説明

増大された電気抵抗を有する希土類成層複合磁石

誘電体又は高電気抵抗物質の層によって分離された永久磁石の層を含む成層複合永久磁石であって、該成層磁石は、増大された電気抵抗率を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、2010年2月17日出願の米国特許出願番号第12/707,227号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本発明は、原動機及び発電機などの回転機械に含めるための使用に適した、低減された渦電流損を有する希土類複合永久磁石に関するものである。原動機及び高速発電機の設計において、渦電流損に対処することが重要である。回転機械とともに使用される永久磁石におけるこうした渦電流損の低減は、永久磁石の電気抵抗を増大させることによって良好に達成される。例えば、永久磁石が可変磁束を受け、かつ電気抵抗率が低い場合、渦電流損によって過度の熱が発生する。この増大された熱は、磁石特性、及び回転機械の効率を低下させる。永久磁石材料内部に、渦電流損の平面と垂直に組込まれた高抵抗性材料の層は、一般に、渦電流損の実質的な低下をもたらす。
【0003】
改善された電気抵抗を有する希土類複合永久磁石が、米国特許公報番号US2006/0292395 A1、及び米国特許番号第5,935,722号;第7,488,395 B2号;第5,300,317号;第5,679,473号;及び第5,763,085号に記載されている。
【0004】
米国特許公報番号第2006/0292395 A1は、高い強度及び高い電気抵抗を有する希土類磁石の製造について教示している。その構造はR-Fe-B系希土類磁石粒子を含み、該粒子は、ガラス相又はガラス相中に分散されたR酸化物粒子、及びR酸化物粒子ベースの混合層(R=希土類元素)からなる高強度及び高電気抵抗の複合層で囲まれている。
【0005】
米国特許第5,935,722号は、金属粉末層と、セラミック、ガラス及びともに焼結されたガラス-セラミック層からなる無機結合媒体から形成された層とが交互に存在する成層複合構造の製造について教示している。該セラミック、ガラス及びガラス-セラミック層は、渦電流損を最小化するのに使用される電気絶縁材料、並びに金属粉末層を寸法安定性のある本体に結合させる媒体として機能する。
【0006】
米国特許第7,488,395号は、低減された渦電流損を有する傾斜機能希土類永久磁石の製造について教示している。該磁石はR-Fe-B(R=希土類元素)を基礎としており、その方法はフッ素、並びにアルカリ土類金属元素及び希土類元素から選択される少なくとも1つの元素Eを含む粉末をエタノールと混合したスラリーに、焼結磁石本体を浸すことからなる。続いて、それぞれのスラリーで被覆された磁石の熱処理によって、フッ素及びEをその表面から磁石本体内に吸収させ、浸透させる。こうして、該磁石本体は、その内部よりも高い電気抵抗率を有する表面層を備える。
【0007】
しかしながら、先行技術は、本発明で開示されかつ請求されるような、Sm-Co又はNd-Fe-Bを基礎とした永久磁石材料とCa及び/又は希土類フッ化物及びオキシフッ化物を基礎とした誘電材料との成層を、全ての層が同時に固化された状態で組合せた「中間」層、「転移」層及び/又は「拡散/反応」層を教示も示唆もしていない。
【0008】
磁石産業において、先行技術に開示された高電気抵抗性の希土類複合永久磁石に関する別の取組みには継続的な要求がある。例えば、希土類系磁石と誘電材料、又は希土類リッチ合金と誘電材料の混合物との交互の層からなるモノリシックな成層構造の形成は、特に層がその界面において部分的に相互作用する場合に、電気抵抗における予想外の利点をもたらす。
【発明の概要】
【0009】
(発明の目的)
本発明の目的は、原動機及び発電機における渦電流損を低減させるために、誘電体と永久希土類磁石との交互の層からなる、増大された電気抵抗率を有する成層複合構造を形成することである。
【0010】
本発明の別の目的は、原動機及び発電機における渦電流損を低減させるために、(1)誘電体と希土類リッチ合金との混合物と、(2)永久希土類磁石材料の層との交互の層からなる、増大された抵抗率を有する成層複合構造を形成することである。
【0011】
本発明の更に別の目的は、原動機及び発電機における渦電流損を低減させるために、
(1)誘電材料、(2)遷移(中間)希土類リッチ合金、及び(3)希土類磁石材料の交互の層からなる、増大された抵抗率を有する成層複合構造を形成することである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の上記及び他の目的、特徴並びに他の利点は、以下の詳細な説明を添付の図面(図1から8は、本発明の高抵抗性複合永久成層構造の様々な特徴を例示する。)と併せて、更に理解されるであろう。
【0013】
【図1】図1(a)及び1(b)は、連続して交互にある誘電層と希土類磁石層とを、あるいは誘電体と希土類リッチ合金の混合物と希土類磁石材料層との層を鋳型に圧入することによって形成された、成層複合永久磁石構造の圧粉体の概略的なモルフォロジーを示す。交互の層の種類についての更なる詳細は、図2から4に示される。
【0014】
