説明

塗膜片を含有した廃棄物の不溶化処理方法

【課題】高度経済成長期に建設された鋼橋を始めとした鋼構造物には、鉛を多量に含む塗料で塗装されている場合がある。現在、経年劣化のため塗装の塗り替え工事が必要となり、ブラスト工法によって塗装を剥ぎ、下地処理を行っている。ブラスト工法で使用された研削材には、高濃度の鉛を含む塗装片が含まれる可能性があることから、使用後の研削材を廃棄物として処理するには、鉛の溶出を一定以下にする必要がある。
【解決手段】使用後の研削材1に含まれる塗膜片から溶出される鉛を不溶化するために、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸鉄、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、シリカ、ゼオライトのうち少なくとも一つを含む不溶化剤14を添加することによって、ブラスト工法から排出される廃棄物の鉛の溶出を低下させる不溶化処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼製の橋梁、橋脚、建造物、自動車、船舶、等の構造物の外装用として構造物に塗布してある塗装を剥離処理する際に、剥離塗装片を含む廃棄物のうち、鉛を含有する塗装の破片(以下塗膜片)から鉛の溶出を抑制し、廃棄物処理の負担を軽減する塗膜片を含有した廃棄物の不溶化処理の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼橋を始めとした鋼構造物には腐食を防ぎ外観を保つために外装用の塗装がなされている。現在経年劣化した外装用の塗装面を塗り替えるために、メンテナンス工事として先ず、外装用の塗装面を剥ぎ落として素地調整を行い、再び外装用の塗装を行う工事が行われている。昭和年代の高度経済成長期に多数の橋や鋼構造物が建設されているが、建設してから40〜50年経過したため、多数の鋼構造物が外装用の塗装面を維持するために塗替えの時期となっている。そのため、鋼橋を始めとする多くの鋼構造物のメンテナンス工事が増加傾向にある。
【0003】
上記橋や構造物の塗装面のメンテナンス工事として、経年劣化した外装用の塗装面を剥ぎ、新規な塗り替え塗装面の下地処理を行うには、薬品処理、手工具、動力工具による研磨などがあるが、塗装面の剥ぎ作業の効率化と新規塗膜の長寿命化をはかるために有効な方法としてブラスト工法がある。ブラスト工法とは、主に鋼材などへ塗装する際に、鋼材と塗膜の密着性を高めるために、無数の研削材を投射することにより鋼材表面に吹き付け衝突させて表面に適度な凹凸を作り、なおかつ鋼材表面を清浄化させることを目的とした、素地調整手法の一つである。基本的なブラストの原理として、金属系(鉄等)や非金属系(天然鉱物,スラグ等)の研削材(粒子)を、圧縮空気やモーターの力によって高速でとばして投射させ、経年劣化した外装用の塗装面を有する鋼材等の対象物にぶつけることで、塗装面の剥ぎ取りと共に素地調整を行う。また、ブラストをすることでミルスケールのある新品の鋼板の素地調整以外にも、旧塗膜,錆や汚れといった新しい塗膜への密着性を阻害する物質もブラストによって除去することが可能となる。
【0004】
橋梁におけるブラスト工事では、多くの場合、対象とする構造物の下部にシートを張り、剥離した塗膜片と使用した研削材をシート上に落下させて回収している。そのため、使用した研削材と塗膜片は混ざった状態となる。塗膜片を研削材から選別し、除去するのは非常に困難であるため、一度使用した塗膜片入りの研削材は産業廃棄物として処理される。
【0005】
高度経済成長期に使われた塗料は鉛を多量に含んだものがあるため、現在メンテナンス工事の対象になっている多くの鋼構造物には、鉛を多量に含んだ塗料が使われていることがある。そのため、上記橋や構造物の塗装面から剥がされた塗膜片から鉛が溶出する可能性がある。その結果、上記工事から排出される産業廃棄物の鉛の溶出値が、国が定める産業廃棄物の埋立処分に係る判定基準を超過、または産業廃棄物の最終処分場が定める管理基準を超過した場合、管理型の最終処分場では受け入れられず、特別管理型産業廃棄物で処理することになるため、処理費用および運搬費用が増加することになる。鉛の溶出量の結果によって処理費用が変動することは、工事の発注者にとって負担となるため、鉛の溶出量を一定以下にする方法が求められる。
【0006】
