基準信号を用いる誘導位置センサ
カプラー要素の位置と関連する信号を提供する装置は、励起コイルと受信コイルを備える。装置は、受信コイルと励起コイルとの誘導結合により励起コイルが励起されると生成される受信信号を用いて、カプラー要素の位置と関連する信号を提供する動作が可能である。いくつかの例において、受信コイルは第1部分信号及び第2部分信号をそれぞれ生成する第1部分及び第2部分を有し、電子回路は、第1部分信号と第2信号とを用いて、位置非依存信号を生成する動作が可能である。レシオメトリック位置の感知用に改良された基準信号は、位置非依存信号をベースライン電圧から減算することにより提供可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への言及]
本件出願は、2007年1月19日付けの米国仮特許出願シリアル番号60/885,736からの優先権を主張し、言及することによってその全てをここに取り込む。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、位置センサ、特に誘導位置センサに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[発明の背景]
誘導センサの受信コイルからの信号は、ノイズと部品間隔のばらつき等による製造のばらつきにより変動しがちである。そのような共通モード因子が補正された位置信号を与える改良センサは、他の多くの可能な用途の中でも特に電子スロットル制御用途で、大きな商業的利益になろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[発明の要約]
本発明は、直線及び/又は回転位置センサを含む機械部品の位置に関連する電気信号を提供する誘導性センサに関する。発明の実施例は電子スロットル制御装置に使用してもよい。その位置が感知される部分は、カプラー要素に機械的につながれてもよい。
【0005】
誘導位置センサの例は、励起コイル、1つ以上の受信コイル及びカプラー要素を備える。カプラー要素は、部分位置によって励起コイルと受信コイルの誘導結合を修正する。部分位置は、受信コイルから得られる受信信号から決定される。複数の受信コイルが設けられ、それぞれが受信信号を提供する場合、位置の範囲あるいは他の因子によって1つの受信信号が選択される。受信信号は、少なくとも位置の範囲にわたり、部分位置に感応し、さらに励起電圧、製造バラツキ(コイルアセンブリとカプラー要素とのギャップなど)、電気ノイズ、温度などの周囲のあるいは現場の状態、又は他の因子などの共通モード因子に感応する。
【0006】
位置信号の精度は、基準信号を使用すること、例えば受信信号と基準信号から比率が作られるレシオメトリック・アプローチを使用することによって高めることができる。基準信号は、少なくとも関心位置の方向に沿って、部分位置に実質的に依存しないことが望ましいが、受信コイルに作用する共通モード因子のうちのいくつかあるいはすべてに影響される。従って、共通モード因子による誤差は、基準信号に対する受信信号の比率として形成されるレシオメトリック信号を得ることにより減らすか実質的に除去することができる。そうすれば、共通モード因子の影響は、比率の形成により実質的に除去し得る。基準信号は、例えば受信コイルを励起させるのと同じフラックスで励起されるように構成される別の基準コイルによって提供することができる。
【0007】
本発明のいくつかの例では、基準信号は別の基準コイルを必要とせずに得られる。基準信号は1つ以上の受信コイルから得られる信号を使用して決定される。これは、コイルアセンブリの単純化、低コスト、より高い信頼性を可能にする。さらに、共通モード因子の排除の程度を高めることができる。多層回路基板に基づくコイルアセンブリの層数が減少すれば、熱に対する頑強性も高められる。例えば、受信コイルは中央タップを備え、中央タップの両側に反対に巻かれた部分を設けてもよい。そうすれば、受信信号と基準信号の両方を受信コイルから得ることができる。
【0008】
いくつかの用途では、カプラー素子位置に実質的に依存しない第1の信号を得て、さらに第2の値から第1信号を減算するステップを通じて基準信号を修正することが望ましい。例えば、いくつかの電子スロットル制御装置では、コイルアセンブリとカプラー要素の間にギャップが存在する。回転センサの場合、ギャップは回転中心軸に沿っている(又はそれに平行である)。受信信号は、ギャップの減少とともに増加する傾向がある。中央タップ付き受信コイルを使用する際、実質的に部分位置には依存しないものの、ギャップ減少につれて減少する傾向を有する第1信号が得られてもよい。より高いベースライン・レベルから第1信号を減算することによって、ギャップが減少するとともに増加する第2信号を得ることができる。より高いベースライン・レベルは、例えばインピーダンスブリッジ(抵抗性及び/又は容量性)又は絶縁変圧器を使用して、励起信号から得ることができる。
【0009】
1つのアプローチ例では、複数の部分を持つ受信コイルが使用され、そのように得られる複数の信号が、部分位置に実質的に依存しない基準信号を得るために組み合わせられる。例えば、受信コイルがタップ付きであれば、タップは受信コイルの反対に巻かれた部分間に位置してもよい。そして、その部分から得られる2つの信号の大きさの和は、カプラー位置に依存しない信号を得るために使用することができる。カプラー要素がコイルアセンブリに対して移動すると、第1の巻き方向を持つ第1の部分への誘導結合は低下するが、(第1部分に対して)反対の巻き方向を持つ第2の部分への結合は促進される。信号を差動的に組み合わせることは、カプラー素子位置で関連する位置感応信号を得る。第1受信コイル部分への誘導結合が低下すると、位置感応信号が第2部分からの貢献をより含むことになる。しかし、信号の大きさを加えることによって、カプラー位置に実質的に依存しない信号が得られる。
【0010】
別のアプローチ例では、複数の受信コイルが使用され、複数の受信コイルからの信号の組合せによって基準信号が得られる。
【0011】
1つの例において受信コイルは、2つの部分に分割する中央タップを有する。受信信号は受信コイルの端部から得られ、2つの部分は対向する電圧を受信信号に与える。受信信号が2つの部分で生じる電圧の大きさの差であるから、この構成は「差動」と呼べる。基準信号は、各部分の電圧の大きさの和として得られる。
【0012】
他の例において、基準信号は単一ループによって提供することができる。基準信号の大きさは、強磁性プレートを基準コイルに近接配置することにより高めることができる。いくつかの例において、概ね円形のループの外側の付加コイル構造を加えてもよく、そのような付加コイル構造に強磁性鉄心を含めることは、そのように得られる基準信号の大きさをさらに高める。
【0013】
レシオメトリック信号処理が適用される前に、基準信号を修正することができる。いくつかの例において、カプラー要素が取り除かれる場合に、信号処理に使用される基準信号がより低い値(例えばゼロなどの最小値)になることが有用であり得る。反対に巻かれた部分からの信号が相殺されるので、カプラー要素が取り除かれる場合、差動型受信コイルからの受信信号は典型的には最小になってもよい。従って、コイルアセンブリから得られる基準信号は、レシオメトリック信号処理(又は他の種類の信号処理)が適用される前にベースライン電圧から減算されてもよい。ベースライン電圧は、絶縁変圧器(例えば励起コイルと直列の)によって提供されてもよく、あるいは(例えば励起コイルと並列の容量性又は抵抗性の分圧器によって)励起コイルに加えられる励起電圧から得られるか、あるいは、任意のソースから得られる所定値でもよい。この減算ステップを使用して、ベースライン電圧は、位置依存信号において認められるような共通モード因子(カプラー要素に対する温度又はギャップなど)に対して同様の傾向を持つ基準信号を与えるように調節されてもよく、それは共通モード因子の影響がより正確に取り除かれることを可能にする。ベースライン電圧は、理論上(あるいは実際に)認められた基準信号電圧の最高値とほぼ等しいように選択されてもよい。
【0014】
カプラー要素の位置と関連する信号を提供する装置例は、励起されると磁束を生成するよう動作可能な励起コイルと、受信コイルと励起コイルの誘導結合により、後者が励起されると受信信号を生成するよう動作可能で、第1部分信号及び第2部分信号をそれぞれ生成する第1及び第2部分を持つ受信コイルと、受信信号を使用して位置依存信号を、また第1部分信号及び第2部分信号を使用して位置非依存信号を生成するよう動作可能な電子回路とを備える。受信信号が位置と関連し、位置非依存信号がカプラー要素の位置に実質的に依存しないように、誘導結合はカプラー要素の移動によって空間変調を介して修正される。カプラー要素の位置に実質的に依存しない改良された基準信号は、ベースライン電圧から位置非依存信号を減算することにより生成することができる。電子回路は、位置依存信号及び基準信号を使用して、位置と関連するレシオメトリック信号を生成してもよい。他の例において、装置は基準コイルを備え、基準コイルは、励起コイルが基準コイルと励起コイルの誘導結合により励起されると、位置非依存信号を提供するよう動作可能である。
【0015】
本発明の例は回転位置センサ及び直線位置センサを含む。特定の例は電子スロットル制御装置を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】図1A及び1Bは、タップ付き受信コイルから得られる信号を示す。
【図1B】図1A及び1Bは、タップ付き受信コイルから得られる信号を示す。
【0017】
【図2】図2は、カプラー位置に依存する信号とカプラー位置に実質的に依存しない信号の生成を示す。
【0018】
【図3】図3は、中央タップ付き受信コイルから基準信号と受信信号を得るための電子回路を示す。
【0019】
【図4】図4は、分圧器を使用して励起信号から得られるベースライン電圧を示す。
【0020】
【図5】図5は、電流収集を使用して励起信号から得られるベースライン電圧を示す。
【0021】
【図6A】図6A及び6Bは、ベースライン電圧から位置非依存信号を減算することにより得られるギャップ補正された基準信号を示し、そのベースライン電圧は、図6Aの容量性ブリッジと図6Bの電流収集を使用して得られる。
【図6B】図6A及び6Bは、ベースライン電圧から位置非依存信号を減算することにより得られるギャップ補正された基準信号を示す。
【0022】
【図7】図7は、回転センサの2極コイル受け設計及び任意のループ(非差分構造)の基準コイルを示す。
【0023】
【図8】図8は、5極受信コイル設計及び基準コイルを示し、それは概ね円形の内外周を持つよう構成されてもよい。
【0024】
【図9A】図9Aは、基準(もし使用されれば)及び/又は受信コイルからの信号強度を高めるように位置づけられた強磁性金属板を示す。
【0025】
【図9B】図9Bは、強磁性鉄心を用いた付加コイル構造の使用を示す。
【0026】
【図10A】図10Aは、基準信号を修正するためのベースライン電圧を使用する、コイルアセンブリ及び関連する電子回路を有する装置を示す。
【0027】
【図10B】図10Bは、ベースライン電圧の生成への電流収集アプローチを使用する、図10Aと同様の回路を示す。
【0028】
【図11A】図11A及び11Bは、レシオメトリック信号を生成する電子回路のさらなる例の概略図を示す。
【図11B】図11A及び11Bは、レシオメトリック信号を生成する電子回路のさらなる例の概略図を示す。
【0029】
【図12A】図12A及び12Bは、これらの例の2個の受信コイルにおいて、それぞれ複数の受信コイルを有する装置を示す。
【図12B】図12A及び12Bは、これらの例の2個の受信コイルにおいて、それぞれ複数の受信コイルを有する装置を示す。
【0030】
【図13A】図13Aは、出力位相への容量結合の影響を示す。
【0031】
【図13B】図13Bは、容量結合の影響を弱める位相シフタ回路を示す。
【0032】
【図14A】図14A−14Cは、例としての回路から得られる考え得る信号を示す。
【図14B】図14A−14Cは、例としての回路から得られる考え得る信号を示す。
【図14C】図14A−14Cは、例としての回路から得られる考え得る信号を示す。
【0033】
【図14D】図14Dは、ベースライン電圧からの位置非依存信号の減算がギャップ補正を改良する様子を示す。
【0034】
【図15】図15は、改良されたギャップ補正を示す。
【0035】
【図16】図16は、改良された温度補正を示す。
【0036】
【図17】図17及び18は、3極ホールセンサから得られる基準信号を示す。
【図18】図17及び18は、3極ホールセンサから得られる基準信号を示す。
【0037】
【図19】図19は、中央タップが改良された位置センサの一部として使用され得るペダルアセンブリに使用された受信コイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[発明の詳細な説明]
可動部の位置と関連する信号を提供する装置は、励起コイルと、励起コイルに近接配置された受信コイルを備える。励起コイルが交流源などの電気エネルギー源によって励起されると、励起コイルは磁束を生成する。励起コイルが励起されると、受信コイルと励起コイルの誘導結合により、受信コイルは受信信号を生成する。位置センサが直線運動、回転運動(マルチターン回転センサを含む)、あるいは直線及び回転運動の組合せを感知してもよい。
【0039】
受信信号がその部分の位置と関連するように、誘導結合はその部分の移動によって変更される。例えば、その部分にカプラー要素が機械的につながれてもよく、その結果、それが移動すると、励起コイルと受信コイルの間の誘導結合をカプラー要素が変更し、その結果、受信信号はカプラー位置、したがってその部分の位置と関連することになる。カプラー要素は、金属板、概ねU型の金属構造、電導ループ、あるいは送信コイルと受信コイルの誘導結合を変更する他の構造を備えてもよい。カプラー要素は、励起コイルと受信コイルの磁束連結をブロックする渦プレートとして作用してもよい。
【0040】
受信コイルが複数の部分を含み、誘導結合は(少なくとも2つの部分で対向電圧を生じさせる傾向があってもよい。出力電圧が誘導電圧の大きさの差と考えられるから、この構造は差分構造となる。センサは、カプラー要素が取り除かれると、受信コイル出力が実質的にゼロになるように構成することができる。
【0041】
励起コイルと、1つ以上の受信コイルと、1つの任意の基準コイルを含むようコイルアセンブリを形成してもよい。コイルアセンブリは、例えば信号処理用の電子回路を支持するためにも使用可能なプリント回路基板上の金属トラックとして、基板上に形成されてもよい。
【0042】
電子回路は、電圧対直線位置、電圧対角度位置、湾曲経路に沿った位置、あるいは直線運動と回転の組合せである他の位置として、測定される位置との実質的に直線関係にある位置信号を生成するよう動作可能に提供されてもよい。部分位置はペダルの位置でもよく、ペダルの移動は、例えば電子スロットル用途、ステアリングコラム回転センサ、燃料タンクセンサなどのためのカプラー要素の位置に機械的につながれていてもよい。装置はエンジンに速度制御を与えるよう動作可能な電子回路を備えてもよい。
