説明

塗膜転写具

【課題】 使用者が転写した塗膜の終端の密着性を向上させ、常に、切断したい位置で、かつ、その転写した塗膜の端部を一直線に綺麗に切断させることである。
【解決手段】 ケース内部には塗膜転写具用カートリッジが前後動可能に配置されていると共に、その塗膜転写具用カートリッジの前部には転写ヘッドが設けられており、一方、塗膜転写具用カートリッジの後部には、その塗膜転写具用カートリッジを前方に向け付勢するカム機構が設けられており、そのカム機構は、弾撥部材と筒体と、その筒体内を移動可能とした摺動部材とから構成されていると共に、その摺動部材と前記筒体に、それら摺動部材と筒体との相対的な移動の過程において係合し、解除する突起を形成した塗膜転写具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材テープに塗膜を形成した転写テープを押圧して、塗膜を被転写面に転写するために用いる塗膜転写具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基材テープに塗膜を形成している転写テープが、繰出しリールから転写ヘッドを介して巻取りリールに巻回されて、繰出しリールと巻取りリールの連動機構と共に、ケース内に配設された自動巻取り式の塗膜転写具が知られている。
【0003】
前記塗膜転写具は、ケースより突設した転写ヘッドにて転写テープを押圧して被転写面と平行に移動させ、塗膜を被転写面に転写するよう構成されている。
また、使用者が転写作業を終える時は、目的の位置で塗膜転写具の移動を止め、一旦、静止させるという停止操作を経て、転写ヘッドへの押圧を解除してから塗膜転写具の転写テープを被転写面から離間させて塗膜が切断され、所定位置に塗膜が転写され、塗膜転写具の転写操作が完了する。
【0004】
このような転写具を用いて転写操作を行うと、転写中に転写ヘッドが揺動する為に、蛇行しながら転写されたり、転写ヘッド押圧部の一端に押圧力が集中してしまうと転写ヘッドが捻れ、さらには転写テープが捻れた状態で被転写面に対して片当たり転写されてしまうことがある。
その為、特許文献1に記載の塗膜転写具のように、転写具内部に塗膜転写具用カートリッジとバネを配置し、外ケースに対してカートリッジが一体的に回動可能とした構成が提案されている。
前記構成であると、塗膜転写具用カートリッジそのものが、外ケースに対して一体的に回動可能となっている為、転写ヘッドや転写テープが捻れることがなく、蛇行した転写や、片当たりした転写がされ難くなっている。
また、バネの復元力が被転写面に対して常に働いている為に、塗膜の密着性が向上するよう構成されている。
【0005】
しかしながら、前記構成であると、常にバネの力を受け続けながら転写作業を行わなければならなかったり、逆に転写押圧力が不足していると、ばねの復元力により被転写面に対して押圧するという機能も使用されず、塗膜切断時に塗膜を切断する基点が密着力の弱いものとなってしまう。その為、使用者が意図した基点となる位置から塗膜切断することが出来ない場合があったり、最悪の場合には、塗膜切断しようと転写具を被転写面より離間させた際、密着力が弱い為に転写塗膜が被転写面から剥離されてしまう場合もある。
また、従来の転写具は塗膜切断時に転写作業の停止操作の後、塗膜を切断する為に転写ヘッドを被転写面より離間させて塗膜切断するが、例えば、被転写面に対して斜め方向に転写具を離間させた際には、転写終了位置で塗膜が切断されずに被転写面に転写した塗膜が剥がれ、その剥離した中間部から塗膜が切断してしまったり、あるいは、転写ヘッドの下端部にある未転写の塗膜が基材テープから剥がれ、その剥離した部分から塗膜が切断してしまったりと、転写した塗膜の終端が綺麗に切断されない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2007−190866号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上記のような問題に鑑みて、使用者が転写した塗膜の終端の密着性を向上させ、常に、切断したい位置で、かつ、その転写した塗膜の端部を一直線に綺麗に切断させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
塗膜転写具において、転写させる塗膜の終端を転写テープの幅方向に一直線に綺麗に切断させる為には、転写作業の停止操作の後、塗膜を転写させる時の押圧力以上で再度転写ヘッドの押圧部にて押込動作を行い、被転写面に転写された塗膜が引き千切られる基点を作り、切断時に持ち上げた塗膜を押込箇所から確実に切断させる方法がある。
【0009】
本発明では、塗膜切断時に塗膜を切断する為の基点部の密着力を転写ヘッドを被転写面に対して押込むことで向上させ、使用者が意図した塗膜切断箇所(押込箇所)を基点として、転写テープの幅方向に一直線に綺麗に切断できるようにした。
尚、転写ヘッドが押込まれる押込荷重は、転写テープの巻数等によっても異なるが、誤動作防止の為に転写終期にかかる転写荷重よりも高く設定されている。
【0010】
本発明の塗膜転写具により、上記課題は次のようにして解決される。
即ち、ケース内部には塗膜転写具用カートリッジが前後動可能に配置されていると共に、その塗膜転写具用カートリッジの前部には転写ヘッドが設けられており、一方、塗膜転写具用カートリッジの後部には、その塗膜転写具用カートリッジを前方に向け付勢するカム機構が設けられており、そのカム機構は、弾撥部材と筒体と、その筒体内を移動可能とした摺動部材とから構成されていると共に、その摺動部材と前記筒体に、それら摺動部材と筒体との相対的な移動の過程において係合し、解除する突起を形成したことを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ケース内部には塗膜転写具用カートリッジが前後動可能に配置されていると共に、その塗膜転写具用カートリッジの前部には転写ヘッドが設けられており、一方、塗膜転写具用カートリッジの後部には、その塗膜転写具用カートリッジを前方に向け付勢するカム機構が設けられており、そのカム機構は、弾撥部材と筒体と、その筒体内を移動可能とした摺動部材とから構成されていると共に、その摺動部材と前記筒体に、それら摺動部材と筒体との相対的な移動の過程において係合し、解除する突起を形成したので、使用者が転写した塗膜終端の密着性を向上させ、常に、切断したい位置で、かつ、その転写した塗膜の端部を一直線に綺麗に切断させることである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施例の構成を示す転写具の外観図。
【図2】本発明の第1実施例の構成を示す転写具の分解斜視図。
【図3】本発明の第1実施例の構成を示すカートリッジの分解斜視図。
【図4】本発明の第1実施例の構成を示すカートリッジの分解斜視図。
【図5】本発明の第1実施例の構成を示すカム機構の分解斜視図。
【図6】本発明の第1実施例の構成を示すカム機構の外観図。
【図7】本発明の第1実施例に関わる転写テープTの巻回経路を示す構成図。
【図8】本発明の第1実施例に関わる転写状態を示す外観図。
【図9】本発明の第1実施例に関わる転写ヘッド押し込み時(カム機構作動時)の状態を示す外観図。
【図10】本発明の第1実施例に関わる塗膜切断時の状態を示す外観図。
