説明

塩素含有廃棄物の脱塩装置及び脱塩方法

【課題】設備コスト及び処理コストを低く抑えながら、塩素含有廃棄物を脱塩して資源化する。
【解決手段】セメント焼成装置2のプレヒータ7の排ガスG4によって蒸気Sを加熱し、過熱蒸気SSを生成する廃熱ボイラ15と、廃熱ボイラ15で生成した過熱蒸気SSによって塩素含有廃棄物Wを加熱し、塩素含有廃棄物Wを脱塩するロータリーキルン式の加熱炉17と、加熱炉17から排出される排ガスG5を、塩素バイパス装置3のサイクロン11で回収したダストの粗粉D1と接触させ、排ガスG5中の塩素分と粗粉D1中のカルシウム分とを反応させる第1のガス処理部18とを備えた脱塩装置4。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素含有廃棄物の脱塩装置及び脱塩方法に関し、特に、プラスチック廃棄物を脱塩して資源化する脱塩装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種廃棄物の原料化又は燃料化によるリサイクルが推進され、プラスチック廃棄物(以下、「廃プラスチック」という)においても資源化が求められている。しかし、廃プラスチックは塩素を多く含有するため、例えば、燃料として用いた場合、燃焼炉の腐食や、塩化物の生成によるコーティングトラブルを招くなどの問題が生じる。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、廃プラスチックを脱塩しつつ、油分等の有価物を効率的に回収する方法として、廃プラスチックを300〜500℃の過熱蒸気により加熱して減容化した後、減容化した被処理物を更に500〜600℃の過熱蒸気により加熱して熱分解し、熱分解により発生したガスを液化して油を回収する処理方法が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、廃プラスチックのリサイクルを前提としたものではないが、埋め立て処理に代わる処理方法を提供するものとして、過熱蒸気を用いて廃プラスチックを乾留するとともに、乾留後のカーボン残渣を焼却する乾留兼焼却炉と、乾留によって発生した塩化水素ガスを水に吸収させて回収する回収装置とを備えた処理装置が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、タールを発生させることなく有機系廃棄物を加熱処理する方法として、廃プラスチックを含む廃有機系廃棄物を投入したロータリーキルン式のガス化炉内に、600〜1000℃の高温水蒸気を吹き込み、有機系廃棄物をガス化させる処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−359897号公報
【特許文献2】特開平10−216674号公報
【特許文献3】特開2000−296378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1〜3に記載の処理方法のように、加熱処理により廃プラスチックを脱塩した場合、塩化水素(HCl)ガスが発生するため、発生したガスをアルカリ性物質と接触させて中和する必要がある。中和処理用のアルカリ性物質には、一般にNaOHが用いられるが、必要量を購入して使用すると、廃プラスチックの塩素濃度によっては、薬剤コストが廃プラスチックの燃料としての価値を上回り、経済的に成り立たなくなる。
【0008】
また、過熱蒸気による廃プラスチックの加熱処理は、廃プラスチック中の可燃分を残しながら塩素のみを除去し得る方法として有望視されるものであるが、特許文献1〜3に記載の処理方法においては、火炎により蒸気を加熱して過熱蒸気を生成するため、過熱蒸気を生成するための専用の燃焼設備や燃料が必要になり、設備コスト及び処理コストの高騰を招く。また、過熱蒸気の生成に燃料を使用すると、燃料を用いて廃棄物を燃料化することになり、有意義でない。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、処理コストを低く抑えながら、塩素含有廃棄物を脱塩して資源化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、塩素含有廃棄物の脱塩装置であって、燃焼炉から排出される廃熱を利用して塩素含有廃棄物を加熱し、該塩素含有廃棄物を脱塩する加熱手段と、該加熱手段から排出される塩化水素ガスを、該燃焼炉で発生したCaOを含む物質と接触させる塩素処理手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