【0043】
いくつかの実施例では、部分位置と関連しない受信信号の変動を補償するために基準信号が使用される。これらは共通モード因子と呼ばれ、電気ノイズ、電源電圧変化、及びカプラー要素とコイル面(例えばコイルアセンブリ及び関連電子モジュールがある回路ボード上の)とのギャップなどの製造バラツキを含み得る。励起コイルが励起されるとき基準信号は関心部分の位置に実質的に依存せず、共通モード因子に関する位置依存信号を修正するレシオメトリック信号処理(基準信号による受信信号のアナログ・ディビジョンなど)に使用することができる。例えば、基準信号は、測定方向に沿う部分位置に実質的に不感応かもしれないが、製造バラツキによるものなどのような他方向の変動に敏感かもしれない。
【0044】
基準信号は、励起コイルと1個以上の他のコイルとの誘導結合から発生する信号を用いて生成することが望ましい。いくつかの例において、別の基準コイルが使用されてもよい。他の例で、基準信号は受信コイルから得られる信号から生成される。基準信号が得られる信号を得るために、受信コイルのタッピングを使用してもよい。
【0045】
基準信号は、コイルアセンブリとカプラー要素との間のギャップないしオフセットを推定する、例えばマルチターン回転センサ(マルチターン・センサ)の回転数を決定するために使用することができる。基準信号は、受信信号(この脈絡での用語は受信コイルの部分から得られる信号を含む)の組合せによって、あるいは別の基準コイルから得られてもよい。別の基準コイル及びそこからの信号は、回転モニタリング(マルチターン・センサにおいて、例えばステアリングコラムの回転に応じて変わるセパレーションを測定)、センサ・トラブルシューティング診断などに使用されてもよい。受信コイルから得られる基準信号も、同じ目的に使用することができる。従って、基準信号を回転数に関連づけ、正確な出力を得るために適正電圧レベルを選択することができる。これは、レベルを落とさずに、信号が繰り返し始める程度(モジュラス限界)を越えない出力を持つマルチターン・センサを可能にする。そのシステムの電圧レベルは、例えばシステムの接地にオフセット値を加えることにより、センサの範囲を増大させるよう選択することができる。
【0046】
ある部分の部分位置を決定するための装置の一例は、次のもの:励起コイル、励起コイルが電気エネルギー源によって励起されると、励起コイルは磁束を生成する;励起コイルに近接した複数の受信コイル、励起コイルが受信コイルと励起コイルの誘導結合により励起されると、受信コイルは複数の受信信号を生成する;部分位置と関連した位置を持つ可動カプラー要素、カプラー要素は受信信号がそれぞれ部分位置と関連するように励起コイルと受信コイルの誘導結合を修正する;そして、受信信号の少なくとも1つと基準信号から得られるレシオメトリック信号を提供する電子回路;を備える。
【0047】
基準信号は、ノイズ、電源電圧変化及び製造バラツキなどの、カプラー位置と関連していない受信信号の変動を補償するために使用してもよい。基準信号は、受信信号の組合せ、あるいはコイルをタッピングすることにより受信コイルの部分から得られる信号から得られてもよい。例えば、基準信号は、受信コイル又はその部分からの2つ以上の信号の非位相感知整流から得ることができる。
【0048】
システムの電圧レベルは、例えばRMの1つの信号を別のものに接続して、回転信号の直線範囲をモジュラス・アングルを越えて増大させることにより調節することができる。この場合、直線範囲は受信信号が回転角に対して直線である範囲である。
【0049】
センサ範囲は、例えば回転数又はその部分が回転した他のモジュラス・アングルを追跡することにより拡張することができる。AM信号(基準信号)は回転数に関連づけることができる。これはモジュラス情報とのAM出力からの直接の関係であり、モジュラス限界を越えて測定するためのシステムの電圧レベルを決定する。
【0050】
電子モジュール(又はモジュール)は、信号調整用のASICモジュール、つまり出力を得るためにセンサ・アセンブリを駆動する装置でもよい。
【0051】
回転センサ用のコイル本体は、軸方向モジュレータ(AMコイルあるいは近接感知コイルとも呼ばれる基準コイル、回転モジュレータ(RM、受信コイル)、そして磁気/電界を生成するキャリア(励起コイル、又はトランスミッタ・コイル)を備えてもよい。
【0052】
電子スロットル制御用途の回転センサなどのいくつかの例において、基準信号はカプラー要素と受信コイルのギャップの変動を補正するために使用することができる。ギャップはコイルの軸方向に沿って測定され、したがって、別の基準コイルは軸方向モジュレータ(AM、あるいは近接感知コイル)と呼ぶことができる。同様に、基準信号はAM信号と呼ぶことができる。受信コイルは、回転に依存する信号を提供し、回転モジュレータ(RM)と呼ぶことができる。1つ以上の受信コイルがあってもよい。基準信号の生成を可能にするために、受信コイルの1つ以上の箇所にタップを付けてもよい。励起コイルはトランスミッタ・コイル又はキャリア(CR)と呼ばれてもよい。しかし、例はリニアセンサなどの種々の構成に適合させることができ、例えば、具体例としてRMコイルに言及することは発明概念を回転センサだけに限定しない。
【0053】
いくつかの例は変復調信号解析を使用してもよい。モジュレータは、回動角度信号(あるいは任意の位置依存信号)を含む信号を励起信号で乗算することを可能にする。復調器は変調された信号用の位相感応整流器であり、それは直線的測定アングル(又は他の位置範囲)を、復調器なしの量の2倍まで拡大し得る。復調器は、接続つきの微調整可能な抵抗器とLC発振器を備えたモジュールでもよい。もし適切な信号がそれに供給されれば、復調器などの電子モジュール構成要素はコイル本体と無関係にテストすることが可能であろう。
【0054】
レシオメトリック感知は、共通モード因子の影響を取り除くために受信信号(又はそれから得られる、部分位置に感応する任意の位置感応信号)と基準信号との比率の形成に関する。復調信号は、キャリア電圧(励起コイル電圧)への依存がはるかに少ない信号の出力となるように形成される。この場合、基準信号は、所望の測定方向に沿う部分位置に実質的に依存しない信号である。それは、別の基準コイルから、又は受信コイルの部分からの信号の組合せから、あるいはその他の方法で得られる。電子回路は、直流(非交流)の位置依存信号及び位置非依存信号を得るために使用することができる。レシオメトリック信号は、アナログ又はデジタル回路、あるいはそれの組合せ(アナログ除算器及び較正データを格納するディジタルメモリなど)によって形成してもよい。
【0055】
図1Aはレシオメトリック構成を示し、図1Bはが2つの部分12及び14からなる受信コイル18のための差動接続を示す。図は、励起コイル10と、部分12及び14からなる受信コイル18とを備えたコイルアセンブリを符号20で示す。関心部分の位置と関連する位置を持つ可動カプラー要素を16で示す。
【0056】
本発明の種々の例で、受信コイルはタップ付き、例えば中央タップ付きで、タップの両側に2つのコイル部分を形成する。励起コイルからの磁束による励磁の下で受信コイル内に反対の電位を生成するように、2つのコイル部分は反対の巻回方向であってもよい。すると、16で示されたカプラー要素の位置に敏感な、図1BのV3のような位置感知信号が受信コイルから得られる。さらに、カプラー要素の位置に実質的に依存しない信号が、コイルセクションからの信号、この例では図1AのV1及びV2の大きさの和から形成されることができる。
【0057】
2つの受信コイル部分12及び14は反対の巻回方向であり、中央タップに対して第1及び第2電圧(図1AのV1及びV2)をそれぞれ与える。これらの2つの電圧間の相違は、励起コイル10と受信コイルの相対的なフラックス連結と関連する。2つの電圧間の相違がカプラー位置と関連するように、フラックス連結はカプラー要素16を使用して空間変調されてもよい。例えば、回転センサでは、カプラー要素は回転してもよい。リニアセンサでは、カプラー要素は直線移動してもよい。いくつかの例において、カプラー要素の移動は回転及び直線成分の両方を含んでいてもよい。図1Aで、2つの信号の相対的な大きさが決定されてもよい。図1Bでは、出力電圧V3は受信信号であり、それは、時に受信コイルからの差分信号電圧と呼ばれ、カプラー素子位置と関連するように、フラックス連結でカプラー素子効果によって変調される。
【0058】
図2は、中央タップを有する受信コイルを用いた基準及び受信信号の生成を示す。受信コイルは、それぞれ30と32で示す第1部分及び第2部分を備える。これらの部分は、基板上で実質的に同一平面に位置してもよく、例えばプリント回路基板の手法で作られる。図示のように、内外コイル周囲は多角形であるが、他の例において、コイル部分は径方向・円弧状部分であってもよい。
【0059】
2個の反対巻きのコイルが励起コイルからの磁束にさらされると、接地に関しての2つの対向電圧が生じ、それらが電圧源として作用する。対向電圧の和は、それが2つの対向する誘導電圧の差であるから、差動電圧と呼んでもよい。この差分信号はカプラー要素の角度位置と関連しており、回転センサにおいて回転モジュレータ(RM)信号と呼ぶことができる。さらに、対向電圧の大きさの和は、本書でコモンモード電圧又はAM(軸方向モジュレータ)信号とも呼ぶ基準信号を生成するのに使用することができる。
【0060】
基準信号は、コイルアセンブリとカプラー要素の軸方向分離と、励起信号電圧などの他の共通モード因子に敏感でありながら、カプラー要素の回転位置に実質的に依存しないように生成することができる。共通モード信号は位置敏感信号及び位置不感信号の両方に影響し、レシオメトリック信号の形成によりそのような同相モード効果の排除を可能にする。基準信号は、別の基準コイルによって、受信コイルの部分からの信号から、あるいは本書に記載される他の方法によって生成することができる。回転センサで使用される場合、受信コイルも回転モジュレータ・コイル、つまりRMコイルと呼ぶことができる。しかし、RMという用語が下記の例で使用される場合であっても、発明の概念は回転センサに限定されず、リニアセンサで使用されてもよい。
【0061】
基準信号(共通モード信号)は、図2に示すような中央タップを備えた受信コイルから生成することができる。2つのコイル部分30及び32が互いに反対方向(例えば、時計回りと反時計回り)に巻かれる場合、各部分で生じる信号は接地に関して異極性であり、RM+及びRM−と表示できる。これらは図1Aに示すV1及びV2と類似している。信号RMは受信信号で、部分の位置と関連している。信号はそれぞれ交流信号かもしれないが、任意の特定の時に誘導電圧は対向しえる。位置情報は差分信号から決定することができ(2つの反対された信号が同じ大きさを持っている場合、それは0である)、基準信号は2つの信号の大きさの合計から与えられる。
【0062】
図3は基準信号と受信信号とを得るための電子回路を示す。図1A及び1Bに関連して上記したように、コイルアセンブリは励起コイル10と、12と14で示す第1部分及び第2部分を有する受信コイルとを備える。第1アンプ40は、部分位置と関連する信号を生成する。第2アンプ42は、関心部分位置からほぼ独立しているが、同相モード因子と関連した信号を生成する。その出力はそれぞれ、44と46とで示すRM(受信信号)及びAM(基準信号)である。受信コイルからの信号はRM+及びRM−と呼ばれ、2つの受信コイル部分からの対向信号を示す。
【0063】
受信コイル部分の信号はRM+、RM−として示すが、発明は回転位置センサに限定されない。差分信号(受信信号)は、位置の範囲にわたって位置との相関を持っている。差分信号は、互いに対向する蛍光があるRM+及びRM−の組合せ後に生じる信号である。位置の信号は、広い角度範囲にわたる角度に対して一意的に定義されない。しかし、マルチターン・センサで、基準信号は角度範囲(例えばマルチターン・センサの回転数)を決定するために使用されてもよく、従って、装置は広い位置範囲にわたって角度を一意的に決定してもよい。
【0064】
[基準信号の大きさ及びギャップ]
ギャップに反比例する基準信号を得るために、ベースライン電圧、例えば励起信号電圧又はその一部から得られるベースライン電圧から位置非依存信号を減算してもよい。例えば、分圧器を用いて励起電圧の所定の一部を得、第1基準信号をそれから減算して、部分位置に実質的に依存しないさらに良好な第2基準信号を得ることができる。基準信号という用語は、部分位置に実質的に依存しない信号を概略的に表すのに本書で使用され、そして本発明の信号のいくつかの例で、第1位置非依存信号(それは基準信号として有用かもしれない)がベースライン電圧から減算されて、共通モード因子などの環境変数と所望の関係を持つ第2基準信号を得る。
【0065】
次に、一例を説明する。図4に示すようなコンデンサ対(又は抵抗器対)から形成された分圧器を使用して、励起信号電圧を値CRrにする。ここで、CRr=CR/2xC1/(C1+C2)である。この値は式CRr=RM+max+RM−maxを満たすように設計することができ、その後、基準信号電圧(ここではAMと表示する)は下記式を満たすように設計することができる:
【数1】
ここで:
【0066】
RM+maxは、最大の磁束を生成するカプラー位置(回転子位置など)で、カプラーがゼロギャップで逆方向RMコイルを完全に覆う場合の、順方向RMコイルの誘導電圧を意味する;
【0067】
RM−maxは、最大の磁束を生成する温度で、カプラーがゼロギャップで順方向RMコイルを完全に覆う場合の、逆方向RMコイル部分の誘導電圧を指す。所望の特性を有するAM信号を生成することができる実施例は後述する;
【0068】
そして、CRrは励起信号から得られるベースライン電圧である。
【0069】
しかし、発明はベースライン電圧のいかなる特定の導出にも限定されない。例えば、ベースライン電圧は、励起信号、好ましくは同じ電源上の他の発振器又は回路、電源レベル、ベースライン電圧を形成する格納された記憶場所あるいは他のソースを使用して得てもよい。
【0070】
図4は、2つの対向RMコイル部分の最大での絶対値の和と一致するように、ベースライン電圧CRr信号が設計されることを可能にする分圧器を示す。励起コイル60の一部分を横切る容量ブリッジ内の出力64で得られるこのCRr信号は、図示のような容量分割、あるいは一対の抵抗器を用いる抵抗分割によって得ることができる。この例において、CRrは電圧収集によって得られ、中央タップ62は接地される。
【0071】
図5は、電流収集(カレントコレクション)を使用したCRr信号の生成を示す。この例は、励起コイル80と、第2励起コイル82及び補足の基準信号コイル84を使用するCRrジェネレーターとを使用する。この例において、コイル82及び84の組合せは絶縁変圧器によって提供される。ここで、CRr信号は絶縁変圧器二次巻線の出力86から得られ、一次巻線は第2励起コイルである。
