説明

基板貼り合わせ装置及び方法

【課題】 2枚の基板の対向間隔を粗合せ位置から精合せ位置に狭め、それらの各位置で粗アライメントと精アライメントを行なってそれらの基板を貼り合わせるに際し、精アライメントの施行回数を低減し、生産性の向上を図ること。
【解決手段】 基板貼り合わせ方法において、2枚の基板31、32の貼り合わせを複数組繰り返すとき、後続する2枚の基板31、32の粗アライメントの目標値を、先行した2枚の基板31、32の粗アライメント後の最初の精アライメント時に検出したそれら2枚の基板31、32の位置ずれ量(X,Y)を打ち消す値(−X,−Y)とするもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2枚の基板を貼り合わせる基板貼り合わせ装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板貼り合わせ装置は、特許文献1に記載の如く、1組をなす2枚の基板をシール剤を介して貼り合わせるに際し、上基板を保持する上ステージと、前記上ステージとは対向して設けられ、前記上基板に貼り合わされる下基板を保持する下ステージと、前記上ステージを上下方向に移動させ、前記上ステージに保持された前記上基板と前記下ステージに保持された前記下基板との間の距離を変化させる第1の駆動装置と、前記上ステージに保持された前記上基板と前記下ステージに保持された前記下基板との間の相対的な位置ずれ量を検出する検出装置と、前記検出装置により検出された位置ずれ量に基づいて前記下ステージを移動させ、前記上ステージに保持された前記上基板と前記下ステージに保持された前記下基板との相対的な位置合わせを行なう第2の駆動装置と、前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置を制御する制御装置とを備える。
【0003】
そして、制御装置は、下記(A)の粗アライメントと、下記(B)の精アライメントを行なう。
【0004】
(A)粗アライメント
上基板と下基板をそれらの対向間隔が所定の距離になる粗合せ位置に設定し、その粗合せ位置にて検出装置が検出する上基板に設けてある粗アライメント用マークと下基板に設けてある粗アライメント用マークとの位置ずれ量を許容範囲内に納める粗アライメントを行なう。この粗アライメントは、両基板の粗アライメント用マークの位置ずれ量が許容範囲内に納まるまで1回〜複数回施行される。この粗アライメントでは、検出装置として、各基板を各ステージに搬入して保持させるときの搬入位置精度に見合う低倍率カメラを用いる。搬入位置精度は、精アライメントで要求される位置合わせ精度に比べて大きな位置ずれを伴なう。
【0005】
(B)精アライメント
粗アライメントにより、各基板の搬入位置精度に基づく大きな位置ずれを解消した後、上基板と下基板をそれらの対向間隔が粗合せ位置よりも狭められる精合せ位置に設定し、その精合せ位置にて、検出装置が検出する上基板に設けてある精アライメント用マークと下基板に設けてある精アライメント用マークとの位置ずれ量を許容範囲内に納める精アライメントを行なう。この精アライメントは、両基板の精アライメント用マークの位置ずれ量が許容範囲内に納まるまで1回〜複数回施行される。この精アライメントでは、各基板に設けてある精アライメント用マークを高精度に位置合わせするため、高倍率カメラを用いる。高倍率カメラは、焦点深度が狭いから、両基板の精アライメント用マークをこの狭い焦点深度内に位置付ける必要があり、両基板の対向間隔を上述の如くに狭める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-131241
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、2枚の基板の対向間隔を粗合せ位置から精合せ位置に狭めて精アライメントを行なう場合、両基板の距離を狭めたことにより新たな位置ずれ(水平方向の位置ずれ)を伴なうことがある。これは主に、第1の駆動装置による上ステージの移動方向の傾きに起因する。このように、粗アライメント後に精合せ位置に設定された2枚の基板に新たな位置ずれを伴なう場合には、精アライメントの回数が多くなり、生産性が悪化する。
【0008】
