説明

基礎天端構造

【課題】基礎に設けられた鉛直方向に延びる立上部の最上端のレベル出しを容易することができる基礎天端構造を得る。
【解決手段】コンクリートが打設される前の状態で、プレート支持鉄筋46がプレート部材40を支持することで、立上部12Bにコンクリート28が打設された後の状態でも、プレート部材40の表面40Aは、予め定められた狙いの位置に保持される。これにより、立上部12Bの最上端のレベル出しを容易にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物を支持するコンクリート基礎の基礎天端構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の基礎構造における後施工アンカー設置方法では、既存のコンクリート基礎に竪穴を施工し、この竪穴にアンカーボルトを設置するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−303677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
立上部の最上端のレベル出しは、基礎に支持される構造物の鉛直方向の位置を決めるため重要な作業であり、施工現場にてこの作業は時間をかけて行われていた。しかし、従来の基礎構造では、基礎に設けられた鉛直方向に延びる立上部の最上端の高さを機械構造的に一定の値にする(レベル出し)思想は無かった。
【0005】
本発明の課題は、基礎に設けられた鉛直方向に延びる立上部の最上端のレベル出しを容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る基礎天端構造は、基礎に設けられた鉛直方向に延びる立上部の最上端に表面が配置されると共に、構造物を前記立上部に固定するアンカーボルトが挿通される挿通孔が設けられたプレート部材と、前記立上部にコンクリートが打設される前の状態で、前記プレート部材を支持する支持手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、基礎の立上部の最上端に表面が配置されるプレート部材は、構造物を立上部に固定するアンカーボルトが挿通される挿通孔を備えている。つまり、構造物は、プレート部材を介して立上部に固定される。
【0008】
そして、立上部にコンクリートが打設される前の状態で、支持手段がこのプレート部材を支持する。これにより、立上部にコンクリートが打設された後の状態でも、プレート部材の表面は、予め定められた狙いの位置に保持される。
【0009】
このように、支持手段に支持されたプレート部材の表面が立上部の最上端を構成することで、立上部の最上端のレベル出しを容易することができる。
【0010】
本発明の請求項2に係る基礎天端構造は、請求項1に記載において、前記支持手段は、鉛直方向に延びて、先端部で前記プレート部材の裏面を支持するプレート支持鉄筋であることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、鉛直方向に延びるプレート支持鉄筋が、その先端部でプレート部材の裏面を支持している。このように簡易な構成で、コンクリートが打設される前の状態のプレート部材を支持することができる。
【0012】
本発明の請求項3に係る基礎天端構造は、請求項1又は2に記載において、前記プレート部材の裏面には、前記立上部に打設されたコンクリートと前記プレート部材との間で、摩擦力を増加させる摩擦力増加部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、プレート部材の裏面に設けられた摩擦力増加部が、プレート部材と立上部に打設されたコンクリートとの間で摩擦力を増加させる。
【0014】
例えば、地震等が発生した際に、アンカーボルトに水平力が作用した場合には、この水平力がプレート部材に伝達され、さらに、プレート部材に設けられた摩擦力増加部を介して立上部を構成するコンクリートに伝達される。
【0015】
このように、アンカーボルトに作用した水平力をプレート部材に設けられた摩擦力増加部を介してコンクリートに伝達することで、アンカーボルトに作用した水平力によってコンクリートの一部が剥落(破壊)するのを抑制することができる。
【0016】