そして、本発明によれば、塩化水素ガス中の塩素分をCaOを含む物質に吸着させて除去することができる。その際、CaOを含む物質として、燃焼炉で発生したものを利用するため、塩化水素ガスを処理するための薬剤を購入する必要がなくなり、処理コストを大幅に低減することが可能になる。
【0012】
ここで、塩素含有廃棄物とは、廃プラスチックを代表例とするものであって、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等の有機塩素を、構成単位となるモノマー中に少なくとも一つ含むものを言う。
【0013】
また、CaOを含む物質は、成分としてCaOを含むものであれば、特に限定されるものでなく、例えば、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ドロマイト(CaMg(CO32)等を用いることができる。しかし、炭酸カルシウムやドロマイトは、塩化水素ガスとの反応性が生石灰よりも低く、消石灰の場合は、燃焼炉を備えた製造工程で生じるCaOを(CaOH)2に転化させるための工程が余分に必要となる。反応性と吸収剤への転用の容易さを考慮すれば、生石灰が好適である。
【0014】
上記塩素含有廃棄物の脱塩装置において、前記燃焼炉の廃熱によって蒸気を加熱し、過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成手段を備え、前記加熱手段が、前記過熱蒸気生成手段で生成した過熱蒸気によって塩素含有廃棄物を加熱することができる。
【0015】
上記構成によれば、塩素含有廃棄物の燃焼を避けて脱塩することができ、また、塩化水素ガス中の塩素分とCaOを含む物質との反応を促進することもできる。さらに、上記構成においては、燃焼炉の廃熱を利用して過熱蒸気を生成するため、過熱蒸気を生成するための専用の燃焼設備や燃料が不要となり、設備コスト及び処理コストを低く抑えながら、塩素含有廃棄物を脱塩して資源化することができる。
【0016】
上記塩素含有廃棄物の脱塩装置において、前記燃焼炉をセメントキルンとし、前記CaOを含む物質を、前記セメントキルンに付設される塩素バイパス装置で回収されるダスト、又は、プレヒータから抜き出したボトム原料とすることができる。これによれば、セメント製造工場内で通常的に使用又は発生するものを有効利用して塩素含有廃棄物を脱塩することができ、処理コストを低減することが可能になる。
【0017】
上記塩素含有廃棄物の脱塩装置において、前記塩素バイパス装置が、セメントキルンの窯尻から最下段サイクロンに至るまでのセメントキルン排ガス流路より燃焼ガスの一部を抽気するプローブと、抽気ガスからダストの粗粉を分離する分級機とを備え、前記CaOを含む物質を、前記分級機で分離された粗粉とすることができる。
【0018】
上記塩素含有廃棄物の脱塩装置において、前記燃焼炉が生石灰炉であり、前記CaOを含む物質を、前記生石灰炉で生成された生石灰とすることができ、特に、製品化できない生石灰を利用することができる。これによれば、生石灰製造設備で発生した不要品を有効利用して塩素含有廃棄物を脱塩することができ、不要品を効率的に処理しながら、塩素含有廃棄物の処理コストを低減することが可能になる。
【0019】
上記塩素含有廃棄物の脱塩装置において、前記加熱手段を、ロータリーキルン式の加熱炉とすることができ、これによれば、安定した連続運転が可能になる。
【0020】
上記塩素含有廃棄物の脱塩装置において、前記過熱蒸気生成手段を廃熱ボイラとすることができる。
【0021】
また、本発明は、塩素含有廃棄物の脱塩方法であって、燃焼炉から排出される廃熱を利用して塩素含有廃棄物を加熱し、該塩素含有廃棄物を脱塩する脱塩工程と、該脱塩工程によって発生する塩化水素ガスを、該燃焼炉で発生したCaOを含む物質と接触させる処理工程とを備えることを特徴とする。本発明によれば、前記発明と同様に、処理コストを低く抑えながら、塩素含有廃棄物を脱塩して資源化することができる。
【0022】