鉛を含む重金属の溶出を抑える方法として不溶化処理があり、対象となる物質や重金属の種類などによって、多数の不溶化剤および不溶化処理方法が検討されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0007】
しかし、塗装剥ぎ工事を行った現場から離れた別の場所へ搬出して不溶化処理する場合、産業廃棄物の中間処理となるため、認定要件として処分業の許可が必要となる。そのため、ブラスト工法において研削材を使用後に、現場内で速やかに不溶化処理を行って、不溶化した研削材を廃棄物として搬出する方法が求められる。
【0008】
特許文献1「汚染土壌用固化不溶化剤」では、重金属によって汚染された土壌に対して不溶化剤を添加し、固化不溶化する方法が提案されている。特許文献2「焼石膏を含有した重金属等不溶化固化材」では、排水処理で発生した汚泥や、建設残土に含まれる重金属を不溶化する方法が提案されている。
しかし、ブラスト工法で使用した研削材を対象にした不溶化剤、および使用現場で速やかに不溶化する方法は提案されていない。そこで本発明において使用後の研削材の鉛溶出量を抑え、管理型の最終処分場で処理できる方法を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−45624号公報
【特許文献2】特開2010−207659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ブラスト工法で使用した研削材を現場内で速やかに不溶化処理を行うことで、上記目的は達成できる。既存の不溶化方法には、中和、固化、吸着、硫化物や塩化物といった難溶性塩にすることや、キレート剤によって難溶性化合物にすることがあるが、塗装に使われている塗料の種類、塗膜の厚さ、塗装してある構造物の周囲の環境、使用した研削材の種類によって発生する塗膜片の種類は多様なものとなる。そのため、使用した塗膜片入り研削材の不溶化を確実に行うには上記の不溶化方法を組み合わせる方法が望ましい。また、使用後の塗膜片入り研削材を現場内で速やかに不溶化処理するためには、研削材と不溶化剤を均一に混ぜることが容易に行えるのが望ましい。
本発明者は各種の不溶化剤ならびに不溶化方法を鋭意検討して実験した結果、使用後の塗膜片入り研削材を廃棄物として回収する前に、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸鉄、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、シリカ、ゼオライトのうち少なくとも一つを含む不溶化剤を塗膜片入り研削材に添加し、水を加えるとともに攪拌することで塗膜片からの鉛の溶出量を抑え、0.3mg/L以下の鉛溶出基準値を達成することができることを確認した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前述の課題解決のために、第1に、鋼製の橋梁、橋脚、建造物、自動車、船舶、等の構造物の外装用として構造物に塗布してある塗装を剥離処理するのに、該塗装を剥がすと共に、下地を調整するために無数の研削材を投射させて打ち付けるブラスト工法を用いて塗膜片入りの研削材を回収し、該回収した使用後の研削材に含まれる塗膜片から溶出される鉛を不溶化するために、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸鉄、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、シリカ、ゼオライトのうち少なくとも一つを含む不溶化剤を前記塗膜片入りの研削材に添加し、加水して混合処理することによって、ブラスト工法から排出される廃棄物の鉛の溶出を低下させる塗膜片を含有した廃棄物の不溶化処理方法としたもので、塗装の剥離処理と下地処理、剥離した塗膜片の不溶化処理を高能率に遂行できるものである。
【0012】
第2に、鉛を含有する使用後の塗膜片入り研削材を処理するに際して、使用後の塗膜片入り研削材100重量部に対して不溶化剤を0.001重量%以上30重量%以下を水とともに混合する塗膜片を含有した廃棄物の処理方法として不溶化処理を確実にできる。
そして、第3に、不溶化剤を添加するために、不溶化剤を水に懸濁し、使用後の塗膜片入り研削材に上方から散布して不溶化処理する塗膜片を含有した廃棄物の処理方法として、不溶化処理の手順を容易にできる。