【図2】図2は、永久磁石材料の層に挟まれた誘電材料の層からなる成層複合希土類永久磁石構造の概略的なモルフォロジーを示す。希土類磁石層と誘電層との間に、該磁石層と誘電層との間の元素拡散に起因する拡散/反応界面層が形成される。
【0015】
【図3】図3は、希土類磁石層に挟まれた誘電材料と希土類リッチ合金の混合物からなる高抵抗率層を有する成層複合希土類永久磁石構造の概略的なモルフォロジーを示す。希土類磁石層と高電気抵抗率層との間の元素拡散に起因して、拡散/反応界面層が形成される。
【0016】
【図4】図4(a)は、希土類磁石層間に位置する希土類リッチ合金転移層間に挟まれた誘電層からなる成層複合永久希土類磁石構造の概略的なモルフォロジーを示す。誘電層と希土類リッチ合金転移層との間、及び希土類リッチ合金転移層と希土類磁石層との間の元素拡散に起因して、拡散/反応界面層が形成される。 図4(b)は、図4(a)の拡大図であり、例としてCaF2(誘電性)層とSmリッチ合金転移層との間、及びSmリッチ合金転移層とSm-Co磁石層との間の熱工程間の元素拡散を概略的に示す。
【0017】
【図5】図5は、CaF2誘電層(単一の誘電層で強調される)を有する成層Sm(Co,Fe,Cu,Zr)z磁石の走査電子顕微鏡像を示す。
【0018】
【図6】図6は、CaF2誘電層を有する成層Sm(Co,Fe,Cu,Zr)z磁石の写真を示す。
【0019】
【図7】図7(a)は、エネルギー分散型X線分析装置の使用によるCaF2誘電性介在物とSm(Co,Fe,Cu,Zr)z磁石材料との間の界面を横切る元素ラインスキャン(elemental line scan)を表す。図7(b)は、局所的な化学量論の変動をもたらすCaF2誘電性介在物とSm(Co,Fe,Cu,Zr)z磁石材料との間の界面で生じる元素拡散を確証したものである。
【0020】
【図8】図8は、増大された電気抵抗率を有する成層磁石の消磁曲線を示し、該磁石は、全部(完全な)層、部分的な中央の層、及び磁石の一端又は表面(磁極)に向かって配置された部分的な層を有する異なるモルフォロジー下で、圧粉体処理間に択一的に圧縮されたSm(Co,Fe,Cu,Zr)z磁石層とCaF2層を含む。
【0021】
【図9】図9(a)は、磁石マトリックス層上に堆積された均一かつ制御された厚さを有する誘電層(白色部)を示す。図9(b)は、成層Sm(Co,Fe,Cu,Zr)z/CaF2磁石を示す。図9(c)は、層を有しない従来の磁石と比較した成層Sm(Co,Fe,Cu,Zr)z/CaF2磁石の消磁曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(発明の概要)
本発明及び特許請求の範囲の明確な理解のために、次の用語を下記に説明するように定義する。
「希土類永久磁石」とは、Nd及びSmなどの希土類元素(RE)、Fe及びCoなどの遷移金属、並びに任意のBなどの半金属を有する金属間化合物に基づいた永久磁石と定義される。他の元素を追加して磁気特性を改善してもよい。
【0023】
「成層構造」とは、同一又は異なる材料の層を含む構造と定義される。
「複合磁石」とは、異なる組成を有する少なくとも2つの結晶相からなる磁石と定義される。
「渦電流」とは、可変磁場に曝されたときに導電性材料において発生する電流渦と定義される。
【0024】
「電気抵抗率」とは、材料が電流の流れをどれだけ大きく妨害するかの尺度として定義される。
「誘電体」とは、1MΩを超える高い電気抵抗率を有する材料と定義される。
「高抵抗率層」とは、ここでは、従来の希土類永久磁石の電気抵抗率よりも大きな電気抵抗率を有する材料の層と定義される。
【0025】
「希土類リッチ合金」とは、特定の相の化学量論を超える量で1種(又は複数)の希土類元素を含む合金と定義される。
「圧粉体」とは、原料粉を室温で圧縮することによって固化された供試体であり、バルクの対応物(空隙を有さない)の密度よりも小さな密度を有するものと定義する。
「元素拡散」とは、熱活性化による原子種の拡散、移動又は運動と定義される。
【0026】
「拡散/反応界面層」とは、ここでは、最初の化学量論が原子種の拡散及びそれらの結果として生じる相互作用/反応によって変化する、2つの材料間の領域と定義される。
「転移層」とは、ここでは、異なる組成及び機能を有する2つの層(例えば、誘電層及び磁石層)間の界面での元素拡散に起因する化学量論の変化を、最大限補償するために成層磁石構造において意図的に導入される材料の層と定義される。
【0027】
電動機又は他の回転機械に使用される高性能希土類永久磁石において、渦電流損を最小化するための許容し得る方法は、希土類永久磁石をセグメントに機械加工し、次いでこれを所望の形状に構成するか、又は別法として磁石粉体前駆体を電気絶縁性の材料と混合することである。
【0028】
本発明は、改善された別の方法を提供し、これは、(1)希土類系磁石と誘電材料との交互の層、又は(2)希土類系磁石と、希土類リッチ合金と誘電材料の混合物の層との交互の層からなるモノリシックな成層構造を形成することを含む。
【0029】
本発明の成層複合永久磁石は、その組成物が界面で部分的に相互作用する交互の層を含む。実施例1から3に詳述され、かつ実施例4から11に更に示されるように、これら本発明の複合成層永久磁石は、誘電性の追加物を有しない永久磁石に対して、電気抵抗率の増大を示す。例えば、それぞれ170%、244%、無限大の電気抵抗率の増大が、実施例1から3で報告される。実施例3で報告される無限大の電気抵抗とは、完全な電気絶縁性を示唆する。
