説明

塗装機械部品、具体的にはベルカップ、およびその製造方法

本発明は、塗装機械部品(1)、具体的には、回転アトマイザー(2)用のベルカップ(1)に関連する。それは、成形された基体(4、7)と、塗装機械部品(1)の、機械的強度を増すため、および/または、化学的および/または電気的および/または摩擦的な機能を向上させるため、の機能的要素(5、6、8)と、を有し、機能的要素(5、6、8)が基体(4、7)よりも大きな質量密度を有する材料から構成されることを特徴とする。本発明によれば、機能的要素(5、6、8)は、基体(4、7)の少なくとも一部に塗布されるコーティング(5、6、8)である。さらに、本発明は対応する製造方法に関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装機械部品、具体的には回転アトマイザー用のベルカップ、および好適な製造方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
車両部品を塗装する現代の塗装工場においては、塗料にかかる遠心力によって塗布される塗料を噴霧および霧化する高速回転ベルカップを有する塗料塗布機器として、回転アトマイザーが主として用いられる。
【0003】
そのようなベルカップを設計する1つの目的は、非常に大きな回転速度のために駆動ユニットとして作動する軸受ユニットまたは圧縮空気タービンにベルカップが及ぼす機械的荷重を低減するために、軽量化を実現することである。さらに、ベルカップの軽量化によって、ベルカップにブレーキをかける際および加速する際に生じる力を最小化し、それゆえに発生する事故の高いリスクを下げ、そしてベルカップの飛び出しの危険性を低減する、という長所がもたらされる。
【0004】
他方、ベルカップの構造は十分な回転速度強度を実現する必要があり、用いられる材料は十分な強度を示す必要がある。それゆえ、軽量に対して十分な強度を得るために、従来型のベルカップは通常チタンまたはアルミニウムから構成される。
【0005】
いわゆる結合ベルカップは、特許文献1および特許文献2からも知られている。軽量かつ高い強度のベルカップを得るために、そのような結合ベルカップは比較的小さな強度を有する軽量材料と大きな強度を有する重量材料から構成される材料の組み合わせで構成される。そのため、結合ベルカップはさまざまな材料で構成された多くの部品で構成され、さまざまな部品は組み立て中にお互いに結合される。しかしながら、そのようなタイプの結合ベルカップでもなお、一方における軽量化だけでなく他方における高い強度も得るという設計目標の間の満足のいく妥協を実現していない。
【0006】
さらなるコーティングが、特許文献3、特許文献4、特許文献5および特許文献6から知られている。
【0007】
完全を期するため、摩擦低減コーティングまたは摩耗低減コーティングを有する従来型のベルカップにも言及されるべきであるが、コーティングはベルカップの重量および機械的強度には全く影響を及ぼさない。摩耗低減コーティングまたは摩擦低減コーティングを有するそのようなベルカップは、たとえば、特許文献7および特許文献8から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第1317962号明細書
【特許文献2】独国実用新案第202007015115号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第4439924号明細書
【特許文献4】米国特許第4398493号明細書
【特許文献5】国際公開第90/01568号
【特許文献6】米国特許第5249554号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第10112854号明細書
【特許文献8】独国特許第102006022057号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そのため、本発明の目的は、軽量かつ高い強度のベルカップを提供することにある。本発明のさらなる目的は、好適な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本目的は、独立項に係る、本発明に係る塗装機械部品および対応する製造方法によって実現される。
【0011】
本発明は、塗装機械部品(たとえばベルカップ)が、形状形成基体と、機能的要素と、を有し、機能的要素が、塗装機械部品の、機械的強度の増加、および/または、化学的および/または電気的および/または摩擦的な機能の向上を得るのに役立ち、形状形成基体の質量密度よりも大きな質量密度を有する材料から構成される、という全体的な技術的教示を含む。本発明によれば、機能的要素がベルカップの別個の独立した部品として設計されるのではなく、代わりに、基体の少なくとも一部に塗布され、基体に接続されるコーティングから構成されるという特徴が提供される。