上記塩素含有廃棄物の脱塩方法において、前記燃焼炉の廃熱により蒸気を加熱して過熱蒸気を生成する工程を備え、前記脱塩工程で、前記過熱蒸気によって塩素含有廃棄物を加熱することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、処理コストを低く抑えながら、塩素含有廃棄物を脱塩して資源化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明にかかる塩素含有廃棄物の脱塩装置を適用したセメント製造工場の一実施の形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
本発明にかかる塩素含有廃棄物の脱塩装置は、製造過程でCaOを含む物質を発生させるセメント製造及び生石灰製造等の設備との複合使用を好ましい実施態様とする。以下においては、本発明の脱塩装置をセメント製造設備と複合化する場合を例にとって説明する。
【0027】
図1は、本発明にかかる塩素含有廃棄物の脱塩装置を適用したセメント製造工場の一実施の形態を示し、このセメント製造工場1には、大別して、セメントキルン5、仮焼炉6及びプレヒータ7等を備えるセメント焼成装置2と、セメントキルン5の窯尻8からプレヒータ7の最下段サイクロン7Aに至るまでのセメントキルン排ガス流路より燃焼ガスの一部を抽気して塩素を除去する塩素バイパス装置3と、廃プラスチック等の塩素含有廃棄物Wを脱塩する脱塩装置4とが設置される。
【0028】
セメント焼成装置2のセメントキルン5、仮焼炉6及びプレヒータ7は、セメント製造のための一般的な設備であり、また、従来のセメント焼成装置で使用されるものと同様であるため、これらについての詳細説明は省略する。尚、セメント焼成装置2には、プレヒータ7の排ガスG4を利用して発電する発電機16が付設される。
【0029】
塩素バイパス装置3は、上記のセメントキルン排ガス流路より燃焼ガスの一部を抽気するプローブ10と、プローブ10で抽気した抽気ガスG1からダストの粗粉D1を分離する分級機としてのサイクロン11と、微粉D2を含むサイクロン11の排ガスG2に含まれるダストの微粉D2を集塵するバグフィルタ12等を備える。
【0030】
脱塩装置4は、セメント焼成装置2のプレヒータ7の排ガスG4(400〜450℃)を用いて蒸気Sを加熱し、過熱蒸気SSを生成する廃熱ボイラ15と、塩素含有廃棄物Wを加熱する加熱炉17と、加熱炉17で発生したガス(塩化水素ガスを含むガス)G5を無害化する第1及び第2のガス処理部18、19と、処理後のガスG7を大気放出する煙突20から構成される。
【0031】
加熱炉17は、廃熱ボイラ15で生成した過熱蒸気SSを用い、塩素含有廃棄物W中の塩素分を加熱分解するために備えられる。加熱炉17としては、例えば、ストーカ式、流動床式及びロータリーキルン式等の種々の炉を用いることができるが、これらの中でも、粘着性を有する被加熱物への適性が高いロータリーキルン式の炉が好ましい。尚、塩素の加熱分解は、250〜300℃で完了するため、加熱炉17で用いる過熱蒸気SSの温度は、300〜400℃程度で十分である。
【0032】
第1のガス処理部18は、加熱炉17の排ガスG5から塩素分を除去するために備えられる。第1のガス処理部18では、CaOを含む物質を投入し、これに排ガスG5中の塩素分を吸着させて回収する。本実施の形態においては、CaOを含む物質として、塩素バイパス装置3のサイクロン11で分離したダストの粗粉D1(生石灰を含む物質)を利用する。
【0033】
第1のガス処理部18には、充填層、流動層及び移動層等の各種方式の反応槽を用いることができる。但し、排ガスG5中の塩素分を吸着させるには、冷却ガスを入れるなどして、意図的に酸露点以下とする必要がある。
【0034】
第2のガス処理部19は、第1のガス処理部18の排ガスG6に残存する塩素分を除去するために備えられる。第2のガス処理部19には、活性炭吸着塔やアルカリ洗浄スクラバー等を用いることができる。
【0035】
次に、上記構成を有するセメント製造工場1の運転方法について、図1を参照しながら説明する。
【0036】
セメント焼成装置2では、プレヒータ7に供給された原料Rが、プレヒータ7で予熱され、仮焼炉6で加熱された後、セメントキルン5にて焼成されてセメントクリンカが生成される。
【0037】
また、塩素バイパス装置3では、セメントキルン5の窯尻8から最下段サイクロン7Aに至るまでのセメントキルン排ガス流路より、燃焼ガスの一部をプローブ10によって抽気すると同時に、冷風ファン(不図示)からの冷風によって急冷する。次いで、サイクロン11において、プローブ10からの抽気ガスG1を、粗粉D1と、微粉D2を含む排ガスG2とに分離する。このとき、抽気ガスG1の塩素分は、ダストの微粉D2側に偏在する。
【0038】