【図11】本発明の第1実施例に関わるカム機構が作動していない状態を示す断面図。
【図12】本発明の第1実施例に関わるカム機構が作動した状態を示す断面図。
【図13】本発明の第2実施例の構成を示すカム機構の分解斜視図。
【図14】本発明の第2実施例の構成を示すカム機構の分解斜視図。
【図15】本発明の第2実施例に関わるカム機構が作動していない状態を示すカム機構の外観図。
【図16】本発明の第2実施例に関わるカム機構が作動した状態を示すカム機構の外観図。
【図17】本発明の第2実施例に関わる未転写状態及び転写状態時の摺動子の梁部及び乗越リブと、カム筒の乗越リブの配置を示す模式図。
【図18】本発明の第2実施例に関わる転写ヘッド押込み途中の摺動子の梁部及び乗越リブと、カム筒の乗越リブの配置を示す模式図。
【図19】本発明の第2実施例に関わる転写ヘッドを押し込み切った状態の摺動子の梁部及び乗越リブと、カム筒の乗越リブの配置を示す模式図。
【図20】本発明の第2実施例に関わる転写ヘッドを押し込み切った状態の摺動子の梁部及び乗越リブと、カム筒の乗越リブの配置を示す模式図。
【図21】本発明の第2実施例に関わる転写ヘッドが元の位置へと復元し始めている状態の摺動子の梁部及び乗越リブと、カム筒の乗越リブの配置を示す模式図。
【図22】本発明の第2実施例に関わる転写ヘッドが元の位置へと復元途中の状態の摺動子の梁部及び乗越リブと、カム筒の乗越リブの配置を示す模式図。
【図23】本発明の第2実施例に関わる転写ヘッドが元の位置へ復元した状態の摺動子の梁部及び乗越リブと、カム筒の乗越リブの配置を示す模式図。
【図24】本発明の第3実施例の構成を示すカム機構の外観図。
【図25】本発明の第3実施例の構成を示すカム機構の分解斜視図。
【図26】本発明の第3実施例の構成を示すカム機構の分解斜視図。
【図27】本発明の第3実施例に関わるカム機構が作動していない状態を示すカム機構の外観図。
【図28】本発明の第3実施例に関わるカム機構が作動した状態を示すカム機構の外観図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜図6の図面に基づき、第1実施形態の塗膜転写具の構成について説明する。転写具1は、筐体2と蓋体3を接合して構成しており、筐体2の内部にはカートリッジ4、蓋体3にはカム機構12が各々内蔵されている。前記カートリッジ4を詳述する。カートリッジ4は、対向する右側板6と左側板7から構成されている。その右側板6の後方には、円筒形状の繰出支持円筒6aが設けられ、その繰出支持円筒6aには、繰出ギア8の回転軸部8aが外嵌保持されると共に、回転自在に支持されている。また、右側板6にあって、前記繰出支持円筒6aの周囲には、繰出支持円筒6aを中心とする複数の鋸刃状の溝を形成した逆転防止溝6bが環状に設けられている。前記繰出ギア8は、底面に平歯車部8bを有しており、その中央に回転軸部8aが丸穴として開いている。
また、繰出ギア8には、前記平歯車部8bの上面から円筒状を成した繰出コア受部8cが形成されており、前記繰出コア受部8cの中央部から天面部にかけて繰出コア受部8cよりも外径が大の円筒部として、スリップ部8dが形成されている。
その前記スリップ部8dの天面から平歯車部8bの天面にかけて、十字状の貫通穴8eが開いている。更に、前記スリップ部8dには、円筒形状を成した繰出コア9が軸支され、繰出コア9は前記スリップ部8dの側面に圧接された状態で嵌合されている。
これにより、繰出コア9は摩擦抵抗を付与された状態で回転自在に軸支され、繰出コア9のスリップ部8dに対する回転方向への摩擦抵抗が付与されると共に、お互いが組み付けられ、分解が防止されている。また、平歯車部8bには、弾性変形が可能な係合部8fが形成されており、その前記係合部8fは、平歯車部8bに『コ』の字型の溝8gを円弧状に形成することによって、円弧状の係合部8fとしている。その係合部8fの先端には、係合爪8hが形成されており、その係合爪8hは、平歯車部8bの底面から突出した状態で形成されており、右側板6に形成された逆転防止溝6bと係合脱可能に係合している。
これにより、前記繰出ギア8は巻取り方向のみに回転が許容されるよう構成されている。 尚、前記繰出コア9には、転写テープTが巻き付けられている。
また、前記右側板6の前方部には、対向した突起として、上下固定部6cが立設されている。更に、右側板6の前方部であって、上下固定部6cより後方には、円筒形状をなしたヘッド軸受部6dが形成されている。同様にして、左側板7の前方部にも対向した突起である上下固定部7aと、円筒形状をなしたヘッド軸受部7bが形成されている。
【0014】
前記転写ヘッド5は、その前方端部に断面形状がほぼ三角形状の押圧部5aが形成されている。
また、転写ヘッド5の押圧部5aより後方にあって、転写ヘッド5の前方部の幅方向の両側部には、ほぼ三角形状であって矢印形状を成したテープガイド5bが形成されている。 他方、転写ヘッド5の後端部には、円柱形状をなした突起5cと突起5dが形成されている。尚、転写ヘッド5がカートリッジ4へと組み付けられる際には、ヘッド軸受部6dに対して突起5cが、ヘッド軸受部7bに対して突起5dが各々内嵌保持され、更に、ヘッド回転軸部5eが、回転運動可能であって上下方向に動作しないように、上下固定部6c、7aの間に挟まれる形で組み付けられている。
また、右側板6のほぼ中央部には円筒形状を成した巻取支持円筒6eが形成されており、その巻取支持円筒6eには、巻取ギア10の回転軸部10aが外嵌保持されると共に、回転自在に支持されている。前記巻取ギア10は、底面に平歯車部10aを有しており、巻取ギア10の円筒部にあってその中央部には、その円周上に対して転写テープTの幅よりも大の溝10bが形成されている。また、右側板6にあって、繰出支持円筒6aと巻取支持円筒6eのほぼ中間部には、円柱状の中間ギア支軸6fが形成されており、その中間ギア支軸6fには、歯車形状を成した中間ギア11の回転軸部11aが外嵌保持されると共に、回転自在に支持されている。
一方、左側板7の後方には、円柱形状を成した繰出支持受部7cが形成され、左側板7のほぼ中央部には、円筒形状を成した巻取支持受部7dが形成されており、前記繰出支持円筒6aと繰出支持受部7c、巻取支持円筒6eと巻取支持受部7dが各々内嵌される。
右側板6にあって側面に近く、繰出支持円筒6aと巻取支持円筒6eのほぼ中間部には、円筒形状を成した組付部6gが形成されている。
また、右側板6の後端部にあって、その両側端にも円筒形状を成した組付部6h、組付部6iが形成されており、右側板6の剛性を出す為に、組付部6hと組付部6iの中間部に長方体の壁6jが形成されている。同様にして、左側板7には、円柱形状を成した組付部7e、組付部7f、組付部7gが形成されており、右側板6の組付部6gに対して組付部7e、組付部6hに対して組付部7f、組付部6iに対して組付部7gの各々が内嵌されることで、右側板6と左側板7が連結固定される。
また、右側板6の底面部にあって、右側板6のほぼ中央部から後端部に向けて、対向する長方体状のカートリッジ摺動リブ6kが形成されている。同様にして、左側板7の底面部にあって、左側板7のほぼ中央部から後端部に向けて、対向する長方体状のカートリッジ摺動リブ7hが形成されている。
【0015】