本発明の請求項4に係る基礎天端構造は、請求項3に記載において、前記摩擦力増加部は、前記プレート部材の裏面から前記立上部に打設されたコンクリートに向けて突出する突起部であることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、突起部が、プレート部材の裏面から立上部に打設されたコンクリートに向けて突出している。そして、この突起部が、立上部に打設されたコンクリートとプレート部材との間で摩擦力を増加させる。
【0018】
このように、突起部を設けることで、容易に、コンクリートとプレート部材との間で摩擦力を増加させることができる。
【0019】
本発明の請求項5に係る基礎天端構造は、請求項2に記載において、前記プレート支持鉄筋は複数本設けられ、前記プレート支持鉄筋の基端部は地面に埋設された状態で支持されていることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、複数本設けられたプレート支持鉄筋の基端部は、地面に埋設された状態で支持されている。このように、プレート支持鉄筋の基端部を地面に埋設された状態で支持することで、プレート支持鉄筋の相互の位置関係が所定の状態に保たれる。
【0021】
これにより、立上部にコンクリートが打設された後の状態でも、プレート部材の表面を予め定められた狙いの位置に容易に保持することができる。
【0022】
本発明の請求項6に係る基礎天端構造は、請求項2に記載において、前記プレート支持鉄筋は複数本設けられ、前記プレート支持鉄筋の基端側には、複数本の前記プレート支持鉄筋間の距離がずれないように前記プレート支持鉄筋を保持する保持部材が備えられることを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、プレート支持鉄筋の基端側に設けられた保持部材が、複数本のプレート支持鉄筋間の距離がずれないようにプレート支持鉄筋を保持している。
【0024】
これにより、立上部にコンクリートが打設された後の状態でも、プレート部材の表面を予め定められた狙いの位置に容易に保持することができる。
【0025】
本発明の請求項7に係る基礎天端構造は、請求項1〜6の何れか1項に記載において、予め後付け用の前記プレート部材を追加して配置することを特徴とする。
【0026】
上記構成によれば、予め前記プレート部材が追加して配置されている。
【0027】
このように、予めプレート部材を追加して配置することで、例えば、この追加されたフ゛レート部材を利用して、リフォーム時に、構造部を立上部に固定するアンカーボルトを容易に後付けすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、基礎に設けられた鉛直方向に延びる立上部の最上端のレベル出しを容易することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態に係る基礎天端構造を示した斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る基礎天端構造を示した断面図である。
【図3】(A)、(B)は本発明の第1実施形態に係る基礎天端構造を示した断面図である。
【図4】第2実施形態に係る基礎天端構造を示した斜視図である。
【図5】第2実施形態に係る基礎天端構造を示した断面図である。
【図6】第2実施形態に係る基礎天端構造を示した斜視図である。
【図7】第3実施形態に係る基礎天端構造を示した斜視図である。
【図8】第4実施形態に係る基礎天端構造を示した斜視図である。
【図9】第4実施形態に係る基礎天端構造を示した断面図である。
【図10】第5実施形態に係る基礎天端構造を示した斜視図である。
【図11】第5実施形態に係る基礎天端構造を示した断面図である。
【図12】第5実施形態に係る基礎天端構造を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の第1実施形態に係る基礎天端構造の一例について、図1〜図3に従って説明する。なお、図中に示す矢印UPは鉛直方向上方を示す。
【0031】
(全体構成)
【0032】
図2に示されるように、本第1実施形態に係る基礎天端構造10は、例えばユニット住宅用の基礎(布基礎)12に適用されている。基礎12の長手方向(以下単に「基礎長手方向」と言う)に対して直交する方向に切断した基礎12の断面形状は凸字状とされている。そして、基礎12は、地盤14内に埋設されて水平部分を構成するフーチング12Aと、このフーチング12Aの中央から鉛直方向に立ち上げられて垂直部分を構成する立上部(地中梁)12Bと、によって構成されている。
