説明

塗布装置

【課題】単一の塗布ガンで2種類の異なる塗布作業を行うことができ、効率的且つ経済的な塗布作業を遂行することを可能にする。
【解決手段】塗布装置10は、単一の塗布ガン16を備える。塗布ガン16には、第1塗布材噴出口40、前記第1塗布材噴出口40に連通する第1塗布材通路38、第2塗布材噴出口50及び前記第2塗布材噴出口50に連通する第2塗布材通路46が設けられる。塗布ガン16には、第1塗布材噴出口40に第1塗布材を供給する第1塗布材供給機構18と、第2塗布材噴出口50に第2塗布材を供給する第2塗布材供給機構20とが設けられるとともに、前記第1塗布材供給機構18及び前記第2塗布材供給機構20が選択的に駆動されることにより、前記第1塗布材による塗布作業と、前記第2塗布材による塗布作業とが個別に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる2種類の塗布材を単一の塗布ガンにより塗布するための塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の内装材(インストルメントパネル)の表皮及びハンドルやレバー類の表皮を構成する表皮材を成形する際、種々の塗布作業が行われている。具体的に、表皮材の製作工程では、この表皮材を所望の形状に成形する成形型に離型剤を塗布する離型剤塗布作業と、前記表皮材に所望の表皮色の塗料を塗布する塗料塗布作業とが、繰り返し行われている。
【0003】
この場合、通常、離型剤用塗布ガンと塗料用塗布ガンとを個別に用意しておき、塗布装置(塗布ロボット)に、先ず、前記離型剤用塗布ガンを取り付けて成形型に離型剤の塗布作業が行われている。次いで、塗布装置に対して離型剤用塗布ガンと塗料用塗布ガンとの交換が行われた後、前記塗料用塗布ガンを用いて所望の表皮色の塗料を表皮材に塗布する作業が行われている。
【0004】
上記のように、塗布装置では、離型剤の塗布作業と塗料の塗布作業とに対応してそれぞれ専用の塗布ガンを用意し、各塗布作業毎に前記塗布ガンを交換する作業を行う必要がある。
【0005】
しかしながら、各塗布ガンを交換するために交換設備が必要になり、設備費が高騰するという問題がある。しかも、各塗装ガン毎に及び各成形型毎に塗布作業の軌跡を入力しなければならず、ティーチング作業が煩雑化するとともに、塗布作業全体の効率化が図れないという問題がある。
【0006】
そこで、例えば、特許文献1に開示されている多成分スプレーガンが知られている。このスプレーガンは、図9に示すように、空気ノズル1と流体ノズル装置2とを備えており、前記空気ノズル1は、パターン形成空気オリフィス3a及び環状空気オリフィス3bを備え、これらが通路4に連通している。
【0007】
流体ノズル装置2は、ニードル5を介して中央部にオリフィス6aが形成され、このオリフィス6aの周囲には、環状オリフィス6bが形成されている。オリフィス6aは、ニードル5が後退位置に配置される際に、ポート7を介して入口8aに連通している。環状オリフィス6bは、ニードル5が後退位置に配置される際、このニードル5の外周から通路9を介して入口8bに連通している。
【0008】
各入口8a、8bにそれぞれ異なる成分が導入された状態で、ニードル5が前進位置に配置される際には、各成分はオリフィス6a及び環状オリフィス6bに供給されることがない。一方、ニードル5が後退位置に配置される際には、各成分はそれぞれオリフィス6a及び環状オリフィス6bに供給されて、外部に同時に噴出されている。
【0009】
【特許文献1】特開昭58−263号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、特許文献1では、2つの入口8a、8bを備え、前記入口8a、8bにそれぞれ異なる成分を供給するとともに、ニードル5が後退することにより、各成分がオリフィス6a及び環状オリフィス6bから同時に噴射されて噴霧化され、前記成分の混合が行われている。従って、特許文献1は、単一の塗布作業にのみ使用されるものであり、異なる塗布作業に際しては、専用のスプレーガンを用意しなければならない。これにより、効率的な塗布作業が遂行されないという問題がある。
【0011】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、単一の塗布ガンで2種類の異なる塗布作業を行うことができ、効率的且つ経済的な塗布作業を遂行することが可能な塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1塗布材噴出口、前記第1塗布材噴出口に連通する第1塗布材通路、第2塗布材噴出口及び前記第2塗布材噴出口に連通する第2塗布材通路が設けられる単一の塗布ガンと、第1塗布材供給源から前記第1塗布材通路を介して前記第1塗布材噴出口に第1塗布材を供給する第1塗布材供給機構と、第2塗布材供給源から前記第2塗布材通路を介して前記第2塗布材噴出口に第2塗布材を供給する第2塗布材供給機構と、前記第1塗布材による塗布作業と前記第2塗布材による塗布作業とを個別に行うために、前記第1塗布材供給機構及び前記第2塗布材供給機構を選択的に駆動可能な制御部とを備える塗布装置に関するものである。
