説明

増殖性疾患治療のための、抗CTLA−4抗体とチューブリン調節剤との組み合わせ

増殖性疾患の治療及び予防に役立つ、組成物および方法が開示される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、35 U.S.C. 119(e)の下で、2008年1月8日にされた米国仮出願第61/019,778号、および2008年5月29日にされた米国仮出願第61/056,957号の利益を主張する。それらの出願の内容の全体はそのまま本明細書で参照によって援用される。
本発明は、腫瘍学の分野および治療改善計画に関する。
【背景技術】
【0002】
米国国立癌研究所の推定によると、アメリカの場合、3人に1人がその生涯の間に癌にかかる。そして、最終的には、癌に羅患している約50%〜60%の人がその疾患で死亡する。この疾患が広範囲にわたって発生していることは、悪性腫瘍治療のための、改善された抗癌療法が必要であることをはっきり示している。
【0003】
現在、多様な癌が観察されることに起因して、癌を体内で破壊するための抗癌剤が多く開発されている。これらの化合物は、悪性腫瘍細胞を破壊するため、またはそうでなければその成長を阻害するために癌に対して投与され、一方の通常の正常細胞は影響を受けない状態に保つ。抗癌剤は、それらの作用メカニズムに基づいて分類されてきた。
【0004】
あるタイプの化学療法薬は、金属配位錯体と呼ばれる。このタイプの化学療法薬では、細胞核において、大部分のDNA鎖間が架橋されることによって細胞複製が妨げられることが知られている。結果的に、腫瘍成長は初期の段階で抑制され、次いで逆転される(reversed)。別のタイプの化学療法薬は、アルキル化剤と呼ばれる。これらの化合物は、分裂癌細胞のDNA中に、異質の組成物または分子を挿入することによって機能する。この異質部位によって、癌細胞の通常の機能が破壊され、細胞増殖が妨げられる。別のタイプの化学療法薬は抗悪性腫瘍薬であり、このタイプの薬は、癌細胞の成長および蔓延を妨げ、死殺し、または阻止する。さらに、他のタイプの抗癌剤には、非ステロイド性アロマターゼ阻害剤および二官能性アルキル化剤などが含まれる。
【0005】
化学療法薬および免疫治療薬を組み合わせた化学免疫療法は、腫瘍細胞壊死またはアポトーシスを起こして腫瘍細胞を直接攻撃する薬剤と腫瘍に対する宿主免疫応答を調節する薬剤との両効果を組み合わせた、癌治療の新規なアプローチである。化学療法薬は、「多価」腫瘍細胞ワクチンを作る抗原提示細胞により提供される腫瘍抗原を産生することによって、また腫瘍構造を歪めることによって、免疫療法の効果を強めることができ、その結果、免疫治療薬の浸入および拡大(expanded)免疫集団を促進する。
【0006】
イピリムマブは、ヒト抗ヒトCTLA-4抗体であって、CTLA-4と、抗原提示細胞に発現したCD80およびCD86との結合を阻止することによって、これらの分子の相互作用によって誘発される免疫応答の発現低下を防ぐ。イピリムマブがマウスCTLA-4を認識しないことから、本発明の研究では、抗マウスCTLA-4抗体(クローン UC10−4F10)を用いて化学療法薬によるCTLA-4遮断の効果を調べた。
【0007】
イクサベピロン[イグゼンプラ(登録商標)]およびパクリタキセル[タキソール(登録商標)]のような微小管安定化剤は、多くの種類の癌治療のために一般的に用いられており、またCTLA-4遮断と組み合わせるための、代表的で魅力的な薬剤である。
【0008】
本明細書で記載する研究では、微小管安定化剤およびCTLA-4遮断の組み合わせを、複数のマウス腫瘍モデルについて、各薬剤に対して異なる感受性で調べた。
【0009】
本発明者らは、増殖性疾患治療に関して、微小管調節剤と抗CTLA-4阻害剤とを組み合わせた相乗利益を初めて発見した。本発明の目的は、増殖性疾患治療のために、化学療法薬を組み合わせた効果的な治療計画を提供することであって、その治療計画は、1もしくはそれ以上の微小管調節剤が、1もしくはそれ以上の抗CTLA-4剤と組み合わさったものである。
(発明の概要)
【0010】
本発明は、相乗的に治療上有効な量の(1)少なくとも1つの抗増殖剤、および(2)抗CTLA-4アンタゴニストを治療が必要な哺乳類種に投与することを特徴とする、癌を含む抗増殖性疾患治療のための相乗的方法を提供する。
【0011】
抗増殖剤の非限定例は微小管安定化剤であり、例えばイクサベピロン、他のエポチロン、および/またはパクリタキセルである。
【0012】
当技術分野で公知のように、イクサベピロンは以下の構造(I):
【化1】

を有する化合物である。化合物(I)は、IUPAC命名法に従って、(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−17−オキサ−4−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオンとも呼ばれる。用語「(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−17−オキサ−4−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン」の使用は、特に断りがなければ、化合物(I)の溶媒和物(水和物を含む)および多形性形態、またはその塩を包含する。それは例えば、2003年8月12日に発行された米国特許第6,605,599号(それはそのまま、あらゆる目的において、本願で参照により援用されている)に記載されているような(I)の形態である。(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−17−オキサ−4−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオンの医薬組成物には、(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−17−オキサ−4−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオンおよび1またはそれ以上の希釈剤、ベヒクル、並びに/あるいは賦形剤を含む、あらゆる医薬的に許容される組成物が含まれる。(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−17−オキサ−4−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオンを含む医薬組成物の1つの例は、イグゼンプラ(登録商標)(ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社)である。イグゼンプラ(登録商標)は活性成分として(1S,3S,7S,10R,11S,12S,16R)−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[(1E)−1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−17−オキサ−4−アザビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオンを含み、点滴静注用ではイクサベピロンとも呼ばれ、無菌で非発熱性の52.8%(w/v)精製ポリオキシエチル化ヒマシ油および39.8%(w/v)無水アルコール(米国薬局方)からなる希釈剤の形態である不活性成分を含む。
【0013】
本発明に用いる方法および組成物のための、他のエポチロンの非限定例は、式II:
【化2】

[式中、
Qは、
【化3】

からなる群より選択され;
Gは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクロ、
【化4】

からなる群より選択され;
Wは、OまたはNR15であり;
Xは、OまたはH、Hであり;
Yは、O;H、OR16;OR17、OR17;NOR18;H、NHOR19;H、NR2021;H、H;およびCHR22からなる群より選択され、その中でOR17、OR17は環状ケタールになることができ;
およびZは独立して、CH、O、NR23、S、およびSOからなる群より選択され、ここでZおよびZのいずれか1つのみがヘテロ原子になることができ;
およびBは独立して、OR24、OCOR25、およびO−C(=O)−NR2627からなる群より選択され、BがHであり、かつYがOH、Hである場合には、それらは6員環ケタールまたはアセタールを形成することができ;
Dは、NR2829、NR30COR31、および飽和ヘテロ環からなる群より選択され;
、R、R、R、R、R、R、R13、R14、R18、R19、R20、R21、R22、R26、およびR27は独立して、H、アルキル、置換アルキル、およびアリールからなる群より選択され、またRおよびRがアルキルである場合にそれらは結合してシクロアルキルを形成することができ、RおよびRがアルキルである場合にそれらは結合してシクロアルキルを形成することができ;
、R10、R16、R17、R24、R25、およびR31は独立して、H、アルキル、および置換アルキルからなる群より選択され;
、R11、R12、R28、R30、R32、およびR33は、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロからなる群より独立して選択され;
15、R23、およびR29は独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロ、R32C=O、R33SO、ヒドロキシ、O−アルキル、またはO−置換アルキルからなる群より選択される]
の化合物およびそれの医薬的に許容される塩、並びにそれらのいずれの水和物、溶媒和物、または幾何異性体、光学異性体、および立体異性体によって包含される。
【0014】
式III:
【化5】

[式中、
P−Qは、C,C二重結合またはエポキシドであり;
Gは、
【化6】

であり;
Rは、H、アルキル、および置換アルキルの群から選択され;
は、
【化7】

からなる群より選択され;

【化8】

であり;
は、H、ハロゲン、CN、アルキル、および置換アルキルの群から選択され;
は、H、アルキル、および置換アルキルの群から選択され;
は、O、S、およびNZの群から選択され;
は、H、アルキル、置換アルキル、OZ、NZ、ZC=O、ZSO、および適宜置換されたグリコシルの群から選択され;
は、ハロゲン、N、NCS、SH、CN、NC、N(Z、およびヘテロアリールの群から選択され;
は、H、アルキル、置換アルキル、CF、OZ、SZ、およびNZの群から選択され;
は、CZまたはNであり;
は、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、OZ10、SZ10、およびNZ1011の群から選択され;
は、O、S、−NH−NH−、および−N=N−の群から選択され;
10は、NまたはCZ12であり;
11は、HN、置換HN、アルキル、置換アルキル、アリール、および置換アリールの群から選択され;
、Z、Z、およびZ11は独立して、H、アルキル、置換アルキル、アシル、および置換アシルの群から選択され;
は、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、およびヘテロ環の群から選択され;
、Z、Z、およびZ10は独立して、H、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、アリール、および置換アリールの群から選択され;
は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、およびヘテロ環の群から選択され;
は、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、OZ、SZ、およびNZの群から選択され;並びに
12は、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アリール、および置換アリールの群から選択されるが;
ただし、Rが、
【化9】

である場合には、G、G、G、およびGは同時に以下の定義:
およびGはHであり、GはOであり、並びにGはHまたはZC=O(Zはアルキル基)である
ではない]
は、本発明の方法および組成物に用いるための、適したエポチロンの別の例を提供する。
【0015】
本発明の好ましい式IIIの化合物は式IIIa:
【化10】

[式中、
P−Qは、C,C二重結合またはエポキシドであり;
Rは、H原子またはメチル基であり;
は、H原子、アルキル基、置換アルキル基、またはハロゲン原子であり;
は、H原子、アルキル基、または置換アルキル基であり;
は、O原子、S原子、またはNZ基であって、
は、H原子、アルキル基、置換アルキル基、アシル基、または置換アシル基であり;並びに
は、H原子、アルキル基、置換アルキル基、OZ基、NZ基、ZC=O基、ZSO基、または適宜置換されたグリコシル基であって、
は、H原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、またはヘテロ環基であって、
は、H原子、アルキル基、置換アルキル基、アシル基、または置換アシル基であって、および
は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、またはヘテロ環基であるが、ただし、
、G、G、およびGは同時に以下の定義:
およびGはH原子であり、GはO原子であり、並びにGはH原子またはZC=O(Zはアルキル基)である
ではない]
である。
【0016】
特に好まれる式IIIの化合物は、[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(アミノメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(化合物4)およびその医薬的に許容される塩である。
【0017】
当技術分野で公知のように、パクリタキセルは以下の構造(IV):
【化11】

