説明

堅牢性の硬化性固体インクおよびそれを用いる方法

【課題】安全性、およびプリント品質の利点を保持するが、さらなる画期的な性能特徴、例えば向上した硬化および堅牢性、低温噴出温度、および結晶化時の超低収縮性を有し、インクジェットベースのプリント用途における新規な材料として使用可能にする固体インクの提供。
【解決手段】硬化性ワックスと;1つ以上のモノマーと;任意の着色剤と;アミドゲル化剤と;光開始剤とを含む、室温で固体であり、溶融インクが基材に適用される高温においては溶融状態である硬化性固体インクおよび低収縮硬化性固体インク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、室温で固体であり、溶融インクが基材に適用される高温においては溶融状態であることを特徴とする固体相変化インク組成物に関する。これらの固体インク組成物は、種々の用途でのインクジェット印刷に使用できる。本実施形態は、硬化性固体インク(CSI)および低収縮硬化性固体インク(LS−CSI)およびこのインクを用いる方法を対象とする。本実施形態において、硬化性固体インクは、硬化前は大きな硬度を有する紫外線(UV)硬化性インクであり、硬化後の硬度が実質的に増大して、溶媒摩耗に対して耐性となる。故に、本実施形態は、所望の硬化されていない固体状態の特性と、硬化した状態での改善された特性との両方を有する硬化性固体インクを提供するという独特の特徴の組み合わせを有する。
【背景技術】
【0002】
硬化性固体インクは、従来の固体インクプリントプロセス、特にトランスフィックスを使用し、硬化後に機械的堅牢性を増大させるための手段として想定されていた。好適な硬化性固体インクを配合する際の困難の1つは、迅速で広範囲に及ぶ硬化を可能にするのに十分な分子移動度を有する固体インクを創出することである。開示された固体インク配合物は先行する配合物よりも優るいくつかの利点を提供するが、より迅速で広範囲に及ぶ硬化および硬度を有する硬化性固体インクを提供する配合物を得ることが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本実施形態は、硬化性ワックス;1つ以上のモノマー;任意の着色剤;アミドゲル化剤;および光開始剤を含む硬化性固体インクを提供する。特定実施形態において、請求項1の硬化性固体インクは、約0.1〜約0.5の硬化前硬度、および約90〜約95の硬化後硬度を有する。さらなる実施形態において、硬化性固体インクは、90を超える硬化後硬度、および約3未満の液体状態からの冷却時の収縮値を有する。
【0004】
さらに他の実施形態において、硬化性固体インクをプリント基材上に噴出させて画像を形成する工程;および画像を放射線に曝してプリント基材上で硬化性固体インクを硬化させる工程を含む、画像をジェット印刷する方法を提供し、ここでこの硬化性固体インクは、インクビヒクル、1つ以上のワックス、および光開始剤を含み、ここでこの硬化性固体インクは、硬化性ワックス、任意の非硬化性構成成分、1つ以上のモノマー、任意の着色剤、アミドゲル化剤、および光開始剤を含み、ここでこの硬化性固体インクは、90を超える硬化後硬度、および3未満の液体状態からの冷却時の収縮値を有する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本実施形態と組み合わせて使用するための1つの装置の側面図である。
【図2】本実施形態に従って本マーキング材料を基材に直接堆積させることを含む実施形態の概略図である。
【図3】本実施形態に従う固体インクの温度に対する複素粘度を例示するグラフである。
【図4】本実施形態に従う代替固体インクの温度に対する複素粘度を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本実施形態は、硬化性固体インク(CSI)および低収縮硬化性固体インク(LS−CSI)を対象とする。特に、本実施形態の固体インクは、固体相変化インクに通常関連する取り扱い、安全性、およびプリント品質の利点を保持するが、さらなる画期的な性能特徴、例えば向上した堅牢性、低い噴出温度、および結晶化時の超低収縮を提供する。
【0007】
本実施形態は、反応性が高く、収縮がきわめて小さい新規な低エネルギー紫外線(UV)硬化性の着色された固体インクを提供する。これらのインクは、ゲル化剤添加剤を含有し、90℃にて20cPs未満、または90℃にて約20〜約5cPS、または90℃にて約15〜約8cPsの範囲の粘度、および3%未満、または約1〜約3%の収縮値を有するように配合された。本明細書で使用される場合、収縮値は、液体状態からの冷却時におけるインクの収縮を示す。加えて、これらのインクは、従来の固体インク、例えばXerox CorporationまたはOce North Americaから市販されているインクよりも相当高い硬化後硬度を示す。これらのインクに関して、硬化速度および硬化後のベンチマーク硬度の顕著な改善も、固化時の構成成分間の改善された相溶性と共に示された。広範囲の研究では、非硬化性樹脂の濃度が、5重量%未満、または約1〜約3重量%、または1重量%未満であるべきであることが実証された。硬化速度は、s/ft単位でのUV光への曝露(Fusions UVドープ水銀D−バルブ、600W/cm)期間に対する硬度をプロットし、次式を適用することによって得られた。
y=m+m・(1−exp(−m・x))
初期硬度=m
初期傾き=m・m
最終硬度=m+m
式中、初期傾きは初期硬化速度として採用される。本実施形態のインクは、約130〜約250ft/s、例えば約180〜約250ft/sまたは約200〜約250ft/sの硬化速度を示す。UV硬化性ランプに使用されるバルブのタイプに依存して、硬化のために使用される出力特性は約200nm〜約450nmであってもよい。
【0008】