【0013】
また、第1塗布材噴出口は、塗布ガンの中央部に設けられるとともに、第2塗布材噴出口は、前記第1塗布材噴出口を周回して設けられ、前記塗布ガンは、前記第2塗布材噴出口の周囲に設けられ、前記第1塗布材噴出口から噴出される第1塗布材及び前記第2塗布材噴出口から噴出される第2塗布材を霧化する霧化用空気噴出口と、前記霧化用空気噴出口の周囲に設けられ、霧化される前記第1塗布材及び前記第2塗布材の塗布パターンを成形する成形用空気噴出口とを備えることが好ましい。
【0014】
さらに、成形用空気噴出口は、霧化用空気噴出口を周回する複数の第1成形用空気噴出口と、前記第1成形用空気噴出口を周回する複数の第2成形用空気噴出口とを有することが好ましい。
【0015】
さらにまた、第1成形用空気噴出口から噴出される空気の流速を、霧化用空気噴出口から噴出される空気の流速よりも速く制御することが可能な制御部を備えることが好ましい。
【0016】
また、第1成形用空気噴出口が配置される第1仮想円と、第2成形用空気噴出口が配置される第2仮想円とは、同心円を構成するとともに、前記第1成形用空気噴出口と前記第2成形用空気噴出口とは、互いに対角位置に対応して設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、単一の塗布ガンを使用して、第1塗布材による塗布作業と第2塗布材による塗布作業とを個別に行うことができる。従って、各塗布作業毎に塗布ガンを交換する必要がなく、塗布ガン交換設備を不要にすることが可能になる。
【0018】
これにより、設備費の削減を図るとともに、塗布ガン交換作業にかかっていた時間が削減される。しかも、各塗布作業毎にティーチング(塗布位置入力)作業を行う必要がない。このため、簡単な制御で、塗布作業全体が効率的且つ迅速に遂行される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る塗布装置10の概略構成説明図である。なお、塗布装置10は、例えば、自動車の内装材の他、ハンドルやレバー類の表皮成形に使用されるものであるが、これに限定されるものではない。例えば、食品のカラーリングやコーティング剤及び防腐剤の塗布、建築材のカラーリングや接着剤の塗布等に用いてもよい。
【0020】
塗布装置10は、塗布ロボット12を備え、この塗布ロボット12の手首部14の先端には、単一の塗布ガン16が装着される。塗布ガン16には、例えば、離型剤、塗料、接着剤又は香料等の第1塗布材を供給するための第1塗布材供給機構18と、例えば、離型剤、塗料、接着剤又は香料等の第2塗布材を供給する第2塗布材供給機構20とが設けられる。第1塗布材供給機構18及び第2塗布材供給機構20は、制御部21を介して選択的に駆動可能である。
【0021】
図2に示すように、塗布ガン16は、塗布材供給部を構成する本体部22と、空気供給部24と、ナット部材26を介して前記空気供給部24に固定される空気ノズル部28とを備える。
【0022】
本体部22には、第1塗布材用の第1ポート30と、第2塗布材用の第2ポート32とが形成される。本体部22の中央部には、締結部材34を介して内管36が装着されており、この内管36は、空気ノズル部28の先端側で開口する。内管36内には、第1ポート30に連通する第1塗布材通路38が形成されるとともに、この第1塗布材通路38の先端側には、第1塗布材を外部に噴出するための第1塗布材噴出口40が連通する。
【0023】
本体部22には、内管36を囲繞して締結部材42を介し外管44が装着される。外管44と内管36との間には、第2塗布材通路46が形成される。この第2塗布材通路46の一端は、開口部48を介して第2ポート32に連通するとともに、前記第2塗布材通路46の他端は、第2塗布材噴出口50に連通する。
【0024】
空気供給部24には、霧化用の第1エアポート52と、パターン成形用の第2エアポート54とが形成される。第1エアポート52は、外管44の外周に設けられる開口部56、空気供給部24の壁部に形成される複数の孔部58及び空気ノズル部28と前記外管44との間に形成される開口部60を介して霧化用空気噴出口62に連通する。霧化用空気噴出口62は、第2塗布材噴出口50の周囲に設けられ、第1塗布材噴出口40から噴出される第1塗布材及び前記第2塗布材噴出口50から噴出される第2塗布材を霧化する機能を有している。
【0025】
第2エアポート54は、エア通路64から空気ノズル部28の周回開口部66を介して成形用空気噴出口68に連通する。成形用空気噴出口68は、複数、例えば、2ヶ所に設けられており、塗布ガン16の中心線上に向かって所定の角度だけ傾斜している。
【0026】