を有する化合物である。化合物(IV)は、IUPAC命名法に従って、5β,20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサヒドロキシタキサ−11−エン−9−オン4,10−ジアセテート2−ベンゾアート13−エステルと(2R,3S)−N−ベンゾイル−3−フェニルイソセリンとも呼ばれる。用語「5β,20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサヒドロキシタキサ−11−エン−9−オン4,10−ジアセテート2−ベンゾアート13−エステルと(2R,3S)−N−ベンゾイル−3−フェニルイソセリン」の使用は、特に断りがなければ、化合物(IV)の溶媒和物(水和物を含む)および多形性形態、またはその塩を包含する。それは例えば、1996年4月2日に発行された米国特許第5,504,102号(それはそのまま、あらゆる目的において、本願で参照により援用されている)に記載されているような(IV)の形態である。5β,20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサヒドロキシタキサ−11−エン−9−オン4,10−ジアセテート2−ベンゾアート13−エステルと(2R,3S)−N−ベンゾイル−3−フェニルイソセリンの医薬組成物には、5β,20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサヒドロキシタキサ−11−エン−9−オン4,10−ジアセテート2−ベンゾアート13−エステルと(2R,3S)−N−ベンゾイル−3−フェニルイソセリンおよび1またはそれ以上の希釈剤、ベヒクル並びに/あるいは賦形剤を含む、あらゆる医薬的に許容される組成物が含まれる。5β,20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサヒドロキシタキサ−11−エン−9−オン4,10−ジアセテート2−ベンゾアート13−エステルと(2R,3S)−N−ベンゾイル−3−フェニルイソセリンを含む医薬組成物の1つの例は、タキソール(登録商標)(ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社)である。タキソール(登録商標)は活性成分として5β,20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサヒドロキシタキサ−11−エン−9−オン4,10−ジアセテート2−ベンゾアート13−エステルと(2R,3S)−N−ベンゾイル−3−フェニルイソセリンを含み、点滴静注用ではパクリタキセルとも呼ばれ、無菌の0.9%塩化ナトリウム注射(米国薬局方)、5%デキストロース注射(米国薬局方)、0.9%塩化ナトリウムおよび5%デキストロース注射(米国薬局方)、または5%デキストロースのリンガー液(0.3〜1.2mg/mlの最終濃度)からなる希釈剤の形態である不活性成分を含む。
【0018】
本発明の方法に用いるための、適した抗増殖剤には、これらに限定されないが、タキサン、パクリタキセル[パクリタキセルはタキソール(登録商標)として市販品で入手可能]、ドセタキセル、ディスコデルモリド(DDM)、ジクチオスタチン(DCT)、ペロルシドA、エポチロン、エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC、エポチロンD、エポチロンE、エポチロンF、フラノ−エポチロンD、デスオキシエポチロンBl、[17]−デヒドロデスオキシエポチロンB、[18]デヒドロデスオキシエポチロンB、C12,13−シクロプロピル−エポチロンA、C6〜C8架橋エポチロンA、トランス−9,10−デヒドロエポチロンD、シス−9,10−デヒドロエポチロンD、16−デスメチルエポチロンB、エポチロンB10、ディスコデルモリド、パツピロン(patupilone)(EPO−906)、KOS−862、KOS−1584、ZK−EPO、BMS−310705、ABJ−789、XAA296A(ディスコデルモリド)、TZT−1027(ソブリドチン)、ILX−651(タシドチン塩酸塩)、ハリコンドリンB、エリブリンメシレート(E−7389)、ヘミアステリン(HTI−286)、E−7974、クリプトフィシン、LY−355703、メイタンシノイド免疫共役体(DM−1)、MKC−1、ABT−751、T1−38067、T−900607、SB−715992(イスピネシブ)、SB−743921、MK−0731、STA−5312、エリュテロビン、17β−アセトキシ−2−エトキシ−6−オキソ−B−ホモ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール、シクロストレプチン、イソラウリマリド、ラウリマライド、4−エピ−7−デヒドロキシ−14,16−ジデメチル−(+)−ディスコデルモリド、およびクリプトチロン1が含まれ、これらに加えて当技術分野で公知の他の微小管安定化剤も含まれる。
【0019】
用語「微小管調節剤」は、微小管を安定するか、あるいは微小管合成および/または重合を不安定するかの、いずれかの薬剤を意味する。
【0020】
本発明の方法に用いるための、適した抗CTLA-4アンタゴニスト剤には、これらに限定されないが、抗CTLA-4抗体、ヒト抗CTLA-4抗体、マウス抗CTLA-4抗体、哺乳類抗CTLA-4抗体、ヒト化抗CTLA-4抗体、モノクローナル抗CTLA-4抗体、ポリクローナル抗CTLA-4抗体、キメラ抗CTLA-4抗体、MDX−010(イピリムマブ)、トレメリムマブ(tremelimumab)、抗−CD28抗体、抗CTLA-4アドネクチン(adnectin)、抗CTLA-4ドメイン抗体、単鎖抗CTLA-4フラグメント、重鎖抗CTLA-4フラグメント、軽鎖抗CTLA-4フラグメント、共刺激経路を刺激するCTLA-4阻害剤、PCT国際公開第2001/014424号に開示されている抗体、PCT国際公開第2004/035607号に開示されている抗体、米国特許公開第2005/0201994号に開示されている抗体、および欧州特許第EP1212422号B1に開示されている抗体が含まれる。他のCTLA-4抗体は、米国特許第5,811,097号、第5,855,887号、第6,051,227号、および第6,984,720号;PCT国際公開第01/14424号および第00/37504号;並びに米国特許公開第2002/0039581号および第2002/086014号に記載されている。本発明の方法に用いることができる別の抗CTLA-4抗体には、例えば、国際公開第98/42752号;米国特許第6,682,736号および第6,207,156号;Hurwitz et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95(17):10067-10071 (1998);Camacho et al., J. Clin. Oncology, 22(145):Abstract No. 2505 (2004) (antibody CP-675206);Mokyr et al., Cancer Res, 58:5301-5304 (1998)、米国特許第5,977,318号、第6,682,736号、第7,109,003号、および第7,132,281号に開示されているものがある。
【0021】
別の抗CTLA-4アンタゴニストには、これらに限定されないが、以下が含まれる。すなわち、CD28抗原がその同族リガンドに結合する能力を破壊することができるいずれの阻害剤、CTLA-4がその同族リガンドと結合する能力を阻害することができるいずれの阻害剤、共刺激経路を介してT細胞応答を増加することができるいずれの阻害剤、B7がCD28および/またはCTLA-4と結合する能力を破壊することができるいずれの阻害剤、共刺激経路を活性化するB7の能力を破壊することができるいずれの阻害剤、CD80がCD28および/またはCTLA-4と結合する能力を破壊することができるいずれの阻害剤、共刺激経路を活性化するCD80の能力を破壊することができるいずれの阻害剤、CD86がCD28および/またはCTLA-4と結合する能力を破壊することができるいずれの阻害剤、共刺激経路を活性化するCD86の能力を破壊することができるいずれの阻害剤、および一般的には活性化することにより共刺激経路を破壊することができるいずれの阻害剤が含まれる。これには必然的に、他の抗CTLA-4アンタゴニストの中で、共刺激経路の他のメンバーの中のCD28、CD80、CD86、TLA-4の小分子阻害剤;共刺激経路の他のメンバーの中のCD28、CD80、CD86、CTLA-4を対象にした抗体;共刺激経路の他のメンバーの中のCD28、CD80、CD86、CTLA-4を対象にしたアンチセンス分子;共刺激経路の他のメンバーの中のCD28、CD80、CD86、CTLA-4を対象にしたアドネクチン(adnectin);共刺激経路の他のメンバーの中のCD28、CD80、CD86、CTLA-4のRNAi阻害剤(単鎖および二重鎖の両方)が含まれる。
【0022】
これらの各文献は、CTLA-4抗体を記述する目的で、参照によって本明細書で特に援用されている。好ましい、臨床的なCTLA-4抗体はヒトモノクローナル抗体10Dl[MDX−010およびイピリムマブとも呼ばれ、メダレックス社、ブルームズベリー(Bloomsbury)、NJで入手できる]であり、国際公開第01/14424号に開示されている。
【0023】
本明細書で言及される、それぞれの抗CTLA-4アンタゴニスト剤は、単独、またはペプチド抗原(例えば、gp100)と組み合わせのいずれで投与してもよく、そのペプチド抗原は単独投与、または本明細書で開示される抗増殖剤との付加投与のいずれであってもよい。
【0024】
本発明はさらに、治療上有効な量の、少なくとも1つの(1)抗増殖剤、および(2)抗CTLA-4アンタゴニストを含む、癌の相乗治療のための医薬組成物を提供する。
【0025】
本発明の好ましい態様において、抗CTLA-4剤は、式I、II、III、IIIa、および/またはIV、あるいはそれらの類似体の化合物の投与と同時に、その前に、またはその後に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、マウスM109の肺癌腫瘍異種移植モデルにおいて、イクサベピロンと組み合わせたCTLA-4 mAbの抗腫瘍活性を示す。図で示されるように、相乗作用は、抗CTLA-4抗体およびイクサベピロンの組み合わせで観察された。
【0027】
【図2】図2は、マウスCT−26大腸腫瘍モデルにおいて、パクリタキセルまたはイクサベピロンをCTLA-4 mAbと組み合わせた抗腫瘍活性を示す。図で示されるように、相乗作用は、抗CTLA-4抗体およびイクサベピロンの組み合わせ、並びに抗CTLA-4抗体およびパクリタキセルの組み合わせの両方で観察された。
【0028】
【図3】図3は、「CTLA-4抗体」および「イクサベピロンを加えたCTLA-4抗体」の処理が、処理の2日後ではCD8CD107T細胞の数の増加をもたらし、また処理の7日後ではCTLA-4抗体単独またはイクサベピロン単独に対して、「イクサベピロンを加えたCTLA-4抗体」はより持続的な効果をもたらすことを示す。
【0029】
【図4】図4は、処理して2日後において、CTLA-4 mAbの処理がCD4およびCD8活性化T細胞(CD4CD69;CD8CD69)の数の増加をもたらし、またイクサベピロンまたはパクリタキセルをCTLA-4 mAb処理に加えることが、CTLA-4 mAb処理により誘発される活性化T細胞の増殖を変化させないことを示す。
【0030】
(発明の詳細な説明)
本発明において、増殖性疾患の治療および予防のための、少なくとも1つの抗CTLA-4剤と相乗的に組み合わせたチューブリン修飾剤を計画的に投与する方法が提供される。
【0031】
最適なT細胞活性化は、T細胞受容体および特定抗原の間における相互作用[Bretscher, P. et al., Science, 169:1042-1049 (1970)](最初のシグナル)、並びにT細胞表面上における、抗原提示細胞(APC)によって発現された同時刺激リガンドと同時刺激受容体との会合(第2のシグナル)を必要とする。T細胞が第2のシグナルを受け取るのに失敗すると、クローン・アネルギーを引き起こすことがある[Schwartz, R.H., Science, 248:1349-1356 (1990)]。2つの重要なT細胞同時刺激受容体は、CD28および細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4、CD152)であり、それらのAPC上のリガンドはB7−1およびB7−2である[Linsley, P.S. et al., J. Exp. Med., 173:721-730 (1991); Linsley, P.S. et al., J. Exp. Med., 174:561-569 (1991)]。CD28およびCTLA-4はIgスーパーファミリーのよく似たメンバーであるものの[Brunet, J.F. et al., Nature, 328:267-270 (1987)]、それらは拮抗的に機能する。CD28は、恒常的にT細胞の表面上で発現し[Gross, J.A. et al., J. Immunol., 149:380-388 (1992)]、B7−1またはB7−2との会合によってT細胞受容体ペプチドMHCシグナルを高めて、T細胞活性化、細胞増殖、およびIL−2産生を促進する[Linsley, P.S. et al., J. Exp. Med., 173:721-730 (1991); Alegre, M.L. et al., Nat. Rev. Immunol (2002)]。CTLA-4は静止T細胞上には発見されないものの、T細胞活性化後には2〜3日間、発現が上昇する[Lindsten, T. et al., J. Immunol., 151:3489-3499 (1993), Walunas, T.L. et al., Immunity, 1:405-413 (1994)]。加えてCTLA-4は、CD28よりも高い親和性で、B7−1およびB7−2と結合し[Linsley, P.S. et al., Immunity, 1:793-801 (1994)]、T細胞活性化をアンタゴナイズし、IL−2産生およびIL−2受容体発現を妨げ、そして活性化T細胞の細胞周期進行を中断させる[Walunas, T.L. et al., J. Exp. Med., 183:2541-2550 (1996); Krummel, M.F. et al., J. Exp. Med., 183:2533-2540 (1996); Brunner, M.C. et al., J. Immunol., 162:5813-5820 (1999); Greenwald, R.J. et al., Eur. J. Immunol., 32:366-373 (2002)]。全体のT細胞応答は、全ての刺激性および阻害性シグナルの統合によって決定される。
【0032】
CTLA-4はT細胞活性化を弱めるように見えるので、癌免疫療法のマウスモデルにおいて、CTLA-4活性をブロックする試みが行なわれきた。免疫原性腫瘍を移植したマウスにおいて、抗CTLA-4 Abの投与は腫瘍拒絶を高めた[Leach, D.R. et al., Science, 271:1734-1736 (1996)]。ただ、免疫原性が低い腫瘍(例えば、SM1乳癌またはB16メラノーマ)ではわずかな効果しか見られなかった。高められた抗腫瘍免疫は、抗CTLA-4Abが顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)導入されたB16細胞ワクチンと一緒に与えられた場合に見られたこと、および色素脱失を伴ったことから、抗腫瘍応答の少なくとも一部は、「自己」メラニン細胞分化抗原に対して抗原特異的であることを示唆する[van Elsas, A. et al., J. Exp. Med., 190:355-366 (1999); van Elsas, A. et al., J. Exp. Med., 194:481-489 (2001)]。原発性前立腺癌の遺伝子組み換えマウスモデルにおいて、抗CTLA-4AbとGM−CSF発現前立腺癌細胞の投与は、前立腺癌の発生率および組織学的重傷度の低下をもたらし、通常のマウスの前立腺炎に導くのであって、これは先と同様、腫瘍拒絶における自己抗原に対する抗原特異免疫応答を示唆する[Hurwitz, A.A. et al., Cancer Res., 60:2444-2448 (2000)]。さらに、多くのヒト腫瘍抗原は通常の自己抗原であるので、自己に対する寛容の破壊は癌免疫療法の成功に決定的なことかもしれない。マウスモデルにおいて、腫瘍ワクチンと併せたCTLA-4遮断からの好ましい腫瘍応答は、ヒト癌免疫療法においてCTLA-4遮断を用いることの関心を引きつける。
【0033】
化学療法薬および免疫治療薬の組み合わせによる化学免疫療法は、腫瘍細胞壊死またはアポトーシスを生み出す腫瘍細胞を直接攻撃する薬剤および腫瘍に対する宿主免疫応答を調節する薬剤の効果を組み合わせた、癌治療の新規なアプローチである。化学療法薬は、「多価」腫瘍細胞ワクチンを作る抗原提示細胞が提供する腫瘍抗原を産生することによって、また腫瘍構造を歪めることによって、免疫療法の効果を高めることができ、よって、免疫治療薬の浸透および拡大(expanded)免疫ポピュレーションを促進させる。
【0034】
微小管修飾剤は、適した微小管構築を維持するための細胞能力を刺激または阻害する。パクリタキセル[タキソール(登録商標)として市販で入手可能]の場合、有糸分裂異常および停止を引き起こし、また微小管構築をカルシウム安定凝集構造に促進して細胞複製の阻害をもたらす。
【0035】
エポチロンはタキソール(登録商標)の生物学的効果を模倣し[Bollag et al., Cancer Res., 55:2325-2333 (1995)]、また競争研究によると、微小管に結合するタキソール(登録商標)の競合的阻害剤として働く。しかしながら、多剤耐性の細胞株に対して、エポチロンはタキソール(登録商標)と比較して効力の低下が低いという点で、エポチロンはタキソール(登録商標)よりも著しく優れた利点を有する[Bollag et al. (1995)]。さらに、タキソール(登録商標)の場合よりもエポチロンは、P糖タンパク質によって細胞から輸出されにくい[Gerth et al. (1996)]。
【0036】
イクサベピロンは、チューブリンと結合するパツピロン(patupilone)の半合成ラクタム類似体であり、チューブリン重合および微小管安定を促進し、それによって細胞周期のG2/M相で細胞を停止させ、腫瘍細胞をアポトーシスに導く。
【0037】
したがって、好ましい態様において、本発明の治療方法は、1もしくはそれ以上の抗CTLA-4剤と組み合わせて、式I、II、III、IIIa、および/またはIV、あるいはそれらの類似体を投与することを含む。本明細書で開示される抗増殖剤は、少なくとも1つの抗CTLA-4剤と組み合わせて用いる場合に、優れた細胞傷害性活性/抗腫瘍活性を示す。
【0038】
本発明の方法で用いるための好ましいエポチロン類似体は式II:
【化12】