【0030】
本発明の好ましい実施態様において、誘電体は、カルシウムのフッ化物、酸化物、オキシフッ化物、希土類のフッ化物、酸化物、オキシフッ化物、及びそれらの組合せからなる群から選択される。表2を参照されたい。
本発明の好ましい希土類永久磁石材料は、Sm-Co及びNd-Fe-B系の金属間化合物を含み、これらは表2に開示される。
【0031】
本発明の特徴的な磁気特性は、図面の図2に概略的に示されるように、交互にある誘電層と希土類永久磁石層からなるモルフォロジーによって得られる。本発明の複合成層永久希土類磁石において、誘電体は磁石材料と部分的に相互作用し、その界面の化学量論を局所的に変化させる。
【0032】
本発明において、希土類永久磁石材料の組成、特に成層の希土類構成要素の量は、各誘電性成層との界面で増大されなければならない。その必須の補償(compensation)は、(a)図3に示すように、純粋な誘電体を誘電体と希土類リッチ合金との混合物に置き換えることによるか、又は(b)図4に示すように、誘電層と磁石層との間に希土類リッチ合金転移層を使用することによる、異なるモルフォロジーによって達成することができる。本発明の成層希土類磁石の熱工程に関連する元素拡散が、図4(b)に概略的に示されている。ここで拡散層は、Sm-リッチ層と誘電層との間の界面に、並びにSm-リッチ層とSm-Co磁石層との間の界面に形成される。
【0033】
成層における誘電層又は高電気抵抗率層の厚さは、好ましくは、結合強度によって決定される上限と層の連続性によって制御される下限との間で調整される。本発明の好ましい実施態様において、誘電層又は高電気抵抗率層の厚さは、通常500μm未満である。より好ましくは、誘電層又は高電気抵抗率層は、100μm未満の厚さである。成層磁石における誘電層又は高電気抵抗率層の数は、用途によって決定されるであろう。高速機械に関しては、より多くの誘電層が好ましい。磁石層の厚さは用途によって決定され、通常500μm以上である。
【0034】
十分な密度を達成するための圧密法を挙げると、焼結、ホットプレス、ダイアップセット、放電プラズマ焼結、高周波焼結、赤外線焼結(infrared sintering)、燃焼駆動圧粉及びそれらの組合せがある。
【0035】
そのようにして形成された磁石の層間剥離は、誘電層又は高抵抗率層の厚さ、並びに層間及び層内の結合強度と関連するその物理的完全性(physical integrity)によって制御され得る。プロセス中の成層構造の破損は、本発明において、(1)磁石の一方の磁極近くの部分的な層、及び(2)磁石の中心の部分的な層を有する圧粉体の異なるモルフォロジーによって制御される。
【0036】
したがって、本発明の一実施態様は、改善された電気抵抗を有する成層希土類複合永久磁石であり、これは、希土類永久磁石材料と高電気抵抗率を示す誘電材料との交互層を含み、該成層構造はまた、拡散反応界面層、転移層及びそれらの組合せからなる群から選択される層を含む。
【0037】
本発明の別の実施態様は、改善された電気抵抗を有する成層希土類複合永久磁石であり、これは、希土類永久磁石材料と高電気抵抗率を示す誘電材料との交互層を含み、該希土類永久磁石材料が、下記からなる金属間化合物の群から選択され:
RE(Co,Fe,Cu,Zr)z
RE-TM-B、
RE2TM14B、
RE-Co、
RE2Co17
RECo5、及び
それらの組合せ;
(式中、z=6〜9であり;REは、イットリウムを含む希土類元素及びそれらの混合物からなる群から選択され;TMは、限定はされないが、Fe、Co及び他の遷移金属元素を含む遷移金属の群から選択される。)かつ該成層複合希土類永久磁石構造が、拡散反応界面層、転移層及びそれらの組合せからなる群から選択される層を含む。
【0038】
本発明の更に別の実施態様は、改善された電気抵抗を有する成層複合希土類永久磁石であり、これは、希土類永久磁石材料と高電気抵抗率を示す誘電材料との交互層を含み、該誘電材料が、下記からなる群から選択され:
フッ化物、
オキシフッ化物、
CaFx
Ca(F,O)x
(RE,Ca)Fx
(RE,Ca)(F,O)x
REFx
RE(F,O)x、及び
それらの混合物;
(式中、x=1〜6であり;REは、希土類元素及びそれらの混合物からなる群から選択される。)かつ該成層構造が、拡散反応界面層、転移層及びそれらの組合せからなる群から選択される層を含む。
【0039】
本発明の別の実施態様は、本明細書中に記載される成層複合希土類永久磁石であり、ここで、該誘電層の厚さが、約500μm未満、より好ましくは、100μm未満である。
【0040】
本発明の更に別の実施態様は、本明細書中に記載される成層複合希土類永久磁石であり、該希土類永久磁石材料層が、下記化学式で表される:
RE11.7+xTM88.3-x-yBy
(式中、x=0〜5、y=5〜7であり;REは、Nd、Pr、Dy、Tbを含む希土類元素及びそれらの組合せからなる群から選択され;かつTMは、Fe、Co、Cu、Ga、Alを含む遷移金属元素及びそれらの組合せからなる群から選択される。)。
【0041】
本発明の別の実施態様は、本明細書中に記載される成層複合希土類磁石であり、該転移層が、下記式で表される希土類リッチ合金からなる:
RE11.7+xTM88.3-x-yBy
