説明

壁紙糊付機

【課題】内装施工作業者によって使用する糊の粘度がまちまちであったり、壁紙糊付機を設置する場所が微妙に傾斜したりして、糊が少なくなったと検出する糊量に誤差を生じてしまっていた。また、内装施工作業者によって、好みの糊量で検出させたいと要望されていても内装施工作業者の好みの糊量で警報を出すという調整はできなかった。
【解決手段】糊箱を支持する位置や、糊箱の脚部の高さを調整する機構を設け、糊箱載置時に複数の糊箱支持部にそれぞれにかかっていた荷重を変化させることにより、糊箱の重量が一定重量以下に軽くなったこと、或いは一定重量以上に重くなったことを検出する重量検出部にかかる糊箱の荷重を変更し、重量検出部の検出を予め定められた検出値から調整可能とする壁紙糊付機を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁紙糊付機に関して、糊を含む糊箱の重量の変化を検出し、予め定められた一定重量以下に軽くなったこと、或いは一定重量以上に重くなったことを検出して、糊切れ警報を出す手段を有する壁紙糊付機において、複数の糊箱支持部が糊箱を支える高さを微調整して、荷重検出部にかかる荷重を変えることにより、糊切れを検出する時の、糊を保持した糊箱の重量を増減させる技術である。
【背景技術】
【0002】
図3は壁紙糊付機を、その糊箱を装着した状態の壁紙糊付機を側面(荷重検出部がある側)から見た図である。糊箱は図2に示すような形状の糊箱桶部(アルミの押しだし成形や、ステンレスの板曲げ等の方法で作られる)の左右端を糊箱側板で蓋をして、その内部に糊を保持することができる構造である。糊箱の内部には、糊箱の中に保持された糊を糊付ローラーに転写させる働きをする糊上げローラーが着脱自在に設けられている。この糊上げローラーは左右に軸を有し、糊箱側板に設けた軸受け(図示せず)により軸支されている。この糊上げローラーの片端には歯車が設けられており、糊箱を壁紙糊付機に装着した時にこの歯車が糊付ローラーの歯車とかみ合い、糊付ローラーの回転が伝達されることにより回転する。図3の矢印の方向に回転する。また、この糊上げローラーは、糊箱を洗う際には簡単に軸受から取り外せる様になっている。
【0003】
壁紙糊付機において、その糊箱の中の糊の荷重を計ることにより、糊切れ状態であることを検出して内装施工作業者に知らせる機能を有したものがある。これは、荷重検出部あるいは、これからの信号を受けて糊切れ状態を判定する制御部に予め定められた「しきい値」(壁紙糊付機を組立てて工場出荷の際に定められている固定値)と、今現在の荷重検出部にかかってる荷重とを比較して、荷重がしきい値より、少なくなった時に、糊が少なくなっているという警告を出す様になっている。
【0004】
この荷重検出部には、バネとリミットスイッチの組み合わせを使用しているものや、バネと近接スイッチの組み合わせを使用しているものや、圧力(感圧)センサーを使用しているものがある。
【0005】
バネとリミットスイッチの組み合わせを使用しているものや、バネと近接スイッチの組み合わせを使用している荷重検出部では、そのしきい値はバネ定数で定まるものであり、圧力(感圧)センサーを使用している荷重検出部では、圧力(感圧)センサーが荷重で歪む量に比例した抵抗値、あるいは電圧値で定まるものである。
【特許文献1】実用新案登録第2606438号公報
【特許文献2】特開平6−206028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した背景技術では内装施工作業者個々の要求を満足できるレベルにまでは至っていなかった。
【0007】