【0072】
さらに別の例において、補足の基準コイル80は励起コイル80に近接位置して、励起コイル80からのフラックスによって励起され、その結果、第2励起コイル82は省略される。
【0073】
図6Aは、CRrとして示されたベースライン電圧を使用する、ギャップ補正された基準信号(AM)の生成を示す。これは電圧結合回路であり、それは理論上正確ではないが、励起コイル(CR)インダクタンスがほぼ一定の場合、実際上使用することができる。用語CRrは、励起信号から得られるベースライン電圧を表わすことができる。必要に応じて、dc(直流)ベースライン電圧レベルを得るために整流又は他の信号処理を使用することができる。
【0074】
符号100で示されたコイルアセンブリは励起コイルと受信コイルとを含んでおり、図1に示す構成と同様である。従って、図1に関連してより完全に説明したように、励起コイル10、受信コイル部分12及び14を使用することができる。図4に示すように、励起コイルの部分の容量ブリッジングによってCRr信号が得られる。改良された基準信号110を得るために、アンプ106を用いてCRr信号から差分信号の減算を得る。図3に関連して説明したように、108で受信信号(RM信号)を与えるために演算増幅器104が使用される。出力108は図3の出力44と同じでよいが、基準信号(AM)はCRr信号から減算されている。
【0075】
図6Bは、絶縁変圧器を使用する電流結合回路を示す。CRr誘導電圧はCRと同相のままで、アンプに対して低インピーダンスの、良好な電圧源を維持している。
【0076】
ベースライン電圧の適切な選択によって、受信コイルを含むコイルアセンブリとカプラー要素との間のギャップが減少するに伴って、ギャップ補正された基準信号が大きくなるので、図6A及び6Bの回路を使用して(それぞれ出力110及び112で)得られた基準信号は、ギャップ補正された基準信号と呼ぶことができる。これは受信信号(この場合、108の信号)と同じ傾向を持つ。従って、ギャップ補正された基準信号はギャップ変化についての補正に使用することができる。
【0077】
この例において、コイルアセンブリは、図1Aに示すものと同じでよい励起コイル及び受信コイルを含んでおり、さらに、CRr信号は電流収集(カレントコレクション)を使用して生成される。この例は、例えば図5に関連して上述した第2励起コイル122及び補足の基準信号コイル126を、例えば受信コイルに誘導結合した励起コイルと別の絶縁変圧器の形で用いてCRrを生成する際に適用できる。CRr信号は出力128から得られ、共通モード因子の補正用の基準信号を生成するためにアンプ106によって使用される。
【0078】
さらに別の例で、第2励起コイルは、例えば絶縁変圧器を使用しないことにより省略され、補足の基準コイルは、励起コイルからのフラックスによって励起されるように励起コイルに近接して位置する。
【0079】
[レシオメトリックコイル設計]
図7は、改良された回転センサに受信信号(RM、回転モジュレータ信号)及び基準信号(AM、軸方向モジュレータ信号)を与える二端子コイル設計を符号140で示す。
【0080】
この例において、基準コイルは単一ループ142であり、受信コイルは差分構造を備える。周方向の矢印は誘導電位(それらは時間に応じて反転する)の相対的な方向を示し、したがって、受信信号出力は反対に巻かれた部分における対向電位の和である。例えば、隣接した外側弧状部分144及び146の誘導電位は、出力RMF及びRMBから得られた合成の受信信号において対向する傾向がある。同様に、隣接した内側の弧状部分の信号は対向する。
【0081】
コイルアセンブリは励起コイルをさらに備えてもよく、それは概ね円形で、基準コイルと同様の半径を持っていてもよい(さらに受信コイルの外側半径とも同様であってもよい。)。
【0082】
いくつかの例で、非差分基準コイルからの位置非依存信号の振幅はベースライン・レベルから減算されてもよい。
【0083】
図8は、5端子受信コイル設計を符号160で示し、それは外側の基準コイル162と差分構造の受信コイルを備える。基準コイルの隣接した実質的に周方向の部分は受信信号に対向電位を与える。この例において、コイルは多角形のコイルで、それはいくつかの例における製作(フレームワーク上で金属ロッドを使用する組み立てなど)を容易にし、さらに説明を容易にする。他の例において、コイルは代りとして弧状(又は円形のウェッジ形)でもよい。この例において、RMコイル対は接地付近で特異であり、AMコイル(単一ループ基準コイル162)は特異ではないが、それは電子回路を使用して、有効に特異にすることができる。例えば、基準信号は、他の例によって提供されるCRr信号などのようなベースライン値から減算することができる。
【0084】
基準(AM)信号は出力168で提供され、受信信号は出力170及び172で提供され、出力174は受信コイルに中央タップを与える。
【0085】
コイルアセンブリは励起コイルをさらに備えてもよく、それは概ね多角形又は円形で、基準又は受信コイルの半径又は同等の寸法と同様の半径(又は周辺距離への平均中心などの同等寸法)を持っていてもよい。
【0086】
図9Aは、受信及び基準コイルからの信号強度を増幅し、小型センサを可能にするように位置したフェロメタリック板200を示す。強磁性板(フェロ・プレート)は、コイルアセンブリ構造のカプラー要素210から反対側で支持される。この例において、このアプローチはリニアセンサにも有利であるが、カプラー要素は回転子である。コイルアセンブリは基板202(例えば回路基板)上の基準コイル(AM、この例では単一ループ)208を備え、他の構成要素を支持する他の基板206及び204が任意に設けられる。強磁性板は信号増幅板として作用し、いかなる強磁性体(高周波のフェライトを含む)でも、誘導結合を増進させることができる他の材料でもよい。
【0087】
図9Bは、プリント基板などのような回路基板でもよい支持基板に挿入されたフェロ(例えば強磁性鋼)又はフェライト材料による誘導鉄心を示す。1MHz以上などの高い励起コイル周波数で、フェライト材料は強磁性体として作用することができ、センサ・サイズを小さくすることを可能にする。また、CR(励起)コイルに対する温度の影響からより独立するようにインダクタンスが増加される。
【0088】
図9Bは、基板220上の構成要素のおおよその位置を示す。222で単純化して示すコイルアセンブリは、外周のまわりに受信コイル(詳細は示さない)と単一ループ基準コイル(これも単純化して示す)とを備える。高められた基準信号を得るために、224のような付加コイル構造が、ループに組み込むことにより基準コイル中への直列配置に接続される。付加コイル構造は、基準信号を増大させるように強磁性鉄心を有し、そのような強磁性ディスク又はプレートが基板上で支持される。電子回路が、228のような箇所で同じ基板(それはプリント回路基板でもよい)に支持されてもよい。基板の縁230で出力が提供され、例えばアセンブリが受入れスロットに挿入されることを可能にする。
【0089】
いくつかの例において、付加コイル構造はベースライン電圧源として使用されてもよい。いくつかの例において、強磁性鉄心を有する付加コイル構造を使用する同様のアプローチは、受信コイルのインダクタンスを高めるために使用されてもよい。得られるCRrが十分な場合、空気鉄心を使用することができる。
【0090】
[電子回路と信号調整]
図10Aは、この例では図6Aに示すような、符号100で示すコイルアセンブリを備える装置を示し、これも図6Aに関連して上記したように、102の容量性ブリッジからCRr信号が得られる。図6Aの構成のアンプ104及び106の出力はここでは、差動増幅器として使用されるギルバートセル整流器240及び242へ渡される。ギルバートセル回路に入る前に、AC(容量性)連結はギルバートセル回路と仮想接地レベルを分離するために使用され、電圧レベルがギルバートセルに適したものに調節される。他の例において、ギルバートセルの代わりに演算増幅器又は他の回路を使用してもよい。電子回路は、一部又は全体がASICとして実施されてもよい。
【0091】
図10Bは、符号120で示すコイルアセンブリを使用する、図10Aの回路の電流結合バージョンを示し、それは図6Bに関連して記載したように128でCRr信号を提供するために絶縁変圧器を使用する。他の点は図10Aの回路と同様である。
【0092】
[さらなる電子回路構成]
記載した種々の例について、仮想接地レベルなどの電圧レベル及び制御信号レベルを修正するために、ツェナー・ザッピング又は他のプログラマブルロジック回路を使用することができる。他の形のスタティックメモリを使用してもよい。自動車の電子スロットル制御装置として使用される代表的な例において、入力信号はその最大比率の最大で20mVかもしれない。最大のRM及び最大のAM信号の大きさは同じでありえる。
【0093】
図11Aは電子回路のさらなる例の回路図を示し、ここでは電子回路がユニット260内で制御される。本明細書の他の箇所でより詳細に述べるように、そして簡明のためにここで繰り返さないが、装置はさらにコイルアセンブリ100、アンプ104及び106、ギルバートセル回路240及び242を含む。ここで、ギルバートセル回路の表示は補助の構成要素を含む。この例において、ギルバートセル回路240及び242の出力はアナログ・ディバイダなどのレシオメトリック回路に渡される(デジタル・ディバイダを使用してもよい。)。
【0094】
この例において、デフォルト設定は非活性化された論理条件でもよく、ロジック駆動される選択可能なスイッチはRM1信号を常に接続する。このようにして、ETC(電子スロットル制御)機能は268の出力を使用して得ることができ、共通モード因子は実質的に除去される。
【0095】
図11Bは図11Aの回路の別のバージョンを示し、128でCRr信号を提供するために絶縁変圧器を使用するが、それは図5B及び6Bに関連してより詳細に述べた。270のレシオメトリック出力はETC(電子スロットル制御)の用途で使用することができる。
【0096】
図12Aは拡張された構成を示し、それはマルチターン・センサを含む拡張された角度範囲用途に使用してもよい。符号300で示すコイルアセンブリは、相対位相がオフセットした励起コイル302と一対の受信コイル304及び306を含んでいる。2つの受信信号RM1及びRM2が得られ、線形応答が広い角度範囲にわたり得られることを可能にしている。
【0097】
電子回路が301で示される。308の回路部分は図6Aに関連して記載したものと同様で、312で第1受信信号RM1を提供する。314でRM2を生成するために、第2受信コイルに関連した第2RM生成回路が310で提供される。図6Aと関連して上記したように、ここではAM信号は1つだけ生成される。信号RM1及びRM2は、基準信号AMとともに、316などのギルバートセル回路を経て、デバイダー回路318(RM1とAM)及び320(RM2とAM)へ進む。コンパレータ322につながれたロジック駆動されるスイッチ332は、のこぎり歯信号形式で1つのモジュラス(一意のアングル依存信号の範囲)を測るために使用可能である。そのスイッチは、RM1を使用して得られるレシオメトリック信号、RMl、RM2を使用した反転信号、又はRM2を使用した反転信号を選択し、選択された信号は直接又はパルス幅変調として330で出力される。このアプローチは追加受信コイルから追加RM信号を得るために使用することができる。
【0098】
このモードにおいて、シグナルコンディショナは、論理演算を通じて、ここでは4つの直線の信号セグメントからなる1つのモジュラス内の一意の位置を識別することができる。論理回路は、スタック・カウンタを使用して正確な角度範囲を決定し、出力信号を増すためにオフセット値を提供し、広い角度範囲にわたって線形応答を得ることができる。回転センサの場合には、受信コイル間の位相オフセットが、各コイルについて360度を端子数の2倍で割った値、例えば一対の二端子コイルでは90度、に関連することができる。
【0099】
PWM324によって決定されたPWM周波数は、外部の受動素子トリマ、又はツェナー・ザップ設定を持った内部の受動素子、又は他のスタティック・ロジックを介して選択可能であってもよい。周波数範囲は、例えば100Hzから1KHzまででよい。この拡張構成は、ギャップ・レシオメトリック測定特徴によって、操向組合せセンサ(例えば組合せトルク及び操向角度センサ)で直接使用することができる。
【0100】
デバイダー回路326は、AM信号とCRr信号の比率の形成により、328でギャップ出力を提供するために使用される。ギャップ出力は、マルチターン・センサ用途での回転数などのモジュラス値を決定するために使用されてもよい。
【0101】
レシオメトリック・チップのまわりでマイナーな選択動作モードに統合された3つの機能が、小さなアングル動作及び大きなアングル動作の両方を可能にする。付加的なRM処理ブロックは、1つの完全なモジュラス処理(360度の範囲など)、PWM処理、CRr信号に対するAMの比率を使用したギャップ検出を可能にする。
【0102】
図12Bは、図12Aの回路の電流連結バージョンを示す。電子回路301は図12Aと同じであるが、コイルアセンブリ340はCRr信号を生成するのに絶縁変圧器342を使用する。この構成は図5及び6Bに関連して記載したものと同様でよい。
【0103】
電圧レベルを調節するためにツェナー・ザッピング又は他のプログラマブルロジック回路又はスタティックメモリを使用できる。値の例として、製造公差調節のための幅5ビットのツェナー・ザッピング、上位プラトー:3ビット、下位プラトー:4ビット、アングル移動に沿った信号の較正:±3.2度をカバーする6ビット(回転センサ調節で)などがある。
【0104】
図13Aは出力位相に対する容量結合の影響を示す。この例で、コイルアセンブリ100は図6Bで記載さしたものと同じである。362と360で示すコンデンサは容量結合を表わすもので、個別の部品を表わすものではない。矢印366及び368は、矢印364によって表わされる励起信号位相に対する、アンプ104及び106の出力の考え得る相対的位相を表わす。矢印の相対的な方向は相対的な信号位相を表わす。
【0105】
励起コイル(CR)のQが無限大であり、CRとRMとの容量結合が無く、アンプ(演算増幅器104及び106)のスルーレートが無限の理想的な場合であって、CRがVcr*sin(ωt)で全回路を駆動し、Armが第2演算増幅器のもので割られた第1演算増幅器の増幅率であり、結合係数がkであり、コイル巻線比率が1であれば、タンク電流はQr*d(Vcr*sin(ωt))/dt=Qr*Vcr*cos(ωt)であり、それは、CR電圧を誘導電圧と同相にするレンツの法則の結果とともに、受信コイル(RM)に誘導され、そのとき以下のようになる:
【数2】
電圧誘導はノイズ経路を介して得ることもできる:
【数3】
ここでReqはRMsループ抵抗を表す。誘導電圧の合計は次のとおりである:
【数4】
【0106】