ここで、カートリッジ4として転写ヘッド5、右側板6、左側板7、繰出ギア8、繰出コア9、巻取ギア10、転写テープTの7部品が構成される場合について以下、詳述する。 転写テープTが巻き付けられた繰出コア9は、繰出ギア8のスリップ部8bに挿嵌され、更に、右側板6の繰出支持円筒6aに繰出ギア8の回転軸部8aが挿嵌される。
一方、右側板6の巻取支持円筒6eには巻取ギア10が挿嵌され、中間ギア支軸6fには中間ギア11の回転軸部11aが挿嵌される。尚、カートリッジ4として、繰出ギア8、巻取ギア10、中間ギア11が組み付けられた際には、中間ギア11と巻取ギア10の歯車部分同士、中間ギア11と繰出ギア8の歯車部分同士が各々噛合うようになっている。 その為、繰出ギア8、巻取ギア10、中間ギア11の何れかの部品が回転すると全ての部品もそれと連動して回転し、逆に何れかの部品が何らかの影響により回転が阻止されると、全ての部品の回転も止まるようになっている。
また、前記記載の通り転写ヘッド5は、ヘッド軸受部6dに対して突起5cが、ヘッド軸受部7bに対して突起5dが各々内嵌保持され、更に、ヘッド回転軸部5eが、回転運動可能であって上下方向に動作しないように、上下固定部6c、7aの間に挟まれる形で組み付けられている。この時、転写ヘッド5の押圧部5a及びテープガイド5bは、右側板6、左側板7から前方に突出した状態で保持されている。そして、右側板6の組付部6gに対して組付部7e、組付部6hに対して組付部7f、組付部6iに対して組付部7gの各々が内嵌されることで、右側板6と左側板7が連結固定されることで、カートリッジ4が構成される。
【0016】
前記筐体2は、前端に小さな前端開口部2aを設けるとともに、後端に大きな後端開口部2bを設けた中空体である。この筐体2の両側面にあって、後端開口部2b近傍の一端には、蓋体3を連結する為のヒンジ機構を構成する為、円柱形状を成した突起としての蓋回転軸2cが形成されている。その蓋体3は、筐体2における後端の開口部を塞ぐことができる形状、及び大きさを有しており、およそ有底の箱形状を成している。
また、蓋体3の両側面には、筐体2に設けた蓋回転軸2cに対して回動自在に嵌合する為、本体取付孔部3aが形成されている。
一方、蓋体3の本体取付孔部3aが形成されている側とは別の側面には、筐体2に形成された係止溝2dと係脱可能な係止爪3cが形成されている。その前記係止爪3cは、前記蓋体の側面より板状に伸びた係止板3bの先端部より、外側に向けた突起としている。
また、係止溝2dは、筐体2の蓋回転軸2cが形成されている側面とは別の側面であって、後端開口部2b近傍に、長方形状に貫通穴として開いている。これにより、蓋体3は筐体2の後端開口部2cより開閉自在であり、その後端開口部2cを閉じた状態で筐体2に係止可能である。
前記カートリッジ4は、筐体2の内部に後端開口部2cより挿入し、カートリッジ4の前端にある転写ヘッド5を筐体2の前端開口部2bにおいて露出させる。また、筐体2の内面部であって、その両側面、後端部から中央部にかけて長方形状の溝2eが形成されている。その為、筐体2の後端開口部2cより挿入されたカートリッジ4は、溝2eよりカートリッジ摺動リブ6k、カートリッジ摺動リブ7hが挿入されることとなり、筐体2の溝2eとカートリッジ摺動リブ6k、7hにより位置決めされる。
【0017】
次に、カム機構12について詳述する。そのカム機構12は、摺動子13、コイルばね14、カム筒15より構成されている。前記摺動子13は円筒形状を成しており、大円筒部13a、前記大円筒部13aより径が小の中円筒部13b、前記中円筒部より径が小の小円筒部13cから成り、円筒部の内径は全て同じである。その小円筒部13cは、コイルばね14の内径よりもやや径が小さく、前記中円筒部13bはコイルばね14の中心径より大きく設計されている。
また、大円筒部13aの側面には、中円筒部13bの方向に勾配のある長方体の抜止めリブ13dが、対向した2箇所に形成されている。更に、中円筒部13bの側面にあって、そのほぼ中央部には、円周上の突起として乗越リブ13eが形成されている。その前記乗越リブ13eの両端部は面取りされている為、断面形状が台形形状を成している。尚、大円筒部13aの底面のことを当接部13fと呼称する。
一方、カム筒15は円柱形状を成しており、その天面部から大円筒部13aより径が大の丸穴である摺動孔15aが開いている。また、カム筒15の側面であって、天面から中央部後方に長穴のスリット15bが形成されており、カム筒15の天面近傍の断面形状は半月状になっている。同じくカム筒15側面にあって、スリット15bにより分断された外周面のほぼ中央部には、貫通孔15cが長方形状を成して開いている。
その摺動孔15aの側面にあって、貫通孔15cよりも後方部であり、スリット15bの端部より前方部には、全周状に設けられた突起である乗越リブ15dが形成されている。また、カム筒15の外周面であって後端部近傍には、蓋体嵌合溝15eとして全周状に溝が形成されている。
【0018】
ここで、カム機構12として摺動子13、コイルばね14、カム筒15の3部品の構成について以下、詳述する。コイルばね14は、摺動子13の小円筒部13c側面に対して嵌合され、前記摺動子13は、コイルばね14が組み付けられた状態で、小円筒部13cの方向からカム筒15の摺動孔15aに向かい、摺動子13でカム筒15を押し拡げながら圧入して組み付ける。この時、カム筒15の内側に挿入された摺動子13は、コイルばね14からの反力によりカム筒15外へと押し出されるが、カム筒15に設けられた貫通孔15cに対して摺動子13の抜止めリブ13dが嵌合される状態で組み付けられ、カム筒15から摺動子13の抜けが防止された構成となる。以上がカム機構12としての構成となる。
また、前記カム筒15には、蓋体嵌合溝15eが設けられ、蓋体3に設けられた嵌合筒3dの嵌合4点リブ3eに組み付けられる。尚、その嵌合筒3dは蓋体3内より円筒形状を成して形成されており、前記嵌合3dの内壁には、断面形状が台形形状をした嵌合4点リブ3eが形成されている。また、転写具として使用する際は、まず蓋体3の嵌合4点リブ3eに対して、カム機構12の蓋体嵌合溝15eを組み付け、カム機構12が組み付けられた蓋体3の本体取付孔部3aを筐体2の蓋回転軸2cに組み付ける。
そして、筐体2の後端開口部2bよりカートリッジ4を転写ヘッド5側から挿入し、蓋体3を回転させて、蓋体3の係止爪3cと筐体2の蓋体係止部2dを係合させる。この時、筐体2の内側に配置してあるカートリッジ4の後端部に配置されてなる壁6jと、カム機構12の当接部13fとが接触した状態となっている。これが転写具として機能させることが出来る形態となる。
尚、本実施例では、筐体2、蓋体3、転写ヘッド5、右側板6、左側板7、繰出ギア8、繰出コア9、巻取ギア10、中間ギア11、摺動子13、コイルばね14、カム筒15、転写テープTの13部品で構成されている。また、カートリッジ4の転写テープTを使い切ったら、カートリッジ4ごと転写具1から取り出して廃棄することになるが、筐体2、蓋体3、カム機構12はリサイクル可能である。すなわち、新しいカートリッジ4を同じケースに再び装着して、同筐体2、蓋体3、カム機構12を再利用することが出来る。
また、本実施例においては、カム機構12を再利用することができるように、カートリッジ4よりも後方に前記カム機構12を配置しているが、カートリッジ4自体の後部にカム機構12の一部分、或いは、前部が埋没するように設けても良い。
【0019】
