説明

壁体パネル支持具

【課題】
建物の壁面を構成する壁体ガラス等の壁体パネルについて、壁体パネルに孔加工や切りかき加工を施すことなく、地震や風圧による変位を吸収することを可能とする構造を有しつつ、取付信頼性を向上し、部品点数を少なくして設置、施工を容易にすると共に、コストを低減する。
【解決手段】
保持体Aにより壁体パネルを挟み保持し、支持体Bにより壁体パネルを建物の構造体に取り付ける構造とし、壁体パネルを保持する保持体Aの自重受け部は、上下に配置する壁体パネル間の横目地部に配置してあり、保持体Aの嵌合凸部(シャフト)部の縦方向に沿って相対移動自在に、且つ、嵌合凸部(シャフト)部の軸芯周りに回転自在に保持体Aと支持体Bとを嵌合させる構造とする。
保持体Aを構成する壁体パネル支持部材は、鋳造により製作されることにより一体として成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁面を構成する壁体ガラス等の壁体パネルを建物の構造体に連結して支持するための建物構造物の壁体パネル支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震や風圧力により、壁体パネルの取付部あるいはガラスの孔加工部分に応力が集中しないように、且つ、安定した状態に壁体パネルを支持できるようにするために、例えば、特許文献1では、板状体の壁体パネルに、その板面と直交方向に軸を有する支持金物を固定し、支持金物に係合孔を設け、躯体に水平に設置された棒状部材を、係合孔に挿通することによって、地震や風圧力によって生ずる変形を吸収することを可能とした構造が開示されており、また、特許文献2では、パネルの自重を受ける部材を上下左右方向に移動可能とすることによって隣接するパネル間の上下左右方向の位置ずれを可能とし、地震や風圧力によって生ずる変形を吸収することを可能とした構造が開示されており、さらに、特許文献3では、左右方向に沿って相対移動自在に、且つ、壁面に平行な軸芯周りに相対回転自在に、且つ、壁面に沿って相対揺動自在に、且つ、壁面に平行に配置された棒状部の一端部が壁体パネル厚み方向に沿って近接離間する状態に相対揺動自在とすることを可能とし、地震や風圧力によって生ずる変形を吸収することを可能とした構造が開示されている。
【特許文献1】特開平7−207790号公報
【特許文献2】特開平8−170390号公報
【特許文献3】特開2001−32427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記した従来の壁体パネル支持方法では以下のような問題点があった。
【0004】
特許文献1の方法では、図11に示すように、壁体パネルに孔加工を要するため、強化ガラスに限定される構法であり、加工費も必要となり、意匠上制約されてしまうという問題点があった。
【0005】
また、特許文献2の方法では、図12に示すように、左右の自重受け部材自体がパネルの上下の変位を直接的に吸収して上下動する構造であり、且つ、躯体に固定した屋内側支持具に各々ねじで締結される構造なので高い取り付け信頼性が要求され、ねじの締結が弱いと取付信頼性に難があり、逆にねじの締結が強すぎるとパネルの変位吸収能力が低下するという問題点があった。
【0006】
さらに、特許文献3の方法では、壁体パネルの自重を受ける部材がなく、壁体パネルを挟持する構造のみのため、図13に示すように、縦目地を貫通して左右に隣接する壁体パネルどうしを固定する方法に限定され、横目地を貫通して上下に隣接する壁体パネルどうしを固定する方法には用いることができないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は下記の手段を講じた。
本発明の壁体パネル支持具は、壁体パネルに孔加工をすることなく、前記壁体パネルを挟み保持し、前記壁体パネルを建物の構造体に取り付ける構造を備えた壁体パネル支持具であって、
室内側には地面に対して垂直な円柱状の嵌合凸部を有し、室外側には壁体パネルの自重を支持する地面に対して水平な自重受け部を有し、前記嵌合凸部と前記自重受け部との中間に地面に対して垂直な垂直部を有する壁体パネル支持部材と、
