説明

塵芥収集車のテールゲートにおける塵芥掻出方法

【課題】塵芥収集車のテールゲートがティルト状態にあるときに行われる掻出動作の終了を明確に判別できるようにして、作業性の向上及び作業者の負担軽減を図る。
【解決手段】上昇状態にされたテールゲート4において、短時間掻出ボタンが押されたとき掻出動作が一サイクルだけ行われる場合には、図2(A)のタイムチャートのように、掻出ボタンが押されると、予めプログラミングされた掻出動作が実行されてテールゲート4内に残っている塵芥を掻き出し、当該掻出動作の終了時に警報ブザーを鳴らす。また、掻出ボタンが押され続けている間、掻出動作が継続される場合には、図2(B)のタイムチャートのように、掻出ボタンが押されている間、上記掻出動作が継続され、当該掻出動作の一サイクル終了毎に警報ブザーを鳴らす。掻出動作の一サイクル終了後、なお掻出ボタンが押されている場合には、その押圧が解消されるまで当該掻出動作は継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車のテールゲートがティルト状態にあるとき、テールゲート内に残存した塵芥の掻出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塵芥収集車には、当該塵芥収集車から塵芥を排出した後、そのテールゲートをティルト状態にして当該テールゲート内に残っている塵芥を掻き出せるようにしたものは従来から存在する(例えば、特許文献1)。
かかる特許文献1に開示の塵芥収集車100は、圧縮式積込装置101が搭載されているもので、当該塵芥収集車のテールゲート102を図3に示すようなティルト状態にして(同図中の二点鎖線で示す)、通常の積込動作とほぼ同様な一連の掻出動作、即ち、掻き込みパネルが上昇を始め、押込み、反転、後退、下降、掻き込みの各動作が、当該塵芥収集車のキャブ内に設置された掻出ボタン(図示せず)を押すことにより順次行われる。このような一連の掻出動作は、作業者が掻出ボタンを押すことにより一サイクルだけ、また、作業者が掻出ボタンを押し続けている間継続されるようになっている。
【0003】
しかしながら、上記従来の塵芥収集車においては、ティルト状態にして掻出動作を行えるようになっているが、作業者が掻出ボタンを短時間押すことにより掻出動作が一サイクルだけ行われる場合には、テールゲートがティルトされているために当該テールゲートの、例えば掻き込みパネル(図3中の符号103)が動作中なのか動作が終了しているのかの判別がしがたく、かかる判別をするためにはティルト状態のテールゲートを元に戻して行う必要がありそのため作業性が損なわれてしまう問題がある。一方、作業者が掻出ボタンを押し続けている間、掻出動作が継続される場合には、作業者は通常一人であるため自分自身で、停止させたいパネル位置を判別することは不可能であり、したがって、作業者がその感覚や経験により掻出ボタンを長めに押し続け、結果として掻出動作を必要以上に行っているのが実情でありそのため作業性が損なわれてしまう問題がある。この場合、作業者が二人いても、テールゲートがティルトされているために、例えば掻き込みパネルの動作の上記判別がしがたいことは、掻出ボタンを押して掻出動作が一サイクルだけ行われる場合と同様である。
【特許文献1】特開昭58−188201(第7頁、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、塵芥収集車のテールゲートがティルト状態にあるときに行われる掻出動作の動作終了を明確に判別できるようにして、作業性の向上及び作業者の負担軽減が図れるようにする点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る塵芥収集車のテールゲートにおける塵芥掻出方法は、塵芥の積込動作が行われる塵芥収集車のテールゲートを排出位置まで上昇させ、当該上昇位置において前記テールゲート内に残存した前記塵芥を掻き出す塵芥掻出方法であって、前記塵芥収集車のキャブ内に設置された掻出ボタンを押圧することにより掻出動作が実行され、または前記掻出ボタンを押圧している間だけ前記掻出動作が継続され、当該掻出動作の一サイクル終了時に当該終了を知らせる警報ブザーを鳴らすように予めプログラミングされているもので、これにより、テールゲートがティルト状態にあるときに行われる掻出動作の動作終了を判別できるので、例えば上記例の掻き込みパネルが動作中なのか動作が終了しているのかの判別が容易になり作業性の向上が図れ、また、作業者の感覚や経験に頼らずに済むので作業者の負担軽減が図れる。
ところで、警報ブザーの作動時期は、圧縮式積込装置を搭載しているものについては、可動遮蔽板の上昇(この上昇とともに掻込板(掻き込みパネル)も上昇)が完了して上昇完了スイッチのONを検知した時であり、また、回転式積込装置を搭載しているものについては、押込板の押込みが完了して押込完了スイッチのONを検知した時である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の塵芥収集車のテールゲートにおける塵芥掻出方法は、テールゲートがティルト状態にあるときに、当該テールゲート内に残っている塵芥を掻き出す目的で行われる掻出動作について、その動作終了を警報ブザーで判別できるようにしているため、例えば掻込板が動作中なのか動作が終了しているのかの判別が容易になり作業性の向上が図れ、また、作業者の感覚や経験に頼らずに済むので作業者の負担軽減が図れる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施形態に係る塵芥収集車のテールゲートにおける塵芥掻出方法を図1,2を参照して説明する。
