われるようになっている。図6の「配線パターンと接触ピンとの対応」の欄の記載例では、配線パターンNa1は、接触される接触ピンPの数(ピン数)が2であり、接触ピンP1−P64のうちのいずれか1つの接触ピンPと、接触ピンP65−P128のうちのいずれか1つの接触ピンPとが接触される。配線パターンNa2は、ピン数が2であり、接触ピンP1−P64のうちのいずれか2つの接触ピンPが接触される。配線パターンNa3は、ピン数が4であり、接触ピンP1−P64のうちのいずれか1つの接触ピンPと、接触ピンP65−P128のうちのいずれか1つの接触ピンPと、接触ピンP129−P192のうちのいずれか1つの接触ピンPと、接触ピンP193−P256のうちのいずれか1つの接触ピンPとが接触される。配線パターンNa4は、ピン数が2であり、接触ピンP129−P192のうちのいずれか1つの接触ピンPと、接触ピンP193−P256のうちのいずれか1つの接触ピンPとが接触される。
【0077】
図6の「配線パターンと接触ピンとの対応」の欄の記載例より、配線パターンNa2が注目配線パターンに設定されときは、配線パターンNa2に流れる電流は電流検出部A1でしか検出できないが、他の配線パターンNa1,Na3,Na4がそれぞれ注目配線パターンに設定されたときは、配線パターンNa1,Na3,Na4に流れる電流の検出に用いる電流検出部A1−A4に複数の選択肢があることが分かる。具体的には、配線パターンNa1が注目配線パターンに設定されたときは、2つの電流検出部A1,A2のうちから選択可能となっている。また、配線パターンNa3が注目配線パターンに設定されたときは、4つの電流検出部A1−A4のうちから選択可能となっている。また、配線パターンNa4が注目配線パターンに設定されたときは、2つの電流検出部A3,A4のうちから選択可能となっている。
【0078】
しかし、従来の検査装置では、複数の電流検出部A1−A4の使用頻度に関する配慮が何らなされることなく、複数の電流検出部A1−A4が選択可能な場合であっても、例えば図6の「配線パターンと接触ピンとの対応」の欄の丸印で示すように、ピン番号の最も小さい接触ピンPに対応する電流検出部A1−A4が常に使用されるようになっていた。
【0079】
そこで、この変形例に係る構成では、例えば図6の「配線パターンと接触ピンとの対応」の欄の四角印で示すように、各検査ステップにおいて各配線パターンNa1−Na4が注目配線パターンに設定された際に複数の電流検出部A1−A4が選択可能な場合には、第1種及び第2種短絡検査内での電流検出部A1−A4の使用頻度が分散されるように(好ましくは、使用頻度が均等になるように)、使用する電流検出部A1−A4を選択している。具体的には、配線パターンNa1が注目配線パターンに設定されたときは電流検出部A2が使用され、配線パターンNa2が注目配線パターンに設定されたときは電流検出部A1が使用され、配線パターンNa3が注目配線パターンに設定されたときは電流検出部A3が使用され、配線パターンNa4が注目配線パターンに設定されたときは電流検出部A4が使用される。
【0080】
これにより、第1種及び第2種短絡検査において、一部の電流検出部A1−A4に使用頻度が片寄るのを防止して、一部の電流検出部A1−A4の劣化が他の電流検出部A1−A4に比して進むのを防止できる。
【0081】
この変形例に関する構成のさらなる変形例として、各検査ステップにおいて各配線パターンNa1−Na4が注目配線パターンに設定された際に複数の電流検出部A1−A4が選択可能な場合に、その選択可能な複数の電流検出部A1−A4及び複数の放電経路を同時に使用してもよい。これによって、電流検出部A1−A4を流れる電流値が減少し、電流検出部A1−A4の負担を軽減できるとともに、充放電の時間の短縮が図れる。
【0082】
また、上述の基板検査装置1の他の変形例として、上述の基板検査装置1では、第1種及び第2種短絡検査において、注目配線パターンと相対配線パターンとの間に電位差を付与する際、注目配線パターンがプラス側になるように電位差を付与する例を示したが、相対配線パターンがプラス側になるように電位差を付与してもよいし、注目配線パターンと相対配線パターンとの間に電位差の極性を入れ替えて電位差を2回付与して検査を行ってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 基板検査装置、2 被検査基板、11 電源部、12 接続切替部、13 制御部、A1,A2,・・・ 電流検出部、N1−N4,Na1−Na4、配線パターン P,P1,P2,・・・ 接触ピン、SW1,SW2,SW2a,SW2b,SW2c スイッチング素子、V 電位差検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査基板に設けられる複数の配線パターン間に電位差を付与しつつ検査用の信号を取り出すことにより前記配線パターン間の電気的特性を検査する基板検査装置であって、
前記被検査基板に設けられる前記各配線パターンに設定された複数の検査点に接触される複数の接触ピンと、
前記複数の接触ピンを介して前記配線パターン間に電位差を付与するとともに、前記配線パターン間に付与する電位差の大きさを変更可能な電源部と、
前記複数の接触ピンを介して前記配線パターン間の電気的特性に関する信号を検出する検出部と、
複数のスイッチング素子を有し、前記各スイッチング素子をオン、オフさせることにより、前記複数の接触ピンと、前記電源部及び前記検出部との間の電気的な接続関係を切り替える接続切替部と、