上記の第2の式中の比較的大きなCRr電圧は、VamをVrmから位相ずれとする。図13Aにおける矢印は、その結果生じる位相遅れを、符号370で角度として表わし、それはΦとすることができる。この位相遅れは温度変化による信号ドリフティングを引き起こし得るから、位相遅れを最小限にするか、基準信号(AM)アンプ106の後に位相調整装置(又はRCディバイダー)を取り付けるべきである。
【0107】
図13Bは、位相シフタ回路380を用いた交流結合を使用して位相を制御する代替方法を示す。AMを合算する演算増幅器とCRrの間の交流結合を使用すると、位相を図示のように補正することができる。この場合、R+jωCのベクトルの組合せは、電圧ベクトルをVrmと整列させるよう慎重に選ばれる。図13Aは、容量性ブリッジ出力102とアンプ106の間に導入された移相回路を示す。これらの構成要素は図6Aに示す回路に加えられる。
【0108】
CRr’は、388で状態図を使用して示されるように、インピーダンス・ベクトル(抵抗器とコンデンサ)の組合せを横切る電圧ベクトルを示す。CRr’はインピーダンス・ベクトルによって所望のCRrを得るように制御される。この位相シフタ回路は、他の回路部品に使用されるASICなどのシリコンチップに組み込むことができる。
【0109】
VrmとVamの位相差の最小化はノイズを最小限にするだけでなく、増倍効率を最大限にする。VrmとVamが同相の場合、位相の小さなドリフティングはノイズ及び増倍効率に事実上影響しない。
【0110】
[CRr信号の振幅]
1つのアプローチ例で、CRrは、RM+(受信コイルの順方向巻き部分からの信号)及びRM−(受信コイルの逆方向巻き部分からの信号)の絶対値(大きさ)の和とする。最大のRM信号は、RTがそれらのうちの1つを完全にカバーする時、順方向及び逆方向巻きのRM出力を指す。
【0111】
理想的に、CRrの値は最大RM値の2倍であり、それは回転子(又は他のカプラー要素)が完全に別のRMコイル部分をカバーする場合の1つのRMコイル部分の出力と考える。CRrの値は、カプラー要素を取り除いて、RM+及びRM−の両方の和をとることにより決定してもよく、他のアプローチは、RM順方向値を得るために一方のRMをブロックするカプラー要素を測定し、他方のRMをブロックするカプラー要素で測定を繰り返し、これらの両方の測定を合計する。
【0112】
厳密に理論的な観点から、2つの測定値は、カプラー要素からの磁束の影響、及びカプラー要素の効率によって異なるかもしれない。最大のRMは、測定方法にかかわらず同じであり、ノミナルのギャップでの値のおよそ2倍であり得る。
【0113】
図14A−14Cは、カプラー素子位置の関数としての図3の回路からの考え得る信号を示す。
【0114】
図14Aは、RMF(回転モジュレータの順方向巻き部分の信号、RM+としても示す)、RMB(逆方向巻き部分、RM−)及びCOMを示し、それはここでRM+とRM−の和である。ここで、RM+のピーク値は左から右へ低下し、RM−のピーク値は左から右へ増加し、そして和のピーク値は一定のままである傾向がある。例えば、ピーク400は和曲線のピーク値を表わす。ピーク400は組合せのピークである。カプラーが取り除かれる場合の信号の大きさは、図14Aに示す最大大きさの2倍であり得る。
【0115】
図14Bは最大から最小の比率のカプラー素子位置の関数としてRM値を示す。例えば、曲線402はRMB信号である。
【0116】
図14Cは、404のピークと等しい、CRrの考え得る値を示す。
【0117】
図14Dは、AM及びRM信号(それぞれ420及び422)がギャップに応じてどのように変わるかを示す。この例において、AM信号はCRr値である一定のベースライン電圧から減算され、その結果の基準信号はギャップの減少に従って増加する。これは、電子スロットル制御装置でのギャップ補正を向上させ、さらに、この用途及び他の用途における他の共通モード因子(温度など)の補正を向上させ得る。
【0118】
[レシオメトリック信号及び比率]
2つの極端なケースについては、ギャップと温度の影響が以下のように検討される。これらの2つのケースが現実である場合、他のすべてのケースは、それらの極端さの種々の程度で2つの組合せかもしれない。
【0119】
ギャップ補償検査:カプラー効率が100%であり、逆方向RMがカプラーによって完全にカバーされると仮定すると、最大の共通モード信号(最大のAM)は以下を満たす:
【数5】
従って、比率=RM/AMはすべてのギャップ変数で等しい。
【0120】
図15は、線442として示すように、レシオメトリック信号RM/AMがベースライン電圧からの位置非依存信号の減算後ではギャップに依存しないことを示す。この図で、線440はギャップに応じてAM信号がどのように変わるかを示し、AM値は破線446として上に示されたCRrの一定値から減算された線440からの値であり、そしてRM信号が線444としてギャップに応じてどのように変わるかを示す。位置非依存信号は、測定されるべき位置に実質的に依存しない信号である。位置非依存信号は、回転位置センサのカプラー要素回転に実質的に依存しないが、ギャップ、つまりコイルアセンブリとカプラー要素の軸方向分離に敏感かもしれない。
【0121】
温度補償検査:カプラー効率が100パーセントであると仮定され、カプラーが逆方向RMの75パーセントをカバーし(順方向RMの25パーセントは同時に、カプラーとRMコイルの構成によりカバーされる)、したがって、順方向RMの誘導電圧がより大きい。前述のケースと異なり、RMは50パーセントのゲインで始まる。しかし、ギャップがゼロで、カプラー効率が100パーセントであると、AMレベルの同じ初期値を予想通りに回復する。
【0122】
図16は、温度が極端に最大となる場合、グラフに示されたのと同じ場所でCRがゼロに低下することを示す。同様に、他の曲線は同じ方向に延び、同じ場所でゼロに低下する。
【0123】
ギャップ及び温度値の組合せで、2つの共通モード信号に関するレシオメトリック面は概ね一定であり、駆動電圧(CRr)面及び信号面が温度及びギャップ面上で多少変わる。
【0124】
[代替構成]
基準信号を得るために使用される方法は、ホールセンサなど他のセンサでの使用に適合させることができる。
【0125】
図17及び18は3極ホールセンサから得られる基準信号(AM)を示し、それは例えばレシオメトリック・アプローチを使用して、共通モード因子に対するホールセンサからの位置信号の補償に使用することができる。これは自動車用途で以前に達成されていない。これらの例において、ホールセンサはスター配列及びデルタ配列を有する。これらはチップ上の物理的な形状として、あるいは他の例でホールセンサの電気的な構成として設計されてもよく、図示の物理的配置である必要はない。
【0126】
図17は、図示の感知電極及び駆動電極484及び486を備えるデルタ構成のホールセンサ480を示す。490で基準信号出力を得るためにダイオードアレイ482が使用される。
【0127】
図18は、494で示された基準信号出力を与える同様のホールセンサのスター構成を示す。
【0128】
スター及びデルタで電気的に構成した受信コイルから基準信号を得るために同様な構成を使用することができる。好ましくは、ダイオード降下電圧は最小限にされる。従って、共通モード因子が補償された位置センサ(液面センサを含む)を得るために、センサ信号が受信コイル、ホールセンサ、容量性センサ、圧電センサ又は他の位置センサから得られる場合、整流されたセンサ信号の和から基準信号(AM)を得ることができる。
【0129】
本発明の例はさらに、例えばU字型又は他の構成のカプラー要素を含むリニアセンサをも含む。改良されたリニア位置センサは中央タップ付き受信コイルを含み、AM信号が個別の基準コイルなしで生成されることを可能にする。AM信号は、ブリッジ回路又は絶縁変圧器から得られる、例えば励起電圧の一部であるベースライン値から減算することにより形成されてもよい。
【0130】
図19は、カプラー要素がペダルアセンブリの裾広がり端の端部に設けられた電子スロットル制御用の受信コイルを示す。この例において、基準信号は、例えば図3に示す構成又は単一ループAMコイルを使用する受信コイルのクロスオーバー接続付近(あるいはその内部)の中央タップを使用して得ることができる。
【0131】
図は、466で出力し、ペダルアーム延長部462の端部に支持された金属板としてのカプラー要素464を備える差動受信コイル構造460を示す。ペダルの踏み込みがペダルアーム延長部を弧状の経路に沿って移動させ、受信コイル部分への相対的なフラックス・ブロッキングを修正する。中央タップは468の箇所に含むことができ(中央タップは正確な中央にある必要はない)、それによりコイルアセンブリから位置依存信号及び位置非依存信号を得ることができる。
【0132】
誘導位置センサは同一出願人による次のアメリカ出願公報に記載されている:2008/0007251(操向角度センサ);2007/0194782(誘導位置センサ...);2007/0001666(リニア及び回転誘導位置センサ);2006/0255794(誘導位置センサ用の信号調整システム);2006/0233123(共通モード矯正巻線及び単純化された信号調整手段を備えた誘導位置センサ);2005/0225320(誘導位置センサ);及び2005/0223841(車両の電子スロットル制御用誘導センサ)。本発明の実施例は、そこに記載され、(例えば)1つ以上のタップ付き受信コイルを含むよう適合され、さらに、本書に記載した方法を用いて位置非依存信号を生成するよう動作可能な電子回路を含む例と、改良された基準信号を生成するためにベースライン電圧から位置非依存信号が減算される例とを含む。
【0133】
本発明は上記具体例に限定されるものではない。例示は発明の範囲に対する制限として意図されるものではない。ここに記載された方法、装置、回路、材料組成等は一例であり、発明の範囲に対する制限として意図されるものではない。当業者は、上記例に対する変更及び他の用途を想到し得るであろう。発明の範囲は請求項の範囲によって決定される。
【0134】
発明を記載した上で、別紙のように特許を請求する。
【技術分野】
【0001】
[関連出願への言及]
本件出願は、2007年1月19日付けの米国仮特許出願シリアル番号60/885,736からの優先権を主張し、言及することによってその全てをここに取り込む。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、位置センサ、特に誘導位置センサに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[発明の背景]
誘導センサの受信コイルからの信号は、ノイズと部品間隔のばらつき等による製造のばらつきにより変動しがちである。そのような共通モード因子が補正された位置信号を与える改良センサは、他の多くの可能な用途の中でも特に電子スロットル制御用途で、大きな商業的利益になろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[発明の要約]
本発明は、直線及び/又は回転位置センサを含む機械部品の位置に関連する電気信号を提供する誘導性センサに関する。発明の実施例は電子スロットル制御装置に使用してもよい。その位置が感知される部分は、カプラー要素に機械的につながれてもよい。
【0005】
誘導位置センサの例は、励起コイル、1つ以上の受信コイル及びカプラー要素を備える。カプラー要素は、部分位置によって励起コイルと受信コイルの誘導結合を修正する。部分位置は、受信コイルから得られる受信信号から決定される。複数の受信コイルが設けられ、それぞれが受信信号を提供する場合、位置の範囲あるいは他の因子によって1つの受信信号が選択される。受信信号は、少なくとも位置の範囲にわたり、部分位置に感応し、さらに励起電圧、製造バラツキ(コイルアセンブリとカプラー要素とのギャップなど)、電気ノイズ、温度などの周囲のあるいは現場の状態、又は他の因子などの共通モード因子に感応する。
【0006】
位置信号の精度は、基準信号を使用すること、例えば受信信号と基準信号から比率が作られるレシオメトリック・アプローチを使用することによって高めることができる。基準信号は、少なくとも関心位置の方向に沿って、部分位置に実質的に依存しないことが望ましいが、受信コイルに作用する共通モード因子のうちのいくつかあるいはすべてに影響される。従って、共通モード因子による誤差は、基準信号に対する受信信号の比率として形成されるレシオメトリック信号を得ることにより減らすか実質的に除去することができる。そうすれば、共通モード因子の影響は、比率の形成により実質的に除去し得る。基準信号は、例えば受信コイルを励起させるのと同じフラックスで励起されるように構成される別の基準コイルによって提供することができる。
【0007】
本発明のいくつかの例では、基準信号は別の基準コイルを必要とせずに得られる。基準信号は1つ以上の受信コイルから得られる信号を使用して決定される。これは、コイルアセンブリの単純化、低コスト、より高い信頼性を可能にする。さらに、共通モード因子の排除の程度を高めることができる。多層回路基板に基づくコイルアセンブリの層数が減少すれば、熱に対する頑強性も高められる。例えば、受信コイルは中央タップを備え、中央タップの両側に反対に巻かれた部分を設けてもよい。そうすれば、受信信号と基準信号の両方を受信コイルから得ることができる。
【0008】
いくつかの用途では、カプラー素子位置に実質的に依存しない第1の信号を得て、さらに第2の値から第1信号を減算するステップを通じて基準信号を修正することが望ましい。例えば、いくつかの電子スロットル制御装置では、コイルアセンブリとカプラー要素の間にギャップが存在する。回転センサの場合、ギャップは回転中心軸に沿っている(又はそれに平行である)。受信信号は、ギャップの減少とともに増加する傾向がある。中央タップ付き受信コイルを使用する際、実質的に部分位置には依存しないものの、ギャップ減少につれて減少する傾向を有する第1信号が得られてもよい。より高いベースライン・レベルから第1信号を減算することによって、ギャップが減少するとともに増加する第2信号を得ることができる。より高いベースライン・レベルは、例えばインピーダンスブリッジ(抵抗性及び/又は容量性)又は絶縁変圧器を使用して、励起信号から得ることができる。
【0009】
1つのアプローチ例では、複数の部分を持つ受信コイルが使用され、そのように得られる複数の信号が、部分位置に実質的に依存しない基準信号を得るために組み合わせられる。例えば、受信コイルがタップ付きであれば、タップは受信コイルの反対に巻かれた部分間に位置してもよい。そして、その部分から得られる2つの信号の大きさの和は、カプラー位置に依存しない信号を得るために使用することができる。カプラー要素がコイルアセンブリに対して移動すると、第1の巻き方向を持つ第1の部分への誘導結合は低下するが、(第1部分に対して)反対の巻き方向を持つ第2の部分への結合は促進される。信号を差動的に組み合わせることは、カプラー素子位置で関連する位置感応信号を得る。第1受信コイル部分への誘導結合が低下すると、位置感応信号が第2部分からの貢献をより含むことになる。しかし、信号の大きさを加えることによって、カプラー位置に実質的に依存しない信号が得られる。