[式中、
Qは、
【化13】

からなる群より選択され;
Gは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクロ、
【化14】

からなる群より選択され;
Wは、OまたはNR15であり;
Xは、OまたはH、Hであり;
Yは、O;H、OR16;OR17、OR17;NOR18;H、NHOR19;H、NR2021;H、H;およびCHR22からなる群より選択され、その中でOR17、OR17は環状ケタールになることができ;
およびZは独立して、CH、O、NR23、S、およびSOからなる群より選択され、ここでZおよびZのいずれか1つのみがヘテロ原子になることができ;
およびBは独立して、OR24、OCOR25、およびO−C(=O)−NR2627からなる群より選択され、BがHであり、かつYがOH、Hである場合には、それらは6員環ケタールまたはアセタールを形成することができ;
Dは、NR2829、NR30COR31、および飽和ヘテロ環からなる群より選択され;
、R、R、R、R、R、R、R13、R14、R18、R19、R20、R21、R22、R26、およびR27は独立して、H、アルキル、置換アルキル、およびアリールからなる群より選択され、またRおよびRがアルキルである場合にそれらは結合してシクロアルキルを形成することができ、RおよびRがアルキルである場合にそれらは結合してシクロアルキルを形成することができ;
、R10、R16、R17、R24、R25、およびR31は独立して、H、アルキル、および置換アルキルからなる群より選択され;
、R11、R12、R28、R30、R32、およびR33は、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロからなる群より独立して選択され;
15、R23、およびR29は独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロ、R32C=O、R33SO、ヒドロキシ、O−アルキル、またはO−置換アルキルからなる群より選択される]
の化合物およびそれの医薬的に許容される塩、並びにそれらのいずれの水和物、溶媒和物、または幾何異性体、光学異性体、および立体異性体によって包含される。
【0039】
本発明に用いる別の好ましいエポチロンは式III:
【化15】

[式中、
P−Qは、C,C二重結合またはエポキシドであり;
Gは、
【化16】

であり;
Rは、H、アルキル、および置換アルキルの群から選択され;
は、
【化17】

からなる群より選択され;

【化18】

であり;
は、H、ハロゲン、CN、アルキル、および置換アルキルの群から選択され;
は、H、アルキル、および置換アルキルの群から選択され;
は、O、S、およびNZの群から選択され;
は、H、アルキル、置換アルキル、OZ、NZ、ZC=O、ZSO、および適宜置換されたグリコシルの群から選択され;
は、ハロゲン、N、NCS、SH、CN、NC、N(Z、およびヘテロアリールの群から選択され;
は、H、アルキル、置換アルキル、CF、OZ、SZ、およびNZの群から選択され;
は、CZまたはNであり;
は、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、OZ10、SZ10、およびNZ1011の群から選択され;
は、O、S、−NH−NH−、および−N=N−の群から選択され;
10は、NまたはCZ12であり;
11は、HN、置換HN、アルキル、置換アルキル、アリール、および置換アリールの群から選択され;
、Z、Z、およびZ11は独立して、H、アルキル、置換アルキル、アシル、および置換アシルの群から選択され;
は、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、およびヘテロ環の群から選択され;
、Z、Z、およびZ10は独立して、H、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、アリール、および置換アリールの群から選択され;
は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、およびヘテロ環の群から選択され;
は、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、OZ、SZ、およびNZの群から選択され;並びに
12は、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アリール、および置換アリールの群から選択されるが;
ただし、Rが、
【化19】

である場合には、G、G、G、およびGは同時に以下の定義:
およびGはHであり、GはOであり、並びにGはHまたはZC=O(Zはアルキル基)である
ではない]
の化合物である。
【0040】
本発明の好ましい式IIIの化合物は式IIIa:
(IIIa)
【化20】

[式中、
P−Qは、C,C二重結合またはエポキシドであり;
Rは、H原子またはメチル基であり;
は、H原子、アルキル基、置換アルキル基、またはハロゲン原子であり;
は、H原子、アルキル基、または置換アルキル基であり;
は、O原子、S原子、またはNZ基であって、
は、H原子、アルキル基、置換アルキル基、アシル基、または置換アシル基であり;並びに
は、H原子、アルキル基、置換アルキル基、OZ基、NZ基、ZC=O基、ZSO基、または適宜置換されたグリコシル基であって、
は、H原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、またはヘテロ環基であって、
は、H原子、アルキル基、置換アルキル基、アシル基、または置換アシル基であって、および
は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、またはヘテロ環基であるが、ただし、
、G、G、およびGは同時に以下の定義;
およびGはH原子であり、GはO原子であり、並びにGはH原子またはZC=O(Zはアルキル基)である
ではない]
である。
【0041】
特に好ましい式IIIの化合物は、[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(アミノメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(化合物4)およびその医薬的に許容される塩である。
【0042】
本化合物を記述する場合、用語「低級アルキル」または「低級アルキ(lower alk)」(別の基の一部として)は、1〜6(好ましくは1〜4)の炭素原子の無置換アルキル基を指す。
【0043】
用語「アラルキル」は、低級アルキル基が直接結合しているアリール基を指す。好ましいアラルキル基はベンジルである。
【0044】
用語「アリール」は、環部分に6〜12炭素原子を有する、単環式または二環式芳香族炭化水素基である。本明細書の典型的なアリールは、フェニル、ナフチルおよびビフェニル基である。
【0045】
用語「ヘテロシクロ」は、4〜7員単環式、7〜11員二環式、または10〜15員三環式環系であって、少なくとも1つの炭素原子含有環に少なくとも1つのヘテロ原子を有する、完全飽和もしくは不飽和の、芳香族もしくは非芳香族環基を指す。ヘテロ原子を含むヘテロ環基の各環は、窒素、酸素および硫黄(窒素および硫黄ヘテロ原子は適宜酸化されてもよく、また窒素ヘテロ原子は適宜四級化されてもよい)から選択される、1、2、3、もしくは4ヘテロ原子を有してもよい。ヘテロシクロ基は、いずれのヘテロ原子または炭素原子に結合してもよい。
【0046】
典型的な単環式ヘテロシクロ基には、ピロリジニル、ピロリル、インドリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソキサゾリニル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキサゼピニル、アゼピニル、4−ピペリドニル、ピリジル、N−オキソ−ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、テトラヒドロチオピラニルスルホン、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル、ジオキサニル、イソチアゾリジニル、チエタニル、チイラニル、トリアジニル、およびトリアゾリルなどが含まれる。
【0047】
典型的な二環式ヘテロシクロ基には、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、キノリニル−N−オキシド、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフリル、クロモニル、クマリニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル(例えば、フロ[2,3−c]ピリジニル、フロ[3,1−b]ピリジニル、またはフロ[2,3−b]ピリジニル)、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキナゾリニル(例えば、3,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル)、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾジアジニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾピラゾリル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、ジヒドロベンゾピラニル、インドリニル、イソクロマニル、イソインドリニル、ナフチリジニル、フタラジニル、ピペロニル、プリニル、ピリドピリジル、キナゾリニル、テトラヒドロキノリニル、チエノフリル、チエノピリジル、およびチエノチエニルなどが含まれる。
【0048】
ある基が適宜置換されたという場合、それは1〜5(好ましくは1〜3)つの置換基で置換されてもよく、そのような置換基は例えば、F、Cl、Br、I、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロオキシ、オキソ、低級アルカノイル、アリールオキシ、低級アルカノイルオキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、2つのアミノ置換が独立して低級アルキル、アリール、またはアラルキルから選択される二置換アミン、低級アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アルアルカノイルアミノ、置換低級アルカノイルアミノ、置換アリールアミノ、置換アラルキルアノイルアミノ、チオール、低級アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、低級アルキルチオノ、アリールチオノ、アラルキルチオノ、低級アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、スルホンアミド(例えば、SONH)、置換スルホンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル(例えば、CONH)、置換カルバミル(例えば、CONH−低級アルキル、CONH−アリール、CONH−アルアルキル、あるいは窒素上に、低級アルキル、アリール、またはアラルキルから独立して選択される2つの置換基が存在する場合)、低級アルコキシカルボニル、アリール、置換アリール、グアニジノ、およびヘテロシクロ(例えば、インドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジル、ピリミジルなど)などである。置換基がさらに置換されると上記で記載されている場合、それは、F、Cl、Br、I、適宜置換された低級アルキル、ヒドロキシ、適宜置換された低級アルコキシ、適宜置換されたアリール、または適宜置換されたアラルキルによって置換される。
【0049】
本発明の式I、II、III、IIIaおよびIVの化合物のあらゆる立体異性体は、混合または実質的に純粋な形のいずれかで考慮される。式Iの化合物の定義は、あらゆる可能な立体異性体およびそれらの混合物を包含する。式I、II、III、IIIaおよびIVの定義は、特に、特定の活性を有する、ラセミ体および単離された光学異性体を包含する。
【0050】
本発明の方法で用いるための特に好ましいエポチロン類似体は化合物1:[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4−アザ−17−オキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン。別の典型的なエポチロンは、[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(アミノメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(化合物4)である。
【0051】
化合物1は、本発明の典型的なエポチロン類似体であり、半合成エポチロン類似体であって、パクリタキセルと類似の作用様式(すなわち、微小管安定化)を有する。しかしながら、前臨床薬理研究によると、複数の重要な側面に関して、化合物1はパクリタキセルよりも著しい改善を示した。化合物1は、パクリタキセル感受性(A2780、HCT116、およびLS174T)に対して、そしてより重要なのは卵巣癌(Pat−7およびA2780Tax)、乳癌(Pat−21)、およびパクリタキセル耐性のヒト大腸腫瘍(HCT116/VM46)モデルに対して、実に優れた広範囲にわたる抗腫瘍活性を発揮する。化合物1は経口的に有効であるり、すなわち、経口投与後に生じる抗腫瘍活性は、薬物の非経口投与により生じるそれに匹敵する。これらの前臨床有効性データは、化合物1が、タキソール(登録商標)の悲感受性および感受性の疾患タイプに対して改善された臨床効果を示す。
【0052】
化合物2は、(R)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−3−(フェニルメチル)−4−(2−チエニルスルホニル)−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−7−カルボニトリル、塩酸塩である。
【0053】
化合物3は、以下:
【化21】