(式中、xは5〜80であり、yは0〜6であり;REは、Nd、Pr、Dy及びTbを含む希土類元素からなる群から選択され;かつTMは、Fe、Co、Cu、Ga及びAlを含む遷移金属元素からなる群から選択される。)。
【0042】
本発明の更に別の実施態様は、本明細書中に記載される成層複合希土類永久磁石であり、該希土類永久磁石材料が、下記式で表される:
RE(CouFevCuwZrh)z
(式中、uは約0.5〜0.8であり、vは約0.1〜0.4であり、wは約0.01〜0.2であり、hは約0.01〜0.1であり、かつzは約6〜9であり;かつREは、Sm、Gd、Er、Tb、Pr、Dyを含む希土類元素及びそれらの組合せである。)。
【0043】
本発明の別の実施態様は、本明細書中に記載される成層希土類複合永久磁石であり、該希土類磁石材料が、下記式で表され:
RECox
(式中、x=4〜6であり、かつREは、Sm、Gd、Er、Tb、Pr及びDyを含む希土類元素、並びにそれらの混合物を表す。)、同時に他の金属又は非金属元素が任意であり、かつ10原子%を超えてはならない。
【0044】
本発明の更に別の実施態様は、本明細書中に記載される成層複合希土類永久磁石であり、該転移層が、下記式を有する希土類リッチ合金である:
RE(CouFevCuwZrh)z
(式中、u=0〜0.8、v=0〜0.35、w=0〜0.20、h=0〜0.05、z=1〜7であり;かつREは、希土類元素及びそれらの混合物を表す。)。
【0045】
本発明の別の実施態様は、本明細書中に記載される成層複合希土類永久磁石であり、該転移層が、下記式を有する希土類リッチ合金である:
RECox
(式中、xは1〜4であり、かつREは、希土類元素及びそれらの混合物からなる群から選択される。)。
【0046】
本発明の更に別の実施態様は、本明細書中に記載される成層複合希土類永久磁石であり、該高抵抗率の層が、CaFx、Ca(F,0)x、(RE,Ca)Fx、(RE,Ca)(F,0)x、REFx、RE(F,0)x(式中、x=1〜6)からなる群から選択されるフッ化物、オキシフッ化物及び酸化物、並びにそれらの混合物からなる群から選択され;該高抵抗率の層が、少なくとも30重量%の該フッ化物、オキシフッ化物及び酸化物を含み、かつ残部が、下記式を有する希土類リッチ合金である:
RE11.7+xTM88.3-x-yBy
(式中、x=5〜80、y=0〜6であり;REは、Nd、Pr、Dy、Tbを含む希土類元素及びそれらの組合せからなる群から選択され;かつTMは、Fe、Co、Cu、Ga、Alを含む遷移金属元素及びそれらの組合せを表す。)。
【0047】
本発明の別の実施態様は、本明細書中に記載される成層複合希土類永久磁石であり、該高抵抗率の層が、CaFx、Ca(F,0)x、(RE,Ca)Fx、(RE,Ca)(F,0)x、REFx、RE(F,O)x及びそれらの混合物(式中、x=1〜6)からなる群から選択されるフッ化物、オキシフッ化物及び酸化物からなる群から選択され;かつ該高抵抗率の層が、少なくとも30重量%の該フッ化物、オキシフッ化物及び酸化物を含み、かつ残部が、下記式を有する希土類リッチ合金である:
RE(CouFevCuwZrh)z
(式中、u=0〜0.8、v=0〜0.35、w=0〜0.20、h=0〜0.05、z=1〜7であり;かつREは、Nd、Pr、Dy、Tbを含む希土類元素及びそれらの組合せを表す。)。
【0048】
本発明の更に別の実施態様は、本明細書中に記載される成層複合希土類永久磁石であり、該高抵抗率の層が、CaFx、Ca(F,O)x、(RE,Ca)Fx、(RE,Ca)(F,O)x、REFx、RE(F,O)x及びそれらの混合物(式中、x=1〜6)からなる群から選択されるフッ化物、オキシフッ化物及び酸化物からなる群から選択され;かつ該高抵抗率の層が、少なくとも30重量%の該フッ化物、オキシフッ化物及び酸化物を含み、かつ残部が、下記式を有する希土類リッチ合金である:
RECox
(式中、x=1〜4である。)。
【0049】
本発明の別の実施態様は、高性能希土類磁石を使用する電動機及び発電機における改善に関するものであり、該改善は、本明細書中に記載される改善された電気抵抗を有する成層希土類複合永久磁石の使用により、渦電流損を低減させることを含む。
【0050】
本発明の更に別の実施態様は、本明細書中に記載される高性能複合希土類永久磁石の使用により改善された渦電流損による、回転機械における改善に関するものである。
【0051】
本発明の別の実施態様は、本明細書中に記載される成層希土類複合永久磁石であり、ここで、該拡散反応界面層及び転移層が、図4(a)及び4(b)に従って配置され、該層は、不連続であり得、非平面であり得、かつ不規則な厚さを有し得る。
【0052】
本発明の更に別の実施態様は、本明細書中に記載される成層希土類複合永久磁石であり、ここで、該成層が、図2に示されるように配置され、該層は、不連続であり得、非平面であり得、かつ不規則な厚さを有し得る。
【0053】
本発明の別の実施態様は、本明細書中に記載される成層希土類複合永久磁石であり、ここで、該成層が、図3に示されるように配置され、該層は、不連続であり得、非平面であり得、かつ不規則な厚さを有し得る。
【0054】
本発明の更に別の実施態様は、本明細書中に記載される成層希土類複合永久磁石であり、ここで、該成層が、図4(a)に示されるように配置され、該層は、不連続であり得、非平面であり得、かつ不規則な厚さを有し得る。