本塵芥収集車1は、図1に示すように、キャブ(図示せず)の後方に塵芥収容箱2が装着され、この塵芥収容箱2の最後部には、本実施の形態では圧縮式積込装置3を内蔵したテールゲート4が当該塵芥収容箱2の最後部上端に配設されたヒンジ5を介して矢印A,B方向に回転可能に取り付けられており、同図では、テールゲート4は、B方向に一杯まで回転されてティルト状態(上昇状態)をなしている。
尚、圧縮式積込装置3による積込動作、並びにテールゲート4がティルト状態のときの圧縮式積込装置3による、上記積込動作とほぼ同様の掻出動作は、テールゲート4内に設けられたガイドレールに沿って摺動する可動遮蔽板、及びこの可動遮蔽板の下部に揺動自在に取り付けられた掻込板により行われ、かかる動作は、掻込板が後方に揺動する反転動作、可動遮蔽板の下降動作、掻込板が前方へ揺動する掻込動作(又は掻出動作)、及び可動遮蔽板の上昇動作により構成される。
【0008】
次に、本掻出方法を図2を参照して説明する。
本掻出方法に係る掻出動作を行わせるために、まず、塵芥収集車1の塵芥収容箱2から塵芥を排出した後、図1に示すように、当該塵芥収集車1のテールゲート4をティルト状態にする。そして、作業者が、下記のように掻出ボタンを押すことによって予めプログラミングされた上記掻出動作が実行されるようになっている。
即ち、作業者が掻出ボタンを押すことにより掻出動作が一サイクルだけ行われる場合については、図2(A)のタイムチャートに示すように、作業者が掻出ボタンを押すと、上記掻出動作が実行されて当該テールゲート4内に残っている塵芥を掻き出す一方、可動遮蔽板の上昇動作が完了して上昇完了スイッチのONが検知された時に、当該掻出動作の終了を知らせる警報ブザー(図示せず)が鳴って作業者に掻出動作の終了を知らせる。かかる警報ブザーは、一瞬(約1秒程度)鳴らすようにしてもよいし、また、所定時間鳴り続けるようにしてもよい。
これにより、掻出動作の動作終了を判別できるので、例えば掻込板が動作中なのか動作が終了しているのかの判別が容易になり作業性の向上が図れ、また、作業者の感覚や経験に頼らずに済むので作業者の負担軽減が図れる。
【0009】
次に、作業者が掻出ボタンを押し続けている間、掻出動作が継続される場合については、図2(B)のタイムチャートに示すように、作業者が掻出ボタンを押し続けている間、上記掻出動作が実行されて当該テールゲート4内に残っている塵芥を掻き出す一方、可動遮蔽板の上昇動作が完了して上昇完了スイッチのONが検知された時に、当該掻出動作の終了(最適パネル位置)を知らせる警報ブザーが鳴って作業者に掻出動作の終了を知らせるが、本実施の形態のように、掻出動作が一サイクル終了後、引き続き当該掻出動作が継続されるように掻出ボタンが押し続けられる場合には、一サイクル終了しても掻出動作は引き続き継続され、作業者が掻出ボタンの押圧を解消した時に当該掻出動作が停止する。作業者が掻出ボタンの押圧を解消して掻出動作を停止する時期は、作業者の経験などにより冗長性を持たせている。
ところで、この場合の警報ブザーについても、一瞬(約1秒程度)鳴らすようにしてもよいし、また、所定時間鳴り続けるようにしてもよいことはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明は、塵芥収集車のテールゲートがティルト状態にあって、テールゲート内の、例えば掻込板が動作中なのか動作が終了しているのかの判別を容易にして作業性の向上を図り、作業者の負担軽減を図るようにしたものであり、既存のプログラムの一部変更で対応できるようにしたこの種の塵芥収集車に対しては極めて有効な方法であると言える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る方法が用いられる塵芥収集車の一部断面構成図である。
【図2】図1の塵芥収集車で実行される動作のタイムチャート図である。
【図3】従来の塵芥収集車の一部外観構成図である。
【符号の説明】
【0012】
1 塵芥収集車
4 テールゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥の積込動作が行われる塵芥収集車のテールゲートを排出位置まで上昇させ、当該上昇状態において前記テールゲート内に残存した前記塵芥を掻き出す塵芥掻出方法であって、前記塵芥収集車のキャブ内に設置された掻出ボタンを押圧することにより掻出動作が実行され、または前記掻出ボタンを押圧している間だけ前記掻出動作が継続され、当該掻出動作の一サイクル終了時に当該終了を知らせる警報ブザーを鳴らすように予めプログラミングしてなることを特徴とする塵芥収集車のテールゲートにおける塵芥掻出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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