本発明の課題は、2枚の基板の対向間隔を粗合せ位置から精合せ位置に狭め、それらの各位置で粗アライメントと精アライメントを行なってそれらの基板を貼り合わせるに際し、精アライメントの施行回数を低減し、生産性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、2枚の基板を接着剤を介して貼り合わせるに際し、一方の基板を保持する第1のステージと、前記第1のステージとは対向して設けられ、前記一方の基板に貼り合わされる他方の基板を保持する第2のステージと、前記第1のステージと前記第2のステージの対向間隔を変化させる第1の駆動装置と、前記第1のステージに保持された前記一方の基板と前記第2のステージに保持された前記他方の基板との間の相対的な位置ずれ量を検出する検出装置と、前記検出装置により検出された位置ずれ量に基づいて前記第1のステージ及び前記第2のステージの少なくとも一方を移動させ、前記第1のステージに保持された前記一方の基板と前記第2のステージに保持された前記他方の基板との相対的な位置合わせを行なう第2の駆動装置と、前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記一方の基板と前記他方の基板とをそれらの対向間隔が所定の距離になる粗合せ位置に設定し、その粗合せ位置にて前記一方の基板と前記他方の基板との相対的な粗アライメントを行なうように、前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置を制御するとともに、粗アライメント後の前記一方の基板と前記他方の基板とをそれらの対向間隔が粗合せ位置よりも狭められる精合せ位置に設定し、その精合せ位置にて前記一方の基板と前記他方の基板との相対的な精アライメントを行なうように、前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置を制御する基板貼り合わせ装置において、前記制御装置は、2枚の基板の貼り合わせを複数組繰り返すとき、後続する2枚の基板の粗アライメントの目標値を、先行した2枚の基板の粗アライメント後の最初の精アライメント時に検出したそれら2枚の基板の位置ずれ量を打ち消す値とするようにしたものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記制御装置が、先行した複数組をなす各2枚の基板の各精アライメント時に検出した各位置ずれ量の平均値に基づき、後続する2枚の基板の粗アライメントの目標値を定めるようにしたものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において更に、前記制御装置が、先行した基板の精アライメント時に検出した位置ずれ量に基づく、後続する基板の粗アライメントの目標値を、該後続する基板の精アライメント時に検出した位置ずれ量に基づいてリセットするようにしたものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、一方の基板と他方の基板とをそれらの対向間隔が所定の距離になる粗合せ位置に設定し、その粗合せ位置にて前記一方の基板と前記他方の基板との粗アライメントを行ない、粗アライメント後の前記一方の基板と前記他方の基板をそれらの対向間隔が粗合せ位置よりも狭められる精合せ位置に設定し、その精合せ位置にて前記一方の基板と前記他方の基板との相対的な精アライメントを行ない、精アライメントの後に前記第1、第2の基板の貼り合わせを行なう基板貼り合わせ方法において、前記第1、第2の基板の貼り合わせを複数組繰り返すとき、後続する2枚の基板の粗アライメントの目標値を、先行した2枚の基板の粗アライメント後の最初の精アライメント時に検出したそれら2枚の基板の位置ずれ量を打ち消す値とするようにしたものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において更に、前記先行した複数組をなす各2枚の基板の各精アライメント時に検出した各位置ずれ量の平均値に基づき、後続する2枚の基板の粗アライメントの目標値を定めるようにしたものである。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項4又は5に係る発明において更に、前記先行した基板の精アライメント時に検出した位置ずれ量に基づく、後続する基板の粗アライメントの目標値を、該後続する基板の精アライメント時に検出した位置ずれ量に基づいてリセットするようにしたものである。
【発明の効果】
【0015】
2枚の基板の貼り合わせを複数組繰り返すとき、後続する2枚の基板の粗アライメントの位置合わせ目標値を、先行した2枚の基板の粗アライメント後の最初の精アライメント時に検出したそれら2枚の基板の位置ずれ量(X,Y)を打ち消す値(−X,−Y)とした。これにより、2枚の基板を粗合せ位置から精合せ位置に設定替えするときに、第1と第2のステージの移動方向の傾きに起因して2枚の基板間に位置ずれが生じる場合であっても、この位置ずれを打ち消し、精アライメント時の当初に検出されるであろうそれら両基板の位置ずれ量を極力小さくできる。これにより、精合せ位置に設定された2枚の基板の位置ずれ量を許容範囲内に納める精アライメントの施行回数を減少しながら、生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は基板貼り合わせ装置を示す模式図である。