に示すCDK阻害剤である。
【0054】
化合物4は、1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(アミノメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオンである。
【0055】
化合物5は、N−[5−[[[5−(1,1−ジメチルエチル)−2−オキサゾリル]メチル]チオ]−2−チアゾリル]−4−ピペリジンカルボキサミドである。
【0056】
本発明の好ましい態様において、式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物あるいはそれらの類似体は、少なくとも1つの抗CTLA-4剤とともに投与される。
【0057】
少なくとも1つの抗CTLA-4剤と少なくとも1つの抗増殖性化合物を組み合わせには、抗増殖性細胞毒性剤の添加も含まれるかもしれない。抗増殖性細胞毒性剤として用いてもよい化合物の種類には以下が含まれる。
【0058】
アルキル化剤[これらに限定されないが、ナイトロジェンマスタード、エチルエニミン(ethlyenimine)誘導体、スルホン酸アルキル、ニトロソ尿素、およびトリアゼンが含まれる]:ウラシルマスタード、クロルメチン、シクロホスファミド[シトキサン(登録商標)]、イホスファミド、メルファラン、クロランブシル、ピポブロマン、トリエチレン−メラミン、トリエチレンチオホスホールアミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、およびテモゾロマイド。
【0059】
代謝拮抗剤(これらに限定されないが、葉酸アンタゴニスト、ピリミジン類似体、プリン類似体、およびアデノシンデアミナーゼ阻害剤が含まれる):メトトレキセート、5−フルオロウラシル、フロキシウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン、およびゲムシタビン。
【0060】
天然産物およびそれらの誘導体(例えば、ビンカアルカロイド、抗腫瘍抗生物質、酵素、リンホカイン、およびエピポドフィロトキシン):ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、Ara−C、パクリタキセル[パクリタキセルは、タキソール(登録商標)として市販で入手可能]、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン(特にIFN−a)、エトポシド、およびテニポシド。
【0061】
他の抗増殖性細胞毒性剤は、ナベルビン、CPT−11、アナストロゾール、レトロゾール、カペシタビン、レロキサフィン、シクロホスファミド、イフォスアミド、およびドロロキサフィン(droloxafine)である。
【0062】
少なくとも1つの抗増殖性化合物と少なくとも1つの抗CTLA-4剤の組み合わせは、抗増殖性細胞毒性剤を単独で、または放射線療法との組合せで加えることも含むかもしれない。
【0063】
少なくとも1つの抗CTLA-4剤との他の組み合わせには、別の共刺激経路アゴニスト(すなわち、免疫賦活薬)、チューブリン安定化剤[例えば、パシタキソール(pacitaxol)、エポチロン、タキサンなど]、イグゼンプラ(登録商標)、ダカルバジン、パラプラチン、ドセタキセル、1もしくはそれ以上のペプチドワクチン、MDX−1379メラノーマペプチドワクチン、1もしくはそれ以上のgp100ペプチドワクチン、鶏痘−PSA−TRICOM(登録商標)ワクチン、ワクチニア−PSA−TRICOM(登録商標)ワクチン、MART−1抗原、サルグラモスチム、チシリムマブの組合せ、アンドロゲン切除療法併用;イピリムマブおよび別の共刺激経路アゴニストの組み合わせ;イピリムマブおよびチューブリン安定化剤(例えば、パシタキソール、エポチロン、タキサンなど)の組み合わせ;イピリムマブおよびイグゼンプラ(登録商標)の組み合わせ、イピリムマブとダカルバジンの組み合わせ、イピリムマブとパラプラチンの組み合わせ、イピリムマブとドセタキセルの組み合わせ、イピリムマブと1もしくはそれ以上のペプチドワクチンの組み合わせ、イピリムマブとMDX−1379メラノーマペプチドワクチンの組み合わせ、イピリムマブと1もしくはそれ以上のgp100ペプチドワクチンの組み合わせ、イピリムマブと鶏痘−PSA−TRICOM(登録商標)ワクチンの組み合わせ、イピリムマブとワクチニア−PSA−TRICOM(登録商標)ワクチンの組み合わせ、イピリムマブとMART−1抗原の組み合わせ、イピリムマブとサルグラモスチムの組み合わせ、イピリムマブとチシリムマブの組み合わせ、および/またはイピリムマブとアンドロゲン切除療法併用との組み合わせを含んでもよい。本発明の組み合わせは、治療がされる症状に対して特定の有用性のために選択される、他のよく知られた療法と併せて用いてもよい。
【0064】
本発明の、他の共刺激経路修飾因子は、単独または本明細書で開示される他の共刺激経路修飾因子と組み合わせて、あるいは本明細書で開示される他の化合物と組み合わせて用いてもよい。本発明の、他の共刺激経路修飾因子は、これらに限定されないが、アガトリモド(agatolimod)、ベラタセプト(belatacept)、ブリナチュモマブ(blinatumomab)、CD40リガンド、抗B7−1抗体、抗B7−2抗体、抗B7−H4抗体、AG4263、エリトラン(eritoran)、抗OX40抗体、ISF−154、およびSGN−70が含まれる。
【0065】
用語「放射線療法」には、これらに限定されないが、X線またはガンマ線が含まれ、それらはいずれも、外部投与源(externally applied source)(例えば、放射)または小さな放射能源の移植のいずれかによって送達される。
【0066】
本明細書で記載するように、少なくとも1つの抗増殖剤は微小管作用剤(affecting agent)であってもよい。微小管作用剤は細胞有糸分裂を妨害し、また抗増殖性細胞傷害性活性を有することから当技術分野でよく知られている。本発明に有用な微小管作用剤は、これらに限定されないが、アロコルヒチン(NSC 406042)、ハリコンドリンB(NSC 609395)、コルヒチン(NSC 757)、コルヒチン誘導体(例えば、NSC 33410)、ドラスタチン10(NSC 376128)、メイタンシン(NSC 153858)、リゾキシン(NSC 332598)、パクリタキセル[タキソール(登録商標)、NSC 125973]、タキソール(登録商標)誘導体[例えば、誘導体(例えば、NSC 608832)、チオコルヒチンNSC 361792]、トリチルシステイン(NSC 83265)、ビンブラスチン硫酸塩(NSC 49842)、ビンクリスチン硫酸塩(NSC 67574)、天然および合成エポチロン[これらに限定されないが、エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC、エポチロンD、デスオキシエポチロンA、デスオキシエポチロンB、[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7−11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4−アザ−17オキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(2001年7月17日に発行された米国特許第6,262,094号に開示)、[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(アミノメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4−17−ジオキサビシクロ[14.1.0]−ヘプタデカン−5,9−ジオン(2000年2月17日に出願された米国特許出願第09/506,481号、およびその中の実施例7〜8に開示)、およびそれらの誘導体が含まれる]、並びに他の微小管崩壊剤(disruptor agent)が含まれる。別の抗悪性腫瘍薬には、ディスコデルモリド[Service, Science, 274:2009 (1996)を参照]エストラムスチン、ノコダゾール、MAP4、などが含まれる。そのような薬剤の例は、例えば以下の科学文献および特許文献にも記載されている:Bulinski, J.Cell Sci., 110:3055-3064 (1997); Panda, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 94:10560-10564 (1997); Muhlradt, Cancer Res., 57:3344-3346 (1997); Nicolaou, Nature, 387:268-272 (1997); Vasquez, Mol.Biol.Cell., 8:973-985 (1997); Panda, J.Biol.Chem., 271:29807-29812 (1996)。
【0067】
本発明の化学療法薬方法の治療と併せてまたはその前に、異常な増殖性細胞静止状態(aberrantly proliferative cells quiescent)にすることが望ましい場合には、以下のホルモン、およびステロイド剤(合成類似化合物も含む)を患者に投与することもできる:17a−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチル−テストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゾラデックス。
【0068】
また、本発明の組み合わせ化学療法薬の方法に用いるのに適しているのは、抗血管新生剤(例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤)、他のVEGF阻害剤(例えば、抗VEGF抗体)、および小さい分子(例えば、ZD6474およびSU6668)も含まれる。ジェネンテックからの抗Her2抗体も用いてもよい。適したEGFR阻害剤はEKB−569(不可逆阻害剤)である。EGFRに免疫特異的な(immunospecific)イムクローン抗体C225およびsrc阻害剤も含まれる。
【0069】
また、抗増殖性細胞分裂停止剤として用いるのに適しているのはカソデックス(登録商標)であり、それはアンドロゲン依存性癌非増殖性にさせる。さらに、細胞分裂停止剤の別の例は、抗エストロゲン剤タモキシフェンであって、それは細胞増殖またはエストロゲン依存性乳癌の成長を抑制する。細胞増殖性シグナルの形質導入の阻害剤は、細胞分裂停止剤である。それらの例は、上皮細胞成長因子阻害剤、Her−2阻害剤、MEK−1キナーゼ阻害剤、MAPKキナーゼ阻害剤、PI3阻害剤、Srcキナーゼ阻害剤、およびPDGF阻害剤である。
【0070】
上述したように、特定の抗増殖剤は抗血管形成剤および抗血管性剤であり、それは固形腫瘍への血流を妨げ、栄養を奪うことによって癌細胞を静止状態にさせる。アンドロゲン依存性癌非増殖性を生じさせる性腺摘除を用いてもよい。血流の外科的破壊以外の手段では、飢餓が細胞分裂停止剤の別の例である。特に好まれる種類の抗血管性細胞分裂停止剤は、コンブレタスタチンである。他の典型的な細胞分裂停止剤には、METキナーゼ阻害剤、MAPキナーゼ阻害剤、非受容体および受容体チロシンキナーゼ阻害剤、インテグリン・シグナリング阻害剤、並びにインスリン様成長因子受容体の阻害剤が含まれる。
【0071】
したがって、本発明は様々な癌の相乗治療のための方法を提供し、これらに限定されないが、以下の癌が含まれる:以下の部位の癌であり、すなわち、膀胱(加速性および転移性膀胱癌を含む)、乳房、大腸(結腸直腸癌を含む)、腎臓、肝臓、肺(小および非小細胞肺癌並びに肺腺癌を含む)、卵巣、前立腺、睾丸、尿路、リンパ系、直腸、喉頭、膵臓(外分泌膵臓癌を含む)、食道、胃、胆嚢、頚部、甲状腺、および皮膚(扁平上皮癌を含む);リンパ系統の造血性腫瘍(例えば、白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞リンパ腫、組織球性リンパ腫、およびバーキットリンパ腫を含む);骨髄性系統の造血性腫瘍(例えば、急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形性症候群、骨髄性白血病、並びに前骨髄球性白血病を含む);中枢および末梢神経系の腫瘍(例えば、星細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、およびシュワン腫);間葉由来の腫瘍(例えば、線維肉腫、横紋筋肉腫、および骨肉腫を含む);他の腫瘍[例えば、メラノーマ、色素性乾皮症(xenoderma pigmentosum)、ケラトアカントーマ、精上皮腫、甲状腺濾胞性癌、およびテラトカルシノーマを含む];メラノーマ、切除不能なステージIIIまたはIV悪性メラノーマ、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、神経膠腫、胃腸癌、腎臓癌、卵巣癌、肝臓癌、結腸直腸癌、子宮体癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、神経芽細胞腫、膵臓癌、神経膠芽腫多形、子宮頚癌、胃癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、大腸癌、頭頸部癌、胃癌、胚細胞腫瘍、骨癌、骨腫瘍、骨の成人悪性繊維性組織球腫;骨の子供悪性繊維性組織球腫、肉腫、小児科肉腫、副鼻腔ナチュラルキラー、腫瘍(neoplasm)、血漿細胞腫瘍(neoplasm);骨髄異形性症候群;神経芽細胞腫;精巣胚細胞腫瘍、眼内メラノーマ、骨髄異形性症候群;骨髄形成異常/骨髄増殖性疾患、滑膜肉腫、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ芽球性白血病(Ph+ALL)、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、肥満細胞症および肥満細胞症に伴う他の症状、並びにそれらのいずれの転移。また、疾患には色素性蕁麻疹、肥満細胞症(例えば、びまん性皮膚肥満細胞症)、ヒトにおける単発性肥満細胞腫並びにイヌの肥満細胞腫および水疱のようないくつかの稀なサブタイプ、紅皮症および血管拡張性肥満細胞症、血液学的疾患(例えば、骨髄増殖性または骨髄異形性症候群、あるいは急性白血病)を伴う肥満細胞症、肥満細胞症を伴う骨髄増殖性障害、マスト細胞白血病、その他の癌が含まれる。他の癌も疾患の範囲に含まれており、これらに限定されないが、以下が含まれる:膀胱癌、尿路上皮癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、頚部癌、甲状腺癌、精巣癌、特定の精巣精上皮腫癌、および皮膚癌(扁平上皮癌を含む);消化管間質腫瘍(「GIST」);リンパ系統の造血性腫瘍(例えば、白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞リンパ腫、およびバーキットリンパ腫を含む);骨髄性系統の造血性腫瘍(例えば、急性および慢性骨髄性白血病、並びに前骨髄球性白血病を含む);間葉由来の腫瘍(線維肉腫および横紋筋肉腫を含む);他の腫瘍(メラノーマ、精上皮腫、奇形腫、神経芽細胞腫、および神経膠腫を含む);中枢および末梢神経系の腫瘍(星細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、およびシュワン腫を含む);間葉由来の腫瘍[線維肉腫、横紋筋肉腫(rhabdomyoscaroma)、および骨肉腫を含む];並びに他の腫瘍(メラノーマ、乾皮症色素性乾皮症、ケラトアカントーマ、精上皮腫、甲状腺濾胞性癌、テラトカルシノーマ、化学療法不応性非精上皮腫性胚細胞腫瘍、およびカポジ肉腫、並びにそれらのいずれかの転移を含む)。
【0072】
最も好ましくは、本発明は、膀胱の加速性または転移性癌、膵臓癌、前立腺癌、非小細胞肺癌、結腸直腸癌、および乳癌を治療するのに用いられる。
【0073】
本発明の好ましい態様において、癌性腫瘍の相乗治療のための方法が提供される。有利な点は、本発明の相乗的方法が、哺乳類宿主において、腫瘍の発達を減少させ、腫瘍量を減少させ、または腫瘍退行を生じさせることである。
【0074】
これらの化学療法薬の大部分について、安全で効果的な投与方法は当業者によく知られている。また、それらの投与は通常の文献に記載されている。
【0075】
例えば、化学療法薬の多くの投与は医師用卓上教科書(PDR)[例えば、1996 edition (Medical Economics Company, Montvale, NJ 07645-1742, USA)]に記載されており、それは参照によって本明細書で援用される。
【0076】
本発明の方法で用いるための、好ましい、式IIの化合物には以下が含まれる:
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,13,17−トリオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,13,17−トリオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1,10−ジオキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9−テトラメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1,10−ジオキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,14,17−トリオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,14,17−トリオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1,11−ジオキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9−テトラメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チゾリル)エテニル]−1,11−ジオキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−9−オン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−9−オン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−3,8,8,10,12,16−ヘキサメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−3,8,8,10,12−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13,16−ヘキサメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1−オキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,16−ペンタメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1−オキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−6,8,8,10,12−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4−アザ−17−オキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4−アザ−17−オキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1−アザ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9−テトラメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1−アザ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−4,8,8,10,12,16−ヘキサメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4−アザ−17−オキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−4,8,8,10,12−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4−アザ−17−オキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−1,5,5,7,9,13−ヘキサメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1−アザ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−1,5,5,7,9−ペンタメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1−アザ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−13−アザ−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−13−アザ−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−10−アザ−1−オキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9−テトラメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−10−アザ−1−オキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−14−アザ−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−14−アザ−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−11−アザ−1−オキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9−テトラメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−11−アザ−1−オキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R,7R,10S,11R,12R,16S]]−N−フェニル−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−5,9−ジオキソ−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−3−カルボキサミド;
[1S−[1R,3R,7R,10S,11R,12R,16S]]−N−フェニル−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−5,9−ジオキソ−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−3−カルボキサミド;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R]]−N−フェニル−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−2,6−ジオキソ−1−オキサ−13−シクロヘキサデセン−16−カルボキサミド;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R]]−N−フェニル−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9−テトラメチル−2,6−ジオキソ−1−オキサ−13−シクロヘキサデセン−16−カルボキサミド;
[1S[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)シクロプロピル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)シクロプロピル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−16−[1−メチル−2−(2−ヒドロキシメチル−4−チアゾリル)エテニル]−1−アザ−13(Z)−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;並びに
それらの医薬的に許容される塩、溶媒和物、および水和物。
【0077】
本発明の方法で用いるための、好ましい、式IIIの化合物には以下が含まれる。
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(アジドメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(アミノメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−[[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]メチル]−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−16−[2−[2−[[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]メチル]−4−チアゾリル]−1−メチル−エテニル]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−1−オキサ−13(Z)−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−16−[2−[2−(アミノメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−1−オキサ−13(Z)−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(ペンタノイルオキシ)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(ナフトイルオキシ)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−3−[2−[2−[[(2−メトキシエトキシ)アセチルオキシ]メチル]−1−メチル−4−チアゾリル]エテニル]−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(N−プロピオニルアミノ)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−(3−アセチル−2,3−ジヒドロ−2−メチレン−4−チアゾリル)−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン,N−オキシド;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−3−[2−[2−(メトキシメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−[2−(フェノキシメチル)−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−[(エチルチオ)メチル]−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(エトキシメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(2,3,4,6−テトラアセチル−α−グルコシルオキシ)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(2’,3’,4’,6’−テトラアセチル−β−グルコシルオキシ)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(6’−アセチル−α−グルコシルオキシ)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(p−トルエンスルホニルオキシ)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(ブロモメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−(5−ブロモ−2−メチル−4−チアゾリル)−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(シアノメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−16−[2−[2−(シアノメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−1−オキサ−13(Z)−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−3−[2−[2−(1H−イミダゾール−1−イルメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−(2−ホルミル−4−チアゾリル)−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−(2−ホルミル−4−チアゾリル)−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−(2−エテニル−4−チアゾリル)−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−3−[2−[2−(メトキシイミノ)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−[2−[[(フェニルメチル)イミノ]メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−(2−アセチル−4−チアゾリル)−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−(2−オキシラニル−4−チアゾリル)エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−3−[2−[2−(2−ヨードエテニル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−(2−エチニル−4−チアゾリル)−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(メチルアミノ)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−[[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]メチル]−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−[[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]メチル]−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−4−[2−(7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−5,9−ジオキソ−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−3−イル)−1−プロペニル]−2−チアゾールカルボン酸;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−4−[2−(7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−5,9−ジオキソ−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−3−イル)−1−プロペニル]−2−チアゾールカルボン酸メチルエステル;並びに
それらの医薬的に許容される塩、溶媒、および水和物。
【0078】
式IIの化合物は、国際公開第99/02514号に記載された手順に従って製造してもよい。式IIIの化合物は、米国特許第6,262,094号に記載された手順に従って製造してもよい。
【0079】
式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物あるいはそれらの類似体は、様々な医薬的に許容される塩の形態で有用である。用語「医薬的に許容される塩」は、薬剤師にそれが明らかである塩を指し、すなわち、実質的に非毒性であり、望ましい薬物動態的特性、嗜好性、吸収、分配、代謝、または排泄を提供する。他の因子(実際はこれらの方がもっと現実的であり、選択肢として重要である)は、得られるバルク薬剤の原材料の費用、結晶化の容易性、収率、安定性、吸湿性、および流動性である。便利なことに、医薬組成物は、医薬的に許容される担体と組み合わせて、活性成分またはそれらの医薬的に許容される塩から製造してもよい。
【0080】
本発明に用いる方法および組成物のために適している、式I、II、III、IIIa、および/またはIVの医薬的に許容される塩あるいはそれらの類似体の化合物は、これらに限定されないが、様々な有機酸および無機酸(例えば、塩化水素、ヒドロキシメタンスルホン酸、臭化水素、メタンスルホン酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファミン酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、パモ酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸)で形成された塩を含み、また他の様々な医薬的に許容される塩(例えば、硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、サリチル酸塩)なども含む。陽イオン(例えば、四級アンモニウムイオン)は、陰イオン性の部位のための医薬的に許容される対イオンとして熟慮される。
【0081】
好ましい、式I、II、III、IIIa、および/またはIVの塩あるいはそれの類似体の化合物には、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩が含まれる。また、式I、II、III、IIIa、および/またはIVの医薬的に許容される塩あるいはそれの類似体の化合物は、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、およびリチウム);アルカリ土類金属(例えば、カルシウムおよびマグネシウム);有機塩基(例えば、ジシクロヘキシルアミン、トリブチルアミン、およびピリジン);およびアミノ酸(例えば、アルギニンおよびリジン)などで形成してもよい。
【0082】
本発明の医薬的に許容される塩は、通常の化学的方法によって合成することができる。一般的に、塩は、適した溶媒または混合溶媒中、遊離塩基もしくは酸を、化学量論量または過剰の、望ましい塩形成する無機もしくは有機の酸もしくは塩基で反応させることにより製造する。
【0083】
当技術分野で公知のように、イピリムマブは抗CTLA-4抗体を指し、また、機能性ヒトレパートリーを作るための重鎖および軽鎖をコード化するヒト遺伝子を有する遺伝子組み換えマウスから由来した、完全なヒトIgG抗体である。イピリムマブはそのCAS番号(CAS Registry No.)477202−00−9で呼ぶこともでき、それは抗体10DIとして国際公開第01/14424号に開示されており、当該文献は本明細書であらゆる目的のためにそのまま参照によって援用される。具体的にイピリムマブは、ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部位で、CTLA-4と特定的に結合するものをいい、また軽鎖可変領域および重鎖可変領域からなり、配列番号5を含む軽鎖可変領域および配列番号6を含む重鎖領域を有する。イピリムマブの医薬組成物には、イピリムマブおよび1もしくはそれ以上の希釈剤、ベヒクル、および/または賦形剤を含む、あらゆる医薬的に許容される組成物が含まれる。イピリムマブを含む医薬組成物の例は、国際公開第2007/67959号に提供される。イピリムマブは、静脈内に投与してもよい。
イピリムマブの軽鎖可変領域:
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVGSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGAFSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPWTFGQGTKVEIK(配列番号1)
イピリムマブの重鎖可変領域:
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYTMHWVRQAPGKGLEWVTFISYDGNNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAIYYCARTGWLGPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号2)
【0084】
本明細書のいたるところで記載しているように、1もしくはそれ以上の抗CTLA-4アンタゴニストの投与は、本明細書の抗増殖剤の他に、単独またはペプチド抗原(例えば、gp100)との組み合わせで投与してもよい。ペプチド抗原の非限定例は、IMDQVPFSV(配列番号3)およびYLEPGPVTV(配列番号4)からなる群より選択される配列を含むgp100ペプチドである。そのようなペプチドは、経口投与してもよく、または好ましくは皮下注射され、1mgを不完全フロイントアジュバント(IFA)中で乳化して四肢の1つに皮下注射で注入し、またIFA中で乳化した、同じかまたは異なるペプチド(1mg)を別の四肢に注射してもよい。
【0085】
本発明は、医薬的に許容される担体または希釈剤を含み/含まず、本発明を組み合わせた治療上有効な量の投与を特徴とする、癌治療に有用な医薬組成物も包含する。本発明の相乗的な医薬組成物は、1もしくはそれ以上の抗増殖剤、式Iの化合物、および医薬的に許容される担体を含む。該方法は、式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物あるいはそれらの類似体と組み合わせた腫瘍薬の使用を必要とする。本発明の組成物は、1もしくはそれ以上の医薬的に許容される付加的な成分(例えば、ミョウバン、安定剤、抗菌剤、緩衝液、着色剤、香料、アジュバントなど)をさらに含んでもよい。抗悪性腫瘍薬、式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物あるいはそれらの類似体、並びに本発明の組成物は、経口的にまたは非経口的に(静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸、および局所的な経路に投与することを含む)投与してもよい。
【0086】
経口に用いるために、抗悪性腫瘍薬、式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物あるいはそれらの類似体、並びに本発明の組成物は、例えば、錠剤もしくはカプセル剤、散剤、分散性顆粒剤、またはカシュ剤の形で、あるいは水性液剤または懸濁剤として投与してもよい。経口用の錠剤の場合、一般的に用いられる担体にはラクトース、トウモロコシデンプン、炭酸マグネシウム、タルク、および糖が含まれ、また滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)が通常は添加される。経口投与のためのカプセル形態に有用な担体には、ラクトース、トウモロコシデンプン、炭酸マグネシウム、タルク、および糖が含まれる。水性懸濁剤が経口投与に用いられる場合、乳化剤および/または懸濁化剤が通常は添加される。
【0087】
また、経口組成物に甘味料および/または香料を加えてもよい。筋肉内、腹腔内、皮下、および静脈内に用いるために、活性成分の滅菌溶液が通常使用され、また溶液のpHは適切に調整され、緩衝されるべきである。静脈内に用いるため、溶質の全濃度は製剤を等張にする目的で調節されるべきである。
【0088】
本発明の座剤を製剤化するにあたって、低融点ワックス(例えば、脂肪酸グリセリドの混合物またはココアバター)が最初に融解し、ワックス中で、例えば攪拌などにより、活性成分が均一に分散する。次いで、溶融した均一混合物を都合の良い大きさの鋳型に注ぎ、冷却することによって凝固させた。
【0089】
液体製剤には、液剤、懸濁剤、および乳濁剤が含まれる。そのような製剤の例には、非経口注射のための、水または水/プロピレングリコール溶液がある。液体製剤には、鼻腔内投与のための液体が含まれてもよい。
【0090】
吸入に適したエアロゾル製剤は液体および固体を粉末の形態で含んでもよく、また医薬的に許容される担体(例えば、圧縮不活性ガス)と組み合わせてもよい。
【0091】
経口投与または非経口投与のいずれかのための液体製剤に、使用の直前で、変換する目的で固体製剤も含まれる。そのような液体形態には、溶液、懸濁液、および乳濁液が含まれる。
【0092】
本明細書で記載される、式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物あるいはそれらの類似体、並びに抗CTLA-4剤は、経皮送達されてもよい。経皮組成物がとることのできる形態は、クリーム剤、ローション剤、エアロゾル剤、および/または乳濁剤であって、また、その目的においては当該技術分野で通常であることだが、マトリックスまたはリザーバー(reservoir)タイプの経皮パッチ中に含むことができる。
【0093】
本発明の組み合わせは、治療している症状に対して特定の有用性があるために選択される、他の公知の療法と一緒に使用してもよい。
【0094】
固定用量として製剤するならば、本発明の組み合わせ組成物の活性成分は、以下に記載される用量域の範囲内で用いられる。別の方法として、抗CTLA-4剤、式I、II、III、IIIaおよび/またはIVの化合物あるいはそれらの類似体は、別々に、以下に記載される用量域で投与されるかもしれない。本発明の好ましい態様において、以下に記載される用量域で投与される抗CTLA-4剤は、式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物あるいはそれらの類似体と連続的または同時に、以下に記載される用量域で投与される。
【0095】
以下に記載するのは、本発明の方法で用いるための、好ましい治療の組み合わせおよび典型的な用量である。「式IIの化合物」が登場する場合、本明細書で記載される、式IIまたは式IIIのバリエーションのいずれかが、化学療法薬の組み合わせに用いるために熟慮される。好ましくは、化合物1または化合物4を用いる。
【表1】

