説明

壁パネル装置

【課題】本発明は、後面側に設けられたコネクタを、複数方向から導入される電源線と接続可能な構成として、その壁面へのレイアウトが制限されることのない壁パネル装置を提案することを目的とする。
【解決手段】壁パネル装置1は、壁パネル本体10に内蔵された電気機器11に電源供給するために、電気機器11と接続された内部配線11に電源線21を電気的に接続するコネクタ13を備える。そして、このコネクタ13は、少なくともその左右に、壁パネル本体10内部に導入された電源線21が挿入される電源接続口を有する。これにより、壁面を構成するための間柱の位置に影響されることなく、電気機器11への電源供給を行うための配線施工を行うことができる。よって、壁パネル装置1のレイアウトを自由に設定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内の壁面に沿わせて設置される壁パネル装置に関するもので、特に、電熱器、照明器、消臭器などの電気機器が組み込まれた壁パネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気式のヒータ(電熱器)や照明器などの電気機器が組み込まれた壁パネル装置として、屋内の既設の内装壁に沿わせるように設置して用いられるものがある(特許文献1参照)。このような電気機器が組み込まれた壁パネル装置は、その壁パネル本体内部で電気機器への内部配線が成されて、外部電源からの電力供給を行う電源線を内部配線に接続させる電源接続部が設けられる。この電源接続部は、壁パネル本体において目立たない位置となる、前面周辺部や周端部に設けられることが一般的であった。
【特許文献1】特開平08−166134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような壁パネル装置は前面を化粧面としていることが通常であるため、その意匠性が重要な要素の1つであることから、電源接続部に接続される電源線などが露出することは外観上好ましくない。そこで、電源接続部となるコネクタを壁パネル本体の後面側に設けるとともに、既設の壁面側から電源線をコネクタに接続することが考えられる。このように壁パネル装置を構成することで、化粧面となる前面への電源線や電源接続部の露出を防いだ状態で、組み込まれた電気機器への給電のための配線ができる。
【0004】
しかしながら、施工現場によって壁面内部にある間柱などの位置関係は様々であり、壁パネル装置を設置する位置によっては、壁パネル装置内に設置したコネクタが、壁面内部の間柱と重なってしまう場合がある。このように、コネクタが間柱の干渉を受ける位置に配置されてしまう場合、従来は、壁面側からの電源線をコネクタに接続することが不可能となっていた。そのため、壁パネル本体の後面側にコネクタが設けられた壁パネル装置は、壁内部との間柱などの設置位置に応じて敷設する必要があるため、そのレイアウトが制限されてしまう。
【0005】
このような問題を鑑みて、本発明は、壁パネル本体の後面側に設けられたコネクタを、複数方向から導入される電源線と接続可能な構成として、その壁面へのレイアウトが制限されることのない壁パネル装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の壁パネル装置は、前面に化粧面を有するとともに後面側を屋内の壁面に沿わせて設置される壁パネル本体と、該壁パネル本体に組み込まれる電気機器と、前記壁パネル本体内部に埋設され、電気機器と電気的に接続される内部配線と、前記壁面側で配線された電源線と接続する入力側端子と、前記内部配線と接続する出力側端子とを有し、該入力側端子及び該出力側端子それぞれに接続された前記電源線及び前記内部配線を電気的に接続させるとともに、前記化粧面で隠蔽されて前記壁パネル本体に組み込まれたコネクタと、を備え、前記コネクタは、前記入力側端子が設置されるとともに前記電源線が挿入される電源接続口を2以上有して、異なる方向から前記電源線が接続可能な構成としていることを特徴とする。
【0007】
このような壁パネル装置において、前記コネクタは、前記壁パネル本体の横幅方向に沿った左右反対側それぞれに配置された2つの前記電源接続口を少なくとも有している。このとき、前記コネクタの左右に配置される2つの前記電源接続口の間隔は、前記壁面における間柱の横寸法よりも大きいことが好ましい。
【0008】
