説明

壁構造体の切断装置及び切断・解体方法

【課題】原子炉遮蔽壁を解体の目的で切断するワイヤーソー方式の切断装置と、同切断装置により切断し解体する方法を提供する。
【解決手段】壁構造体へ跨り、同壁構造体の内外面を挟む一対のガイドマストを備えた第一フレームと、第一フレームの上へ移動可能に載り、一対のガイドマストを備えた第二フレームとで構成される。第二フレームの一対のガイドマストに沿って周回するワイヤーソーと、ワイヤーソーを走行させる駆動装置と、ワイヤーソーの走行張力を調整する張力制御装置が第二フレームに設置されている。各ガイドマストの下部に、壁構造体の内外面を挟み付ける把持装置が設けられている。第一フレームと第二フレームとの移動面間に、一方のフレームを他方のフレームに対し相対移動させる移送駆動装置が設置されている。各ガイドマストに各ガイドマストを上下方向へ移動させる昇降駆動装置が設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主には原子力発電所の放射化された原子炉遮蔽壁を、更には他の同様な円筒形等のコンクリート壁構造体(以下、両者を纏めて壁構造体又は大型壁構造体という場合がある。)を、解体の目的で安全に効率良く、輪切り状又はブロック形状に切断する、ワイヤーソーイング方式の切断装置と、前記壁構造体を、前記ワイヤーソー方式の切断装置により輪切り状又はブロック形状に切断して解体する方法の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
かつての高度成長期に建設された初期の沸騰水型原子炉による原子力発電所は、既に老朽化し発電能力が小さいといったような問題から廃炉が決定したり、廃炉の準備が加速しつつある。
沸騰水型原子炉の場合、放射化された原子炉遮蔽壁(側面を鋼板で覆われ、内部にH鋼などの鋼材が密に配置された大型の円筒形コンクリート構造物)が解体対象物であるが、原子炉遮蔽壁は中性子の照射によって高度に放射化されているため、作業員が近づいて作業すると被曝量が多くなる。したがって、放射線による被曝を受けないように、できるだけ離れた位置からの遠隔操縦で解体、撤去の作業を行う無人化工法の実施が好ましい。また、制約された狭隘な空間での切断・解体の作業が可能で、しかも解体したコンクリートブロックを速やかに廃棄処理できる施工技術の開発が当面の課題となっている。
【0003】
上記課題の解決を目的とした従来技術として、例えば下記の特許文献1に記載された原子炉遮蔽壁の解体方法及び装置は、円筒形の原子炉遮蔽壁の内部へ上方のクレーンから解体装置を吊り込み解体する方法と認められる。具体的にはクレーンに水平に吊られたリング体に、放射方向外向きの押出部材を複数設けて、該押出部材の押し付け力でリング体を位置決め固定し、ガス或いはレーザーによる切断装置を稼働させつつ円周方向に移動させて切断を行うと説明されている。
しかし、ガス或いはレーザーによる切断装置の場合、不可能とまでは言わないが、壁厚が数10cmにも及ぶ原子炉遮蔽壁の切断を、工業上の利用に相応しい速度、効率で実施できるものか、及びガス或いはレーザーによる切断を可能にするのに必要、十分な能力の大型エネルギ供給装置を準備できるかが大いに懸念される。
しかも特許文献1には、原子炉遮蔽壁の内側から外側に向かって行う切断に伴って飛散するであろうコンクリートの粉塵を吸引するため、切断箇所の外周に予め吸引ダクトを仮設して、吸引装置で吸引できるようにすると説明されている。つまり、切断作業を開始するのに先立って、その都度に、作業員が原子炉遮蔽壁の切断箇所の外周へ立ち入り、予め吸引ダクトを仮設する作業を余儀なくされるから、放射線の被曝をしないように、できるだけ離れた位置からの遠隔操縦で解体、撤去の作業を行う目的は到底達し得ない。
【0004】
次に、下記の特許文献2に記載された原子炉遮蔽壁の切断装置および切断方法は、ワイヤーソーを利用する方式であるが、原子炉遮蔽壁に向けて床上の両側位置に走行レールを敷設し、ワイヤーソーを所望の切断高さに走行させる支柱及び支持柱の対を前記走行レール上に直立させて走行可能となし、少し離れた位置に設置したワイヤーソー駆動装置によりワイヤーソーを走行させつつ、前記支柱及び支持柱の対を原子炉遮蔽壁に向かって前進走行させて原子炉遮蔽壁を水平方向に輪切り状に切断する構成と認められる。
しかし、放射化された原子炉遮蔽壁の近隣へ立ち入り、床上高さが10mを超えるほどに大規模な装置を組み立て・設置し、そして、撤去するに際しては、作業員が放射線による被曝を伴うから、その稼働には大きな障害があると言わねばならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−159596号公報
【特許文献2】特開平8−194097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のとおり、原子炉遮蔽壁の切断による解体装置及び解体工法の従来技術は散見される。しかし、中性子の照射によって高度に放射化されている原子炉遮蔽壁の周辺に、作業員が放射線による被曝を受けることなく、十分遠隔位置からの操縦で解体、撤去を実現する無人化工法で、しかも狭隘な場所での切断、解体作業が可能で、しかも解体されたコンクリートブロックを速やかに廃棄処理できる施工技術の開発ないし実用化は、未だ実現できていない。
【0007】
本発明の目的は、主には原子炉遮蔽壁の切断による解体を意図しているが、同様な大小の壁構造体の切断及び解体に適用でき、全体の構造が小型で、組立、解体に要するスペースが小さくて済み、放射化領域の外又は壁構造体サイトの外で組み立てて簡単に搬入、設置ができ、基礎工や仮設の必要がなく、工期の短縮化を図れる切断装置および切断・解体方法を提供することである。
本発明の次の目的は、壁構造体の上端部へ取り付いた自立移動型の構成で、把持・固定の手段を備えて転倒等の危険がなく稼働時の安定性に富み、切断作業の動作や工程が単純で、遠隔操縦、自動化作業を実現する壁構造体の切断装置、および切断・解体方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る壁構造体の切断装置4は、
A)壁構造体3の上端へ跨り、同壁構造体3の面内方向へ移動可能で、壁構造体3の内外面を挟む一対のガイドマスト402、402を前後の両側に少なくとも2対備えた第一フレーム40と、前記第一フレーム40の上へ壁構造体3の面内方向へ移動可能に載り、壁構造体3の内外面を挟む一対のガイドマスト412、412を備えた第二フレーム41とで構成される。
B)前記第二フレーム41の一対のガイドマスト412、412に沿って周回する配置としたワイヤーソー47と、前記ワイヤーソー47を走行させる駆動装置48と、及びワイヤーソーの走行張力を調整する張力制御装置49が第二フレーム41に設置されている。
C)第一フレーム40の各ガイドマスト402、402、及び第二フレーム41の各ガイドマスト412、412の下部にそれぞれ、壁構造体3の内外面を挟み付けてその位置を固定する把持装置405が設けられている。
