説明

塗布装置

【課題】糸切りに要する時間を短縮することができる塗布装置を提供すること。
【解決手段】部品(対象物)40に対して放熱ゲル(粘性剤)50を塗布する塗布装置であって、ノズル14を有し、ノズル14の吐出口14aから部品40に対して放熱ゲル50を吐出する吐出ユニット10と、刃22aと、刃22aに超音波振動を与える駆動部21とを含む超音波カッタ20と、部品40に対して吐出され部品40とノズル14との間で繋がった状態の放熱ゲル50を刃22aが横切る方向に、超音波カッタ20を移動させる移動機構23と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に粘性剤を塗布する塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物に粘性材料を塗布する塗布装置の一例として、特許文献1に開示された粘性剤吐出制御装置があった。
【0003】
この粘性剤吐出制御装置は、部品(チップ)を基板(対象物)に半田付け実装する前に仮止めするための接着剤(粘性剤)を基板の表面の所定位置に塗布するものである。また、この粘性剤吐出制御装置は、接着剤を吐出するノズルがシリンジに設けられた吐出ユニットと、ノズル下端から吐出された接着剤を側方から撮像するカメラと、吐出ユニットをZ軸方向に下降及び上昇させるZ軸昇降機構と、ノズルの下端から吐出される接着剤の温度を調節する温度調節機構と、Z軸昇降機構又は温度調節機構を制御する制御装置とを備えている。そして、制御装置は、カメラにて撮像された基板に塗布した直後の接着剤の状態を示す画像に基づいて、接着剤の糸引状態を分離できる操作量として、吐出ユニットのZ軸方向のストローク量、吐出ユニットの上昇速度又はノズル下端から吐出される接着剤の温度を演算し、それに基づいて、Z軸昇降機構又は温度調節機構を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−354811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の粘性剤吐出制御装置は、カメラにて撮像された基板に塗布した直後の接着剤の状態を示す画像に基づいて、Z軸昇降機構又は温度調節機構を制御する必要があるため。よって、制御が複雑になり、糸引状態となっている粘性剤を分離(つまり、糸切り)するのに要する時間がかかるという問題がある。
【0006】
また、糸引状態となっている粘性剤を糸切りするためには、対象物に突起を設けておき、糸引状態となっている粘性剤を突起に巻き付けることで糸切りすることが考えられる。ところが、この場合、粘性剤を突起に巻き付ける分、糸切りに時間がかかるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、糸切りに要する時間を短縮することができる塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の塗布装置は、対象物に対して粘性剤を塗布するものであって、
ノズルを有し、ノズルの吐出口から対象物に対して粘性剤を吐出する吐出ユニットと、
刃と、刃に超音波振動を与える駆動部とを含む超音波カッタと、
対象物に対して吐出され対象物とノズルとの間で繋がった状態の粘性剤を刃が横切る方向に、超音波カッタと、対象物及び吐出ユニットとを相対的に移動させる移動装置と、を備え、
移動装置にて移動させることによって、駆動部からの超音波振動によって振動している刃を、対象物に対して吐出され対象物とノズルとの間で繋がった状態の粘性剤に対して横切らせることによって粘性剤を切断することを特徴とする。
【0009】
超音波カッタは、刃に超音波振動を与えることで、高速(例えば数万回/秒)で刃を振動させることができる。このような超音波カッタで粘性剤を切断する際(すなわち、振動している状態の刃が対象物とノズルとの間で繋がった状態の粘性剤を横切る際)には、刃に粘着剤が付着する間を与えず粘着剤を弾くことにより、刃と粘着剤間の滑り性があがることで摩擦力が小さくなる。つまり、超音波カッタは、刃が横切る方向に粘性剤を引っ張ることを抑制しつつ、粘性剤を切断することができる。
【0010】