前記壁体パネル支持部材の前記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部材と
を備え、
前記嵌合凹部材の室外側は、前記嵌合凸部を受け入れ自在な縦方向の円柱状の空洞が設けられた凹部を有し、
前記壁体パネル支持部材と前記嵌合凹部材とは、前記嵌合凸部の縦軸方向に沿って相対移動自在に、かつ、前記嵌合部の軸芯周りに回転自在となるように嵌合し、
前記壁体パネル支持部材の前記自重受け部は、上下に配置された前記壁体パネル間の横目地部に配置されて、前記壁体パネルの底部を受けること
を特徴としている。
【0008】
また、壁体パネルに孔加工をすることなく、前記壁体パネルを挟み保持する保持体Aと、前記壁体パネルを建物の構造体に取り付ける構造を備えた支持体Bとから構成される壁体パネル支持具であって、
前記保持体Aは、
前記壁体パネルの室外側の最前面に配置される化粧カバーと、
前記壁体パネルの室内側に配置されるボディプレートと、
前記壁体パネルを室外側、室内側の両側から挟み込む弾性体と、
前記壁体パネル支持部材と、
を備え、
前記支持体Bは、
構造体に取付自在な構造体取付部材と、
前記嵌合凹部材と、
前記構造体取付部材と前記嵌合凹部材とを連結するターンバックルと
を備えるようにしてもよい。
【0009】
また、保持体Aを構成する壁体パネル支持部材は、鋳造で製作されることにより一体として形成するようにしてもよい。
【0010】
また、壁体パネルを室外側、室内側の両側から挟み込む低弾性体と壁体パネルとの間に、平滑面を有する超高分子ポリエステルのワッシャーを配置してもよい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1又は請求項2に記載の発明によれば、保持体Aの室内側は、円柱状の嵌合凸部(シャフト)部を有し、支持体Bの室外側は、保持体Aの嵌合凸部(シャフト)部を受け入れ自在な縦方向の円柱状の空洞が設けられた凹部を有し、保持体Aの嵌合凸部(シャフト)部と支持体Bの凹部とは、嵌合凸部(シャフト)部の縦方向に沿って相対移動自在に、保持体Aと支持体Bとが嵌合されているから、地震により壁体パネルが壁面に沿って上部方向に外部応力を受けた場合には、上下に隣接するパネルの変位を受けて、壁体パネル支持部材が上方向へスライド移動することにより、壁体パネルの変位を吸収することができるという効果を有する。
【0012】
また、保持体Aの嵌合凸部(シャフト)部と支持体Bの凹部とは、嵌合凸部(シャフト)部の軸芯周りに回転自在に嵌合されていること、及び壁体パネルを室外側、室内側の両側から挟み込むように低弾性体が配置されているから、壁体パネルに強風が作用した場合には、嵌合凸部(シャフト)部が軸芯周りに回転し、あるいは、低弾性体が応力を吸収することにより、壁体パネルの撓みを許容した状態に支持することができるという効果も有する。
【0013】
さらに、簡潔な構造であるからねじ止め点数も少なく部品点数も少なく取付け施工性も優れているという効果も有する。
【0014】
またさらに、この壁体パネル支持具を用いたパネル体の外観は上下に配置された壁体パネルの横目持部に化粧カバーが遠方から見ると点状に露出しているだけであるから意匠上も優れた効果を有する。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、保持体Aを構成する壁体パネル支持部材は、鋳造で製作されることから、一体として形成することができ、製作コストを低く抑えることができ、且つ、ねじ止め点数を減少させ、取付け施工性も優れているという効果を有する。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、壁体パネルを室外側、室内側の両側から挟み込む低弾性体と壁体パネルとの間に、さらに平滑面を有する超高分子ポリエステルのワッシャーを配置したことから、このワッシャーの作用により壁体パネルの上下左右方向の位置ずれ動作が円滑に行われるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0018】
