説明

塵芥収集車の塵芥投入箱

【課題】作業者による塵芥投入口の扉の開閉作業の負担を解消した塵芥収集車の塵芥投入箱を提供する。
【解決手段】昇降することで塵芥投入口1aを開閉する扉5と、一端側が塵芥投入箱本体1の側板2に回転自在に連結されるとともに、他端側が扉5に回転自在に連結され、扉5の昇降動作に連動して一端側の連結位置7aを中心に回動するよう設けられた扉開閉アーム7と、を備え、一端側が塵芥投入箱本体1に回転自在に連結されるとともに、他端側が扉開閉アーム7の中間部に回転自在に連結され、伸縮することにより扉開閉アーム7をその一端側の連結位置7aを中心に回動させるよう設けられた油圧シリンダ10を更に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車の塵芥投入箱に関する。特に、塵芥投入箱の扉の開閉機構等に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
塵芥収集車には、収集した塵芥を収容するための塵芥収容箱が搭載されており、その後方に塵芥投入箱が連設されている。塵芥投入箱に投入された塵芥は、塵芥投入箱内に設けられた塵芥積込装置によって塵芥収容箱内に送り込まれる。
【0003】
塵芥投入箱の後面には、塵芥を投入するための塵芥投入口が設けられており、この塵芥投入口には、塵芥収集車の走行中、塵芥投入箱内から塵芥、汚水などが外へ飛散しないよう、扉が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1に開示されている塵芥投入箱では、昇降して塵芥投入口を開閉する扉が設けられている。また、特許文献1に開示されている塵芥投入箱には、作業者が扉を開閉する際の負担を軽減するアシスト機構が装備されている。このアシスト機構は、主にアームと、引張りコイルばねとで構成されている。アームは、基端部が塵芥投入箱の内壁面に支持され、先端部が扉の裏面において車幅方向にスライド自在に連結されている。引張りコイルばねは、一端が上記アームの中間部に、他端が塵芥投入箱の内壁面の比較的高い位置に固定されている。この引張りコイルばねの引張力は、扉を持ち上げる力として働くようになっている。
【0005】
これにより、閉鎖状態にある扉を持ち上げる際に必要な力や、開放状態にある扉を静かに閉鎖するために必要な扉の支持力が軽減され、扉を開閉する際の作業者の負担が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−269412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来例に係る塵芥収集車の塵芥投入箱のように、ばねの弾性力が扉を持ち上げる力として働くようにし、開閉作業の負担を軽減できたとしても、作業者が扉の開閉作業から解放されるわけではない。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みて創案されたものであり、作業者による塵芥投入口の扉の開閉作業の負担を解消できる塵芥収集車の塵芥投入箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するための手段として、本発明の塵芥収集車の塵芥投入箱は、以下のように構成されている。
【0010】
すなわち、本発明の塵芥収集車の塵芥投入箱は、昇降することで塵芥投入口を開閉する扉と、一端側が塵芥投入箱本体に回転自在に連結されるとともに、他端側が前記扉に回転自在に連結され、前記扉の昇降動作に連動して前記一端側の連結位置を中心に回動するよう設けられた扉開閉アームと、を備える。そして、一端側が前記塵芥投入箱本体に回転自在に連結されるとともに、他端側が前記扉開閉アームの中間部に回転自在に連結され、伸縮することにより前記扉開閉アームをその一端側の連結位置を中心に回動させるよう設けられた油圧シリンダを更に備える、ことを特徴とするものである。
【0011】
