説明

【課題】レンガ製笠木から垂れ落ちる雨水等による塀の壁面の汚損を防ぐ。
【解決手段】塀本体Bと、塀本体B上に備えられるレンガ製の笠木Cと、笠木Cと塀本体Bと間に備えられるプラスチック製の水切り材Dとを備える塀Aであって、水切り材Dが、長尺板状部10と、長尺板状部10の一方の長手縁に沿って長尺板状部10から垂れ下げ状態に設けられている垂下突条部11とを備えており、垂下突条部11を塀本体Bに平行に、かつ、長尺板状部10における垂下突条部11を有しない長手縁に沿った板状部を塀本体Bと水切り材Dとの間に挟み入れるように長尺板状部10を笠木Cの下面に添わせてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レンガ笠木を備える塀における雨水等の垂れ落ちに伴う汚損を効果的に避け得るようにした塀の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅における快適かつ安全な居住性の保証や、建造物本来の景観を効果的に表出するなどの各種の要請から外構上、塀は主要な構成要素とされており、堅牢性、意匠性等から各種の塀が構築用いられている。
【0003】
かかる意匠性、堅牢性等を考慮して笠木をレンガ仕立てとした塀が構築用いられている。
【0004】
しかしながら、笠木を構成するレンガにおけるメジ部分から雨水が塀面に流れ落ち、また、当該メジ部分からの湿りが塀の表面に滲み、黴出し、変色等をもたらすことが多く、塀における意匠性を著しく損なう不具合があった。
【0005】
かかる点から、笠木の外側面を伝わって流下する雨水等の液体が塀の面に伝わらないように工夫した笠木が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】実開平6−71800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この特許文献1に示される塀の笠木にあっては、笠木の幅を塀本体の壁厚より大きくする一方、前記笠木の幅方向両外側部に、塀本体の上面に接合される笠木底面より下方に突出する下向き突条をそれぞれ形成するとともに、該各下向き突条の内面間の間隔を前記塀本体の壁厚より大きく構成し、この笠木からの雨水が塀本体の壁面に沿って流れ落ちるのを避けるように構成してある。
【0008】
しかしながら、このような笠木を備える塀にあっては、塀本体上に備えられる笠木が素材面、形状面、強度面等において各種の制約を受けることとなり、自然な重厚感に溢れる塀の構築には不向きであった。
【0009】
例えば、長方体状の意匠的に違和感の無いレンガを用いる等して重厚感に溢れる笠木を備える塀を構成するには無理があった。
【0010】
かかる点から、何等の細工も施してないレンガを用いて塀本体上にレンガ固有の意匠性を備えるレンガ笠木を、当該レンガ笠木からの雨水等の流れ落ちに伴う不具合の無い態様に備えた塀を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、前記課題を解決するために、塀本体と、この塀本体上に備えられるレンガ製の笠木と、この笠木と塀本体と間に備えられるプラスチック製の水切り材とを備える塀であって、
この水切り材が、長尺板状部と、この長尺板状部の一方の長手縁に沿って当該長尺板状部から垂れ下げ状態に設けられている垂下突条部とを備えており、
この垂下突条部を前記塀本体に平行に、かつ、前記長尺板状部における垂下突条部を有しない長手縁に沿った板状部を前記塀本体と笠木との間に挟み入れるように該長尺板状部を笠木の下面に添わせてあることを特徴とする塀としてある。
【0012】
このように構成される塀にあっては塀本体上に備えられるレンガ笠木から塀本体に流れ落ちる雨水が当該水切り材における垂下突条部によって縁切りされて、塀本体側に回ることなく下方に落下される。また、レンガ笠木におけるモルタルメジ部分における湿り等の滲み出し、黴出し、変色等を効果的に遮断することができる。
【0013】
また、かかる塀にあっては、典型的なレンガ笠木の風合いを全く損なうことなく、通常のレンガ積みによって笠木を構成し得ると共に、典型的な外観を有するレンガ笠木を備える塀を、当該レンガ笠木からの雨水、湿りを効果的に遮断して、塀面における雨液の流れ跡、雨液の滲みだし跡、黴出し、付着塵埃や塵埃付着跡等が発生することのない塀を提供することができる。