【0055】
(発明の詳細な説明)
本発明において、成層高電気抵抗性希土類永久磁石は、異なる化学組成の層、すなわち、希土類永久磁石層、誘電層、又は別法として、任意に転移層を有する高電気抵抗率層からなる。
【0056】
(希土類永久磁石層)
希土類永久磁石は、好ましくは、RE-Fe-B及びRE-Co系の永久磁石を含む希土類永久磁石を含み、ここで、REは、Y(イットリウム)を含む少なくとも1つの希土類元素である。本発明の使用に適したいくつかの希土類永久磁石の組成が、表2に記載されている。
【0057】
好ましい実施態様において、希土類磁石層はRE-Fe(M)-Bで表され、10〜40重量%のRE及び0.5〜5重量%のB(ホウ素)を含み、残部がFeである。Nd、Pr、Dy及びTbが、REとして好ましい元素であり、Ndが特に好ましい。更にDyを、REの全量の最大50重量%、好ましくは最大30重量%使用することが好ましい。保磁力改善のために、Mは任意の他の金属元素、例えば、Nb、Al、Ga及びCuを表す。Coの添加は、耐食性及び熱安定性を改善させ、かつFeの代用として、RE-Fe-B系磁石の全量に基づいて最大25重量%まで添加することができる。25重量%を超える添加量は、残留磁束密度及び固有保磁力を不利に低下させる。Nbは、結晶の過成長(overgrowth)を防ぎ、かつ熱安定性を促進するのに有効である。過剰量のNbは、残留磁束密度を低下させるので、NbはRE-Fe-B系磁石の全量に基づいて最大5重量%まで添加することが好ましい。
【0058】
上に記載されかつ表2に詳述されるように、希土類磁石層は、10〜35重量%のRE、30重量%未満のFe、1〜10重量%のCu、0.1〜5重量%のZr、任意に少量のTi及びHfなどの他の金属元素を有し、Coを含む残部を有する、RE2Co17系磁石であってもよい。該RE-Co系永久希土類磁石は、2:17の菱面体晶結晶構造のセルと1:5の六方晶結晶構造のセル界面からなるセル微細構造(cellular microstructure)を有することが好ましい。この磁石において、希土類元素は、好ましくは、任意の他の希土類元素、例えば、Ce、Er、Tb、Dy、Pr及びGdを伴うSmである。REの量が10重量%未満であるときには保磁力は低下し、REが39重量%を超えるときには残留磁束密度が減少する。高い残留磁束密度、BrはFeの添加によって達成することができるが、その量が30重量%を超える場合には、十分な保磁力を得ることはできない。Brを改善するために、少なくとも5重量%のFeを添加することが好ましい。銅、Cuは、保磁力の改善に貢献する。しかしながら、1重量%未満の添加では、その効果の顕著な改善は見られず、10重量%を超える添加では、残留磁束密度及び保磁力が低下する。
【0059】
表2に示されるように、成層中の希土類永久磁石層は、25〜45重量%のRE及び残部がCoのRECo5系磁石であってもよい。REは、好ましくは、Sm及び任意の他の希土類元素である。
【0060】
Nd-Fe-B及びSm-Co系成層磁石中には、他の金属又は非金属元素が、好ましくは、10重量%未満で存在し得る。本発明に使用されるNd-Fe-B系磁石及びRE-Co系磁石が、C、N、O、H、Al、Si、Mn、Cr及びそれらの組合せなどの不可避な不純物を含み得ることは理解されるであろう。
【0061】
(誘電層)
誘電層は、フッ化物、オキシフッ化物、Ca(F,O)x;(RE,Ca)Fx;(RE,Ca)(F,O)x;REFx;RE(F,O)x及びそれらの組合せからなる群から選択される物質からなり、ここで、REは、希土類元素及びそれらの混合物からなる群から選択される。表2も参照されたい。
【0062】
(高電気抵抗率層)
高電気抵抗率層は、フッ化物、オキシフッ化物、Ca(F,O)x;(RE,Ca)Fx;(RE,Ca)(F,O)x;REFx;RE(F,O)x及びそれらの組合せ(ここで、REは、希土類元素及びそれらの混合物からなる群から選択される。)からなる群から選択される誘電材料と、希土類リッチ合金との混合物である。これら希土類リッチ合金は、磁石層の種類の相違によって異なる。以下は、高抵抗率層の混合物に適した希土類リッチ合金のいくつかの例である。
【0063】
(1)RE-Fe(M)-B磁石の場合、希土類リッチ合金は、RE11.7+xTM88.3-x-yByであり、ここで、x=5〜80、y=0〜6、REは、Nd、Pr、Dy及びTbなどの希土類元素からなる群から選択され、かつTMは、Fe、Co、Cu、Ga及びAlなどの遷移金属元素からなる群から選択される。
(2)RE(CouFevCuwZrh)z磁石の場合、希土類リッチ合金は、RE(CouFevCuwZrh)z(u=0〜0.8、v=0〜0.35、w=0〜0.10、h=0〜0.05、z=1〜7)である。
(3)RECox磁石の場合、希土類リッチ合金は、RECox(x=4〜6)であり、ここで、REは、好ましくは、Gd、Er、Tb、Pr及びDyなどの任意の他の希土類元素を伴うSmであり、かつ他の金属又は非金属元素は任意であり、10重量%を超えてはならない。
【0064】
(転移層)
誘電層と永久磁石層間の拡散又は反応を補償するために挿入される転移層は、磁石層の種類の相違によって異なる。以下は、転移層に適した希土類リッチ合金のいくつかの例である。