【0010】
別のアプローチ例では、複数の受信コイルが使用され、複数の受信コイルからの信号の組合せによって基準信号が得られる。
【0011】
1つの例において受信コイルは、2つの部分に分割する中央タップを有する。受信信号は受信コイルの端部から得られ、2つの部分は対向する電圧を受信信号に与える。受信信号が2つの部分で生じる電圧の大きさの差であるから、この構成は「差動」と呼べる。基準信号は、各部分の電圧の大きさの和として得られる。
【0012】
他の例において、基準信号は単一ループによって提供することができる。基準信号の大きさは、強磁性プレートを基準コイルに近接配置することにより高めることができる。いくつかの例において、概ね円形のループの外側の付加コイル構造を加えてもよく、そのような付加コイル構造に強磁性鉄心を含めることは、そのように得られる基準信号の大きさをさらに高める。
【0013】
レシオメトリック信号処理が適用される前に、基準信号を修正することができる。いくつかの例において、カプラー要素が取り除かれる場合に、信号処理に使用される基準信号がより低い値(例えばゼロなどの最小値)になることが有用であり得る。反対に巻かれた部分からの信号が相殺されるので、カプラー要素が取り除かれる場合、差動型受信コイルからの受信信号は典型的には最小になってもよい。従って、コイルアセンブリから得られる基準信号は、レシオメトリック信号処理(又は他の種類の信号処理)が適用される前にベースライン電圧から減算されてもよい。ベースライン電圧は、絶縁変圧器(例えば励起コイルと直列の)によって提供されてもよく、あるいは(例えば励起コイルと並列の容量性又は抵抗性の分圧器によって)励起コイルに加えられる励起電圧から得られるか、あるいは、任意のソースから得られる所定値でもよい。この減算ステップを使用して、ベースライン電圧は、位置依存信号において認められるような共通モード因子(カプラー要素に対する温度又はギャップなど)に対して同様の傾向を持つ基準信号を与えるように調節されてもよく、それは共通モード因子の影響がより正確に取り除かれることを可能にする。ベースライン電圧は、理論上(あるいは実際に)認められた基準信号電圧の最高値とほぼ等しいように選択されてもよい。
【0014】
カプラー要素の位置と関連する信号を提供する装置例は、励起されると磁束を生成するよう動作可能な励起コイルと、受信コイルと励起コイルの誘導結合により、後者が励起されると受信信号を生成するよう動作可能で、第1部分信号及び第2部分信号をそれぞれ生成する第1及び第2部分を持つ受信コイルと、受信信号を使用して位置依存信号を、また第1部分信号及び第2部分信号を使用して位置非依存信号を生成するよう動作可能な電子回路とを備える。受信信号が位置と関連し、位置非依存信号がカプラー要素の位置に実質的に依存しないように、誘導結合はカプラー要素の移動によって空間変調を介して修正される。カプラー要素の位置に実質的に依存しない改良された基準信号は、ベースライン電圧から位置非依存信号を減算することにより生成することができる。電子回路は、位置依存信号及び基準信号を使用して、位置と関連するレシオメトリック信号を生成してもよい。他の例において、装置は基準コイルを備え、基準コイルは、励起コイルが基準コイルと励起コイルの誘導結合により励起されると、位置非依存信号を提供するよう動作可能である。
【0015】
本発明の例は回転位置センサ及び直線位置センサを含む。特定の例は電子スロットル制御装置を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】図1A及び1Bは、タップ付き受信コイルから得られる信号を示す。
【図1B】図1A及び1Bは、タップ付き受信コイルから得られる信号を示す。
【0017】
【図2】図2は、カプラー位置に依存する信号とカプラー位置に実質的に依存しない信号の生成を示す。
【0018】
【図3】図3は、中央タップ付き受信コイルから基準信号と受信信号を得るための電子回路を示す。
【0019】
【図4】図4は、分圧器を使用して励起信号から得られるベースライン電圧を示す。
【0020】
【図5】図5は、電流収集を使用して励起信号から得られるベースライン電圧を示す。
【0021】
【図6A】図6A及び6Bは、ベースライン電圧から位置非依存信号を減算することにより得られるギャップ補正された基準信号を示し、そのベースライン電圧は、図6Aの容量性ブリッジと図6Bの電流収集を使用して得られる。
【図6B】図6A及び6Bは、ベースライン電圧から位置非依存信号を減算することにより得られるギャップ補正された基準信号を示す。
【0022】
【図7】図7は、回転センサの2極コイル受け設計及び任意のループ(非差分構造)の基準コイルを示す。
【0023】
【図8】図8は、5極受信コイル設計及び基準コイルを示し、それは概ね円形の内外周を持つよう構成されてもよい。
【0024】
【図9A】図9Aは、基準(もし使用されれば)及び/又は受信コイルからの信号強度を高めるように位置づけられた強磁性金属板を示す。
【0025】
【図9B】図9Bは、強磁性鉄心を用いた付加コイル構造の使用を示す。
【0026】
【図10A】図10Aは、基準信号を修正するためのベースライン電圧を使用する、コイルアセンブリ及び関連する電子回路を有する装置を示す。
【0027】
【図10B】図10Bは、ベースライン電圧の生成への電流収集アプローチを使用する、図10Aと同様の回路を示す。
【0028】
【図11A】図11A及び11Bは、レシオメトリック信号を生成する電子回路のさらなる例の概略図を示す。
【図11B】図11A及び11Bは、レシオメトリック信号を生成する電子回路のさらなる例の概略図を示す。
【0029】
【図12A】図12A及び12Bは、これらの例の2個の受信コイルにおいて、それぞれ複数の受信コイルを有する装置を示す。
【図12B】図12A及び12Bは、これらの例の2個の受信コイルにおいて、それぞれ複数の受信コイルを有する装置を示す。
【0030】
【図13A】図13Aは、出力位相への容量結合の影響を示す。
【0031】
【図13B】図13Bは、容量結合の影響を弱める位相シフタ回路を示す。
【0032】
【図14A】図14A−14Cは、例としての回路から得られる考え得る信号を示す。
【図14B】図14A−14Cは、例としての回路から得られる考え得る信号を示す。
【図14C】図14A−14Cは、例としての回路から得られる考え得る信号を示す。
【0033】
【図14D】図14Dは、ベースライン電圧からの位置非依存信号の減算がギャップ補正を改良する様子を示す。
【0034】
【図15】図15は、改良されたギャップ補正を示す。
【0035】
【図16】図16は、改良された温度補正を示す。
【0036】
【図17】図17及び18は、3極ホールセンサから得られる基準信号を示す。
【図18】図17及び18は、3極ホールセンサから得られる基準信号を示す。
【0037】
【図19】図19は、中央タップが改良された位置センサの一部として使用され得るペダルアセンブリに使用された受信コイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[発明の詳細な説明]
可動部の位置と関連する信号を提供する装置は、励起コイルと、励起コイルに近接配置された受信コイルを備える。励起コイルが交流源などの電気エネルギー源によって励起されると、励起コイルは磁束を生成する。励起コイルが励起されると、受信コイルと励起コイルの誘導結合により、受信コイルは受信信号を生成する。位置センサが直線運動、回転運動(マルチターン回転センサを含む)、あるいは直線及び回転運動の組合せを感知してもよい。
【0039】
受信信号がその部分の位置と関連するように、誘導結合はその部分の移動によって変更される。例えば、その部分にカプラー要素が機械的につながれてもよく、その結果、それが移動すると、励起コイルと受信コイルの間の誘導結合をカプラー要素が変更し、その結果、受信信号はカプラー位置、したがってその部分の位置と関連することになる。カプラー要素は、金属板、概ねU型の金属構造、電導ループ、あるいは送信コイルと受信コイルの誘導結合を変更する他の構造を備えてもよい。カプラー要素は、励起コイルと受信コイルの磁束連結をブロックする渦プレートとして作用してもよい。
【0040】
受信コイルが複数の部分を含み、誘導結合は(少なくとも2つの部分で対向電圧を生じさせる傾向があってもよい。出力電圧が誘導電圧の大きさの差と考えられるから、この構造は差分構造となる。センサは、カプラー要素が取り除かれると、受信コイル出力が実質的にゼロになるように構成することができる。
【0041】
励起コイルと、1つ以上の受信コイルと、1つの任意の基準コイルを含むようコイルアセンブリを形成してもよい。コイルアセンブリは、例えば信号処理用の電子回路を支持するためにも使用可能なプリント回路基板上の金属トラックとして、基板上に形成されてもよい。
【0042】
電子回路は、電圧対直線位置、電圧対角度位置、湾曲経路に沿った位置、あるいは直線運動と回転の組合せである他の位置として、測定される位置との実質的に直線関係にある位置信号を生成するよう動作可能に提供されてもよい。部分位置はペダルの位置でもよく、ペダルの移動は、例えば電子スロットル用途、ステアリングコラム回転センサ、燃料タンクセンサなどのためのカプラー要素の位置に機械的につながれていてもよい。装置はエンジンに速度制御を与えるよう動作可能な電子回路を備えてもよい。
【0043】
いくつかの実施例では、部分位置と関連しない受信信号の変動を補償するために基準信号が使用される。これらは共通モード因子と呼ばれ、電気ノイズ、電源電圧変化、及びカプラー要素とコイル面(例えばコイルアセンブリ及び関連電子モジュールがある回路ボード上の)とのギャップなどの製造バラツキを含み得る。励起コイルが励起されるとき基準信号は関心部分の位置に実質的に依存せず、共通モード因子に関する位置依存信号を修正するレシオメトリック信号処理(基準信号による受信信号のアナログ・ディビジョンなど)に使用することができる。例えば、基準信号は、測定方向に沿う部分位置に実質的に不感応かもしれないが、製造バラツキによるものなどのような他方向の変動に敏感かもしれない。
【0044】
基準信号は、励起コイルと1個以上の他のコイルとの誘導結合から発生する信号を用いて生成することが望ましい。いくつかの例において、別の基準コイルが使用されてもよい。他の例で、基準信号は受信コイルから得られる信号から生成される。基準信号が得られる信号を得るために、受信コイルのタッピングを使用してもよい。
【0045】
基準信号は、コイルアセンブリとカプラー要素との間のギャップないしオフセットを推定する、例えばマルチターン回転センサ(マルチターン・センサ)の回転数を決定するために使用することができる。基準信号は、受信信号(この脈絡での用語は受信コイルの部分から得られる信号を含む)の組合せによって、あるいは別の基準コイルから得られてもよい。別の基準コイル及びそこからの信号は、回転モニタリング(マルチターン・センサにおいて、例えばステアリングコラムの回転に応じて変わるセパレーションを測定)、センサ・トラブルシューティング診断などに使用されてもよい。受信コイルから得られる基準信号も、同じ目的に使用することができる。従って、基準信号を回転数に関連づけ、正確な出力を得るために適正電圧レベルを選択することができる。これは、レベルを落とさずに、信号が繰り返し始める程度(モジュラス限界)を越えない出力を持つマルチターン・センサを可能にする。そのシステムの電圧レベルは、例えばシステムの接地にオフセット値を加えることにより、センサの範囲を増大させるよう選択することができる。
【0046】
ある部分の部分位置を決定するための装置の一例は、次のもの:励起コイル、励起コイルが電気エネルギー源によって励起されると、励起コイルは磁束を生成する;励起コイルに近接した複数の受信コイル、励起コイルが受信コイルと励起コイルの誘導結合により励起されると、受信コイルは複数の受信信号を生成する;部分位置と関連した位置を持つ可動カプラー要素、カプラー要素は受信信号がそれぞれ部分位置と関連するように励起コイルと受信コイルの誘導結合を修正する;そして、受信信号の少なくとも1つと基準信号から得られるレシオメトリック信号を提供する電子回路;を備える。
【0047】
基準信号は、ノイズ、電源電圧変化及び製造バラツキなどの、カプラー位置と関連していない受信信号の変動を補償するために使用してもよい。基準信号は、受信信号の組合せ、あるいはコイルをタッピングすることにより受信コイルの部分から得られる信号から得られてもよい。例えば、基準信号は、受信コイル又はその部分からの2つ以上の信号の非位相感知整流から得ることができる。
【0048】
システムの電圧レベルは、例えばRMの1つの信号を別のものに接続して、回転信号の直線範囲をモジュラス・アングルを越えて増大させることにより調節することができる。この場合、直線範囲は受信信号が回転角に対して直線である範囲である。
【0049】
センサ範囲は、例えば回転数又はその部分が回転した他のモジュラス・アングルを追跡することにより拡張することができる。AM信号(基準信号)は回転数に関連づけることができる。これはモジュラス情報とのAM出力からの直接の関係であり、モジュラス限界を越えて測定するためのシステムの電圧レベルを決定する。
【0050】
電子モジュール(又はモジュール)は、信号調整用のASICモジュール、つまり出力を得るためにセンサ・アセンブリを駆動する装置でもよい。
【0051】
回転センサ用のコイル本体は、軸方向モジュレータ(AMコイルあるいは近接感知コイルとも呼ばれる基準コイル、回転モジュレータ(RM、受信コイル)、そして磁気/電界を生成するキャリア(励起コイル、又はトランスミッタ・コイル)を備えてもよい。
【0052】
電子スロットル制御用途の回転センサなどのいくつかの例において、基準信号はカプラー要素と受信コイルのギャップの変動を補正するために使用することができる。ギャップはコイルの軸方向に沿って測定され、したがって、別の基準コイルは軸方向モジュレータ(AM、あるいは近接感知コイル)と呼ぶことができる。同様に、基準信号はAM信号と呼ぶことができる。受信コイルは、回転に依存する信号を提供し、回転モジュレータ(RM)と呼ぶことができる。1つ以上の受信コイルがあってもよい。基準信号の生成を可能にするために、受信コイルの1つ以上の箇所にタップを付けてもよい。励起コイルはトランスミッタ・コイル又はキャリア(CR)と呼ばれてもよい。しかし、例はリニアセンサなどの種々の構成に適合させることができ、例えば、具体例としてRMコイルに言及することは発明概念を回転センサだけに限定しない。
【0053】