【図2】図2は粗アライメント状態を示す模式図である。
【図3】図3は精アライメント状態を示す模式図である。
【図4】図4は先行する基板のアライメント状態と後続する基板のアライメント状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示す如く、基板貼り合わせ装置10は、真空チャンバ13を備え、その内部には、ガラス基板等の下基板31を保持する下ステージ(第1のステージ)11が設けられている。また、真空チャンバ13の内部には、下ステージ11と対向するように上ステージ(第2のステージ)12が設けられており、下基板31に貼り合わされるガラス基板等の上基板32を保持するようになっている。尚、真空チャンバ13には、真空源(図示せず)に接続された真空排気弁14、及び、窒素や空気等の気体を供給する気体供給源(図示せず)に接続された大気開放弁15が取り付けられており、必要に応じて真空排気及び大気開放を行なうことができるようになっている。
【0018】
尚、下ステージ11及び上ステージ12の表面には静電チャック等の保持機構(図示せず)が設けられており、下基板31又は上基板32を保持することができるようになっている。また、上ステージ12には、上ステージ12をZ方向(上下方向)に移動させるためのZ軸モータ(第1の駆動装置)23が設けられており、下基板31と上基板32との間の上下方向の距離(対向間隔)を変化させることができるようになっている。更に、下ステージ11には、下ステージ11をX方向、Y方向及びθ方向に移動させるための下ステージ駆動部(第2の駆動装置)26が設けられており、下基板31と上基板32との平面方向(XY平面方向)の相対的な位置合わせを行なうことができるようになっている。
【0019】
ここで、下ステージ11に保持される下基板31の表面には、液晶表示パネルの表示領域に対応する所望の領域を囲むような閉ループ状のパターンを描くように紫外線硬化樹脂からなる、接着剤としてのシール剤33が塗布されている。また、閉ループ状のシール剤33の内側には、所定量の液晶34が複数箇所に点在する形で滴下されている。尚、下基板31及び上基板32の四隅の近くには、位置合わせ用の粗アライメント用マークと精アライメント用マーク(図示せず)が設けられている。
【0020】
尚、図1に示すように、真空チャンバ13の下方には、下基板31及び上基板32に設けられた粗アライメント用マークと精アライメント用マーク(図示せず)のそれぞれを撮像する低倍率CCDカメラ(検出装置)16と高倍率CCDカメラ(検出装置)17が設けられている。また、真空チャンバ13の上方には、下基板31及び上基板32に設けられた粗アライメント用マークと精アライメント用マーク(図示せず)の近傍に照明光を照射するための照明装置28、29が設けられている。尚、CCDカメラ16、17及び照明装置28、29は、下基板31及び上基板32の四隅の近くに設けられた各4組の粗アライメント用マークと精アライメント用マーク(図示せず)のそれぞれに対応して各4個ずつ設けられている。尚、下ステージ11のうちCCDカメラ16、17の撮像光路に対応する部分には、空洞11a、11bが設けられ、真空チャンバ13の外壁のうちCCDカメラ16、17の撮像光路に対応する部分には、透明体13a、13bが設けられている。また、上ステージ12のうち照明装置28、29の照明光路に対応する部分には、空洞12a、12bが設けられ、真空チャンバ13の外壁のうち照明装置28、29の照明光路に対応する部分には、透明体13c、13dが設けられている。尚、透明体13a、13b、13c、13dとしては、光を通す材料でかつ真空チャンバ13の外壁として十分な強度を持つ材料であれば任意のものを用いることができ、例えば硬質のガラスや樹脂材等を用いることができる。
【0021】
ここで、CCDカメラ16、17には画像処理装置20が接続されており、画像処理装置20により、CCDカメラ16、17による撮像結果を画像処理することにより、下基板31と上基板32との間の平面方向の相対的な位置ずれ量(ベクトル量であって、方向と量の両方の情報を持つ)を検出することができるようになっている。尚、CCDカメラ16、17及び画像処理装置20により検出装置が構成されている。
【0022】