【0033】
フーチング12Aを構成する部分には、基礎長手方向に沿って所定の間隔で複数の鉄筋18が平行に配筋されており、さらに、これらの鉄筋18上の両端部には複数の鉄筋20が直交した状態で平行に配筋されている。そして、これらの鉄筋18、20が埋設されるように型枠を組んでコンクリート22が打設されることにより、フーチング12Aが構成されるようになっている。
【0034】
一方、立上部12Bを構成する部分には、基礎長手方向に沿って延びるように複数の鉄筋24(上端筋、下端筋、中間筋)が平行に配筋(シングル配筋)されており、さらにこれらの鉄筋24には基礎長手方向と直交する方向(上下方向)に複数の鉄筋26が所定の間隔で平行に配筋されている。そして、これらの鉄筋24、26が埋設されるように型枠を組んでコンクリート28が打設されることにより、立上部12Bが構成されるようになっている。
【0035】
さらに、立上部12Bの上端部の所定位置には、構造物の一例としての建物ユニット30の床下梁30Aの下端部から下方へ突出したアンカーボルト32が挿入されるアンカーホール部34がシース管によって形成されている。また、アンカーホール部34の上側には、基礎天端構造10を構成すると共に、基礎12の立上部12Bの最上端にその表面40Aが配置されるプレート部材40が設けられている。なお、アンカーボルト32は、床下梁30Aの下フランジに溶接によって固定されたナット31に螺合することで、建物ユニット30に固定されている。また、プレート部材40については詳細を後述する。
【0036】
図3(A)(B)に示されるように、アンカーボルト32をアンカーホール部34に挿入する際には、アンカーホール部34内には例えば充填材としてモルタル36が充填される。そして、充填されたモルタル36が固化することでアンカーボルト32がアンカーホール部34に固定されるようになっている。
【0037】
なお、アンカーホール部34と鉄筋24、鉄筋18、20、24、26同士は、その交差部で図示せぬ結束線により結束されている。
【0038】
また、図2に示されるように、本実施形態では、アンカーホール部34の中心線、即ちアンカーボルト32の挿入位置は立上部12Bの幅方向中間部に設定されている。
【0039】
(要部構成)
【0040】
次に、基礎天端構造10を構成すると共に、基礎12の立上部12Bの最上端にその表面40Aが配置されるプレート部材40について説明する。
【0041】
図1に示されるように、プレート部材40は、板状とされ、平面視(上方から見て)で矩形状とされており、表面40Aは平坦とされている。さらに、平面視でプレート部材40の中央には、アンカーボルト32が挿通される円孔40Bが形成されている。つまり、建物ユニット30の床下梁30Aの下端部から突出したアンカーボルト32は、この円孔40Bを挿通してアンカーホール部34に挿入されるようになっている。なお、図1については、基礎天端構造10の理解を容易にするため、鉄筋20、24、26の記載を一部省略する。
【0042】
さらに、図1、図2に示されるように、プレート部材40の裏面40Cには、立上部12Bに打設されたコンクリート28との間で、摩擦力を増加させる摩擦力増加部としての突起部44が形成されている。
【0043】
詳細には、突起部44は、3本設けられ、基礎長手方向に沿ってプレート部材40の両端部と中央部とに設けられている。この構成によって、プレート部材40と立上部12Bとが、基礎長手方向に対して交差方向に相対的に移動する場合には、突起部44が、プレート部材40と立上部12Bとの間に生じる摩擦力を増加させるようになっている。
【0044】
また、平面視で矩形状とされたプレート部材40の四隅には、基礎天端構造10を構成すると共に、鉛直方向に延びて、先端部がプレート部材40の突起部44に固定されてプレート部材40を支持するプレート支持鉄筋46が設けられている。さらに、夫々のプレート支持鉄筋46の基端部は、地面に埋設された状態(地面に突き刺した状態)で支持されており、これにより、コンクリートが打設される前の状態で、プレート支持鉄筋46は、プレート部材40の表面40Aが立上部12Bの最上端となるようにプレート部材40を支持するようになっている。
【0045】
(作用・効果)
【0046】
次に、基礎12の施工工程と、この基礎12に設けられた基礎天端構造10の作用・効果について説明する。
【0047】