よって、対象物とノズルとの間で繋がった状態(つまり、糸引状態)の粘性剤に対して、駆動部からの超音波振動によって振動している刃を横切らせて粘性剤を切断することで、糸引状態の粘性剤を突起に巻き付けて粘性剤を切断する場合よりも、粘性剤を切断するのに(糸切りに)要する時間を短縮することができる。つまり、本発明の塗布装置は、超音波カッタで糸引状態の粘性剤を切断するものであるため、従来技術よりも糸切りに要する時間を短縮することができる
また、具体的には、請求項2に示すように、吐出ユニットは、重力方向に粘性剤を吐出するものであり、超音波カッタの駆動部は、移動装置による移動方向及び重力方向の両方に直交する方向に刃を振動させるようにするとよい。
【0011】
また、請求項3に示すように、吐出ユニット、超音波カッタ、及び移動装置を制御するものであり、吐出ユニットに対して粘性剤の吐出及び吐出の停止を指示するとともに、吐出ユニットが粘性剤の吐出を停止した直後に、超音波カッタの駆動部に対して刃の振動を開始することを指示し、かつ、移動装置に対して移動を開始することを指示する制御装置を備え、
吐出ユニットは、制御装置からの指示に応じて粘性剤の吐出、及び吐出の停止を行い、
制御装置からの指示に応じて駆動部にて刃の振動を開始し、
移動装置は、制御装置からの指示に応じて、超音波カッタと、対象物及び吐出ユニットとを相対的に移動させるようにしてもよい。
【0012】
このようにすることによって、粘性剤を自動的に切断することができる。
【0013】
なお、粘性剤の切断位置によっては、超音波カッタの刃によって粘性剤を切断した後に、粘性剤がノズルの吐出口から出た状態で残ることがある。このような場合、ノズルの吐出口から出た状態で残っている粘性剤の量を把握するのは難しい。よって、次の対象物に粘性剤を塗布する際の塗布量を制御しにくいという問題がある。
【0014】
そこで、請求項4に示すように、超音波カッタの刃は、ノズルの吐出口の直ぐ下の位置を通って、粘性剤を横切るようにしてもよい。
【0015】
このようにすることで、超音波カッタの刃によって粘性剤を切断した後に、粘性剤がノズルの吐出口から出た状態で残ることを抑制できる。よって、次の対象物に粘性剤を塗布する際に、粘性剤がノズルの吐出口から出た状態で残っている場合よりも、粘性剤の塗布量を制御しやすくできるので好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態における塗布装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における放熱ゲルと超音波カッタの位置関係を示す図面である(図1のII線方向から見た図面)。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の実施の形態における塗布装置の塗布処理工程を示す工程別側面図である。
【図4】変形例における対象物の概略構成を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0018】
本実施形態における塗布装置は、対象物に対して粘性剤を塗布するものである。なお、本実施形態においては、粘性剤の一例として、発熱素子から発せられた熱を放熱するための放熱ゲル50を採用する。この放熱ゲル50の材料の一例としては、酸化亜鉛80%入りのシリコーン放熱グリース状ゲル(粘度:500〜1050[Pa・s](25℃))を採用することができる。また、本実施形態においては、対象物の一例として、ハウジングに発熱素子などが搭載されるものであり、ハウジングにおける発熱素子などが搭載される位置に放熱ゲル塗布用台座が設けられた部品40を採用する。つまり、部品40は、ハウジングに設けられた放熱ゲル塗布用台座に放熱ゲル50が塗布され、この放熱ゲル50上に発熱素子などが載置される。これによって、発熱素子から発せられた熱を、放熱ゲル50を介してハウジングに逃がすことができる。
【0019】
図1に示すように、塗布装置は、吐出ユニット10、超音波カッタ20などを備える。吐出ユニット10は、部品(対象物)40に対して放熱ゲル(粘性剤)50を吐出するものである。つまり、吐出ユニット10は、後ほど説明する制御装置30からの指示に応じて放熱ゲル50の吐出、及び吐出の停止を行う。この吐出ユニット10の一例として、ディスペンサ11、管12、シリンジ(換言すると容器)13、ノズル14などを備えるものを採用する。ディスペンサ11は、管12を介してシリンジ13内に空気を送りだすものである。