また、画像処理装置20にはコントローラ21(制御装置)が接続されており、コントローラ21により、モータ制御器22を介して下ステージ駆動部26を制御することにより、CCDカメラ16、17及び画像処理装置20により検出された位置ずれ量に基づいて下ステージ11をX方向、Y方向及びθ方向に移動させることができるようになっている。尚、コントローラ21及びモータ制御器22により制御装置が構成されている。ここで、モータ制御器22にはZ軸モータ23も接続されており、コントローラ21及びモータ制御器22によりZ軸モータ23を制御することにより、上ステージ12をZ方向に移動させることができるようになっている。また、モータ制御器22にはカメラ駆動部18も接続されており、コントローラ21及びモータ制御器22によりカメラ駆動部18を制御することにより、CCDカメラ16、17をX方向、Y方向及びZ方向に移動させることができるようになっている。
【0023】
尚、コントローラ21は、下基板31と上基板32との間の距離を所定量狭め、当該各距離において下基板31と上基板32との平面方向の相対的な位置合わせを行なうよう、Z軸モータ23及び下ステージ駆動部26を制御するようになっている。
【0024】
ここで、コントローラ21は、下基板31又は上基板32の上下方向の位置に応じて下基板31及び上基板32に設けられた粗アライメント用マークと精アライメント用マーク(図示せず)をCCDカメラ16、17の焦点深度内に位置付けるよう、モータ制御部22を介してカメラ駆動部18を制御し、CCDカメラ16、17のZ方向の位置を変化させることができるようになっている。尚、CCDカメラ16、17の焦点位置を変化させるため、CCDカメラ16、17に設けられたオートフォーカス機構等を制御してCCDカメラ16、17の焦点距離等を変化させても良い。また、コントローラ21は、下基板31又は上基板32の位置に応じて下基板31及び上基板32に対して異なる照度で照明光を照射するよう、照明装置28、29を制御するようになっている。
【0025】
次に、基板貼り合わせ装置10による基板貼り合わせ動作について説明する。
(1)真空チャンバ13を上下に分離させる等により下基板31及び上基板32の搬入空間を形成するとともに、下ステージ11と上ステージ12とを互いに十分に離間させた状態で配置し、上ステージ12にて上基板32を保持するとともに、下ステージ11にて下基板31を保持する。尚、このとき、下基板31の表面には、予め、製造される液晶表示パネルの表示領域に対応する所望の領域を囲むような閉ループ状のパターンを描くようにシール剤33を塗布するとともに、閉ループ状のシール剤33の内側の複数箇所に所定量の液晶34を滴下しておく。
【0026】
尚、下基板31と上基板32の各四隅の近くには、それぞれ位置合わせ用の粗アライメント用マーク31R、32R(図2(A))と精アライメント用マーク31F、32F(図3(A))が設けられている。
【0027】
この状態で、真空源(図示せず)に接続された真空排気弁14を開いて真空チャンバ13内を真空排気し、真空チャンバ13の内部を真空状態にする。
【0028】
(2)まず、下基板31と上基板32の粗アライメント用マーク31R、32Rを用いる粗アライメントを行なう。
【0029】
コントローラ21及びモータ制御器22によりZ軸モータ23を制御し、上ステージ12を所定量だけ下降させ、図2(A)に示す如く、下基板31と上基板32をそれらの対向間隔が所定の距離となる粗合せ位置に設定する。
【0030】
次に、コントローラ21により、モータ制御器22を介してカメラ駆動部18を制御し、低倍率CCDカメラ16のZ方向の位置を変化させることにより、下基板31及び上基板32に設けられた粗アライメント用マーク31R、32Rを低倍率CCDカメラ16の焦点深度内に同時に位置付ける(図2(B)、(C))。またこのとき、コントローラ21により照明装置28、29を制御し、上基板32の位置に応じて下基板31及び上基板32に対して異なる照度で照明光を照射するようにしても良い。
【0031】
そして、低倍率CCDカメラ16により、下基板31及び上基板32のそれぞれに設けられた粗アライメント用マーク31R、32Rを撮像し、次いで、画像処理装置20により、その撮像結果に基づいて下基板31と上基板32との間の平面方向の相対的な位置ずれ量を検出する。
【0032】
その後、このようにして検出された下基板31と上基板32の粗アライメント用マーク31R、32RのX方向、Y方向の位置ずれ量が目標値(0,0)に補正されるように、コントローラ21及びモータ制御器22により下ステージ駆動部26を制御し、下ステージ11をX方向、Y方向及びθ方向に移動させることにより、下基板31と上基板32との平面方向の相対的な位置合わせである粗アライメントを行なう。この後、低倍率CCDカメラ16により上下の基板31、32の粗アライメント用マーク31R、32Rを撮像し、上下の基板31、32の位置ずれ量を再度検出する。位置ずれ量が許容範囲内であれば粗アライメント完了し、許容範囲外であれば粗アライメントを再度施行する。