本実施形態は、硬化性ワックス、モノマー、ゲル化剤、任意の着色剤、およびフリーラジカル光開始剤、および場合により5重量%までの非硬化性樹脂、例えば粘度調整剤のブレンドを含む。硬化性ワックス、モノマー、硬化性ワックス、任意の着色剤、およびフリーラジカル光開始剤は、ほとんどまたは全く無臭で、約40℃未満、または約40未満から約30℃未満まで固体材料である。これらの構成成分は、約70〜約100℃または約80〜約100℃、または約70〜約90℃の範囲での温度で噴出を達成するように選択された。こうして、高温で堅牢性の噴出が行われ、これらの固体インクは、これらの温度にて約5〜約15cPs、または約10〜約15cPs、または約8〜約12cPsの粘度を有し、室温(20〜50℃または20〜27℃)において固体であり、多孔質基材上に印刷された液滴の過剰な展延または移動を防止する。印刷後、組成物は、硬化されて、堅牢性の画像を提供する。
【0009】
本実施形態の硬化性固体インクは、約0.1〜約11または約0.1〜約5、または約0.1〜約3の硬化前硬度を有する。これらのインクは、約85〜約100、または約90〜約97、または約93〜約97の硬化後硬度を有する。
【0010】
硬化性固体構成成分は、モノマー、硬化性ワックスおよびゲル化剤を含む。硬化性ワックスは、室温(25℃)にて固体であってもよい。ワックスを含むことにより、適用温度から組成物を冷却するときにインク組成物の粘度の増大を促進し得る。硬化性ワックスは、他の構成成分と混和性であり、重合してポリマーを形成するいずれかのワックス構成成分であってもよい。用語ワックスには、例えば、ワックスと一般に称される、種々の天然、改質天然、および合成材料のいずれかが含まれる。
【0011】
硬化性ワックスの好適な例としては、硬化性基を含むまたはそれらで官能化されたワックスが挙げられる。硬化性基としては、例えばアクリレート、メタクリレート、アルケン、アリルエーテル、エポキシド、オキセタンなどを挙げることができる。これらのワックスは、ワックス、例えばカルボン酸またはヒドロキシル変形性官能基を備えたポリエチレンワックスの反応によって合成できる。本明細書に記載される硬化性ワックスは、少なくとも1つの硬化性基で官能化された上記イソソルビドおよび/または追加の硬化性モノマーで硬化されてもよい。
【0012】
硬化性基で官能化されてもよいヒドロキシル末端処理されたポリエチレンワックスの好適な例としては、構造CH(CH−CHOHを有する炭素鎖(ここで鎖長nの混合物が存在し、平均鎖長は、約16〜約50の範囲であることができる)と、同様の平均鎖長の線状低分子量ポリエチレンとの混合物であることができる。
【0013】
硬化性基で官能化され得るカルボン酸末端処理されたポリエチレンワックスの好適な例としては、構造CH(CH−COOHを有する炭素鎖(ここで、鎖長nの混合物が存在し、平均鎖長は、約16〜約50である)と、同様の平均鎖長の線状低分子量ポリエチレンとの混合物が挙げられる。
【0014】
硬化性ワックスは、例えば組成物の約0.1重量%〜約30重量%、例えば組成物の約0.5重量%〜約20重量%または組成物の約0.5重量%〜15重量%の量で組成物中に含まれることができる。
【0015】
本実施形態に使用されてもよいモノマーは、例えばジメタノールジアクリレートシクロヘキサン二官能性モノマー、例えばSartomerからのCD−406(mp=78℃);イソシアヌレートトリアクリレート三官能性モノマー、例えばSartomerからのSR−368(mp=50−55℃);ベヘニルアクリレート一官能性モノマーC18、C20、C22混合物、例えばSartomerからのCD587(mp=55℃);アクリレート硬化性一官能性アクリレートワックスC22、C23、C24混合物、例えばBaker Petrolite(Houston,Texas)からのUNILIN350(mp=78−83℃);および硬化性アミドゲル化剤であってもよい。本実施形態の放射線硬化性固体インクに使用するのに好適なゲル化剤としては、硬化性アミド、硬化性ポリアミド−エポキシアクリレート構成成分、ポリアミド構成成分、これらの混合物などを含むゲル化剤が挙げられる。さらなる実施形態において、硬化性複合ゲル化剤は、硬化性エポキシ樹脂およびポリアミド樹脂、これらの混合物などを含んでいてもよい。ゲル化剤はまた、組成物中のモノマーの硬化に関与し得る。固体インクに使用するのに好適なゲル化剤は、インク組成物がシリコーンまたは他のオイルをその上に有する基材にわたって利用される場合、湿潤性を改善するためにその特性が両親媒性であってもよい。両親媒性とは、分子の極性および非極性部分の両方を有する分子を指す。例えば、ゲル化剤は、長い非極性炭化水素鎖および極性アミド連結を有していてもよい。
【0016】
使用に好適なアミドゲル化剤としては、本明細書にてその開示全体が参考として組み込まれる米国特許第7,279,587号明細書に記載されるものが挙げられる。しかし、ゲル化剤の存在下および不存在下の両方において、室温にて固体の硬化性インクである本実施形態とは異なり、上記特許文献は、液体硬化性インクを対象としている。特定実施形態において、ゲル化剤は、同様に硬化性および非硬化性ゲル化剤の両方を含む構成成分の混合物である。
【0017】
実施形態において、固体インクは、ゲル化剤材料を有するように配合されている。インク組成物に使用するのに好適なゲル化剤としては、硬化性アミド、硬化性ポリアミド−エポキシアクリレート構成成分およびポリアミド構成成分を含むゲル化剤、硬化性エポキシ樹脂およびポリアミド樹脂を含む硬化性複合ゲル化剤、これらの混合物などが挙げられる。ゲル化剤はまた、組成物のモノマーの硬化に関与し得る。
【0018】
組成物に使用するのに好適なゲル化剤は、組成物がシリコーンまたはその他のオイルをその上に有する基材にわたって利用される場合に、湿潤を改善するためにその性質が両親媒性であってもよい。両親媒性とは、分子の極性および非極性部分の両方を有する分子を指す。例えば、ゲル化剤は、長い非極性炭化水素鎖および極性アミド連結を有していてもよい。
【0019】
米国特許第7,279,587号明細書に記載されるように、アミドゲル化剤は、次式の化合物であってもよい
【化1】