先ず、図1、図2に示されるように、各鉄筋18、20、24、26を所定の位置へ配置し、その交差部で図示せぬ結束線により結束させる。また、アンカーホール部34を鉄筋24と図示せぬ結束線により結束させて所定の位置へ配置する。さらに、アンカーホール部34の上側にアンカーホール部34と円孔40Bが重なるように、プレート部材40を配置する。そして、先端部でプレート部材40を支持するプレート支持鉄筋46の基端部を地面に埋設してプレート部材40の位置を決め、プレート部材40の表面40Aのレベルを出す。
【0048】
次に、図示せぬ型枠をセットした後、コンクリートを型枠内に打設して基礎12を形成する。立上部12Bにコンクリート28が打設された後の状態でも、プレート部材40がプレート支持鉄筋46に支持されているため、プレート部材40の表面40Aは、予め定められた狙いの位置に保持される。
【0049】
そして、図3(A)(B)に示されるように、アンカーホール部34内にモルタル36を充填し、建物ユニット30を吊り込み、アンカーボルト32をプレート部材の円孔40Bを挿通させてアンカーホール部34内へ挿入する。アンカーホール部34内に充填されたモルタル36が固化することで建物ユニット30は、プレート部材40を介して基礎12に固定される。
【0050】
ここで、地震等が発生した際に、基礎12と建物ユニット30とが相対的に移動した場合には、アンカーボルト32に基礎長手方向に対して交差する方向(図2に示す矢印A方向)の水平力が作用する。
【0051】
アンカーボルト32に水平力が作用すると、アンカーボルト32が立上部12Bの一部を外側に押し出そうする力によって、コンクリート28の一部が剥落(コーン破壊)することが考えられる。
【0052】
しかし、本実施形態の基礎天端構造10では、立上部12Bの上端にアンカーボルト32が挿通されるプレート部材40が設けられている。そこで、アンカーボルト32に水平力が作用すると、この水平力がプレート部材40に伝達される。さらに、プレート部材40に伝達された水平力は、プレート部材40に設けられた突起部44を介して立上部12Bのコンクリート28の上面に伝達される。つまり、アンカーボルト32に作用した水平力は、プレート部材40を介してコンクリート28の上面に伝達されることとなる。
【0053】
このように、アンカーボルト32に作用した水平力が、立上部12Bの一部を外側に押し出そうとする場合と比して、アンカーボルト32に作用した水平力がコンクリート28の上面に伝達されることで、荷重が分散される。その結果、立上部12Bの上端側面からコンクリート28の一部が剥落するのを抑制することができる。
【0054】
また、この突起部44が、立上部12Bに打設されたコンクリート28とプレート部材40との間で生じる摩擦力を増加させる。このように、簡易な構成で容易に、コンクリート28とプレート部材40との間で生じる摩擦力を増加させることができる。
【0055】
また、前述したように、プレート支持鉄筋46がプレート部材40を支持することで、立上部12Bにコンクリート28が打設された後の状態でも、プレート部材40の表面40Aは、予め定められた狙いの位置に保持される。これにより、立上部12Bの最上端のレベル出しを容易することができる。
【0056】
また、プレート支持鉄筋46の基端部を地面に埋設された状態で支持させることで、プレート支持鉄筋46の相互の位置関係が所定の状態に保たれる。これにより、立上部12Bにコンクリート28が打設された後の状態でも、プレート部材40の表面40Aを予め定められた狙いの位置に容易に保持することができる。
【0057】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、基礎天端構造10を布基礎である基礎12を用いて説明したが、特に、布基礎に限定されることなく立上部を有している基礎であればベタ基礎等であってもよい。本事項については、以下に記載する第2〜5実施形態についても同様である。
【0058】
また、上記実施形態では、アンカーボルト32が、予め建物ユニット30に固定されている構造を例にとって説明したが、特にこれに限定されることなく、アンカーボルト32が、予め基礎に固定されている構造であってもよい。本事項については、以下に記載する第2、3実施形態についても同様である。
【0059】