【0033】
このように、粗アライメントは、両基板31、32の粗アライメント用マーク31R、32Rの位置ずれ量が目標値に対する許容範囲内に納まるまで1回〜複数回施行される。
【0034】
(3)次に、下基板31と上基板32の精アライメント用マーク31F、32Fを用いる精アライメントを行なう。
【0035】
コントローラ21及びモータ制御器22によりZ軸モータ23を制御し、上ステージ12を所定量だけ下降させ、図3(A)に示す如く、下基板31と上基板32の対向間隔が狭められる精合せ位置に設定する。
【0036】
次に、コントローラ21により、モータ制御器22を介してカメラ駆動部18を制御し、高倍率CCDカメラ17のZ方向の位置を変化させることにより、下基板31及び上基板32に設けられた精アライメント用マーク31F、32Fを高倍率CCDカメラ17の焦点深度内に同時に位置付ける(図3(B)、(C))。またこのとき、コントローラ21により照明装置28、29を制御し、上基板32の位置に応じて下基板31及び上基板32に対して異なる照度で照明光を照射するようにしても良い。
【0037】
そして、高倍率CCDカメラ17により、下基板31及び上基板32のそれぞれに設けられた精アライメント用マーク31F、32Fを撮像し、次いで、画像処理装置20により、その撮像結果に基づいて下基板31と上基板32との間の平面方向の相対的な位置ずれ量を検出する。
【0038】
その後、このようにして検出された下基板31と上基板32の精アライメント用マーク31F、32FのX方向、Y方向の位置ずれ量が目標値(0,0)に補正されるように、コントローラ21及びモータ制御器22により下ステージ駆動部26を制御し、下ステージ11をX方向、Y方向及びθ方向に移動させることにより、下基板31と上基板32との平面方向の相対的な位置合わせである精アライメントを行なう。この後、高倍率CCDカメラ17により上下の基板31、32の精アライメント用マーク31F、32Fを撮像し、上下の基板31、32の位置ずれ量を再度検出する。位置ずれ量が許容範囲内であれば精アライメント完了し、許容範囲外であれば精アライメントを再度施行する。
【0039】
このように、精アライメントは、両基板31、32の精アライメント用マーク31F、32Fの位置ずれ量が目標値に対する許容範囲内に納まるまで1回〜複数回施行される。
【0040】
(4)下基板31と上基板32の精アライメントが終了した後、コントローラ21及びモータ制御器22によりZ軸モータ23を制御し、上基板32を下基板31に重ね合せる。その後、上ステージ12による上基板32の保持を解除し、大気開放弁15を開き、真空チャンバ13内を大気開放する。尚、このとき、下ステージ11に保持された下基板31と上ステージ12に保持された上基板32とはシール剤33を介して貼り合わされ、また、下基板31と上基板32との間の空間に液晶34が一様に充填され、液晶基板が作製される。
【0041】
(5)最後に、上ステージ12を上昇させ、上ステージ12から液晶基板を離間させる。そして最終的に、下ステージ11による下基板31の保持を解除した後、作製された液晶基板を下流工程へ払い出す。尚、この払い出しの際、真空チャンバ13は、上下に分離して、液晶基板の搬出空間を形成する。
【0042】
しかるに、本発明にあっては、2枚の基板31、32の対向間隔を粗合せ位置から精合せ位置に狭め、それらの各位置で粗アライメントと精アライメントを行なってそれらの基板31、32を貼り合わせるに際し、精アライメントの施行回数の低減と、生産性の向上を図るために、以下の構成を具備する。
【0043】
基板貼り合わせ装置10により、下基板31と上基板32の貼り合わせを複数組繰り返すとき、後続する2枚の基板31、32の粗アライメントの目標値を、先行した2枚の基板31、32の粗アライメントの完了後の最初(1回目)の精アライメント時に検出したそれら2枚の基板31、32の位置ずれ量(X,Y)を打ち消す値(−X,−Y)とする。即ち、下記(A)、(B)の如くである。
【0044】
(A)先行する2枚の基板31、32の貼り合わせ(図4(A))
コントローラ21は、先行する2枚の基板31、32の粗アライメントにおいて、それらの粗アライメント用マーク31R、32RのX方向、Y方向の位置ずれ量の補正終了時の目標値を(0,0)とし、粗アライメントを前述(2)の如くに行なう。
【0045】
粗アライメントの完了後、精アライメントを行なうが、このときコントローラ21は、粗アライメント後の最初の精アライメント時に、高倍率CCDカメラ17が検出したそれら2枚の基板31、32の位置ずれ量(X,Y)を記憶装置27に記憶させる。