次に、本実施例の作用について図7〜図12の図面を基に説明する。転写テープTの転写時において、繰出コア9より繰出された転写テープTは、組付部6gに向かって送出され、筐体2の内側と組付部6gとの間であって、組付部6gの側面に対して接触しながら通過し、折り返されながら転写ヘッド5の方向へと向かう。そして、転写テープTは、転写ヘッド5の下面を通過し、押圧部5aに接触しながら折り返され、その折り返された転写テープTは、巻取ギア10の溝10bによって巻き取られる構成となっている。
尚、本構成では転写テープTが組付部6g、押圧部5aへと接触しながら折り返される構成となっており、転写テープTの基材テープK側の面が接触している。しかし、転写塗膜S側の面には触れる事がないので、転写塗膜Sの傷付き・汚れ等が防止されている。
本機構で転写物を転写する場合には、一般的な転写具と同様、転写具1を把持し、転写ヘッド5の押圧部5aを転写対象面に接地させて転写させる動作によって転写塗膜Sが転写対象面へと転写される仕組みとなっており、転写ヘッド5の押圧部5aを転写対象面から離間させる事で、転写塗膜Sを切断出来る機構となっている。
【0020】
しかしながら、本機構は前述した転写操作による転写動作で転写作業が出来るが、本発明の特徴は、使用者が転写した塗膜終端の密着性を向上させ、いつも一直線に綺麗に切断させる事にある。以下、具体的にその転写動作について説明する。前記カム機構12を用いて転写物を転写する場合には、一般的な転写具と同様、転写具1を把持し、転写ヘッド5の押圧部5aを転写対象面に接地させて移動させることによって、転写塗膜Sが転写対象面へと転写させる。
次に、転写ヘッド5の押圧部5aを被転写対象面から離間させて塗膜切断動作を行う前に、転写具1を転写作業の停止操作の後、塗膜転写時の押圧力以上で被転写対象面に対して押込むことで、カートリッジ4を転写具ケース1内へと後退させる。このとき、カートリッジ4が転写具1内へと後退すると、そのカートリッジ4の壁6jと常時当接している摺動子13の当接部13fもカム筒15内へと後退する。しかし、その後退するストロークは、カートリッジ4の壁6jがカム筒15の天面に突き当てる迄の距離であり、それ以上後退することは出来ない。
詳細は後述するが、カートリッジ4をカム筒15の天面に突き当てる過程でカム機構12は作動し、摺動子13とカム筒15が衝突音を発生させる。この衝撃音によって、使用者に対して塗膜が綺麗に切断される事を知らせている。前記押込操作によって、転写塗膜Sを被転写面に対して密着させ、塗膜を引き千切る為の基点が確定された為、被転写対象面より転写具1を離間させる事で、前記基点より密着された転写塗膜Sを一直線に綺麗に切断させる事ができる。
【0021】
ここで、摺動子13とカム筒15による押込切断音(摺動子13とカム筒15の部材の衝突音)発生時の動作について、図11、図12の図面に基づき詳細に述べる。図12は、未使用状態及び転写状態を示すカム機構12の断面図、図13は、カム機構12を作動させた際の断面図を示している。図12の転写状態より、転写ヘッド5を被転写面に対して押込むと、摺動子13がカム筒15内へと押し込まれ、摺動子13に設けられた乗越リブ13eが、カム筒15の乗越リブ15dに当接する。
さらに摺動子13がカム筒15内へと押し込まれると、摺動子13の乗越リブ13eのテーパ面で、カム筒15内の乗越リブ15dが押し拡げられる。つまり、カム筒15に設けられたスリット15bの付根部より、カム筒15は外径方向に押し拡げられる。この時、摺動子13の乗越リブ13eの側面と、カム筒15内の乗越リブ15dの側面は当接した状態である。それよりさらに摺動子13がカム筒15内へと押し込まれ、カム筒15の乗越リブ15dを完全に摺動子13の乗越リブ13eが乗越えると、その瞬間、乗越リブ13e、乗越リブ15dの側面同士で押し拡げられていたカム筒15は、その部材の復元力によって内径方向に閉まることとなる。これにより、カム筒15内の乗越リブ15dが、摺動子13の中円筒部13bの乗越リブ13eより大円筒部13a側の側面に接触し、衝撃を与えることで音が発生する(塗膜切断音)。
【0022】
また、前記操作により、転写ヘッド5の押込み動作の押圧によって塗膜切断部の基点を作ったこととなる。この時、カム機構12に設けられたコイルばね14の弾撥力、及び摺動子13がカム筒15内のリブを乗越える衝撃力の双方が押圧力として寄与している。尚、実際に転写塗膜Sを切断する為には、転写ヘッド5を被転写面より離間させる必要がある。その為、次の操作として被転写対象面へと押し込まれた転写ヘッド5を、押し込まれた状態から図12に示すような転写状態へと復元させ、被転写面と接触している転写ヘッド5を離間させる必要がある。この時のカム機構12の動作としては、前述とは逆の動作となっており、転写ヘッド5を被転写対象面から離間させるとともに、前記押し込み操作によって圧縮されていたコイルばね14が、その復元力によって元の状態に戻る作用をすることとなる。このコイルばね14の復元力により、転写ヘッド5を紙面から離すと同時に、圧縮されていたコイルばね14は、摺動子13をカム筒15外へと押し戻す作用を及ぼす。
摺動子13は、コイルばね14の力によって乗越リブ13eがカム筒15内に設けられた乗越リブ15dに当接され、次に、乗越リブ13eによってカム筒15を外径方向へと押し拡げ、カム筒15の乗越リブ15dを摺動子13の乗越リブ13eが完全に乗り越えると、カム筒15に設けられているスリット15bの付根部より押し拡げられていたカム筒15が元の状態へと復元しようとする為、カム筒15に設けられた乗越リブ15dと摺動子13の中円筒部13bの乗越リブ13eより小円筒部13c側の側面が接触し、衝撃を与えることで音が発生するようになっている。
これによって、使用者は音によって塗膜切断が確実に出来る操作を終えた事が分かる。また、前記操作にて使用者が転写した塗膜の終端の密着性を向上させている為、塗膜切断時に、常に切断したい位置で、かつ、その転写した塗膜の端部を一直線に綺麗に切断させることができる。
【0023】
つまり、従来の塗膜切断の方法では、前述したように、転写押圧力が足りずに、使用者が意図した基点となる位置から塗膜切断することが出来ない場合があり、塗膜切断しようと転写具を被転写面より離間させた際、密着力が弱い為に転写塗膜Sが被転写面から剥離されてしまう場合があるが、本機構を用いて塗膜切断を行うと、上記の問題は生じることがない為、従来の転写具と比較して明らかに有意な効果を得ることが出来る。
また、本機構の転写具1は、塗膜切断時に一度被転写面に対して、転写ヘッド5を押し込む動作を行うが、この際、転写具1を立てて押込んだ方が転写ヘッド5を転写具1内へ押込み易い様に、前記転写具1の外観をペンタイプにしていると共に、転写具1の軸線方向にカートリッジ4が摺動するなどの構成が採られている。
その為、転写作業の停止操作の後、塗膜切断時に転写ヘッド5を被転写面より離間させて塗膜切断する際、被転写面に対して垂直方向に転写具1を離間させ易くしているので、従来の転写具で斜め方向に転写具を離間させることで余計に転写塗膜Sが引き出され、転写した塗膜の終端が基点でない部分より切断されることも防止されるようになっている。
また、前記塗膜切断操作によって転写塗膜Sの貼り終わりが綺麗に切断される事により、再び転写具を使用する際の貼り始めの塗膜も綺麗な状態で引き出すことが可能となる。
