説明

境界ブロック

【課題】防草シートを備えた境界ブロックを舗装路に敷設する工事の際に、工事現場で防草シートをコンクリートブロック部に止着する必要が無く、防草シートが被覆しようとする路面を容易に施工できる境界ブロックを提供する。
【解決手段】境界ブロック1は、コンクリートブロック部2の側面に止着している防草シート3の一端部以外の残余部分が、コンクリートブロック部2の下端まで垂れ下がらないように捲り上げた、捲り上げ状態を保持する保持手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車道や歩道などの境界に敷設される境界ブロックに関するものであり、詳しくは、境界ブロックに接する舗装路との境界に雑草が生えることを防止する防草シートを止着した構造を有する境界ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
舗装路をその目的によって区分する境界、例えば車道と歩道の境界には、コンクリート製の境界ブロックが連続設置されている。この境界ブロックと舗装路のアスファルトが接する境界には、僅かな間隙があり、この間隙に雨水で流れてきた土砂が堆積して、雑草などの植物が育成することが少なくない。また、アスファルト舗装前に路盤などに混入した植物の根や種が、アスファルト舗装後にアスファルトと境界ブロックの間隙から、発芽成長することもある。
【0003】
そこで、コンクリートブロック部に防草シートを止着した境界ブロックが開発されている。この境界ブロックは、アスファルトと境界ブロックの間隙を防草シートにより被覆するか、或いは防草シートをアスファルトの下に敷くことにより、植物が育成するのを防ぐものであった。例えば、特許文献1では、防草シートの一端部をコンクリートブロック部に接着手段を用いて密接して取り付けた境界ブロックが開示されており、コンクリートブロック部を載置して路盤を施工した後、コンクリートブロック部に止着している防草シートの他端部を路盤の上に敷き、その後、さらに、アスファルトを敷設する旨が開示されている。この構造では、アスファルト舗装前に路盤に含まれていた雑草の種子や根が、舗装後、発芽し上に伸びようとするが、防草シートによって遮断されているため地表に出ることができずに枯れ死する。また、アスファルト舗装後に地表から間隙に進入した種子が発根しようとする場合にも、防草シートに阻まれて成長できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−60632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この境界ブロックでは、コンクリートブロック部を載置し、防草シートが被覆しようとする層(アスファルトまたは路盤)を施工した後に、防草シートの端部をコンクリートブロック部へ止着するか、または、コンクリートブロック部の成型時に、防草シートの端部をあらかじめ止着しておく必要があった。
【0006】
しかし、コンクリートブロック部を載置し、防草シートが被覆しようとする層を施工した後に、防草シートの端部をコンクリートブロック部へ止着する場合には、工事現場で作業を行わなければならず、工事現場での作業工程が増えて面倒である。
【0007】
一方、コンクリートブロック部に防草シートの端部をあらかじめ止着した場合には、コンクリートブロック部から防草シートが垂れ下がっているため、コンクリートブロック部を載置した後で、防草シートが被覆しようとする層を施工する時に、防草シートが施工の妨げになる。そのため、施工時には、防草シートの他端部を上に持ち上げておくという作業が必要になり、作業が煩雑であった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、防草シートを備えた境界ブロックを舗装路に敷設する工事の際に、工事現場で防草シートをコンクリートブロック部に止着する必要が無く、防草シートが被覆しようとする路面を容易に施工できる境界ブロックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、舗装路の境界に敷設されて当該舗装路を第1の区域と第2の区域とに区分する境界ブロックにおいて、
前記境界ブロックは、第1の区域側に臨む第1側面と第2の区域側に臨む第2側面とを有するコンクリートブロック部と、該コンクリートブロック部の第1側面と第2側面との少なくとも一方の側面に一端を止着して残余の部分を垂れ下げてコンクリートブロック部と区分された区域との境界を被覆可能な防草シートと、を備え、
該防草シートは、当該防草シートの前記残余の部分がコンクリートブロック部の下端まで垂れ下がらないように捲り上げた捲り上げ状態を保持する保持手段を備えたことを特徴とする境界ブロックである。
【0010】