【0014】
また、かかる構成よりなる塀にあっては、容易に、かつ、確実に水切り処理の施されたレンガ笠木を構成することができる。
【0015】
ついで、前記構成に係る塀において、前記水切り材を、塀本体に沿う見切り凸条を長尺板状部の下面から下方に突き出すように備えた構成としてある塀にあっては、前記特長に併せて、この見切り凸条を目安にして笠木備え付けに伴う下地モルタルの塗りつけをなすことができる。
【0016】
また、前記構成に係る塀において、その長尺板状部における塀本体と笠木との間に挟み入れられる板状部の長手方向に細長い孔を止めつけ板状部を介して連続して備える構成の水切り材とした構成の塀にあっては、前記特長に併せて、当該水切り材を塀本体に容易かつ確実に止めつけ得ると共に、この水切り材を介して塀本体に対して笠木手段としてのレンガを容易かつ確実に備え付けることができる。
【0017】
また、前記構成に係る塀において、前記塀本体の内側と外側とに備えられる水切り材の一方水切り材を、垂下突条部側を屈曲外側にして留接ぎにし、また、他方水切り材を、垂下突条部側を屈曲内側にして留接ぎにすることで、直角に屈曲する塀笠木における雨水等の垂れ落ち、滲み出し、及び当該垂れ落ち、滲みだしに伴う塀面の変色等を効果的に防ぐことができる。
【0018】
また、前記構成に係る塀において、前記塀本体の内側と外側とに備えられる水切り材を、長尺板状部に備えられている孔を外部に連通させるように当該孔に沿っている板状部でカットし、当該水切り材を湾曲する笠木に沿って備えさせることで、平面視において外向き、又は、内向きに湾曲する塀の笠木における雨水等の垂れ落ち、滲みだし、及び当該垂れ落ち、滲みだしに伴う塀面の変色等を効果的に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0019】
レンガ笠木からの雨水等の垂れ落ち、滲み出し、変色等によって汚損されることのない塀を、容易に、しかも、確実に構成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図1〜図8にもとづいて、この発明を実施するための最良の形態に係る塀Aについて説明する。
【0021】
なお、ここで図1は当該発明を実施するための最良の形態に係る典型的な塀Aを門柱Eに連続して設けた状態を斜め上方から見て、図2は、当該塀Aの上部側を正面から見て、図3は、この塀Aの上部側を縦方向で断面して側方から見て、図4は、この図3における要部を拡大して示している。図5は、この塀Aに用いられる典型的な水切り材Dを斜め上方から見て、更に、図6は、この水切り材Dを塀本体Bの上部に備え付けた状態を上方から見て、図7は、この水切り材Dにおける孔13を外部と連通するようにカットした状態を上方から見て、図8は、このカット処理のされた水切り材Dを平面視で湾曲している塀本体Bの上部に備え付けた状態を示している。
【0022】
この発明を実施するための最良の形態に係る塀Aは、塀本体Bと、この塀本体B上に備えられるレンガC’製の笠木Cと、この笠木Cと塀本体Bと間に備えられるプラスチック製の水切り材Dとを備える塀Aであって、
この水切り材Dが、長尺板状部10と、この長尺板状部10の一方の長手縁に沿って当該長尺板状部10から垂れ下げ状態に設けられている垂下突条部11とを備えており、
この垂下突条部11を前記塀本体Bに平行に、かつ、前記長尺板状部10における垂下突条部11を有しない長手縁に沿った板状部を前記塀本体Bと笠木Cとの間に挟み入れるように該長尺板状部10を笠木Cの下面に添わせてある。
【0023】
ここで笠木Cの備えられる塀本体Bは、塀本体Bの上にレンガC’製の笠木Cを備え付け得る構造のものであれば、例えば、コンクリートブロック塀、レンガ塀、RC塀等いかなる素材によって構成してあってもよい。また、この塀本体Bは、独立した塀として構成してあっても、門柱E等の構造物に付帯して備えられていてもよい。また、かかる塀は、平面視で真っ直ぐに構成されている塀であっても、また、平面視で適宜屈曲する塀であっても、さらには、平面視で適宜湾曲する塀であってもよい。