【0012】
本発明の好ましい態様においては、基体上の層状の機能的要素は、形状形成基体の質量密度よりも大きな質量密度と、より大きな強度とを有する材料から構成される硬化性要素である。そのため、基体上のコーティングは、基体と、それゆえに完成された塗装機器部品との機械的強度を上げる。そのことは、ベルカップの回転速度強度を増加させるためにベルカップにとってとりわけ有利である。これらの従来型のコーティングは、ベルカップの剛性も、それゆえにベルカップの回転速度強度も改善せず、たんに研磨機械荷重を印加する時の耐用年数を改善するにすぎないので、摩擦低減コーティングまたは摩耗低減コーティングを有する上述の従来型のベルカップと比べて、このような方法で必須の差が実現される。本発明に係る塗装機械部品(例:ベルカップ)に関しては、機械的強度を増すコーティングが塗装機械部品の剛性を顕著に向上させるので、機械的強度を増すコーティングを有する塗装機械部品の剛性が規定の要件を満たす一方、強度を増すコーティングを有しない基体それ自体は規定の要件を満たさないだろう。
【0013】
しかしながら、その代わり、塗装機械部品の機械的強度を増すためだけでなく、塗装機械部品の電気的な機能を向上させるためにも機能的要素が役立つ可能性もある。たとえば、基体を構成する材料とは異なる導電率を有する材料からコーティングが構成され得る。
【0014】
層状の機能的要素が塗装機械部品を化学的に機能を向上させる可能性もある。これをするために、形状形成基体を構成する材料とは異なる化学的特性を有する材料からコーティングが構成され得る。
【0015】
さらに、本発明の一部として、機械的強度の増加、電気的機能の向上、摩擦および化学的機能の向上の上述の新しい変形を一緒に組み合わせる可能性もある。
【0016】
たとえば、基体用のコーティングが、金属コーティング、セラミックコーティング、ダイヤモンドセラミックコーティング、炭素含有コーティング、および/または、たとえばブランド名MetaFuse(登録商標)でデュポン社によって提供されるナノ結晶金属コーティングのようなナノ結晶コーティングであり得る。コーティングはまた、有機物、無機物または金属物質もしくはこれらの混合物からも構成され得る。
【0017】
本発明の好ましい一態様においては、コーティングは、数ナノメートルから数ミリメートルまでの範囲となり得る層厚さを有する。そのため、層厚さは、好ましくは、1nm、5nm、10nm、100nmより大きく、もしくは、さらに1mmよりも大きい。さらに、層厚さは、好ましくは、5mm、2mm、1mm、500nm、200nmより小さく、もしくはさらに100nmよりも小さい。しかしながら、機能化されたコーティングの層厚さに関して、本発明は上述の数値範囲に限定されるものではなく、他の層厚さもとり得る。
【0018】
さらに、本発明の一部として、機能化されたコーティングが、異なる特性を有し、積み重なって位置する複数の層で構成される可能性がある。たとえば、機能化されたコーティングは、摩耗低減コーティング、剛性増加コーティング、固着防止コーティング、および/または、耐化学薬品コーティングから構成され得る。もし機能化されたコーティングが固着防止コーティングを含むのならば、固着防止コーティングが、0.3、0.2、0.1よりも小さい、もしくは、さらに0.05よりも小さい摩擦係数を有することが好ましい。固着防止コーティングの摩擦係数は好ましくは0.02〜0.3の範囲であり、摩擦係数は乾燥条件における鋼に対して測定される測定値に基づいている。
【0019】
さらに、本発明の一部として、コーティングがコーティング層の方向に横向きの材料勾配を有し、層の方向に横向きの材料勾配に沿ってコーティングにおける材料特性が変化するという可能性がある。本発明の一変形においては、材料勾配が少なくとも1つの層の内部で起こり、関連する層の内部で材料特性が変化する。他方、本発明の他の変形においては、材料勾配が複数の層にわたってコーティングの内部で起こり、コーティングにおける材料特性が複数の層にわたって変化し得る。たとえば、コーティング、および/または、コーティングの個々の層が、その内側からその外側に向けて次第に硬くなる可能性がある。
【0020】
さらに、機能性コーティングが基体の少なくとも一部に塗布されるという事実に言及されるべきである。一方、本発明の一部として、基体の全表面が機能性コーティングによって覆われる可能性が生まれる。しかしながら、他方、機能性コーティングが基体の表面の一部にのみ塗布される可能性もある。
【0021】
さらに、たとえば、基体の重量を低減するために基体がキャビティを有し、機能性コーティングが基体のキャビティの内壁に塗布され得る可能性もある。
【0022】