又、前記コネクタが前記壁パネル本体内部に埋設されるとともに、前記壁パネル本体の後面に、前記コネクタの左右に配置される2つの前記電源接続口と連通する2つの配線孔が設けられ、2つの該配線孔の間隔が、前記壁面における間柱の横寸法よりも大きいものとしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、コネクタを、2以上の電源接続口が設けられて、異なる方向から電源線が接続される構成としたことにより、壁パネル装置を設置したときに、壁面の構造物との干渉のない位置に、少なくとも1つの電源接続口を配置できる。又、内部配線が壁パネル本体内に埋設されるとともに、コネクタが化粧面で隠蔽されているため、壁パネル本体の後面側からコネクタに接続される電源線をも、化粧面で隠蔽することができる。更に、コネクタの左右に配置される2つの電源接続口の間隔を、壁面を固定するために必須となる間柱の横寸法よりも広いものとすることで、電源線をコネクタに接続する際に間柱との干渉を避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態について、図面を参照して以下に説明する。図1は、本実施形態の壁パネル装置の構成を示す概略正面図であり、図中の点線によって、壁パネル本体内部に設置される各構成部品を示す。図2は、図1の壁パネル装置の構成を示す断面図であり、図3は、図1の壁パネル装置内のコネクタの構成を示す概略断面図である。
【0011】
本実施形態の壁パネル装置1は、図1に示すように、壁面に沿って立設される壁パネル本体10と、壁パネル本体10に内蔵された電気機器11と、電気機器11と結線されるとともに壁パネル本体10内部に埋設される内部配線12と、商用電源から電源供給する給電路となる電源線21と内部配線12とを電気的に接続させるコネクタ13とによって、構成される。尚、本実施形態における壁パネル装置1は、電気機器11を具備した機能性のパネル装置であればよく、電気機器11を面状ヒータとするヒータ機能を備えたものとしてもよいし、電気機器11を照明器とする照明機能を備えたものとしてもよい。又、電気機器11が、スピーカやディスプレイであってもよいし、脱臭のためのプラズマ発生器で構成してもよい。
【0012】
この壁パネル装置1における壁パネル本体10は、図2に示すように、その前面を覆う化粧板となる表面板14と、壁面2を構成する壁面材20に当接する後面側の背面板15と、表面板14と背面板15との間に空間を形成するために表面板14と背面板15の双方に接続する枠材16とによって、構成される。即ち、表面板14及び背面板15それぞれの両端辺側に2本の枠材16が設置されることで、表面板14及び背面板15に挟まれた空間が形成され、この空間内に、図1の点線で示す電気機器11、内部配線12、及びコネクタ13が設置される。これにより、壁パネル装置1に組み込まれる電気機器11、内部配線12、及びコネクタ13は、表面板14によって前面側から隠蔽された状態となる。尚、電気機器11を照明器やディスプレイなどとする場合は、電気機器11の表面部分が表面板14より露出するような構成となる。
【0013】
そして、壁パネル本体10の一部となる背面板15には、電源線21が壁面2側から挿入される2つの配線孔17,18が、壁パネル本体10の幅方向に沿って、コネクタ13の左右両側となる位置に形成される。又、壁面2は、床面に対して立設された間柱22に固定された板材となる壁面材20によって構成される。そして、壁面2の壁面材20には、壁面2の内側(間柱22の設置側)から電源線21を室内側(壁パネル装置1の設置側)に引き込むための配線引き出し孔23が、壁パネル装置1の配線孔17,18のいずれかに近い位置に施工される。尚、図2の構成では、壁パネル装置1の配線孔18が間柱22と重なる位置となるため、壁面2の壁面材20における配線孔17の近傍位置に、配線引き出し孔23が形成される。そして、1枚の壁パネル装置1に対して、1つの配線引き出し孔23が、壁面材20に施工される。よって、壁面2に沿ってn枚(nは自然数)の壁パネル装置1が設置される場合、壁面材20には、n個の配線引き出し孔23が施工される。
【0014】
コネクタ13は、図3の概略断面図に示すように、電源線21が挿入される電源接続口32,33を左右の側面に備えた筐体31によって構成され、この筐体31の上端面に、内部配線12が挿入される配線接続口34を備える。又、コネクタ13は、電源接続口32,33のそれぞれから挿入された電源線21が接続される入力側端子35,36と、配線接続口32から挿入された内部配線12が接続される出力側端子37と、入力側端子35,36間の接続する電路38と、電路38から分岐して出力側端子37と接続された電路39とを、筐体31内に具備する。即ち、壁パネル本体10の幅方向に沿って、コネクタ13の左側に、配線孔17と連通する電源接続口32が、入力側端子35と共に設けられる一方で、コネクタ13の右側に、配線孔18と連通する電源接続口33が、入力側端子36と共に設けられる。