また、上記実施形態では、立上部12Bに打設されたコンクリート28とプレート部材40との間で、摩擦力を増加させる摩擦力増加部としての3本の突起部44を用いて説明したが、特に3本に限定されることなく、例えば、1本2本であってもよく、3本以上であってもよい。さらに、直線的な突起部44に限定されることなく、ブロック状の突起部を散点状に配置してもよく、また、プレート部材40の裏面を粗くして立上部のコンクリートとプレート部材との間で摩擦力を生じさせてもよい。本事項については、以下に記載する第2、3実施形態についても同様である。
【0060】
また、上記実施形態では、プレート支持鉄筋46がプレート部材40を支持したが、特に鉄筋に限定されることなく、例えば、ブラケット等でプレート部材を支持してもよい。
【0061】
次に、本発明の第2実施形態に係る基礎天端構造の一例について、図4〜図6に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0062】
図4、図5、図6に示されるように、第2実施形態の基礎天板構造60では、第1実施形態とは異なり、プレート支持鉄筋62の基端部は、地面に埋設されておらず、これに替えて、プレート支持鉄筋62の基端側に保持部材としての短尺状の短鉄筋64が2本設けられている。
【0063】
詳細には、短鉄筋64は、基礎長手方向に沿って配置され、基礎長手方向に沿って所定の間隔を空けて配置された一対のプレート支持鉄筋62に掛け渡されるように設けられている。そして、プレート支持鉄筋62の基端側と短鉄筋64とは、図示せぬ結束線で結束されている。さらに、基礎長手方向に対して交差する方向に沿って所定の間隔を空けて配置された一対のプレート支持鉄筋62の基端側は、鉄筋18に図示せぬ結束線で結束されている。
【0064】
このように、プレート支持鉄筋46の基端側と短鉄筋64及び鉄筋18とを図示せぬ結束線で結束させることで、プレート支持鉄筋46間の距離がずれない(相互の位置関係が所定の状態に保たれる)。これにより、立上部12Bにコンクリート28が打設された後の状態でも、プレート部材40の表面40Aを予め定められた狙いの位置に容易に保持することができる。
【0065】
次に、本発明の第3実施形態に係る基礎天端構造の一例について、図7に従って説明する。なお、第2実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0066】
図7に示されるように、第3実施形態の基礎天板構造70では、第2実施形態とは異なり、プレート支持鉄筋62の基端側には、短鉄筋は設けられておらず、それに替えて、保持部材としての板状の板部材72が設けられている。
【0067】
詳細には、板部材72は、平面視で矩形状とされ、板部材72の四隅には、プレート支持鉄筋62が挿通される円孔74が設けられている。そして、板部材72とプレート支持鉄筋62とは、プレート支持鉄筋62が円孔74に挿通される挿通部で溶接にて固定されている。
【0068】
このように、プレート支持鉄筋62の基端側と板部材72とを固定することで、プレート支持鉄筋62間の距離がずれない(相互の位置関係が所定の状態に保たれる)。これにより、立上部12Bにコンクリート28が打設された後の状態でも、プレート部材40の表面40Aを予め定められた狙いの位置に容易に保持することができる。
【0069】
次に、本発明の第4実施形態に係る基礎天端構造の一例について、図8、図9に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0070】
図8、図9に示されるように、第4実施形態の基礎天板構造80では、第1実施形態とは違い、リフォーム時に、必要に応じて建物ユニット30を立上部12Bに固定するアンカーボルトを後付できるように、予め後付け用のプレート部材84(施工時にはアンカーボルト32が挿通されていなプレート部材)が配置されている。
【0071】
この後付け用のプレート部材84には、プレート部材84に設けられた円孔84Bを閉止する蓋部材82(シース管保護用蓋)が取り付けられている。
【0072】
このように、後付け用のプレート部材84を予め配置することで、リフォーム時には、蓋部材82を取り外すことで、後付けされるアンカーボルトをアンカーホール部34に挿入して固定することができる。そして、この場合には、建物ユニット30の床下梁30Aにも孔30Bを予め開けておくとよい。