図1に示すように、第1塗布材供給機構18は、それぞれ所望の第1塗布材を選択的に供給するための切替弁70a、70bと、洗浄液を供給するための洗浄弁72とを備える。各切替弁70a、70bは、管路74a、74bを介して図示しない第1塗布材供給源に連通する。切替弁70a、70b及び洗浄弁72は、管路76を介して第1ポート30に接続されるとともに、前記管路76には、第1ギアポンプ78が配設される。
【0027】
第2塗布材供給機構20は、それぞれ所望の第2塗布材を切替供給可能な切替弁80a、80bと、洗浄弁82とを備える。切替弁80a、80bは、管路84a、84bを介して図示しない第2塗布材供給源に連通する。切替弁80a、80b及び洗浄弁82と塗布ガン16の第2ポート32とは、管路86を介して接続されるとともに、前記管路86には、第2ギアポンプ88が配置される。
【0028】
塗布ガン16には、第1ポート30に連通する第1ドレーン管路90aと、第2ポート32に連通する第2ドレーン管路90bとが接続される。
【0029】
このように構成される塗布装置10の動作について以下に説明する。
【0030】
例えば、第1塗布材として離型剤を塗布するとともに、第2塗布材として所定の表皮色の塗料を塗布する場合、先ず、図3に示すように、自動車用インストルメントパネル等の表皮材成形用の成形型94が配置されている。そこで、塗布装置10を構成する塗布ロボット12は、予め教示されたティーチングデータに基づいて、塗布ガン16を成形型94の成形面形状に沿って移動させながら、第1塗布材である離型剤96の塗布を行う。
【0031】
具体的には、図1に示すように、第1塗布材供給機構18では、例えば、切替弁70aの切替作用下に、管路76を介して離型剤96が供給可能であり、前記管路76に配置されている第1ギアポンプ78が駆動制御される。このため、管路76から塗布ガン16の第1ポート30には、所定量の離型剤96が供給される。
【0032】
図2に示すように、第1ポート30に供給された離型剤96は、内管36内に形成される第1塗布材通路38を通って、第1塗布材噴出口40から成形型94の成形面に向かって噴出される。その際、第1エアポート52に供給される霧化用空気は、開口部56及び孔部58を介して開口部60に導入され、外管44の周囲に形成されている霧化用空気噴出口62から前方に噴出される。従って、第1塗布材噴出口40から噴出された離型剤96は霧化される。
【0033】
一方、第2エアポート54からエア通路64を介して、周回開口部66にパターン成形用空気が供給されている。このため、周回開口部66に連通する成形用空気噴出口68から噴出される成形用空気を介し、霧状の離型剤96が所定の塗布パターンに成形されて、成形型94に吹き付けられる。これにより、成形型94に対する離型剤96の塗布作業が遂行される。
【0034】
離型剤96の塗布作業が行われた成形型94では、図4に示すように、表皮材98の成形が行われた後、塗布ガン16を介してこの表皮材98に所望の表皮色の塗料100が塗布される。
【0035】
具体的には、図1に示すように、第1ギアポンプ78の駆動が停止された状態で、第2ギアポンプ88が駆動制御される。管路86には、例えば、切替弁80aを介して所定の表皮色の塗料100が供給されており、第2ギアポンプ88が駆動制御されることによって、塗布ガン16の第2ポート32には、前記塗料100が所定量だけ供給される。
【0036】
第2ポート32に供給された塗料100は、図2に示すように、開口部48から第2塗布材通路46を通り、第2塗布材噴出口50から表皮材98に向かって噴出される(図4参照)。その際、塗料100は、霧化用空気噴出口62から噴出される空気により霧化されるとともに、成形用空気噴出口68から噴出される空気によって、所定の塗布パターンに成形され、表皮材98に吹き付けられる。これにより、表皮材98の塗料塗布作業が遂行される。
【0037】
この場合、第1の実施形態では、単一の塗布ガン16を使用して離型剤96(第1塗布材)による離型剤塗布作業と、塗料100(第2塗布材)による塗料塗布作業とを個別に行うことができる。従って、従来のように、離型剤塗布作業と塗料塗布作業とに応じてそれぞれ専用の塗布ガンを交換する必要がなく、塗布ガン交換設備を不要にすることが可能になる。
【0038】
これにより、設備費の削減を図るとともに、塗布ガン交換作業にかかっていた時間が削減される。しかも、成形型94に対して塗布ガン16によるティーチング作業を一度行うだけでよい。このため、離型剤塗布作業及び塗料塗布作業に対応して、それぞれの塗布ガンでティーチングする必要がなく、ティーチング作業の簡素化が図られる。従って、制御部21による簡単な制御で、種々の異なる塗布作業全体が効率的且つ迅速に遂行されるという効果が得られる。
【0039】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る塗布装置110を構成する塗布ガン112の概略断面説明図である。なお、第1の実施形態に係る塗布装置10と同一の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0040】