式中:
は以下であり:
(i)約1個の炭素原子〜約12個の炭素原子、例えば約1個の炭素原子〜約8個の炭素原子、または約1個の炭素原子〜約5個の炭素原子を有するアルキレン基(ここで、アルキレン基は、線状および分岐、飽和および不飽和、環状および非環状の置換および非置換アルキレン基を含む二価の脂肪族基またはアルキル基であり、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、アルキレン基に存在してもよい、または存在しなくてもよい)、
(ii)約1個の炭素原子〜約15個の炭素原子、例えば約3個の炭素原子〜約10個の炭素原子、または約5個の炭素原子〜約8個の炭素原子を有するアリーレン基(ここで、アリーレン基は、置換および非置換アリーレン基を含む二価の芳香族基またはアリール基であり、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、アリーレン基に存在してもよい、または存在しなくてもよい)、
(iii)約6個の炭素原子〜約32個の炭素原子、例えば約6個の炭素原子〜約22個の炭素原子、または約6個の炭素原子〜約12個の炭素原子を有するアリールアルキレン基(ここで、アリールアルキレン基は、置換および非置換のアリールアルキレン基を含む二価のアリールアルキル基であり、ここでアリールアルキレン基のアルキル部分は、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、アリールアルキレン基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在してもよい、または存在しなくてもよい)、あるいは
(iv)約5個の炭素原子〜約32個の炭素原子、例えば約6個の炭素原子〜約22個の炭素原子、または約7個の炭素原子〜約15個の炭素原子を有するアルキルアリーレン基(ここでアルキルアリーレン基は、置換および非置換のアルキルアリーレン基を含む二価のアルキルアリール基であり、ここでアルキルアリーレン基のアルキル部分は、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、アルキルアリーレン基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在してもよい、または存在しなくてもよい)、
ここで、置換されたアルキレン、アリーレン、アリールアルキレンおよびアルキルアリーレン基における置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ピリジン基、ピリジニウム基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフィド基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、アゾ基、ウレタン基、尿素基、これらの混合物などであることができ、ここで2つ以上の置換基は、共に結合して環を形成できる;
およびR’はそれぞれ互いに独立に以下であり:
(i)約1個の炭素原子〜約54個の炭素原子、例えば約1個の炭素原子〜約48個の炭素原子、または約1個の炭素原子〜約36個の炭素原子を有するアルキレン基、
(ii)約5個の炭素原子〜約15個の炭素原子、例えば約5個の炭素原子〜約13個の炭素原子、または約5個の炭素原子〜約10個の炭素原子を有するアリーレン基、
(iii)約6個の炭素原子〜約32個の炭素原子、例えば約7個の炭素原子〜約33個の炭素原子、または約8個の炭素原子〜約15個の炭素原子を有するアリールアルキレン基、または
(iv)約6個の炭素原子〜約32個の炭素原子、例えば約6個の炭素原子〜約22個の炭素原子、または約7個の炭素原子〜約15個の炭素原子を有するアルキルアリーレン基、
ここで、置換されたアルキレン、アリーレン、アリールアルキレン、およびアルキルアリーレン基における置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナト基、ウレタン基、尿素基、これらの混合物などであってもよく、ここで2つ以上の置換基は共に結合して環を形成してもよい;
およびR’は互いにそれぞれ独立に以下のいずれかであり:
(a)光開始基、例えば次式の1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンから誘導される基
【化2】