かかる構成を備える塵芥収集車の塵芥投入箱によれば、油圧シリンダによって塵芥投入口の扉を開閉することができるので、作業者による扉の開閉作業の負担を解消することができる。
【0012】
また、本発明の塵芥収集車の塵芥投入箱は、上記構成を備える塵芥収集車の塵芥投入箱において、一端側が前記扉開閉アームの中間部に連結されるとともに、他端側が塵芥投入箱本体に連結され、前記扉開閉アームがその一端側の連結位置を中心に上方回動する側へ付勢する付勢部材を更に備えるものであることが望ましい。
【0013】
かかる構成を備える塵芥収集車の塵芥投入箱によれば、付勢部材の付勢力は、扉の荷重の一部ないし全部を支持するように働く。したがって、付勢部材が設けられていない場合と比較して、油圧シリンダに掛かる負荷が軽減されるので、油圧シリンダの小型化を図ることができる。
【0014】
また、本発明の塵芥収集車の塵芥投入箱は、上記何れかの構成を備える塵芥収集車の塵芥投入箱において、前記油圧シリンダのヘッド側およびロッド側の圧油を開放可能な圧油開放手段を更に備えるものであることが望ましい。
【0015】
かかる構成を備える塵芥収集車の塵芥投入箱によれば、何らかの事情により、油圧シリンダによる扉の開閉が不能に陥った場合であっても、手動にて扉を昇降させて塵芥収集を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る塵芥収集車の塵芥投入箱によれば、油圧シリンダによって塵芥投入口の扉を開閉することができるので、作業者による扉の開閉作業の負担を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態における塵芥収集車の塵芥投入箱の左側面図であって、内部が見えるように左側部を省略して表した図である。(b)は、(a)のA矢視図であって扉を省略して表した図である。
【図2】図1(a)のB−B断面図である。
【図3】図1(a)のC矢視図である。
【図4】図1(a)のA矢視スケルトン図である。
【図5】本発明の実施の形態における塵芥収集車の塵芥投入箱が備える油圧回路の図である。
【図6】図1のD矢視の断面図であって、扉が最下位置にある場合を示している。
【図7】図6のP矢視図である。
【図8】他の実施形態に係る塵芥投入箱の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1(a)は塵芥収集車の塵芥投入箱の左側面図であって、内部が見えるように左側部を省略して表した図である。図1(b)は、図1(a)のA矢視図であって扉5を省略して表した図である。図2は、図1(a)のB−B断面図である。図3は、図1(a)のC矢視図である。図4は、図1(a)のA矢視スケルトン図である。なお、図1〜図4には、各図に共通の直交3軸X−Y−Zを示している。
【0019】
図1に示すように、塵芥投入箱本体1の左右一対の側板2(左の側板は図示省略している。)に、後述の扉5を案内するための断面コ字状の上部ガイドレール3および下部ガイドレール4が設けられている。
【0020】
扉5は、昇降することで塵芥投入口1aを開閉するように設けられており、塵芥投入口1aの開口形状に対応した形状となっている。図示する扉5は、塵芥投入箱本体1の後面形状に調和するように湾曲した薄板材、この薄板材の裏面に固設された補強フレームなどで構成されている。扉5の四隅には、案内子5aが設けられている。各案内子5aは、それぞれ上部ガイドレール3および下部ガイドレール4に転動自在に嵌入されている。これにより、扉5は、ガイドレール3,4に沿って昇降するようになっている。
【0021】
本発明の実施形態における塵芥収集車の塵芥投入箱は、作業者の腕力を必要とすることなく、扉5を自動的に昇降させて塵芥投入口1aを開閉する扉自動開閉装置を備えている。
【0022】
この扉自動開閉装置は、扉開閉アーム7、スライダ9、引張コイルばね8、油圧シリンダ10などで構成されている。
【0023】