【0046】
(B)後続する2枚の基板31、32の貼り合わせ(図4(B))
コントローラ21は、後続する2枚の基板31、32の粗アライメントにおいて、それらの粗アライメント用マーク31R、32RのX方向、Y方向の位置ずれ量の補正終了時の目標値を、上述(A)の先行した2枚の基板31、32の粗アライメントの直後の精アライメント時に検出したそれら2枚の基板31、32の位置ずれ量(X,Y)(記憶装置27の記憶値)を打ち消す値(−X,−Y)とし、粗アライメントを前述(2)の如くに行なう。
【0047】
コントローラ21は、上記の目標値(−X,−Y)に従って粗アライメントを行なった後、2枚の基板31、32の対向間隔を精合せ位置まで狭め、それら2枚の基板31、32の精アライメントを前述(3)の如くに行なう。
【0048】
2枚の基板31、32を粗合せ位置から精合せ位置に設定替えするときにステージ11の移動方向の傾きに起因して生ずる上下の基板31、32間の水平方向の位置ずれを打ち消して精アライメントするものになる。これにより、両基板31、32の精アライメント用マーク31F、32Fの位置ずれ量を目標値(0,0)にする精アライメントは1回又は少数回の施行で終了できるものになる。
【0049】
尚、コントローラ21は、先行した複数組をなす各2枚の基板31、32の各精アライメント時に検出した各位置ずれ量を、例えば先行する1組目の位置ずれ量(X1,Y1)、2組目の位置ずれ量(X2,Y2)…とし、それらの各位置ずれ量の平均値を(Xa,Ya)とするとき、後続する2枚の基板31、32の粗アライメントの目標値を、それらの各位置ずれ量の平均値(Xa,Ya)を打ち消す値(−Xa,−Ya)とすることができる。
【0050】
また、コントローラ21は、先行した基板31、32の精アライメント時に検出した位置ずれ量に基づく、後続する基板31、32の粗アライメントの目標値を、該後続する基板31、23の精アライメント時に検出した位置ずれ量に基づいてリセットすることができる。即ち、後続する基板31、32において粗アライメント後に最初に行なわれた精アライメントで検出された位置ずれ量が予め設定した値以上となった場合に粗アライメントの目標値をリセットする。これは、雰囲気温度の変化等によって機械的習性が経時的に変化する等の原因によって、粗合せ位置から精合せ位置に設定替えするときに両基板31、32間に生じる位置ずれ量が変化したため、現状の粗アライメントの目標値ではその位置ずれを十分に打ち消すことができなくなったと考えられるためである。また、このリセットは、定期的に行なうようにしても良い。例えば、複数組をなす各2枚の基板31、32の貼り合わせを繰り返すとき、例えば、100組の貼り合わせ終了毎等の設定組数の貼り合わせ終了毎に行なっても良いし、30分毎等の設定時間経過毎に行なっても良い。尚、リセット後における粗アライメントの目標値は、リセット直前に貼り合わせが行なわれた2枚の基板31、32に対する粗アライメント後の最初の精アライメント時に検出した位置ずれ量を打ち消す値に設定すれば良い。
【0051】
従って、基板貼り合わせ装置10によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)複数組をなす各2枚の基板31、32の貼り合わせを繰り返すとき、先行した2枚の基板31、32の粗アライメントの直後の精アライメント時に検出したそれら2枚の基板31、32の位置ずれ量(X,Y)は、それらの先行した両基板31、32を粗合せ位置から精合せ位置に設定替えしたときの、上ステージ11の移動方向の傾き等に起因する機械的習性によるものであり、後続する2枚の基板31、32を粗合せ位置から精合せ位置に設定替えするときにも機械的習性として同様の位置ずれを伴ない易い。従って、後続する2枚の基板31、32の粗アライメントの目標値を上述の位置ずれ量(X,Y)を打ち消す値(−X,−Y)とすることにより、それらの後続する両基板31、32を粗合せ位置から精合せ位置に設定替えするときに生じ易い、両基板31、32の距離を狭めることに基づく両基板31、32の相対位置ずれを打ち消し、精アライメント時の当初に検出されるであろうそれら両基板31、32の位置ずれ量を改善(粗アライメントで許容される位置ずれ程度に小さく)できる。これにより、精合せ位置に設定された2枚の基板31、32の位置ずれ量を精アライメントでの許容範囲内に納まる精アライメントの施行回数を減少しながら、生産性の向上を図ることができる。
【0052】