また、転写テープTの繰出コア9に対する巻付け径が巻取ギア10より大きい時でも、繰出コア9からのテープ引出し速度よりも巻取ギア10によるテープ巻取り速度が速くなるように設計しているため、常に巻取ギア10が繰出コア9よりも多く転写テープTを巻き取る働きをしている。その結果、使用済みの転写テープTを巻取ギア10に確実に巻取ることができるようになっており、余計に転写テープTを巻き取ろうとしても、繰出ギア8のスリップ部8dと繰出コア9の内径部でスリップする為、転写テープTを余計に巻き取ろうとする力を緩和するように設計されている。
また、本実施例では、転写対象面へと転写塗膜Sを転写する際、転写テープTを繰出コア9から送出する仕組みとなっているが、テープを繰出す回転方向と逆方向には繰出コア9が回転しないように、カートリッジ4の右側板6の逆転防止溝6bと繰出ギア8の係合爪8hが噛み合って逆回転が防止されている為、間違った転写操作をしても、テープ弛みを生じさせることがない。
以上、本実施例においては、独立した軸上に繰出ギア8と巻取ギア10を設けてなしているが、同軸上に配置しても良い。
さらに、本実施例では歯車機構によって繰出ギア8、巻取ギア10、中間ギア11を連動させているが、タイミングベルなどを利用して連動させても良いし、繰出ギア8と巻取ギア10の2部品で構成させても良い。
【0024】
以上の構成が基本的な構成であるが、さらに具体的に説明する。前記筐体2、蓋体3、右側板6、左側板7は、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、アクリルニトリル・ブジタエン・スチレン共重合体、強化ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂などの樹脂成型品となっている。
また、筐体2、蓋体3、右側板6、左側板7を構成する肉厚としては、0.5mm〜2.0mmの範囲が好ましい。ちなみに、2.0mmを超えてしまうと、成形後にその成形品が冷えにくくなってしまい、厚みが0.5mm未満であると、強度が損なわれてしまう危険性がある。
前記転写テープTは、基材としての合成樹脂の基材テープKの表面に、修正塗膜、着色塗膜、粘着塗膜、蛍光塗膜等の接着性を有する転写塗膜Sを備えている。前記基材テープKは、グラシン紙等の紙基材や、ポリエステルフィルム、セルロースフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等のプレスチック基材等の基材を用いればよい。また、前記基材テープK上には離型層を設けてもよいし、基材自体を離型処理してもよい。
更に、前記基材テープKの片面に形成する塗膜も適宜選択することが出来、前記転写塗膜Sとしては、厚みが8μm〜35μm、好ましくは、10μm〜30μmであり、この厚みの範囲であれば、修正塗膜、着色塗膜、粘着塗膜、蛍光塗膜等を選択して用いることが出来る。また、転写される塗膜の最外層に粘着層を設けるなど、基材と塗膜以外に他の機能を持った層を設けている転写テープ等を使用することも出来る。
前記転写テープTは、繰出コア9の側面部に巻付けられており、繰出コア9から繰出された転写テープTを、前記転写ヘッド5によって転写テープTの裏面側から紙等の被転写面に押圧して、転写塗膜Sを被転写面に転写するのである。
また、その転写ヘッド5を通過した後の使用済みの転写テープT(基材テープK)は、巻取コア10の溝10b側面で巻取られる。尚、前記転写ヘッド5には、摺動性、耐久性、柔軟性を加味し、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、金属(ステンレス、真鍮、ピアノ線等)等の素材を用いるのが好ましい。
前記繰出ギア8、繰出コア9、巻取ギア10、中間ギア11、摺動子13、カム筒15の材質としては、摺動性、耐久性のあるポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、アクリルニトリル
・ブジタエン・スチレン共重合体、強化ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂などの樹脂材料を用いるのが好ましい。
【0025】
次に、図13、図14の図面に基づき第2実施形態の転写具の構成について説明する。筐体2、蓋体3、カートリッジ4の構成については、前記第1実施形態と同様の構成の為、その説明を省略する。本実施例では、前記実施例1と異なり、カム機構19の構成が変更されている為、以下にそのカム機構19について詳細を記述する。
そのカム機構19は、摺動子16、コイルばね17、カム筒18より構成されている。前記摺動子16は、長方体の板状を成しており、その前端部に円柱形状を成した当接部16aが形成されている。また、前記摺動子16の後端部には、円柱形状を成したコイルばね受部16bが形成されている。そのコイルばね受部16bであって、そのコイルばね受部16bの内側面には、長方体形状を成した梁部16cが形成されている。その梁部16cの最先端には、断面形状がほぼ三角形状の突起である乗越リブ16dが形成されている。
また、前記摺動子16の両側面には、断面がほぼ半円弧状のカム筒摺動溝16eが長手方向に形成されている。また、前記摺動子16であって、梁部16cが形成されている逆の面には、『L』字形状の突起として抜止防止部16fが形成されている。尚、その抜止防止部16fは、前記摺動子16のコイルばね受部16bの近傍部より突出し、当接部16aに向かって形成されている。また、抜止防止部16fの天面部であって、その抜止防止部16fの最先端には、断面がほぼ三角形状である突状の抜止リブ16gが形成されている。
一方、前記カム筒18は円柱形状を成しており、その天面部から摺動子16の当接部16a、コイルばね受部16bよりも径が大きい円形の摺動孔18aが形成されている。また、その摺動孔18aを有するカム筒18の内面には、対向した断面形状が半円弧の摺動リブ18bがカム筒18の天面部より後端部にかけて形成されている。
さらに、カム筒18の側面であって、その天面部近傍より中間部にかけて、長方形状の抜止防止孔18cが形成されている。また、その抜止防止孔18cとは反対のカム筒18の側面には、長方形状の窓穴18dが形成されており、カム筒18の肉厚部であって前記窓穴18dの前方の長手方向の側面には、三角形状の突起として乗越リブ18eが形成されている。また、カム筒18の外周面であって後端部近傍には、蓋体嵌合溝18fが全周状に形成されている。
【0026】
ここで、カム機構19は、摺動子16、コイルばね17、カム筒18の3部品から構成されている。以下、詳述する。コイルばね17は、カム筒18の摺動孔18aに対して挿入され、また、摺動子16はコイルばね受部16bの方向から、カム筒18の摺動孔18aに向かい挿入される。この時、摺動子16のカム筒摺動溝16eに対してカム筒18の摺動リブ18bが摺動可能に組付けられ、また、カム筒18の窓穴18dに対して摺動子16の乗越リブ16dが、抜止防止孔18cに対して抜止リブ16gが各々突出可能となるような方向で挿入される。
更に、カム筒18に対して摺動子16を挿入する際は、摺動子16に設けられた梁部16cの先端の乗越リブ16dと、前記抜止防止部16fの先端の抜止リブを各々内径方向へと撓ませた状態で、抜止リブ16gの先端が抜止防止孔18cの前方端部を越えるまで押し込む。この時、カム筒18の内側に挿入された摺動子16は、コイルばね17からの反力によりカム筒18の外側へと押し出されるが、カム筒18に設けられた抜止防止孔18cに対して摺動子16の抜止リブ16gの端部が当接する為、前記カム筒18からの摺動子16の抜けが防止された構成となる。以上がカム機構19としての構成となる。