次式の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンから誘導される基
【化3】


次式の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンから誘導される基、
【化4】


次式のN,N−ジメチルエタノールアミンまたはN,N−ジメチルエチレンジアミンから誘導される基
【化5】


など、あるいは
(b)次の基:
(i)約2個の炭素原子〜約100個の炭素原子、例えば約3個の炭素原子〜約60個の炭素原子、または約4個の炭素原子〜約30個の炭素原子を有するアルキル基(線状および分岐、飽和および不飽和、環状および非環状の置換および非置換アルキル基を含み、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、アルキル基に存在してもよい、または存在しなくてもよい)、
(ii)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子、例えば約5個の炭素原子〜約60個の炭素原子、または約6個の炭素原子〜約30個の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニルなど(置換および非置換アリール基を含み、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、アリール基中に存在してもよく、または存在しなくてもよい)、
(iii)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子、例えば約5個の炭素原子〜約60個の炭素原子または約6個の炭素原子〜約30個の炭素原子を有するアリールアルキル基、例えばベンジルなど(置換および非置換アリールアルキル基を含み、ここでアリールアルキル基のアルキル部分は、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、アリールアルキル基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在してもよい、または存在しなくてもよい)、または
(iv)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子、例えば約5個の炭素原子〜約60個の炭素原子または約6個の炭素原子〜約30個の炭素原子を有するアルキルアリール基、例えばトリルなど(置換および非置換アルキルアリール基を含み、ここでアルキルアリール基のアルキル部分は、線状または分岐状、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、アルキルアリール基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在してもよい、または存在しなくてもよい)、
ここで、置換されたアルキル、アリールアルキル、およびアルキルアリール基における置換基は、ハロゲン原子、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフィド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、これらの混合物などであってもよく、2つ以上の置換基は共に結合して環を形成してもよい;ならびに
XおよびX’は互いにそれぞれ独立に、酸素原子または式NRの基であり、式中Rは以下である:
(i)水素原子;
(ii)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子、例えば約5個の炭素原子〜約60個の炭素原子、または約6個の炭素原子〜約30個の炭素原子を有する線状および分岐、飽和および不飽和、環状および非環状の置換および非置換アルキル基を含むアルキル基であって、ここでヘテロ原子は、アルキル基に存在してもよく、または存在しなくてもよいアルキル基、
(iii)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子、例えば約5個の炭素原子〜約60個の炭素原子、または約6個の炭素原子〜約30個の炭素原子を有する置換および非置換アリール基を含むアリール基であって、ここでヘテロ原子はアリール基に存在してもよく、または存在しなくてもよいアリール基、
(iv)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子、例えば約5個の炭素原子〜約60個の炭素原子または約6個の炭素原子〜約30個の炭素原子を有する置換および非置換アリールアルキル基を含むアリールアルキル基であって、アリールアルキル基のアルキル部分が、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であってもよく、ここでヘテロ原子は、アリールアルキル基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在してもよく、または存在していてもよいアリールアルキル基、または
(v)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子、例えば約5個の炭素原子〜約60個の炭素原子または約6個の炭素原子〜約30個の炭素原子を有する置換および非置換アルキルアリール基を含むアルキルアリール基であって、ここでアルキルアリール基のアルキル部分が、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ここでヘテロ原子は、アルキルアリール基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在してもよく、または存在しなくてもよいアルキルアリール基、
ここで置換されたアルキル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリール基における置換基は、ハロゲン原子、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフェート基、スルホネート基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、これらの混合物などであってもよく、2つ以上の置換基は共に結合して環を形成してもよい。
【0020】
上述したように、インクは、いずれかの好適な量、例えばインクの約1重量%〜約50重量%または約2重量%〜約20重量%または約5重量%〜約15重量%でゲル化剤(gelling agent)またはゲル化剤(gellant)を含むことができる。
【0021】
非硬化性固体構成成分としては、エトキシル化オクチルフェノール誘導体を含む非硬化性ワックスが挙げられ、これらはインク組成物に可溶性であり、および/または噴出温度より約5℃〜約10℃低い融点を有し(これは、約70℃〜約100℃の範囲であってもよい)、その結果非硬化性ワックスは、インク組成物の他の構成成分と均質に組み合わせられる。さらに、エトキシル化オクチルフェノール誘導体の分子量(MW)は約600〜約5000g/モルの範囲である。
【0022】
インクは、非硬化性構成成分および市販の樹脂Licowax−KFOおよびIGEPALカスタム材料の両方を用いて配合された。1つの実施形態において、インクの0〜5重量%の範囲で存在する本実施形態の非硬化性構成成分は、IGEPAL CA210誘導体またはIGEPAL CA210誘導体の混合物である。特定実施形態では、それぞれ87℃および88℃で溶融するTMHDIおよびIPDI誘導体を使用した。
【0023】
インク組成物はまた、着色剤を含有してもよい。いずれかの所望のまたは有効な着色剤は、着色剤が、インクビヒクル中に溶解または分散でき、他のインク構成成分と相溶性である限り、染料、顔料、これらの混合物などのインク組成物中に利用できる。染料より通常安価でより堅牢性である顔料は、硬化性の相変化インク組成物に含まれていてもよい。
実施形態において、溶媒染料を利用する。本明細書に使用するのに好適な溶媒染料の例としては、本明細書に開示されるインクキャリアとの相溶性のためにスピリットソルブル染料を挙げることができる。
【0024】
着色剤は、所望の色または色相を得るためにいずれかの所望のまたは有効な量、例えば少なくともインクの約0.1重量%〜インクの約50重量%または少なくとも約0.2重量%〜インクの約20重量%、または少なくともインクの約0.5重量%〜約10重量%でインク中に存在してもよい。
【0025】
硬化性の相変化インク組成物は、場合により、開始剤、例えば光開始剤を含んでいてもよい。こうした開始剤は、インクの硬化を補助するために所望される。実施形態において、インクの硬化性構成成分を初期硬化させるために、放射線、例えばUV光放射線を吸収する光開始剤が、使用されてもよい。
【0026】
インク組成物中に含まれる開始剤の総量は、例えばインク組成物の約0.5〜約15重量%、例えば約1〜約10重量%であってもよい。
【0027】
特定実施形態において、硬化性モノマーは、硬化性固体インクの総重量の約50〜約95重量%または約60〜約90重量%の量で硬化性固体インク中に存在してもよい。硬化性ワックスは、硬化性固体インクの総重量の約0.1〜約30重量%の量で硬化性固体インク中に存在してもよい。ゲル化剤は、硬化性固体インクの総重量の約1〜約30重量%、または約5〜約10重量%の量で硬化性固体インク中に存在してもよい。特定実施形態において、ゲル化剤は、硬化性固体インクの総重量の約7重量%の量で硬化性固体インク中に存在する。着色剤は、硬化性固体インクの総重量の約0.1重量%〜約10重量%、または約1〜約5重量%の量で硬化性固体インク中に存在してもよい。光開始剤は、硬化性固体インクの総重量の約0.5〜約15重量%、または約1〜約10重量%の量で硬化性固体インク中に存在してもよい。