扉開閉アーム7は、一端側が塵芥投入箱本体1の側板2に回転自在に連結されるとともに、他端側が扉5の裏面に回転および車幅方向移動自在に連結され、扉5の昇降動作に連動して上記一端側の連結位置を中心に回動するようになっている。扉開閉アーム7の上記一端側は、扉5の移動方向に対して略直交する方向(Z軸方向)に軸線を配したピン継手7aを介して側板2に回転自在に連結されている。一方、扉開閉アーム7の上記他端側は、Y軸方向に軸線を配したピン継手7b、Z軸方向に軸線を配したピン継手7cおよび後述するスライダ9を介して扉5の裏面に回転および車幅方向移動自在に連結されている。なお、上記ピン継手7bより上記ピン継手7cの方が先端側に設けられている。
【0024】
スライダ9は、図2に示すように、スライドシャフト9a、円筒部9b、連結ピン9c等で構成されている。スライドシャフト9aは、扉5の裏面上部に固定された、真直な軸材からなり、車幅方向(X軸方向)に延在している。円筒部9bは、スライドシャフト9aの長手方向に沿ってスライド自在に、且つスライドシャフト9aの軸線回りに回動自在に、同スライドシャフト9aに外嵌されている。連結ピン9cは、その軸線がスライドシャフト9aの長手方向に対して直交するように、円筒部9cの外周部に突設されている。なお、連結ピン9cは、既述のピン継手7cの連結ピンを兼ねている。
【0025】
引張コイルばね8(付勢部材)は、一端側のフック8bが扉開閉アーム7の中間部上側に固設された掛止部7dに掛止(連結)されている。また、引張りコイルばね8の他端側のフック8aは、扉開閉アーム7の基端部(ピン継手7a)より高位置において、側板2上に固設されたバネ掛止部12に掛止(連結)されている。これにより、引張りコイルばね8は、扉開閉アーム7がその一端側の連結位置であるピン継手7aを中心に上方回動する方向へ付勢する。なお、引張コイルばね8は、扉5の昇降位置にかかわらず、常に張力が発生するように設けられている。
【0026】
油圧シリンダ10は、一端側が塵芥投入箱本体1の側板2に回転自在に連結されており、他端側が扉開閉アーム7の中間部に回転自在に連結されている。具体的には、油圧シリンダ10の上記一端側となるチューブの端部が、Z軸方向に軸線を配置したピン継手10bを介して側板2に回転自在に連結されている。但し、このピン継手10bは、既述のピン継手7aより下側に設置されている。一方、油圧シリンダ10の上記他端側となるロッドの端部は、Z軸方向に軸線を配したピン継手10aを介して扉開閉アーム7の中間部下側に回転自在に連結されている。
【0027】
このように設けられた油圧シリンダ10が伸長すると、油圧シリンダ10および扉開閉アーム7は、それぞれピン継手10bおよびピン継手7a回りに上方回動する。そして、上方回動する扉開閉アーム7は、スライダ9を介して扉5を上昇させる。一方、油圧シリンダ10が収縮すると、油圧シリンダ10および扉開閉アーム7は、それぞれピン継手10bおよびピン継手7a回りに下方回動する。そして、下方回動する扉開閉アーム7は、スライダ9を介して扉5を下降させる。
【0028】
油圧シリンダ10の作動油は、塵芥投入箱本体1内の所定位置に設置された電動油圧ポンプユニット13(図1において図示せず。)から供給される。
【0029】
図5に示すように、電動油圧ポンプユニット13は、電動モータ13a、リザーバタンク13b、上記電動モータ13aに連結された油圧ポンプ13c等からなる。電動モータ13aの回転力によって油圧ポンプ13cが駆動されると、リザーバタンク13b内の作動油が油圧ポンプ13cによって吸上げられ、逆止弁13dを通過して吐出ポート13eから作動油が吐出する。油圧ポンプ13cの吐出側には、リリーフ弁13gおよび圧力ゲージ14が接続されている。なお、符号13fは作動油の吸入ポートである。
【0030】
電動油圧ポンプユニット13の吐出ポート13eおよび吸入ポート13fは、3位置4ポートの電磁切換弁からなる第1切換弁16の2ポートにそれぞれ接続されている。第1切換弁16のその他の2ポートには、図5に示すように、それぞれ2位置2ポートの第2切換弁17および第3切換弁18が接続されている。これらの切換弁17,18は、ポペット型電磁切換弁であり、内部リークが非常に少ないという特徴がある。