【0013】
さらに、第4として、不溶化剤を添加するために、使用後の塗膜片入り研削材をバッチミキサーまたは専用の攪拌機に入れると共に、不溶化剤と水を容器内に投入し、攪拌を行うことにより不溶化処理する塗膜片を含有した廃棄物の処理方法とすると、容器を用いることにより攪拌時に処理物の飛散を防止して周辺環境を清浄に保持して不溶化処理できるものであり、第5に、使用後の研削材を回収するため、バキュームで吸い取る際に、不溶化剤を同時に吸い込み、バキュームの内部で研削材と不溶化剤を混ぜ合わせることにより不溶化処理する塗膜片を含有した廃棄物の処理方法として、高能率に処理するものである。
そして、第6に、現場に不溶化剤および水を入れた連続ミキサーを設置し、使用後の研削剤を連続ミキサーの供給部に入れ、不溶化剤および水と同時に使用後の研削剤を連続ミキサーのミキサー部に連続的に送り、連続ミキサーで攪拌することで、連続的に不溶化処理するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、橋の塗装の塗り替えのため、橋の塗装を剥がして、下地を調整するために研削材を打ち付けて塗装面を剥がすと同時に塗膜片入り研削材を回収するブラスト工法において、回収した研削材に含まれる塗膜片からの鉛の溶出を抑え、管理型処分場で処理できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】不溶化剤を粉末のまま塗膜片入りの研削材に散布している様子を示す作用説明図である。
【図2】不溶化剤を水に懸濁して、塗膜片入りの研削材にジョウロで散布している様子を示す作用説明図である。
【図3】塗膜片入りの研削材に水に懸濁した不溶化剤をポンプで上方から均等に散布している様子を示す作用説明図である。
【図4】塗膜片入りの研削材をバキュームで吸い取っている様子を示す作用説明図である。
【図5】バキュームの吸い込み口に不溶化剤の入った容器を設け、塗膜片入りの研削材を吸い込むのと共に不溶化剤を吸い込んでいる様子を示す作用説明図である。
【図6】塗膜片入りの研削材と不溶化剤を攪拌するバッチミキサーを示す作用説明図である。
【図7】連続式ミキサーを用いて、塗膜片入りの研削材と水に懸濁した不溶化剤を攪拌し、連続的に不溶化処理を行う様子を示す作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
使用された研削材に含まれる塗膜片について、塗料の種類や塗膜の厚さ、塗料の乾燥や劣化状態、さらには塗装されている周囲の環境によって、pH値、含水率等が異なる。鉛は酸・アルカリで溶けるため、pH値を中性域にすることで塗膜片からの鉛の溶出を低下させることができる。また、含水率が高い塗膜片は、不溶化材によって固化することで塗膜片からの鉛の溶出を低下させることができる。さらに、塗膜片に含まれる鉛を水酸化物や硫化物などの難溶性塩にすることや、キレート剤と反応させて難溶性の化合物にすることで、塗膜片からの鉛の溶出を低下させることができる。不溶化剤は粘度が高いと、使用した塗膜片入り研削材と均等に混和しにくいため、粘度が低いほうがよい。
【0017】
本発明で使用する酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸鉄、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、シリカ、ゼオライトは、土壌の重金属不溶化にすでに使われており、土壌の重金属不溶化と同様の反応で塗膜片からの鉛を不溶化することができると考えられる。酸化マグネシウムの効果は、PH値の緩衝作用と固化による塗膜片からの鉛の溶出抑制である。酸化マグネシウムは水に溶かすとアルカリ性を示し、硫酸アルミニウムと硫酸鉄は酸性を示す。硫酸アルミニウムまたは硫酸鉄、もしくはその両方を酸化マグネシウムに適量で混合することで、PH値を中性域にとどめ、鉛の溶出を抑制することができる。水酸化カルシウムおよび水酸化アルミニウムもまたPH値の調節作用があるほか、吸着作用および固化作用があり、塗膜片からの鉛の溶出を抑えることができる。酸化カルシウムは乾燥作用があり、製品の湿気を防ぎ品質を維持することができるほか、水分を加えると水酸化カルシウムとなり、上記の水酸化アルミニウムと同様に不溶化に寄与する。シリカおよびゼオライトは多孔質の鉱物であり、粉末状に加工したものを用いる。比表面積を増やし反応性を高めるため、粒径0.25mm以下のシリカおよびゼオライトを用いる。シリカおよびゼオライトの効果として、多孔質による吸着およびイオン交換能力による鉛の吸着のほか、吸湿性によって粘度を低くし、混合物の流動性を高め取扱いやすくする効果がある。また、吸湿性によって製品の劣化を抑える効果がある。