請求項2に記載のものは、前記保持手段が、防草シートが止着側の一端から下方に垂れ下がった状態で前記側面に対向する前記残余部分の一方の面に形成された粘着層により構成され、
コンクリートブロック部を所定位置に載置して舗装路を舗装する工事中は、前記残余部分を捲り上げて粘着層の粘着力により当該捲り上げ状態を保持し、舗装工事後に前記粘着層を一端剥離させて前記残余部分を垂れ下げてから該残余部分を前記側面から舗装路の表面に亘って延ばして粘着層により貼着可能としたことを特徴とする請求項1に記載の境界ブロックである。
【0011】
請求項3に記載のものは、前記保持手段が、コンクリートブロック部上にその幅方向に亘って掛け渡し可能な中間部と、該中間部の両端部から下方に延設した脚部とを有する挟持具により構成され、防草シートの前記残余部分を捲り上げてコンクリートブロック部側に沿わせ、この状態で前記脚部により防草シートを挟み付けて保持可能としたことを特徴とする請求項1に記載の境界ブロックである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、次のような優れた効果を発揮する。
本発明の境界ブロックは、第1の区域側に臨む第1側面と第2の区域側に臨む第2側面とを有するコンクリートブロック部と、該コンクリートブロック部の第1側面と第2側面との少なくとも一方の側面に一端を止着して残余の部分を垂れ下げてコンクリートブロック部と区分された区域との境界を被覆可能な防草シートと、を備え、該防草シートは、当該防草シートの前記残余の部分がコンクリートブロック部の下端まで垂れ下がらないように捲り上げた捲り上げ状態を保持する保持手段を備えているので、工事現場において、防草シートをコンクリートブロック部へ止着する作業を別途行う必要がなく、また、境界ブロックを載置した後で防草シートが被覆しようとする路面を施工する時に、防草シートが施工の妨げにならない。したがって、防草シートを備えた境界ブロックを敷設する工事において、作業の煩雑化を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態の境界ブロックを示す斜視図である。
【図2】図1に示す境界ブロックの断面図である。
【図3】境界ブロックに止着した防草シートがアスファルトとの境界を被覆した状態を示す概略断面図である。
【図4】両方の側面に防草シートを止着して保護シートで保持した境界ブロックの断面図である。
【図5】防草シートを挟持具により保持した境界ブロックの断面図である。
【図6】一方の側面にのみ防草シートを止着して保護シートで保持した境界ブロックの断面図である。
【図7】成型したコンクリートブロック部に防草シートを後から固定する方法を示す説明図である。
【図8】第1の区域と第2の区域で高さの異なる路面を被覆する防草シートを同じ高さに止着した境界ブロックの断面図である。
【図9】第1の区域と第2の区域で高さの異なる路面を被覆する防草シートをそれぞれ高さを異ならせて止着した境界ブロックの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施形態の境界ブロック1を示す斜視図であり、図2は図1に示す境界ブロック1の断面図である。また、図3は境界ブロック1に止着した防草シート3がアスファルト7との境界を被覆した状態を示す概略断面図である。
【0015】
境界ブロック1は、舗装路を第1の区域と第2の区域(例えば車道と歩道)を区分する境界に沿って連続して複数配設されるブロックであり、前記境界に敷設されるコンクリートブロック部2と、コンクリートブロック部2の第1の区域側に臨む第1側面と第2の区域側に臨む第2側面との少なくとも一方の側面に止着された防草シート3とから概略構成されている。
【0016】
この防草シート3は、コンクリートブロック部2の側面に止着している一端部以外の残余の部分を垂れ下げた状態において、コンクリートブロック部2と区分された区域との境界を被覆可能である長さに設定されている。また、前記境界ブロック1は、防草シート3の前記残余部分が、コンクリートブロック部2の下端まで垂れ下がらないように捲り上げた、捲り上げ状態を保持する保持手段を備えている。
【0017】
コンクリートブロック部2は、図1及び図2に示すように、断面が概ね凸状になるように、コンクリートブロック部2の下端に突出部8を設けている。この突出部8は、上面が路面と略面一になるように、コンクリートブロック部2の側面から湾曲部9を介して延設している。このため、舗装路に敷設した際に、この湾曲部9によって、雨水をスムーズに流すことができ、土砂を堆積し難くすることができる。
【0018】