【0031】
また、第2切換弁17と油圧シリンダ10のロッド側ポート10P1とは、油圧シリンダ10側への流れを許容するように配置された一方向絞り弁19を介して接続されている。第3切換弁18と油圧シリンダ10のヘッド側ポート10P2も油圧シリンダ10側への流れを許容するように配置された一方向絞り弁20を介して接続されている。
【0032】
さらに、上記油圧回路においては、油圧シリンダ10,10のヘッド側およびロッド側の圧油をいつでも開放できるように、圧油開放手段が設けられている。図5には、この圧油開放手段の一例を示している。図5に示す圧油開放手段は、架設配管15A、第1開閉弁21A、第2開閉弁21B、ドレン配管15B等で構成されている。架設配管15Aは、油圧シリンダ10,10のロッド側ポート10P1とヘッド側ポート10P2に連通するよう設けられ、第1開閉弁21Aは、この架設配管15Aの途中位置に介設されている。ドレン配管15Bは、油圧シリンダ10,10のロッド側ポート10P1に連通しており、第2開閉弁21Bは、このドレン配管15Bに設けられている。
【0033】
上記圧油開放手段の2つの開閉弁21A,21Bを開放することで、油圧シリンダ10,10のヘッド側およびロッド側の圧油が開放され、この油圧シリンダ10,10と連動する扉5が手動操作により容易に昇降可能となる。
【0034】
なお、圧油開放手段は、油圧シリンダ10,10のヘッド側およびロッド側の作動油の圧力を開放して、当該油圧シリンダ10,10のロッドを自在に伸縮できるようにするものであればよく、上記構成に限定されるものではない。
【0035】
つぎに油圧シリンダ10,10を伸縮させる際の各弁の切換動作等について説明する。
【0036】
油圧シリンダ10を伸長させる場合は、第1および第2開閉弁21A,21Bを閉鎖状態とし、電動油圧ポンプユニット13の電動モータ13aを駆動する。そして、第1切換弁16を左位置aに切換え、第2切換弁17を右位置bに切換え、第3切換弁18を左位置aに保持する。すると、電動油圧ポンプユニット13の吐出ポート13eより油圧シリンダ10,10のヘッド側ポート10P2に作動油が供給されるとともに、油圧シリンダ10,10のロッド側ポート10P1より電動油圧ポンプユニット13の吸入ポート13fに作動油が戻されて、油圧シリンダ10,10のロッドが伸長する。
【0037】
一方、油圧シリンダ10の伸長動作を停止させる場合は、上記状態より、第1切換弁16を中立位置cに切換え、第2切換弁17を左位置aに切換える。すると、油圧シリンダ10,10のヘッド側ポート10P2への作動油の供給が停止し、更にロッド側ポート10P1およびヘッド側ポート10P2の作動油の逃げ道が閉ざされる。これにより、油圧シリンダ10は伸長動作を停止するとともに、その状態を維持するようになる。また、第2切換弁17および第3切換弁18を左位置aに保持することで、内部リークが非常に少なくなり、油圧シリンダ10,10が収縮して、扉5が降下してしまうことが防止される。
【0038】
油圧シリンダ10を収縮させる場合は、上記停止状態より、第1切換弁16を右位置bに切換え、第2切換弁17を左位置aに保持して、第3切換弁18を右位置bに切換える。すると、電動油圧ポンプユニット13の吐出ポート13eより油圧シリンダ10,10のロッド側ポート10P1に作動油が供給されるとともに、油圧シリンダ10,10のヘッド側ポート10P2より電動油圧ポンプユニット13の吸入ポート13fに作動油が戻されて、油圧シリンダ10,10のロッドが収縮する。
【0039】
油圧シリンダ10の収縮動作を停止させる場合は、上記状態より、第1切換弁16を中立位置cに切換え、第3切換弁18を左位置aに切換える。すると、油圧シリンダ10,10のロッド側ポート10P1への作動油の供給が停止し、更に油圧シリンダ10,10のロッド側ポート10P1およびヘッド側ポート10P2の作動油の逃げ道が閉ざされる。これにより、油圧シリンダ10は伸縮動作を停止するとともに、その状態を維持するようになる。