D)第一フレーム40と第二フレーム41との移動面間に、いずれか一方のフレームを前記ガイドマスト及び把持装置により壁構造体3の内外面へ位置を固定して、他方のフレームを壁構造体3の面内方向へ相対移動させる移送駆動装置45、46が設置されている。
E)第一フレーム40とその各ガイドマスト402、402の間、及び第二フレーム41とその各ガイドマスト412、412の間にそれぞれ、各ガイドマストを各フレームに対して上下方向へ移動させる昇降駆動装置415が設置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した壁構造体の切断装置4において、
第一フレーム40と第二フレーム41のいずれか一方のフレームを壁構造体3の面内方向へ相対移動させる移送駆動手段として、第一フレーム40又は第二フレーム41に若しくは双方のフレームに跨る構造で、壁構造体3の面内方向へいずれか一方のフレームを相対移動させるガイドレール構造403が設けられ、前記ガイドレール構造403の摺動面に、第一フレーム又は第二フレームの相対移動を案内する、垂直方向及び水平方向の回転軸を有する複数のガイド車輪42、43が第一フレーム又は第二フレームのいずれかに設置され、また、前記ガイドレール構造403の摺動面に沿って一方のフレームに被駆動部45が、他方のフレームには前記被駆動部を移動させる駆動手段46が設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載した壁構造体の切断装置4において、
第一フレーム40とその各ガイドマスト402、402の間、及び第二フレーム41とその各ガイドマスト412、412の間に上下方向へのガイドレール構造が形成され、前記ガイドレール構造に沿って各ガイドマストを上下方向へ移動させる昇降駆動手段415が第一フレーム及び第二フレームに設置されていることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、請求項1に記載した壁構造体の切断装置4において、
第一フレーム40及び第二フレーム41の各ガイドマストの下端部の把持装置405は、壁構造体3の内外面に向かって進退動作するジャッキ407と、同ジャッキの出力軸の先端部へ、壁構造体の内外面へ圧接されると大きい摩擦力を発生してその位置を固定できる摩擦ブロック406が取り付けられた構成であることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載した発明に係る壁構造体の切断・解体方法は、
a)壁構造体3の上端へ跨り、同壁構造体の面内方向へ移動可能で、両側に壁構造体の内外面を挟む一対のガイドマスト402、402を前後に少なくとも2対備えた第一フレーム40と、前記第一フレームの上へ壁構造体3の面内方向へ移動可能に載り、壁構造体の内外面を挟む一対のガイドマスト412を備えた第二フレーム41とを主要部とし、
b)前記第二フレーム41の一対のガイドマスト412、412に沿って周回する配置としたワイヤーソー47と、前記ワイヤーソーを走行させる駆動装置48と、及びワイヤーソーの走行張力を調整する張力制御装置49が第二フレームに設置され、
c)第一フレーム40の各ガイドマスト、及び第二フレーム41の各ガイドマストの下部にそれぞれ、壁構造体3の内外面を挟み付けてその位置を固定する把持装置405が設けられ、
d)第一フレーム40と第二フレーム41との移動面間に、いずれか一方のフレームを前記ガイドマスト及び把持装置により壁構造体3の内外面へ位置を固定して、他方のフレームを壁構造体3の面内方向へ相対移動させる移送駆動装置45、46が設置され、
e)第一フレーム40とその各ガイドマスト402の間、及び第二フレーム41とその各ガイドマスト412の間にそれぞれ、各ガイドマストを各フレームに対して上下方向へ移動させる昇降駆動装置415が設置された構成の切断装置4を使用すること、
f)壁構造体3の上端へ跨らせた前記第一フレーム40の各ガイドマスト402を下降させて壁構造体3を挟ませ、その後同ガイドマスト下端の把持装置405を前進駆動させて壁構造体3の内外面を挟み付ける位置決め固定を行い、
g)次に、第二フレーム41のワイヤーソー駆動装置48及び張力制御装置49を操縦してワイヤーソー47を周回走行させつつ、同第二フレーム41のガイドマスト412を下降させ又は上昇させて壁構造体3の垂直方向切断を行い、
h)或いは同第二フレーム41を第一フレーム40に対して水平方向へ相対移動させることにより壁構造体3の面内方向切断を行い、壁構造体3をブロック形状に又は輪切り形状の切断・解体を進めることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載した発明は、請求項5に記載した壁構造体の切断・解体方法において、
第一フレーム40に対して第二フレーム41を相対移動させつつワイヤーソー47により壁構造体3の面内方向の水平切断を進めて、その水平方向切断を継続する場合には、前進限位置の第二フレーム41における各ガイドマスト412の下端部に設置した把持装置405を前進駆動させて壁構造体の内外面を挟む位置決め固定を行い、その後、第一フレーム40の各ガイドマスト402の下端部に設置した把持装置405は後退駆動させて壁構造体の内外面を挟む位置決め固定を解除させ、しかる後に前記したように位置を固定した第二フレーム41に対して、第一フレームを壁構造体3の面内方向へ相対的な前進移動を行わせ、その前進ストローク限度の位置へ到達すると、先ず第一フレーム40の各ガイドマスト402の下端部の把持装置405を前進駆動させて壁構造体の内外面を挟む位置決め固定を行わせ、次いで第二フレーム41の各ガイドマスト412の把持装置405を後退駆動させて壁構造体の内外面を挟む位置決め固定を解除させ、再び第二フレーム41を前進させる相対移動を行わせつつワイヤーソーによる壁構造体の面内方向切断を続行することを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載した発明は、請求項5又は6に記載した壁構造体の切断・解体方法において、
第二フレーム41による壁構造体3の面内方向の切断を進めて同レベルの水平方向切断を終了し、次下段へ進むときは、先ず第二フレーム41のワイヤーソー駆動装置48及び張力制御装置49を操縦してワイヤーソー47の張力を緩め、各ガイドマスト412を壁構造体の内外面を挟む位置まで下降させた後、各々の下端部の把持装置405を前進駆動させて壁構造体の内外面を挟む位置決め固定を行わせ、
次いで第一フレーム40の各ガイドマスト下端部の把持装置405を後退駆動させて壁構造体の内外面を挟んだ位置決め固定を解除させ、しかる後に第一フレーム40とそのガイドマスト402及び第二フレーム41を次下段の切断位置にまで下降させ、