その課題の第1には、内装施工作業者によって、糊付する糊の濃度がまちまちであるということである。すなわち、壁紙の種類などにより、糊に対して加える水の量を変え糊の濃度、すなわち糊の粘度を変えることが多いのである。濃い糊の場合は、12000mPa・S程度となっており、薄い糊の場合は2000mPa・Sである。この粘度の違いにより、壁紙糊付機の動作中における糊箱内部で糊の片寄り方が異なり、荷重検出部にかかる荷重が変わるために、壁紙糊付機を組み立てて工場出荷の際に定められているしきい値で判定しても、その判定に誤差を生じてしまうことである。すなわち、ある内装施工作業者においては、もう少し早く糊が少なくなったことを警報してもらいたいというケースや、それとは逆に警報が出るのが早すぎるということとなってしまっていたのである。
【0008】
壁紙糊付機を動作させて壁紙に糊を塗布するために複数のローラーが回転する時には、糊上げローラーに付着して持ち上げられた糊が、糊付ローラーに転写されて、糊付ローラーから壁紙の裏面に塗布される。この時、糊上げローラーに付着して持ち上げられる糊の厚みは、糊の粘度が高いほど分厚く、糊の粘度が低いほど薄くなるのであるが、いずれの場合も、糊付ローラーと糊上げローラーの隙間程度の厚みしか通過できず、通過できなかった糊は糊箱へ戻ることになる。
【0009】
隙間を通過した糊は、更に、調整されたドクターローラー(6a)と糊付ローラー(6)の隙間によって塗布する糊量、すなわち糊の厚みをさらに調整して、このドクターローラー(6a)と糊付ローラー(6)の隙間を通過した厚み分から壁紙の裏面へ塗布される。このドクターローラー(6a)と糊付ローラー(6)の隙間を通過しなかった糊は糊上ローラー(5)左側(図3参照)に戻ることになるので、左側の糊が無くなってしまうことはないが、糊上ローラー(5)の回転による糊の移動で左側と右側の糊面位置の高さの差が生じる。この差は、糊の粘度が高いほど大きい。水の様にほとんど粘性がないものであれば、この糊面位置の高さの差はほとんど生じない。
【0010】
通常、この糊上げローラーと糊付ローラーとの隙間は、約1.0mm程度に設定されているが、ドクターローラーと糊付ローラーの隙間は、壁紙の種類の違いや、糊の特性の違いにより、約0.05mmから約1.0mmまでの範囲で内装施工作業者が調整して糊付作業を行っている。
【0011】
第2の課題は、糊付作業をする時に、壁紙糊付機を建築途中の住宅の部屋の中や、ガレージなどに設置して使用するが、水準器を当てて厳密な水平を出して作業する内装施工作業者はほとんどいない。そのため、設置場所(床、地面)の傾きによって、荷重検出部にかかる荷重が変わるので、壁紙糊付機を組み立てて工場出荷の際に定められているしきい値で判定しても誤差を生じてしまうことである。
【0012】
第3の課題は、糊を供給する為の糊ポンプと連動して、自動で糊を補充する内装施工作業者や、柄杓を手で持って手作業で補充する内装施工作業者があり、糊が無い、と判定したい状態の糊残量が個々の内装施工作業者の好みによって異なることである。
【0013】
これらの課題を解決する為には、荷重検出部、及び、これを受ける制御部が糊切れ状態か、否かを判定する基準となるしきい値を、内装施工作業者が現場の設置状況や、糊の粘度の違いにより設定変更できる様にするべきであるが、バネとリミットスイッチの組み合わせで使用しているものや、バネと近接スイッチの組み合わせで使用している荷重検出部においては、そのバネ定数を可変する方法、あるいは、複数のリミットスイッチ、及び近接スイッチを使用して複数のしきい値を持ち、状況により選択使い分ける方法があるが、荷重検出部自体が大きくなってしまったり、壁紙糊付機の糊箱底面近傍の小さい空間において使い分けのために複数のスイッチを付け外しすることがし難いという理由があり製品化されていなかった。
【0014】
また、糊箱は大量生産した場合に、アルミの押し出し成形や、ステンレスの板曲げ等の方法で作られる桶部には微妙なソリが生じたりする。そしてまた、微妙なソリが発生した桶部に糊箱側板をリベット等で固定したときには、微妙なズレが生じて糊箱の脚部の上下方向の位置が1mm以下のばらつきではあるが糊箱毎に異なり、その結果荷重検出部にかかる荷重が異なってしまってもいた。
【0015】