また、前記第1実施形態と同様に、カム筒18には、蓋体嵌合溝18fが設けられており、その蓋体3に設けられた嵌合筒3dの嵌合4点リブ3eに組み付けられるよう構成されている。
また、転写具として使用する際も第1実施形態と同様にして、蓋体3の嵌合4点リブ3eに対して、カム機構19の蓋体嵌合溝18fを組み付け、カム機構19が組み付けられた蓋体3の本体取付孔部3aを筐体2の蓋回転軸2cに組み付ける。そして、筐体2の後端開口部2bよりカートリッジ4を転写ヘッド5の方向から挿入し、蓋体3を回転させて、蓋体3の係止爪3cと筐体2の蓋体係止部2dを係合させる。この時、筐体2の内側に配置されたカートリッジ4の後端部の壁6jと、カム機構19の当接部16aとが接触した状態となっている。これが転写具として機能させることが出来る形態となる。
【0027】
次に、本実施例の作用について図15〜図22の図面を基に説明する。前記第1実施形態と同様な作用は省略する。第1実施形態と同様にして、カム機構19を用いて転写物を転写する場合には、一般的な転写具と同様、転写具1を把持し、転写ヘッド5の押圧部5aを転写対象面に接地させて転写させる動作によって転写塗膜Sが転写対象面へと転写させる。次に、転写ヘッド5の押圧部5aを被転写対象面から離間させて塗膜切断動作を行う前に、転写具1を転写作業の停止操作の後、塗膜転写時の押圧力以上で被転写対象面に対して押込むことで、カートリッジ4を転写具ケース1内へと後退させる。尚、前記カートリッジ4が転写具1内へと後退すると、カートリッジ4の壁6jと常時当接している摺動子16の当接部16aもカム筒18内へと後退する。その後退するストロークは、カートリッジ4の壁6jがカム筒18の天面に突き当てる迄の距離であり、それ以上後退することは出来ない。
詳細は後述するが、カートリッジ4をカム筒18の天面に突き当てる間でカム機構19は作動し、摺動子16の乗越リブ16d側面とカム筒18の窓穴18dの側面が衝突音を発生させる。ここで使用者に対して塗膜が綺麗に切断される事を知らせている。尚、前記押込操作によって、転写塗膜Sを被転写面に対して密着させ、塗膜を引き千切る為の基点を作った為、被転写対象面より転写具1を離間させる事で、前記基点より密着された転写塗膜Sを一直線上に綺麗に切断させる事ができる。
ここで、摺動子16とカム筒18による押込切断音(摺動子16の乗越リブ16dの側面とカム筒18の窓穴18d側面の部材の衝突音)発生時の動作について、図15〜図23の図面に基づき詳細に述べる。図15は、未使用状態及び転写状態を示すカム機構19の斜視図、図16は、カム機構19を作動させた際の斜視図を示している。
【0028】
また、図17〜図19には、摺動子16の梁部16c、乗越リブ16d、カム筒18の窓穴18dに形成されている乗越リブ18eの未使用状態から転写ヘッド押込み状態迄の模式図を示している。さらに、図20〜図23には、摺動子16の梁部16c、乗越リブ16d、カム筒18の窓穴18dに形成されている乗越リブ18eの転写ヘッド押込み状態から塗膜切断状態迄の模式図を示している。
図15の転写状態より、転写ヘッド5を被転写面に対して押込むとカートリッジ4の壁6jにより、摺動子16の当接部16aがカム筒18内へと押し込まれ、図16に示すように、当接部16aがカム筒18の天面まで押し込まれるが、この操作を図16〜図18の模式図を用いて、具体的に以下に記述する。図17は、未使用状態、及び転写作業中の状態を示しているが、この状態の際は、乗越リブ18eよりも乗越リブ16dが前方に位置している。前記配置位置より、転写ヘッド5の被転写面への押込み動作が開始されると、摺動子16は、カム筒18内へとコイルばね17の弾撥力を受けながら後退を始める。その結果、その摺動子16の後退とともに、梁部16cと乗越リブ16dも後退することになる。
前記摺動子16が後退し始めると、図18に示すように乗越リブ16dが乗越リブ18eの傾斜面に沿って乗り上がる。その際、乗越リブ16dは図面上方へと移動している為、梁部16cは、その根元から弾性変形しながら、後退することとなる。そして、乗越リブ16dが乗越リブ18eの最頂部へと達するまで前記動作が継続し、完全に乗越えた瞬間、図19に示すように弾性変形している梁部16cの復元力によって元の形状へと復帰し、乗越リブ16dは、カム筒18の窓穴18d側面へと接触する。この乗越リブ16dが、窓穴18d側面に対して接触する動作により、カム筒18に対して衝撃を与え、音を発生させる。
【0029】
つまり、前記操作によって、転写ヘッド5の押込み動作の押圧により、塗膜切断部の基点を作ったこととなり、また、使用者に対して、音でその前記操作が確実に行われたことを認識させることが出来る。尚、実際に転写塗膜Sを切断する為には、転写ヘッド5を被転写面より離間させる必要がある。その為、次の操作として、被転写対象面へと押し込まれた転写ヘッド5を、押し込まれた状態から図15に示すような転写状態へと復帰させ、被転写面と接触している転写ヘッド5を離間させる必要がある。
この時のカム機構19の動作としては、前述とは逆の動作となっており、転写ヘッド5を被転写対象面から離間させるとともに、その押し込み操作によって圧縮されていたコイルばね17が、その復元力によって元の状態に戻る。このコイルばね17の復元力により、転写ヘッド5を紙面から離すと同時に、圧縮されていたコイルばね17は、摺動子16をカム筒18外へと押し戻す作用を及ぼし、摺動子16は、図15に示すように押込み操作前の状態へと復元するが、以下、図20〜図23の模式図を用いて、さらに具体的に説明する。
前記転写ヘッド5を押し込んだ際は、図20に示すように乗越リブ16dは乗越リブ18eよりも後方に位置している。被転写面へと転写された転写塗膜Sの塗膜切断を行う為に、転写ヘッド5を被転写面より離間させると、前述したように、転写ヘッド5が押し込まれ、圧縮されていたコイルばね17が元の状態へと復元しようとする。そのコイルばね17の復元動作によって、前記摺動子16は、カム筒18の外へと押し出される力を受ける事となり、図21に示すように、前記摺動子16が前進し、乗越リブ16dの傾斜面に対して乗越リブ18eが当接する状態となる。
そこから、乗越リブ16dは、自らの傾斜面に沿って乗越リブ18eの下方へと向かい、梁部16cは根元から御辞儀するように弾性変形して、前進する。さらに摺動子16が前進すると、図22に示すように、乗越リブ16dの天面が乗越リブ18eの底面に沿って平行移動することとなる。そして、乗越リブ16dの天面部が、完全に乗越リブ18eの底面を前進し切ると、その瞬間に、図23に示すように弾性変形している梁部16cは、その復元力によって元の形状へと復帰する。その結果、前記乗越リブ16dの近傍部であって梁部16cの天面部は、カム筒18の乗越リブ18eの底面へと接触すると共に、その接触の衝撃により音が発生する。
これによって、使用者は音によって塗膜切断が確実に出来る操作を終えた事が分かると共に、前記操作にて使用者が転写した塗膜の終端の密着性を向上させている為、塗膜切断時に、常に切断したい位置で、かつ、その転写した塗膜の端部を一直線上に綺麗に切断させることができる。
【0030】