まず、図9を参照する。図9の(イ)は、本発明の実施例に係る壁体パネル支持具が設置され、支持された複数のガラスカーテンウォールの上面図である。また、図9の(ロ)は、前記ガラスカーテンウォールの正面図である。図9に示すように、実施例の壁体パネル支持具は、ガラスカーテンウォールのパネル等の壁体パネルの横目地部に配置している。これにより、本発明の実施例に係る壁体パネル支持具が壁体パネルを支持して、上下の前記壁体パネルを固定することができる。
【0019】
次に図1を参照する。図1は、本発明に係る実施例の斜視図である。図1のAは、壁体パネルを保持する保持体であり、図1のBは、保持体Aを支持する支持体である。保持体Aは、壁体パネル1と、化粧カバー2と、外パッキン3と、内パッキン4と、ボディープレート5と、ボルト51a・52bと、保護プレート61a・61bと、壁体パネル支持部材6により構成される。また、支持体Bは、ボルト7a・7bと、嵌合凹部材8と、嵌合凸部(シャフト)移動上限設定ねじ81と、嵌合凸部(シャフト)高さ調節ねじ82と、ターンバックル9と、嵌合凸部(シャフト)支持部材調節ねじ91と、ターンバックル調節ねじ101と、取付ボルト102a・102bと、取付部103と、構造体取付部材10により構成される。
【0020】
保持体Aにおいて、壁体パネル1は、室外側からは化粧カバー2に、室内側からはボディープレート5により挟み込まれる。さらに、室外側の化粧カバー2と室内側の壁体パネル1の間には外パッキン3を挟み込む。また、室外側の壁体パネル1と室内側のボディープレート5の間には内パッキン4を挟みこむ。なお、上述の外パッキン3と内パッキン4は、低弾性体を採用する。これにより、壁体パネル1に風圧力等の面外方向(ガラス面に直角方向)の力が作用した場合、壁体パネル1に対する応力を軽減させることができる。また、壁体パネル支持部材6は、ボルト51aをボディープレート5の室外側から螺入することにより、固定される。
【0021】
次に、壁体パネル1の狭持について説明する。壁体パネル1の室外側には外パッキン3を、室内側には内パッキン4を配置する。また、外パッキン3の更に室外側には化粧カバー2を、内パッキン4の更に室外側には、ボルト51a・51bで壁体パネル支持部材6を螺合したボディープレート5を配置する。そして、保持体Aのすべての部材をつなぎ合わせるために、ボルト7a・ボルト7bを前記すべての部材の左右に空けられたねじ孔に、室内側から挿通して締め付ける。
【0022】
なお、図1には、図示していないが、壁体パネル1の上下左右方向の位置ずれ動作が円滑に行われるようにするために、壁体パネル1を室外側・室内側の両側から挟みこむ外パッキン3・内パッキン4と壁体パネル1との間に、さらに、平滑面を有する超高分子ポリエステルのワッシャーを配置することも可能である。この超高分子ポリエステルのワッシャーとして、例えばベアリーUH3000を使用することにより、壁体パネル1の上下左右方向の位置ずれ動作が円滑に行われる。
【0023】
次に、本発明の実施例に係る壁体パネル支持具を構成する支持具Bについて、図1を参照して説明する。図1の10は、構造体に取付自在な構造体取付部材10である。また、図1の102a及び102bは、構造体取付部材10を構造体に取付けるための取付ボルトである。構造体取付部材10は、構造体の所定位置に取付ボルト102a、102bを構造体取付部10の正面の上下に空けられたねじ孔に挿通することにより、構造体に固定される。
【0024】
図1の9は、前記構造体取付部材10と後述する嵌合凹部材8とを連結するターンバックルである。また、図1の103は、ターンバックル9を構造体取付部10に取付けるための、構造体取付部10から室内側に突出する取付部である。前記ターンバックル9は、取付部103の内周に設けられたねじ部に螺入され、構造体取付部10に固定される。また、図1の101は、ターンバックル9の調節ねじである。ターンバックル9は、この調節ねじ101により構造体取付部材10に固定される。また、調節ねじ101の螺入深さを調節することにより、ターンバックル9の地面に対する水平方向の位置を調節することができ、壁体パネルの厚薄に対応することが可能である。