前記下降の後、第一フレーム40のガイドマスト402の下端部に設置した把持装置405を前進駆動させて壁構造体の内外面を挟む位置決め固定を行わせ、
しかる後に、前記第二フレーム41の各ガイドマスト下端の把持装置405を後退駆動させて壁構造体3の内外面を挟む位置決め固定を解除させ、
その後、第二フレーム41のワイヤーソー駆動装置48及び張力制御装置49を操縦してワイヤーソー47を周回走行させると共に、同第二フレーム41のガイドマスト412を下降させ、又は第一フレーム40に対して第二フレーム41を相対移動させてワイヤーソーによる壁構造体の垂直方向切断、及び/又は面内方向切断を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1〜4に記載した発明に係る壁構造体の切断装置4は、既往の例えば上記特許文献1、2に開示されたような大掛かりな切断装置に比すれば、すこぶる小型の構造でコンパクトな一体型に纏まった構成であるから、その組立又は分解に必要な作業スペースが小さくて済むし、壁構造体への設置も容易である。よって、例えば放射化された領域外で組立を行い、壁構造体3(原子炉遮蔽壁)の上端部へ吊り込み据え付けて使用することが可能であり、使い勝手に優れる。
しかも小型で簡易な構造であるから安価に製作でき、使用のトータルコストを低減化できる。また、運転操作も大部分を自動化でき、遠隔操縦に適するから、特に原子力発電所の高度に放射化された原子炉遮蔽壁3を切断し解体するような場合でも、放射化された領域内へ作業員が立ち入る必要度が少なくて済み、被曝の虞が少なく安全性の高い切断・解体の工事を進めることができる。
【0014】
本発明の切断装置4は、予め工事対象の壁構造体3の外部で組立を行い、完成した装置を吊り込む方式で壁構造体3の上端部へ跨る形に据え付けて使用でき、そのまま同壁構造体3を上から下に向かって順次に切断し解体を進める構成であるから、壁構造体の切断・解体工事のために切断装置4を稼働させる基礎工や仮設足場等を準備し架設する必要が一切無く、そうした準備のための手間を省け工期を短縮可能である。
本発明の切断装置4は、工事対象の壁構造体3の上端部へ跨る形に据え付けて使用され、同壁構造体に掴まり支持体として利用する構成で自立するから、作業時の安定度が高く、転倒等の危険がない。また、壁構造体3に沿ってその面内方向及び上下方向へ移動して切断作業を進める構成で、段取り替えの必要度が少ないから、切断・解体の実質工期も大幅に短縮可能である。勿論、工事終了後の撤去に要する手間も少なくて済み、工期の短縮に寄与する。
もとより、本発明の切断装置4は、上記の構成であるから、壁構造体3が大型であるか小型であるかの別なく等しく適用可能である。
【0015】
請求項5〜7に記載した発明に係る壁構造体の切断・解体方法は、上記構成の切断装置4を使用して実施するが、工事対象である壁構造体3の上端部へ切断装置4を跨らせる形に吊り込み据え付けると、以後は遠隔操縦により壁構造体に掴まりながら移動するので、同切断装置4を運転することによって、壁構造体3の切断・解体の工程を速やかに順次に効率よく進めることができる。したがって、原子力発電所の放射化された原子炉遮蔽壁3の解体を、作業者の被曝の虞の少ない内容で工事を行うことができる。
本発明の切断・解体方法は、壁構造体3の垂直方向の切断と、同壁構造体の面内方向への水平切断、或いは両者を組み合わせることにより一定角度の斜め方向切断や曲面状切断などを適宜に組み合わて切断・解体を自在に進めることができ、切断ブロックの形状と大きさ(縦・横の寸法)及び重量を、その後の処理に適切、且つ至便であるように切断作業を進めることができる。
したがって、大小様々な壁構造体3の切断・解体を効率よく短工期に実施することができ、切り出した切断ブロックは直ちに吊り出して後処理に回すことができ、特に原子力発電所の放射化された原子炉遮蔽壁の解体を、閉鎖空間内で二次汚染の生じない環境を保って安全に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る切断装置を原子力発電所の原子炉遮蔽壁へ吊り込み設置する状況を概念的に示した立面図である。
【図2】上記切断装置を原子炉遮蔽壁へ吊り込む状況を少し拡大して示した立面図である。
【図3】上記の切断装置がワイヤーソーで原子炉遮蔽壁を垂直下向きに切り込んだ状況を示す立面図である。
【図4】上記の切断装置を原子炉遮蔽壁の上へ吊り込み設置した状態を示した平面図である。
【図5】図4のa−a線矢視の断面図である。
【図6】図4のb−b線矢視に沿って水平方向切断の工程を示した断面図である。
【図7】上記の切断装置を少し拡大して示した平面図である。
【図8】図7の切断装置を第一フレームと第二フレームに分離して示した平面図である。
【図9】Aは図12Aのように第二フレームのガイドマストが上限位置に在る状態を垂直断面で示した断面図、Bは図6のb−b線矢視に沿って切断した断面図を示す。
【図10】AとBは切断装置の第二フレームが第一フレームに対し相対移動した前後の状態を示した平面図である。
【図11】Aは切断装置の第二フレームが第一フレームに対し相対移動する際の構造を図10のa−a線矢視に沿って示す断面図、Bは同じ視点で第一フレームが第二フレームに対し相対移動する際の構造をした断面図である。
【図12】A〜Eは図9Aの視点で切断装置の第二フレームのガイドマストが下降しつつ大型壁構造体をワイヤーソーで下向きに切断する過程を順に示した断面図である。
【図13】A、Bは、大型壁構造体の上端部へ設置した切断装置のワイヤーソーにより垂直下向き方向への切断を開始する直前状態を示した立面図とb−b線矢視断面図である。
【図14】A、Bは、大型壁構造体を切断装置のワイヤーソーにより垂直下向き方向の切断を下限まで進めた状態を示した立面図とb−b線矢視断面図である。
【図15】A〜Eは、上記図6に線分c2で示したように進んだ水平方向切断に続き、その終端位置(a−a線矢視位置)で大型壁構造体をワイヤーソーにより垂直上向きに切断する工程を順に示した断面図である。
【図16】A、Bは、上記図6のように大型壁構造体の面内方向へ水平な切断を一定ストローク進め、引き続き図15のように垂直上向き方向への切断を行ってブロック形状の切断・解体工程を完了した状態を示した立面図とb−b線矢視断面図である。
【図17】大型壁構造体を水平方向へ順次ブロック形状に切断・解体作業を進めて最終的に残った凸部分を切断装置のワイヤーソーにより面内方向へ水平に切断を進めて完結する状態を示した立面図である。
【図18】図17の工程に続いて次下段の切断、解体へ進むべく第一フレームと第二フレーム及び第一フレームのガイドマストを下降させ把持装置により固定した状態を示した立面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明による壁構造体の切断装置4は、壁構造体の上端へ跨り掴まって同壁構造体の面内方向へ移動可能で、壁構造体の内外面を挟む一対のガイドマスト402を前後の両側に少なくとも2対備えた第一フレーム40と、前記第一フレーム40の上へ壁構造体の面内方向へ移動可能に載り、壁構造体の内外面を挟む一対のガイドマスト412を備えた第二フレーム41とで構成する。