【0020】
シリンジ13は、供給口(図示省略)から供給された放熱ゲル50を蓄える空間を有する筒状の部材からなる。このシリンジ13の空間内には、ディスペンサ11から管12を介して供給される空気によって放熱ゲル50を直接加圧するプランジャー(図示省略、換言すると加圧部材)が設けられている。このプランジャーは、シリンジ13の内面に沿って上下(重力方向、及び重力方向の反対方向)に摺動自在とされている。
【0021】
シリンジ13内の空間は、このプランジャーによって上部屋(重力方向の反対側の部屋)と下部屋(重力方向の部屋)に区画されている。上部屋には、管12の一端が配置され、この管12から空気が供給される。一方、下部屋には、下端にノズル14が設けられるとともに、供給口から放熱ゲル50が供給される。プランジャーは、シリンジ13(上部屋)内に供給される空気により圧せられて下方(重力方向)に移動するとともに、シリンジ13(下部屋)内に供給される放熱ゲル50により圧せられて上方(重力方向の反対方向)に移動する。そして、管12を介して上部屋に空気が供給されると、プランジャーが下部屋に蓄えられた放熱ゲル50を加圧する。放熱ゲル50は、この加圧によって、ノズル14の吐出口14a(ノズル14の重力方向の端部)からシリンジ13の外部に吐出される。つまり、プランジャーが下方に移動すると、このプランジャーが放熱ゲル50を直接加圧するので、放熱ゲル50がシリンジ13下端の吐出口14aより下方に吐出される。
【0022】
なお、シリンジ13は、中心軸が重力方向に沿って配置される。また、ノズル14は、中心軸がシリンジ13の中心軸に沿って設けられている。つまり、シリンジ13及びノズル14は、地面に対して垂直に配置される。さらに、シリンジ13における下部屋の下方部位は、重力方向に行くに連れてテーパ状に縮径されている。この下方部位とは、図1に示すように、部品40上にシリンジ13が配置された状態において、部品40側の端部(ノズル14側の端部)から所定範囲の部位を示す。
【0023】
ディスペンサ11は、制御装置30からの指示に応じて放熱ゲル50の吐出、及び吐出の停止を行うために、指定された塗布条件となるように、空気を管12に送り出したり、送り出している空気を止めたりする。
【0024】
なお、本実施形態においては、吐出ユニット10として、ディスペンサ11、管12、シリンジ13、ノズル14などを備えるものを採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。ノズル14を有し、ノズル14の吐出口14aから部品40(対象物)に対して放熱ゲル50(粘性剤)を吐出できるものであれば採用することができる。
【0025】
超音波カッタ20は、刃部22(刃22a)と、刃部22(刃22a)に超音波振動を与える駆動部21とを含む。
【0026】
駆動部21は、例えばセラミックなどからなる振動子、振動子が振動することによって発生した超音波を増幅するホーン(振幅拡大器)などを含んで構成される。そして、駆動部21は、制御装置30からの指示に応じて(つまり、電圧を印加されると)、振動子が振動を始め、超音波を発生する。ホーンは、この超音波をさらに増幅し、ホーン先端に設けられた刃部22(刃22a)に超音波振動を与える。これによって、刃部22(刃22a)は、高速(例えば数万回/秒)で振動する。
【0027】
刃部22は、金属(ステンレス等)からなる平板であって、図2に示すように、放熱ゲル50(被加工物)の切断を行う先端部が斜めにカットされて刃22aが形成されている。この刃部22及び刃22aは、図2の形状に限定するものではないが、先端部(切断する部位)が薄く又は鋭利であることが望ましい。なお、刃部22は、図2に示すように、駆動部21にから超音波振動を与えられることによって、重力方向及び切断方向(移動方向)の両方に垂直な(直交する)方向(つまり、図2の両側矢印方向(紙面左右方向))に振動する。なお、吐出ユニット10は、上述のように、重力方向に放熱ゲル50を吐出する。
【0028】
さらに、超音波カッタ20は、本発明の移動装置に相当する移動機構23に固定されている。移動機構23は、制御装置30からの指示に応じて、図1では紙面に垂直な方向であり、図2では片側矢印方向(紙面下側)に超音波カッタ20(駆動部21及び刃部22)を移動させる。本発明における塗布装置は、この移動機構23にて超音波カッタ20を移動させ、駆動部21からの超音波振動によって振動している刃22aを、部品40に対して吐出され部品40とノズル14との間で繋がった状態の放熱ゲル50を横切らせることによって放熱ゲル50を切断することを特徴とするものである。