また、圧力(感圧)センサ式の荷重検出部においては、荷重変化に比例して発生する抵抗値変化、あるいは、電圧値変化の分解能が細かく、かつ、幅広い領域の荷重変化に追従でき、かつ、壁紙糊付作業現場の四季の温度変化の中でも常に安定してウォーミングアップの必要がなく正確に測定できるものを用いて、複数のしきい値を持たせて、状況により選択使い分ける方法や、デジタル体重計の上に予め重量の判った重りを載せてゼロリセットスイッチを押すという方式の様にして、測定重量値にオフセットを持たせるというような方法もあるが、この様な圧力センサは高価で、壁紙糊付機には採用し難い価格であるために採用されていない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1は、糊等の内容物を含む糊箱の重量が予め定められた一定重量以下に軽くなったこと、或いは一定重量以上に重くなったことを検出する重量検出部を有する壁紙糊付機において、糊箱を支持する部材を複数有する壁紙糊付機であって、複数の糊箱を支持する部材の少なくとも1つには、糊箱を支持する位置を高さ方向に調整する機構を有し、糊箱を支持する位置を高さ方向に調整する上記機構を調整することにより、糊箱載置時に複数の糊箱支持部にそれぞれにかかっていた荷重配分を変化させて、糊箱の重量が一定重量以下に軽くなったこと、或いは一定重量以上に重くなったことを検出する重量検出部にかかる糊箱の荷重を調整し、重量検出部における検出重量を予め定められた検出値から調整可能とすることを特徴とする壁紙糊付機としている。
【0017】
本発明の壁紙糊付機は、例えば、構造が単純で、小さくて、安価な、圧力(感圧)センサ、または、バネとリミットスイッチの組み合わせや、バネと近接スイッチの組み合わせで、糊切れ状態か否かを判定する基準となるしきい値は固定値のままで可変できない重量検出部を用いながら、糊箱を下から支える複数の糊箱支持部を設けて、その支持部のうちの少なくとも1つが、糊箱を支える高さを微調整できることにより、それぞれの糊箱支持部と重量検出部に分配してかかる重量の配分を変えることにより、糊箱の重量が一定重量以下に軽くなったこと、或いは一定重量以上に重くなったことを検出する重量検出部にかかる糊箱の荷重を調整し、重量検出部における検出重量を予め定められた検出値から調整可能である構成となっているのである。
【0018】
そして、この糊箱を支持する位置を高さ方向に調整できる機構としては、糊箱支持部にネジなどの安価な部材を配設した構成とし、糊付作業現場で内装施工作業者が簡単に調整できる壁紙糊付機として提供することができる。
【0019】
本発明の請求項2は、上記糊箱を支持する位置を高さ方向に調整する機構は、壁紙糊付機を動作させたときに、糊箱内の糊が糊上ローラーの回転によって片寄る側に設けたことを特徴とする請求項1記載の壁紙糊付機としている。
【0020】
図3及び図4に示すように壁紙糊付機の動作させたときには、糊が粘性によって片寄るのであるが、この片寄る側に糊箱を支持する位置を高さ方向に調整する機構を設けているために、それぞれの糊箱支持部と重量検出部に分配してかかる重量の配分が調整しやすくできるのである。
【0021】
本発明の請求項3は、4つの糊箱の支持部が糊箱四隅近傍にそれぞれ設けられた壁紙糊付機であって、糊付機が動作している時に糊箱内の糊が片寄る側の一方の端部に重量検出部を設け、上記重量検出部のある側の端部又は重量検出部の無い側の端部の少なくとも一方に糊箱を支持する位置を高さ方向に調整する機構を設けていることを特徴とする請求項1記載の壁紙糊付機としている。
【0022】
請求項3においては、糊箱を支持する四隅近傍で、糊付機の動作で糊が片寄る側の2箇所のうちの一方の端部に重量検出部を設け、重量検出部のある側の端部と重量検出部の無い側の端部の少なくとも一方に糊箱を支持する位置を高さ方向に調整する機構を設けている構造としている。この構造により、それぞれの糊箱支持部と重量検出部に分配してかかる重量の配分が調整しやすくでき、糊が片寄る側で重量の検出を確実に行うことができるのである。
【0023】