【0028】
本実施形態において、さらに、ジェット印刷テキストのための硬化性固体インクを用いる方法を提供する。こうした実施形態において、方法は、硬化性固体インクを中間基材上に噴出して中間画像を形成する工程、中間画像を基材に転写し、転写された画像を形成する工程、および転写された画像を、約180ナノメートル〜約500ナノメートルの範囲の波長を有する放射線に曝し、硬化性固体インクを硬化する工程を含む。実施形態において、噴出工程は、70℃を超える、または約70〜約100℃にて行われる。
【0029】
いずれかの好適な印刷デバイスは本明細書に使用されてもよい。1つの実施形態において、装置は、少なくともインクジェットプリントヘッドおよびプリント領域表面を含むインクジェット印刷デバイスであり、この表面に向かってインクがインクジェットプリントヘッドから噴出され、ここでインクジェットプリントヘッドとプリント領域表面との間の高さ距離は調節可能である。
【0030】
本明細書の装置ならびに方法は、中間転写部材にまたは画像受容基材に直接マーキング材料を画像様パターンに適用するために好適ないずれかの所望の印刷システムおよびマーキング材料、圧電インクジェット印刷(室温で液体のインクおよび相変化インクの両方を用いて)、音響インクジェット印刷(室温で液体のインクおよび相変化インクの両方を用いて)、熱転写印刷、グラビア印刷などと共に利用されてもよい。例示の目的のために、中間転写部材にマーキング材料を画像様パターンに適用するための圧電相変化インクジェット印刷機を記載する。
【0031】
図1は、中間転写部材上に画像を形成し、続いて中間転写部材から、その画像を最終画像受容基材に転写するために好適な画像形成装置10の例を例示する。例示された画像形成装置10は、中間転写部材14を含む。マーキング材料アプリケータ、この場合はインクジェットヘッド11は、中間転写部材の表面12上に画像様パターン26にてマーキング材料を適用する。この表面12は、プリント領域表面であり、この表面に向かってインクジェットヘッド11が画像を形成する際にマーキング材料を噴出する。この例示された場合では、プリント領域表面は、中間転写部材表面である。
【0032】
図1にも示されるように、装置はまた、例えば転写ロール22を含む転写装置61を含んでいてもよく、ここで中間転写部材表面からのマーキング材料の画像様パターンは、画像受容基材18上に転写される。任意の画像受容基材ガイド20は、フィードデバイス(図示せず)から画像受容基材を通過させ、基材をロール22の対向する弓状表面および中間転写部材14によって形成されるニップを通して導くために使用されてもよい。任意のストリッパーフィンガー25は、画像形成装置10に載置されて、中間転写部材14の表面から画像受容基材を除去するのを補助してもよい。ロール22は、エラストマー被覆、例えばウレタン、ニトリル、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)およびその他の適切な弾性材料を備えた金属性コア23、例えばスチールを有していてもよい。画像受容基材上の画像を溶融することも、この転写装置にて行われてもよい。画像26がニップに入ったら、その最終画像コンホメーションに転写され、ロール22単独によって基材18上に画像26に対して働く圧力によって、または任意のヒーター21および/または任意のヒーター19によって供給される圧力および熱の組み合わせによって、画像受容基材に接着され、または定着される。任意のヒーター24はまた、この点で熱を供給してプロセスを促進するために利用されてもよい。画像受容基材に接着および/または溶融されたら、画像を周囲温度、例えば約22〜約27℃に冷却する。
【0033】
しかし、マーキング材料が、プリントヘッド36から画像受容基材30、例えば紙に直接噴出される実施形態において、プリント領域表面は、図2に示されるように、画像受容基材30の表面であり得る。次いで基材30は、印刷された画像が硬化するUV硬化ステーション34に向かう片矢によって示される方向にベルト32に沿って移動できる。種々の実施形態は、例えば特に単一印刷および硬化ステーション、順に連続に配設された複数の印刷および硬化ステーションを通す複数のパスを含むように本明細書で想定される。
【0034】
放射線硬化性相変化インクは、一般に少なくとも1つの硬化性モノマー、ゲル化剤(gellator)、着色剤、および放射線活性化開始剤、特にインクの硬化性構成成分の重合を開始する光開始剤、特に硬化性モノマーを含む。
【0035】
特定実施形態において、本明細書に開示されるインクビヒクルは、いずれかの好適な硬化性モノマーまたはプレポリマーを含むことができる。硬化性モノマーまたはプレポリマーおよび硬化性ワックスは共に、インクの約50重量%を超え、または少なくとも70重量%または少なくとも80重量%を形成できる。特定実施形態において、本明細書に開示されるインクビヒクルは、いずれかの好適な光開始剤を含むことができる。
【0036】
場合により、相変化インクはまた、水素原子を光開始剤に供与できる共開始剤であるアミン共力剤を含有でき、それによって重合を開始するラジカル種を形成し、さらに、フリーラジカル重合を阻害する溶存酸素を消費でき、それによって重合の速度を増大させる。好適なアミン共力剤の例としては、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエートなど、ならびにこれらの混合物が挙げられる(が、これらに限定されない)。
【0037】
本明細書に開示されるインクの開始剤は、いずれかの所望のまたは有効な波長、例えば約4ナノメートル〜約560ナノメートル、または約200ナノメートル〜約560ナノメートル、または約200ナノメートル〜約420ナノメートルにて放射線を吸収できるが、波長はこれらの範囲外であることができる。
【0038】
場合により、光開始剤は、いずれかの所望のまたは有効な量、例えばインク組成物の約0.5重量%〜約15重量%、またはインク組成物の約1重量%〜約10重量%で相変化インク中に存在するが、量はこれらの範囲外であることができる。
【0039】
実施形態のインクはさらに、こうした従来の添加剤と関連する既知の機能を利用するために従来の添加剤を含んでいてもよい。こうした添加剤は、例えば少なくとも1つのイソシアネート誘導材料、酸化防止剤、消泡剤、スリップおよび均染剤、清澄剤、粘度調整剤、接着剤、可塑剤などを挙げることができる。
【0040】
インクは、場合により酸化防止剤を含有し、画像を酸化から保護してもよく、またインク貯蔵器にて加熱された溶融状態で存在する間、インク構成成分を酸化から保護してもよい。
【0041】
インクはさらに、任意の粘度調整剤を含有してもよい。粘度調整剤は、いずれかの有効な量、例えばインクの約0.01重量%〜インクの約98重量%、インクの約0.1重量%〜インクの約50重量%、インクの約5重量%〜インクの約10重量%でインク中に存在してもよい。
【0042】
接着剤、例えばVERSAMID757、759、または744(Cognisから市販)は、インクの約0.01重量%〜インクの約98重量%、インクの約0.1重量%〜インクの約50重量%、インクの約5重量%〜インクの約10重量%でインク中に存在してもよい。
【0043】
可塑剤は、インクの約0.01重量%〜約98重量%、インクの約0.1重量%〜インクの約50重量%、インクの約5重量%〜インクの約10重量%の量で存在してもよい。
【0044】
存在する場合、任意の添加剤は、インク中、いずれかの所望のまたは有効な量、例えばインクの約1重量%〜約10重量%、またはインクの約3重量%〜約5重量%でそれぞれまたは組み合わせて存在してもよい。
【0045】
本明細書に記載されるインクはさらに、次の実施例に例示される。すべての部およびパーセンテージは、特に指示のない限り重量による。
【実施例】
【0046】
(実施例1)
固体インクの調製
上記で記載されたインク材料(例えば、硬化性ワックス、モノマー、ゲル化剤、任意の着色剤、およびフリーラジカル光開始剤、および任意の非硬化性樹脂)から、多数の無色および着色マゼンタ硬化性固体インクを、本実施形態の予測されない結果を実証するために配合した。
【0047】
30mLの琥珀ガラス瓶に、次の順でインク構成成分をある割合で添加し:CD406、SR368、CD587(すべてSartomer Co.Inc.から入手可能)、Unilin350アクリレート、ゲル化剤、IGEPAL A、IRGACURE819、IRGACURE184、IRGACURE379およびIRGACURE907、合計10gのインクを得た。この10gの混合物に、撹拌棒を添加し、混合物をVariomag反応ブロックに配置した。インク混合物を加熱し、約90℃、300RPMにて、それぞれ少なくとも20分間または混合物が均質に見えるまで撹拌した。温度を約5分間100℃まで上昇させた。混合物を90℃に戻し、90分間撹拌し続けた。
【0048】
本明細書にその全体が参考として組み込まれる米国特許公開2010/0242790A1に記載されるようにアミドゲル化剤は、以下のように調製した:オルガノアミド合成。オルガノアミドは、次の反応スキームに従って調製した。
【化6】