【0029】
なお、本実施形態においては、移動装置として、超音波カッタ20を移動させる移動機構23を採用するが本発明はこれに限定されるものではない。移動装置は、部品40に対して吐出され、この部品40とノズル14との間で繋がった状態の放熱ゲル50を刃22aが横切る方向に、超音波カッタ20と、部品40及び吐出ユニット10とを相対的に移動させるものであれば採用することができる。
【0030】
制御装置30は、放熱ゲル50の塗布、塗布の停止、放熱ゲル50の切断を自動で行うためのものであり、例えば、周知のコンピュータとして構成されており、内部にはCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインが設けられて構成されている。制御装置30は、吐出ユニット10、超音波カッタ20、及び移動機構23を制御するものである。例えば、吐出ユニット10に対して放熱ゲル50の吐出及び吐出の停止を指示するとともに、吐出ユニット10が放熱ゲル50の吐出を停止した直後に、超音波カッタ20の駆動部21に対して刃部22(刃22a)の振動を開始することを指示し、かつ、移動機構23に対して超音波カッタ20の移動を開始することを指示する。このようにすることによって、放熱ゲル50を自動的に切断することができる。なお、超音波カッタ20の駆動部21に対して刃部22(刃22a)の振動を開始することを指示するのは、吐出ユニット10が放熱ゲル50の吐出を停止した直後でなくてもよいが、放熱ゲル50の塗布から切断までの時間を短縮させるためには直後が望ましい。また、本実施の形態においては、後ほど説明するが、シリンジ13と部品40とを相対的に移動させてノズル14を塗布領域41から遠ざけた後に、超音波カッタ20の駆動部21に対して刃部22(刃22a)の振動を開始することを指示する例を採用している。
【0031】
なお、部品(対象物)40は、作業台60に載置された状態で放熱ゲル50が塗布される。なお、この作業台60は、地面に対して平行な載置面を有するものである。よって、部品40は、作業台60の載置面に載置される。また、放熱ゲル50は、部品40の塗布領域41に塗布される。本実施形態においては、塗布領域41は、部品40における発熱素子が載置される領域であり、放熱ゲル塗布用台座を採用する。
【0032】
ここで、図3(a)〜(d)に基づいて、本発明の塗布装置による塗布工程に関して説明する。なお、ここでは、ディスペンサ11、制御装置30、作業台60などは図示を省略している。
【0033】
まず、図3(a)に示すように、部品40と吐出ユニット10とをセットする。つまり、作業台60に載置された部品40(塗布領域41)の上方にノズル14が来るようにセットする。換言すると、ノズル14は、作業台60に載置された部品40(塗布領域41)に対する垂直方向に沿って配置される。さらに、ノズル14は、吐出口14aが、作業台60に載置された部品40(塗布領域41)に対向するように配置される。
【0034】
なお、放熱ゲル50を塗布領域41に塗布する際には、放熱ゲル50の塗布量を制御しやすくするために、ノズル14を塗布領域41に近づけておくと好ましい。よって、シリンジ13と部品40とを、地面に垂直な方向に相対的に移動させる機構(図示省略)を備えると好ましい。例えば、作業台60の載置面に載置された部品40を地面に対して垂直な方向に移動(昇降)させる機構を作業台60に設けるようにしてもよい。また、シリンジ13を地面に対して垂直な方向に移動(昇降)させる機構を設けるようにしてもよい。
【0035】
次に、図3(b)に示すように、ノズル14を塗布領域41に近づけた状態で、ノズル14の吐出口14aから放熱ゲル50を吐出することで、部品40の塗布領域41に放熱ゲル50を塗布する。つまり、吐出ユニット10は、制御装置30からの指示に応じて、ノズル14の吐出口14aから放熱ゲル50を吐出する。
【0036】
次に、図3(c)に示すように、シリンジ13と部品40とを相対的に移動させて、ノズル14を塗布領域41から遠ざける。このとき、放熱ゲル50は、粘性剤であるため、図3(c)に示すように糸引き状態となる。つまり、放熱ゲル50は、部品40に対して吐出され、部品40とノズル14との間で繋がった状態となる。