【0025】
図1の8は、壁体パネル支持部材の室内側に突出している嵌合凸部(シャフト)を支持するための嵌合凹部材である。嵌合凹部材8は、室内側ではターンバックル9の内周に設けたねじ部に螺入して固定される。また、室外側では壁体支持部材6の嵌合凸部(シャフト)が嵌合される。次に、図1の91は、嵌合凸部(シャフト)支持部材の調節ねじである。嵌合凸部(シャフト)支持部材調節ねじ91をターンバックル9の上面に空けられたねじ孔から螺入し、螺入深さを調節することで、嵌合凸部(シャフト)支持材の地面に対する水平方向の位置を調節することができる。
【0026】
なお、図2は、本発明の実施例である壁体パネル支持具の分解図である。また、図3は、図2をA−A´で切断した場合の断面図である。図1と同一の符号を付した部分は、同一の部材を示す。
【0027】
次に、図4を参照する。図4は、本発明の実施例に係る壁体パネル支持具のすべての部材を組み合わせた状態の平面図である。図4で示すように、壁体パネル1が、化粧カバー2とボディープレート5により挟み込まれ、壁体パネル1と化粧カバー2の間及び壁体パネル1とボディープレート5の間に、低弾性体の外パッキン3・内パッキン4が挿入されている。また、壁体パネル支持部材6は、図4において図示していないが、ボディープレート5・壁体支持パネル支持部材6の上下に設けられたねじ孔にボディープレート5の室外側からボルト51を螺入することにより、ボディープレート5と接着されている。次に、取付部103が突出した形状を有する構造体取付部材10が、取付ボルト102により構造体に取り付けられている。また、ターンバックル9は、取付部103の内周に設けられたねじ部に螺入され、取付部103の円周上面のねじ孔から螺入ターンバックル調節ねじ101によりターンバックル9の螺入深さを調節して固定されている。また、嵌合凹部材8は、ターンバックル9の円周上面に設けられたねじ孔から嵌合凸部(シャフト)支持部材調節ねじ91を螺入して、嵌合凸部(シャフト)支持部材の螺入深さを調節して、ターンバックル9の内周面に固定されている。さらに、壁体パネル支持部材6と嵌合凹部材8が、壁体パネル支持部材6の凸部と嵌合凹部材8の凹部により嵌合されている。本発明の実施例に係る壁体パネル支持具は、上述のような構造となっている。
【0028】
次に、図5を参照する。図5は、図4に示す本発明の実施例である壁体パネル支持具の組立図をB−B´で切断した断面図である。なお、図4と同一の符号は同一の部材を示すものとする。この断面図に示されるように、壁体パネル支持部材の自重受け部64は、壁体パネル1の横目地部に配置され、壁体パネル1を支持していることが分かる。また、構造体取付部材10を構造体に取付ける取付けボルト102は、構造体取付部材10の正面の上下に設けられたねじ孔に室外側から螺入されていることが分かる。
【0029】
次に図6を参照する。図6の(イ)は、壁体パネル支持部材6の正面図(室外側から見た面)である。図6の(イ)に示すように、壁体パネル支持部材6が、上下に空けられたねじ孔に室外側からボルト51a・51bを挿通して、ボディープレート5に螺合された状態を示している。また、図6の(ニ)は、壁体パネル6の背面図(室内側から見た図)である。壁体パネル支持部材6が、左右に空けられたねじ孔に室内側からボルト7a・7bを挿通して、ボディープレート5に螺合された状態を示している。
【0030】