塗布ガン112を構成する空気ノズル部28には、霧化用空気噴出口62を周回する複数の第1成形用空気噴出口114と、前記第1成形用空気噴出口114を周回する複数の第2成形用空気噴出口116(成形用空気噴出口68に対応する)とが形成される。
【0041】
第2成形用空気噴出口116は、例えば、2ヶ所に設けられる。第1成形用空気噴出口114は、第1塗布材噴出口40から噴出される第1塗布材の成形パターン、及び第2塗布材噴出口50から噴出される第2塗布材の成形パターンが所望の形状、例えば、円形状に正確に形成されるように、配置位置及び配置個数が設定される。
【0042】
すなわち、通常、種々の被塗布物に対して塗布作業が行われており、例えば、被塗布物の塗布形状によっては、複数の第2成形用空気噴出口116から噴出される成形用空気を介して成形される複数の成形パターン同士が互いに重なり合わない領域が存在する場合がある。このため、塗布面が部分的に肉厚又は肉薄になるおそれがある。
【0043】
そこで、第2の実施形態では、この種の被塗布物に良好な塗布処理を施すために、第1成形用空気噴出口114を、塗布ガン112の前方直進方向に複数設けている。これにより、第2成形用空気噴出口116から噴出される成形用空気によって成形される塗布パターンが、第1成形用空気噴出口114から噴出される成形用空気によってより前方に押し出されるため、所望の形状、例えば、円形状に確実に成形され、塗布作業が高品質に遂行されるという効果が得られる。
【0044】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る塗布装置120を構成する塗布ガン122の概略断面説明図である。
【0045】
塗布ガン122を構成する空気ノズル部28は、第2の実施形態と同様に、それぞれ複数の第1成形用空気噴出口114及び第2成形用空気噴出口116を設ける。空気供給部24は、第1エアポート52、第2エアポート54及び第3エアポート124を有する。第1エアポート52は、霧化用空気噴出口62にのみ連通する。第3エアポート124は、通路126を介して開口部128に連通するとともに、この開口部128は、第1成形用空気噴出口114に連通する。
【0046】
図7に示すように、塗布ガン122の中心に対して第1成形用空気噴出口114が配置される第1仮想円130と、第2成形用空気噴出口116が配置される第2仮想円132とは、同心円を構成するとともに、前記第1成形用空気噴出口114と前記第2成形用空気噴出口116とは、互いに対角位置に対応して設けられる。
【0047】
ここで、第2成形用空気噴出口116は、第2仮想円132上に等角度間隔ずつ離間して3個設けられる一方、第1成形用空気噴出口114は、第1仮想円130上に3個を1ユニットとして等角度間隔ずつ離間して3個所に設けられる。
【0048】
図8に示すように、塗布装置120は、第1エアポート52、第2エアポート54及び第3エアポート124に接続される第1流量制御器134、第2流量制御器136及び第3流量制御器138を備える。第1エアポート52、第2エアポート54及び第3エアポート124と第1流量制御器134、第2流量制御器136及び第3流量制御器138との間には、エアポンプ140a、140b及び140cが介装される。
【0049】
第1流量制御器134、第2流量制御器136及び第3流量制御器138は、制御部142に接続されている。制御部142は、塗布装置120全体の駆動制御を行うとともに、第1成形用空気噴出口114から噴出される空気の流速を、霧化用空気噴出口62から噴出される空気の流速よりも速く制御する機能も有する。制御部142には、第1塗布材及び第2塗布材の組み合わせに則した空気の流速データが格納されており、前記第1塗布材及び前記第2塗布材に最適な空気の流速が設定可能である。
【0050】
このように構成される第3の実施形態では、第1エアポート52に供給される空気は、霧化用空気噴出口62から噴出されて第1塗布材又は第2塗布材を霧化する一方、第3エアポート124に供給された空気は、通路126及び開口部128を通って複数の第1成形用空気噴出口114から前方に噴出される。
【0051】
このため、霧化された第1塗布材又は第2塗布材の直進性を向上させることができるとともに、第2成形用空気噴出口116から噴き出される空気と共働して所望の塗布パターンに確実に成形することが可能になる。
【0052】
特に、第3の実施形態では、第1成形用空気噴出口114から噴出される空気の流速は、霧化用空気噴出口62から噴出される空気の流速よりも速く設定することができる。これにより、第1成形用空気噴出口114から噴出される空気によるシールド効果が向上し、前記第1成形用空気噴出口114から噴出される空気流の外部に、霧化された第1塗布材又は第2塗布材が流出することを確実に阻止することが可能になるという効果が得られる。