【0049】
4つのブレード付PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)インペラ、滴下漏斗、ディーンスタークトラップ、還流冷却器、および確認熱電対を備えた2リットルのケトルに、上記で示されるように、式C3670のPripol(登録商標)1009ダイマー二酸(Uniqema,New Castle,DE)を1035.33グラム(1790ミリモル)添加した。[酸価は194ミリグラムKOH/gであったが、計算された分子量(MW)は1000/[0.5[(酸#/MW KOH)]=578.03である、または98%活性。]次に、2.07グラムのIrgafos(登録商標)168(0.2重量%)トリスアリールホスファイト処理安定化剤(Ciba(登録商標))を混合しながら添加し、ケトルをアルゴンでパージした。ケトルを90℃に加熱した。60.4ミリリットル(895ミリモル)のエチレンジアミンを滴下漏斗に添加し、徐々に、30分間Pripol(登録商標)1009ダイマー二酸に滴下した。ケトルを150℃に加熱し、綿ウールおよびホイルで包み、温度を維持した。水は、トラップ(15ミリリットル)に回収され始め、冷却器上部から発散している蒸気が見られた。150℃で2時間後、加熱を止め、溶融オルガノアミドを、アルミニウムパイプレートに注ぎ、冷却し、硬化させた。1,043.6グラムのオルガノアミドを単離した。
【0050】
ゲル化剤合成。アミドゲル化剤は、次の反応スキームに従って調製した。
【化7】