【0037】
そして、図3(d)に示すように、超音波カッタ20の駆動部21は、制御装置30からの指示に応じて超音波を発生させて、この超音波をさらに増幅し、刃部22(刃22a)に超音波振動を与える。これによって、刃部22(刃22a)は、高速(例えば数万回/秒)で振動する。さらに、移動機構23は、制御装置30からの指示に応じて、図3では紙面に垂直な方向に、刃部22(刃22a)が高速で振動している状態の超音波カッタ20を移動させる。このようにして、移動機構23にて超音波カッタ20を移動させ、駆動部21からの超音波振動によって振動している刃部22(刃22a)を、部品40に対して吐出され部品40とノズル14との間で繋がった状態の放熱ゲル50を横切らせる。
【0038】
このように、超音波カッタ20は、刃22aに超音波振動を与えることで、高速(例えば数万回/秒)で刃22aを振動させることができる。このような超音波カッタ20で放熱ゲル50を切断する際(すなわち、振動している状態の刃22aが部品40とノズル14との間で繋がった状態の放熱ゲル50を横切る際)には、刃22aに放熱ゲル50が付着する間を与えず放熱ゲル50を弾くことにより、刃22aと放熱ゲル50間の滑り性があがることで摩擦力が小さくなる。つまり、超音波カッタ20は、刃22aが横切る方向に放熱ゲル50を引っ張ることを抑制しつつ、放熱ゲル50を切断することができる。
【0039】
よって、部品40とノズル14との間で繋がった状態(つまり、糸引状態)の放熱ゲル50に対して、駆動部21からの超音波振動によって振動している刃22aを横切らせて放熱ゲル50を切断することで、糸引状態の放熱ゲル50を突起に巻き付けて放熱ゲル50を切断する場合などよりも、放熱ゲル50を切断するのに(糸切りに)要する時間を短縮することができる。
【0040】
また、刃22aの高速振動により刃22aに放熱ゲル50が付着しづらいため、刃22aの高寿命が見込める。よって、刃22aの交換頻度を減らすことができるので好ましい。
【0041】
なお、放熱ゲル50の切断位置によっては、超音波カッタ20の刃22aによって放熱ゲル50を切断した後に、放熱ゲル50がノズル14の吐出口14aから出た状態で残ることがある。このような場合、ノズル14の吐出口14aから出た状態で残っている放熱ゲル50の量を把握するのは難しい。よって、次の部品40に放熱ゲル50を塗布する際の塗布量を制御しにくいという問題がある。
【0042】
そこで、図3(d)などに示すように、超音波カッタ20の刃22aは、ノズル14の吐出口14aの直ぐ下の位置を通って、放熱ゲル50を横切るようにしてもよい。つまり、超音波カッタ20の刃22aは、ノズル14の吐出口14aと塗布領域41との間において、ノズル14の吐出口14aの直ぐ下の位置を通るようにしてもよい。換言すると、超音波カッタ20の刃22aは、ノズル14の吐出口14aに接触しない程度に、吐出口14aに近い位置を通って、放熱ゲル50を横切るようにしてもよい。よって、放熱ゲル50を切断する位置は、ノズル14の吐出口14aに近ければ近いほうが好ましい。
【0043】
このようにすることで、超音波カッタ20の刃22aによって放熱ゲル50を切断した後に、放熱ゲル50がノズル14の吐出口14aから出た状態で残ることを抑制できる。よって、次の部品40に放熱ゲル50を塗布する際に、放熱ゲル50がノズル14の吐出口14aから出た状態で残っている場合よりも、放熱ゲル50の塗布量を制御しやすくできるので好ましい。
【0044】
なお、図4に示すように、放熱ゲル50を塗布する対象物において、塗布領域が分割されて複数個所(ここでは、塗布領域41a,41b,41cの3箇所)にある場合は、複数の塗布領域41a,41b,41cに放熱ゲル50を塗布した後に、放熱ゲル50を切断すると好ましい。つまり、例えば、塗布領域41a,塗布領域41b,塗布領域41cの順番に放熱ゲル50を塗布する場合、塗布領域41aに放熱ゲル50を塗布した後、放熱ゲル50を超音波カッタ20で切断することなく、ノズル14を塗布領域41b上に移動させる。そして、塗布領域41bに放熱ゲル50を塗布した後、放熱ゲル50を超音波カッタ20で切断することなく、ノズル14を塗布領域41c上に移動させる。そして、塗布領域41cに放熱ゲル50を塗布した後、放熱ゲル50を超音波カッタ20で切断する。このようにすることによって、塗布領域が分割されて複数個所にある場合に、放熱ゲル50を切断する工程を数回分省略することができるので、放熱ゲル50の吐出を開始してから、放熱ゲル50を切断するまでの要する時間を短縮することができる。