本発明の一部として、模倣品(Plagiat)と純正部品(Originalteil)とを区別できるために、コーティングにドーパントをドープすることもできる。ベルカップは一定の安全要件を満たす必要があるので、とりわけこれは有意義である。ドーパントによる層のドーピングは半導体の技術分野においても知られており、それゆえにこれ以上の詳細をここに記載する必要はない。コーティングをドーピングするプロセスにおいては、同じ方法で純正部品の全てをドープすることが可能であり、個々の純正部品の間では区別することができなくても、ドーピングに基づいて模倣品を認識することが可能である。本発明の一部として、符号化に基づいて個々の純正部品を後に個別に特定することができるために、個々の純正部品の符号化がドーピングプロセスの一部として行われる可能性もある。たとえば、ドーピング強度、ドーピング位置、および/または、ドーパントを変化させて、個々の塗装機械部品の符号化を行うことができる。
【0023】
上記記載から、塗装機械部品が、好ましくは、塗装される部品のうちの1つに塗装剤を塗布するために用いられていた回転塗布要素であることが既に明らかである。そのような塗布要素の例は、回転アトマイザー用のベルカップおよび噴霧ディスクである。
【0024】
しかしながら、本発明の記述で用いられる塗装機械部品という用語は、塗布要素に限定されるものではなく、数例挙げるだけだが、色変換器、霧化パーツ、定量ポンプ、ロボットのパーツのような塗装プラントの全ての構成要素をも含む。
【0025】
基体と、さらなる強度の増加がもたらされるコーティングとは、好ましくは、コーティングを有しない基体が適切な回転速度強度を有しないが、コーティングを有する完成品の状態ではそれを有するように設計される。
【0026】
さらに、基体を軽量化するために、基体が、好ましくは、プラスチックまたはプラスチック複合材料から構成されていることにも言及される。しかしながら、本発明は、基体を構成する材料としてのプラスチックに限定されるものではなく、他の利用可能な軽量材料を用いることによっても実現され得る。
【0027】
本発明によって、1g/cmから5g/cmの範囲に入り得る平均質量密度を有し、基体と機能的要素とを一緒に有する、比較的軽量な塗装機械部品の実現が可能となる。
【0028】
さらに、本発明に係る塗装機械部品は、一方の、機能的要素を構成する材料の機械的強度と、他方の、基体を構成する材料の強度との間に存在する一定の強度比を有し、機能的要素を構成する材料は通常、基体を構成する材料よりもきわめて大きな強度を有する。引張強度に関する強度比は、好ましくは少なくとも1:4である。
【0029】
さらに、本発明に係る塗装機械部品(例:ベルカップ)は、機能的要素を構成する材料の質量密度と、基体を構成する材料の質量密度との間に存在する一定の質量密度比を有し、機能的要素を構成する材料は通常、基体を構成する材料よりもきわめて大きな質量密度を有する。質量密度比は、好ましくは1:20〜1:2の範囲である。
【0030】
さらに、本発明に係る塗装機械部品は、基体を構成する材料の厚さと、コーティングの層厚さとの間に存在する一定の厚さ比を有し、厚さ比は、好ましくは100000:1〜1:1の範囲である。たとえば、厚さ比は、1:20〜1:2の範囲をとり得る。
【0031】
さらに、本発明は単一のベルカップに限定されるものではなく、本発明に係るベルカップを有する回転アトマイザーも含むことにも言及される。
【0032】
さらに、本発明は、上述の、本発明に係るベルカップを有する塗料塗布機器として回転アトマイザーを有する多軸塗装ロボットのような塗装機器をも備える。
【0033】
本発明は、最終的には、新しい塗装機械部品を製造する好適な製造方法をも含み、本発明に係る製造方法の一部として、機能性コーティングが基体に塗布される。
【0034】
塗装、浸漬(Tauchen)、プラズマコーティング、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)、プラズマCVD(PACVD)、無電流金属蒸着もしくは亜鉛めっきのような様々な方法がこれをするのに用いられ得て、上述のコーティング方法のいずれかの所望の組み合わせもまた可能である。
【0035】
さらに、たとえば、独国特許出願第102008047118.6号明細書に記載されたような高速プロトタイピング法を用いて基体が製造され得ることにも言及されるべきである。
【0036】
あるいは、射出成形法を用いて、または、材料切削法によって、基体が作られる可能性もある。
【0037】
さらに、本発明によって、これらがコーティングによって紫外線から完全に保護され得るので、たとえば光造形法のために用いられる非耐光性ポリマー(例:UV架橋ポリマー)の使用が可能になる。
【0038】