【0051】
オーバーヘッド撹拌器(金属スパイラルミキサ)を備えた20リットル反応フラスコに、936グラム(808ミリモル)の上述のオルガノアミドを添加し、熱空気ガンの使用によって移動を補助し、浮遊状態の材料を溶融させた。次に、15リットルのジクロロメタンを添加し、混合物を混合しながら一晩浸漬し、オルガノアミド出発材料の溶解を完了させた。次に、400グラム(1,940ミリモル)のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、カップリング剤)、14.81グラム(121ミリモル)の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、触媒)、278グラム(808ミリモル)のSR495B(登録商標)(カプロラクトンアクリレート、Sartomer)、181グラム(808ミリモル)のIrgacure(登録商標)2959(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン光開始剤、Ciba Specialty Chemicals)を混合しながら、室温で添加した。18時間後、DCHU(ジシクロヘキシル尿素)副生成物をろ過し、ジクロロメタン溶媒をロータリーエバポレーションによって蒸発除去した。生成物を大きいホイルパンに移し、真空オーブンにて50℃で3時間真空乾燥させた。酸#:0.65。アミン#:3.87。生成物をさらに8時間50℃で真空乾燥させた。%固体分析(80℃で30分)が、存在する2重量%のジクロロメタンの存在を示す。1,438.3グラムのアミドゲル化剤を単離した。
【0052】
Unilin(登録商標)350アクリレートは、Baker Petroliteから入手可能な硬化性の一官能性アクリレートワックス(C22、C23、C24混合物、融点約78〜約83℃)である。Unilin(登録商標)350は、受領したまま使用でき、またはその全体が参考として本明細書に組み込まれる米国特許第7,559,639号明細書に記載されるように合成できる。
【0053】
誘導体Aは、本明細書にて上記で記載されるエトキシル化オクチルフェノール誘導体であり、次のように調製される。撹拌磁石を備えた250ミリリットルフラスコに、70グラムのIGEPAL(登録商標)CA210、(MW=261)である、以前はRhone−Poulenc Co.によって、現在はRhodiaによって製造されるエトキシル化オクチルフェノール、および80グラムのUnilin(登録商標)425(OH#95.3、MW=589)であるBaker Hughesから入手可能な完全に飽和された長鎖の線状一級アルコールのプレ溶融混合物を充填した。フラスコを、温度計を備えた140℃のオイルバスに入れ、加熱し、撹拌した。約5分後、次式の30グラムのIPDI(MW=222)
【化8】

を添加し、続いてArkema Inc.から入手可能な式BuSn(OOC1223のFascat(登録商標)4202のジブチルスズジラウレート触媒を3滴添加した。約1.5時間後、IRスペクトルを、反応生成物にて得たが、イソシアネートピーク(約2230cm−1)は認められなかった。含有物をアルミニウムスズに注ぎ、冷却して固化させた。
【0054】
ゲル化剤および非硬化性構成成分を有する硬化性固体インクの異なる4つの配合物を以下の表1に従って調製した。
【0055】
【表1】

【0056】
硬度測定
インクビヒクルの硬化前および硬化後硬度を、表2に示されるように、PTC Durometerを用いて得た。参照として、この機器において、市販の固体インクの硬度は約67である。
【0057】
【表2】

【0058】
硬化速度測定
硬化速度は、UV露光に対する硬度の変動を測定することによって得られた。Dバルブを備えた600WのFusion UV Systems Inc.のLighthammerを使用して、ビヒクルを照射し、特定の露光時間の後の硬度を測定した。硬化時間に対する硬度(s/ft)プロットを使用して、インクビヒクルに関する初期硬化速度を得た。
【0059】
ゲル化剤および非硬化性構成成分を含む硬化性固体インクは、90を超える硬度を有するように配合でき、70未満の硬度を有する従来の固体インクよりも顕著に改善されることが実証された
【0060】
図3において、温度に対する代表的な粘度の曲線は、インク配合物の1つについて示されているものであり、明らかに本実施形態の固体インクが、インクジェット印刷機、例えばXEROX圧電プリントヘッドの噴出要件を満たすことを示す。このインクは、63.34%CD406;6.83%SR368;6.83%CD587;および0.53%のIgepalAを含有し、すべて他の構成成分は、上記表に示される量で存在する。
【0061】
表3に示されるように、表1に基づいてゲル化剤を有するが、他の非硬化性構成成分を有していない硬化性固体インクも、速い硬化速度を維持しながら、優れた硬化後硬化(93.8)をもたらした。
【0062】
【表3】

【0063】
レオロジーデータは、このインクが、図4に示されるように、以前の配合物(90℃噴出)に対して70〜80℃でさえも噴出可能であることを示唆する。このインクの硬度測定値を表4に示す。
【0064】
【表4】

【0065】
硬度および硬化速度データは、次の式を用いて曝露時間に対する硬度のプロットから得られた:
y=m+m・(1−exp(−m・x))
初期硬度=m
初期傾き=m・m
最終硬度=m+m
【0066】
印刷実証
本実施形態のインクは、固体インクプリントヘッドを備えた変更されたXEROX PHASER印刷機における噴出性の粘度要件を満たす(周波数=36Khz、噴出T=95.0℃、355X464dpi)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性ワックスと;
1つ以上のモノマーと;
任意の着色剤と;
アミドゲル化剤と;
光開始剤と
を含む硬化性固体インク。
【請求項2】
前記ゲル化剤が次式を有する化合物である、請求項1に記載の硬化性固体インク
【化1】