また、防草シート3は、コンクリートブロック部2の側面にそれぞれ同じ高さになるように、各側面に一端部を埋め込む状態で止着されている。この防草シート3は、コンクリートブロック部2と舗装路の境界にある間隙6を被覆できるように、コンクリートブロック部2の止着位置よりも下方の側面から湾曲部9に沿って突出部8の先端までの長さに、予想される間隙6の寸法と舗装路表面に確実に止着するための長さを加算した長さに設定されており、この間隙6を被覆することで、植物が育成するのを防ぐことができる。さらに、この防草シート3は、防草シート3の幅方向(コンクリートブロック2の長手方向)の少なくとも一端部に、例えば100mm程度、幅方向外方へコンクリートブロック部2から突き出した拡幅部10が形成されている。この拡幅部10は、隣接する防草シート3との重ね代として使用する部分であり、相隣接する防草シート3の間に切れ目が生じるのを防止することができる。なお、第1の実施形態では、防草シート3の幅方向の一端部に拡幅部10を形成しているが、これに限るものではなく、防草シート3の幅方向の両端部に拡幅部10を形成してもよい。
【0019】
ここで、防草シート3は、例えば、遮光性、耐腐食性、耐熱性及び非透水性を有するものが望ましい。遮光性を有するのは、防草シート3の下部に混入した植物に光を通さないようにするためであり、非透水性を有するのは、防草シート3の下の間隙6内に水が入らないようにするためである。
【0020】
このコンクリートブロック部2に止着された防草シート3の一端部以外の残余部分は、止着側の一端部から下方に垂れ下がった状態において、コンクリートブロック部2の側面に対向する面(施工した後の防草シート3を延ばした状態でアスファルト7に対向する面)に、粘着後に耐水性を有する粘着層4が形成されている。そして、コンクリートブロック部2を所定位置に載置して舗装路を舗装する工事中は、前記残余部分を捲り上げて前記粘着層4の粘着力により、この捲り上げた状態を保持している。詳しくは、図2に示すように、それぞれの防草シート3を側面に沿うように上部に捲り上げた状態で、両防草シート3の粘着層4を上から被覆するように再剥離が可能な保護シート5を、一側面から他側面へコンクリートブロック部2の上部を掛け渡すように取り付けている。そのため、両方の側面の防草シート3が下方に垂れようとする力を、粘着層4と保護シート5の間の粘着力を通して、保護シート5にかかる力をつり合わせることで、捲り上げ状態を保持することができる。また、この粘着層4は、舗装工事後に保護シート5から一旦剥離し、防草シート3の残余部分を垂れ下げ、この残余部分を表面から軽く押圧すると、コンクリートブロック部2の側面から舗装路の表面に亘って延ばした状態で粘着力により貼着させることが可能である。
【0021】
次に、第1の実施形態の境界ブロック1の製造方法について説明する。コンクリートブロック部2の成型には、型枠(図示せず)が用いられる。この型枠内に、コンクリートブロック部2に止着すべき防草シート3の一端部をあらかじめ入れておき、前記防草シート3の一端部以外の残余部分は、コンクリートブロック部2に止着しないように、型枠から出しておく。その後、型枠内にコンクリートを流し込み、そのままの状態で所定時間養生した後、型枠からコンクリートブロック部2を取り出すことで、コンクリートブロック部2に防草シート3を止着することができる。
【0022】
ここで、防草シート3の粘着層4は、あらかじめ防草シート3に塗布しておいてもよいし、コンクリートブロック部2に防草シート3を止着した後で塗布してもよい。また、防草シート3の一端部は、アンカーなどの止め具(図示せず)を用いたり、コンクリートと親和性のよい接着剤などを用いたり、コンクリートブロック部2内に埋め込まれた補強筋11に係止したりして、強固に止着することもできる。
【0023】
そして、コンクリートブロック部2に止着していない防草シート3の残余部分を、両方の側面からそれぞれコンクリートブロック部2の側面に沿うように上部に捲り上げた状態で、粘着層4を保護しながら、コンクリートブロック部2の上部を掛け渡すように、保護シート5を取り付ければ、図1、2に示す境界ブロック1を製造することができる。
【0024】
次に、上記の如く製造した境界ブロック1を、舗装路のそれぞれ同じ高さにある第1の区域と第2の区域の境界に置設する手順を、図3を参照して説明する。まず、境界ブロック1の防草シート3を捲り上げた状態で、コンクリートブロック部2を路盤12の上に載置し、アスファルト7を敷設する。この時、防草シート3は捲り上げた状態なので、アスファルト7の敷設作業の妨げにならない。その後、防草シート3の捲り上げた状態を保持している保護シート5を剥離することによって、図3に示すように、防草シート3がコンクリートブロック部2の側面に沿って垂れ下がり、アスファルト7とコンクリートブロック部2の間隙6を被覆する状態とし、この状態で防草シート3を粘着層4によって、アスファルト7の表面に貼着する。したがって、境界ブロック1を載置した後でアスファルト7を敷設する時に、防草シート3が作業の妨げにならず、また、アスファルト7を施工した後で、防草シート3をコンクリートブロック部2に止着具等によって別途止着する必要が無いため、防草シート3を備えた境界ブロック1を敷設する工事において、作業の煩雑化を回避することができる。