前記第二フレーム41の一対のガイドマスト412に沿って周回する配置としたワイヤーソー47と、前記ワイヤーソー47を走行させる駆動装置48と、およびワイヤーソー47の走行張力を調整する張力制御装置49を第二フレーム41に設置する。
第一フレーム40の各ガイドマスト402、および第二フレーム41の各ガイドマスト412の下部にそれぞれ、壁構造体の内外面を挟み付けてその位置を固定する把持装置405を設け、第一フレーム40と第二フレーム41との移動面間に、いずれか一方のフレームを前記ガイドマスト及び把持装置により壁構造体の内外面へ位置を固定して、他方のフレームを壁構造体の面内方向へ相対移動させる移送駆動装置45、46を設置する。
そして、第一フレーム40とその各ガイドマスト402の間、及び第二フレーム41とその各ガイドマスト412の間にそれぞれ、各ガイドマストを各フレームに対して上下方向へ移動させる昇降駆動装置415を設置して構成する。
【0018】
本発明による壁構造体の切断、解体方法は、上記構成のワイヤーソー方式による切断装置4を使用して実施する。
即ち、第一フレーム40の各ガイドマスト下端の把持装置405を前進駆動させて壁構造体の内外面へ位置決め固定し、第二フレーム41のワイヤーソー駆動装置48及び張力制御装置49を働かせてワイヤーソー47を走行させつつ、同第二フレーム41のガイドマスト412を下降又は上昇させて壁構造体の垂直方向切断を行う。
また、同第二フレーム41を第一フレームに対して水平方向へ相対移動させることにより壁構造体の面内方向への水平方向切断を行って、壁構造体をブロック形状に又は輪状に切断して解体を進める。
【実施例1】
【0019】
次に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
先ず図1〜図6は、大型壁構造体の一例である原子力発電所建屋1内の生体遮蔽コンクリート壁2の内部で原子炉を収納した原子炉遮蔽壁3を切断し解体する目的で、本発明の切断装置4を吊り込み、原子炉遮蔽壁3の上端へ据え付けて設置し同原子炉遮蔽壁3の切断・解体工事を進める準備段階と及び作業段階とを概念的に示している。
図1では、生体遮蔽コンクリート壁2の上端に設けられた運転操作階5において切断装置4の組立を行い、組み立てた切断装置4は、原子力発電所建屋1の天井部分に設けられている天井クレーン6のワイヤー6aで吊り、垂直な円筒形状で立つ原子炉遮蔽壁3の上端部へ吊り込む状況を示している。もとより工事が終了し用済みとなった切断装置4は、やはり天井クレーン6で吊り上げ、運転操作階5へ運んで解体し、原子力発電所建屋1の外へ搬出することになる。
【0020】
図4と図5は、前記切断装置4が、原子炉遮蔽壁3の規模に応じて複数台(図4、図5では2台)設置され、適度な間隔を開けて同時並行的に原子炉遮蔽壁3の切断・解体工事を進める状況を示し、図6は切断作業の進捗状況を示している。
因みに、原子炉遮蔽壁3の規模は大小様々であるが、一例を示すと円筒外径が6.6m、壁厚が80cm〜100cm程度である。
切断装置4の構成、作用については以下に詳しく説明する。
【0021】
先ず図7は、図4に示した大型壁構造体の一例である垂直な円筒形状に立つ原子炉遮蔽壁3を切断し解体する切断装置4の実施例は、その平面形状を原子炉遮蔽壁3の円弧に沿う弓形に構成されていることを示す。そして、図8は、前記切断装置4を構成する主要素の第一フレーム40と第二フレーム41とを分離し並列に並べて示している。
図9A、Bに示したように、上記第一フレーム40の主要部分は、工事対象である原子炉遮蔽壁3の壁厚とほぼ等しい幅寸法とされ、その前後の両端部には図7、図8のとおり、両側に平面視がほぼ三角形状の拡幅部401を対称形状に設け、各々に垂直な角孔を設けて、各角孔に角柱形状で等長のガイドマスト402が上下方向へ移動自在に貫通されている。また、第一フレーム40の上面には、図8及び図9A、Bに示したとおり、横断面がI形状のガイドレール部403が上向きに突設され、且つ長手方向の全長にわたり均等断面形状に形成されている。
【0022】
他方、第二フレーム41は、その主要部分が上記第一フレーム40の長手方向の長さに比して約1/3程度に短く形成されている。その幅寸法は上記第一フレーム40の幅寸と略等しい。そして、平面方向に見ると、長手方向の中央部両側に拡幅部411、411が左右対称形状に設けられ、各々に垂直な角孔が設けられ、各角孔に角管形状で等長のガイドマスト412が上下方向へ移動自在に貫通されている。左右2本のガイドマスト412、412の上端部は頭繋ぎ梁413により剛結して門形構造に一体化されている。
この第二フレーム41の下面には、図9A及び図11A、Bを見るとおり、上記第一フレーム40の上面に形成された断面がI形状のガイドレール部403の上へ嵌めて長手方向へ規制された移動を可能にする、略相似形のガイド溝部414が長手方向へ貫通状態に形成されている。このガイド溝部414を前記I形状のガイドレール部403の上へ少し隙間を有する関係に緩く嵌めて第一フレーム40と第二フレーム41とが組み合わされている。しかも長手方向への移動はガイドレール部403で規制された移動として行う構成とされている。
【0023】
一方、第二フレーム41には、上記ガイドレール部403に規制されて移動するガイド溝部414に沿う接触面の範囲に、詳しくは図11A、Bに見るとおり、水平な回転軸を有する走行用の下向きガイド車輪42と上向き車輪44、及び垂直な回転軸を有する横ぶれ防止車輪43とが要所要所に複数個設けられている。
その上で、上記第一フレーム40の上面に形成された断面I形状のガイドレール部403における一方の側面に駆動用としてのピンラック45が設けられ、このピンラック45と相対峙して噛み合うピニオン46が、第二フレーム41の側に垂直な回転軸で設置されている。更に図示の便宜上、その具体的な図示は省略したが、前記ピニオン46を回転駆動する原動機として、正・逆回転の運転が自在なモータが、第二フレーム41に設置されている。
【0024】
上記した構成に基づいて、後述するモータの正・逆回転の運転操作により、ピニオン46が正転、又は逆転駆動されることにより、第一フレーム40又は第二フレーム41のいずれか一方が、他方に反力を得て、上記断面I形状のガイドレール部403とガイド溝部414との組み合わせに基づいて規制されガイドされる移動として、ガイドレール部403の長手方向(原子炉遮蔽壁3の面内方向)へ前進、又は後退移動する。
【0025】
次に、図9Aに示した通り、第二フレーム41の上記ガイドマスト412、412と、これら左右2本のガイドマスト412、412の上端部を剛結した頭繋ぎ梁413とにより構築された門形架構に沿って、壁体の切断刃を備えたワイヤーソー47が周回しつつ走行するように設置されている。そして、前記頭繋ぎ梁413の上面部には、前記ワイヤーソー47を走行させる駆動装置48と、同ワイヤーソー47の走行時における張力の大きさを調整する張力制御装置49とを含むワイヤーソー切断装置が設置されている。