式中、Rは(i)線状および分岐、飽和および不飽和、環状および非環状の置換および非置換アルキレン基を含むアルキレン基であって、ここでヘテロ原子がアルキレン基に存在してもよく、または存在しなくてもよいアルキレン基、(ii)置換および非置換アリーレン基を含むアリーレン基であって、ここでヘテロ原子が、アリーレン基に存在してもよく、または存在しなくてもよいアリーレン基、(iii)置換および非置換アリールアルキレン基を含むアリールアルキレン基であって、ここでアリールアルキレン基のアルキル部分が、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ここでヘテロ原子が、アリールアルキレン基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在してもよく、または存在しなくてもよいアリールアルキレン基;または(iv)置換および非置換アルキルアリーレン基を含むアルキルアリーレン基であって、ここでアルキルアリーレン基のアルキル部分が、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ここでヘテロ原子が、アルキルアリーレン基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在してもよく、または存在しなくてもよいアルキルアリーレン基であり、RおよびR’のそれぞれは、互いに独立に、(a)線状および分岐、飽和および不飽和、環状および非環状の置換および非置換アルキレン基を含むアルキレン基であって、ここでヘテロ原子がアルキレン基に存在してもよく、または存在しなくてもよいアルキレン基、(b)置換および非置換アリーレン基を含むアリーレン基であって、ここでヘテロ原子が、アリーレン基に存在してもよく、または存在しなくてもよいアリーレン基、(c)置換および非置換アリールアルキレン基を含むアリールアルキレン基であって、ここでアリールアルキレン基のアルキル部分は、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ここでヘテロ原子が、アリールアルキレン基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在してもよく、または存在しなくてもよいアリールアルキレン基、または(d)置換および非置換アルキルアリーレン基を含むアルキルアリーレン基であって、ここでアルキルアリーレン基のアルキル部分が、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ここでヘテロ原子が、アルキルアリーレン基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在してもよく、または存在しなくてもよいアルキルアリーレン基であり、RおよびR’はそれぞれ互いに独立に、(a)光開始基、または(b)(1)線状および分岐、飽和および不飽和、環状および非環状の置換および非置換アルキル基を含むアルキル基であって、ヘテロ原子がアルキル基に存在してもよく、または存在しなくてもよいアルキル基、(2)置換および非置換アリール基を含むアリール基であって、ここでヘテロ原子が、アリール基に存在してもよく、または存在しなくてもよいアリール基、(3)置換および非置換アリールアルキル基を含むアリールアルキル基であって、アリールアルキル基のアルキル部分は、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ここでヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在してもよく、または存在しなくてもよいアリールアルキル基、または(4)置換および非置換アルキルアリール基を含むアルキルアリール基であって、ここでアルキルアリール基のアルキル部分が、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ここでヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在してもよく、または存在しなくてもよいアルキルアリール基である基のいずれかであり、XおよびX’はそれぞれ互いに独立に、酸素原子または式NRの基であり、式中Rは(I)水素原子、(II)線状および分岐、飽和および不飽和、環状および非環状の置換および非置換アルキル基を含むアルキル基であって、ここでヘテロ原子がアルキル基に存在してもよく、または存在しなくてもよいアルキル基、(III)置換および非置換アリール基を含むアリール基であって、ここでヘテロ原子が、アリール基に存在してもよく、または存在しなくてもよいアリール基、(IV)置換および非置換アリールアルキル基を含むアリールアルキル基であって、ここでアリールアルキル基のアルキル部分が、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ここでヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在してもよく、または存在しなくてもよいアリールアルキル基、または(V)置換および非置換アルキルアリール基を含むアルキルアリール基であって、アルキルアリール基のアルキル部分が、線状または分岐、飽和または不飽和の環状または非環状であることができ、ここでヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在してもよく、または存在しなくてもよいアルキルアリール基である。
【請求項3】
エトキシル化オクチルフェノール誘導体である非硬化性構成成分をさらに含む、請求項1に記載の硬化性固体インク。
【請求項4】
約0.1〜約0.5の硬化前硬度を有する、請求項1に記載の硬化性固体インク。
【請求項5】
約90〜約95の硬化後硬度を有する、請求項1に記載の硬化性固体インク。
【請求項6】
約70〜約100℃の噴出温度において、約5〜約25の粘度を有する、請求項1に記載の硬化性固体インク。
【請求項7】
約20〜約27℃で固体である、請求項1に記載の硬化性固体インク。
【請求項8】
硬化性ワックスと;
任意の非硬化性構成成分と;
1つ以上のモノマーと;
任意の着色剤と;
アミドゲル化剤と;
光開始剤とを含み、前記硬化性固体インクが、90を超える硬化後硬度、および3未満の液体状態からの冷却時の収縮値を有する、方法。
【請求項9】
70℃超過にて噴出可能な粘度を有する、請求項8に記載の硬化性固体インク。
【請求項10】
画像をジェット印刷する方法であって:プリント基材上に硬化性固体インクを噴出させて画像を形成する工程;および画像を放射線に曝露し、プリント基板に硬化性固体インクを硬化させる工程であって、
前記硬化性体インクが、インクビヒクル、1つ以上のワックス、および光開始剤を含み、ここで硬化性固体インクが:
硬化性ワックスと;
任意の非硬化性構成成分と;
1つ以上のモノマーと;
任意の着色剤と;アミドゲル化剤と;
光開始剤とを含む、硬化性固体インクであって、前記硬化性固体インクが、90を超える硬化後硬度、および3未満の液体状態からの冷却時に収縮値を有する、インク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−236986(P2012−236986A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−99113(P2012−99113)
【出願日】平成24年4月24日(2012.4.24)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】