【0073】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、プレート部材84には、予め円孔84Bが設けられていたが、特にこれに限定されることなく、プレート部材には円孔が設けられていなくてもよく、この場合には、リフォーム時に、円孔をあけたり、円孔が設けられたプレート部材と交換したりしてもよい。本事項については、以下に記載する第5実施形態についても同様である。
【0074】
次に、本発明の第5実施形態に係る基礎天端構造の一例について、図10〜図12に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0075】
図10に示されるように、第5実施形態の基礎天板構造90では、第1実施形態とは異なり、リフォーム時に、必要に応じて建物ユニット30に制振装置102(図12参照)を後付けできるように、予め後付け用のプレート部材94(施工時にはアンカーボルト32が挿通されていなプレート部材)が配置されている。
【0076】
この後付け用のプレート部材94には、基礎長手方向に沿って2個の円孔94Bが設けられており、この円孔94Bを閉止する蓋部材92(シース管保護用蓋)が取り付けられている。さらに、この円孔94Bの下側には、夫々アンカーホール部108が設けられている。
【0077】
詳細には、図12に示されるように、建物ユニット30の床下梁96と天井大梁98との間に設置される制振装置102は、ダンパ100と、ダンパ100の一端が取り付けられる第1柱部材104と、一端が第1柱部材104に固定される第2柱部材106とを備えている。
【0078】
そして、図11に示されるように、第1柱部材104及び第2柱部材106の下端は、床下梁96を通して立上部12Bに2本のアンカーボルト110で固定されるようになっている。
【0079】
この構成により、リフォーム時に制振装置102を後付けする際には、蓋部材92を取り外すことで、制振装置102を固定するアンカーボルト110をアンカーホール部108に挿入して固定することができる。
【符号の説明】
【0080】
10 基礎天端構造
12 基礎
12B 立上部
18 鉄筋(保持部材)
30 住宅ユニット(構造物)
40 プレート部材
40A 表面
40B 円孔(挿通孔)
40C 裏面
42 基礎天端
44 突起部(摩擦力増加部)
46 プレート支持鉄筋
60 基礎天板構造
62 プレート支持鉄筋
64 短鉄筋(保持部材)
70 基礎天板構造
72 板部材(保持部材)
80 基礎天板構造
84 プレート部材
84B 円孔
90 基礎天板構造
94 プレート部材
94B 円孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎に設けられた鉛直方向に延びる立上部の最上端に表面が配置されると共に、構造物を前記立上部に固定するアンカーボルトが挿通される挿通孔が設けられたプレート部材と、
前記立上部にコンクリートが打設される前の状態で、前記プレート部材を支持する支持手段と、
を備える基礎天端構造。
【請求項2】
前記支持手段は、鉛直方向に延びて、先端部で前記プレート部材の裏面を支持するプレート支持鉄筋である請求項1に記載の基礎天端構造。
【請求項3】
前記プレート部材の裏面には、前記立上部に打設されたコンクリートと前記プレート部材との間で、摩擦力を増加させる摩擦力増加部が設けられている請求項1又は2に記載の基礎天端構造。
【請求項4】
前記摩擦力増加部は、前記プレート部材の裏面から前記立上部に打設されたコンクリートに向けて突出する突起部である請求項3に記載の基礎天端構造。
【請求項5】
前記プレート支持鉄筋は複数本設けられ、前記プレート支持鉄筋の基端部は地面に埋設された状態で支持されている請求項2に記載の基礎天端構造。
【請求項6】
前記プレート支持鉄筋は複数本設けられ、前記プレート支持鉄筋の基端側には、複数本の前記プレート支持鉄筋間の距離がずれないように前記プレート支持鉄筋を保持する保持部材が備えられる請求項2に記載の基礎天端構造。
【請求項7】
予め後付け用の前記プレート部材を追加して配置する請求項1〜6の何れか1項に記載の基礎天端構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−2013(P2012−2013A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139657(P2010−139657)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】