前記電源部及び前記接続切替部の前記複数のスイッチング素子を制御するとともに、前記検出部の検出結果に基づいて前記配線パターン間の電気的特性を検査する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記配線パターン間に付与する電位差の値である付与電位差値が異なる複数の電気特性検査のための検査処理動作を行い、
前記制御部による前記複数の検査処理動作では、その検査処理動作内の複数の検査ステップにおいて前記複数の配線パターンのいずれか1つが注目配線パターンとして順番に設定されていくとともに、その各検査ステップにおいて、その時点で注目配線パターンに設定されている配線パターンと、前記複数の配線パターンのうちのその時点で前記注目配線パターンに設定されている配線パターン及びその検査処理動作内で既に注目配線パターンに設定されたことがある配線パターン以外の配線パターンからなる相対配線パターンとの間に、前記接触ピンを介して前記電源部によりその検査処理動作に対応する前記付与電位差値の電位差が付与されて、前記注目配線パターンと前記相対配線パターンとの間の電気的特性が前記検出部の検出結果に基づいて検査され、
前記複数の電気特性検査のうちの前記付与電位差値が所定の基準レベル未満である電気特性検査では、前記複数の配線パターンのうちの、配線パターンに接触されている前記接触ピンの数が多いものから順に前記注目配線パターンに設定され、前記複数の電気特性検査のうちの前記付与電位差値が前記所定の基準レベル以上である電気特性検査では、前記複数の配線パターンのうちの、配線パターンに接触されている前記接触ピンの数が少ないものから順に前記注目配線パターンに設定されることを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
被検査基板に設けられる複数の配線パターン間に電位差を付与しつつ検査用の信号を取り出すことにより前記配線パターン間の電気的特性を検査する基板検査装置であって、
前記被検査基板に設けられる前記各配線パターンに設定された複数の検査点に接触される複数の接触ピンと、
前記複数の接触ピンを介して前記配線パターン間に電位差を付与するとともに、前記配線パターン間に付与する電位差の大きさを変更可能な電源部と、
前記複数の接触ピンを介して前記配線パターン間の電気的特性に関する信号を検出する検出部と、
複数のスイッチング素子を有し、前記各スイッチング素子をオン、オフさせることにより、前記複数の接触ピンと、前記電源部及び前記検出部との間の電気的な接続関係を切り替える接続切替部と、
前記電源部及び前記接続切替部の前記複数のスイッチング素子を制御するとともに、前記検出部の検出結果に基づいて前記配線パターン間の電気的特性を検査する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記配線パターン間に付与する電位差の値である付与電位差値が異なる複数の電気特性検査のための検査処理動作を行い、
前記制御部による前記複数の検査処理動作では、その検査処理動作内の複数の検査ステップにおいて前記複数の配線パターンのいずれか1つが注目配線パターンとして順番に設定されていくとともに、その各検査ステップにおいて、その時点で注目配線パターンに設定されている配線パターンと、前記複数の配線パターンのうちのその時点で前記注目配線パターンに設定されている配線パターン及びその検査処理動作内で既に注目配線パターンに設定されたことがある配線パターン以外の配線パターンからなる相対配線パターンとの間に、前記接触ピンを介して前記電源部によりその検査処理動作に対応する前記付与電位差値の電位差が付与されて、前記注目配線パターンと前記相対配線パターンとの間の電気的特性が前記検出部の検出結果に基づいて検査され、
前記複数の電気特性検査には、第1種及び第2種短絡検査が含まれ、
前記1種短絡検査では、前記付与電位差値が、隣接する前記配線パターン間が擬似的に短絡した、あるいは微細な細線部により短絡した極小短絡部が導通し、かつその極小短絡部を流れる電流により前記極小短絡部が焼損しない値に設定され、
前記第2種短絡検査では、前記付与電位差値が、前記第1種短絡検査の前記付与電位差値よりも高い値であって、隣接する前記配線パターン間のスパークによる電流リークを検出するための値に設定され、
前記第1種短絡検査では、前記複数の配線パターンのうちの、配線パターンに接触されている前記接触ピンの数が多いものから順に前記注目配線パターンに設定され、前記第2種短絡検査では、前記複数の配線パターンのうちの、配線パターンに接触されている前記接触ピンの数が少ないものから順に前記注目配線パターンに設定されることを特徴とする基板検査装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の基板検査装置において、
前記制御部による前記複数の検査処理動作では、前記複数の電気特性検査が、前記付与電位差値が小さいものから順に行われることを特徴とする基板検査装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の基板検査装置において、
前記検出部は、前記複数の接触ピンを複数のグループに分割してなる複数の接触ピン群にそれぞれ割り当てられ、その対応する接触ピン群に属する接触ピンを介して、前記注目配線パターン又は前記相対配線パターンと前記電源部との間に流れる電流を検出する複数の電流検出部を備え、
前記制御部は、前記各電気特性検査内において、前記複数の電流検出部の使用頻度が分散されるように、前記各検査ステップで前記電流の検出に用いる前記検出部の前記電流検出部を選択することを特徴とする基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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