本発明の請求項4は、糊箱の重量が予め定められた一定重量以下に軽くなったこと、或いは一定重量以上に重くなったことを検出する重量検出部を有する壁紙糊付機において、糊箱を支持する部材を複数有する壁紙糊付機であって、 糊箱には支持される部材に載置する位置には、糊箱脚部を有し、上記糊箱脚部の少なくとも1つには、糊箱の脚部の高さを高さ方向に調整する機構を有し、糊箱の脚部の高さを高さ方向に調整する上記機構を調整することにより、糊箱載置時に複数の糊箱支持部にそれぞれにかかっていた荷重配分を変化させて、糊箱の重量が一定重量以下に軽くなったこと、或いは一定重量以上に重くなったことを検出する重量検出部にかかる糊箱の荷重を調整し、重量検出部における検出重量を予め定められた検出値から調整可能とすることを特徴とする壁紙糊付機としている。
【0024】
本発明の請求項4では、糊箱の脚部の高さを高さ方向に調整する機構を糊箱脚部の少なくとも1つに設けた構成としている。糊箱支持部ではなく糊箱脚部に高さ方向に調整する機構を設けて、請求項1乃至請求項3と同様に糊箱支持部と重量検出部に分配してかかる重量の配分が調整しやすい構成としている。
【0025】
本発明の請求項5は、上記糊箱脚部の高さを高さ方向に調整する機構は、壁紙糊付機を動作させたときに、糊箱内の糊が糊上ローラーの回転によって片寄る側に設けたことを特徴とする請求項1記載の壁紙糊付機としている。
【0026】
本発明の請求項5では、糊箱脚部の高さを高さ方向に調整する機構を、壁紙糊付機を動作させたときに、糊箱内の糊が糊上ローラーの回転によって片寄る側に設けたことにより、荷重がかかる側で糊箱支持部と重量検出部に分配してかかる重量の配分調整を行うことが出来る構成としている。
【発明の効果】
【0027】
第1の課題である、糊付する糊の粘度がまちまちであり、この粘度の違いにより、壁紙糊付機の動作中における糊箱内部で糊の片寄り方が異なり、荷重検出部にかかる荷重が変わるために、壁紙糊付機を組み立てて工場出荷の際に定められているしきい値で判定しても、その判定に誤差を生じてしまうことについては、糊箱支持部と重量検出部に分配してかかる重量の配分調整を行うことが出来る構成とすることにより、内装施工作業者が所望する糊の残量で荷重検出部において検出できるように調整することで解決ができる。
【0028】
第2の課題は、糊付作業をする時に、壁紙糊付機を建築途中の住宅の部屋の中や、ガレージなどに設置して使用するが、水準器を当てて厳密な水平を出して作業する内装施工作業者はほとんどいないため、設置場所(床、地面)の傾きによって、荷重検出部にかかる荷重が変わることについては、内装施工作業者自身が、目で見ておおよそ水平の状態で、糊付機制御部が糊切警報ランプを点灯させるか、消灯させるかの判定をするしきい値と重量検出部にかかる荷重を一致させるように調整することにより解決することができる。
【0029】
第3の課題は、糊を供給する為の糊ポンプと連動して、自動で糊を補充する内装施工作業者や、柄杓を手で持って手作業で補充する内装施工作業者があり、糊が無い、と判定したい状態の糊残量が個々の内装施工作業者の好みによって異なることについては、内装施工作業者自身が、糊切れ寸前だ、と壁紙糊付機に認識させたい量の糊を糊箱に入れた状態で、糊付機制御部が糊切警報ランプを点灯させるか、消灯させるかの判定をするしきい値と一致させるように重量検出部にかかる荷重を調整することにより解決することができる。
【0030】
そしてさらに、3つの課題を解決できる高さ調整可能な支持部を、ネジ類などの安価な部材で構成することにより、使い勝手がよく、省スペースで糊箱底面近傍に装着でき、かつ価格も安価で、内装施工作業者個々の要求を満足できるレベルの壁紙糊付機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明においては、荷重検出部に対してかかる荷重の配分を変更するような壁紙糊付機とする。その実施形態として実施例1から実施例5に糊箱の支持部または糊箱の脚部に、高さ調整機構を設けて荷重配分を調整できるようにした壁紙糊付機の実施例を説明する。
【実施例1】
【0032】
