説明

塵芥収集装置及びそれを備えた塵芥収集車

【課題】塵芥収集装置の組立性及びメンテナンス性を向上させる。
【解決手段】塵芥投入箱6の一対の対向側壁6aにそれぞれ回転可能に支持された回転支持部材22と、回転支持部材22の回転中心に対して偏心し、この回転支持部材22に回転可能に支持されると共に一対の対向側壁6a間に配設されて回転支持部材22の回転と同方向に、この回転支持部材22の回転の1/2の回転速度で回転する塵芥押込回転板26とを設ける。塵芥押込回転板26がカージオイド曲線29を描くと共に、カージオイド曲線29の尖点29aを塵芥投入箱6の塵芥押込方向側の仕切板21下端21cに対応して配置する。塵芥押込回転板26の回転角度と回転支持部材22の回転角度との関係が、仕切板21の下端21cに対応した位置にカージオイド曲線29の尖点29aを配置するようにしながら、塵芥押込回転板26と対向側壁6aとを相対移動不能に仮止めする仮止め手段80を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊星回転板式の塵芥収集装置及びそれを備えた塵芥収集車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の遊星回転板式の塵芥収集装置では、塵芥投入箱の側壁の貫通孔に回転支持部材が回転自在に取り付けられ、この回転支持部材に回転板が回転自在に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。回転板は、回転支持部材の回転中心に対して公転しつつ、自転するように構成されている。回転板が、回転支持部材の回転速度の1/2の回転速度となるように、回転支持部材と同方向に自転することにより、回転板の先端部はカージオイド曲線を描くようになっている。回転支持部材の回転速度と回転板との回転速度との関係は、塵芥投入箱の側壁に対し相対回転不能となるように回転支持部材の中心に配設された公転中心ギヤと、公転中心ギヤに対して歯数が2倍になるように回転板の回転軸に取り付けられた自転中心ギヤとの関係で決定される。公転中心ギヤと自転中心ギヤとの間にはアイドルギヤが介設され相互に噛み合っている。
【0003】
また、図23に実線で示すように、従来の遊星回転板式の塵芥収集装置110では、カージオイド曲線129の尖点129aが、塵芥投入箱106の仕切板121の下端121cに対応して配置されるように設定されている。この尖点129aの仕切板下端121cに対する位置設定により、回転支持部材122の回転角度と回転板126の回転角度との関係が一義的に決定される。例えば、回転支持部材122の回転角度に対して回転板126が正規の回転角度にない場合は、図23に2点鎖線で示すように、カージオイド曲線129の尖点129aの位置が仕切板下端121cに対してずれることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭54−157921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の塵芥収集装置において、組立時やメンテナンス時に回転板や公転中心ギヤの取付作業で次のような問題があった。つまり、取り外されていた回転板及び自転中心ギヤの取付作業を行うには、まず、回転板及び自転中心ギヤを回転支持部材に嵌め込み、回転支持部材の回転角度と回転板の回転角度との関係が適切になったところで回転板を塵芥収集装置とは別のクランプ治具で固定し、公転中心ギヤを取り付けるようにしていた。しかしながら、従来のクランプ治具では、回転支持部材及び回転板の位置合わせ作業が煩雑であるという問題点があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塵芥収集装置の組立性及びメンテナンス性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、塵芥押込回転板と対向側壁とを相対移動不能に仮止めする仮止め手段を設けた。
【0008】
具体的には、第1の発明では、塵芥投入箱の一対の対向側壁にそれぞれ回転可能に支持された回転支持部材と、
上記回転支持部材の回転中心に対して偏心して該回転支持部材に回転可能に支持されると共に上記一対の対向側壁間に配設されて上記回転支持部材の回転と同方向に該回転支持部材の回転の1/2の回転速度で回転する塵芥押込回転板とを備え、
上記塵芥押込回転板がカージオイド曲線を描くと共に、該カージオイド曲線の尖点が上記塵芥投入箱の塵芥押込方向側の仕切板下端に対応して配置された塵芥収集装置を対象とする。
【0009】
そして、上記塵芥収集装置では、上記塵芥押込回転板の回転角度と上記回転支持部材の回転角度との関係が、上記仕切板の下端に対応した位置に上記カージオイド曲線の上記尖点を配置するようにしながら、上記塵芥押込回転板と上記対向側壁とを相対移動不能に仮止めする仮止め手段が設けられている。
【0010】
上記の構成によると、塵芥押込回転板を、回転支持部材の回転角度と回転板の回転角度との関係がカージオイド曲線の尖点が仕切板の下端に対応した位置、すなわち、尖点が仕切板下端に接触しない程度に近付く位置で容易に仮止めすることができるので、回転板の位置合わせ作業が簡単になり、組立性、メンテナンス性が向上する。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、
上記仮止め手段は、
上記塵芥押込回転板の回転軸心方向から見て上記塵芥押込回転板の通過領域に対応する上記塵芥投入箱の上記対向側壁の所定位置に設けられた側壁側ピン挿入孔と、