図6の(ロ)は、壁体パネル支持部材6の平面図である。図6の(ロ)に示すように、壁体パネル支持部材6は、保護プレート61a・61bと、嵌合凸部(シャフト)部62と、垂直部63と、自重受け部64と、根本部65とが設けられており、各部位を溶接による溶着ねじやねじ止めの方法によらず、鋳造により一体として成型されている。保護プレート61aは、自重受け部64の上面に挿入され、保護プレート61bは、自重受け部64の下面に挿入されている。これにより、壁体パネルがガラスであった場合など、金属とガラスとが直接接触することによるガラス板の破損を防止することができる。また、嵌合凸部(シャフト)部62は、嵌合凹部材8に嵌合される部分である。また、自重受け部64は、上述のように本発明の実施例に係る壁体パネル支持具のすべての部材が組み立てられたとき、壁体パネル1の横目地部に、保護プレート61a・61bとともに配置され、壁体パネル1を支持する。
【0031】
図6の(ハ)は、壁体パネル支持部材6の側面図である。62aは嵌合凸部(シャフト)上部を、62bは嵌合凸部(シャフト)下部を示しており、嵌合凸部(シャフト)下部62aの方が嵌合凸部(シャフト)上部62bより、室内側に突出した構造となっている。
【0032】
次に、図7を参照する。図7は、壁体パネル支持部材6が嵌合凹部材8に嵌合された状態を示す図である。嵌合凹部材8には、円柱形状の凹部83が設けられており、円柱形状の凸部となる壁体パネル支持部材6の嵌合凸部(シャフト)部62が嵌合される。また、嵌合凹部材8の凹部83の高さ寸法は、嵌合凸部(シャフト)部62の高さ寸法より大きく設定してあると共に、その内径寸法は、嵌合凸部(シャフト)底部62aの外形寸法より大きく設定してある。これにより、嵌合凸部(シャフト)部62が上下にスライド移動することが可能となる。
【0033】
図7の左図は、嵌合凸部(シャフト)部62のスライド移動の上限を示している。嵌合凹部材8の凹部83の内径には、嵌合凸部(シャフト)移動上限設定ねじ81が螺入されている。嵌合凸部(シャフト)移動上限設定ねじ81の下端部が、嵌合凸部(シャフト)下部62aの円周の端部を受けることにより、上限が設定される。なお、85は、嵌合凸部(シャフト)部62の上限位置を、86は、嵌合凸部(シャフト)部62の上方向への移動距離を示している。
【0034】
図7の右図は、嵌合凸部(シャフト)62のスライド移動の下限を示している。嵌合凹部材8の下部から嵌合凸部(シャフト)高さ調節ねじを挿入して凹部83を塞ぎ、嵌合凸部(シャフト)部62がそれ以上下方向にスライドしないよう設計されている。なお、87は、嵌合凸部(シャフト)部62の下限位置を示している。
【0035】
上述の説明により、嵌合凸部(シャフト)部62の縦方向に沿って相対移動自在に、保持体Aと支持体Bとが嵌合されるから、壁体パネル1が壁面に沿って上部方向に外部応力を受けた場合、上下に隣接するパネルの変位を受けて、壁体パネル支持部材6が上方向へスライド移動する。これにより、壁体パネル1の変位を吸収することができる。
【0036】
次に、図8を参照する。図8の(イ)(ロ)は、嵌合凹部材8に螺合された壁体パネル支持部材6が、軸心周りに回転していることを示す図である。嵌合凹部材8の凹部83の開口部84幅寸法は、嵌合凸部(シャフト)62の外形寸法より小さく、且つ、嵌合凸部(シャフト)部62の根元部65の幅寸法より大きい。これにより、凹部83に嵌合された嵌合凸部(シャフト)部62が、その軸心周りに回転できるようになっていて、壁体パネル1に強風が作用した場合、壁体パネル1の撓みを許容した状態に支持することができる。
【0037】
次に図10を参照する。図10の(イ)から(チ)は、化粧パネル2の形状を示している。円形、正方形、長方形、楕円形など、壁体パネル1の室外側から見た外観の意匠性を向上させるよう、又は、壁体パネル1の大きさに対応して、様々な形状の化粧カバー2が装着可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例の斜視図。
【図2】実施例の分解図。
【図3】実施例の分解図(断面図)。
【図4】実施例の組立図。
【図5】実施例の組立後の概略断面図。
【図6】(イ)は壁体パネル支持部材の正面図、(ロ)は上面図、(ハ)は側面図、(ニ)は背面図。
【図7】(イ)は壁体パネル支持部材と嵌合凸部(シャフト)支持部材との嵌合及び嵌合凸部(シャフト)が上方向に移動した動きを示す説明図、(ロ)は嵌合凸部(シャフト)が凹部に嵌合されている通常の状態を示す説明図。