【0024】
また、笠木Cを構成するレンガC’は、典型的には壁材や屋根材等として用いられるレンガ等の各種レンガを用いることができる。
【0025】
また、プラスチック製の水切り材Dは、所定の耐水性、耐候性を備えるプラスチック材を用いて構成してあって、笠木Cからの液体、典型的には雨水等が塀本体Bに伝わらないように遮断し得るものであれば、いかなる素材を用いて、いかなる製法で、いかなる形態に構成してあってもよい。
【0026】
また、前記長尺板状部10は、一方の長手縁に沿って垂下突条部11を垂れ下げ状態に一体に備えて、この垂下突条部11を備えていない側の長手縁に沿った板状部を塀本体Bと笠木Cとの間に挟み入れ得る構成としてあり、この塀本体Bと笠木Cとの間に挟み入れられる板状部以外の板状部を笠木Cの下面に添うように備えられる構成としてあれば、いかなる構成としてあってもよい。
【0027】
また、この長尺板状部10に備えられる垂下突条部11は、レンガC’製の笠木Cの下面に添って備えられる当該プラスチック製水切り材Dによって遮断された雨水等を当該垂下突条部11において下方に流下させ得る構成を備えておれば、いかなる構成としてあってもよい。
【0028】
このように構成される塀Aにあっては塀本体B上に備えられるレンガ笠木Cから塀本体Bに流れ落ちる雨水が当該水切り材Dにおける垂下突条部11によって縁切りされて、塀本体B側に回ることなく下方に落下される。また、レンガ笠木Cにおけるメジモルタル20部分における湿り等の滲み出し、黴出し、変色等を効果的に遮断することができる。
【0029】
また、かかる塀Aにあっては、典型的なレンガ笠木Cの風合いを全く損なうことなく、通常のレンガ積みによって笠木Cを構成し得ると共に、典型的な外観を有するレンガ笠木Cを備える塀Aを、当該レンガ笠木Cからの雨水、湿りを効果的に遮断して、塀A面における雨液の流れ跡、雨液の滲みだし跡、黴出し、付着塵埃や塵埃付着跡等が発生することのない塀Aを提供することができる。
【0030】
また、かかる構成よりなる塀Aにあっては、容易に、かつ、確実に水切り処理の施されたレンガ笠木Cを構成することができる。
【0031】
また、前記構成に係る水切り材Dにおける見切り凸条12を、塀Aに沿うように、かつ、長尺板状部10の下面から下方に突き出すように備えさせることによって、この見切り凸条12を目安にした下地モルタル23の塗りつけを容易に、かつ、正確になすことができる。
【0032】
また、塀本体Bと笠木Cとの間に挟み入れられる長尺板状部10における板状部の長手方向に細長い孔13を、止めつけ板状部10aを介して、当該長手方向に順次連続して備えてある水切り材Dにあっては、この水切り材Dを塀本体Bに対して容易かつ確実に止めつけることができ、また、この水切り材Dを介して塀本体B上に笠木C手段としてのレンガC’を容易かつ確実に備え付けることができる。
【0033】
また、前記塀本体Bの内側と外側とに備えられる水切り材Dの一方水切り材Dを、垂下突条部11側を屈曲外側にして留接ぎ15にし、また、他方水切り材Dを、垂下突条部11側を屈曲内側にして留接ぎ15にすることで、直角に屈曲する塀笠木Cにおける雨水等の垂れ落ち、滲み出し、及び当該垂れ落ち、滲みだしに伴う塀面の変色等を効果的に防ぐことができる。
【0034】
また、前記塀本体Bの内側と外側とに備えられる水切り材Dを、長尺板状部10に備えられている孔13を外部に連通させるように当該孔13に沿っている板状部でカット14し、当該水切り材Dを湾曲する笠木Cに沿って備えさせることで、平面視において外向き、又は、内向きに湾曲する塀Aの笠木Cにおける雨水の垂れ落ち、滲みだし、及び当該垂れ落ち、滲みだしに伴う塀面の変色等を効果的に防ぐことができる。
【0035】
ついで、図1〜図8に示される典型的な図示例の塀Aについて具体的に説明する。
この図示例の塀Aは、塀本体Bと、この塀本体B上に備えられるレンガC’製の笠木Cと、この笠木Cと塀本体Bと間に備えられるプラスチック製の水切り材Dとを備える塀Aであって、この水切り材Dが、長尺板状部10と、この長尺板状部10の一方の長手縁に沿って当該長尺板状部10から垂れ下げ状態に設けられている垂下突条部11とを備えており、