【0025】
次に、第2の実施形態の境界ブロック1について説明する。図4は第2の実施形態の境界ブロック1の断面図である。この場合も、第1の実施形態と同様に、コンクリートブロック部2の側面に、防草シート3がそれぞれ同じ高さになるように両方の側面から一端部を埋め込む状態で止着されている。このコンクリートブロック部2に止着していない防草シート3の残余部分は、上部に捲り上げ、その上端部を下に折り曲げて粘着層4をコンクリートブロック部2の側面に向け、この粘着層4の粘着力をもって、コンクリートブロック部2の側面に貼着している。また、コンクリートブロック部2とは反対側に向いた粘着層4を保護する保護シート5を被せ、この保護シート5の上端部分をコンクリートブロック部2の上部に固定することで、防草シート3の捲り上げた状態を保持している。
【0026】
この第2の実施形態の境界ブロック1の製造方法は、防草シート3の一端部をコンクリートブロック部2に止着するところは、第1の実施形態と同じである。そして、コンクリートブロック部2に止着していない防草シート3の残余部分を上部に捲り上げ、上端部を下に折り曲げるとともに、上端部に形成されている粘着層4をコンクリートブロック部2の側面に貼着する。この状態で、コンクリートブロック部2の側面に貼着していない粘着層4に保護シート5を取り付け、この保護シート5の一端部をコンクリートブロック部2の上部に固定することで、図4に示す境界ブロック1を製造することができる。
【0027】
また、この境界ブロック1を、第1の区域と第2の区域の境界に敷設した構造は、第1の実施形態の場合と同様である。また、その敷設方法についても、境界ブロック1を載置し、防草シート3が被覆する層を施工するところは同様である。その後、保護シート5を剥離し、コンクリートブロック部2の側面に貼着している防草シート3の一端部を剥離することで、第1の実施形態の場合と同じく、防草シート3がコンクリートブロック部2に沿って垂れ下がり、アスファルト7とコンクリートブロック部2の間隙6を被覆するとともに、防草シート3は粘着層4によって、アスファルト7の表面に貼着する。よって、この場合も、第1の実施形態の場合と同様の効果が得られる。
【0028】
前記した両実施形態では、粘着層4と保護シート5を利用して防草シート3の捲り上げた状態を保持したが、これに限るものでなく、例えば、図5に示す第3の実施形態のように挟持具14を用いてもよい。この場合も、第1の実施形態と同様に、コンクリートブロック部2の側面に、防草シート3がそれぞれ同じ高さになるように両方の側面から一端部を埋め込む形で止着している。このコンクリートブロック部2に止着していない防草シート3の残余部分を、上部に捲り上げてコンクリートブロック部2の側面に沿わせ、この状態で残余部分の粘着層4を保護する保護シート5の上から、挟持具14の脚部で挟み付けることにより、防草シート3を捲り上げた状態で保持している。この挟持具14は、コンクリートブロック部2上にその幅方向に亘って掛け渡し可能な長さを有する中間部と、該中間部の両端部から下方に延設した脚部とを有するコ字状の止め具であり、弾性のあるプラスチック材などにより成型されている。
【0029】
この第3の実施形態の境界ブロック1の製造方法は、防草シート3の一端部をコンクリートブロック部2に止着する工程までは、第1の実施形態と同じである。そして、このコンクリートブロック部2に止着していない防草シート3の残余部分は、保護シート5を貼り付けた後で上部に捲り上げられ、この残余部分を保護シート5の上から挟持具14で挟み付けることにより、図5に示す境界ブロック1を製造することができる。
【0030】
また、第3の実施形態の境界ブロック1を、第1の区域と第2の区域の境界に敷設した構造は、第1の実施形態の場合と同様である。また、その敷設方法についても、境界ブロック1を載置し、防草シート3が被覆する層を施工するところは同様である。その後、保護シート5を剥離時に、防草シート3を挟みつけている挟持具14を外すことで、第1の実施形態の場合と同じく、防草シート3がコンクリートブロック部2に沿って垂れ下がり、アスファルト7とコンクリートブロック部2の間隙6を被覆するとともに、防草シート3は粘着層4によって、アスファルト7に貼着する。よって、この場合も、第1の実施形態の場合と同様の効果が得られる。なお、挟持具14は、繰り返して使用することも可能である。
【0031】