【0053】
しかも、第1成形用空気噴出口114が配置される第1仮想円130と、第2成形用空気噴出口116が配置される第2仮想円132とは、同心円を構成するとともに、前記第1成形用空気噴出口114と前記第2成形用空気噴出口116とは、互いに対角位置に対応して設けられている。従って、第2成形用空気噴出口116と対角位置に対応して設けられている第1成形用空気噴出口114から噴出される空気によるシールド機能により、シールド効果が一層向上するという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る塗布装置の概略構成説明図である。
【図2】前記塗布装置を構成する塗布ガンの概略断面説明図である。
【図3】前記塗布装置により離型剤を塗布する際の動作説明図である。
【図4】前記塗布装置により塗料を塗布する際の動作説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る塗布装置を構成する塗布ガンの概略断面説明図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る塗布装置を構成する塗布ガンの概略断面説明図である。
【図7】前記塗布ガンの正面説明図である。
【図8】前記塗布装置の空気供給構造の説明図である。
【図9】特許文献1に開示されているスプレーガンの断面説明図である。
【符号の説明】
【0055】
10…塗布装置 12…塗布ロボット
16…塗布ガン 18、20…塗布材供給機構
21、142…制御部 22…本体部
24…空気供給部 28…空気ノズル部
30、32…ポート 36…内管
38、46…塗布材通路 40、50…塗布材噴出口
44…外管 52、54、124…エアポート
62…霧化用空気噴出口 68、114、116…成形用空気噴出口
78、88…ギアポンプ 96…離型剤
100…塗料 110、120…塗布装置
112、122…塗布ガン 130、132…仮想円
134〜138…流量制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1塗布材噴出口、前記第1塗布材噴出口に連通する第1塗布材通路、第2塗布材噴出口及び前記第2塗布材噴出口に連通する第2塗布材通路が設けられる単一の塗布ガンと、
第1塗布材供給源から前記第1塗布材通路を介して前記第1塗布材噴出口に第1塗布材を供給する第1塗布材供給機構と、
第2塗布材供給源から前記第2塗布材通路を介して前記第2塗布材噴出口に第2塗布材を供給する第2塗布材供給機構と、
前記第1塗布材による塗布作業と前記第2塗布材による塗布作業とを個別に行うために、前記第1塗布材供給機構及び前記第2塗布材供給機構を選択的に駆動可能な制御部と、
を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
請求項1記載の塗布装置において、前記第1塗布材噴出口は、前記塗布ガンの中央部に設けられるとともに、前記第2塗布材噴出口は、前記第1塗布材噴出口を周回して設けられ、
前記塗布ガンは、前記第2塗布材噴出口の周囲に設けられ、前記第1塗布材噴出口から噴出される前記第1塗布材及び前記第2塗布材噴出口から噴出される前記第2塗布材を霧化する霧化用空気噴出口と、
前記霧化用空気噴出口の周囲に設けられ、霧化される前記第1塗布材及び前記第2塗布材の塗布パターンを成形する成形用空気噴出口と、
を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項3】
請求項2記載の塗布装置において、前記成形用空気噴出口は、前記霧化用空気噴出口を周回する複数の第1成形用空気噴出口と、
前記第1成形用空気噴出口を周回する複数の第2成形用空気噴出口と、
を有することを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
請求項3記載の塗布装置において、前記第1成形用空気噴出口から噴出される空気の流速を、前記霧化用空気噴出口から噴出される空気の流速よりも速く制御することが可能な制御部を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載の塗布装置において、前記第1成形用空気噴出口が配置される第1仮想円と、前記第2成形用空気噴出口が配置される第2仮想円とは、同心円を構成するとともに、
前記第1成形用空気噴出口と前記第2成形用空気噴出口とは、互いに対角位置に対応して設けられることを特徴とする塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−126173(P2008−126173A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315830(P2006−315830)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】