更に具体的に説明すると、先ず図7と図9及び図12に示す通り、第二フレーム41に設置した角管形状のガイドマスト412の上端及び下端の開口部へ臨む位置にガイドシーブ50が設置され、ワイヤーソー47は、前記の各ガイドシーブ50を経由することでガイドマスト412の中空部内を走行して周回運動する。そして、前記ワイヤーソー47が露出して走行する頭繋ぎ梁413の上面に、ワイヤーソー47を駆動して走行させる駆動装置48と、及び同ワイヤーソー47の走行時における張力の大きさを自在に調整する張力制御装置49とを含むワイヤーソー切断装置が設置されている。一方、前記ワイヤーソー47が左右2本のガイドマスト412、412の下端部のガイドシーブ50、50を経由して露出し走行する下辺部が、壁体の切断を実質進める切断部として構成されている。
【0026】
更に詳しい説明を続けると、上記ワイヤーソー方式の切断装置4を原子炉遮蔽壁3の上端部へ吊り込んだ際には、図9Bに示したように、予め第一フレーム40の四隅位置の各ガイドマスト402を十分下降させて深く跨らせ、更にガイドマスト402の下端の把持装置405で原子炉遮蔽壁3の内外面を挟み付けさせてその位置が固定される。
他方、第二フレーム41に設置した角管形状のガイドマスト412は、例えば図12Bに示したように、当初は予め上記ワイヤーソー47の張力を張力制御装置49により零に近く解除して緩め、同ガイドマスト412の下端を最深掘削予定位置にまで先行して下降させる。その上で、上記ワイヤーソー47の駆動装置48と張力制御装置49とを始動させて、ワイヤーソー47を周回走行させつつ、張力制御装置49によりワイヤーソー47の張力を次第に増大させる。かくすると、図12B〜Eに示した工程図のように、ワイヤーソー47は順次に所定の最深位置にまで垂直下向きの切断を行うことができる。
【0027】
ここで上記ガイドマスト402と412を昇降動作させる手段について説明する。
具体的構成を図示することを省略したが、図示した実施例の場合は、例えばガイドマスト412と第二フレーム41との接触部位である第二フレーム41の上面位置に、各ガイドマスト412を取り囲む配置と構成で昇降駆動装置415が設置されている。
この昇降駆動装置415は、例えば各ガイドマスト412の側面に沿って上下方向にラック歯又はウオームラックを設置し、第二フレーム41の側には前記ラック歯又はウオームラックと噛み合うピニオン又はウオームと、及びこれらを正・逆方向に回転駆動する原動機として例えば正・逆回転が自在な電動機を設置して構成される。或いは各ガイドマスト402、412と平行な配置に、第二フレーム41に反力をとった油圧シリンダ又は空圧シリンダを設置して昇降させる駆動装置を採用して実施することもできる。
【0028】
もっとも、壁体を所定の最深位置まで垂直下向きに直線的に切断する方法としては、次のような切断方法を実施することもできる。
第二フレーム41に設置した角管形状のガイドマスト412を上記の昇降駆動装置415により下降動作させる工程の以前に、2本のガイドマスト412、412間の下辺部に切断部として露出するワイヤーソー47が、切断対象の原子炉遮蔽壁3の上端面よりも高い位置に待機させる。その上で、先ず駆動装置48により駆動されて周回走行するワイヤーソー47の張力を張力制御装置49により予め必要十分な大きさにまで増大させ、設定した張力を保たせながら、ガイドマスト412を上記の昇降駆動装置415により垂直下向きに、予定の切削位置相当まで、所定の切断速度で下降動作させる。この方法によっても、原子炉遮蔽壁3の垂直下向きの切断を予定の深度まで進めることが可能である。もとより前記の方法と工程を逆に垂直上向きに進めることにより、壁体を垂直上向き方向に切断することもできる。
【0029】
ところで、上記図12A〜Eに示した切断工程では、張力制御装置49によりワイヤーソー47の張力を次第に増大させて壁体を垂直下向きに切断する際に必要な切断の反力を確保するため、及び当該切断装置4自体を原子炉遮蔽壁3上へ掴まらせた設置状態の安定性を確保する手段として、本発明ではガイドマスト402と412それぞれの下端部に設置した把持装置405が活用される。
即ち、上記図12A〜Eに示した切断工程を実施する場合には、図9Bと図13Aに示したように、第一フレーム40の各ガイドマスト402を原子炉遮蔽壁3の内外面に跨らせ、同ガイドマスト402の下端部に設置した把持装置405は、原子炉遮蔽壁3の内外面に向かって水平に前進駆動させて、同壁体の内外面を強く挟み付けた位置決め固定の状態にする。
この把持装置405の具体的構成については、明示的に詳しく図示することを省略したが、例えば9A、Bに示したように、油圧式又は電動式の進退自在なジャッキ407と、同ジャッキの出力軸の先端に取り付けた摩擦係数が大きい圧接ブロック406とで構成されている。
【0030】
再び 図12A〜Eに示す垂直下向きの切断作業の説明に戻る。図12の場合は、先ず切断装置4における第一フレーム40のガイドマスト402を、例えば図9B及び図13に示したように切断対象の壁体に跨らせ、且つ切断作業に必要な深さ位置にまで下降させた上で、上記の把持装置405を前進駆動させ、各圧接ブロック406が原子炉遮蔽壁3の内外面を強く挟み付けた位置決め固定の状態にする。一方、第二フレーム41のガイドマスト412については、その把持装置405を後退駆動させて固定解除の状態にする。
その上で、第二フレーム41のガイドマスト412を、図12Aに示す非切断位置、つまり、2本のガイドマスト412、412の下端部間に露出するワイヤーソー47の切断部が、切断対象の原子炉遮蔽壁3の上面よりも少し高い位置から下降させ、図12Bに示す位置、即ち、原子炉遮蔽壁3を垂直下向きに切断するべき最深相当位置にまで先行して下降させる。このときは予め張力制御装置49を制御して張力を解放させ、ワイヤーソー47は原子炉遮蔽壁3の上端へ接した状態を保ちつつ引き延ばせしつつガイドマスト412の下降を許容させる(図12B)。
上記図12Bの状態から、駆動装置48を始動してワイヤーソー47の周回走行を開始し、更にワイヤーソー47の張力度を次第に高めるように張力制御装置49を制御して、原子炉遮蔽壁3の下向き切断を予定の深さまで進める(図12C〜E)。このような垂直切断作業の経過を正面方向から示したのが、図13A、Bと図14A、Bに示す変化である。
【0031】
図12E及び図14A、Bに示したように、原子炉遮蔽壁3の下向き切断c1(図6の線分表示を参照)を予定の深さまで進めた後には、引き続き、図6に線分c2で示したように原子炉遮蔽壁3の面内方向への水平切断を進める。