【0018】
これらの材料を混合し作成した不溶化剤は粉末の形状をしている。図1に示すように塗膜片入りの研削材1に対して不溶化剤の入った容器2から手や柄杓等で散布して粉末のまま用いることもできるが、図2や図3に示すように水に懸濁した不溶化剤の入った容器4を用意して水に懸濁して用いることもできる。水に懸濁した場合は、不溶化処理する対象物からの粉塵の発生を防ぐことができ、塗膜片入りの研削材1に対して均等に散布でき、混合を行いやすくすることができるため、より有効である。使用する塗膜片入りの研削材1が少量のときには、手軽な方法としてほうきなどで集め回収しているが、使用した塗膜片入りの研削材1に水に溶かした不溶化剤を図2で示すようにジョウロ3等を用いて塗膜片入り研削材1の上方から均等に散布し、ほうきなどで塗膜片入りの研削材1を混ぜ合わせながら回収することで、不溶化処理に必要な添加・混合が可能となる。また、図3に示すように塗膜片入りの研削材1が大量の場合には、ポンプ5を用いて水に懸濁した不溶化剤の入った容器6から散布して効率的に処理する手段もある。
【0019】
而して、従来の代表例として使用する塗膜片入りの研削材1が大量の際は、多くの場合図4で示すようにバキューム7で吸い取っている。この応用として本発明では、図1、図2、図3に示すように塗膜片入りの研削材1に水に懸濁した不溶化剤を上方から均等に散布したあと、バキューム7で吸い取ることもできるが、塗膜片入りの研削材の量が多く不溶化剤を均等に散布することが難しい場合は、図5で示すようにバキュームの吸い込み口に不溶化剤の入った容器8を設け、塗膜片入りの研削材1を吸い込むのと共に不溶化剤を吸い込む方法をとることもできる。バキューム7で回収した塗膜片入りの研削材1は、バキューム7の回収容器の中でバキューム力を利用して適宜に混合して不溶化処理を行う。
【0020】
さらに、ほうきやバキュームなどで集めた塗膜片入りの研削材は、現場に設置した攪拌機を用いて塗膜片入りの研削材と不溶化剤を混ぜ合わせ、不溶化処理を行うこともできる。図6で示すバッチミキサーBの攪拌部(縦型容器)9に塗膜片入りの研削材と不溶化剤を入れ、攪拌羽根10をモーター11で回し、塗膜片入りの研削材と不溶化剤を攪拌することで不溶化処理を行うことができる。塗膜片入りの研削材が大量に現場から排出される場合は、図7で示すように連続式ミキサーMの供給部12に塗膜片入りの研削材1を入れ、連続式に塗膜片入りの研削材1を連続式ミキサーMの攪拌部(横型容器)13に送り、水に懸濁した不溶化剤14をポンプ15で攪拌部13に注入しながら攪拌羽根16をモーター17で回し、塗膜片入りの研削材1と水に懸濁した不溶化剤14を攪拌することで不溶化処理を行うことができる。攪拌された塗膜片入りの研削材は排出口18から排出され、連続的に不溶化処理を行うことが可能である。
【0021】
塗膜片入りの研削材に不溶化剤を添加する量は、使用後の塗膜片入り研削材100重量部に対して不溶化剤を0.001重量%以上30重量%以下を使用する。添加量は使用後の塗膜片入り研削材100重量部に対し不溶化剤を0.001重量%程度で効果がある場合があるが、添加量が30重量%より多すぎても、溶出量をそれ以上に抑制できず、経済的ではない。
【0022】
不溶化剤に添加する水の量は、不溶化剤100重量部に対して水を100重量%以上500重量%以下を添加する。水を添加してからすぐに使用する場合は加える水は少量でよいが、使用するまでに時間がかかる場合は、加える水が少量であると酸化マグネシウムによって固化するため、均一に散布し混合することが困難となるので、加える水の量を多くする。
【実施例】
【0023】
塗装外装された橋梁等の鋼構造物に研削材を打ち付けて塗装面を剥がすと同時に塗膜片入り研削材を回収するブラスト工法において、該ブラスト工法で排出された塗膜片入り研削材の不溶化処理を行った。表1に示す塗膜片入り研削材100重量部に対し、不溶化剤を0.5重量%添加し、水を1重量%を添加し、爾後、攪拌したものを12時間以上静置した。環境庁告示13号産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法に従い塗膜片からの鉛の溶出確認を行い、原子吸光法にて鉛濃度を測定した。結果を表1に示す。