この垂下突条部11を前記塀本体Bに平行に、かつ、前記長尺板状部10における垂下突条部11を有しない長手縁に沿った板状部を前記塀本体Bと笠木Cとの間に挟み入れるように該長尺板状部10を笠木Cの下面に添わせてある。
【0036】
この図示例に係る塀本体Bは、鉄筋コンクリート塀、コンクリートブロック塀、鉄筋コンクリート組み立て塀、レンガ積塀等の任意の塀として構成される。例えば、門柱Eに連続する塀Aを構成するように、例えば、コンクリートブロックの積み込みによって構成してあり、その内外の面Bb、Bb、及び、必要に応じて上面Baに化粧仕上げ下地としての下地モルタル21を塗り仕上げしてある。
【0037】
このように用意された塀本体B上にレンガC’を敷き並べて笠木Cを構成するに先だって、プラスチック製の水切り材Dを該塀本体B上に備え付ける。
【0038】
この塀本体B上に備え付けられるプラスチック製の水切り材Dは、耐水性、耐候性を備える各種のプラスチック材料によって構成することができる。また、このプラスチック製の水切り材Dは、各種の成形手法による成形される水切り材Dを用いることができる。また、かかる水切り材Dは、打ち抜き、切断、湾曲等の適宜の後処理を施して用いるようにしてあってもよい。また、かかるプラスチック製の水切り材Dは、レンガC’の重さに耐え得ると共に、適宜湾曲させて用いうるに必要な可撓性を備えるプラスチック材によって構成提供することができる。
【0039】
図示例に係る水切り材D’、D”は、前記塀本体Bにおける内外の面Bb、Bbに沿った上面Baの長手方向に、対をなすように備えつけられており、この塀本体Bと笠木Cとの間で、その一部を挟み込むようにしてある。
【0040】
この図示例に係る水切り材Dは、長方形状をなす長尺板状部10と、この長尺板状部10における長手縁の一方縁に沿って当該長尺板状部10から下方に向けて突き出すように垂設されている垂下突条部11とを備える構成としてある。
【0041】
この図示例に係る長尺板状部10に備えられる垂下突条部11は当該長尺板状部10をほぼ直角に屈曲した板状をなす凸状部として構成してあり、前記長尺板状部10において受けられて該垂下突条部11に案内される雨水等が、この垂下突条部11の下端において流下あるいは滴下されて、当該垂下突条部11から塀本体B側に雨水等の伝わるのを遮断する構成としてある。この図示例にあっては、当該板状をなす垂下突条部11における前面と、これにつづく下端面とを雨水等の案内面としてあり、この雨水等の案内面を、当該下端面の後縁から該垂下突条部11の背面を起立することで遮断してある。
【0042】
また、この水切り材Dを構成する長尺板状部10を、その幅側における一方側、すなわち、前記垂下突条部11に連続して当該長尺板状部10の長手縁に沿った延出添装板状部10bと、当該幅側における他方側、すなわち、垂下突条部11の備えられていない長手縁に沿った挟み込み板状部10aとしてあり、この挟み込み板状部10aに、その長さ方向に長い複数の長孔13を、止めつけ板状部10a”を介して順次に設け、この各長孔13の中心線が同一線上に位置するように構成してある。また、この各長孔13間にある止めつけ板状部10a”は、当該水切り材Dを塀本体Bにコンクリート釘、コンクリートビス等の止着手段24によって止めつけ得る幅を備える構成としてある。
【0043】
かかる水切り材Dにおける長尺板状部10の下面側、この図示例にあっては延出添装板状部10bにおける挟み込み板状部10aの側に、前記垂下突条部11に平行な見切り凸条部12が設けてある。
【0044】
このように用意される水切り材Dは、対をなす水切り材D’、D”を塀本体Bにおける内側と外側の面Aaの上にある各上面Baの各長手縁に沿うように備え付けた際に、この備え付け水切り材D’、D”間に塀本体Bの上面Baが十分に露出する幅の長尺板状部10を備える構成としてあり、塀本体B上に接合・調整モルタル22を用いて笠木CをなすレンガC’を都合よく設け得るようにしてある。
【0045】
かかる構成からなる水切り材Dを、その長手向きを塀本体Bにおける長手方向に沿わせるようにして、当該水切り材Dにおける垂下突条部11を下向きにし、かつ、見切り凸条部12を塀本体Bの内側と外側の面Bbに近接させ、長尺板状部10における挟み込み板状部10aを塀本体Bの上面Baに乗せかけ、これを、例えば、コンクリート釘24’で当該塀本体Bに止着することで、塀本体Bの上面Baの各長手縁に沿ってそれぞれ水切り材D’、D”を備え付けることができる。