つまり、従来の塗膜切断の方法では、前述したように、転写押圧力が足りずに、使用者が意図した基点となる位置から塗膜切断することが出来ない場合があり、塗膜切断しようと転写具を被転写面より離間させた際、密着力が弱い為に転写塗膜Sが被転写面から剥離されてしまう場合があるが、本機構を用いて塗膜切断を行うと、上記の問題は生じることがない為、従来の転写具と比較して明らかに有意な効果を得ることが出来る。
また、前記塗膜切断操作によって転写塗膜Sの貼り終わりが綺麗に切断される事により、再び転写具を使用する際の貼り始めの塗膜も綺麗な状態で引き出すことが可能となる。
尚、本実施例では、梁部16cの弾性力を用いて、各部材同士の衝撃音を発生させており、瞬間的に部品同士を接触させている為に、クリアな音を発生させることが出来る。つまり、本構成を採ることによって、その衝撃音が使用者に対しては聞き取り易く設計されている為、綺麗な塗膜切断動作を正常に行えたのかどうかが分かり易くなっている。
【0031】
次に、図24〜図26の図面に基づき第3実施形態の転写具の構成について説明する。筐体2、蓋体3、カートリッジ4の構成については、前記第2実施形態と同様の構成の為、その説明を省略する。また、本第3実施形態では、前記第2実施形態と衝撃音の発生方法は同様の機構を用いている為、その説明を省略するが、カム機構の構成が異なっている為、以下に構成の変更点を詳述する。
前記カム機構20は、摺動子21、コイルばね22、カム筒23の3部品で構成されている。前記摺動子21は、長方体の板状を成しており、その前端部に円柱形状を成した円柱部21aが形成されている。また、前記摺動子21の後端部には、円柱形状を成したスライド部21bが形成されている。その前記スライド部21bであって、その内側面には、長方体形状を成した梁部21cが形成されている。その梁部21cの最先端には、断面形状がほぼ三角形状の突起である乗越リブ21dが形成されている。
また、前記摺動子21の両側面には、断面がほぼ半円弧状のカム筒摺動溝21eが長手方向に形成されている。また、前記摺動子21であって、梁部21cが形成されている逆の面には、『L』字形状の突起として抜止防止部21fが形成されている。
尚、その抜止防止部21fは、摺動子21のスライド部21bの近傍部より突出し、円柱部16aに向かって形成されている。また、抜止防止部21fの天面部であって、その最先端には、断面がほぼ三角形状である突状の抜止リブ21gが形成されている。また、前記円柱部21aの天面部には、コイルばね22の内径とほぼ径が同一の円柱状のコイルばね取付部21hが形成されている。更に、そのコイルばね取付部21hの天面部からは、コイルばね取付部21hよりも径が大きい当接部21iが形成されている。
【0032】
一方、カム筒23は円柱形状を成しており、その天面部から摺動子21の円柱部21a、前記スライド部21bよりも径が大きい円形状の摺動孔23aが形成されている。また、その摺動孔23aを有するカム筒23の内面には、対向した断面形状が半円弧の摺動リブ23bがカム筒23の天面部より後端部にかけて長手方向に形成されている。
さらに、カム筒23の側面であって、その天面部近傍より中間部にかけて、長方形状の抜止防止孔23cが形成されている。また、抜止防止孔23cとは反対のカム筒23の側面には、長方形状の窓穴23dが形成されており、カム筒23の肉厚部であって前記窓穴23dの前方部長手方向側面には、三角形状の突起として乗越リブ23eが形成されている。また、カム筒23の外周面であって後端部近傍には、全周状に溝として蓋体嵌合溝23fが形成されている。
更に、カム筒23の外周面であって、前記窓穴23dの後端部より、その外周上に円筒形状の突起として、コイルばね受部23gが形成されている。ここで、カム機構20として摺動子21、コイルばね22、カム筒23の3部品が構成される場合について以下、詳述する。
コイルばね22は、カム筒23の摺動孔23a側より挿入され、カム筒23の外径部に形成されているコイルばね受部23gでコイルばね22の一端が受けられる。その状態で、次に摺動子21がスライド部21b側から、カム筒23の摺動孔23aに向かい挿入される。この時、摺動子21のカム筒摺動溝21eに対してカム筒23の摺動リブ23bが摺動可能に組付けられ、また、カム筒23の窓穴23dに対して摺動子21の乗越リブ21dが、抜止防止孔23cに対して抜止リブ21gが各々突出可能となるような方向で挿入されることとなる。更に、カム筒23に対して摺動子21を挿入する際は、摺動子21に設けられた梁部21c先端の乗越リブ21dと、抜止防止部21f先端の抜止リブを各々内径方向へと撓ませた状態で、抜止リブ21gの先端が抜止防止孔23cの前方端部を越えるまで押し込む。
【0033】
一方、この時のコイルばね22は、前述したように、その一端側がカム筒23のコイルばね受部23gで当接され、もう一端側は、摺動子21のコイルばね取付部21hの外周にコイルばね22が内嵌される状態となり、当接部21iの底面部と接触した状態で、コイルばね受部23gと当接部21iで保持されるようになっている。この時、カム筒23内に挿入された摺動子21は、コイルばね22からの反力によりカム筒23外へと押し出されるが、カム筒23に設けられた抜止防止孔23cに対して摺動子21の抜止リブ21gの端部が当接する為、カム筒23から摺動子21の抜けが防止された構成となっている。以上がカム機構19としての構成となる。
また、前記第2実施形態と同様に、カム筒23には蓋体嵌合溝23fが設けられており、蓋体3に設けられた嵌合筒3dの嵌合4点リブ3eに組み付けられるよう構成されている。
また、転写具として使用する際も第2実施形態と同様にして、蓋体3の嵌合4点リブ3eに対して、カム機構20の蓋体嵌合溝23fを組み付け、カム機構20が組み付けられた蓋体3の本体取付孔部3aを筐体2の蓋回転軸2cに組み付ける。そして、筐体2の後端開口部2bよりカートリッジ4を転写ヘッド5の方向から挿入し、蓋体3を回転させて、蓋体3の係止爪3cと筐体2の蓋体係止部2dを係合させる。この時、筐体2内に配置してあるカートリッジ4の後端部に配置されてなる壁6jと、カム機構20の当接部21iとが接触した状態となっている。これが転写具として機能させることが出来る形態となる。
【0034】
次に、本実施例の作用について図27、図28の図面を基に説明するが、前記第2実施形態と同様な作用については省略する。第2実施形態と同様にして、カム機構20を用いて転写物を転写する時には、一般的な転写具と同様、転写具1を把持し、転写ヘッド5の押圧部5aを転写対象面に接地させ、転写させる動作によって転写塗膜Sを転写対象面へと転写させる。次に、転写ヘッド5の押圧部5aを被転写対象面から離間させて塗膜切断動作を行う前に、転写具1を転写作業の停止操作の後、塗膜転写時の押圧力以上で被転写対象面に対して押込む。この押し込み動作によって、カートリッジ4を転写具ケース1内へと後退させる。
尚、前記カートリッジ4が転写具1内へと後退すると、カートリッジ4の壁6jと常時当接している摺動子16の当接部21iもカム筒23内へと後退する。その後退するストロークは、カートリッジ4の壁6jがカム筒23の天面に突き当たる迄の距離であり、それ以上後退することは出来ない。
また、カートリッジ4をカム筒23の天面に突き当てる間でカム機構20は作動し、摺動子21の乗越リブ21dの側面とカム筒23の窓穴23dの側面が衝突音を発生させる。その衝突音の発生により、使用者に対して塗膜が綺麗に切断される事が知らされる。