【0096】
この表が、本発明の式I、式II、式III、IIIa、および式IVの化合物並びに特定の抗癌剤の典型的な用量域を提供する一方で、臨床医が本発明の医薬組成物を製剤する場合、治療される患者の症状の範囲内で好ましい用量を用いてもよい。例えば、式Iの化合物は好ましくは、3週間毎に約40mg/m投与してもよい。化合物1は好ましくは、3週間毎に約25〜60mg/m投与してもよい。化合物2は好ましくは、治療が必要な限り、3週間毎に約25〜500mg/mの用量範囲で投与してもよい。式IVの化合物は好ましくは、3週間毎に約135〜175mg/m投与してもよい。
【0097】
抗CTLA-4抗体は好ましくは、約0.3〜10mg/kg、または最大耐量で投与されてもよい。本発明の態様において、CTLA-4抗体の投与は約3週間毎に投与される。あるいは、CTLA-4抗体は段階的に増大する療法によって投与してもよくて、それには、最初のCTLA-4抗体投与量が約3mg/kgであり、2回目のCTLA-4抗体投与量が約5mg/kgであり、そして3回目のCTLA-4抗体投与量が約9mg/kgである投与が含まれる。
【0098】
別の特定の態様において、段階的に増大する療法には、最初のCTLA-4抗体投与量が約5mg/kgであり、2回目のCTLA-4抗体投与量が約9mg/kgである投与が含まれる。
【0099】
さらに、本発明が提供する段階的に増大する療法には、CTLA-4抗体の投与量を約6週間毎に増大させる投与が含まれる。
【0100】
本発明の態様において提供される、段階的に増大する療法には、1回目にCTLA-4抗体投与量を約3mg/kg、2回目もCTLA-4抗体投与量を約3mg/kg、3回目にCTLA-4抗体投与量を約5mg/kg、4回目もCTLA-4抗体投与量を約5mg/kg、そして5回目にCTLA-4抗体投与量を約9mg/kg投与することが含まれる。本発明の別の態様において提供される、段階的に増大する療法には、1回目の投与量が5mg/kgであり、2回目の投与量も5mg/kgであり、そして3回目の投与量が9mg/kgである投与が含まれる。
【0101】
実際に用いられる用量は、治療する患者および症状の重症度の要求に応じて変えてもよい。ある特定の状況に適した用量を決定することは、当業者の範囲内である。一般的に、治療は化合物の適量よりも少ない少量で開始される。その後、用量を、その状況における最適効果に達するまで少量ずつ増大させる。便宜のため、1日投与量の合計は必要に応じて、その日の中で分割し、部分的に投与してもよい。また、間欠治療法(例えば、3週間の中で1週間空けたり、または4週間の中で3回空けたり)を用いてもよい。
【0102】
特定の癌は、式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物並びに1もしくはそれ以上の抗CTLA-4剤で効果的に治療することができる。そのような3種類および4種類の組み合わせは、より大きな効果を提供する。そのように3種類および4種類の組合せで用いる場合に、上記の投与量を用いることができる。
【0103】
本発明の方法または組成物を用いる場合、臨床背景で腫瘍成長または転移の調節に用いる他の薬剤(例えば、制吐薬)も、必要であれば投与することができる。
【0104】
本発明は癌の相乗治療のための方法を包含し、該方法は抗CTLA-4剤並びに式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物が同時または連続的に投与されることを特徴とする。したがって、抗CTLA-4剤並びに式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物を含む医薬製剤を、ある特定の治療のために組合せで投与するのが有効であるかもしれないし、一方で、抗CTLA-4剤を事前に投与しておくことも別の治療では有用かもしれない。本願の、抗CTLA-4剤並びに式I、II、III、IIIa、および/またはIV化合物の組み合わせは、癌(好ましくは癌性腫瘍)を治療する他の方法(以下に限定されないが、放射線療法および手術が含まれる)と併用して用いてよいことも理解される。もし細胞分裂停止剤または細胞分裂静止剤があれば、いずれかまたは全ての他の相乗的な療法と連続的にまたは同時に投与してよいこともさらに理解される。
【0105】
本発明の組み合わせは、治療する症状に対して特に有効であるために選択される、他の公知の治療薬と一緒に投与してもよい。あるいは、複数の組み合わせ製剤が不適当である場合、本発明の組み合わせは、公知の医薬的に許容される薬剤と連続的に用いてもよい。
【0106】
化学療法薬および/または放射線療法は、当技術分野でよく知られた治療手順によって投与できる。当業者にとって明らかなことであるが、化学療法薬および/または放射線療法の投与は、治療する疾患並びに化学療法薬および/または放射線療法がその疾患に対して有する公知の効果に依存して変えることができる。そして、治療手順(例えば、投与量および投与回数)は、熟練した臨床医の知識に従って、患者に投与した治療薬(すなわち、抗CTLA-4剤)から観察される効果を考慮して、また投与した治療薬に対して観察される疾患の反応を考慮して変えることができる。
【0107】
本発明の方法において、式I、II、III、IIIa、またはIVの化合物は、抗CTLA-4剤と同時または連続的に投与される。したがって、抗CTLA-4治療薬並びに式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物が、同時または本質的に同時に投与される必要はない。同時または本質的に同時に投与することの利点は、熟練した臨床医の決断力の範囲内に十分ある。
【0108】
また、一般に、式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物並びに抗CTLA-4剤を同一の医薬組成物で投与しなければならないわけではなく、むしろ、異なる物理的および化学的性質のために、異なる経路によって投与しなければならないこともあるかもしれない。例えば、式I、II、III、IIIa、またはIVの化合物は、高い血中濃度を生成・維持するために静脈内投与されてもよく、また抗CTLA-4剤も静脈内投与されてもよい。あるいは、式I、II、III、IIIa、またはIVの化合物は、高い血中濃度を生成・維持するために経口投与されてもよく、一方で抗CTLA-4剤は静脈内投与されてもよい。あるいは、式I、II、III、IIIa、またはIVの化合物は、高い血中濃度を生成・維持するために静脈内投与されてもよく、一方で抗CTLA-4剤は経口投与されてもよい。投与様式の決定および投与に関する助言(可能であれば、同一の医薬組成物中)は、熟練した臨床医の知識の範囲内に十分にある。初回の投与は当技術分野で公知の確立されたプロトコルに従って行うことができ、次いで熟練した臨床医は、観察結果に基づいて投与量、投与様式、および投与時間を修飾することができる。
【0109】
式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物あるいはそれらの類似体並びに抗CTLA-4剤の特定の選択は、主治医の診断および主治医による患者の症状の判断並びに適した治療プロトコルに依存する。
【0110】
式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物並びに抗CTLA-4剤が、同時にまたは本質的に同時に投与されない場合、式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物並びに抗CTLA-4剤の最初の順番を変えてもよい。したがって、例えば、式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物あるいはそれらの類似体が最初に投与されて、続いて抗CTLA-4剤が投与されてもよく;または、抗CTLA-4剤が最初に投与されて、続いて式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物が投与されてもよい。この交互の投与は、1回の治療プロトコルの間で繰り返されてもよい。治療プロトコルの間の各治療薬における、投与の順番および投与の繰り返し回数の決定は、治療されている疾患および患者の症状を評価した後に、熟練した医師の知識の範囲内で十分に行なえる。例えば、抗CTLA-4剤が最初に投与されるかもしれない。次いで、治療は式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物あるいはそれらの類似体を投与して継続され、また必要ならば適宜、その後、治療プロトコルが完了するまで細胞分裂停止剤が投与される。あるいは、式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物あるいはそれらの類似体の投与は最初から行なわれるかもしれないし、また適宜投与される、その後の細胞分裂停止剤も最初から行なわれるかもしれない。次いで、治療プロトコルが完了するまで、治療は、抗CTLA-4剤の投与とともに継続される。
【0111】
したがって、経験と知識のある医師は、治療が進むにつれて、個々の患者の必要に応じた治療構成成分(治療薬:すなわち、式I、II、III、IIIa、および/またはIVの化合物あるいはそれらの類似体、抗CTLA-4剤)を投与するにあたり、各プロトコルを修飾できる。
【0112】
主治医は、投与される用量で治療効果があるか否かを判断するにあたり、患者の一般的な生活状態並びにより明確な徴候(例えば、疾患関連症状の軽減、 腫瘍成長の抑制、腫瘍の縮みの事実、または転移の抑制)を考慮する。腫瘍サイズは、放射線医学研究(例えば、CATまたはMRIスキャン)などの標準的な方法によって測定することができ、また、逐次測定は腫瘍の成長が遅れているかまたはその逆であるかを判断するのに用いることができる。疾患関連症状(例えば、疼痛)の軽減および全体的に見た症状の改善もまた、治療効果の判定をするのに役立つ。
【0113】
本発明をより深く理解するため、主には本発明をより細かく具体的に例証する目的で、以下の実施例が提供される。本発明の範囲は実施例によって制限されるとみなされるべきではなく、むしろ実施例は特許請求の範囲によって定義された全体の主題を包含するためのものである。
(参考文献)
1. Long, B.H. et al., “Mechanisms of resistance to etoposide and teniposide in acquired resistant human colon and lung carcinoma cell lines”, Cancer Res., 51:5275-5284 (1991).
2. Giannakakou, P. et al., “Paclitaxel-resistant human ovarian cancer cells have mutant beta-tubulins that exhibit impaired paclitaxel-driven polymerization”, J. Biol. Chem., 272(27):17118-17125 (1997).
3. Riss, T.L. et al., “Comparison of MTT, XTT, and a novel tetrazolium compound MTS for in vitro proliferation and chemosensitivity assays”, Mol. Biol. Cell, 3(Suppl.):184a (1992).
4. Stephens, T.C. et al., “The evaluation of combinations of cytotoxic drugs and radiation: Isobolograms and therapeutic synergism”, Rodent Tumor Models in Experimental Cancer Therapy, p. 248. Pergamon Press, NY, publ., Kallman, R.F., ed.
5. Long, B.H., “Paclitaxel inhibits progression of mitotic cells to G(1) phase by interference with spindle formation without affecting other microtubule functions during anaphase and telophase”, Cancer Res., 54(16):4355-4361 (1994).
6. Williams, R.C. et al., “Preparation of tubulin from brain”, Meth. Enzymol., 85(Pt. D):376-385 (1982).
7. Gehan, G.A., “A generalized Wilcoxon test for comparing arbitrarily singly-censored samples”, Biometrika, 52:203-233 (1985).
8. Walunas, T.L. et al., “CTLA-4 can function as a negative regulator of T cell activation”, Immunity, 1(5):405-413 (Aug. 1994).
9. Bretscher, P. et al., Science, 169:1042-1049 (1970).
10. Schwartz, R.H., Science, 248:1349-1356 (1990).
11. Linsley, P.S. et al., J. Exp. Med., 173:721-730 (1991).
12. Linsley, P.S. et al., J. Exp. Med., 174:561-569 (1991).
13. Brunet, J.F. et al., Nature, 328:267-270 (1987).
14. Gross, J.A. et al., J. Immunol., 149:380-388 (1992).
15. Alegre, M.L. et al., Nat. Rev. Immunol., 1:220-228 (2002).
16. Lindsten, T. et al., J. Immunol., 151:3489-3499 (1993).
17. Walunas, T.L. et al., Immunity, 1:405-413 (1994).
18. Linsley, P.S. et al., Immunity, 1:793-801 (1994).
19. Walunas, T.L. et al., J. Exp. Med., 183:2541-2550 (1996).
20. Krummel, M.F. et al., J. Exp. Med., 183:2533-2540 (1996).
21. Brunner, M.C. et al., J. Immunol., 162:5813-5820 (1999).
22. Greenwald, R.J. et al., Eur. J. Immunol., 32:366-373 (2002).
23. Leach, D.R. et al., Science, 271:1734-1736 (1996).
24. van Elsas, A. et al., J. Exp. Med., 190:355-366 (1999).
25. van Elsas, A. et al., J. Exp. Med., 194:481-489 (2001).
26. Hurwitz, A.A. et al., Cancer Res., 60:2444-2448 (2000).
【発明を実施するための形態】
【0114】
実施例1:インビトロのSA1N線維肉腫腫瘍モデルにおける、腫瘍成長に対する、微小管安定化剤と抗CTLA-4遮断薬を組み合わせた効果の評価方法
(背景)
イピリムマブのホモログ(CTLA-4遮断薬)をイクサベピロン(微小管安定化剤)と組み合わせて、その抗腫瘍活性を前臨床研究で調べた。発明者らが仮定したことは、この組み合わせのアプローチが、それらの独特の作用機構および細胞内標的に基づいて、治療上の相乗作用をもたらすかもしれないということであった。
【0115】
イクサベピロンは腫瘍細胞壊死を引き起こすので、腫瘍抗原の源を提供し、またT細胞プライミングおよび浸潤を促進するように腫瘍構造を変化させる。一方で、CTLA-4遮断薬mAbは、腫瘍が初回抗原刺激を受けた細胞傷害性T細胞の増殖および浸潤を促進させる。
【0116】
(方法)
有効性の研究は、免疫適格性マウスに移植した3つの異なる腫瘍株(SAlN線維肉腫、MI09肺癌、およびEMT−6乳癌)を用いて行なった。イクサベピロンおよびCTLA-4 mAbをその最適用量およびスケジュールで投与した。すなわち、イクサベピロンを8mg/kg、CTLA-4 mAbを20mg/kg、4日毎に3回投与した。組み合わせた群では、抗CTLA-4 mAbを、イクサベピロンの各処理の1日後に投与した。選択研究では、完全な腫瘍退縮を有する動物を、致命的な量の腫瘍細胞によって再投与して免疫保護のレベルを測定した。他の研究では、CTLA-4 mAbとイクサベピロンを組み合わせた効果を、直接、CTLA-4 lnAbとパクリタキセルの効果と比較した。
【0117】
(結果)
イピリムマブホモログCTLA-4 mAbおよびイクサベピロンの組み合わせは、全ての試験腫瘍モデルで相乗的な抗腫瘍効果を示し、それは70〜100%の動物で長期にわたる完全な応答をもたらし、また単独で各処理をしたのと比較して優れた効果を示した(p<0.05)。さらに、イクサベピロンおよびCTLA-4 mAbで処理した動物は、後に再投与した腫瘍を拒絶したことから、保護された免疫記憶応答の発生が示唆される。逆に、イクサベピロン処理した動物は部分的な保護しか示さなかったし、そのことは、未処理のマウスと比較して腫瘍成長が遅れたことから明らかである。組み合わせ処理は十分に許容され、毒性が増加した証拠はなかった。CTLA-4 mAbとイクサベピロンの組み合わせは、CTLA-4とパクリタキセルの組み合わせよりも優れた効果をもたらした。
【0118】
(結論)
これらの知見は、イクサベピロンおよびイピリムマブホモログCTLA-4遮断薬mAbの組み合わせが、効果的で長期にわたる抗腫瘍効果を誘発すること、並びに臨床試験における、イピリムマブおよびイクサベピロン療法の保証研究の証拠を提供する。
【0119】
実施例2:インビボのSA1N線維肉腫腫瘍モデルにおける、腫瘍成長に対する、微小管安定化剤と抗CTLA-4遮断薬を組み合わせた効果の評価方法
化学免疫療法は、化学療法薬および免疫治療薬の組み合わせを含む、癌治療のための新規なアプローチである。このアプローチは、腫瘍細胞を直接攻撃して、腫瘍細胞壊死またはアポトーシスをもたらす化学療法、並びに腫瘍抗原に対する宿主免疫応答を調節する薬剤の各効果を組み合わせる。抗マウスCTLA-4遮断抗体(イピリムマブのマウスホモログ)の効果を、微小管安定化剤のパクリタキセル[タキソール(登録商標)]およびイクサベピロン[イグゼンプラ(登録商標)]と組み合わせて、複数のマウス腫瘍モデルで評価した。有効性の研究は、5つの異なる腫瘍株(SA1N線維肉腫、M109肺癌、EMT−6乳癌、CT−26大腸癌、およびB16メラノーマ)を用いて行なった。イクサベピロン、パクリタキセル、およびCTLA-4 mAbをその最適用量およびスケジュールで投与した。すなわち、イクサベピロンを8mg/kg、パクリタキセルを24mg/kg、CTLA-4 mAbを20mg/kg、4日毎に3回投与した。組み合わせた群では、抗CTLA-4 mAbを、イクサベピロンまたはパクリタキセルの各処理の1日後に投与した。選択研究では、完全な腫瘍退縮を有する動物を、致命的な量の腫瘍細胞によって再投与して免疫保護のレベルを測定した。イピリムマブホモログCTLA-4 mAbおよびイクサベピロンの組み合わせは、B16メラノーマを除く全ての腫瘍モデルテストで相乗的抗腫瘍効果を示し、それは70〜100%の動物で長期にわたる完全な応答をもたらし、また単独で各処理をしたのと比較して優れた効果を示した(p<0.05)。さらに、イクサベピロンおよびCTLA-4 mAbで処理した動物は、後に再投与した腫瘍を拒絶したことから、保護された免疫記憶応答の発生が示唆される。逆に、イクサベピロン処理した動物は部分的な保護しか示さなかったし、そのことは、腫瘍成長が遅れたことから明らかである。組み合わせ処理は十分に許容された。パクリタキセルおよびCTLA-4遮断薬の組み合わせもまた、試験した5つのモデルのうちの2つで相乗作用を示した。これらの知見は、イクサベピロンおよびイピリムマブホモログCTLA-4遮断薬mAbの組み合わせが、効果的で長期にわたる抗腫瘍効果を誘発すること、並びに臨床試験における、イピリムマブおよびイクサベピロン療法の保証研究の証拠を提供する。
【0120】
(物質および方法)
(抗体)
抗CTLA-4モノクローナル抗体(mAb)およびクローン4F10−UC10[Walunas et al., Immunity, 1(5):405-413 (Aug. 1994)]のためのハイブリドーマを、American Tissue Type Collection(マナッサス、VA)から入手した。抗体UC10(ハムスター、IgG抗マウスCTLA-4)を生成し、BMS(治療タンパク質課、ホープウェル、ニュージャージー、USA)が精製した。抗CTLA-4は、「<0.5EU/mgエンドトキシン量」、「>95%純度」、および「<5%高分子量種」であることが認められた。抗CTLA-4の貯蔵液を−80℃で保ち、使用する前に4℃で解凍した。コントロール抗体は、ポリクローナル・ハムスターIgG(ジャクソン・イムノリサーチ、ウェスト・グローブ、PA)を含む。抗CTLA-4およびハムスターIgGコントロールの投与溶液を、毎週、無菌のリン酸緩衝の生理食塩水(pH7.0)中で製造した。
【0121】
(動物)
生後8〜12週間のメスのBALB/c、A/J、またはC57/BL6マウスをHarlan、インディアナポリス、INから購入した。マウスには適宜、食べ物および水を与え、AALACレギュレーションに従ったコントロール環境で維持した。
【0122】
(腫瘍モデル)
腫瘍細胞株をインビトロで維持した。皮下腫瘍サイズの中央値が100〜200mmに達した場合に(確立モデル)、または検出前に(開始モデル)処理を開始した。腫瘍を週に2回測定し、腫瘍サイズ(mm)を(長さ×幅)/2によって計算した。体重は毎週、測定した。これらの研究で用いた腫瘍モデルを、表1にまとめる。
【表2】