【0046】
このように塀本体Bの上面Baにおける塀本体Bの内側と外側の面Bbの各側にある長手縁毎に水切り材D’、D”の備え付けられた塀本体B上に接合・調整モルタル22を盛りつけて笠木CをなすレンガC’を、当該レンガC’が水切り材D’、D”の延出添装板状部10b上に密着し、かつ、この延出添装板状部10bから塀本体Bの内側と外側方向に突き出すように、各レンガC’間にメジモルタル20を挟み入れるようにして積み込む。なお、この笠木Cを構成するレンガC’は、通例のレンガ笠木Cの止めつけ手法で塀本体Bに組み付けてあり、例えば、真鍮製ダボ25でずれ落ちないように止めつける。
【0047】
また、水切り材D’の見切り凸条部12と塀本体Bの内側の面Bbとの間、及び、水切り材D”の見切り凸条部12と塀本体Bの外側の面Bbとの間を下地調整モルタル23を用いてそれぞれ埋めつけ調整した状態でガン吹き塗装等の仕上げ処理を施して塀Aを構成する。
【0048】
このようにして構成される塀Aにあっては、レンガC’やメジモルタル20を伝わり、あるいは、レンガC’やメジモルタル20等から滲み落ちる雨水等の液は、水切り材Dにおける垂下突条部11で下方に落とされて、塀本体Bの内外の面Bbに伝わることがない。
【0049】
また、レンガC’の下面に吹き込まれる雨水等の液も同様に水切り材Dにおける垂下突条部11によって下方に案内され、塀本体Bの内外の面Bbに伝わることがない。
【0050】
更に、水切り材Dにおける長尺板状部10の下面に吹き付けられる雨水等の液は、前記見切り凸条部12によって下方に落とされ、塀本体Bの内外の面Bbに伝わることがない。
【0051】
なお、前記水切り材Dは、塀本体Bが平面視において直角に屈曲し、あるいは、平面視において外側に張り出すように湾曲し、あるいは、内側に凹むように湾曲した構成の塀Aにあっても効果的に添装させることができ、前記図1〜図5における塀Aと同様の効果をもたらすことができる。
【0052】
図6にかかる塀Aにあっては、塀本体Bが平面視においてほぼ直角に屈曲しており、この平面視において直角に屈曲している塀本体Bの上面Baにおける両側の各長手縁毎に前記水切り材D’、D”を沿わせるようになすと共に、これをコンクリート釘24’を用いて塀本体Bに止着してレンガC’の乗せ置き面を構成する。
【0053】
かかる塀本体Bにおける各隅部における水切り材Dの処理は、塀本体Bの屈曲外側、いわゆる出隅側に備えられる水切り材D”にあっては、該水切り材D”における垂下突条部11を頂点にして該垂下突条部11縁から45度の角度分を残すように、長尺板状部10を該垂下突条部11を直角の頂点とする二等辺三角形状にカットして、この各カット面を接合することによって、いわゆる留接ぎ15としてある。
【0054】
また、この塀本体Bにおける隅部における水切り材D’は、塀本体Bの屈曲内側にあっては、挟み込み板状部10aの長手縁を直角の頂点にして、垂下突条部11縁を底辺とする両隅角が45度の二等辺三角形状にカットすることによって、当該カット部を接合することで、いわゆる留接ぎ15として構成することができる。
【0055】
かかる留継ぎ13にあっては、各水切り材D’、D”における垂下突条部11におけるカット縁が密に接合されて、当該留接ぎ15縁から雨水等の液漏れをもたらす不具合がなく、外観体裁の良好な塀Aを構成することができる。
【0056】
また、図8に示されるように塀本体Bが平面視において湾曲している場合、この湾曲している塀本体Bにおける上面Baにおける両側の各長手縁にそれぞれの水切り材D’、D”が都合良く密着しながら添装して備え得るように、この各水切り材D’、D”に必要な向きに対する撓み性をもたらすように構成する。例えば、ここで用いられる水切り材Dを、必要かつ十分な可撓性を備えるプラスチック材によって構成する。
【0057】