【0040】
第1〜第3切換弁16〜18の切換えは、塵芥投入口1aの側部に設けられた図示しない上昇用ボタンおよび下降用ボタンの操作に連動して行われる。例えば上昇用ボタンが押下されるときは、第1切換弁16は、左位置aに切換えられ、第2切換弁17は右位置bに切換えられ、第3切換弁18は左位置aに保持される。下降用ボタンが押下されるときは、第1切換弁16は、右位置bに切換えられ、第2切換弁17は左位置aに保持され、第3切換弁18は右位置bに切換えられる。また、上昇用ボタンも下降用ボタンも押下されないときは、第1切換弁16は、中立位置cに、第2切換弁17は左位置aに、第3切換弁18は左位置aに保持される。
【0041】
なお、本実施形態では、油圧シリンダ10,10の油圧は、電動油圧ポンプユニット13から供給されているが、従来から車両に設置されているPTOに接続したポンプから油圧を供給するようにしてもよい。
【0042】
つぎに、塵芥投入口1aを開閉する扉5の昇降動作について、図4のスケルトン図および図5の配管図に基づいて説明する。
【0043】
図4(a)は、油圧シリンダ10,10を最も収縮させて、扉5を最下位置まで降下させた状態を示す。例えば、この状態で扉5の昇降位置を固定する場合は、第1および第2開閉弁21A,21Bを閉鎖したまま、第1切換弁16を中立位置cに、第2切換弁17および第3切換弁18を左位置aに切換える。
【0044】
図4(a)の状態から扉5を上昇させ塵芥投入口1a(図1参照)を開口させる場合は、第1切換弁16を左位置aに、第2切換弁17を右位置bに切換え、第3切換弁18を左位置aに保持する。すると、油圧シリンダ10,10が伸長し、この伸長動作に連動して、扉開閉アーム7は、ピン継手7aを中心に上方へ回動する。そして、扉開閉アーム7の先端部に連結された扉5が図4(b)に示すように上昇し、遂には、図4(c)に示すように、扉5が最上位置に達して塵芥投入口1aが全開する。
【0045】
扉5が最上位置に達したとき、第1切換弁16を中立位置cに、第2切換弁17を左位置aに切換えると、油圧シリンダ10,10は伸縮動作を停止するとともに、その状態を維持し、扉5は最上位置に固定される。これにより、塵芥投入口1aへの塵芥投入作業が可能となる。
【0046】
塵芥投入作業が終了するなどして、図4(c)に示す状態で、第1切換弁16を右位置bに、第3切換弁18を右位置bに切換え、第2切換弁17を左位置aに保持すると、油圧シリンダ10,10は収縮動作を開始する。すると、油圧シリンダ10,10の収縮動作に連動して、扉開閉アーム7がピン継手7aを中心に下方へ回動し、その扉開閉アーム7の先端部に連結された扉5は、図4(b)に示すように、最高位置より降下する。そして、扉5は、遂には、図4(a)に示すように、最下位置に到達する。
【0047】
扉5が最下位置に到達した後、第1切換弁16を中立位置cに、第3切換弁18を左位置aに切換えると、油圧シリンダ10,10は伸縮動作を停止し、扉5は最下位置に固定される。これにより、塵芥収集車の走行中に振動などによって扉5が開いてしまうことはなく、安全に走行することができるようになる。
【0048】
以上に説明した塵芥収集車の塵芥投入箱によれば、油圧シリンダ10,10の伸縮力によって塵芥投入口1aの扉5を開閉することができるので、作業者による扉の開閉作業の負担を解消することができる。
【0049】
また、引張コイルばね8には、扉5の昇降位置にかかわらず、常に張力が発生するようになっている。つまり、引張コイルばね8の張力は、扉5の荷重の一部ないし全部を支持するように働いている。したがって、引張りコイルばね8が設けられていない場合と比較して、油圧シリンダ10,10に掛かる負荷が軽減されるので、油圧シリンダ10,10のシリンダ径の小型化を図ることができる。
【0050】