【0123】
(有効性の研究)
投与量、経路、および投与計画は、以下に記載した個々の詳しい研究において示す。抗体および化学療法薬を腹腔内(i.p.)投与した。各処理計画は、8〜10のマウスのコホートからなる。パーセンテージ腫瘍成長阻害として定義した抗腫瘍活性を以下のように計算した:
%腫瘍成長阻害=100−[(Tt/To)/(Ct/Co)]/100−(Ct/Co)
であり、式中、
Tt=処理終了時の処理群における腫瘍サイズの中央値
To=処理開始時の処理群における腫瘍サイズの中央値
Ct=処理終了時のコントロール群における腫瘍サイズの中央値
Co=処理開始時のコントロール群における腫瘍サイズの中央値
【0124】
また、有効性を定義するために用いた別のパラメータは、標的サイズまで腫瘍が進行するのにかかる時間(T−C)を決定するためであり、すなわち処理マウスの腫瘍サイズの中央値が標的サイズに達するまでの時間(T)から、コントロールマウスの腫瘍サイズの中央値が標的サイズに達するまでの時間(日数)(C)を引くというものである。1腫瘍容積倍加時間(TVDT)よりも大きい、処理群の標的サイズに達するまでの遅れを有効な結果とみなした。
(統計的分析)
ウイルコクソン検定を用いるノンパラメトリック分析によって、統計的有意性を決定した。
【0125】
(結果)
SA1N線維肉腫は、CTLA-4遮断効果に敏感な、固有の免疫原性の腫瘍株である。この腫瘍モデル(表1を参照)では、2つの研究を行なって、イクサベピロンまたはパクリタキセルと組み合わせたCTLA-4遮断効果を測定した。動物の皮下にSA1N細胞を移植し、腫瘍が100〜150mmに達したら、処理を開始した。実験群は、8マウスのコホートを含む。イクサベピロン、パクリタキセル、およびCTLA-4mabを腹腔内(IP)に、4日毎に3回用量として投与した。組み合わせ群では、各化学療法を処理して1日後にCTLA-4mabを投与した。
【0126】
CTLA-4 mAbは効果的であり、具体的には、65〜90%の%腫瘍成長阻害(TGI)値が生じ、腫瘍成長が遅れ、また25〜50%で完全退縮が示された(CR、表2を参照)。このモデルでは、イクサベピロンも効果的であり、92および83の%TGIが生じ、1つの研究では8マウスのうち3つが完全退縮を示した。さらには、CTLA-4 mAbをイクサベピロンと組み合わせ試験した場合、いずれの研究においても、多数の完全退縮とともに相乗効果が観察された(71.4;87.5%CR、表2を参照)。
【0127】
同様に、パクリタキセルと組み合わせたCTLA-4 mAbの効果を、2つの別個の研究で研究した(表2)。これらの研究で、パクリタキセルは多様な効果を示し、一方で、CTLA-4mabはいずれにおいても同様の抗腫瘍効果を示した。それにもかかわらず、両方の研究において、パクリタキセルとCTLA-4 mAbの組み合わせは長期にわたる完全な応答を有する相乗効果をもたらした(表2参照)。
【表3】