上記側壁側ピン挿入孔に挿入された状態で上記塵芥押込回転板を仮止めする仮止めピンとを有する構成とする。
【0012】
上記の構成によると、仮止めピンを側壁側ピン挿入孔に挿入し、この仮止めピンで塵芥押込回転板を仮止めすることで、回転支持部材の側壁に対する回転角度と塵芥押込回転板の回転支持部材に対する回転角度との2つの回転角度を、カージオイド曲線の尖点が仕切板の下端に対応した位置となるように同時に設定することができる。これにより、塵芥押込回転板の位置合わせ作業が簡単になる。
【0013】
第3の発明では、第2の発明において、
上記仮止め手段は、上記対向側壁と対向する上記塵芥押込回転板の側面に設けられた回転板側ピン挿入孔をさらに備え、
上記仮止めピンは、上記側壁側ピン挿入孔と上記回転板側ピン挿入孔とが上記回転軸心方向から見て一致する位置で上記側壁側ピン挿入孔及び上記回転板側ピン挿入孔に挿入されるように構成されている。
【0014】
上記の構成によると、仮止めピンを側壁側ピン挿入孔と回転板側ピン挿入孔とに挿入するだけで、回転支持部材の側壁に対する回転角度と塵芥押込回転板の回転支持部材に対する回転角度との2つの回転角度を、カージオイド曲線の尖点が仕切板の下端に対応した位置となるように同時に設定することができる。これにより、塵芥押込回転板の位置合わせ作業が簡単になる。
【0015】
第4の発明では、第3の発明において、
上記回転板側ピン挿入孔は、上記塵芥押込回転板の上記回転軸心方向から見て、上記塵芥押込回転板の一対の先端部にそれぞれ設けられている。
【0016】
上記の構成によると、回転板側ピン挿入孔が2箇所に設けられることにより、塵芥押込回転板を半回転以上回転させなくても回転板側ピン挿入孔と側壁側ピン挿入孔とを合わせる作業を簡単に行える。また、塵芥押込回転板の先端部に回転板側ピン挿入孔を設けることで、塵芥押込回転板の公転中心と、自転中心と、回転板側ピン挿入孔との3点で三角状になって塵芥押込回転板及び回転支持部材の回転が規制され、仮止めの際の保持力が向上する。
【0017】
第5の発明では、第2乃至第4のいずれか1つの発明において、
上記塵芥投入箱は、投入口と該投入口に連設される湾曲状の内底壁とを備えており、
上記側壁側ピン挿入孔は、上記塵芥押込回転板の回転軸心方向から見て、上記仕切板下端と上記内底壁の上記投入口側端縁とを結ぶ直線よりも上方に設けられている。
【0018】
上記の構成によると、側壁側ピン挿入孔を、塵芥押込回転板の回転軸心方向から見て、仕切板の下端と内底壁の投入口側端縁とを結ぶ直線よりも上方に設けることにより、塵芥押込回転板で塵芥を押込圧縮動作する領域や汚水が溜まる領域に側壁側ピン挿入孔がないようにできる。これにより、側壁側ピン挿入孔から汚水が外部に漏れだしたり塵芥が側壁側ピン挿入孔に詰まったりするのを防ぐことができる。
【0019】
第6の発明では、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、
上記回転支持部材の回転中心には、上記塵芥投入箱の上記対向側壁に対して相対回転不能に且つ該回転支持部材に対して相対回転可能に公転中心ギヤが配設され、
上記塵芥押込回転板の回転軸には、上記公転中心ギヤの2倍の歯数を有する自転中心ギヤが該塵芥押込回転板の回転軸に対して相対回転不能に連結され、上記公転中心ギヤと上記自転中心ギヤとがアイドルギヤを介して連動され、
上記対向側壁に固定される固定ブラケットにより上記公転中心ギヤの回転軸心方向への移動を規制した状態で、上記公転中心ギヤを上記固定ブラケットに対して回転又は固定を可能にするための回転角度調整部が設けられている。
【0020】
上記の構成によると、回転角度調整部を設けることにより、公転中心ギヤを固定ブラケットにて組み付けた後でも回転支持部材に対して塵芥押込回転板を相対回転させることができるようになる。これにより、公転中心ギヤを組み付けた後での回転板角度の微調整が容易になり、組立性、メンテナンス性が向上する。具体的には、固定ブラケットを取り外すことなく、塵芥投入箱の仕切板下端に設けた塵芥噛込防止機構の部品摩耗等に対応して、カージオイド曲線の尖点の位置を調整することができる。
【0021】
第7の発明では、第6の発明において、
上記回転角度調整部は、
所定半径の円に沿う第1孔間隔で上記固定ブラケットに複数設けられた第1取付孔部と、
上記公転中心ギヤの公転中心軸に形成された取付フランジ部に、上記所定半径の円に沿う第2孔間隔で複数設けられた第2取付孔部と、
上記第1取付孔部と上記第2取付孔部とを通じて上記固定ブラケット及び上記取付フランジ部を締結する締結部材とを有する構成とする。
【0022】
上記の構成によると、第1取付孔部と第2取付孔部との組合せを変更することにより、容易に固定ブラケットと取付フランジ部との位置合わせを行うことができるので、組立性、メンテナンス性が向上する。
【0023】
第8の発明の塵芥収集車は、第1乃至第7のいずれか1つの発明の塵芥収集装置を備えている。
【0024】
上記の構成によると、メンテナンス性及び組立性の高い商品性の優れた塵芥収集車が得られる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、仮止め手段により塵芥押込回転板をカージオイド曲線の尖点が仕切板の下端に対応した位置になる位置で仮止めできるようにしたことにより、仮止めした状態で、塵芥押込回転板と回転支持部材との位置合わせをすることができるので、塵芥収集装置の組立性及びメンテナンス性を格段に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態の塵芥押込回転板を対向側壁に仮止めした様子を示し、(a)が側面図であり、(b)がIb−Ib線断面図である。