図1は糊箱(4)を装着した状態の、本発明の壁紙糊付機(1)の全体の斜視図である。図2は本発明の糊箱(4)の全体の斜視図である。糊箱桶部(11)の左右端に糊箱側板(10)を設けて、糊(3)を溜める構造になっている。この糊箱側板(10)は、左右勝手反対の形状であり、例えばアルミダイカストで製造している。またこの糊箱側板(10)には糊箱前脚(8)とガイドレール(9)がアルミダイカストで成型で設けている。本実施例の糊箱(4)は、図2で示す左側の糊箱前脚(8),(8)とガイドレール(9),(9)の4つの支持受け部を設けている。
【0033】
糊箱桶部(11)は、アルミの押出成型などで製造し、糊箱側板(10),(10)には、糊上ローラ軸受(図示せず)を設けて糊上ローラ(5)が着脱自在に軸支されている。
【0034】
図3は糊箱(4)を装着した状態での、荷重検出部A(7)を配置した側の断面図である。支持部3(12)により図2における左側の糊箱前脚(8)を支持し、支持部1(13)により左側のガイドレール(9)を支持している。
【0035】
図4は荷重検出部A(7)を配置していない側の断面図である。支持部4(15)により図2における右側の糊箱前脚(8)を支持し、支持部2(14)により右側のガイドレール(9)を支持している。
【0036】
図2の上向き矢印は、糊箱(4)を壁紙糊付機(1)に装着した時の、4つの支持部が糊箱(4)を下から支える力を示している。上向き矢印(17)は支持部1(13)が支える力を示し、上向き矢印(18)は支持部2(14)が支える力を示し、上向き矢印(16)は支持部3(12)が支える力を示し、上向き矢印(19)は支持部4(15)が支える力を示している。糊箱の4隅近傍がそれぞれ支持されているのである。
【0037】
糊上げローラー(5)を装着した状態の糊箱の重量は約4Kg程度あり、糊は満ぱいまで入れると約10Kg程度入り、この時の総重量は約14Kg程度であり、1つの支持部には総重量の約四分の一の荷重がかかっている。
【0038】
支持部1(13)と支持部2(14)は、糊箱(4)を壁紙糊付機(1)に装着した時に、糊上ローラー(5)と糊付ローラー(6)との隙間が約1.0mmになる高さで固定している。これは工場で壁紙糊付機(1)を組立てる時に調整しており、この間隔についてはよほどのことが無い限りユーザーが調整する必要はない。支持部3(12)には荷重検出部A(7)を設けており、荷重検出部A(7)自体が糊箱(4)を支持する役割も兼ねている。
【0039】
図5に、支持部3(12)に設けた、糊箱(4)の糊が軽くなったことを検出する為の、荷重検出部A(7)の構造を示す。ベース板(25)に設けた支点(21)に荷重受けアーム(24)が上下に動く様に軸支されており、バネA(22)により上方へ付勢されている。また、荷重受けアーム(24)の上面には支持部3(12)の役割を兼ねる突起(20)を設けてもいる。この突起(20)の頂点が糊箱(4)左側前脚(8)の裏面に当接する。そしてまた、ベース板(25)の片端は上面に向けて曲げられており、ここに下向きにリミットスイッチA(23)を取り付けている。
【0040】
図5(a)は、支持部3(12)の役割を兼ねる突起(20)にかかる荷重が軽い場合の状態を示しており、この時バネA(22)は、荷重受けアーム(24)を上方へ押し上げた状態となっている。そして、荷重受けアーム(24)がリミットスイッチA(23)に当接して、リミットスイッチA(23)はON(接点閉)している状態を示している。
【0041】
図5(b)は、支持部3(12)の役割を兼ねる突起(20)にかかる荷重が重い場合の状態を示しており、この時バネA(22)は荷重を受けて縮んだ状態となり、荷重受けアーム(24)が、リミットスイッチA(23)から離れて、リミットスイッチA(23)はOFF(接点開)している状態である。
【0042】