%TGI=コントロール群の最終測定で計算された%腫瘍成長阻害。研究9=36日目;研究11=34日目;研究17=33日目。
T−C=(処理群が標的サイズに達するまでの日数)−(コントロール群が標的サイズに達するまでの日数)。標的サイズ=500mm。研究は以下の日に終了した:研究番号9は39日目、研究番号11は52日目、および研究番号17は116日目。
研究番号9および番号17では、1つのCRがコントロール群(未処理)で観察された。
組み合わせ処理では、CTLA-4 mAbまたはイクサベピロン単独と比較して、抗腫瘍活性の有意な増加が生じた(p<0.05)。
組み合わせ処理では、CTLA-4 mAbまたはパクリタキセル単独と比較して、抗腫瘍活性の有意な増加が生じた(p<0.05)。
【0128】
実施例3:インビボのEMT−6乳癌腫瘍モデルにおける、腫瘍成長に対する、微小管安定化剤と抗CTLA-4遮断薬を組み合わせた効果の評価方法
EMT−6は、低い免疫原性の腫瘍株であり、腫瘍が確立する前に処理を開始した場合に限って、CTLA-4 mAb遮断に中程度の感受性を有する。表3で示すように、CTLA-4 mAbおよびイクサベピロンはそれぞれT−Cが29および19であり、抗腫瘍効果を生じた。パクリタキセルでは効果が見られなかった。イクサベピロンとCTLA-4 mAbの組み合わせは、T−C>37日であり、非腫瘍マウスが100%であるという相乗効果を生み出した。この腫瘍モデルにおいて、CTLA-4 mAbとパクリタキセルは、CTLA-4 mAb単独が生じる効果と比較した場合に、追加の抗腫瘍効果を一切示さなかった。
【表4】

組み合わせ処理では、CTLA-4 mAbまたはイクサベピロン単独と比較して、抗腫瘍活性の有意な増加が生じた(p<0.05)。
【0129】
いくつかの研究において、CTLA-4 mAbで最後に処理してから2および7日後に、同一プロトコル下のマウスからリンパ節を回収した。リンパ節細胞をモノクローナル抗体でCD4、CD8、およびCD107に染色し、細胞傷害性エフェクターT細胞の数を決定した。図3で示すように、CTLA-4抗体並びにCTLA-4抗体とイクサベピロンの処理は、処理して2日後のCD8CD107T細胞の数を増加させ、また処理して7日後のCTLA-4抗体またはイクサベピロンのいずれか単独と比べて持続的な効果をもたらした。
【0130】
実施例4:インビボのM109肺癌モデルにおける、腫瘍成長に対する、微小管安定化剤と抗CTLA-4遮断薬を組み合わせた効果の評価方法
CTLA-4 mAbおよび微小管安定化剤の抗腫瘍効果を、M109肺癌モデル(CTLA-4遮断効果に対して感受性がない腫瘍株)においても研究した。これらの研究では、腫瘍が明確になる腫瘍移植3日後に化学療法薬での処理を開始した。このレジメンは測定可能な抗腫瘍効果を生じることから選択したが、しばらく経ってから処理を開始した場合には観察されなかった。SA1NおよびEMT−6腫瘍株で行なった研究のように、化学療法で処理した1日後にCTLA-4 mAbを投与した。
【0131】
CTLA-4 mAbまたはパクリタキセル処理は、抗腫瘍効果を生じなかった。一方で、イクサベピロンは非常に効果的であって、処理動物の50%で腫瘍成長を阻害した。パクリタキセルとCTLA-4 mAbの組み合わせは、80%の腫瘍発生率を有し、腫瘍成長に対して中程度の効果を生じた。さらに、イクサベピロンおよびCTLA-4 mAbの組み合わせは、イクサベピロン単独よりも良い効果を生じ、組み合わせの場合は10マウスのうち8つが非腫瘍であった(20%の腫瘍発生率、表4)。
【0132】
CTLA-4とイクサベピロンの組み合わせが、2回目の腫瘍攻撃を拒絶できる免疫記憶応答を生成するかどうかを決定するために、97日目までに非腫瘍である動物を致命的なM109細胞接種によって再投与した。本実験においてa)未処理の10マウス(腫瘍成長のコントロールのため)、並びに非腫瘍マウスの実験ではb)あらかじめイクサベピロンで処理した5マウス、およびc)あらかじめイクサベピロンとCTLA-4 mAbで処理した8マウスにM109細胞を注入した。10日後、全てのコントロールマウスでは腫瘍サイズの中央値が1000mmの進行性腫瘍が発達したのに対して、イクサベピロン処理したマウス5つのうち4つのマウスでも腫瘍が発達した(80%)。1つの動物がM109再投与を拒絶したという観察結果は、イクサベピロン単独で抗腫瘍免疫応答を誘発する効果を生成するかもしれないことを示唆する。逆に、イクサベピロンとCTLA-4 mAb処理グループの中で、8マウスのうちの2つ(25%)のみが腫瘍を発達させており、このことはイクサベピロンにCTLA-4 mAbを加えることによって、2回目の腫瘍攻撃を拒絶可能な免疫記憶応答が生じたことを示唆する(表4、図1)。
【表5】

0日目に、腫瘍を移植して腫瘍が発達する動物のパーセンテージ。
95日目に、腫瘍を再投与した後に腫瘍が発達するマウスのパーセンテージ。
【0133】
実施例5:インビボのCT26大腸癌における、腫瘍成長に対する、微小管安定化剤と抗CTLA-4遮断薬を組み合わせた効果の評価方法
次に、CTLA-4 mAbおよび微小管安定化剤の抗腫瘍効果を、イクサベピロンまたはパクリタキセルに対して感受性がないモデル(CT26大腸癌モデル)で研究した。この腫瘍株において、表5で示すように、CTLA-4 mAb処理は中程度の抗腫瘍効果を生じた(10のうちの2がCR)。パクリタキセルまたはイクサベピロンのいずれもが測定可能な抗腫瘍活性を全く生じなかったのにもかかわらず、これらの薬剤を組み合わせたCTLA-4 mAbは、大多数のマウスで長期にわたる腫瘍拒絶をもたらした(表5、図2)。
【表6】

組み合わせ処理では、CTLA-4 mAbまたはイクサベピロン単独と比較して、抗腫瘍活性の有意な増加が生じた(p<0.05)。
組み合わせ処理では、CTLA-4 mAbまたはパクリタキセル単独と比較して、抗腫瘍活性の有意な増加が生じた(p<0.05)。
【0134】
いくつかの研究では、CTLA-4 mAbを最後に処理してから2日後にリンパ節を回収し、免疫表現型にさらした。図4で示すように、CTLA-4 mAbでの処理は、CD4およびCD8活性化T細胞(CD4CD69;CD8CD69)の数を増加させた。CTLA-4 mAb処理にイクサベピロンまたはパクリタキセルを加えても、CTLA-4 mAb処理によって引き起こされる活性化T細胞の増殖に変化はなかった。
【0135】
(結論)
要約すると、CTLA-4遮断mAbとイクサベピロンまたはパクリタキセルとの組み合わせで相乗効果を観察したのであり、それは臨床試験におけるそれらの組み合わせた効果の治験を保証する。EMT−6およびM109腫瘍モデルにおいて、イクサベピロンとCTLA-4 mAbの組み合わせは、パクリタキセルとCTLA-4 mAbよりも優れた効果を示した。重要なことは、CTLA-4 mAbをイクサベピロンに加えると、2回目の腫瘍攻撃を拒絶できる免疫記憶応答が産生したことである。組み合わせ処理は活性化および細胞傷害性CD8 T細胞ポピュレーションを拡大し、これは腫瘍成長阻害に見られる相乗的効果を支持する(p<0.05)。さらなる研究では、このような相乗効果の根底にあるメカニズムを理解しようと励んでいる。
【0136】
本発明は上記の特定の態様に限定されるのではなく、特許請求の範囲から逸脱しない範囲内で変更および修飾が可能である。
【0137】
明らかなことであるが、本発明は、前述の明細書および実施例で詳しく記載したのとは違う態様で行なわれてもよい。上記の示唆に基づいて、本発明は無数の修飾および変更が可能であり、それらはもちろん、特許請求の範囲内である。
【0138】
本発明の背景、詳細な説明、図面の簡単な説明、および実施例で引用した文献[特許文献、特許出願、学術論文、アブストラクト、実験マニュアル、文献、GENBANK(登録商標)受入番号、SWISS−PROT(登録商標)受入番号、または他の開示物を含む]は、その開示全体がそのまま本明細書で参照により援用される。さらに、本明細書とともに提出する配列表のハードコピー(加えて、コンピュータで読み込み可能な、それの対応物)も、それら全体をそのまま参照することにより本明細書で援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相乗的に治療上有効な量の(1)少なくとも1つの抗CTLA-4剤、および(2)式I:
【化1】