【図2】本実施形態に係る塵芥収集装置を備えた塵芥収集車を示す側面図である。
【図3】塵芥積込機構及びその周辺を示す斜視図である。
【図4】塵芥積込機構の減速機構及びその周辺を示す側面図である。
【図5】固定用ブラケット等を取り外した状態の塵芥積込機構の減速機構及びその周辺を示す側面図である。
【図6】図4のVI−VI線断面図である。
【図7】図5のVII−VII線断面図である。
【図8】塵芥積込機構を拡大して示す斜視図である。
【図9】公転中心軸を拡大して示し、(a)が正面図で、(b)がIXb−IXb線断面図で、(c)がIXc−IXc線断面図である。
【図10】本実施形態の塵芥収集装置を含む塵芥収集車の油圧回路図である。
【図11】塵芥押込回転板の軸心方向から見て当該回転板の長手方向中央の表面が仕切板の下端に近接した状態で、塵芥投入箱に塵芥が投入された様子を示す側面図である。
【図12】塵芥押込回転板が塵芥噛込防止機構のローラとの間の隙間を最小限に保って回転する様子を示す側面図である。
【図13】塵芥押込回転板がローラとの間の隙間を最小限に保ってさらに回転する様子を示す側面図である。
【図14】回転する塵芥押込回転板の下方に位置する表面で塵芥が圧縮されながら前方へ押し込まれる様子を示す側面図である。
【図15】ローラとの間の隙間を最小限に保って逆流を防ぎながら塵芥が仕切板の下方から塵芥収容箱内に押し込まれる様子を示す側面図である。
【図16】塵芥がほぼ塵芥収容箱内へ押し込まれ、次の塵芥が投入された様子を示す側面図である。
【図17】塵芥押込回転板が水平線に対して40°となるときの回転角度調整部のボルトの締結位置を示す側面図である。
【図18】塵芥押込回転板が水平線に対して35.5°となるときの回転角度調整部のボルトの締結位置を示す側面図である。
【図19】塵芥押込回転板が水平線に対して31°となるときの回転角度調整部のボルトの締結位置を示す側面図である。
【図20】塵芥押込回転板が水平線に対して26.5°となるときの回転角度調整部のボルトの締結位置を示す側面図である。
【図21】実施形態の変形例に係る図1相当図である。
【図22】実施形態の変形例に係る図4相当図である。
【図23】従来技術に関する、回転支持部材の回転角度と回転板の回転角度との関係が正規の位置にあるときとずれた位置にあるときを比べる側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
−塵芥収集車の構造−
図2は本発明の実施形態に係る塵芥収集車1を示し、この塵芥収集車1の車台2上に塵芥収集装置10が搭載されている。車台2の前側には、運転台2aが設けられている。塵芥収集装置10は、塵芥収容箱3を備え、その後方開口部4には、その上方で投入箱支持ピン5により軸支された塵芥投入箱6が設けられている。詳しくは図示しないが、この塵芥投入箱6は、塵芥収容箱3と塵芥投入箱6との間に設けられた油圧シリンダ(電動シリンダでもよい)である回動シリンダ9(図5に破線で示す)により、投入箱支持ピン5を中心に回動自在に構成されている。塵芥収容箱3は、車台2に設けた傾動シリンダ12(図10にのみ示す)を伸縮させることにより、車台2後側の傾動軸を中心に傾動可能(ダンプ可能)に構成されている。
【0029】
図3に示すように、塵芥投入箱6は、車幅方向に対向する一対の対向側壁6aを備え、その後部には投入口7が開口されている。対向側壁6aは、装飾カバー8で覆われている。また、塵芥投入箱6には、塵芥積込機構20が装備されている。塵芥積込機構20は、図11等にも示すように、塵芥投入箱6内に投入口7を通じて投入された塵芥55を圧縮して塵芥収容箱3内に積み込むためのものである。
【0030】
塵芥投入箱6における後方開口部4と対向する側には、仕切板21が上方から下方へ延びるように設けられている。この仕切板21は、塵芥投入箱6内の塵芥投入空間部6dと塵芥収容箱3の内部とを仕切るものであり、例えば、塵芥収容箱3の後方開口部4の約上半分を覆う連接部21aと、この連接部21aに連続し、下方に向かって後方へ傾斜する傾斜部21bとを備えている。塵芥55は、この仕切板21の傾斜部21bの下端21cよりも下方から塵芥積込機構20によって圧縮されて後方開口部4側へ押し込まれるようになっている。
【0031】
そして、図3〜図8に示すように、塵芥積込機構20は、一対の対向側壁6aにそれぞれ回転可能に設けられた、円形皿状の一対の回転支持部材22を備えている。この回転支持部材22を回転させる方法としては種々の構成が考えられるが、例えば本実施形態では、油圧モータよりなる駆動モータ14(電動モータでもよい)を塵芥投入箱6の左右一方の対向側壁6aの内側に取り付け、この駆動モータ14の出力軸14aに回転一体に設けた駆動スプロケット31と、回転支持部材22の対向側壁6a外側(左右外側)の外側面に設けた回転支持部材側スプロケット32との間に減速機構24を設けている。これにより、駆動モータ14が所定の減速割合で回転支持部材22を回転するように構成されている。
【0032】
具体的には、図6及び図7に示すように、左右の対向側壁6aには、公転中心軸30と同心に回転支持部材22の外径よりも若干大きい内径を有する円形の支持用貫通孔6bがそれぞれ形成され、これら支持用貫通孔6bに回転支持部材22が回転可能に挿入されている。円形皿状の回転支持部材22は、円板状の底板22aと、この底板22aの外周に立設された側板22bとを備えている。本実施形態では、底板22aと側板22bとは、製缶構造よりなる。底板22aには、中心軸孔22cが形成され、この中心軸孔22cと同心に回転支持部材側スプロケット32にも中心軸孔32aが形成されている。これら中心軸孔22c,32aに公転中心用ボス部22dが挿入され、この公転中心用ボス部22dに公転中心軸30が回転可能に挿入されている。回転支持部材側スプロケット32と、回転支持部材22とは、複数の連結ピン33で連結されている。