【0015】
このように構成されるコネクタ13は、配線孔17より電源線21が挿入される場合、電源線21が電源接続口32に挿入される。これにより、入力側端子35に電源線21が接続されるため、電源線21を通じて供給される電源は、入力側端子35及び電路38,39を介して、配線接続口34より挿入されて出力側端子37に接続された内部配線12に供給される。一方、配線孔18より電源線21が挿入される場合は、電源線21が電源接続口33に挿入されて、入力側端子36に電源線21が接続される。そのため、電源線21からの電源は、入力側端子36及び電路38,39を介して、出力側端子37に接続された内部配線12に供給される。
【0016】
そして、配線孔17,18の設置間隔は、配線孔17の左端から配線孔18の右端までの距離Dが、間柱22の幅寸法よりも広くなるような間隔に設定される。これにより、配線孔17,18のいずれかが間柱22と重なる位置に位置した場合であっても、間柱22と重なっていない配線孔18,17を利用して、電源線21を壁パネル本体10内部に導入できる。このとき、コネクタ13の左右の幅寸法が間柱22の幅寸法よりも大きく、コネクタ13の左右に設けられた電源接続口32,33の設置間隔が、間柱22の幅寸法よりも広くなるようにしてもよい。
【0017】
尚、コネクタ13は、その左右に電源接続口32,33を設けた構成としたが、その下端側にも、電路35より分岐した電路の端部に構成される入力側端子を備えた電源接続口を更に設けた構成としてもよい。又、電源接続口32,33それぞれを、コネクタ13の下端側の左右となる位置に構成されるものとしてもよい。そして、背面板15において、コネクタ13の下端に設けられた電源接続口32,33それぞれの直下に、電源接続口32,33それぞれと連通する配線孔17,18それぞれが設けられる。このとき、コネクタ13の下端側の左右それぞれに設置される電源接続口32,33の間隔を、間柱22の幅寸法よりも広くなるようにすることが好ましい。これにより、電源接続口32,33それぞれの直下に設けられる配線孔17,18の間隔をも、間柱22の幅寸法よりも広くできる。又、電源接続口32,33が、コネクタ13の背面板15と対向する面に設けられて、配線孔17,18と重なるようにして連通するものとしてもよい。
【0018】
更に、電源接続口32,33それぞれについて、プラグ又はジャックなどによる接栓構造としてもよい。このように構成することで、電源接続口32,33のいずれかに電源線21を挿入するだけで、電源線21を簡単に入力側端子35,36のいずれかに接続することができる。即ち、壁パネル装置1を施工する際に、壁面材20の配線引き出し孔23から引き出された電源線21を、背面板15の配線孔17(18)から壁パネル本体10内部に導入すると、電源接続口32(33)のいずれかに挿入して、簡単に、その入力側端子35(36)に接続できる(尚、配線孔18に電源線21が挿入された場合に対応する符号を、括弧内に示す)。又、出力側端子37を備える配線接続口34についても、プラグ又はジャックなどによる接栓構造としてもよいし、半田接続等のように内部配線12が直接出力側端子37と接続された構造としてもよい。
【0019】
このように構成される壁パネル装置1の施工について、図4及び図5を参照して以下に説明する。尚、図4は、壁パネル装置の施工前における壁面の構成を示す概略図であり、図6は、壁パネル装置の施工後における壁面の構成を示す概略図である。そして、図4及び図5のそれぞれにおいて、間柱を一点鎖線で図示するとともに、図5において、コネクタ及び配線孔それぞれを点線で図示する。
【0020】
図4に示すように、床面に対して立設される間柱22が等間隔に施工され、壁面材20は、複数の間柱22で支持されるように固定され、床面に対して立設した状態で施工される。そして、壁面材20には、図5に示すように配置される複数の壁パネル装置1それぞれに対応する位置に、配線引き出し孔23が形成される。この配線引き出し孔23は、図5に示すように配置される複数の壁パネル装置1における配線孔17,18のいずれかに対応した位置に形成されるものであり、図4に示すように、間柱22と重ならない位置に形成される。
【0021】