材料の混合で基体を作る可能性もある。たとえば、金属パーツが基体に含まれ得て、金属パーツがねじ込まれ、たとえば、成形され、射出され得る。そのため、たとえば、タービンへの連結部が金属パーツからなることが有意義であり得る。
【0039】
本発明の他のさらなる有利な態様は従属項において特徴づけられるか、もしくは図面を用いて本発明の好ましい実施態様の記載とともに詳細が後述される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】回転アトマイザーに搭載された状態の従来型のベルカップの断面図である。
【図2】重量低減用キャビティおよび機械的強度を増すコーティングを有する、本発明に係るベルカップの一部の断面図である。
【図3】他の実施態様における、本発明に係るベルカップの一部の断面図である。
【図4】基体および単層コーティングを有する、本発明に係るベルカップの表面エリアの断面図である。
【図5】4層のコーティングを有する、図4に係る実施態様の変形の図である。
【図6】2層のコーティングを有する、図4に係る実施態様の変形の図である。
【図7】図2における実施態様の変形の図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1における断面図は、部分的にのみ示されている回転アトマイザー2に搭載された状態の従来型のベルカップ1を示す。軽量に対しての高い強度および好適な高速回転速度強度を得るために、ベルカップ1は従来、チタンまたはアルミニウムから構成されている。重量を最小化するためにベルカップ1はキャビティ3も有しているが、図1には示されていない。
【0042】
図2は、上述され、図1に示されるベルカップ1と部分的に一致する、本発明に係るベルカップ1の断面図を示し、繰り返しを避けるため、対応する細部に用いられる同一の参照符号を伴う上記記載が参照される。
【0043】
本発明に係るベルカップ1の一つの特徴は、ベルカップ1がプラスチックで作られた形状形成基体4を有し、それゆえに比較的軽量であることである。他方、アルミニウムまたはチタンで作られた図1に係る従来型のベルカップと比較して、基体4はきわめて低い機械的強度を有する。
【0044】
そのため、求められる機械的強度に達するために、基体4は機械的強度を増すコーティング5を備える。さらに、キャビティ3の内壁も機械的強度を増すコーティング6を備え、ベルカップ1の高い機械的強度を得る。
【0045】
本実施態様においては、コーティング5、6は、500μmの層厚さを有するナノ結晶金属層からなる。
【0046】
図3に示される実施態様もまた、図2において説明された上述の実施態様と大部分一致するので、繰り返しを避けるために、対応する細部に用いられる同一の参照符号を伴う上記記載が参照される。
【0047】
本実施態様の一つの特徴は、ベルカップ1がキャビティ3を有するのではなく、代わりに、その外側にコーティング5が設けられることである。
【0048】
図4における断面図は、模式的形態において、塗装機械部品の機能を向上させるための基体7上の単層のコーティング8を有する塗装機械部品の基体7を示す。本実施態様におけるコーティング8はナノ結晶金属層である。
【0049】
図5に示される実施態様は図4において説明された上述の実施態様と部分的に一致するので、繰り返しを避けるため、対応する細部に用いられる同一の参照符号を伴う上記記載が参照される。
【0050】
本実施態様の一つの特徴は、コーティング8が単層ではなく、代わりに、積み重なって位置する4つの層8.1〜8.4で構成されていることである。層8.1〜8.4はさまざまな材料特性を有し、内側から外側に向けてコーティング8の内部に材料勾配が形成される。たとえば、コーティング8における強度、硬度および/または導電率は、その内側からその外側に向けて増加し得る。
【0051】
同様に、図6に関する実施態様は、上記記載および図4および5に示される実施態様と大部分一致するので、繰り返しを避けるため、対応する細部に用いられる同一の参照符号を伴う上記記載が参照される。
【0052】
本実施態様の一つの特徴は、コーティング8が2層であり、片方が他方の上に位置する2つの層8.1および8.2を有することである。本実施態様における外側の層8.1は、導電性か絶縁性のどちらであってもよい固着防止層である。他方、下に位置する層8.2は、ナノ結晶金属層または他の導電層である。
【0053】
図7に示される実施態様は図2で説明された上述の実施態様と大部分一致するので、繰り返しを避けるため、対応する細部に用いられる同一の参照符号を伴う上記記載が参照される。
【0054】
本実施態様の特徴は、キャビティ3の内壁がコーティングされていないことである。
【0055】