【0033】
また、対向側壁6aにおける支持用貫通孔6bの周辺には、側面視で十字状の固定ブラケット23(図4に示す)が固定されている。また、固定ブラケット23は、ボルト23aとナット23bにて対向側壁6aに対し着脱可能に固定されている。そして、公転中心軸30は、後述する回転角度調整部84を介して固定ブラケット23に固定されている。固定ブラケット23の形状は特に限定されないが、十字状やT字状にして剛性を高めるのが望ましい。
【0034】
一方、上記支持用貫通孔6bには、回転支持部材22の外周を外側から覆うガイド部材28が嵌め込まれている。回転支持部材22の側板22bには、外周が削られて段付となった段付部22fが形成されている。回転支持部材22は、回転支持部材側スプロケット32と連結された状態でその段付部22fがガイド部材28に嵌め込まれる。これにより、回転支持部材22は、公転中心軸30を中心に回転可能にガイド部材28に直接支持されると共に、半径方向への移動が規制されている。
【0035】
減速機構24は、例えば駆動スプロケット31よりも外径の大きい減速スプロケット24aを備え、駆動スプロケット31と減速スプロケット24aとの間が第1減速チェーン24bで連結されている。減速スプロケット24aの対向側壁6a側(左右内側)には、減速スプロケット24a及び回転支持部材側スプロケット32よりもよりも外径の小さい中間スプロケット24c(図4に破線で示す)が配設されている。この中間スプロケット24cは、連結軸24fによって減速スプロケット24aと連結されている。また、中間スプロケット24cと回転支持部材側スプロケット32との間が第2減速チェーン24dで連結されている。この第2減速チェーン24dは、張力調整機構24eによって張力が調整可能となっている。
【0036】
一対の回転支持部材22間には、公転中心軸30と偏心した位置に一対の自転中心軸25が回転可能に支持されている。この自転中心軸25の一端部には、左右の対向側壁6a間に延びる塵芥押込回転板26が回転一体に取り付けられている。より具体的に説明すると、自転中心軸25の一端部には、雄スプライン歯25aが形成されている。一方、塵芥押込回転板26の回転中心には、雌スプライン歯を有する回転中心ボス部26bが設けられている。これにより、自転中心軸25と塵芥押込回転板26とはスプライン結合され、抜け止め用ボルト26cにより抜け止めされている。なお、図面上では自転中心軸25は、間隔を空けて一対配置されているが、1本の連続したもので構成してもよい。
【0037】
塵芥押込回転板26は、概ね断面木の葉形状の矩形板の形態を有している。塵芥押込回転板26は、例えば、鋼板の製缶品によって構成されている。自転中心軸25は、回転支持部材22の外周近傍に配置された軸受部材22gに回転可能に支持されている。
【0038】
図5及び図6に示すように、自転中心軸25は、その他端部に設けた塵芥押込回転板用減速機構27により、回転支持部材22が1回転する間に同方向に1/2回転するように構成されている。具体的には、塵芥押込回転板用減速機構27は、ギヤ駆動機構よりなり、回転支持部材側スプロケット32の左右外側に設けられ、公転中心軸30に回転一体の公転中心ギヤ27aと、自転中心軸25の他端部に回転一体の自転中心ギヤ27bとを備えている。自転中心ギヤ27bの歯数は、公転中心ギヤ27aの歯数の2倍となっている。その分、自転中心ギヤ27bの外径は、公転中心ギヤ27aの外径よりも大きくなっている。自転中心ギヤ27bは、回転支持部材側スプロケット32の外径よりも内側に位置するように配設されている。一方、自転中心軸25の軸心方向から見て、自転中心ギヤ27bの一部は、回転支持部材22における対向側壁6aの支持用貫通孔6bへの挿入部分の外径よりも外方に突出している。
【0039】
公転中心ギヤ27aと自転中心ギヤ27bとの間には、それぞれが公転中心ギヤ27a及び自転中心ギヤ27bと噛み合う一対のアイドルギヤ27cが配設されている。一対のアイドルギヤ27cにより、公転中心ギヤ27aと自転中心ギヤ27bとが同じ方向(図1で時計回りの方向)に回転するようになっている。また、固定ブラケット23と共に公転中心ギヤ27aを取り外すと、一対のアイドルギヤ27cの交換が可能となるように構成されている。なお、図5以外の図面においては各チェーン及び各スプロケットを簡略化して描いている。
【0040】
図10に塵芥収集車1の油圧機器60の油圧回路61を示す。詳しくは図示しないが、塵芥収集車1は、例えば、車両エンジンに駆動される発電機を備え、この発電機で得られた電力又は蓄電装置に蓄えた電力が電動モータ46に供給されるように構成されている。油圧機器60は、電動モータ46に駆動される油圧ポンプ47を備えている。作動油タンク62内の作動油は、油圧配管64を通して油圧ポンプ47で吸い上げられて供給側の油圧配管61aに流通されてコントロールバルブ63に供給されるように構成されている。各シリンダ9,12及び駆動モータ14は、油圧配管61bを介してコントロールバルブ63に接続されている。コントロールバルブ63は、図示しない複数の電磁弁を備え、電磁弁の開閉ポートを切り換えることにより、電動モータ46を駆動して回転させた油圧ポンプ47から吐出された作動油を所望のシリンダ9,12又は駆動モータ14に対して供給するように構成されている。このことで、コントロールバルブ63を介してシリンダ9,12の伸縮動作の切換及び駆動モータ14の回転が制御され、又は運転が停止されるようになっている。なお、本実施形態の塵芥収集車1では、塵芥の積み込み作業時に駆動させるアクチュエータは1つの駆動モータ14のみであり、一般的なプレス式塵芥収集車や回転板式塵芥収集車のように塵芥の積み込み作業時に複数のアクチュエータを必要とする、ということがない。