前記押込操作によって、転写塗膜Sを被転写面に対して密着させ、塗膜を引き千切る為の基点を作った為、被転写対象面より転写具1を離間させる事で、前記基点より密着された転写塗膜Sを一直線上に綺麗に切断させる事ができる。尚、本実施形態のカム機構20の摺動子21とカム筒23による押込切断音(摺動子21の乗越リブ21d側面とカム筒23の窓穴23d側面の部材の衝突音)発生時の動作については、前記第2実施形態のカム機構19と同一である為、その説明を省略する。
【0035】
また、実際に転写塗膜Sを切断する為には、転写ヘッド5を被転写面より離間させる必要がある為、次の操作として、被転写対象面へと押し込まれた転写ヘッド5を、図28に示すように押し込まれた状態から、図27に示すような転写状態へと復帰させ、被転写面と接触している転写ヘッド5を離間させる必要がある。
この時のカム機構20の動作としては、転写ヘッド5を被転写対象面から離間させるとともに、前記押し込み操作によって圧縮されていたコイルばね22が、その復元力によって元の状態に戻る作用をすることとなる。このコイルばね22の復元力により、転写ヘッド5を紙面から離すと同時に、圧縮されていたコイルばね22は、摺動子21をカム筒23の外側へと押し戻す作用が発生し、その摺動子21は、図27に示すように押込み操作前の状態へと復元することになる。
その際、前記第2実施形態と同様にして、摺動子21が元の位置へ復帰する過程で、乗越リブ21dの天面部が完全に乗越リブ23eの底面を前進し切ると、その瞬間に、弾性変形していた梁部21cは、その復元力によって元の形状へと復帰する。この時、乗越リブ21d近傍部であって梁部21cの天面部は、カム筒23の乗越リブ23e底面へと接触し、衝撃を与えることで音が発生するようになっている。
これによって、使用者は音によって塗膜切断が確実に出来る操作を終えた事が分かり、前記操作にて使用者が転写した塗膜の終端の密着性を向上させていると共に、塗膜切断時に、常に切断したい位置で、かつ、その転写した塗膜の端部を一直線上に綺麗に切断させることができる。
【0036】
つまり、従来の塗膜切断の方法では、前述したように、転写押圧力が足りずに、使用者が意図した基点となる位置から塗膜切断することが出来ない場合があり、塗膜切断しようと転写具を被転写面より離間させた際、密着力が弱い為に転写塗膜Sが被転写面から剥離されてしまう場合がある。これに対し、本機構を用いて塗膜切断を行うと、上記の問題は生じることがない為、従来の転写具と比較して明らかに有意な効果を得ることが出来る。
また、前記塗膜切断操作によって転写塗膜Sの貼り終わりが綺麗に切断される事により、再び転写具を使用する際の貼り始めの塗膜も綺麗な状態で引き出すことが可能となる。さらに、本実施形態では、梁部16cの弾性力を用いて、各部材同士の衝撃音を発生させており、瞬間的に部品同士を接触させている為に、クリアな音を発生させることが出来る。つまり本構成を採ることによって、その衝撃音が使用者に対しては聞き取り易く設計されている為、綺麗な塗膜切断動作を正常に行えたのかどうかが分かり易くなっている。
また、本実施形態は第2実施形態のコイルばねの取付位置を、カム筒内からカム筒外へと変更したものである。その結果、コイルばねの取付位置をカム筒外へと配置変更することによって、カム機構の外径方向に径は太くなってしまうが、一方で、カム筒内へコイルばねを取り付けていた場合よりも全長方向に対しては短く設計することができる。つまり、カム筒内にコイルばねを配置した場合は、コイルばねの取付長が必要となってしまうが、カム筒外にコイルばねを配置位置を変えることで全長方向の無駄なストロークをなくすことができる。よって、本実施形態のカム機構の構成を採ることで、カム機構の全長を短くすることが出来、また、それによって転写具全体の全長を短く、コンパクトに設計することができる。
【符号の説明】
【0037】
K 基材テープ
S 転写塗膜
T 転写テープ
1 転写具
2 筐体
2a 前端開口部
2b 後端開口部
2c 蓋回転軸
3 蓋体
3a 本体取付孔部
3b 係止板
3c 係止爪
3d 嵌合筒
3e 嵌合リブ
4 カートリッジ
5 転写ヘッド
5a 押圧部
5b テープガイド
5c 突起
5d 突起
5e ヘッド回転軸部
6 右側板
6a 繰出支持円筒
6b 逆転防止溝
6c 上下固定部
6d ヘッド軸受部
6e 巻取支持円筒
6f 中間ギア支軸
6g 組付部
6h 組付部
6i 組付部
6j 壁
6k カートリッジ摺動リブ
7 左側板
7a 上下固定部
7b ヘッド軸受部
7c 繰出支持受部
7d 巻取支持受部
7e 組付部
7f 組付部
7g 組付部
7h カートリッジ摺動リブ
8 繰出ギア
8a 回転軸部
8b 平歯車部
8c 繰出コア受部
8d スリップ部
8e 貫通穴
8f 係合部
8g 「コ」の字型の溝
8h 係合爪
9 繰出コア
10 巻取ギア
10a 平歯車部
10b 溝
11 中間ギア
12 カム機構
13 摺動子
13a 大円筒部
13b 中円筒部
13c 小円筒部
13d 抜止リブ
13e 乗越リブ
13f 当接部
14 コイルばね
15 カム筒
15a 摺動孔
15b スリット
15c 貫通溝
15d 乗越リブ
15e 蓋体嵌合溝
16 摺動子
16a 当接部
16b コイルばね受部
16c 梁部
16d 乗越リブ
16e カム筒摺動溝
16f 抜止防止部
16g 抜止リブ
17 コイルばね
18 カム筒
18a 摺動孔
18b 摺動リブ
18c 抜止防止孔
18d 窓穴
18e 乗越リブ
18f 蓋体嵌合溝
19 カム機構
20 カム機構
21 摺動子
21a 円柱部
21b スライド部
21c 梁部
21d 乗越リブ
21e カム筒摺動溝
21f 抜止防止部
21g 抜止リブ
21h コイルばね取付部
21i 当接部
22 コイルばね
23 カム筒
23a 摺動孔
23b 摺動リブ
23c 抜止防止孔
23d 窓穴
23e 乗越リブ
23f 蓋体嵌合溝
23g コイルばね受部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内部には塗膜転写具用カートリッジが前後動可能に配置されていると共に、その塗膜転写具用カートリッジの前部には転写ヘッドが設けられており、一方、塗膜転写具用カートリッジの後部には、その塗膜転写具用カートリッジを前方に向け付勢するカム機構が設けられており、そのカム機構は、弾撥部材と筒体と、その筒体内を移動可能とした摺動部材とから構成されていると共に、その摺動部材と前記筒体に、それら摺動部材と筒体との相対的な移動の過程において係合し、解除する突起を形成したことを特徴とする塗膜転写具。
【請求項2】
前記突起の少なくとも一方を弾性変形可能な突起としたことを特徴とする請求項1記載の塗膜転写具。
【請求項3】
前記弾撥発部材を筒体の外周に配置したことを特徴とする請求項1、或いは、請求項2に記載の塗膜転写具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−91479(P2012−91479A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243023(P2010−243023)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】