この水平切断c2に際しては、図14A、Bのように、第二フレーム41のガイドマスト412が壁体の切断予定の最深位置まで下降した状態に位置決め固定されていることを前提として、次には図6に線分c2を示したように、駆動装置48を始動してワイヤーソー47の周回走行を行わせると共に、張力制御装置49は、ワイヤーソー47の張力を図12Eの直線状態を保つ大きさに制御して、同第二フレーム41及びガイドマスト412を一体の関係にして、前記姿勢を保持したまま第二フレーム41を原子炉遮蔽壁3の面内方向へ前進移動させて水平切断c2を進める。このとき第一フレーム40は、四隅位置のガイドマスト402における下端の把持装置405を働かせて位置を固定した状態を保つから、この第一フレーム40に支持され反力をとった第二フレーム41及びガイドマスト412は、相対移動して壁体の切断工程を確実に進める。
【0032】
上記した水平切断の状態(又は工程)を平面的に示したのが図10A、Bである。
上記したように、第一フレーム40はガイドマスト402の把持装置405の働きにより位置決め固定されて静止状態を保つのに対して、第二フレーム41およびガイドマスト412が相対移動して壁体の面内方向切断を進める。こうした面内方向切断を円滑に抵抗が少ない状態で実現する手段として、図11A、Bに示した走行移動機構が設けられている。
即ち、第二フレーム41及びガイドマスト412の総鉛直荷重は、複数個の走行用車輪42の転がりにより低抵抗に支持される。また、第二フレーム41の水平方向移動時の横ぶれは、垂直な回転軸を有する複数個の横ぶれ防止車輪43により規制される。そして、ガイドレール部403の側面に設けたピンラック45と、これに噛み合うピニオン46が図示省略の駆動用モータの遠隔制御により正・逆方向に回転駆動されるので、第二フレーム41(又は逆に第一フレーム40)の前進又は後進の移動が行われる。
このとき同時に、第二フレーム41における両サイドの2本のガイドマスト412、412に沿って周回走行するワイヤーソー47を駆動装置48により周回走行させることにより壁体の水平方向切断が進む。
【0033】
ところで、上記切断装置4による壁体の水平方向切断(面相方向切断)に関しては、図10Aに平面図で示した第二フレーム41のスタート位置Sから、図10Bに示す到着位置Tまでの移動距離が1ステップの切断ストロークとして実施される。
したがって、円筒形状の原子炉遮蔽壁3をその全周にわたり水平方向に輪切り状に切断する場合、又は図16に示したようにブロック形状の切断を進める場合に、水平方向長さLに対して、上記1ステップの切断ストロークが不足するときは、本発明の切断装置4における上記1ステップの切断ストロークを、いわゆる芋虫的動作により複数回繰り返して、切断長さを順次に延長して前記要求を満たすことができる。
【0034】
以下に、上記芋虫的動作による切断ストロークの延長方法について更に説明する。
図6及び図10Bに示したように、壁体の水平方向切断が、図10Aのスタート位置Sから始まり図10Bに示す到着位置Tへ到達したときは、駆動装置48によるワイヤーソー47の周回走行を一旦停止させる。
その後に、例えば図6のように前進した第二フレーム41の各ガイドマスト412、412の下端の把持装置405を前進駆動させ、原子炉遮蔽壁3の内外面に向かって前進した圧接ブロック406を同壁体の内外面へ両側から強く挟み付かせて位置決め固定を行う。これによって第二フレーム41は位置を固定された状態を保つから、次には第一フレーム40について、各ガイドマスト402、402の下端の把持装置405を後退駆動させ、その圧接ブロック406を原子炉遮蔽壁3の内外面から離間させて固定状態を解除し、移動自由な状態にする。
このときは図11Bに示したように、第一フレーム40のI形断面状のガイドレール部403は、第二フレーム41のガイド溝部414に設置された、水平な回転軸を持つ複数個の上向き車輪44により鉛直荷重を支持されてぶら下がり状態となる。また、垂直な回転軸を有する横ぶれ防止車輪43により長手方向への走行状態を規制される、所謂盛り替え状態となる。そこでガイドレール部403の側面に設けたピンラック45と噛み合うピニオン46を、図示省略の駆動用電動機を遠隔制御して前進方向へ回転駆動させる運転を行うことにより、今度は逆に第一フレーム40が、第二フレーム41に反力をとって前進移動してゆき、第二フレーム41が再び図10Aに示すスタート位置Sへ復帰したに等しい状態となるまで1ステップ分前へ進む。
【0035】
上記の前進段階に至ると再び、第一フレーム40の各ガイドマスト402、402の下端の把持装置405を前進駆動させ、その圧接ブロック406を原子炉遮蔽壁3の内外面へ圧接させ位置決め固定の状態にする。その後、第二フレーム41については逆に、各ガイドマスト412、412の下端の把持装置405を後退駆動させて位置決め固定状態の解除を行い、高さ位置を調整して再度、壁体の切断が可能な態勢に復旧させる。その後は再び、第二フレーム41を第一フレーム40に対して相対的に前進駆動させ、且つワイヤーソー47を周回走行させることにより、壁体の水平方向切断を続行できることは、容易に理解されるであろう。
【0036】
上記のようにして、図6に示す壁体の水平方向切断c2を予定の距離(長さ)まで行った後には、次に図16Aに示した壁体の垂直上向き切断c3を行うことにより、ブロック形状の切断と解体の目的を達成できる。前記壁体の垂直上向き切断c3の工程は、図15A〜Eに示すように実施することができる。図15A〜Eは、言わば図12A〜Eとは正反対の切断工程を示している。
そこで以下には、図15A〜Eに基づいて、壁体の垂直上向きの切断c3について簡単に説明する。
先ず図15Aは、図6に示したように、第二フレーム41の前進移動によりワイヤーソー47による壁体の水平方向切断c2が目的位置まで到達した段階を、図6中に指示したaーa線矢視に沿って切断した垂直断面として示している。
そこで図15Bは、原子炉遮蔽壁3の垂直上向き切断c3の準備として、ワイヤーソー47の張力制御装置49を遠隔操縦して同ワイヤーソー47の張力を零に近い状態まで解除した上で、第二フレーム41の各ガイドマスト412、412を昇降駆動装置415の遠隔操縦により原子炉遮蔽壁3の上面相当位置にまで上昇させた段階を示している。
図15Bはまた、各ガイドマスト412、412の下端側のガイドシーブ50が、少なくとも原子炉遮蔽壁3の上面よりも少し上方へ位置する高さまで上昇させた段階を示している。このとき第一フレーム40は、図6に基づいて説明した操作により、その各ガイドマスト402、402の下端の把持装置405は、圧接ブロック406が原子炉遮蔽壁3の内外面へ圧接されて強固に位置決め固定した状態に保たれている(図6、図9Bを参照)。
【0037】
上記図15Bの状態になった段階で、再び駆動装置48を始動させてワイヤーソー47の周回走行を開始させる。更に張力制御装置49を遠隔操縦して、同ワイヤーソー47の張力を次第に増大させると、図15C〜Eに切断の進行過程を示したように、壁体の垂直上向き切断c3が進行してゆき、完全な切断を達成できる。
【0038】