壁紙糊付機(1)には、糊付けする壁紙の長さをセットしたり、壁紙糊付機(1)を操作する為の表示操作部(26)があり、この表示操作部(26)には、糊(3)が有る状態か、無い状態かを内装施工作業者に知らせる為の糊切警報ランプ(図示せず)、及びブザー(図示せず)が設けられている。壁紙糊付機(1)を制御する糊付機制御部(図示せず)が荷重検出部A(7)のリミットスイッチA(23)からの信号を受けて、糊切警報ランプを消灯させたり、点灯させたり、またブザーを動作させたりして糊量の状態を内装施工作業者に知らせるのである。
【0043】
荷重検出部A(7)が、バネとリミットスイッチから成るものや、バネと近接スイッチから成るものであれば、その信号は接点のON、OFF信号であり、圧力(感圧)式センサであれば抵抗値の微少変化、あるいは、電圧の微少変化として糊付機制御部に伝達される。本実施例では、リミットスイッチA(23)がON(接点閉)の時、糊切警報ランプが点灯し、ブザーが鳴る様にしている。
【0044】
リミットスイッチA(23)の接点が閉じている(ON)状態から、接点が開く(OFF)の状態に変化する為の応差は0.1mmのスイッチを採用している。また、糊付機制御部の電気回路において、約1秒の時定数の積分回路などを設けているので、糊切警報ランプを点灯させるか、消灯させるかの判定をするしきい値付近の荷重が荷重検出部A(7)にかかっている時に、壁紙糊付機(1)のモーター(図示せず)が回転し、複数のローラーの歯車がかみ合い回転するときの振動でバネA(22)が少しの伸縮をした場合や、あるいは、リミットスイッチA(23)の接点のチャタリングによる誤作動を防止できる様にもしている。
【0045】
図6に、高さを調整できる支持部4(15)の構造の一例を示す。図6(a)は糊付機側面からみた状態の支持部4(15)を示している。図6(b)及び図6(c)に示しているように、調整ダイヤル(27)のダイヤル部には円周状に等ピッチの溝を複数設けている。そしてこの調整ダイヤル(27)には、雌ネジ(39)が設けられており、この雌ネジ(39)に突起(20)に設けられた雄ネジ(38)が螺合している。また調整ダイヤル(27)の上部は糊箱受け板(28)に取り付けられたカバー体(28a)によって保持された状態となっており、調整ダイヤル(27)の下部は糊箱受け板(28)に回転自在な状態に嵌り込んでおり、調整ダイヤル(27)は回転自在な状態で保持されている。そして、突起(20)は平面視で例えば四角形や六角形状の形状として、カバー体(28a)によって回転されないように保持されている。
【0046】
この調整ダイヤル(27)を反時計回りに回転させると、カバー体(28a)が突起(20)を回転しないように保持しているため、調整ダイヤル(27)の雌ねじ(39)と螺合している雄ねじ(38)は、雌ねじ(39)の回転によって上昇する。つまり突起(20)が調整ダイヤル(27)の回転によって上昇するのである。その結果、突起(20)は糊箱(4)の右側の糊箱前脚(8)を押し上げる。また、調整ダイヤル(27)を時計回りに回転させると突起(20)が下降するので右側の糊箱前脚(8)は調整ダイヤル(27)に支持されながら位置が下降する。この突起(20)の先端が支持部4(15)の役割をしているのである。図6(b)は支持位置を低く調整した状態を示し、図6(c)は高く調整した状態を示している。
【0047】
また図6(d)の様にプランジャー(29)を設けて、調整ダイヤル(27)のダイヤル部の溝部へ嵌り込むように押さえつけること等により、壁紙糊付機(1)をスポンジなどで清掃している際や、現場に搬送中に不用意に調整ダイヤル(27)が回らない様にしておくとさらに使い勝手のよい実施形態とすることができる。図6は糊箱受け板(28)を省略して下から調整ダイヤル(27)を見た状態の図である。
【0048】
図7は、通常、よく使う糊の粘度である5000mPa・S程度の糊が、ほとんど空に近い状態の時の糊の片寄りの様子と、高さ調整式の支持部4(15)を標準の高さ(工場出荷時の基準高さ)に調整した時の支持部1(13)、 支持部2(14)、支持部3(12)、支持部4(15)に荷重がかかる様子を下向き矢印で示している。これら下向き矢印の長さはかかる荷重の大きさも表している。
【0049】