次に、微粉D2を含む排ガスG2を冷却器(不図示)によって冷却し、その後、バグフィルタ12に導入して微粉D2を集塵する。サイクロン11で分級した粗粉D1は、第1のガス処理部18に供給し、バグフィルタ12で集塵した微粉D2は、不図示の水洗設備により水洗脱塩する。また、バグフィルタ12の排ガスG3は、セメント焼成装置2のプレヒータ7に戻す。
【0039】
上記の処理と併行し、脱塩装置4では、廃熱ボイラ15において、セメント焼成装置2のプレヒータ7の排ガスG4と、伝熱管15aを流れる蒸気Sとを熱交換し、過熱蒸気SSを生成する。そして、生成した過熱蒸気SSの一部を、発電機16に供給して発電に用い、また、過熱蒸気SSの残りを、加熱炉17に供給して塩素含有廃棄物Wの加熱に用いる。尚、熱交換後の排ガスG4’は、セメント原料工程9に供給し、原料Rの乾燥に用いる。
【0040】
加熱炉17では、廃熱ボイラ15からの過熱蒸気SSによって塩素含有廃棄物Wを加熱し、塩素分を加熱分解して除去する。脱塩後の廃棄物W’は、セメント製造時の燃料等に使用する。
【0041】
尚、塩素含有廃棄物Wを脱塩する際の加熱方式は、過熱蒸気SSによるものに限られず、プレヒータ7の排ガスG4を加熱炉内に吹き込む直接加熱や、加熱炉に被設したジャケットに排ガスG4を通し、加熱炉の外側から塩素含有廃棄物Wを加熱する間接加熱等の他の加熱方式を用いることもできる。
【0042】
但し、過熱蒸気SSによる加熱方式を用いることで、塩素含有廃棄物Wの燃焼を避けて塩素含有廃棄物Wを脱塩することができ、また、この加熱方式は、次段の第1のガス処理部18との関係でも好ましいものとなる。
【0043】
次いで、加熱炉17の排ガスG5を第1のガス処理部18に導くとともに、塩素バイパス装置3のサイクロン11で回収した粗粉D1を第1のガス処理部18に投入する。これにより、排ガスG5に含まれる塩化水素ガスを粗粉D1中のカルシウム分と反応させて塩化カルシウム(CaCl2)を生成し、塩素分を粗粉D1に吸着させる。
【0044】
排ガスG5中の塩素分を粗粉D1中のカルシウム分と反応させるには、排ガスG5を酸露点以下に温度調整する必要があるが、その際、酸露点の範囲を幅広く取り、両者の反応を促進するには、排ガスG5中に水分が多く含まれていることが好ましい。加熱炉17で過熱蒸気SSによる加熱方式を用いれば、排ガスG5の水分含有量を多くすることができ、塩素の吸着反応を促進することが可能になる。
【0045】
塩素分を吸着した粗粉D1は、回収して水洗脱塩すれば処理できるが、この場合、水洗コストが必要になるため、水洗せずに有効活用することが好ましい。例えば、特開2008−190019号公報に記載のセメント製造工程からの鉛回収方法における塩化源に用いることが好ましい。
【0046】
第1のガス処理部18での処理後、第1のガス処理部18の排ガスG6を第2のガス処理部19に導いて、残存する微量の塩素分を除去し、最後に、煙突20を介して大気放出する。
【0047】
以上のように、本実施の形態によれば、加熱炉17で発生した排ガスG5からの塩素分の除去に、塩素バイパス装置3で回収したダストの粗粉D1を利用するため、塩化水素ガスを処理するための薬剤を購入する必要がなくなり、処理コストを大幅に低減することが可能になる。
【0048】
また、セメント焼成装置2で発生する排ガス(プレヒータ7の排ガスG4)を利用して過熱蒸気SSを生成するため、過熱蒸気SSを生成するための専用の燃焼設備や燃料が不要となり、設備コスト及び処理コストを低く抑えることができる。さらに、過熱蒸気SSの生成に燃料を使用しないため、廃棄物の燃料化の趣旨にも即したものとなる。
【0049】
尚、セメント製造設備に代えて、生石灰製造設備を用いる場合には、製造炉からの排ガスを用いて過熱蒸気SSを生成することができる。また、この場合、CaOを含む物質としては、製造炉で生成した生石灰のうち、粒径が小さ過ぎるものや活性度が低過ぎるものなどの不良品を使用することができる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、それらの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、上記実施の形態においては、本発明の脱塩装置をセメント製造設備又は生石灰製造設備と複合使用する場合について説明したが、複合化の相手方となる設備は、製造過程でCaOを含む物質を発生させる設備であれば、特に限定されるものではない。
【0052】