さらに、上記第1〜3の実施形態の境界ブロック1を敷設した舗装路では、第1の区域と第2の区域の両方の側面に防草シート3を被覆したが、どちらか片方の区域のみに防草シート3を被覆してもよい。この場合は、一方の側面にのみ防草シート3を止着し、捲り上げ状態を保持した境界ブロック1を用いる。この境界ブロック1は、第2の実施形態のように側面に防草シート3を止着するか、第3の実施形態のように挟持具14を用いて防草シート3を止着するか、或いは、図6のように、防草シート3に取り付けた保護シート5をコンクリートブロック部2の上部に適宜の方法で固定することによって、コンクリートブロック部2の一方の側面にのみ、防草シート3を捲り上げた状態で保持することができる。
【0032】
また、防草シート3は、コンクリートブロック部2を成型時に止着するものに限らず、成型した後に止着することもできる。この場合は、図7に示すように、コンクリートブロック部2の幅に亘って溝状の凹欠部13を設けたコンクリートブロック部2を先に成型しておき、その後、防草シート3の一端部を、接着剤などの適宜の接着手段を用いて凹欠部13に接着する。
【0033】
また、第1の区域と第2の区域の路面の高さが違う場合でも、本発明の境界ブロック1を用いることができる。図8のように、路面の高さが高い方の区域では、防草シート3の一端部をコンクリートブロック部2へ止着した箇所と、アスファルト7の上面が略面一になっているため、防草シート3はそこから水平に延在している。また、これに限らず、アスファルト7の上面が、防草シート3止着箇所より下方の場合は、防草シート3をコンクリートブロック部2の側面に沿わせてから、アスファルト7との境目を被覆すればよい。
【0034】
さらに、第1の区域と第2の区域の路面の高さが違う場合、防草シート3の止着箇所と、コンクリートブロック部2の突出部8の厚みを変えてもよい。図9のように、路面の高さが高い方の区域では、防草シート3の一端部をコンクリートブロック部2へ止着した箇所を高くし、突出部8の上面がアスファルト7の上面と略面一になるように、突出部8の厚みも厚くしている。そして、この突出部8は、コンクリートブロック部2の側面との間に湾曲部9を成型しているため、路面の高さが高い方の区域でも、この湾曲部9によって、雨水をスムーズに流すことができ、土砂を堆積し難くすることができる。
【0035】
また、本発明の実施形態に示す境界ブロック1の形状や、境界ブロック1を敷設した舗装路の構造は、上記だけに限らず、防草シート3で被覆しようとする区域や層、路面の高さ等の防草シート3を止着した境界ブロック1を敷設しようとする舗装路に応じて適宜に選択されるものである。
【符号の説明】
【0036】
1 境界ブロック
2 コンクリートブロック部
3 防草シート
4 粘着層
5 保護シート
6 間隙
7 アスファルト
8 突出部
9 湾曲部
10 拡幅部
11 補強筋
12 路盤
13 凹欠部
14 挟持具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装路の境界に敷設されて当該舗装路を第1の区域と第2の区域とに区分する境界ブロックにおいて、
前記境界ブロックは、第1の区域側に臨む第1側面と第2の区域側に臨む第2側面とを有するコンクリートブロック部と、該コンクリートブロック部の第1側面と第2側面との少なくとも一方の側面に一端を止着して残余の部分を垂れ下げてコンクリートブロック部と区分された区域との境界を被覆可能な防草シートと、を備え、
該防草シートは、当該防草シートの前記残余の部分がコンクリートブロック部の下端まで垂れ下がらないように捲り上げた捲り上げ状態を保持する保持手段を備えたことを特徴とする境界ブロック。
【請求項2】
前記保持手段は、防草シートが止着側の一端から下方に垂れ下がった状態で前記側面に対向する前記残余部分の一方の面に形成された粘着層により構成され、
コンクリートブロック部を所定位置に載置して舗装路を舗装する工事中は、前記残余部分を捲り上げて粘着層の粘着力により当該捲り上げ状態を保持し、舗装工事後に前記粘着層を一端剥離させて前記残余部分を垂れ下げてから該残余部分を前記側面から舗装路の表面に亘って延ばして粘着層により貼着可能としたことを特徴とする請求項1に記載の境界ブロック。
【請求項3】
前記保持手段は、コンクリートブロック部上にその幅方向に亘って掛け渡し可能な中間部と、該中間部の両端部から下方に延設した脚部とを有する挟持具により構成され、防草シートの前記残余部分を捲り上げてコンクリートブロック部側に沿わせ、この状態で前記脚部により防草シートを挟み付けて保持可能としたことを特徴とする請求項1に記載の境界ブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−99230(P2011−99230A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253810(P2009−253810)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(594016528)
【Fターム(参考)】