かかる塀本体Bにおける湾曲外側に備え付けられる水切り材D”にあっては、該水切り材D”における垂下突条部11に沿う長手縁を湾曲基線となるように挟み込み板状部10aを構成する孔13における孔縁枠部10a’を、当該湾曲の度合い、すなわち、水切り材D”を湾曲した際に当該各孔縁枠部10a’が突き当たって湾曲の妨げとならない範囲で、当該孔縁枠部10a’をカット14する(図7の上側に示される水切り材D”を参照。)。また、湾曲内側に備え付けられる水切り材D’にあっては、該水切り材D’における垂下突条部11に沿う長手縁を湾曲基線として湾曲し得るように挟み込み板状部10aの孔縁枠部10a’を、当該湾曲の度合いに応じて開きだし得るようにカット目14を付与しておき(図7の下側に示される水切り材D’を参照。)、当該カット目14が湾曲使用に伴って図8に示されるように開き出しうる構成としてある。
【0058】
なお、かかる留接ぎ15にあっても、湾曲接合にあっても、各水切り材Dをコンクリート釘24’等の止着手段24によって塀本体Bに確実に止めつけて、モルタル22の盛り込み、レンガC’の組み付け、敷き並べをなすようにしてある。
【0059】
かかる屈曲部においても、また湾曲部においても、前記真っ直ぐに構成される塀Aと同様に塀本体B上に備えられるレンガC’製の笠木Cから、雨水の垂れ落ち、雨水の滲み垂れ落ち等による塀Aにおける壁面Aaの汚損、例えば、滲みだし、黴出し、変色等を生ずることがない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】門柱に連続して備えられる典型的な塀を示す斜視図
【図2】同要部正面図
【図3】同要部断面図
【図4】同要部拡大断面図
【図5】同水切り材の斜視図
【図6】同水切り材の他の使用例を示す平面図
【図7】同水切り材の他の適用例を示す平面図
【図8】同水切り材の使用例を示す平面図
【符号の説明】
【0061】
A 塀
B 塀本体
Ba 上面
Bb 内外の面
C 笠木
Ca 下面
C’ レンガ
D 水切り材
10 長尺板状部
10a 挟み込み板状部
10b 延出添装板状部
11 垂下突条部
12 見切り凸条部
13 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塀本体と、この塀本体上に備えられるレンガ製の笠木と、この笠木と塀本体と間に備えられるプラスチック製の水切り材とを備える塀であって、
この水切り材が、長尺板状部と、この長尺板状部の一方の長手縁に沿って当該長尺板状部から垂れ下げ状態に設けられている垂下突条部とを備えており、
この垂下突条部を前記塀本体に平行に、かつ、前記長尺板状部における垂下突条部を有しない長手縁に沿った板状部を前記塀本体と笠木との間に挟み入れるように該長尺板状部を笠木の下面に添わせてあることを特徴とする塀。
【請求項2】
前記水切り材が、前記塀本体に沿う見切り凸条を前記長尺板状部の下面から下方に突き出すように備えていることを特徴とする請求項1に記載の塀。
【請求項3】
前記長尺板状部における塀本体と笠木との間に挟み入れられる板状部の長手方向に細長い孔を止めつけ板状部を介して連続して備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の塀。
【請求項4】
前記塀本体の内側と外側とに備えられる水切り材の一方水切り材が、垂下突条部側を屈曲外側にして留接ぎしてあると共に、他方水切り材が、垂下突条部側を屈曲内側にして留接ぎしてあることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の塀。
【請求項5】
前記塀本体の内側と外側とに備えられる水切り材が、長尺板状部における孔に沿っている板状部を当該孔が外部に連通するようにカットされて、湾曲する塀本体に沿って備えさせてあることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の塀。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−13968(P2008−13968A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184440(P2006−184440)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【出願人】(391024696)住友林業緑化株式会社 (39)
【Fターム(参考)】