【0041】
このように構成することで、図11〜図16に示すように、自転中心軸25の軸心から見た塵芥押込回転板26の先端縁軌跡が、それぞれいわゆるカージオイド曲線29を描くようになっている。カージオイド曲線29は、心臓型の軌跡であり、この軌跡を、塵芥投入空間部6dの底部を形成すると共に車両の左右側面から見て円弧状に湾曲した内底壁6cに沿うように配置することで、塵芥押込回転板26が塵芥投入空間部6dの底部に投入された塵芥55を圧縮しながら確実に仕切板21の下方へ押し込むように構成されている。
【0042】
カージオイド曲線29は1箇所凹んだ部分(尖点29a)を有するが、本実施形態では、この尖点29aが仕切板21の傾斜部21bの下端21cとほぼ一致する位置(側面視直線状の傾斜部21cの延長線上の位置)に配置されている。このため、例えば図11に示す状態においては、自転中心軸25の軸心方向から見た塵芥押込回転板26の長手方向中央が下端21c(具体的には後述するローラ74)に近接し、図14に示す状態では、塵芥押込回転板26の先端縁が下端21cに近接し、塵芥押込回転板26の回転中にできるだけ下端21cとの間の隙間がなくなるようになっている。
【0043】
図3、図8等に示すように、仕切板21の下端21cには、自転中心軸25の軸心方向に複数の塵芥噛込防止機構70が並んで設けられ、この塵芥噛込防止機構70は、車幅方向と平行な軸心回りに回動自在な回動部材71を備えている。回動部材71には、ローラ74が回転可能に支持されている。塵芥噛込防止機構70のローラ74は、通常時、仕切板21の傾斜部21cの延長線上の位置にある。ローラ74と塵芥押込回転板26との間に塵芥の噛み込みが発生した場合には、回動部材71を塵芥収容箱3側に回動させてローラ74と塵芥押込回転板26との隙間を広げることにより塵芥が取り除かれる。
【0044】
そして、本発明の特徴として、図1に示すように、塵芥収集装置10には、塵芥押込回転板26の回転角度と回転支持部材22の回転角度との関係が、仕切板21の下端21cに対応した位置、すなわち、通常位置のローラ74とカージオイド曲線29の尖点29aとができるだけ近くにあり、塵芥押込回転板26が軽くローラ74に接触し、又は若干隙間を空ける位置に尖点29aを配置するようにしながら、塵芥押込回転板26と対向側壁6aとを相対移動不能に仮止めする仮止め手段80が設けられている。
【0045】
具体的には、仮止め手段80として、塵芥押込回転板26の回転軸心方向から見て塵芥押込回転板26の通過領域に対応する塵芥投入箱6の対向側壁6aの所定位置には、側壁側ピン挿入孔81が貫通形成されている。この側壁側ピン挿入孔81は、対向側壁6aの貫通孔に挿入して固定されたボス部81aの中心に形成され、対向側壁6aの車幅方向外側に露出している。側壁側ピン挿入孔81は、塵芥押込回転板26の回転軸心方向から見て、仕切板21の下端21cと内底壁6cの投入口側端縁6eとを結ぶ直線Lよりも上方に設けられている。
【0046】
一方、対向側壁6aと対向する塵芥押込回転板26の側面には、回転板側ピン挿入孔82が形成されている。この回転板側ピン挿入孔82は、塵芥押込回転板26の回転軸心方向から見て、塵芥押込回転板26の一対の先端部にそれぞれ設けられている。
【0047】
そして、これら側壁側ピン挿入孔81と回転板側ピン挿入孔82とが回転軸心方向から見て一致する位置で、仮止めピン83が車幅方向外側から側壁側ピン挿入孔81及び回転板側ピン挿入孔82に挿入されるようになっている。
【0048】
また、塵芥収集装置10は、回転角度調整部84を備え、この回転角度調整部84により、対向側壁6aに固定される固定ブラケット23により公転中心ギヤ27aの回転軸心方向への移動を規制した状態で、公転中心ギヤ27aを固定ブラケット23に対して回転又は固定を可能としている。
【0049】
具体的には、図17〜図20に示すように、回転角度調整部84は、所定半径の円に沿う第1孔間隔P1で固定ブラケット23に複数設けられた第1取付孔部85を備えている。例えば、第1取付孔部85を22.5°間隔で合計16個のキリ孔を設けることにより、第1孔間隔P1が設定されている。
【0050】
一方、公転中心軸30の左右外側には、図9に示すように、円板状の取付フランジ部86が一体に形成されている。この取付フランジ部86には、上記所定半径の円に沿うと共に第1孔間隔P1よりも狭い第2孔間隔P2で複数設けられた第2取付孔部87が形成されている。例えば、第2取付孔部87を18.0°間隔で合計20個の雌ネジを設けることにより、第2孔間隔P2が設定されている。
【0051】
このように第1孔間隔P1と第2孔間隔P2とで4.5°の角度差を設けているので(P1−P2=4.5°)、固定された第1取付孔部85に対し、公転中心軸30を回転させることで、結果として塵芥押込回転板26の角度が4.5度ずつ微調整できるようになっている。例えば、図17〜図20に示すように、車幅方向から見たときにカージオイド曲線29の尖点29aを通る中心線29bが水平線から40°起きた位置から、35.5°、31°及び26.5°に等間隔で角度調整可能となっている。
