説明

塵吸引装置

【課題】
作業者1人で、ワイパー、吸引ノズル、光源の3つを扱える様に1人作業での清掃作業を可能とすると共に清掃箇所の適正な照明が行える様にし、清掃作業の効率化、容易化を図る。
【解決手段】
塵等を吸引する為のバキュームノズル4と、該バキュームノズルの吸引方向を照明する照明部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルーム等、清浄雰囲気で微小な埃等を除去収集する為に使用される塵埃除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
清浄雰囲気を要求する設備、例えば半導体製造設備等では、非常に微細なゴミが製品品質、歩留りに影響を与える。この為、半導体製造設備等はクリーンルーム内に設置され、設置環境が清浄雰囲気に維持される様になっている。
【0003】
従って、クリーンルーム内での清掃、例えば上記した半導体製造設備が設置されるクリーンルーム内、設置された設備等の清掃については、非常に微細な塵埃も見逃さない様な繊細な清掃が求められる。
【0004】
繊細な清掃をする場合は、清掃箇所に強い光を当てる。強い光を当てることで微細な塵からの乱反射があり、微細な塵の有無を確認できる。この為、従来より繊細な清掃を実施する場合は、清掃箇所に強い光を当て、微細な塵からの乱反射を利用して、塵の有無を確認しながら、クリーンルーム内、設備の隅々迄清掃している。又、清掃には場所や塵の種類によって、拭取りたい塵、吸引したい塵があり、清掃作業は明るい光で照明しつつ、ワイパーによる拭取り、バキュームノズルによる吸引を行っている。
【0005】
例えば、半導体製造前工程のクリーンルームの黄色い室内灯の下での清掃や半導体製造設備内部の清掃には、清掃場所、清掃箇所を適正に照射する必要があり、自在に照射場所、照射箇所を照射できる様に、懐中電灯や持歩き可能なハロゲン灯等の照明器具が使われている。
【0006】
従って、清掃作業時にはワイパー、吸引ノズル、照明器具光源の3つを同時に使う。1人では3つを同時に持つことはできない為、照明器具を適当な位置に固定し、清掃の進行と共に固定位置を移動しながら清掃するか、或は1名が光源を持ち、もう1名が清掃する2人で作業を進めるかのどちらかであった。
【0007】
然し乍ら、1名で作業する場合は、清掃箇所が移動する度に、照明器具を移動しなければならず、作業性が悪く、適当な場所に照明器具を設置できない状況も発生する。又、2名で作業する場合は、作業コストが高くなると共に2名が入れない様な狭い場所もあったりして、やはり適切に照明できない場合がある。
【0008】
尚、クリーンルーム内の清掃に関しては、特許文献1が知られている。
【0009】
【特許文献1】特開2003−75353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は斯かる実情に鑑み、作業者1人で、ワイパー、吸引ノズル、光源の3つを扱える様に1人作業での清掃作業を可能とすると共に清掃箇所の適正な照明が行える様にし、清掃作業の効率化、容易化を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、塵等を吸引する為のバキュームノズルと、該バキュームノズルの吸引方向を照明する照明部とを具備する塵吸引装置に係り、又前記照明部は、前記バキュームノズルを中心とする周囲に所要数設けられたLEDであり、局部照明部を構成する塵吸引装置に係り、又前記照明部は、前記バキュームノズルを中心とする周囲に所要数設けられたLEDで構成される局部照明部と、該局部照明部とは独立して設けられ、該局部照明部に比べ広い範囲を照明する広域照明部とで構成される塵吸引装置に係り、又中空の本体部を貫通して吸引導管が設けられ、該吸引導管の先端に前記バキュームノズルが設けられ、前記吸引導管の基部が吸引装置に接続され、前記本体部の内部に照明用の電池が収納される塵吸引装置に係り、更に又着脱可能な複数の局部照明部を有し、該局部照明部毎にLEDの発光色が異なる塵吸引装置に係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、塵等を吸引する為のバキュームノズルと、該バキュームノズルの吸引方向を照明する照明部とを具備するので、吸引作業と吸引箇所の照明を同時に行え、照明器具で別途清掃箇所を照明する手間が省け作業性が向上する。
【0013】
又本発明によれば、前記照明部は、前記バキュームノズルを中心とする周囲に所要数設けられたLEDであり、局部照明部を構成するので、吸引箇所と照明箇所が必ず一致し、照明箇所の調整をする必要がなく、更に輝度の高いLEDで照明するので、微細な塵の発見に有効である。
【0014】
又本発明によれば、前記照明部は、前記バキュームノズルを中心とする周囲に所要数設けられたLEDで構成される局部照明部と、該局部照明部とは独立して設けられ、該局部照明部に比べ広い範囲を照明する広域照明部とで構成されるので、広範囲照明で作業状況を確認しつつ、繊細な清掃が行え、作業性と清掃の確実性が向上する。
【0015】
又本発明によれば、中空の本体部を貫通して吸引導管が設けられ、該吸引導管の先端に前記バキュームノズルが設けられ、前記吸引導管の基部が吸引装置に接続され、前記本体部の内部に照明用の電池が収納されるので、電源用のコードが不要となり、取扱い性が向上する。
【0016】
更に又本発明によれば、着脱可能な複数の局部照明部を有し、該局部照明部毎にLEDの発光色が異なるので、清掃環境、清掃状況に適した照明色が選択でき、清掃精度の向上が図れる等の優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
【0018】
図中、1は塵吸引装置を示し、該塵吸引装置1は片手で握り自在に操作し得る重量であり、又概略円柱状の外形を有している。
【0019】