いくつかの例は変復調信号解析を使用してもよい。モジュレータは、回動角度信号(あるいは任意の位置依存信号)を含む信号を励起信号で乗算することを可能にする。復調器は変調された信号用の位相感応整流器であり、それは直線的測定アングル(又は他の位置範囲)を、復調器なしの量の2倍まで拡大し得る。復調器は、接続つきの微調整可能な抵抗器とLC発振器を備えたモジュールでもよい。もし適切な信号がそれに供給されれば、復調器などの電子モジュール構成要素はコイル本体と無関係にテストすることが可能であろう。
【0054】
レシオメトリック感知は、共通モード因子の影響を取り除くために受信信号(又はそれから得られる、部分位置に感応する任意の位置感応信号)と基準信号との比率の形成に関する。復調信号は、キャリア電圧(励起コイル電圧)への依存がはるかに少ない信号の出力となるように形成される。この場合、基準信号は、所望の測定方向に沿う部分位置に実質的に依存しない信号である。それは、別の基準コイルから、又は受信コイルの部分からの信号の組合せから、あるいはその他の方法で得られる。電子回路は、直流(非交流)の位置依存信号及び位置非依存信号を得るために使用することができる。レシオメトリック信号は、アナログ又はデジタル回路、あるいはそれの組合せ(アナログ除算器及び較正データを格納するディジタルメモリなど)によって形成してもよい。
【0055】
図1Aはレシオメトリック構成を示し、図1Bはが2つの部分12及び14からなる受信コイル18のための差動接続を示す。図は、励起コイル10と、部分12及び14からなる受信コイル18とを備えたコイルアセンブリを符号20で示す。関心部分の位置と関連する位置を持つ可動カプラー要素を16で示す。
【0056】
本発明の種々の例で、受信コイルはタップ付き、例えば中央タップ付きで、タップの両側に2つのコイル部分を形成する。励起コイルからの磁束による励磁の下で受信コイル内に反対の電位を生成するように、2つのコイル部分は反対の巻回方向であってもよい。すると、16で示されたカプラー要素の位置に敏感な、図1BのV3のような位置感知信号が受信コイルから得られる。さらに、カプラー要素の位置に実質的に依存しない信号が、コイルセクションからの信号、この例では図1AのV1及びV2の大きさの和から形成されることができる。
【0057】
2つの受信コイル部分12及び14は反対の巻回方向であり、中央タップに対して第1及び第2電圧(図1AのV1及びV2)をそれぞれ与える。これらの2つの電圧間の相違は、励起コイル10と受信コイルの相対的なフラックス連結と関連する。2つの電圧間の相違がカプラー位置と関連するように、フラックス連結はカプラー要素16を使用して空間変調されてもよい。例えば、回転センサでは、カプラー要素は回転してもよい。リニアセンサでは、カプラー要素は直線移動してもよい。いくつかの例において、カプラー要素の移動は回転及び直線成分の両方を含んでいてもよい。図1Aで、2つの信号の相対的な大きさが決定されてもよい。図1Bでは、出力電圧V3は受信信号であり、それは、時に受信コイルからの差分信号電圧と呼ばれ、カプラー素子位置と関連するように、フラックス連結でカプラー素子効果によって変調される。
【0058】
図2は、中央タップを有する受信コイルを用いた基準及び受信信号の生成を示す。受信コイルは、それぞれ30と32で示す第1部分及び第2部分を備える。これらの部分は、基板上で実質的に同一平面に位置してもよく、例えばプリント回路基板の手法で作られる。図示のように、内外コイル周囲は多角形であるが、他の例において、コイル部分は径方向・円弧状部分であってもよい。
【0059】
2個の反対巻きのコイルが励起コイルからの磁束にさらされると、接地に関しての2つの対向電圧が生じ、それらが電圧源として作用する。対向電圧の和は、それが2つの対向する誘導電圧の差であるから、差動電圧と呼んでもよい。この差分信号はカプラー要素の角度位置と関連しており、回転センサにおいて回転モジュレータ(RM)信号と呼ぶことができる。さらに、対向電圧の大きさの和は、本書でコモンモード電圧又はAM(軸方向モジュレータ)信号とも呼ぶ基準信号を生成するのに使用することができる。
【0060】
基準信号は、コイルアセンブリとカプラー要素の軸方向分離と、励起信号電圧などの他の共通モード因子に敏感でありながら、カプラー要素の回転位置に実質的に依存しないように生成することができる。共通モード信号は位置敏感信号及び位置不感信号の両方に影響し、レシオメトリック信号の形成によりそのような同相モード効果の排除を可能にする。基準信号は、別の基準コイルによって、受信コイルの部分からの信号から、あるいは本書に記載される他の方法によって生成することができる。回転センサで使用される場合、受信コイルも回転モジュレータ・コイル、つまりRMコイルと呼ぶことができる。しかし、RMという用語が下記の例で使用される場合であっても、発明の概念は回転センサに限定されず、リニアセンサで使用されてもよい。
【0061】
基準信号(共通モード信号)は、図2に示すような中央タップを備えた受信コイルから生成することができる。2つのコイル部分30及び32が互いに反対方向(例えば、時計回りと反時計回り)に巻かれる場合、各部分で生じる信号は接地に関して異極性であり、RM+及びRM−と表示できる。これらは図1Aに示すV1及びV2と類似している。信号RMは受信信号で、部分の位置と関連している。信号はそれぞれ交流信号かもしれないが、任意の特定の時に誘導電圧は対向しえる。位置情報は差分信号から決定することができ(2つの反対された信号が同じ大きさを持っている場合、それは0である)、基準信号は2つの信号の大きさの合計から与えられる。
【0062】
図3は基準信号と受信信号とを得るための電子回路を示す。図1A及び1Bに関連して上記したように、コイルアセンブリは励起コイル10と、12と14で示す第1部分及び第2部分を有する受信コイルとを備える。第1アンプ40は、部分位置と関連する信号を生成する。第2アンプ42は、関心部分位置からほぼ独立しているが、同相モード因子と関連した信号を生成する。その出力はそれぞれ、44と46とで示すRM(受信信号)及びAM(基準信号)である。受信コイルからの信号はRM+及びRM−と呼ばれ、2つの受信コイル部分からの対向信号を示す。
【0063】
受信コイル部分の信号はRM+、RM−として示すが、発明は回転位置センサに限定されない。差分信号(受信信号)は、位置の範囲にわたって位置との相関を持っている。差分信号は、互いに対向する蛍光があるRM+及びRM−の組合せ後に生じる信号である。位置の信号は、広い角度範囲にわたる角度に対して一意的に定義されない。しかし、マルチターン・センサで、基準信号は角度範囲(例えばマルチターン・センサの回転数)を決定するために使用されてもよく、従って、装置は広い位置範囲にわたって角度を一意的に決定してもよい。
【0064】
[基準信号の大きさ及びギャップ]
ギャップに反比例する基準信号を得るために、ベースライン電圧、例えば励起信号電圧又はその一部から得られるベースライン電圧から位置非依存信号を減算してもよい。例えば、分圧器を用いて励起電圧の所定の一部を得、第1基準信号をそれから減算して、部分位置に実質的に依存しないさらに良好な第2基準信号を得ることができる。基準信号という用語は、部分位置に実質的に依存しない信号を概略的に表すのに本書で使用され、そして本発明の信号のいくつかの例で、第1位置非依存信号(それは基準信号として有用かもしれない)がベースライン電圧から減算されて、共通モード因子などの環境変数と所望の関係を持つ第2基準信号を得る。
【0065】
次に、一例を説明する。図4に示すようなコンデンサ対(又は抵抗器対)から形成された分圧器を使用して、励起信号電圧を値CRrにする。ここで、CRr=CR/2xC1/(C1+C2)である。この値は式CRr=RM+max+RM−maxを満たすように設計することができ、その後、基準信号電圧(ここではAMと表示する)は下記式を満たすように設計することができる:
【数1】
ここで:
【0066】
RM+maxは、最大の磁束を生成するカプラー位置(回転子位置など)で、カプラーがゼロギャップで逆方向RMコイルを完全に覆う場合の、順方向RMコイルの誘導電圧を意味する;
【0067】
RM−maxは、最大の磁束を生成する温度で、カプラーがゼロギャップで順方向RMコイルを完全に覆う場合の、逆方向RMコイル部分の誘導電圧を指す。所望の特性を有するAM信号を生成することができる実施例は後述する;
【0068】
そして、CRrは励起信号から得られるベースライン電圧である。
【0069】
しかし、発明はベースライン電圧のいかなる特定の導出にも限定されない。例えば、ベースライン電圧は、励起信号、好ましくは同じ電源上の他の発振器又は回路、電源レベル、ベースライン電圧を形成する格納された記憶場所あるいは他のソースを使用して得てもよい。
【0070】
図4は、2つの対向RMコイル部分の最大での絶対値の和と一致するように、ベースライン電圧CRr信号が設計されることを可能にする分圧器を示す。励起コイル60の一部分を横切る容量ブリッジ内の出力64で得られるこのCRr信号は、図示のような容量分割、あるいは一対の抵抗器を用いる抵抗分割によって得ることができる。この例において、CRrは電圧収集によって得られ、中央タップ62は接地される。
【0071】
図5は、電流収集(カレントコレクション)を使用したCRr信号の生成を示す。この例は、励起コイル80と、第2励起コイル82及び補足の基準信号コイル84を使用するCRrジェネレーターとを使用する。この例において、コイル82及び84の組合せは絶縁変圧器によって提供される。ここで、CRr信号は絶縁変圧器二次巻線の出力86から得られ、一次巻線は第2励起コイルである。
【0072】
さらに別の例において、補足の基準コイル80は励起コイル80に近接位置して、励起コイル80からのフラックスによって励起され、その結果、第2励起コイル82は省略される。
【0073】
図6Aは、CRrとして示されたベースライン電圧を使用する、ギャップ補正された基準信号(AM)の生成を示す。これは電圧結合回路であり、それは理論上正確ではないが、励起コイル(CR)インダクタンスがほぼ一定の場合、実際上使用することができる。用語CRrは、励起信号から得られるベースライン電圧を表わすことができる。必要に応じて、dc(直流)ベースライン電圧レベルを得るために整流又は他の信号処理を使用することができる。
【0074】
符号100で示されたコイルアセンブリは励起コイルと受信コイルとを含んでおり、図1に示す構成と同様である。従って、図1に関連してより完全に説明したように、励起コイル10、受信コイル部分12及び14を使用することができる。図4に示すように、励起コイルの部分の容量ブリッジングによってCRr信号が得られる。改良された基準信号110を得るために、アンプ106を用いてCRr信号から差分信号の減算を得る。図3に関連して説明したように、108で受信信号(RM信号)を与えるために演算増幅器104が使用される。出力108は図3の出力44と同じでよいが、基準信号(AM)はCRr信号から減算されている。
【0075】
図6Bは、絶縁変圧器を使用する電流結合回路を示す。CRr誘導電圧はCRと同相のままで、アンプに対して低インピーダンスの、良好な電圧源を維持している。
【0076】
ベースライン電圧の適切な選択によって、受信コイルを含むコイルアセンブリとカプラー要素との間のギャップが減少するに伴って、ギャップ補正された基準信号が大きくなるので、図6A及び6Bの回路を使用して(それぞれ出力110及び112で)得られた基準信号は、ギャップ補正された基準信号と呼ぶことができる。これは受信信号(この場合、108の信号)と同じ傾向を持つ。従って、ギャップ補正された基準信号はギャップ変化についての補正に使用することができる。
【0077】
この例において、コイルアセンブリは、図1Aに示すものと同じでよい励起コイル及び受信コイルを含んでおり、さらに、CRr信号は電流収集(カレントコレクション)を使用して生成される。この例は、例えば図5に関連して上述した第2励起コイル122及び補足の基準信号コイル126を、例えば受信コイルに誘導結合した励起コイルと別の絶縁変圧器の形で用いてCRrを生成する際に適用できる。CRr信号は出力128から得られ、共通モード因子の補正用の基準信号を生成するためにアンプ106によって使用される。
【0078】
さらに別の例で、第2励起コイルは、例えば絶縁変圧器を使用しないことにより省略され、補足の基準コイルは、励起コイルからのフラックスによって励起されるように励起コイルに近接して位置する。
【0079】
[レシオメトリックコイル設計]
図7は、改良された回転センサに受信信号(RM、回転モジュレータ信号)及び基準信号(AM、軸方向モジュレータ信号)を与える二端子コイル設計を符号140で示す。
【0080】
この例において、基準コイルは単一ループ142であり、受信コイルは差分構造を備える。周方向の矢印は誘導電位(それらは時間に応じて反転する)の相対的な方向を示し、したがって、受信信号出力は反対に巻かれた部分における対向電位の和である。例えば、隣接した外側弧状部分144及び146の誘導電位は、出力RMF及びRMBから得られた合成の受信信号において対向する傾向がある。同様に、隣接した内側の弧状部分の信号は対向する。
【0081】
コイルアセンブリは励起コイルをさらに備えてもよく、それは概ね円形で、基準コイルと同様の半径を持っていてもよい(さらに受信コイルの外側半径とも同様であってもよい。)。
【0082】
いくつかの例で、非差分基準コイルからの位置非依存信号の振幅はベースライン・レベルから減算されてもよい。
【0083】
図8は、5端子受信コイル設計を符号160で示し、それは外側の基準コイル162と差分構造の受信コイルを備える。基準コイルの隣接した実質的に周方向の部分は受信信号に対向電位を与える。この例において、コイルは多角形のコイルで、それはいくつかの例における製作(フレームワーク上で金属ロッドを使用する組み立てなど)を容易にし、さらに説明を容易にする。他の例において、コイルは代りとして弧状(又は円形のウェッジ形)でもよい。この例において、RMコイル対は接地付近で特異であり、AMコイル(単一ループ基準コイル162)は特異ではないが、それは電子回路を使用して、有効に特異にすることができる。例えば、基準信号は、他の例によって提供されるCRr信号などのようなベースライン値から減算することができる。
【0084】
基準(AM)信号は出力168で提供され、受信信号は出力170及び172で提供され、出力174は受信コイルに中央タップを与える。
【0085】
コイルアセンブリは励起コイルをさらに備えてもよく、それは概ね多角形又は円形で、基準又は受信コイルの半径又は同等の寸法と同様の半径(又は周辺距離への平均中心などの同等寸法)を持っていてもよい。
【0086】
図9Aは、受信及び基準コイルからの信号強度を増幅し、小型センサを可能にするように位置したフェロメタリック板200を示す。強磁性板(フェロ・プレート)は、コイルアセンブリ構造のカプラー要素210から反対側で支持される。この例において、このアプローチはリニアセンサにも有利であるが、カプラー要素は回転子である。コイルアセンブリは基板202(例えば回路基板)上の基準コイル(AM、この例では単一ループ)208を備え、他の構成要素を支持する他の基板206及び204が任意に設けられる。強磁性板は信号増幅板として作用し、いかなる強磁性体(高周波のフェライトを含む)でも、誘導結合を増進させることができる他の材料でもよい。