本発明は上述の実施態様に限定されるものではない。むしろ、多くの可能な変形や修正が存在し、それらは同様に本発明の思想を利用し、それゆえに保護の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 ベルカップ
2 回転アトマイザー
3 キャビティ
4 基体
5 コーティング
6 コーティング
7 基体
8 コーティング
8.1−8.4 層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装機械部品(1)、具体的には回転アトマイザー(2)用のベルカップ(1)であって、
a)形状形成基体(4、7)と、
b)前記塗装機械部品(1)の、機械的強度を増すため、および/または、化学的および/または電気的および/または摩擦的な機能の向上のため、の機能的要素(5、6、8)と、
を備え、
前記機能的要素(5、6、8)が前記基体(4、7)よりも大きな質量密度を有する材料から構成され、
c)前記機能的要素(5、6、8)が、前記基体(4、7)に少なくとも一部が塗布されるコーティング(5、6、8)である、
ことを特徴とする塗装機械部品(1)。
【請求項2】
前記機能的要素(5、6、8)が、前記基体(4)を構成する材料と比較してより大きな質量密度とより大きな強度とを有する材料から構成される硬化性要素である、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗装機械部品(1)。
【請求項3】
a)前記コーティング(5、6、8)の材料が、前記基体(4、7)を構成する材料とは異なる電気的特性、具体的には異なる導電率、を有し、および/または、
b)前記コーティング(5、6、8)の材料が、前記基体(4、7)を構成する材料とは異なる化学的特性を有し、および/または、
c)前記コーティング(5、6、8)の材料が、前記基体(4、7)を構成する材料とは異なる摩擦特性を有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の塗装機械部品(1)。
【請求項4】
前記コーティング(5)が、
a)金属コーティングであり、
b)セラミックコーティングであり、
c)ダイヤモンドセラミックコーティングであり、
d)炭素含有コーティング(5、6、8)であり、および/または、
e)ナノ結晶コーティング(5、6、8)であり、および/または、
f)有機物、無機物または金属物質もしくはこれらの混合物から構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の塗装機械部品(1)。
【請求項5】
前記コーティング(5、6、8)が、
a)1nm、5nm、10nm、50nm、100nm、200nm、500nm、1mm、2mmまたは5mmより大きく、および/または、
b)5mm、2mm、1mm、500nm、200nmまたは100nmよりも小さい、
層厚さを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の塗装機械部品(1)。
【請求項6】
a)前記コーティング(5、6、8)が、異なる特性を有し、積み重なって位置する複数の層(8.1〜8.4)を有し、および/または、
b)前記コーティング(5、6、8)が材料勾配を有し、材料特性が前記材料勾配に沿って変化し、および/または、
c)前記材料勾配が前記層(8.1〜8.4)の少なくとも1層において起こり、前記材料特性が前記層の内部で変化し、または、
d)前記材料勾配が複数の層(8.1〜8.4)にわたって前記コーティング(5、6、8)において起こり、前記材料特性が複数の層(8.1〜8.4)にわたって前記コーティング(5,6、8)において変化し、および/または、
e)前記コーティング(5、6、8)および/または前記コーティング(5、6、8)の個々の前記層(8.1〜8.4)が、内側から外側に向けて次第に硬くなる、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の塗装機械部品(1)。
【請求項7】
前記コーティング(5、6、8)が、
a)摩耗低減層、および/または、
b)剛性増加層、および/または、
c)固着防止層またはスライド層、具体的には、0.3、0.2、0.1または0.05より小さい摩擦係数を有する固着防止層または摩擦低減層、および/または、
d)耐化学薬品層、および/または、
e)粘着性低減層、
である層(8.1〜8.4)を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の塗装機械部品(1)。
【請求項8】
前記コーティング(5、6、8)が、前記塗装機械部品(1)におけるキャビティ(3)の内壁の少なくとも一部に塗布される、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の塗装機械部品(1)。
【請求項9】