また、第1のガス処理部18において、CaOを含む物質として、塩素バイパス装置3のサイクロン11で回収した粗粉D1を用いるが、これに代えて又は加えて、プレヒータ7の最下段サイクロン7Aから抜き出したボトム原料(セメントキルンの仮焼帯(850℃)を通過後のCaOを主成分とするセメント原料)を用いることができる。
【0053】
さらに、塩素バイパス装置3において、サイクロン11で粗粉D1を分級した後に、微粉D2を含む排ガスG2を冷却してバグフィルタ12に導入するが、サイクロン11を設けることなく、プローブ10で抽気した抽気ガスG1を冷却してバグフィルタ12に導入してもよい。この場合、脱塩装置4の第1のガス処理部18に投入するCaOを含む物質には、バグフィルタ12で集塵したダストを用いる。
【符号の説明】
【0054】
1 セメント製造工場
2 セメント焼成装置
3 塩素バイパス装置
4 脱塩装置
5 セメントキルン
6 仮焼炉
7 プレヒータ
7A〜7D サイクロン
8 窯尻
9 セメント原料工程
10 プローブ
11 サイクロン
12 バグフィルタ
15 廃熱ボイラ
16 発電機
17 加熱炉
18 第1のガス処理部
19 第2のガス処理部
20 煙突
D1 粗粉
D2 微粉
G1 抽気ガス
G2〜G7 排ガス
S 蒸気
SS 過熱蒸気
W 塩素含有廃棄物
W’ 脱塩後の廃棄物
R セメント原料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼炉から排出される廃熱を利用して塩素含有廃棄物を加熱し、該塩素含有廃棄物を脱塩する加熱手段と、
該加熱手段から排出される塩化水素ガスを、該燃焼炉で発生したCaOを含む物質と接触させる塩素処理手段とを備えることを特徴とする塩素含有廃棄物の脱塩装置。
【請求項2】
前記燃焼炉の廃熱によって蒸気を加熱し、過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成手段を備え、
前記加熱手段は、前記過熱蒸気生成手段で生成した過熱蒸気によって塩素含有廃棄物を加熱することを特徴とする請求項1に記載の塩素含有廃棄物の脱塩装置。
【請求項3】
前記燃焼炉がセメントキルンであり、前記CaOを含む物質が、前記セメントキルンに付設される塩素バイパス装置で回収されるダスト、又は、プレヒータから抜き出したボトム原料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塩素含有廃棄物の脱塩装置。
【請求項4】
前記塩素バイパス装置が、セメントキルンの窯尻から最下段サイクロンに至るまでのセメントキルン排ガス流路より燃焼ガスの一部を抽気するプローブと、抽気ガスからダストの粗粉を分離する分級機とを備え、
前記CaOを含む物質が、前記分級機で分離された粗粉であることを特徴とする請求項3に記載の塩素含有廃棄物の脱塩装置。
【請求項5】
前記燃焼炉が生石灰炉であり、前記CaOを含む物質が、前記生石灰炉で生成された生石灰であることを特徴とする請求項2に記載の塩素含有廃棄物の脱塩装置。
【請求項6】
前記加熱手段が、ロータリーキルン式の加熱炉であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の塩素含有廃棄物の脱塩装置。
【請求項7】
前記過熱蒸気生成手段が廃熱ボイラであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の塩素含有廃棄物の脱塩装置。
【請求項8】
燃焼炉から排出される廃熱を利用して塩素含有廃棄物を加熱し、該塩素含有廃棄物を脱塩する脱塩工程と、
該脱塩工程によって発生する塩化水素ガスを、該燃焼炉で発生したCaOを含む物質と接触させる処理工程とを備えることを特徴とする塩素含有廃棄物の脱塩方法。
【請求項9】
前記燃焼炉の廃熱により蒸気を加熱して過熱蒸気を生成する工程を備え、
前記脱塩工程において、前記過熱蒸気によって塩素含有廃棄物を加熱することを特徴とする請求項8に記載の塩素含有廃棄物の脱塩方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−241339(P2011−241339A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116451(P2010−116451)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】