【0087】
図9Bは、プリント基板などのような回路基板でもよい支持基板に挿入されたフェロ(例えば強磁性鋼)又はフェライト材料による誘導鉄心を示す。1MHz以上などの高い励起コイル周波数で、フェライト材料は強磁性体として作用することができ、センサ・サイズを小さくすることを可能にする。また、CR(励起)コイルに対する温度の影響からより独立するようにインダクタンスが増加される。
【0088】
図9Bは、基板220上の構成要素のおおよその位置を示す。222で単純化して示すコイルアセンブリは、外周のまわりに受信コイル(詳細は示さない)と単一ループ基準コイル(これも単純化して示す)とを備える。高められた基準信号を得るために、224のような付加コイル構造が、ループに組み込むことにより基準コイル中への直列配置に接続される。付加コイル構造は、基準信号を増大させるように強磁性鉄心を有し、そのような強磁性ディスク又はプレートが基板上で支持される。電子回路が、228のような箇所で同じ基板(それはプリント回路基板でもよい)に支持されてもよい。基板の縁230で出力が提供され、例えばアセンブリが受入れスロットに挿入されることを可能にする。
【0089】
いくつかの例において、付加コイル構造はベースライン電圧源として使用されてもよい。いくつかの例において、強磁性鉄心を有する付加コイル構造を使用する同様のアプローチは、受信コイルのインダクタンスを高めるために使用されてもよい。得られるCRrが十分な場合、空気鉄心を使用することができる。
【0090】
[電子回路と信号調整]
図10Aは、この例では図6Aに示すような、符号100で示すコイルアセンブリを備える装置を示し、これも図6Aに関連して上記したように、102の容量性ブリッジからCRr信号が得られる。図6Aの構成のアンプ104及び106の出力はここでは、差動増幅器として使用されるギルバートセル整流器240及び242へ渡される。ギルバートセル回路に入る前に、AC(容量性)連結はギルバートセル回路と仮想接地レベルを分離するために使用され、電圧レベルがギルバートセルに適したものに調節される。他の例において、ギルバートセルの代わりに演算増幅器又は他の回路を使用してもよい。電子回路は、一部又は全体がASICとして実施されてもよい。
【0091】
図10Bは、符号120で示すコイルアセンブリを使用する、図10Aの回路の電流結合バージョンを示し、それは図6Bに関連して記載したように128でCRr信号を提供するために絶縁変圧器を使用する。他の点は図10Aの回路と同様である。
【0092】
[さらなる電子回路構成]
記載した種々の例について、仮想接地レベルなどの電圧レベル及び制御信号レベルを修正するために、ツェナー・ザッピング又は他のプログラマブルロジック回路を使用することができる。他の形のスタティックメモリを使用してもよい。自動車の電子スロットル制御装置として使用される代表的な例において、入力信号はその最大比率の最大で20mVかもしれない。最大のRM及び最大のAM信号の大きさは同じでありえる。
【0093】
図11Aは電子回路のさらなる例の回路図を示し、ここでは電子回路がユニット260内で制御される。本明細書の他の箇所でより詳細に述べるように、そして簡明のためにここで繰り返さないが、装置はさらにコイルアセンブリ100、アンプ104及び106、ギルバートセル回路240及び242を含む。ここで、ギルバートセル回路の表示は補助の構成要素を含む。この例において、ギルバートセル回路240及び242の出力はアナログ・ディバイダなどのレシオメトリック回路に渡される(デジタル・ディバイダを使用してもよい。)。
【0094】
この例において、デフォルト設定は非活性化された論理条件でもよく、ロジック駆動される選択可能なスイッチはRM1信号を常に接続する。このようにして、ETC(電子スロットル制御)機能は268の出力を使用して得ることができ、共通モード因子は実質的に除去される。
【0095】
図11Bは図11Aの回路の別のバージョンを示し、128でCRr信号を提供するために絶縁変圧器を使用するが、それは図5B及び6Bに関連してより詳細に述べた。270のレシオメトリック出力はETC(電子スロットル制御)の用途で使用することができる。
【0096】
図12Aは拡張された構成を示し、それはマルチターン・センサを含む拡張された角度範囲用途に使用してもよい。符号300で示すコイルアセンブリは、相対位相がオフセットした励起コイル302と一対の受信コイル304及び306を含んでいる。2つの受信信号RM1及びRM2が得られ、線形応答が広い角度範囲にわたり得られることを可能にしている。
【0097】
電子回路が301で示される。308の回路部分は図6Aに関連して記載したものと同様で、312で第1受信信号RM1を提供する。314でRM2を生成するために、第2受信コイルに関連した第2RM生成回路が310で提供される。図6Aと関連して上記したように、ここではAM信号は1つだけ生成される。信号RM1及びRM2は、基準信号AMとともに、316などのギルバートセル回路を経て、デバイダー回路318(RM1とAM)及び320(RM2とAM)へ進む。コンパレータ322につながれたロジック駆動されるスイッチ332は、のこぎり歯信号形式で1つのモジュラス(一意のアングル依存信号の範囲)を測るために使用可能である。そのスイッチは、RM1を使用して得られるレシオメトリック信号、RMl、RM2を使用した反転信号、又はRM2を使用した反転信号を選択し、選択された信号は直接又はパルス幅変調として330で出力される。このアプローチは追加受信コイルから追加RM信号を得るために使用することができる。
【0098】
このモードにおいて、シグナルコンディショナは、論理演算を通じて、ここでは4つの直線の信号セグメントからなる1つのモジュラス内の一意の位置を識別することができる。論理回路は、スタック・カウンタを使用して正確な角度範囲を決定し、出力信号を増すためにオフセット値を提供し、広い角度範囲にわたって線形応答を得ることができる。回転センサの場合には、受信コイル間の位相オフセットが、各コイルについて360度を端子数の2倍で割った値、例えば一対の二端子コイルでは90度、に関連することができる。
【0099】
PWM324によって決定されたPWM周波数は、外部の受動素子トリマ、又はツェナー・ザップ設定を持った内部の受動素子、又は他のスタティック・ロジックを介して選択可能であってもよい。周波数範囲は、例えば100Hzから1KHzまででよい。この拡張構成は、ギャップ・レシオメトリック測定特徴によって、操向組合せセンサ(例えば組合せトルク及び操向角度センサ)で直接使用することができる。
【0100】
デバイダー回路326は、AM信号とCRr信号の比率の形成により、328でギャップ出力を提供するために使用される。ギャップ出力は、マルチターン・センサ用途での回転数などのモジュラス値を決定するために使用されてもよい。
【0101】
レシオメトリック・チップのまわりでマイナーな選択動作モードに統合された3つの機能が、小さなアングル動作及び大きなアングル動作の両方を可能にする。付加的なRM処理ブロックは、1つの完全なモジュラス処理(360度の範囲など)、PWM処理、CRr信号に対するAMの比率を使用したギャップ検出を可能にする。
【0102】
図12Bは、図12Aの回路の電流連結バージョンを示す。電子回路301は図12Aと同じであるが、コイルアセンブリ340はCRr信号を生成するのに絶縁変圧器342を使用する。この構成は図5及び6Bに関連して記載したものと同様でよい。
【0103】
電圧レベルを調節するためにツェナー・ザッピング又は他のプログラマブルロジック回路又はスタティックメモリを使用できる。値の例として、製造公差調節のための幅5ビットのツェナー・ザッピング、上位プラトー:3ビット、下位プラトー:4ビット、アングル移動に沿った信号の較正:±3.2度をカバーする6ビット(回転センサ調節で)などがある。
【0104】
図13Aは出力位相に対する容量結合の影響を示す。この例で、コイルアセンブリ100は図6Bで記載さしたものと同じである。362と360で示すコンデンサは容量結合を表わすもので、個別の部品を表わすものではない。矢印366及び368は、矢印364によって表わされる励起信号位相に対する、アンプ104及び106の出力の考え得る相対的位相を表わす。矢印の相対的な方向は相対的な信号位相を表わす。
【0105】
励起コイル(CR)のQが無限大であり、CRとRMとの容量結合が無く、アンプ(演算増幅器104及び106)のスルーレートが無限の理想的な場合であって、CRがVcr*sin(ωt)で全回路を駆動し、Armが第2演算増幅器のもので割られた第1演算増幅器の増幅率であり、結合係数がkであり、コイル巻線比率が1であれば、タンク電流はQr*d(Vcr*sin(ωt))/dt=Qr*Vcr*cos(ωt)であり、それは、CR電圧を誘導電圧と同相にするレンツの法則の結果とともに、受信コイル(RM)に誘導され、そのとき以下のようになる:
【数2】
電圧誘導はノイズ経路を介して得ることもできる:
【数3】
ここでReqはRMsループ抵抗を表す。誘導電圧の合計は次のとおりである:
【数4】
【0106】
上記の第2の式中の比較的大きなCRr電圧は、VamをVrmから位相ずれとする。図13Aにおける矢印は、その結果生じる位相遅れを、符号370で角度として表わし、それはΦとすることができる。この位相遅れは温度変化による信号ドリフティングを引き起こし得るから、位相遅れを最小限にするか、基準信号(AM)アンプ106の後に位相調整装置(又はRCディバイダー)を取り付けるべきである。
【0107】
図13Bは、位相シフタ回路380を用いた交流結合を使用して位相を制御する代替方法を示す。AMを合算する演算増幅器とCRrの間の交流結合を使用すると、位相を図示のように補正することができる。この場合、R+jωCのベクトルの組合せは、電圧ベクトルをVrmと整列させるよう慎重に選ばれる。図13Aは、容量性ブリッジ出力102とアンプ106の間に導入された移相回路を示す。これらの構成要素は図6Aに示す回路に加えられる。
【0108】
CRr’は、388で状態図を使用して示されるように、インピーダンス・ベクトル(抵抗器とコンデンサ)の組合せを横切る電圧ベクトルを示す。CRr’はインピーダンス・ベクトルによって所望のCRrを得るように制御される。この位相シフタ回路は、他の回路部品に使用されるASICなどのシリコンチップに組み込むことができる。
【0109】
VrmとVamの位相差の最小化はノイズを最小限にするだけでなく、増倍効率を最大限にする。VrmとVamが同相の場合、位相の小さなドリフティングはノイズ及び増倍効率に事実上影響しない。
【0110】
[CRr信号の振幅]
1つのアプローチ例で、CRrは、RM+(受信コイルの順方向巻き部分からの信号)及びRM−(受信コイルの逆方向巻き部分からの信号)の絶対値(大きさ)の和とする。最大のRM信号は、RTがそれらのうちの1つを完全にカバーする時、順方向及び逆方向巻きのRM出力を指す。
【0111】
理想的に、CRrの値は最大RM値の2倍であり、それは回転子(又は他のカプラー要素)が完全に別のRMコイル部分をカバーする場合の1つのRMコイル部分の出力と考える。CRrの値は、カプラー要素を取り除いて、RM+及びRM−の両方の和をとることにより決定してもよく、他のアプローチは、RM順方向値を得るために一方のRMをブロックするカプラー要素を測定し、他方のRMをブロックするカプラー要素で測定を繰り返し、これらの両方の測定を合計する。
【0112】
厳密に理論的な観点から、2つの測定値は、カプラー要素からの磁束の影響、及びカプラー要素の効率によって異なるかもしれない。最大のRMは、測定方法にかかわらず同じであり、ノミナルのギャップでの値のおよそ2倍であり得る。
【0113】
図14A−14Cは、カプラー素子位置の関数としての図3の回路からの考え得る信号を示す。
【0114】
図14Aは、RMF(回転モジュレータの順方向巻き部分の信号、RM+としても示す)、RMB(逆方向巻き部分、RM−)及びCOMを示し、それはここでRM+とRM−の和である。ここで、RM+のピーク値は左から右へ低下し、RM−のピーク値は左から右へ増加し、そして和のピーク値は一定のままである傾向がある。例えば、ピーク400は和曲線のピーク値を表わす。ピーク400は組合せのピークである。カプラーが取り除かれる場合の信号の大きさは、図14Aに示す最大大きさの2倍であり得る。
【0115】
図14Bは最大から最小の比率のカプラー素子位置の関数としてRM値を示す。例えば、曲線402はRMB信号である。
【0116】
図14Cは、404のピークと等しい、CRrの考え得る値を示す。
【0117】
図14Dは、AM及びRM信号(それぞれ420及び422)がギャップに応じてどのように変わるかを示す。この例において、AM信号はCRr値である一定のベースライン電圧から減算され、その結果の基準信号はギャップの減少に従って増加する。これは、電子スロットル制御装置でのギャップ補正を向上させ、さらに、この用途及び他の用途における他の共通モード因子(温度など)の補正を向上させ得る。
【0118】
[レシオメトリック信号及び比率]
2つの極端なケースについては、ギャップと温度の影響が以下のように検討される。これらの2つのケースが現実である場合、他のすべてのケースは、それらの極端さの種々の程度で2つの組合せかもしれない。
【0119】
ギャップ補償検査:カプラー効率が100%であり、逆方向RMがカプラーによって完全にカバーされると仮定すると、最大の共通モード信号(最大のAM)は以下を満たす:
【数5】
従って、比率=RM/AMはすべてのギャップ変数で等しい。
【0120】
図15は、線442として示すように、レシオメトリック信号RM/AMがベースライン電圧からの位置非依存信号の減算後ではギャップに依存しないことを示す。この図で、線440はギャップに応じてAM信号がどのように変わるかを示し、AM値は破線446として上に示されたCRrの一定値から減算された線440からの値であり、そしてRM信号が線444としてギャップに応じてどのように変わるかを示す。位置非依存信号は、測定されるべき位置に実質的に依存しない信号である。位置非依存信号は、回転位置センサのカプラー要素回転に実質的に依存しないが、ギャップ、つまりコイルアセンブリとカプラー要素の軸方向分離に敏感かもしれない。
【0121】
温度補償検査:カプラー効率が100パーセントであると仮定され、カプラーが逆方向RMの75パーセントをカバーし(順方向RMの25パーセントは同時に、カプラーとRMコイルの構成によりカバーされる)、したがって、順方向RMの誘導電圧がより大きい。前述のケースと異なり、RMは50パーセントのゲインで始まる。しかし、ギャップがゼロで、カプラー効率が100パーセントであると、AMレベルの同じ初期値を予想通りに回復する。
【0122】