また、既述の油圧回路(図5参照)では、第1開閉弁21A、第2開閉弁21B等からなる圧油開放手段が設けられているため、何らかの事情(例えば、電動油圧ポンプユニット13の故障など)により、油圧シリンダ10,10の伸縮力による扉5の開閉が不能に陥った場合には、第1および第2開閉弁21A,21Bを開放することによって、手動操作にて扉5を昇降させることができる。この場合、引張りコイルばね8の張力は、扉5の荷重の一部ないし全部を常に支持するように働くので、電動油圧ポンプユニット13の故障などにより、扉5の開閉が不能に陥った場合であっても、作業者は、比較的楽に扉5を昇降させることができる。
【0051】
つぎに、上記塵芥投入箱に設けられた扉5のストッパ機構について説明する。このストッパ機構は、電動油圧ポンプユニット13の故障などで油圧シリンダ10による扉5の開閉が不能となり、手動にて扉5の開閉を行う際に有効に利用される。
【0052】
図6は、図1のD矢視の断面図であり、扉5が最下位置にある場合を示している。図7(a)、(b)は、図6のP矢視図である。ストッパ機構は、ストッパ本体22、ストッパ支持部5c、係止孔4c、圧縮コイルばね25、ワイヤ24、扉5の把手23(図1参照)に付設された図示しないレバー等で構成されている。
【0053】
ストッパ本体22は、ワイヤ24に連結した雄ねじ部22aと、この雄ねじ部22aを螺合する大径部22bとを有する。上記大径部22bは、扉5のフレームの一部を構成する板部材5dに設けられた筒状のストッパ支持部5cにスライド自在に支持されている。ストッパ本体22の先端部(大径部22bの先端部)は、案内子5a内を貫通して下部ガイドレール4の溝底面4aに向かって出没可能となっている。
【0054】
係止孔4cは、下部ガイドレール4の下端部付近の溝底面4aに設けられている。ストッパ本体22の先端部(大径部22bの先端部)が、案内子5a内を貫通し、該案内子5aより突出して上記係止孔4cに嵌入すると、扉5が昇降不能にロックされる。
【0055】
圧縮コイルバネ25は、ストッパ本体22の周りにおいて、板部材5dと、ストッパ本体22の途中位置に設けられたフランジ部22cとの間に圧縮状態で装着されている。そして、この圧縮コイルバネ25の弾性力によってストッパ本体22は、常時、下部ガイドレール4の溝底面4aに向かって付勢されている。
【0056】
ワイヤ24は、一端がストッパ本体22の基端部(雄ねじ部22aの端部)に繋がれており、他端が扉5の把手23に付設されたレバー(不図示)に連結されている。上記レバーが握られると、圧縮コイルばね25の付勢力に抗してストッパ本体22は、案内子5a内に後退し、ロック解除状態となる。一方、上記レバーの握りが開放されると、圧縮コイルばね25によってストッパ本体22が案内子5aから下部ガイドレール4の溝底面4a側に突出し、扉5が所定の昇降位置(本実施形態では最低位置)にある場合に、係止孔4c内に嵌入して、ロック状態となる。扉5がロック状態となれば、扉5が作業者の意に反して、上昇することが防止される。
【0057】
ところで、上記ロック機構によるロック機能は、油圧シリンダ10,10にて扉5を昇降させる場合に無効化できるようになっている。すなわち、ストッパ本体22を後退させた状態で、図6および図7(a)に示すように、ストッパ本体22の異径部22c(雄ねじ部22aと大径部22bとの境界部)に無効化部材27をナット26にて締結することでロック機能が無効化される。このことにより、ロック中に油圧シリンダ10を作動させて、ストッパ本体22を破損してしまうことを防止している。
【0058】
上記無効化部材27は、異径部22cに締結される被締結部27aと、この被締結部27aの両側部からストッパ本体22の長手方向に沿ってストッパ支持部5cの端部側に延在した脚部27b,27bと、を有するものである。また、被締結部27aには、図7に示すように、ストッパ本体22の雄ねじ部22aに嵌脱自在に嵌め込むための切欠部27aaが形成されている。
【0059】
自動開閉機構により扉5を自動的に昇降させる場合は、把手23に付設されたレバーを握って、図7(a)に示すように、無効化部材27をストッパ本体22の異径部22cにナット26にて締結する。これにより、ストッパ本体22の先端部が案内子5a内に後退した状態、つまりロック解除状態が維持されるようになる。