の化合物を治療が必要な哺乳類に投与することを特徴とする、癌を含む増殖性疾患の治療方法。
【請求項2】
相乗的に治療上有効な量の(1)少なくとも1つの抗CTLA-4剤、および(2)式II:
【化2】

[式中、
Qは、
【化3】

からなる群より選択され;
Gは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクロ、
【化4】

からなる群より選択され;
Wは、OまたはNR15であり;
Xは、OまたはH、Hであり;
Yは、O;H、OR16;OR17、OR17;NOR18;H、NHOR19;H、NR2021;H、H;およびCHR22からなる群より選択され、その中でOR17、OR17は環状ケタールになることができ;
およびZは独立して、CH、O、NR23、S、およびSOからなる群より選択され、ここでZおよびZのいずれか1つのみがヘテロ原子になることができ;
およびBは独立して、OR24、OCOR25、およびO−C(=O)−NR2627からなる群より選択され、BがHであり、かつYがOH、Hである場合には、それらは6員環ケタールまたはアセタールを形成することができ;
Dは、NR2829、NR30COR31、および飽和ヘテロ環からなる群より選択され;
、R、R、R、R、R、R、R13、R14、R18、R19、R20、R21、R22、R26、およびR27は独立して、H、アルキル、置換アルキル、およびアリールからなる群より選択され、またRおよびRがアルキルである場合にそれらは結合してシクロアルキルを形成することができ、RおよびRがアルキルである場合にそれらは結合してシクロアルキルを形成することができ;
、R10、R16、R17、R24、R25、およびR31は独立して、H、アルキル、および置換アルキルからなる群より選択され;
、R11、R12、R28、R30、R32、およびR33は、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロからなる群より独立して選択され;
15、R23、およびR29は独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロ、R32C=O、R33SO、ヒドロキシ、O−アルキル、またはO−置換アルキルからなる群より選択される]
の化合物、またはそれの医薬的に許容される塩、あるいはそれらのいずれの水和物、溶媒和物、または幾何、光学、および立体異性体を治療が必要な哺乳類に投与することを特徴とする、癌を含む増殖性疾患の治療方法であるが、ただし抗増殖剤を式Iの化合物と組み合わせて投与する治療方法。
【請求項3】
式IIの化合物が、[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4−アザ−17−オキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオンであって;並びに適宜、化合物1;化合物2;化合物3;化合物4;化合物5;およびシスプラチンからなる群より選択される抗増殖剤を投与することを特徴とする、請求項1または請求項2の方法。
【請求項4】
式IIの化合物において、
Qが
【化5】

であり;
XがOであり;
YがOであり;
およびZが独立してCHであり;並びに
WがNR15である、
請求項2の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの抗CTLA-4剤、および請求項1の式Iの化合物または請求項2の式IIの化合物、並びに医薬的に許容される担体を含む、癌治療のための医薬組成物。
【請求項6】
式IIの化合物が、
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,13,17−トリオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,13,17−トリオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1,10−ジオキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9−テトラメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1,10−ジオキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,14,17−トリオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,14,17−トリオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1,11−ジオキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9−テトラメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チゾリル)エテニル]−1,11−ジオキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−9−オン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−9−オン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−3,8,8,10,12,16−ヘキサメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−3,8,8,10,12−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13,16−ヘキサメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1−オキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,16−ペンタメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1−オキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−6,8,8,10,12−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4−アザ−17−オキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4−アザ−17−オキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1−アザ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9−テトラメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1−アザ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−4,8,8,10,12,16−ヘキサメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4−アザ−17−オキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−4,8,8,10,12−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4−アザ−17−オキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−1,5,5,7,9,13−ヘキサメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1−アザ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−1,5,5,7,9−ペンタメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−1−アザ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−13−アザ−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−13−アザ−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−10−アザ−1−オキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9−テトラメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−10−アザ−1−オキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−14−アザ−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−14−アザ−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−11−アザ−1−オキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9−テトラメチル−16−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−11−アザ−1−オキサ−13−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R,7R,10S,11R,12R,16S]]−N−フェニル−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−5,9−ジオキソ−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−3−カルボキサミド;
[1S−[1R,3R,7R,10S,11R,12R,16S]]−N−フェニル−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−5,9−ジオキソ−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−3−カルボキサミド;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R]]−N−フェニル−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−2,6−ジオキソ−1−オキサ−13−シクロヘキサデセン−16−カルボキサミド;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R]]−N−フェニル−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9−テトラメチル−2,6−ジオキソ−1−オキサ−13−シクロヘキサデセン−16−カルボキサミド;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)シクロプロピル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)シクロプロピル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;および
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−16−[1−メチル−2−(2−ヒドロキシメチル−4−チアゾリル)エテニル]−1−アザ−13(Z)−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン
からなる群より選択される化合物、あるいはその医薬的に許容される塩、溶媒和物または水和物である、請求項5の組成物。
【請求項7】
医薬的に許容される塩が、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩からなる群より選択される、請求項6の組成物。
【請求項8】
式IIの化合物が、[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4−アザ−17−オキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオンであって;並びに適宜、化合物1;化合物2;化合物3;化合物4;化合物5;およびシスプラチンからなる群より選択される抗増殖剤を投与することを特徴とする、請求項6の組成物。
【請求項9】
相乗的に治療上有効な量の(1)少なくとも1つの抗CTLA-4剤、および(2)式III:
【化6】

[式中、
P−Qは、C,C二重結合またはエポキシドであり;
Gは、
【化7】

であり;
Rは、H、アルキル、および置換アルキルの群から選択され;
は、
【化8】

からなる群より選択され;

【化9】

であり;
は、H、ハロゲン、CN、アルキル、および置換アルキルの群から選択され;
は、H、アルキル、および置換アルキルの群から選択され;
は、O、S、およびNZの群から選択され;
は、H、アルキル、置換アルキル、OZ、NZ、ZC=O、ZSO、および適宜置換されたグリコシルの群から選択され;
は、ハロゲン、N、NCS、SH、CN、NC、N(Z、およびヘテロアリールの群から選択され;
は、H、アルキル、置換アルキル、CF、OZ、SZ、およびNZの群から選択され;
は、CZまたはNであり;
は、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、OZ10、SZ10、およびNZ1011の群から選択され;
は、O、S、−NH−NH−、および−N=N−の群から選択され;
10は、NまたはCZ12であり;
11は、HN、置換HN、アルキル、置換アルキル、アリール、および置換アリールの群から選択され;
、Z、Z、およびZ11は独立して、H、アルキル、置換アルキル、アシル、および置換アシルの群から選択され;
は、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、およびヘテロ環の群から選択され;
、Z、Z、およびZ10は独立して、H、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、アリール、および置換アリールの群から選択され;
は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、およびヘテロ環の群から選択され;
は、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、OZ、SZ、およびNZの群から選択され;並びに
12は、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アリール、および置換アリールの群から選択されるが;
ただし、Rが、
【化10】

である場合には、G、G、G、およびGは同時に以下の定義:
およびGはHであり、GはOであり、並びにGはHまたはZC=O(Zはアルキル基)である
ではない]
の化合物を治療が必要な哺乳類に投与することを特徴とする、癌を含む増殖性疾患の治療方法。
【請求項10】
化合物が一般式IIIa:
【化11】

[式中、
P−Qは、C,C二重結合またはエポキシドであり;
Rは、H原子またはメチル基であり;
は、H原子、アルキル基、置換アルキル基、またはハロゲン原子であり;
は、H原子、アルキル基、または置換アルキル基であり;
は、O原子、S原子、またはNZ基であって、
は、H原子、アルキル基、置換アルキル基、アシル基、または置換アシル基であり;並びに
は、H原子、アルキル基、置換アルキル基、OZ基、NZ基、ZC=O基、ZSO基、または適宜置換されたグリコシル基であって、
は、H原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、またはヘテロ環基であって、
は、H原子、アルキル基、置換アルキル基、アシル基、または置換アシル基であって、および
は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、またはヘテロ環基であるが、ただし、
、G、G、およびGは同時に以下の定義:
およびGはH原子であり、GはO原子であり、並びにGはH原子またはZC=O(Zはアルキル基)である
ではない]
を有する、請求項9の方法。
【請求項11】
式IIIの化合物が、[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(アミノメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオンであって、並びに適宜、化合物1;化合物2;化合物3;化合物4;化合物5;およびシスプラチンからなる群より選択される抗増殖剤を投与することを特徴とする、請求項10の方法。
【請求項12】
式IIIの化合物が、
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(アジドメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(アミノメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−[[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]メチル]−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−16−[2−[2−[[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]メチル]−4−チアゾリル]−1−メチル−エテニル]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−1−オキサ−13(Z)−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−16−[2−[2−(アミノメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−1−オキサ−13(Z)−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(ペンタノイルオキシ)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(ナフトイルオキシ)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−3−[2−[2−[[(2−メトキシエトキシ)アセチルオキシ]メチル]−1−メチル−4−チアゾリル]エテニル]−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(N−プロピオニルアミノ)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−(3−アセチル−2,3−ジヒドロ−2−メチレン−4−チアゾリル)−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン,N−オキシド;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−3−[2−[2−(メトキシメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−[2−(フェノキシメチル)−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−[(エチルチオ)メチル]−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(エトキシメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(2,3,4,6−テトラアセチル−α−グルコシルオキシ)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(2’,3’,4’,6’−テトラアセチル−β−グルコシルオキシ)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(6’−アセチル−α−グルコシルオキシ)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(p−トルエンスルホニルオキシ)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(ブロモメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−(5−ブロモ−2−メチル−4−チアゾリル)−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(シアノメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[4S−[4R,7S,8R,9R,15R(E)]]−16−[2−[2−(シアノメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−4,8−ジヒドロキシ−5,5,7,9,13−ペンタメチル−1−オキサ−13(Z)−シクロヘキサデセン−2,6−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−3−[2−[2−(1H−イミダゾール−1−イルメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−(2−ホルミル−4−チアゾリル)−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−(2−ホルミル−4−チアゾリル)−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−(2−エテニル−4−チアゾリル)−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−3−[2−[2−(メトキシイミノ)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−[2−[[(フェニルメチル)イミノ]メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−(2−アセチル−4−チアゾリル)−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−3−[1−メチル−2−(2−オキシラニル−4−チアゾリル)エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−3−[2−[2−(2−ヨードエテニル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−(2−エチニル−4−チアゾリル)−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(メチルアミノ)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−[[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]メチル]−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−[[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]メチル]−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−[2−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]−4−チアゾリル]エテニル]−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−4−[2−(7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−5,9−ジオキソ−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−3−イル)−1−プロペニル]−2−チアゾールカルボン酸;
[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−4−[2−(7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12−テトラメチル−5,9−ジオキソ−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−3−イル)−1−プロペニル]−2−チアゾールカルボン酸メチルエステル
からなる群より選択される化合物、あるいはその医薬的に許容される塩、溶媒、または水和物である、請求項10の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの抗CTLA-4剤および請求項10の式IIIの化合物、並びに医薬的に許容される担体を含む、癌の医薬治療のための医薬組成物。
【請求項14】
式IIIの化合物が、[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(アミノメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4,17−ジオキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオンからなる群より選択される、請求項13の組成物。
【請求項15】
式Iまたは式IIの化合物の投与の前に、同時に、または後に抗CTLA-4剤を投与することを特徴とする、請求項1、請求項2、請求項5、請求項10、または請求項13の方法。
【請求項16】
癌性固形腫瘍および難治性腫瘍からなる群の1つを治療するための、請求項1、請求項2、請求項5、請求項10、または請求項13の方法。
【請求項17】
抗CTLA-4剤が、抗CTLA-4抗体、抗CTLA-4アドネクチン(adnectin)、抗CTLA-4 RNAi、単鎖抗CTLA-4抗体フラグメント、ドメイン抗CTLA-4抗体フラグメント、および抗CTLA-4アンチセンス分子からなる群より選択される、請求項1、請求項2、請求項5、請求項10、または請求項13の方法。
【請求項18】
抗CTLA-4剤が、イピリムマブおよびトレメリムマブ(tremelimumab)からなる群より選択される、請求項1、請求項2、請求項5、請求項10、または請求項13の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2011−509299(P2011−509299A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542319(P2010−542319)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/030291
【国際公開番号】WO2009/089260
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】