図4に示すように、間柱22によって支持された壁面材20に配線引き出し孔23が設けられると、壁面2の内側(間柱22の設置側)から電源線21を室内に引き込む。そして、この壁面2に沿うように、複数の壁パネル装置1が並設される。このとき、壁パネル装置1は、壁面材20に背面板15が当接するように固定されるとともに、その背面板15の配線孔17,18のいずれかが壁面材20の配線引き出し孔23と重なるように、設置される。そして、配線孔17が配線引き出し孔23と重なるように設置された壁パネル装置1については、配線孔17より壁パネル本体10内部に電源線21が挿入されて、コネクタ13に接続される。一方、配線孔18が配線引き出し孔23と重なるように設置された壁パネル装置1については、配線孔18より壁パネル本体10内部に電源線21が挿入されて、コネクタ13に接続される。
【0022】
このように壁パネル装置1を設置することによって、配線孔18の位置が間柱22と重なる位置となる壁パネル装置1については、配線孔17を利用して電源線21を壁パネル本体10内のコネクタ13まで導入できる。一方、配線孔17の位置が間柱22と重なる位置となる壁パネル装置1については、配線孔18を利用して電源線21を壁パネル本体10内のコネクタ13まで導入できる。よって、電源線21を壁パネル装置1内のコネクタ13に接続する際の間柱22による干渉がなく、壁パネル装置1のレイアウトが制限されることがなくなるので、壁面2に対する壁パネル装置1のレイアウトを自由に設定できる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、電熱器、照明器、消臭器、スピーカ、ディスプレイなどの電気機器が、その壁パネル本体に組み込まれた壁パネル装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】は、本発明の実施形態の壁パネル装置の構成を示す概略正面図である。
【図2】は、図1の壁パネル装置の構成を示す概略断面図である。
【図3】は、図1の壁パネル装置内のコネクタの構成を示す概略断面図である。
【図4】は、図1の壁パネル装置の施工前の壁面の状態を示す図である。
【図5】は、図1の壁パネル装置の施工後の壁面の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1 壁パネル装置
2 壁面
10 壁パネル本体
11 電気機器
12 内部配線
13 コネクタ
14 表面板
15 背面板
16 枠材
17,18 配線孔
20 壁面材
21 電源線
22 間柱
23 配線引き出し孔
31 筐体
32,33 電源接続口
34 配線接続口
35,36 入力側端子
37 出力側端子
38,39 電路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に化粧面を有するとともに後面側を屋内の壁面に沿わせて設置される壁パネル本体と、
該壁パネル本体に組み込まれる電気機器と、
前記壁パネル本体内部に埋設され、電気機器と電気的に接続される内部配線と、
前記壁面側で配線された電源線と接続する入力側端子と、前記内部配線と接続する出力側端子とを有し、該入力側端子及び該出力側端子それぞれに接続された前記電源線及び前記内部配線を電気的に接続させるとともに、前記化粧面で隠蔽されて前記壁パネル本体に組み込まれたコネクタと、
を備え、
前記コネクタは、前記入力側端子が設置されるとともに前記電源線が挿入される電源接続口を2以上有して、異なる方向から前記電源線が接続可能な構成としていることを特徴とする壁パネル装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記コネクタは、前記壁パネル本体の横幅方向に沿った左右反対側それぞれに配置された2つの前記電源接続口を少なくとも有していることを特徴とする壁パネル装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記コネクタの左右に配置される2つの前記電源接続口の間隔が、前記壁面における間柱の横寸法よりも大きいことを特徴とする壁パネル装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3において、
前記コネクタが前記壁パネル本体内部に埋設されるとともに、
前記壁パネル本体の後面に、前記コネクタの左右に配置される2つの前記電源接続口と連通する2つの配線孔が設けられ、
2つの該配線孔の間隔が、前記壁面における間柱の横寸法よりも大きいことを特徴とする壁パネル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−130759(P2010−130759A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301276(P2008−301276)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】