【0060】
一方、第1および第2開閉弁21A,21Bを開放して、手動操作により扉5を昇降させる場合は、図7(b)に示すように、ナット26を緩めて無効化部材27をストッパ本体22の異径部22cから取り外す。これにより、ロック機構によるロック機能が有効となる。
【0061】
[他の実施形態]
既述の実施形態では、塵芥投入箱本体1の後面に扉開閉アーム7が設置された例を挙げて説明したが、本発明は、塵芥投入箱本体1の側面に扉開閉アームが設けられたものについても適用可能である。例えば図8に示すような塵芥投入箱に本発明を適用することができ、同様の作用効果が奏される。
【0062】
図8において、符号7Aは扉開閉アームであり、塵芥投入箱本体1Aの側面に一端部が回転自在に支持される一方、他端部が扉5の上端側部に回転自在に連結されている。この扉開閉アーム7Aが支点7aを中心に回動することで扉5が昇降する。
【0063】
符号8Aは引張りコイルばねであり、その一端部は、扉開閉アーム7Aの途中位置に掛止され、その他端部は塵芥投入箱本体1Aの側面の所定位置に掛止されている。扉開閉アーム7Aは、この引張コイルばね8Aの弾性力によって、上方回動する方向へ付勢されている。
【0064】
符号10Aは、油圧シリンダ10Aである。この油圧シリンダ10Aは、一端側が塵芥投入箱本体1Aの側面に回転自在に連結されており、他端側が扉開閉アーム7Aの中間部に回転自在に連結されている。
【0065】
油圧シリンダ10Aが伸長すると、2点鎖線で示すように、油圧シリンダ10Aおよび扉開閉アーム7Aは、それぞれ支点10aおよび支点7a回りに上方回動し、扉5を上昇させる。一方、油圧シリンダ10Aが収縮すると、油圧シリンダ10Aおよび扉開閉アーム7Aは、それぞれ支点10aおよび支点7a回りに下方回動し、扉5を下降させる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、塵芥収集車における塵芥投入箱の塵芥投入口を開閉する扉の開閉機構に適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 塵芥投入箱本体
1a 塵芥投入口
5 扉
7 扉開閉アーム
8 引張りコイルばね(付勢部材)
10 油圧シリンダ
13 電動油圧ポンプユニット
21A,21B 圧油開放手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降することで塵芥投入口を開閉する扉と、
一端側が塵芥投入箱本体に回転自在に連結されるとともに、他端側が前記扉に回転自在に連結され、前記扉の昇降動作に連動して前記一端側の連結位置を中心に回動するよう設けられた扉開閉アームと、
を備える塵芥収集車の塵芥投入箱において、
一端側が前記塵芥投入箱本体に回転自在に連結されるとともに、他端側が前記扉開閉アームの中間部に回転自在に連結され、伸縮することにより前記扉開閉アームをその一端側の連結位置を中心に回動させるよう設けられた油圧シリンダを更に備える、
ことを特徴とする塵芥収集車の塵芥投入箱。
【請求項2】
請求項1に記載の塵芥収集車の塵芥投入箱において、
一端側が前記扉開閉アームの中間部に連結されるとともに、他端側が塵芥投入箱本体に連結され、前記扉開閉アームがその一端側の連結位置を中心に上方回動する側へ付勢する付勢部材を更に備える、
ことを特徴とする塵芥収集車の塵芥投入箱。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の塵芥収集車の塵芥投入箱において、
前記油圧シリンダのヘッド側およびロッド側の圧油を開放可能な圧油開放手段を更に備える、
ことを特徴とする塵芥収集車の塵芥投入箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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