もっとも、上記12A〜Eに基づく壁体の垂直下向きの切断c1の際に既に説明しておいたが、壁体の垂直上向き切断c3の方法も、上記図15B〜Eの切断方法とは異なる、下記の切断方法を実施することができる。
即ち、図15Aの段階において、その状態のまま駆動装置48を始動させてワイヤーソー47の周回走行を開始させ、且つ張力制御装置49も遠隔操縦して同ワイヤーソー47の張力は図15Aの直線状態を保つ大きさに保持させたまま、第二フレーム41の各ガイドマスト402、402を昇降駆動装置415の遠隔操縦により、ゆっくりと壁体の切断速度に合わせて上昇させる。かくするとワイヤーソー47による壁体の垂直上向き方向の切断が進行して、遂には図15Eに示したように同壁体の上端面まで壁体の垂直上向きの切断c3の目的を達成することができる。
【0039】
上記図15A〜Eに基づいて説明した壁体の垂直上向き切断c3が行われると、その結果として、当該原子炉遮蔽壁3の一部は、図16Aに示したように切断装置4の遠隔操縦によりc1、c2、c3と3辺を切断したブロック形状の切り取りが達成され、解体の目的を一段落達成できたことになる。
因みに図17は、上記したブロック形状の切り取り・解体の工程を同一レベルで繰り返した結果、当該レベルの最終段階として残ったブロック形状の残存凸部3’を、最終的に切り取る作業要領を、既述した水平方向切断の手順と工程で実施する場合を示している。
【0040】
なお念のため、上記図17の切断が終了した後に、次の解体作業として、次下段への切断・解体へ進む要領を図18に示したので、簡単に説明する。
図17において、残存凸部3’を最終的に切断した後に、次下段の切断・解体へ進む手順としては、先ず第二フレーム41の各ガイドマスト412の下端に設置された把持装置405のジャッキ407を前進駆動させ、同ジャッキの出力軸先端に取り付けた圧接ブロック406を原子炉遮蔽壁3の内外面へ押し付けて強く挟ませた位置へ固定させる。
その上で、次には第一フレーム40の各ガイドマスト402の下端に位置する把持装置405のジャッキ407を後退駆動させて、同ジャッキの出力軸先端に取り付けた圧接ブロック406を原子炉遮蔽壁3の内外面から離間させて固定状態を解く。
しかる後に、同第一フレーム40およびその上に載った台にフレーム41を、各ガイドマスト402、412の昇降駆動装置415を操縦して、図18に示したように次下段の垂直下向き切断及び水平方向切断に必要な位置まで下降させる。その下降位置で、今度は第一フレーム40の各ガイドマスト402の下端に設置された把持装置405のジャッキ407を前進駆動させ、同ジャッキの出力軸先端に取り付けた圧接ブロック406を原子炉遮蔽壁3の内外面へ押し付けて強く挟ませた位置固定の状態にする。
その後に、第二フレーム41の各ガイドマスト412の下端の把持装置405のジャッキ407を後退駆動させ、同ジャッキの出力軸先端に取り付けた圧接ブロック406を原子炉遮蔽壁3の内外面から離間させて固定状態を解く。そして、例えば図12A〜Eに示した要領で原子炉遮蔽壁3の垂直下向きの切断c1を開始し、更には図6に示したように水平方向切断c2、垂直上向きの切断c3等々を繰り返し続行することになる。
【0041】
ここで再び図1の説明に戻る。本実施例は、原子力発電所建屋1内の放射化された原子炉遮蔽壁3の切断による解体を主たる目的としていることに鑑みると、原子炉遮蔽壁3を上記のように直方体形状のブロック形状に切り取りつつ解体する意義は、上記切断・解体後の最終処理工程として、切り取ったブロック片はそのまま直ちに、原子力発電所建屋1内の天井部に設備された天井クレーン6を遠隔操縦して、クレーンフックに予め取り付けた遠隔操縦が可能な自動式のチャック装置6a(具体的図示は省略)で掴ませ、例えば同原子力発電所建屋1内の運転操作階5の上にまで運び出し、同所に待機させた作業員や処理用設備機器類によって速やかに手順良く解体、廃棄処理の工程を進めることができ、安全性の高い解体・廃棄の処理を効率よく進めることができることを理解されたい。
したがって、上記した壁体の切断・解体の工程は、切り取ったブロックを天井クレーン6で運び出し、運転操作階5に待機させた作業員や設備機器類により、解体、廃棄処分の工程を進める上で適切な大きさに計画をして進めることになる。
【0042】
なお、以上の説明では、簡単の為に、壁体の切断・解体の工程は、壁体を直方体形状のブロック形状に切り取る場合についてのみ図示し説明したが、この限りではない。
切断・解体の対象である大型壁構造体の一例として例示した原子力発電所の原子炉遮蔽壁3の形態や現場の作業条件、付属機器類との関連などによっては、ブロック形状に切り取ることに限らず、次のような態様で実施することも可能である。
即ち、上記実施例で図16に基づいて説明した、垂直下向き方向の切断c1と、それに続く水平方向(壁体の面内方向)の切断c2を、原子炉遮蔽壁3を1周するように継続すると、いわゆる輪切り状の切断を行うことができる。
また、上記第二フレーム41による垂直下向きの切断操作と、及び同第二フレーム41の水平方向の移動に伴う水平方向(壁体の面内方向)の切断とを適宜に組み合わせる操作を行うことにより、水平面(又は垂直面)に対して一定の角度を有する傾斜面状、又は曲面状の切断も、必要に応じて上記実施例と同様の操作を通じて行うことができる。
【0043】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、もとより本発明は図示実施例の構成と操作方法、切断方法に限定されるものではない。いわゆる当業者が必要に応じて行うであろう設計変更その他の応用、改変の範囲まで含み、多様に実施できることを念のため申し添える。
【符号の説明】
【0044】
4 切断装置
3 壁構造体(原子炉遮蔽壁)
402 ガイドマスト
40 第一フレーム
41 第二フレーム
412 ガイドマスト
47 ワイヤーソー
48 駆動装置
49 張力制御装置
405 把持装置
415 昇降駆動装置
403 ガイドレール構造
42、43 ガイド車輪
45 被駆動部(ピンラック)
46 駆動手段(ピニオン)
407 ジャッキ
406 摩擦ブロック


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)壁構造体の上端へ跨り、同壁構造体の面内方向へ移動可能で、壁構造体の内外面を挟む一対のガイドマストを、前後の両側に少なくとも2対備えた第一フレームと、前記第一フレームの上へ壁構造体の面内方向へ移動可能に載り、壁構造体の内外面を挟む一対のガイドマストを備えた第二フレームとで構成され、
B)前記第二フレームの一対のガイドマストに沿って周回する配置としたワイヤーソーと、前記ワイヤーソーを走行させる駆動装置と、及びワイヤーソーの走行張力を調整する張力制御装置が第二フレームに設置されており、
C)第一フレームの各ガイドマスト、及び第二フレームの各ガイドマストの下部にそれぞれ、壁構造体の内外面を挟み付けてその位置を固定する把持装置が設けられており、