【0052】
そして、ボルト等よりなる締結部材88を微調整により位置合わせした第1取付孔部85及び第2取付孔部87に挿通して締結することで、固定ブラケット23及び取付フランジ部86(公転中心軸30)が固定されるようになっている。このことで、回転支持部材22は、対向側壁6aに、固定ブラケット23及び公転中心軸30を介して適切な位置に支持されている。
【0053】
また、回転角度調整部84は、固定ブラケット23において第1孔間隔P1に沿う上記所定半径の円の中心部に設けられた嵌合孔部89と、公転中心軸30の端部に設けられた突出部90とを有している。公転中心軸30を固定ブラケット23に取り付ける際、公転中心軸30の突出部90が嵌合孔部89に嵌合することで、公転中心軸30の固定ブラケット23に対する調心作用が発揮されるようになっている。
【0054】
−塵芥収集車による塵芥の収集方法−
まず、塵芥収集車1は、塵芥55の収集場所へ移動し、投入口7を開く。
【0055】
次いで、図11に示すように、塵芥押込回転板26の軸心方向から見た長手方向中央の表面26aが仕切板21の下端21c(具体的にはローラ74)に近接した状態で、塵芥55を塵芥投入空間部6dの底部、すなわち塵芥押込回転板26の下方へ投入する。このとき、回転軸の位置が一定の回転板式塵芥収集車と異なり、塵芥55の投入時には塵芥押込回転板26の自転中心軸25が塵芥収容箱3側へ移動し、塵芥押込回転板26が投入口7から遠い位置に配置されるので、回転板式塵芥収集車よりも容積の大きい塵芥55を投入できる。また、塵芥押込回転板26の軌跡を調整することで投入口側端縁6eが低く設定されているので、塵芥55が投入しやすい。
【0056】
次いで、駆動モータ14を回転させると、回転支持部材22が図11に矢印で示すように、時計回りに回転すると共に、塵芥押込回転板用減速機構27の作用により、その1/2のスピードで塵芥押込回転板26が時計回りに回転する。すると、図12及び図13に示すように、塵芥押込回転板26が投入口7側へ回転する。このとき、カージオイド曲線29の尖点29aがローラ74と略一致しているため、ローラ74と塵芥押込回転板26の表面26aとの間に塵芥55が噛み込み難くなっている。
【0057】
さらに塵芥押込回転板26が回転すると、図14及び図15に示すように、塵芥押込回転板26の表面26aにより塵芥55がローラ74の下方を通って後方開口部4から塵芥収容箱3に確実に押し込まれる。このとき、塵芥投入空間部6dの底部を形成する内底壁6cに対して近付くように塵芥押込回転板26全体が動くので、塵芥押込回転板26の回転運動のみでありながら、塵芥55を圧縮する機能が発揮される。
【0058】
この際、側壁側ピン挿入孔81は、塵芥押込回転板26で塵芥55を押込圧縮動作する領域や汚水が溜まる領域に設けられていないため、側壁側ピン挿入孔81から汚水が外部に漏れだすことはない。
【0059】
次いで、塵芥押込回転板26が図16の状態になった後、完全に1/2回転して、図11の状態に戻り、反対側の表面26a側で図11からの作業が繰り返される。
【0060】
−塵芥押込回転板の組付手順−
次いで、塵芥押込回転板26を対向側壁6aに組み付ける手順について説明する。
【0061】
まず、回転支持部材側スプロケット32と連結された状態の回転支持部材22を、対向側壁6aの支持用貫通孔6bに嵌め込む。次に、塵芥押込回転板26を移動させ、回転支持部材22の軸受部材22gを塵芥押込回転板26の回転中心ボス部26bと位置合わせした状態で、自転中心軸25をこれら軸受部材22g及び回転中心ボス部26bに嵌め込む。そして、自転中心軸25が塵芥押込回転板26から抜けないように抜け止め用ボルト26cを取り付ける。
【0062】
次いで、塵芥押込回転板26を、回転支持部材22の回転角度と塵芥押込回転板26の回転角度との関係がカージオイド曲線29の尖点29aが仕切板21の下端21cに対応した位置になるように仮止めする。具体的には、図1に示すように、塵芥押込回転板26を、公転中心軸30を中心に回転させると共に自転中心軸25を中心に回転させ、回転板側ピン挿入孔82と側壁側ピン挿入孔81とを位置合わせする。この位置合わせにより、回転支持部材22の対向側壁6aに対する回転角度と塵芥押込回転板26の回転支持部材22に対する回転角度との2つの回転角度を、カージオイド曲線29の尖点29aが仕切板21の下端21cに対応した位置となるように同時に設定することができる。また、回転板側ピン挿入孔82が塵芥押込回転板26の一対の先端部の2箇所に設けられているので、塵芥押込回転板26を半回転以上回転させなくても回転板側ピン挿入孔82と側壁側ピン挿入孔81とを合わせる作業を行える。
【0063】
次いで、対向側壁6aの外側から仮止めピン83を回転板側ピン挿入孔82及び側壁側ピン挿入孔81に挿入することで塵芥押込回転板26が対向側壁6aに対して仮止めされる。このように仮止めを行うため、回転支持部材の回転角度と塵芥押込回転板の回転角度とを別々に調整してそれらの関係が適切になったところでクランプ治具により塵芥押込回転板を固定していた従来と比較して、作業が容易である。また、自転中心軸25から距離の離れた塵芥押込回転板26の先端部に回転板側ピン挿入孔82を設けているので、塵芥押込回転板26の公転中心及び自転中心と回転板側ピン挿入孔82との3点で三角状になって塵芥押込回転板26及び回転支持部材22の回転が規制される。これにより、仮止めの際の保持力が向上し、その後の組み付け作業が容易となる。
【0064】