【0065】
(1)RE-Fe(M)-B磁石の場合、希土類リッチ合金は、RE11.7+xTM88.3-x-yByであり、ここで、x=5〜80、y=0〜6であり、REは、Nd、Pr、Dy及びTbなどの希土類元素からなる群から選択され、かつTMは、Fe、Co、Cu、Ga及びAlなどの遷移金属元素からなる群から選択される。
(2)RE(CouFevCuwZrh)z磁石の場合、希土類リッチ合金は、RE(CouFevCuwZrh)z(u=0〜0.8、v=0〜0.35、w=0〜0.10、h=0〜0.05、z=1〜7)である。
(3)RECox磁石の場合は、希土類リッチ合金は、RECox(x=4〜6)であり、ここで、REは、好ましくは、Gd、Er、Tb、Pr及びDyなどの任意の他の希土類元素を伴うSmであり、かつ他の金属元素又は非金属元素は任意であり、かつ10重量%を超えてはならない。
【0066】
(製造方法)
高い電気抵抗率を有する本発明の成層希土類永久磁石は、図1(a)及び1(b)に示されるような交互の層を、十分な密度に達するように熱工程を伴い圧縮することによって、製造することができる。成層永久磁石の層は、好ましくは、渦電流の面に対して垂直であり、磁石の磁化の方向と平行である。この熱工程は、焼結、ホットプレス、ダイアップセット、放電プラズマ焼結、高周波焼結、赤外線焼結、燃焼駆動圧粉及びそれらの組合せを含むことができる。表2も参照されたい。
【0067】
磁石粉体は、出発材料を溶融し、キャスティングし、かつジェット・ミル、ボールミルなどで粉砕して製造した前駆体インゴットを、1〜10μm、好ましくは、3〜6μmの平均サイズを有する粒子に粗く微粉砕することによって製造することができる。誘電材料は、粉体、薄片又は非常に薄いシートの形態であり得る。成層磁石の圧粉体は、層(磁性及び非磁性の両方)を、1〜40kOeの磁場中、500〜3000kgf/cm2の圧力下で圧縮することによって形成される。次いで、該圧粉体は、例えば、真空中又は不活性ガス雰囲気中、1000℃〜1250℃で1〜4時間焼結することによって固化される。該焼結された産物を更に均質化及び熱処理して、硬磁性を発現させてもよい。
【実施例】
【0068】
(実施例)
表1は、実施例1〜3をまとめたものであり、高密度の成層Sm(Co,Fe,Cu,Zr)z永久磁石における磁気特性及び電気抵抗の向上を示しており、ここで、標準的な永久磁石に対する電気抵抗率の増加は、170%、244%及び無限大であることが報告される。
【0069】
【表1】

【0070】
(実施例1)
増大された電気抵抗を有する異方性Sm(Co,Fe,Cu,Zr)z/CaF2成層磁石を、1195℃で焼結し、1180℃で溶液処理し、850℃でエージングし、続いて400℃までゆっくりと冷却することからなる通常の粉末冶金工程によって合成した。各磁石の総重量は、およそ110グラムであった。該成層磁石におけるCaF2添加の総量は1重量%であり、10のCaF2層が存在した。下記は磁気特性及び電気抵抗率のデータである。
残留磁束密度、Br:10.6kG
固有保磁力、Hci:>25kOe
最大エネルギー積、(BH)max:25.1MGOe
誘電性追加物を有しない磁石と比較すると電気抵抗率は170%増大した。
【0071】
(実施例2)
増大された電気抵抗を有する異方性Sm(Co,Fe,Cu,Zr)z/CaF2成層磁石を、1195℃で焼結し、1180℃で溶液処理し、850℃でエージングし、続いて400℃までゆっくりと冷却することからなる通常の粉末冶金工程によって合成した。各磁石の総重量は、およそ110グラムであった。CaF2添加の総量は5重量%であった。およそ1/4容積部内に、磁極である端部に向かって分布した10のCaF2層が存在した。下記は磁気特性及び電気抵抗率のデータである。
残留磁束密度、Br:8.7kG
固有保磁力、Hci:>25kOe
最大エネルギー積、(BH)max:17.5MGOe
誘電性追加物を有しない磁石と比較すると層領域の電気抵抗は244%増大した。
【0072】
(実施例3)
増大された電気抵抗を有する異方性Sm(Co,Fe,Cu,Zr)z/CaF2成層磁石を、1195℃で焼結し、1180℃で溶液処理し、850℃でエージングし、続いて400℃までゆっくりと冷却することからなる通常の粉末冶金工程によって合成した。各磁石の総重量は、およそ425グラムであった。約300グラムの磁石粉体を、非磁性のスチールシムで支持されたシェルである鋳型に加え、空心を残した。磁石粉体とCaF2の交互の層を個別に該空洞へ手動で圧縮した。該中心領域内の8層に分布されたCaF2の総量は、5重量%であった。下記は磁気特性及び電気抵抗率のデータである。
残留磁束密度、Br:9.1kG
固有保磁力、Hci:>25kOe
最大エネルギー積、(BH)max:19.7MGOe
電気抵抗は無限大であり、少なくとも1つの層が完全な電気絶縁性を確保すること示唆している。
【0073】
本発明は、表2に説明される例示的な実施例によって更に説明され、成層希土類永久磁石の典型的なモルフォロジーの例示的な実施例4〜11を提供する。そのような成層磁石の電気抵抗率の予測される増大は、従来の磁石の電気抵抗率と比較すると、少なくとも100%である。成層複合希土類磁石の製造方法を挙げると、焼結、ホットプレス、ダイアップセット、放電プラズマ焼結、高周波焼結、赤外線焼結及び燃焼駆動圧粉がある。特記されない限り、表2においてx=1〜6である。