D)第一フレームと第二フレームとの移動面間に、いずれか一方のフレームを前記ガイドマスト及び把持装置により壁構造体の内外面へ位置を固定して、他方のフレームを壁構造体の面内方向へ相対移動させる移送駆動装置が設置され、
E)第一フレームとその各ガイドマストの間、及び第二フレームとその各ガイドマストの間にそれぞれ、各ガイドマストを各フレームに対して上下方向へ移動させる昇降駆動装置が設置されていることを特徴とする、壁構造体の切断装置。
【請求項2】
第一フレームと第二フレームのいずれか一方のフレームを壁構造体の面内方向へ相対移動させる移送駆動装置として、第一フレーム又は第二フレームに若しくは双方のフレームに跨る構造で、壁構造体の面内方向へいずれか一方のフレームを相対移動させるガイドレール構造が設けられ、前記ガイドレール構造の摺動面に、第一フレーム又は第二フレームの相対移動を案内する、垂直方向及び水平方向の回転軸を有する複数のガイド車輪が第一フレーム又は第二フレームのいずれかに設置され、また、前記ガイドレール構造の摺動面に沿って一方のフレームに被駆動部が、他方のフレームには前記被駆動部を移動させる駆動手段が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載した壁構造体の切断装置。
【請求項3】
第一フレームとその各ガイドマストの間、及び第二フレームとその各ガイドマストの間に上下方向へのガイドレール構造が形成され、前記ガイドレール構造に沿って各ガイドマストを上下方向へ移動させる昇降駆動手段が第一フレーム及び第二フレームに設置されていることを特徴とする、請求項1に記載した壁構造体の切断装置。
【請求項4】
第一フレーム及び第二フレームの各ガイドマストの下端部の把持装置は、壁構造体の内外面に向かって進退動作するジャッキと、同ジャッキの出力軸の先端部へ、壁構造体の内外面へ圧接されると大きい摩擦力を発生してその位置を固定できる摩擦ブロックが取り付けられた構成であることを特徴とする、請求項1に記載した壁構造体の切断装置。
【請求項5】
a)壁構造体の上端へ跨り、同壁構造体の面内方向へ移動可能で、両側に壁構造体の内外面を挟む一対のガイドマストを前後に少なくとも2対備えた第一フレームと、前記第一フレームの上へ壁構造体の面内方向へ移動可能に載り、壁構造体の内外面を挟む一対のガイドマストを備えた第二フレームとを主要部とし、
b)前記第二フレームの一対のガイドマストに沿って周回する配置としたワイヤーソーと、前記ワイヤーソーを走行させる駆動装置と、及びワイヤーソーの走行張力を調整する張力制御装置が第二フレームに設置され、
c)第一フレームの各ガイドマスト、及び第二フレームの各ガイドマストの下部にそれぞれ、壁構造体の内外面を挟み付けてその位置を固定する把持装置が設けられ、
d)第一フレームと第二フレームとの移動面間に、いずれか一方のフレームを前記ガイドマスト及び把持装置により壁構造体の内外面へ位置を固定して、他方のフレームを壁構造体の面内方向へ相対移動させる移送駆動装置が設置され、
e)第一フレームとその各ガイドマストの間、及び第二フレームとその各ガイドマストの間にそれぞれ、各ガイドマストを各フレームに対して上下方向へ移動させる昇降駆動装置が設置された構成の切断装置を使用すること、
f)壁構造体の上端へ跨らせた前記第一フレームの各ガイドマストを下降させて壁構造体を挟ませ、その後同ガイドマスト下端の把持装置を前進駆動させて壁構造体3の内外面を挟み付ける位置決め固定を行い、
g)次に、第二フレームのワイヤーソー駆動装置及び張力制御装置を操縦してワイヤーソーを周回走行させつつ、同第二フレームのガイドマストを下降させ又は上昇させて壁構造体の垂直方向切断を行い、
h)或いは同第二フレームを第一フレームに対して水平方向へ相対移動させることにより壁構造体3の面内方向切断を行い、壁構造体をブロック形状に又は輪切り形状の切断・解体を進めることを特徴とする、壁構造体の切断・解体方法。
【請求項6】
第一フレームに対して第二フレームを相対移動させつつワイヤーソーにより壁構造体の面内方向の水平切断を進めて、その水平方向切断を継続する場合には、前進限位置の第二フレームにおける各ガイドマストの下端部に設置した把持装置を前進駆動させて壁構造体の内外面を挟む位置決め固定を行い、その後、第一フレームの各ガイドマストの下端部に設置した把持装置は後退駆動させて壁構造体の内外面を挟む位置決め固定を解除させ、しかる後に前記のように位置を固定した第二フレームに対して、第一フレームを壁構造体の面内方向へ相対的な前進移動を行わせ、その前進ストローク限度の位置へ到達すると、先ず第一フレームの各ガイドマストの下端部の把持装置を前進駆動させて壁構造体の内外面を挟む位置決め固定を行わせ、次いで第二フレームの各ガイドマストの把持装置後退駆動させて壁構造体の内外面を挟む位置決め固定を解除させ、再び第二フレームを前進させる相対移動を行わせつつワイヤーソーによる壁構造体の面内方向切断を続行することを特徴とする、請求項5に記載した壁構造体の切断・解体方法。
【請求項7】
第二フレームによる壁構造体の面内方向の水平切断を進めて、同レベルの水平方向切断を終了し、次下段へ進むときは、先ず第二フレームのワイヤーソー駆動装置及び張力制御装置を操縦してワイヤーソーの張力を緩め、各ガイドマストを壁構造体の内外面を挟む位置まで下降させた後、各々の下端部の把持装置を前進駆動させて壁構造体の内外面を挟む位置決め固定を行わせ、
次いで第一フレームの各ガイドマスト下端部の把持装置を後退駆動させて壁構造体の内外面を挟んだ位置決め固定を解除させ、しかる後に第一フレームとそのガイドマスト及び第二フレームを次下段の切断位置にまで下降させ、
前記下降の後、第一フレームのガイドマストの下端部に設置した把持装置を前進駆動させて壁構造体の内外面を挟む位置決め固定を行わせ、
しかる後に、前記第二フレームの各ガイドマスト下端の把持装置を後退駆動させて壁構造体の内外面を挟む位置決め固定を解除させ、
その後、第二フレームのワイヤーソー駆動装置及び張力制御装置を操縦してワイヤーソーを周回走行させると共に、同第二フレームのガイドマストを下降させ、又は第一フレームに対して第二フレームを相対移動させてワイヤーソーによる壁構造体の垂直方向切断、及び/又は面内方向切断を行うことを特徴とする、請求項5又は6に記載した壁構造体の切断・解体方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−31629(P2012−31629A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171567(P2010−171567)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000230940)日本原子力発電株式会社 (130)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】