前記コーティング(5、6、8)にドーパントがドープされる、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の塗装機械部品(1)。
【請求項10】
a)前記塗装機械部品(1)が、塗装される部品のうちの1つに塗装剤を塗布するために用いられていた回転塗布要素であり、具体的には回転アトマイザー(2)用のベルカップ(1)または噴霧ディスクであり、および/または、
b)前記コーティング(5、6、8)を有しない前記基体(4、7)は、好適な回転速度強度を有しないが、前記コーティング(5、6、8)を有する完成品の状態では好適な回転速度強度を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の塗装機械部品(1)。
【請求項11】
前記基体(4、7)と前記機能的要素(5、6、8)とをともに有する前記塗装機械部品(1)が、
a)0.5g/cmまたは1g/cmより大きく、および/または、
b)10g/cm、7g/cmまたは5g/cmより小さい、
平均質量密度を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の塗装機械部品(1)。
【請求項12】
a)前記機能的要素(5、6、8)の材料の強度と、前記基体(4、7)の材料の強度との間に一定の強度比が存在し、前記強度比が1、2または3より大きく、および/または、20、10、5または4よりも小さく、および/または、
b)前記機能的要素(5、6、8)の材料の質量密度と、前記基体(4、7)の材料の質量密度との間に一定の質量密度比が存在し、前記質量密度比が1、2または4より大きく、および/または、50、40、20または10よりも小さく、および/または、
c)前記基体(4、7)の材料厚さと、前記コーティング(5、6、8)の層厚さとの間に一定の厚さ比が存在し、前記厚さ比が、1、10、100、1000、10000または100000よりも大きく、および/または、100000、10000、1000または100よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の塗装機械部品(1)。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のベルカップ(1)または噴霧ディスクを有する回転アトマイザー(2)。
【請求項14】
請求項13に記載の回転アトマイザー(2)を有する塗装機器、具体的には多軸塗装ロボット。
【請求項15】
塗装機械部品(1)、具体的には請求項1乃至12のいずれか1項に記載の、具体的には回転アトマイザー(2)用のベルカップ(1)または噴霧ディスク、を製造する方法であって、
a)形状形成基体(4、7)を設ける工程と、
b)前記塗装機械部品(1)の、機械的強度を増すため、および/または、化学的および/または電気的および/または摩擦的な機能の向上のため、の機能的要素(5、6、8)を設ける工程と、
を含み、
前記機能的要素(5、6、8)が前記基体(4、7)よりも大きな質量密度を有する材料から構成され、
c)前記機能的要素(5、6、8)が、前記基体(4、7)の少なくとも一部に塗布されるコーティング(5、6、8)である、
ことを特徴とする製造方法。
【請求項16】
以下の群から選択される1つの方法を用いて、
a)塗装
b)浸漬
c)プラズマコーティング
d)化学気相成長法
e)物理気相成長法
f)プラズマ化学気相成長法
g)無電流金属蒸着
h)亜鉛めっき
前記コーティング(5、6、8)が前記基体(4、7)に塗布される、
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
a)前記基体(4、7)が、発生的製造方法、具体的には高速プロトタイピング法、によって製造され、または、
b)前記基体(4、7)が、プラスチック形成法、具体的には、射出成形法または材料切削法、によって製造される、
ことを特徴とする請求項15または16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−508098(P2012−508098A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535040(P2011−535040)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007841
【国際公開番号】WO2010/051958
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(504389784)デュール システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (54)
【Fターム(参考)】