次いで、上記仮止め状態で、公転中心用ボス部22dに公転中心軸30を挿入する。このとき、公転中心ギヤ27aと自転中心ギヤ27bとが噛み合うようにする。
【0065】
次いで、公転中心軸30の突出部90が嵌合孔部89に嵌め込まれるようにして固定ブラケット23を外側から嵌め込む。そして、固定ブラケット23をボルト23aとナット23bにて対向側壁6aに対して固定した後、第1取付孔部85に締結部材88を挿通して第2取付孔部87にねじ込むことで、公転中心軸30が固定ブラケット23に正規の位置で固定される。この際、公転中心軸30の固定ブラケット23への固定は、複数の第1取付孔部85と第1取付孔部85より数の多い第2取付孔部87とが合う適当な位置で行い得る。従って、固定ブラケット23と公転中心軸30と塵芥押込回転板26との取付位置・取付角度の関係を厳密に合わせて作業する必要がなく組み付け容易である。
【0066】
次に、例えば、使用していくうちに塵芥噛込防止機構70における回動部材71の変形やローラ74の摩耗等によりローラ74の位置がカージオイド曲線29の尖点29aに対してずれて来たような場合には、固定ブラケット23を取り外すことなく調整を行うことができる。具体例としては、締結部材88を取り外し、取付フランジ部86の表面を固定ブラケット23の裏面に当接させて軸方向の動きを規制した状態で、塵芥押込回転板26を約4.5°回転させる。このことで、容易に第1取付孔部85と第2取付孔部87との組合せを変更することができる。このようにして固定ブラケット23と取付フランジ部86との位置合わせを行った状態で再び締結部材88を締め付ける。
【0067】
このように、回転角度調整部84を設けることにより、固定ブラケット23に公転中心ギヤ27aを組み付けた後でも固定ブラケット23を取り外すことなく回転支持部材22に対して塵芥押込回転板26を相対回転させることができるようになる。締結部材は、固定ブラケット23と比較して大きさが小さく取付部分も少ないので、公転中心ギヤ27aを組み付けた後での回転板角度の微調整が容易になり、組立性、メンテナンス性が向上する。
【0068】
以上説明したように、仮止め手段80により塵芥押込回転板26をカージオイド曲線29の尖点29aが仕切板21の下端21cに対応した位置になる位置で仮止めできるようにしたことにより、仮止めした状態で、塵芥押込回転板26と回転支持部材22との位置合わせをすることができるので、塵芥収集装置10の組立性及びメンテナンス性を格段に向上させることができる。
【0069】
−実施形態の変形例−
図21及び図22に本願の実施形態の変形例を示す。上記実施形態では、塵芥押込回転板26に回転板側ピン挿入孔82を設けたが、本変形例では、それを設けず、上記実施形態で側壁側ピン挿入孔81を設けた位置から等間隔に距離を空けて側壁側ピン挿入孔81を対向側壁6aに2つ設け、この2つの側壁側ピン挿入孔81に挿入した仮止めピン83によって塵芥押込回転板26の先端側を挟み込むようにしている。これにより、塵芥押込回転板26に回転板側ピン挿入孔82を設ける必要がなくなるので、塵芥押込回転板26の中に汚水が流れ込んだり、塵芥55が噛み込んだりすることがないという利点がある。
【0070】
また、上記実施形態では、回転角度調整部84によって公転中心軸30を固定部ラケット23に固定したが、本変形例では、公転中心軸130の基端側に設けたアーム131を対向側壁6aに一端が固定されたターンバックル132の他端に連結している。これにより、公転中心軸130の角度をターンバックル132で長さ調整することにより容易に変更可能である。
【0071】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0072】
すなわち、上記実施形態では、塵芥積込機構20を車台2を有する塵芥収集車1の塵芥投入箱6に備えた例を示したが、この塵芥積込機構20は、ビルや工場などの床に固定設置するものであってもよい。具体的には、塵芥積込機構20を床に載置される塵芥投入箱に設ければよい。
【0073】
また、上記実施形態では、塵芥押込回転板用減速機構27にギヤ駆動機構を使用していたが、本発明はこれに限らず、塵芥押込回転板用減速機構にチェーン駆動機構を使用してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、仕切板21の下端21cに塵芥噛込防止機構70が設けられていたが、この塵芥噛込防止機構70がない塵芥収集装置にも適用可能できる。
【0075】
また、上記実施形態では、回転角度調整部84における第2取付孔部87の第2孔間隔P2が第1取付孔部85の第1孔間隔P1よりも狭く形成されていたが、本発明はこれに限らず、第1孔間隔と第2孔間隔とを同じにしてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、塵芥押込回転板26の一対の先端部に回転板側ピン挿入孔82がそれぞれ設けられていたが、本発明はこれに限らず、回転板側ピン挿入孔を塵芥押込回転板の側面中央部に1つだけ設けてもよい。
【0077】
また、図21の変形例では、2つの仮止めピン83によって塵芥押込回転板26の先端側を挟み込むよう構成したが、塵芥押込回転板の重量を支える下側1つの仮止めピンだけで塵芥押込回転板の仮止めを行ってもよい。
【0078】
上記実施形態では、電動の塵芥収集車1の例を示しているが、塵芥積込機構20は、電動ではなく、エンジンの出力を動力取り出し装置(PTO)を介して油圧ポンプから取り出すものでもよい。回転支持部材22の駆動方法についても、本実施形態では、駆動モータ14の動力を減速させて駆動しているようにしているが、電動モータの動力を用いてもよい。これら駆動モータ14や電動モータの動力源も特に限定されない。