(b)先行した複数組をなす各2枚の基板31、32の各精アライメント時に検出した各位置ずれ量の平均値に基づき、後続する2枚の基板31、32の粗アライメントの目標値を定める。機械的習性により、後続する2枚の基板31、32を粗合せ位置から精合せ位置に設定替えするときに伴ない易い両基板31、32の位置ずれ量を高精度に予測し、後続する2枚の基板31、32の粗アライメントの目標値を高精度に設定できる。そのため、精アライメントの施行回数を安定的に低減させることが可能となるので、生産性や歩留りの向上をより一層図ることができる。
【0053】
(c)先行した基板31、32の精アライメント時に検出した位置ずれ量に基づく、後続する基板31、32の粗アライメントの目標値を、該後続する基板31、32の精アライメント時に検出した位置ずれ量に基づいてリセットする。雰囲気温度の変化等によって機械的習性が経時的に変化するとき等にも、後続する2枚の基板31、32の粗アライメントの目標値を更新し、その目標値を一層高精度に設定できる。これによっても、精アライメントの施行回数を安定的に低減させることが可能となるので、生産性や歩留りの向上をより一層図ることができる。
【0054】
(d)粗アライメント時には検出装置として低倍率CCDカメラ16を用いることにより、上ステージ11の上下動に比べて比較的大きな機械的誤差を含む搬送ロボット等によって2枚の基板31、32が各ステージ11、12に搬入されるときの搬入位置精度により、それらの両基板31、32が大きな位置ずれを伴なう場合にも、低倍率CCDカメラ16の視野内で両基板31、32の粗アライメント用マークを確実に検出できる。
【0055】
精アライメント時には検出装置として高倍率CCDカメラ17を用いることにより、両基板31、32の精アライメント用マークを高精度に位置合わせできる。
【0056】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、上ステージ11を上下(Z方向)移動させ、下ステージ12を水平(X,Y,θ方向)移動させるように構成したが、これに限られるものではなく、上下のステージ11、12が相対的に、X方向、Y方向、Z方向及びθ方向に相対移動可能に構成されれば良い。
【0057】
2枚の基板31、32の位置合わせを減圧雰囲気下で行なうものとして説明したが、これに限られるものではなく、大気圧中又は加圧雰囲気中で行なうものであっても良い。
【0058】
また、2枚の基板31、32の間の距離(対向間隔)を2段階に切換えて位置決め精度の異なる2つのアライメントとして粗アライメントと精アライメントを行なう例で説明したが、これに限られるものではなく、精度の異なるアライメントを3回以上行なうようにしても良い。例えば、2枚の基板31、32の対向間隔を所定の距離として1回目のアライメントを行ない、次いで、対向間隔を狭めて1回目のアライメントよりも高精度の2回目のアライメントを行ない、更に対向間隔を狭めて2回目のアライメントよりも更に高精度の3回目のアライメントを行なうといった具合である。このような場合において、1回目のアライメントの目標値として、先行する2枚の基板31、32における1回目のアライメント後の最初の2回目のアライメント時に検出した2枚の基板31、32の位置ずれ量を打ち消す値を用いたり、2回目のアライメント目標値として、先行する2枚の基板31、32における2回目のアライメント後の最初の3回目のアライメント時に検出した2枚の基板31、32の位置ずれ量を打ち消す値を用いたりすることができる。
【0059】
また、粗アライメントの目標値を、先行した2枚の基板の粗アライメント後の最初の精アライメント時に検出したそれら2枚の基板の位置ずれ量を打ち消す値とすることを、粗アライメントの目標値(0,0)を精アライメント時に検出したそれら2枚の基板31、32の位置ずれ量(X,Y)を打ち消す値(−X,−Y)に置換える例で説明したが、これに限られるものではなく、目標値(0,0)のままで粗アライメントを行なった後、精アライメント時の位置ずれ量(X,Y)を打ち消す値(−X,−Y)分だけ2枚の基板31、32を相対位置をずらすようにすることも含むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、2枚の基板の距離を粗合せ位置から精合せ位置に狭め、それらの各位置で粗アライメントと精アライメントを行なってそれらの基板を貼り合わせるに際し、精アライメントの施工回数の低減と、生産性や歩留りの向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0061】
10 基板貼合装置
11 下ステージ(第1のステージ)
11a、11b 空洞
12 上ステージ(第2のステージ)
12a、12b 空洞
13 真空チャンバ
13a、13b、13c、13d 透明体
14、15 真空排気弁
16 低倍率CCDカメラ(検出装置)