【0045】
なお、図4は、対象物をノズル14側見た平面図である。また、図4において、符号11を付与している点線の○印は、放熱ゲル50を塗布する際にノズル14が配置される位置である。
【0046】
なお、本実施形態においては、対象物としてハウジングに発熱素子などが搭載されるものであり、ハウジングにおける発熱素子などが搭載される位置に放熱ゲル塗布用台座が設けられた部品40を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。対象物は、粘性剤が塗布されるものであれば採用することができる。また、粘性剤として、放熱ゲルを採用したが本発明はこれに限定されるものではない。粘性剤は、その他にも、接着剤などを採用することができる。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 吐出ユニット、11 ディスペンサ、12 管、13 シリンジ、14 ノズル、14a 吐出口、20 超音波カッタ、21 駆動部、22 刃部、22a 刃、23 移動機構、30 制御装置、40 部品(対象物)、41 塗布領域、50 放熱ゲル(粘性剤)、60 作業台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対して粘性剤を塗布する塗布装置であって、
ノズルを有し、ノズルの吐出口から前記対象物に対して前記粘性剤を吐出する吐出ユニットと、
刃と、当該刃に超音波振動を与える駆動部とを含む超音波カッタと、
前記対象物に対して吐出され当該対象物と前記ノズルとの間で繋がった状態の前記粘性剤を前記刃が横切る方向に、前記超音波カッタと、前記対象物及び前記吐出ユニットとを相対的に移動させる移動装置と、を備え、
前記移動装置にて移動させることによって、前記駆動部からの超音波振動によって振動している前記刃を、前記対象物に対して吐出され当該対象物と前記ノズルとの間で繋がった状態の前記粘性剤に対して、横切らせることによって前記粘性剤を切断することを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記吐出ユニットは、重力方向に前記粘性剤を吐出するものであり、
前記超音波カッタの駆動部は、前記移動装置による移動方向及び重力方向の両方に直交する方向に前記刃を振動させることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記吐出ユニット、前記超音波カッタ、及び前記移動装置を制御するものであり、前記吐出ユニットに対して前記粘性剤の吐出及び吐出の停止を指示するとともに、前記吐出ユニットが前記粘性剤の吐出を停止した直後に、前記超音波カッタの前記駆動部に対して前記刃の振動を開始することを指示し、かつ、前記移動装置に対して移動を開始することを指示する制御装置を備え、
前記吐出ユニットは、前記制御装置からの指示に応じて前記粘性剤の吐出、及び吐出の停止を行い、
前記超音波カッタは、前記制御装置からの指示に応じて前記駆動部にて前記刃の振動を開始し、
前記移動装置は、前記制御装置からの指示に応じて前記超音波カッタと、前記対象物及び前記吐出ユニットとを相対的に移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記超音波カッタの前記刃は、前記ノズルの吐出口の直ぐ下の位置を通って、前記粘性剤を横切ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の塗布装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−143678(P2012−143678A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2322(P2011−2322)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】