【0079】
また、上記実施形態では、駆動モータ14を左右一方の対向側壁6aの内側に取り付けていたが、駆動モータ14は対向側壁6aの両方に設けてもよい。
【0080】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上説明したように、本発明は、塵芥投入箱の投入口から投入された塵芥を圧縮して塵芥収容箱へ押し込む塵芥積込機構を有する塵芥収集装置及びそれを備えた塵芥収集車について有用である。
【符号の説明】
【0082】
6 塵芥投入箱
6a 対向側壁
6c 内底壁
6e 投入口側端縁
7 投入口
10 塵芥収集装置
21 仕切板
21c 下端
22 回転支持部材
23 固定ブラケット
26 塵芥押込回転板
27a 公転中心ギヤ
27b 自転中心ギヤ
27c アイドルギヤ
29 カージオイド曲線
29a 尖点
30 公転中心軸
55 塵芥
80 抜け止め手段
81 側壁側ピン挿入孔
82 回転板側ピン挿入孔
83 抜け止めピン
84 回転角度調整部
85 第1取付孔部
86 取付フランジ部
87 第2取付孔部
88 締結部材
130 公転中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥投入箱の一対の対向側壁にそれぞれ回転可能に支持された回転支持部材と、
上記回転支持部材の回転中心に対して偏心して該回転支持部材に回転可能に支持されると共に上記一対の対向側壁間に配設されて上記回転支持部材の回転と同方向に該回転支持部材の回転の1/2の回転速度で回転する塵芥押込回転板とを備え、
上記塵芥押込回転板がカージオイド曲線を描くと共に、該カージオイド曲線の尖点が上記塵芥投入箱の塵芥押込方向側の仕切板下端に対応して配置された塵芥収集装置であって、
上記塵芥押込回転板の回転角度と上記回転支持部材の回転角度との関係が、上記仕切板の下端に対応した位置に上記カージオイド曲線の上記尖点を配置するようにしながら、上記塵芥押込回転板と上記対向側壁とを相対移動不能に仮止めする仮止め手段が設けられている
ことを特徴とする塵芥収集装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塵芥収集装置において、
上記仮止め手段は、
上記塵芥押込回転板の回転軸心方向から見て上記塵芥押込回転板の通過領域に対応する上記塵芥投入箱の上記対向側壁の所定位置に設けられた側壁側ピン挿入孔と、
上記側壁側ピン挿入孔に挿入された状態で上記塵芥押込回転板を仮止めする仮止めピンとを有する
ことを特徴とする塵芥収集装置。
【請求項3】
請求項2に記載の塵芥収集装置において、
上記仮止め手段は、上記対向側壁と対向する上記塵芥押込回転板の側面に設けられた回転板側ピン挿入孔をさらに備え、
上記仮止めピンは、上記側壁側ピン挿入孔と上記回転板側ピン挿入孔とが上記回転軸心方向から見て一致する位置で上記側壁側ピン挿入孔及び上記回転板側ピン挿入孔に挿入されるように構成されている
ことを特徴とする塵芥収集装置。
【請求項4】
請求項3に記載の塵芥収集装置において、
上記回転板側ピン挿入孔は、上記塵芥押込回転板の上記回転軸心方向から見て、上記塵芥押込回転板の一対の先端部にそれぞれ設けられている
ことを特徴とする塵芥収集装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1つに記載の塵芥収集装置において、
上記塵芥投入箱は、投入口と該投入口に連設される湾曲状の内底壁とを備えており、
上記側壁側ピン挿入孔は、上記塵芥押込回転板の回転軸心方向から見て、上記仕切板下端と上記内底壁の上記投入口側端縁とを結ぶ直線よりも上方に設けられている
ことを特徴とする塵芥収集装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の塵芥収集装置において、
上記回転支持部材の回転中心には、上記塵芥投入箱の上記対向側壁に対して相対回転不能に且つ該回転支持部材に対して相対回転可能に公転中心ギヤが配設され、
上記塵芥押込回転板の回転軸には、上記公転中心ギヤの2倍の歯数を有する自転中心ギヤが該塵芥押込回転板の回転軸に対して相対回転不能に連結され、上記公転中心ギヤと上記自転中心ギヤとがアイドルギヤを介して連動され、
上記対向側壁に固定される固定ブラケットにより上記公転中心ギヤの回転軸心方向への移動を規制した状態で、上記公転中心ギヤを上記固定ブラケットに対して回転又は固定を可能にするための回転角度調整部が設けられている
ことを特徴とする塵芥収集装置。
【請求項7】
請求項6に記載の塵芥収集装置において、
上記回転角度調整部は、
所定半径の円に沿う第1孔間隔P1で上記固定ブラケットに複数設けられた第1取付孔部と、
上記公転中心ギヤの公転中心軸に形成された取付フランジ部に、上記所定半径の円に沿う第2孔間隔P2で複数設けられた第2取付孔部と、
上記第1取付孔部と上記第2取付孔部とを通じて上記固定ブラケット及び上記取付フランジ部を締結する締結部材とを有する
ことを特徴とする塵芥収集装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載の塵芥収集装置を備えている
ことを特徴とする塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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