【0074】
下記の注記は、適切な記号(#、+及び*)によって本明細書中で示される以下の実施例の各々に適用する。
# REは好ましくは、Gd、Er、Tb、Pr及びDyなどの任意の他の希土類元素を伴うSmである。他の金属又は非金属元素は、任意であり、かつ好ましくは、約10重量%未満である。
+ REは、Nd、Pr、Dy及びTbなどの希土類元素からなる群から選択され、かつTMは、Fe、Co、Cu、Ga及びAlなどの遷移金属元素の群から選択される。他の金属又は非金属元素は、任意であり、かつ好ましくは、約10重量%未満である。
* 拡散層は、掲載した化合物、及び希土類遷移金属合金を含む他の相を含む。
以下余白
【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
【表4】

【0078】
【表5】

【0079】
【表6】

【0080】
【表7】

【0081】
【表8】

【0082】
【表9】

【0083】
(実施例12)
増大された電気抵抗を有する異方性Sm(Co,Fe,Cu,Zr)z/CaF2成層磁石を、1195℃で焼結し、1180℃で溶液処理し、850℃でエージングし、続いて400℃までゆっくりと冷却することからなる通常の粉末冶金工程によって合成した。図9(a)に示すように、成層異方性磁石の誘電層の厚さ及び均一性は、圧縮工程中に誘電性のサブミクロンの粉体のコロイド溶液を磁石粉体の層にスプレーすることによって、約50μmに制御することに成功した。該誘電性のサブミクロンの粉体は、化学合成又は高エネルギーボールミルのいずれかによって製造した。
【0084】
図9(a)は、Sm(Co,Fe,Cu,Zr)z磁石圧粉体層上に堆積されたCaF2コロイド層の厚さを示す。Sm(Co,Fe,Cu,Zr)zとCaF2層からなる成層異方性磁石は、1段階焼結法によって製造した。
図9(b)は、長さ10mm以内に2つのCaF2層を有する成層Sm(Co,Fe,Cu,Zr)z/CaF2磁石を示し、図9(c)は、従来の非成層の同等物と比較した成層磁石の消磁曲線を示す。
【0085】
成層Sm(Co,Fe,Cu,Zr)z/CaF2磁石の磁気特性は、以下の通りである。
残留磁束密度:Br=10.73kG,
固有保磁力:Hci>24.5kOe
最大エネルギー積:(BH)max=25.5MGOe
電気抵抗は磁石マトリックスと比較して500%増大した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
改善された電気抵抗を有する成層希土類複合永久磁石であって、希土類永久磁石材料と高電気抵抗率を示す誘電材料との交互層を含み、更に該成層構造が、拡散反応界面層、転移層及びそれらの組合せからなる群から選択される層を含む、前記磁石。
【請求項2】
改善された電気抵抗を有する成層希土類複合永久磁石であって、希土類永久磁石材料と高電気抵抗率を示す誘電材料との交互層を含み、該希土類永久磁石材料が、下記からなる金属間化合物の群から選択され:
RE(Co,Fe,Cu,Zr)z
RE-TM-B、
RE2TM14B、
RE-Co、
RE2Co17
RECo5、及び
それらの組合せ;
(式中、z=6〜9であり;REは、イットリウムを含む希土類元素及びそれらの混合物からなる群から選択され;かつTMは、限定はされないが、Fe、Co及び他の遷移金属元素を含む遷移金属の群から選択される。)かつ該成層複合希土類永久磁石の構造が、拡散反応界面層、転移層及びそれらの組合せからなる群から選択される層を含む、前記磁石。
【請求項3】
改善された電気抵抗を有する成層複合希土類永久磁石であって、希土類永久磁石材料と高電気抵抗率を示す誘電材料との交互層を含み、該誘電材料が、下記からなる群から選択され:
フッ化物、
オキシフッ化物、
CaFx
Ca(F,O)x
(RE,Ca)Fx
(RE,Ca)(F,O)x
REFx
RE(F,O)x、及び
それらの混合物;
(式中、x=1〜6であり;REは、希土類元素及びそれらの混合物からなる群から選択される。)かつ該成層構造が、拡散反応界面層、転移層及びそれらの組合せからなる群から選択される層を含む、前記磁石。
【請求項4】
前記誘電層の厚さが、約1mm未満である、請求項1記載の成層複合希土類永久磁石。
【請求項5】
前記誘電層の厚さが、約100μm未満である、請求項1記載の成層複合希土類永久磁石。
【請求項6】
前記希土類永久磁石材料層が、下記化学式で表される、請求項1記載の成層複合希土類永久磁石:
RE11.7+xTM88.3-x-yBy
(式中、x=0〜5、y=5〜7であり;REは、Nd、Pr、Dy及びTbを含む希土類元素からなる群から選択され;かつTMは、Fe、Co、Cu、Ga及びAlを含む遷移金属元素からなる群から選択される。)。
【請求項7】
前記転移層が、下記式で表される希土類リッチ合金からなる、請求項1記載の成層複合希土類磁石:
RE11.7+xTM88.3-x-yBy
(式中、xは5〜80であり、yは0〜6であり;REは、Nd、Pr、Dy及びTbを含む希土類元素からなる群から選択され;かつTMは、Fe、Co、Cu、Ga及びAlを含む遷移金属元素からなる群から選択される。)。
【請求項8】
前記希土類永久磁石材料が、下記式で表される、請求項1記載の成層複合希土類永久磁石:
RE(CouFevCuwZrh)z
(式中、uは約0.5〜0.8であり、vは約0.1〜0.35であり、wは約0.01〜0.2であり、hは約0.01〜0.05であり、かつzは約6〜9であり;かつREは、Sm、Gd、Er、Tb、Pr、Dyなどの希土類元素及びそれらの組合せからなる群から選択される。)。
【請求項9】
前記希土類磁石材料が、下記式で表され:
RECox
(式中、x=4〜6であり、かつREは、Sm、Gd、Er、Tb、Pr及びDyを含む希土類元素、並びにそれらの混合物を表す。)同時に他の金属又は非金属元素が任意であり、かつ10原子%を超えてはならない、請求項1記載の成層希土類複合永久磁石。
【請求項10】
前記転移層が、下記式を有する希土類リッチ合金である、請求項1記載の成層複合希土類永久磁石:
RE(CouFevCuwZrh)z
(式中、u=0〜0.8、v=0〜0.35、w=0〜0.20、h=0〜0.05、z=1〜7であり;かつREは、希土類元素及びそれらの混合物からなる群から選択される。)。
【請求項11】
前記転移層が、下記式を有する希土類リッチ合金である、請求項1記載の成層複合希土類永久磁石:
RECox
(式中、xは1〜4であり、かつREは、希土類元素及びそれらの混合物からなる群から選択される。)。
【請求項12】
前記高抵抗率の層が、CaFx、Ca(F,0)x、(RE,Ca)Fx、(RE,Ca)(F,0)x、REFx、RE(F,0)x(式中、x=1〜6)からなる群から選択されるフッ化物、オキシフッ化物及び酸化物、並びにそれらの混合物からなる群から選択され;該高抵抗率の層が、少なくとも30重量%の該フッ化物、オキシフッ化物及び酸化物を含み、かつ残部が、下記式を有する希土類リッチ合金である、請求項1記載の成層複合希土類永久磁石:
RE11.7+xTM88.3-x-yBy
(式中、x=5〜80、y=0〜6であり;REは、Nd、Pr、Dy及びTbからなる群から選択される希土類元素からなる群から選択され;かつTMは、遷移金属元素、Fe、Co、Cu、Ga及びAlからなる群から選択される。)。
【請求項13】
前記高抵抗率の層が、CaFx、Ca(F,0)x、(RE,Ca)Fx、(RE,Ca)(F,0)x、REFx、RE(F,O)x及びそれらの混合物(式中、x=1〜6)からなる群から選択されるフッ化物、オキシフッ化物及び酸化物からなる群から選択され;該高抵抗率の層が、少なくとも30重量%の該フッ化物、オキシフッ化物及び酸化物を含み、かつ残部が、下記式を有する希土類リッチ合金である、請求項1記載の成層複合希土類永久磁石:
RE(CouFevCuwZrh)z
(式中、u=0〜0.8、v=0〜0.35、w=0〜0.20、h=0〜0.05、z=1〜7であり;かつREは、Nd、Pr、Dy及びTbからなる群から選択される希土類元素からなる群から選択される。)。
【請求項14】
前記高抵抗率の層が、CaFx、Ca(F,O)x、(RE,Ca)Fx、(RE,Ca)(F,O)x、REFx、RE(F,O)x及びそれらの混合物(式中、x=1〜6)からなる群から選択されるフッ化物、オキシフッ化物及び酸化物からなる群から選択され;該高抵抗率の層が、少なくとも30重量%の該フッ化物、オキシフッ化物及び酸化物を含み、かつ残部が、下記式を有する希土類リッチ合金である、請求項1記載の成層複合希土類永久磁石:
RECox
(式中、x=1〜4である。)。
【請求項15】
請求項1記載の改善された電気抵抗を有する成層希土類複合永久磁石の使用により、渦電流損を低減させることを含む、高性能希土類磁石を使用する電動機及び発電機における改善。
【請求項16】
請求項1記載の高性能複合希土類永久磁石を含む、改善された渦電流損を有する、回転機械。
【請求項17】
前記拡散反応界面層及び転移層が、図4(a)及び4(b)に従って配置され、該層が、不連続であり得、非平面であり得、かつ不規則な厚さを有し得る、請求項1記載の成層希土類複合永久磁石。
【請求項18】
前記成層が、図2に示されるように配置され、該層が、不連続であり得、非平面であり得、かつ不規則な厚さを有し得る、請求項1記載の成層希土類複合永久磁石。
【請求項19】
前記成層が、図3に示されるように配置され、該層が、不連続であり得、非平面であり得、かつ不規則な厚さを有し得る、請求項1記載の成層希土類複合永久磁石。
【請求項20】
前記成層が、図4(a)に示されるように配置され、該層が、不連続であり得、非平面であり得、かつ不規則な厚さを有し得る、請求項1記載の成層希土類複合永久磁石。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−520029(P2013−520029A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553973(P2012−553973)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2011/024957
【国際公開番号】WO2011/103104
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(512213918)エレクトロン エナジー コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】