【図8】壁体パネル支持部材垂直部の一端が壁体パネル厚み方向に向かって揺動する動きを示す説明図。
【図9】(イ)は実施例の壁体パネル支持具を適用したカーテンウォールの上面図、(ロ)は正面図。
【図10】化粧カバーの形状を示す図。
【図11】従来例の(特許文献1に係る)壁体パネル支持具の斜視図。
【図12】従来例の(特許文献2に係る)壁体パネル支持具の斜視図。
【図13】従来例の(特許文献3に係る)壁体パネル支持具のガラスパネル取付状況を示す正面図。
【符号の説明】
【0039】
A 保持体
B 支持体
1 壁体パネル
2 化粧カバー
3 外パッキン
4 内パッキン
5 ボディプレート
51a、51b ボルト
6 壁体パネル支持部材
61a、61b 保護プレート
62 嵌合凸部(シャフト)部
63 垂直部
64 自重受け部
65 根元部
7a、7b ボルト
8 嵌合凹部材
81 嵌合凸部(シャフト)移動上限設定ねじ
82 嵌合凸部(シャフト)高さ調整ねじ
83 凹部
84 開口部
85 上限位置
86 移動距離
87 下限位置
9 ターンバックル
91 嵌合凸部(シャフト)支持部材調整ねじ
10 構造体取付部材
101 ターンバックル調整ねじ
102a、102b 取付ボルト
103 取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁体パネルに孔加工をすることなく、前記壁体パネルを挟み保持し、前記壁体パネルを建物の構造体に取り付ける構造を備えた壁体パネル支持具であって、
室内側には地面に対して垂直な円柱状の嵌合凸部を有し、室外側には壁体パネルの自重を支持する地面に対して水平な自重受け部を有し、前記嵌合凸部と前記自重受け部との中間に地面に対して垂直な垂直部を有する壁体パネル支持部材と、
前記壁体パネル支持部材の前記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部材と
を備え、
前記嵌合凹部材の室外側は、前記嵌合凸部を受け入れ自在な縦方向の円柱状の空洞が設けられた凹部を有し、
前記壁体パネル支持部材と前記嵌合凹部材とは、前記嵌合凸部の縦軸方向に沿って相対移動自在に、かつ、前記嵌合部の軸芯周りに回転自在となるように嵌合し、
前記壁体パネル支持部材の前記自重受け部は、上下に配置された前記壁体パネル間の横目地部に配置されて、前記壁体パネルの底部を受けること
を特徴とする壁体パネル支持具。
【請求項2】
壁体パネルに孔加工をすることなく、前記壁体パネルを挟み保持する保持体Aと、前記壁体パネルを建物の構造体に取り付ける構造を備えた支持体Bとから構成される壁体パネル支持具であって、
前記保持体Aは、
前記壁体パネルの室外側の最前面に配置される化粧カバーと、
前記壁体パネルの室内側に配置されるボディプレートと、
前記壁体パネルを室外側、室内側の両側から挟み込む弾性体と、
前記壁体パネル支持部材と、
を備え、
前記支持体Bは、
構造体に取付自在な構造体取付部材と、
前記嵌合凹部材と、
前記構造体取付部材と前記嵌合凹部材とを連結するターンバックルと
を備えることを特徴とする請求項1に記載の壁体パネル支持具。
【請求項3】
前記壁体パネル支持部材は、鋳造で製作されることにより一体として形成してあること
を特徴とする請求項2又は3に記載の壁体パネル支持具。
【請求項4】
前記壁体パネルを室外側、室内側の両側から挟み込む低弾性体と前記壁体パネルとの間に、平滑面を有する超高分子ポリエステルのワッシャーを配置したこと
を特徴とする請求項2又は3に記載の壁体パネル支持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−146552(P2007−146552A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344280(P2005−344280)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(503368432)
【Fターム(参考)】