17 高倍率CCDカメラ(検出装置)
18、19 カメラ駆動部
20 画像処理装置(検出装置)
21 コントローラ(制御装置)
22 モータ制御器
23 Z軸モータ(駆動装置)
24、25 紫外線照射用ファイバ
26 下ステージ駆動部
27 記憶装置
28、29 照明装置
31 下基板
32 上基板
33 シール剤
34 液晶

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の基板を接着剤を介して貼り合わせるに際し、
一方の基板を保持する第1のステージと、
前記第1のステージとは対向して設けられ、前記一方の基板に貼り合わされる他方の基板を保持する第2のステージと、
前記第1のステージと前記第2のステージの対向間隔を変化させる第1の駆動装置と、
前記第1のステージに保持された前記一方の基板と前記第2のステージに保持された前記他方の基板との間の相対的な位置ずれ量を検出する検出装置と、
前記検出装置により検出された位置ずれ量に基づいて前記第1のステージ及び前記第2のステージの少なくとも一方を移動させ、前記第1のステージに保持された前記一方の基板と前記第2のステージに保持された前記他方の基板との相対的な位置合わせを行なう第2の駆動装置と、
前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記一方の基板と前記他方の基板とをそれらの対向間隔が所定の距離になる粗合せ位置に設定し、その粗合せ位置にて前記一方の基板と前記他方の基板との相対的な粗アライメントを行なうように、前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置を制御するとともに、粗アライメント後の前記一方の基板と前記他方の基板とをそれらの対向間隔が粗合せ位置よりも狭められる精合せ位置に設定し、その精合せ位置にて前記一方の基板と前記他方の基板との相対的な精アライメントを行なうように、前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置を制御する基板貼り合わせ装置において、
前記制御装置は、2枚の基板の貼り合わせを複数組繰り返すとき、後続する2枚の基板の粗アライメントの目標値を、先行した2枚の基板の粗アライメント後の最初の精アライメント時に検出したそれら2枚の基板の位置ずれ量を打ち消す値とすることを特徴とする基板貼り合わせ装置。
【請求項2】
前記制御装置が、先行した複数組をなす各2枚の基板の各精アライメント時に検出した各位置ずれ量の平均値に基づき、後続する2枚の基板の粗アライメントの目標値を定める請求項1に記載の基板貼り合わせ装置。
【請求項3】
前記制御装置が、先行した基板の精アライメント時に検出した位置ずれ量に基づく、後続する基板の粗アライメントの目標値を、該後続する基板の精アライメント時に検出した位置ずれ量に基づいてリセットする請求項1又は2に記載の基板貼り合わせ装置。
【請求項4】
一方の基板と他方の基板とをそれらの対向間隔が所定の距離になる粗合せ位置に設定し、その粗合せ位置にて前記一方の基板と前記他方の基板との粗アライメントを行ない、粗アライメント後の前記一方の基板と前記他方の基板をそれらの対向間隔が粗合せ位置よりも狭められる精合せ位置に設定し、その精合せ位置にて前記一方の基板と前記他方の基板との相対的な精アライメントを行ない、精アライメントの後に前記第1、第2の基板の貼り合わせを行なう基板貼り合わせ方法において、
前記第1、第2の基板の貼り合わせを複数組繰り返すとき、後続する2枚の基板の粗アライメントの目標値を、先行した2枚の基板の粗アライメント後の最初の精アライメント時に検出したそれら2枚の基板の位置ずれ量を打ち消す値とすることを特徴とする基板貼り合わせ方法。
【請求項5】
前記先行した複数組をなす各2枚の基板の各精アライメント時に検出した各位置ずれ量の平均値に基づき、後続する2枚の基板の粗アライメントの目標値を定める請求項4に記載の基板貼り合わせ方法。
【請求項6】
前記先行した基板の精アライメント時に検出した位置ずれ量に基づく、後続する基板の粗アライメントの目標値を、該後続する基板の精アライメント時に検出した位置ずれ量に基づいてリセットする請求項4又は5に記載の基板貼り合わせ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−32548(P2012−32548A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171168(P2010−171168)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】