前記塵吸引装置1は、外形が概略円柱形状で中空の本体部2を有し、該本体部2を吸引導管3が同心に貫通し、該吸引導管3の先端部は前記本体部2より所要長さ突出し、吸引ノズル4を形成し、前記吸引導管3の基端はバキュームホース5に接続され、又該バキュームホース5は排気ポンプを具備した真空吸引機(図示せず)に接続されている。
【0020】
前記本体部2の先端部には発光体ホルダ6が設けられており、該発光体ホルダ6は円板状であり、円周上所要等分した位置(図示では8箇所)に発光孔7が穿設されている。該発光孔7に発光体である、例えばLED8がそれぞれ保持される様になっている。該LED8は、ドーナツ板形状の配電基板(図示せず)に実装され、又、該配電基板は前記発光体ホルダ6に一体化され、前記配電基板の反実装面には後述する電池に対する接点が形成されている。
【0021】
前記発光体ホルダ6は前記本体部2に対して例えば螺子込み式で固着される等、着脱可能となっており、前記発光体ホルダ6を取外すと、該発光体ホルダ6内部の中空部が開放され、該中空部に電池、好ましくは可充電電池(図示せず)が前記吸引導管3の周りに所要数収納可能となっている。
【0022】
前記中空部に電池を収納し、前記発光体ホルダ6を前記本体部2に取付けることで、前記配電基板を介して前記LED8に給電可能となっている。尚、前記本体部2に給電をON/OFFさせる為のスイッチを設けてもよいし、前記発光体ホルダ6を回転することでON/OFFされる様にしてもよい。
【0023】
リング状に配設された前記LED8は、局部照明部9を構成する。該局部照明部9は、前記吸引ノズル4により塵を吸引している状態で、該吸引ノズル4を中心として直径30cm程度の範囲を照明する。
【0024】
前記本体部2に広域照明部11を取付ける。該広域照明部11は好ましくは、着脱可能となっており、例えば、前記本体部2を磁性体材料とし、前記広域照明部11に磁石を設ける等とする。又、ベルトを介して着脱可能としてもよい。
【0025】
前記広域照明部11は、複数(図示では2個)の発光体12を有しており、該発光体12には指向性の少ない、発熱ランプ等が用いられる。尚、前記発光体12には前記LED8に対して射出光の広がり角の大きいLEDを用いてもよい。
【0026】
前記広域照明部11は、可充電電池、充電回路を内蔵しており、又該充電回路に電気的に接続されている折畳み可能なプラグ13を有している。該プラグ13は一般商用電源のコンセントに差込可能であり、前記可充電電池は一般商用電源から充電可能となっている。前記広域照明部11は、図示しないが前記発光体12をON/OFFさせる為のスイッチを有している。
【0027】
尚、前記広域照明部11は、前記塵吸引装置1を懐中電灯の様な照明器具として使用した場合に、直径1m〜2m程度の範囲を照明する様になっている。
【0028】
又、前記広域照明部11を前記本体部2に一体化して設け、内蔵された充電回路を介して前記局部照明部9用の電池も充電できる様にしてもよい。
【0029】
以下、前記塵吸引装置1を用いて清掃作業をする場合について説明する。
【0030】
先ず、前記発光体12を点灯して、広範囲を照明して清掃を行う。広範囲を照明した状態での、清掃作業としては、例えば、前記塵吸引装置1を照明器具として使用し、片手で清掃部分を照明し、もう一方の手でワイパーによる拭掃除を行う場合である。或は、前記吸引ノズル4により比較的大きな塵を吸引する場合である。
【0031】
次に、前記LED8を点灯して、前記吸引ノズル4を中心とした局部範囲を照明して清掃を行う。尚、この場合、前記LED8による局部照明と、前記発光体12による広範囲照明を同時にしてもよい。局部範囲を照明した状態での清掃作業としては、前記吸引ノズル4により微細な塵を吸引する場合である。
【0032】
前記LED8は、常に前記吸引ノズル4を中心とした範囲を、局部照明するので、該吸引ノズル4を動かした場合、照明範囲も追従し、作業者が見たい範囲を常に照明する状態が得られる。
【0033】
従って、クリーンルームでの清掃が1人で行え、又照明器具の設置を行う必要がなく、作業性が向上し、より確実な清掃が可能となる。
【0034】
尚、塵は周囲の状況により、照明する色によって見え方が変る。従って、照明色の異なる前記局部照明部9を複数用意し、状況に合せて交換してもよい。
【0035】
又、前記吸引ノズル4を着脱可能とし、先端部の形状が異なるものを複数用意し、平面部の塵を吸引する場合、隅の塵を吸引する場合等、清掃場所の状況に合せて適宜取替えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 塵吸引装置
2 本体部
3 吸引導管
4 吸引ノズル
5 バキュームホース
6 発光体ホルダ
7 発光孔
8 LED
9 局部照明部
11 広域照明部
12 発光体
13 プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵等を吸引する為のバキュームノズルと、該バキュームノズルの吸引方向を照明する照明部とを具備することを特徴とする塵吸引装置。
【請求項2】
前記照明部は、前記バキュームノズルを中心とする周囲に所要数設けられたLEDであり、局部照明部を構成する請求項1の塵吸引装置。
【請求項3】
前記照明部は、前記バキュームノズルを中心とする周囲に所要数設けられたLEDで構成される局部照明部と、該局部照明部とは独立して設けられ、該局部照明部に比べ広い範囲を照明する広域照明部とで構成される請求項1の塵吸引装置。
【請求項4】
中空の本体部を貫通して吸引導管が設けられ、該吸引導管の先端に前記バキュームノズルが設けられ、前記吸引導管の基部が吸引装置に接続され、前記本体部の内部に照明用の電池が収納される請求項1の塵吸引装置。
【請求項5】
着脱可能な複数の局部照明部を有し、該局部照明部毎にLEDの発光色が異なる請求項2の塵吸引装置。

【図1】
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【図2】
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