【表1】


【0024】
表1に見られるとおり、不溶化処理前の鉛溶出量の値に対して、不溶化処理後の鉛溶出量の値は、いずれも1/10程度の値に軽減されており、結果的には鉛溶出を抑えていることとなり、本発明の効果が立証されているものである。
このように本発明によれば、橋の塗装の塗り替えのため、橋の塗装を剥がして、下地を調整するために研削材を打ち付けて塗装面を剥がすと同時に塗膜片入り研削材を回収するブラスト工法を採用して塗装の剥がし作業を高能率に遂行できるとともに、塗替え工事現場において、速やかに回収した塗膜片からの鉛の溶出を抑える作業が行えることとなって、費用的に安価にしてブラスト工法を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の実施例では橋梁等の鋼構造物を対象にして説明したが、建築構造物、自動車、船舶、等の金属製建造物などの外装用として構造物に塗布してある塗装を剥離処理するものにも利用することが可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 塗膜片入りの研削材
2 不溶化剤の入った容器
3 ジョウロ
4 水に懸濁した不溶化剤の入った容器
5 ポンプ
6 水に懸濁した不溶化剤の入った容器
7 バキューム
8 不溶化剤の入った容器
9 攪拌部
10 攪拌羽根
11 モーター
12 供給部
13 攪拌部
14 水に懸濁した不溶化剤
15 ポンプ
16 攪拌羽根
17 モーター
18 排出口
B バッチミキサー
M 連続式ミキサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼製の橋梁、橋脚や、建築構造物等の外装用として構造物に塗布してある塗装を剥離処理するのに、該塗装を剥がすと共に、下地を調整するために無数の研削材を投射させて打ち付けるブラスト工法を用いて塗膜片入りの研削材を回収し、該回収した使用後の研削材に含まれる塗膜片から溶出される鉛を不溶化するために、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸鉄、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、シリカ、ゼオライトのうち少なくとも一つを含む不溶化剤を前記塗膜片入りの研削材に添加し、混合処理することによって、ブラスト工法から排出される廃棄物の鉛の溶出を低下させる塗膜片を含有した廃棄物の不溶化処理方法。
【請求項2】
請求項1の鉛を含有する使用後の塗膜片入り研削材を処理するに際して、使用後の塗膜片入り研削材100重量部に対して不溶化剤を0.001重量%以上30重量%以下を混合する塗膜片を含有した廃棄物の処理方法。
【請求項3】
請求項1の不溶化剤を添加するために、不溶化剤を水に懸濁し、使用後の塗膜片入り研削材に上方から散布して不溶化処理する塗膜片を含有した廃棄物の処理方法。
【請求項4】
請求項1の不溶化剤を添加するために、使用後の塗膜片入り研削材をバッチミキサーまたは専用の攪拌容器に入れると共に、不溶化剤と水を容器内に投入し、攪拌を行うことにより不溶化処理する塗膜片を含有した廃棄物の処理方法。
【請求項5】
使用後の研削材を回収するため、バキュームで吸い取る際に、請求項1の不溶化剤を同時に吸い込み、バキュームの内部で研削材と不溶化剤を混ぜ合わせることにより不溶化処理する塗膜片を含有した廃棄物の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−94773(P2013−94773A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255517(P2011−255517)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(511284591)株式会社ネオナイト (1)
【出願人】(391062333)山川産業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】