図16は、温度が極端に最大となる場合、グラフに示されたのと同じ場所でCRがゼロに低下することを示す。同様に、他の曲線は同じ方向に延び、同じ場所でゼロに低下する。
【0123】
ギャップ及び温度値の組合せで、2つの共通モード信号に関するレシオメトリック面は概ね一定であり、駆動電圧(CRr)面及び信号面が温度及びギャップ面上で多少変わる。
【0124】
[代替構成]
基準信号を得るために使用される方法は、ホールセンサなど他のセンサでの使用に適合させることができる。
【0125】
図17及び18は3極ホールセンサから得られる基準信号(AM)を示し、それは例えばレシオメトリック・アプローチを使用して、共通モード因子に対するホールセンサからの位置信号の補償に使用することができる。これは自動車用途で以前に達成されていない。これらの例において、ホールセンサはスター配列及びデルタ配列を有する。これらはチップ上の物理的な形状として、あるいは他の例でホールセンサの電気的な構成として設計されてもよく、図示の物理的配置である必要はない。
【0126】
図17は、図示の感知電極及び駆動電極484及び486を備えるデルタ構成のホールセンサ480を示す。490で基準信号出力を得るためにダイオードアレイ482が使用される。
【0127】
図18は、494で示された基準信号出力を与える同様のホールセンサのスター構成を示す。
【0128】
スター及びデルタで電気的に構成した受信コイルから基準信号を得るために同様な構成を使用することができる。好ましくは、ダイオード降下電圧は最小限にされる。従って、共通モード因子が補償された位置センサ(液面センサを含む)を得るために、センサ信号が受信コイル、ホールセンサ、容量性センサ、圧電センサ又は他の位置センサから得られる場合、整流されたセンサ信号の和から基準信号(AM)を得ることができる。
【0129】
本発明の例はさらに、例えばU字型又は他の構成のカプラー要素を含むリニアセンサをも含む。改良されたリニア位置センサは中央タップ付き受信コイルを含み、AM信号が個別の基準コイルなしで生成されることを可能にする。AM信号は、ブリッジ回路又は絶縁変圧器から得られる、例えば励起電圧の一部であるベースライン値から減算することにより形成されてもよい。
【0130】
図19は、カプラー要素がペダルアセンブリの裾広がり端の端部に設けられた電子スロットル制御用の受信コイルを示す。この例において、基準信号は、例えば図3に示す構成又は単一ループAMコイルを使用する受信コイルのクロスオーバー接続付近(あるいはその内部)の中央タップを使用して得ることができる。
【0131】
図は、466で出力し、ペダルアーム延長部462の端部に支持された金属板としてのカプラー要素464を備える差動受信コイル構造460を示す。ペダルの踏み込みがペダルアーム延長部を弧状の経路に沿って移動させ、受信コイル部分への相対的なフラックス・ブロッキングを修正する。中央タップは468の箇所に含むことができ(中央タップは正確な中央にある必要はない)、それによりコイルアセンブリから位置依存信号及び位置非依存信号を得ることができる。
【0132】
誘導位置センサは同一出願人による次のアメリカ出願公報に記載されている:2008/0007251(操向角度センサ);2007/0194782(誘導位置センサ...);2007/0001666(リニア及び回転誘導位置センサ);2006/0255794(誘導位置センサ用の信号調整システム);2006/0233123(共通モード矯正巻線及び単純化された信号調整手段を備えた誘導位置センサ);2005/0225320(誘導位置センサ);及び2005/0223841(車両の電子スロットル制御用誘導センサ)。本発明の実施例は、そこに記載され、(例えば)1つ以上のタップ付き受信コイルを含むよう適合され、さらに、本書に記載した方法を用いて位置非依存信号を生成するよう動作可能な電子回路を含む例と、改良された基準信号を生成するためにベースライン電圧から位置非依存信号が減算される例とを含む。
【0133】
本発明は上記具体例に限定されるものではない。例示は発明の範囲に対する制限として意図されるものではない。ここに記載された方法、装置、回路、材料組成等は一例であり、発明の範囲に対する制限として意図されるものではない。当業者は、上記例に対する変更及び他の用途を想到し得るであろう。発明の範囲は請求項の範囲によって決定される。
【0134】
発明を記載した上で、別紙のように特許を請求する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプラー要素の位置と関連する信号を提供するための装置であって、当該装置は:
励起コイルであって、当該励起コイルが励起されると、磁束を生成する動作が可能である当該励磁コイルと;
受信コイルであって、前記励起コイルが当該受信コイルと前記励起コイルとの誘導結合により励起されると、受信信号を生成する動作が可能であり、
当該誘導結合は、当該受信信号が当該カプラー要素の位置と関連するように、当該カプラー要素の移動によって修正され、
当該受信コイルは、第1部分信号を生成する第1部分と第2部分信号を生成する第2部分とを有するものである、当該受信コイルと;
電子回路であって、前記受信信号を用いて当該カプラー要素の位置に関連する位置依存信号を生成する動作が可能であり、
当該電子回路は、さらに、前記第1部分信号及び前記第2部分信号を用いて当該カプラー要素の位置に実質的に依存しない位置非依存信号を生成する動作が可能である、当該電子回路と;
を含む装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記電子回路がさらに、前記位置依存信号及び前記位置非依存信号を用いて、レシオメトリック信号を生成する動作が可能である装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、当該装置が回転位置センサである装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、当該装置がリニア位置センサである装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、当該装置が電子スロットル制御装置である装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記電子回路が、さらに、基準信号を生成する動作が可能であり、当該基準信号は、当該カプラー要素の位置に実質的に依存せず、当該基準信号がベースライン電圧から前記位置非依存信号を減算することにより生成される装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記電子回路が、さらに、前記位置依存信号及び前記基準信号を用いて、レシオメトリック信号を生成する動作が可能である装置。
【請求項8】
請求項6に記載の装置であって、前記ベースライン電圧が、前記励起コイルを励起するために用いられる励起信号から得られる装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記ベースライン電圧が、ブリッジ回路を用いて前記励起信号から得られる装置。
【請求項10】
請求項8に記載の装置であって、前記ベースライン電圧が、絶縁変圧器を用いて前記励起信号から得られる装置。
【請求項11】
請求項6に記載の装置であって、前記ベースライン電圧が前記位置非依存信号より大きい装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、当該装置が前記受信コイルを複数備え、基準信号発生器が複数の前記受信信号を受信する請求項1の装置。
【請求項13】
カプラー要素の位置と関連する信号を提供するための装置であって、当該装置は:
励起コイルであって、当該励起コイルが励起されると、磁束を生成する動作が可能である当該励磁コイルと、
受信コイルであって、前記励起コイルが当該受信コイルと前記励起コイルとの誘導結合により励起されると、受信信号を生成する動作が可能である当該受信コイルと、
前記誘導結合は、前記受信信号が部分位置と関連するように、当該カプラー要素の移動によって修正されることと、
電子回路であって、前記受信信号を用いて当該カプラー要素の位置に関連する位置依存信号を生成する動作が可能な当該電子回路と、
前記電子回路が、さらに、カプラー要素の位置に実質的に依存しない基準信号を生成する動作が可能であることと、
当該基準信号が、ベースライン電圧から位置非依存信号を減算することにより生成されるものであることと、
を含む装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、
前記受信コイルが、第1部分信号及び第2部分信号をそれぞれ生成する第1部分及び第2部分を有し、
前記電子回路が、前記第1部分信号及び前記第2部分信号を用いて、位置非依存信号を生成する動作が可能である装置。
【請求項15】
請求項13に記載の装置であって、当該装置がさらに基準コイルを備え、前記励起コイルが当該基準コイルと前記励起コイルの誘導結合により励起される際、当該基準コイルが前記位置非依存信号を提供する動作が可能である装置。
【請求項1】
カプラー要素の位置と関連する信号を提供するための装置であって、当該装置は:
励起コイルであって、当該励起コイルが励起されると、磁束を生成する動作が可能である当該励磁コイルと;
受信コイルであって、前記励起コイルが当該受信コイルと前記励起コイルとの誘導結合により励起されると、受信信号を生成する動作が可能であり、
当該誘導結合は、当該受信信号が当該カプラー要素の位置と関連するように、当該カプラー要素の移動によって修正され、
当該受信コイルは、第1部分信号を生成する第1部分と第2部分信号を生成する第2部分とを有するものである、当該受信コイルと;
電子回路であって、前記受信信号を用いて当該カプラー要素の位置に関連する位置依存信号を生成する動作が可能であり、
当該電子回路は、さらに、前記第1部分信号及び前記第2部分信号を用いて当該カプラー要素の位置に実質的に依存しない位置非依存信号を生成する動作が可能である、当該電子回路と;
を含む装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記電子回路がさらに、前記位置依存信号及び前記位置非依存信号を用いて、レシオメトリック信号を生成する動作が可能である装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、当該装置が回転位置センサである装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、当該装置がリニア位置センサである装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、当該装置が電子スロットル制御装置である装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記電子回路が、さらに、基準信号を生成する動作が可能であり、当該基準信号は、当該カプラー要素の位置に実質的に依存せず、当該基準信号がベースライン電圧から前記位置非依存信号を減算することにより生成される装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記電子回路が、さらに、前記位置依存信号及び前記基準信号を用いて、レシオメトリック信号を生成する動作が可能である装置。
【請求項8】
請求項6に記載の装置であって、前記ベースライン電圧が、前記励起コイルを励起するために用いられる励起信号から得られる装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記ベースライン電圧が、ブリッジ回路を用いて前記励起信号から得られる装置。
【請求項10】
請求項8に記載の装置であって、前記ベースライン電圧が、絶縁変圧器を用いて前記励起信号から得られる装置。
【請求項11】
請求項6に記載の装置であって、前記ベースライン電圧が前記位置非依存信号より大きい装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、当該装置が前記受信コイルを複数備え、基準信号発生器が複数の前記受信信号を受信する請求項1の装置。
【請求項13】
カプラー要素の位置と関連する信号を提供するための装置であって、当該装置は:
励起コイルであって、当該励起コイルが励起されると、磁束を生成する動作が可能である当該励磁コイルと、
受信コイルであって、前記励起コイルが当該受信コイルと前記励起コイルとの誘導結合により励起されると、受信信号を生成する動作が可能である当該受信コイルと、
前記誘導結合は、前記受信信号が部分位置と関連するように、当該カプラー要素の移動によって修正されることと、
電子回路であって、前記受信信号を用いて当該カプラー要素の位置に関連する位置依存信号を生成する動作が可能な当該電子回路と、
前記電子回路が、さらに、カプラー要素の位置に実質的に依存しない基準信号を生成する動作が可能であることと、
当該基準信号が、ベースライン電圧から位置非依存信号を減算することにより生成されるものであることと、
を含む装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、
前記受信コイルが、第1部分信号及び第2部分信号をそれぞれ生成する第1部分及び第2部分を有し、
前記電子回路が、前記第1部分信号及び前記第2部分信号を用いて、位置非依存信号を生成する動作が可能である装置。
【請求項15】
請求項13に記載の装置であって、当該装置がさらに基準コイルを備え、前記励起コイルが当該基準コイルと前記励起コイルの誘導結合により励起される際、当該基準コイルが前記位置非依存信号を提供する動作が可能である装置。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2010−517008(P2010−517008A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546017(P2009−546017)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【国際出願番号】PCT/IB2008/000117
【国際公開番号】WO2008/087545
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(508000593)ケイエスアール テクノロジーズ カンパニー (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【国際出願番号】PCT/IB2008/000117
【国際公開番号】WO2008/087545
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(508000593)ケイエスアール テクノロジーズ カンパニー (12)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]