図8は、支持部4(15)の高さを基準高さから約2mm高くした時の各支持部にかかる荷重を下向き矢印で示している。支持部1(13)と支持部2(14)にかかる荷重はほとんど変化しないが、支持部3(12)つまり荷重検出部A(7)にかかる荷重は、支持部4(15)の高さが高くなった分にほぼ比例して小さくなる。これは、ある程度の剛性のある糊箱(4)、すなわち糊箱(4)内にある糊の重量程度ではたわまない強度を有している糊箱(4)を使用している為、支持部4(15)を調整ダイヤル(27)で高い位置にすることにより支持部3(12)にかかる荷重が減少して支持部4(15)にかかるように配分されたからである。剛性のほとんど無い糊箱(4)などを使用すると、支持部4(15)の位置を調整ダイヤル(27)で高くしても、糊箱(4)自体が内部の糊の重量によってたわむことにより必ずしも剛性のある糊箱の様にはならない。
【0050】
図9は、支持部4(15)の高さを基準高さから約2mm低くした時の各支持部にかかる荷重を下向き矢印で示している。支持部1(13)と支持部2(14)にかかる荷重はほとんど変化しないが、支持部3(12)つまり荷重検出部A(7)にかかる荷重は、支持部4(15)の高さが低くなった分にほぼ比例して大きくなる。これは上記した剛性のある糊箱を使用しているためであり、支持部3(12)により多く荷重が配分されたためである。
【0051】
次に糊付作業現場において、糊箱が一定重量以下に軽くなったことを検出するように調整する方法について説明する。糊付作業をする現場に壁紙糊付機(1)を、目で見た感じでおおよそ水平と思われる様にセットする。水準器などを当てて厳密な水平状態に設置しないので、荷重検出部A(7)には壁紙糊付機(1)が傾斜していることによる荷重誤差が含まれた荷重がかかっている状態となっている。
【0052】
最初に糊付けをする前に、壁紙糊付機(1)とは別体の糊撹拌機(図示せず)で溶いた糊(3)を糊箱(4)の中に入れなければならないが、この時、まだ壁紙(2)は糊付機にセットしていない状態で、表示操作部(26)の割込スイッチ等(図示せず)で複数のローラーを回転させながら、内装施工作業者が水と混合して希釈した糊(3)を、糊切れ寸前であると壁紙糊付機(1)に検出させたい量の糊を糊箱(4)へ入れる。
【0053】
糊(3)を入れる方法には、糊撹拌機(図示せず)の中の糊を柄杓などを使用して入れる方法もあり、また、糊供給機能付き糊撹拌機と壁紙糊付機(1)を連結連動させて、壁紙糊付機(1)の表示操作部のスイッチ操作で入れる方法などもある。
【0054】
図10は、内装施工作業者がこれから使う糊(3)を、糊切れ寸前と壁紙糊付機(1)に検出させたい量の糊(3)を糊箱(4)入れた時の状態を示す。この時、糊(3)と糊箱(4)の総重量はおおよそ8Kg程度である。図10では、この時の壁紙糊付機(1)が動作して片寄っている状態の糊面位置を実線で示し、荷重検出部A(7)にかかっている荷重の大きさは下向きの実線矢印で示している。
【0055】
糊箱(4)に糊(3)を入れて壁紙糊付機(1)を動作させた時に、糊切警報ランプが点灯した状態であれば、支持部4(15)の高さを調整する為の調整ダイヤル(27)を、糊切警報ランプが消灯する位置まで反時計方向に回転させて下降させる。すなわち、支持部3(12)である荷重検出部A(7)にかかる荷重を大きくして、糊切警報ランプを一度消灯させる。
【0056】
この時、荷重検出部A(7)にかかる荷重が重くなった状態に調整しているため、バネA(22)は縮んだ状態で、荷重検出アーム(24)は下へ下がっておりリミットスイッチA(23)がOFFとなった状態である。(図5(b)参照)
【0057】
初めから糊切警報ランプが消灯した状態であれば、リミットスイッチA(23)はOFFであり、糊切警報ランプは消灯している。そのため、糊切警報ランプが消灯した状態から、支持部4(15)の調整ダイヤル(27)を、時計方向にゆっくり回転させて上昇させていき、支持部3(12)である荷重検出部A(7)にかかる荷重を小さくして、糊切警報ランプが点灯する位置で止める。すなわち、リミットスイッチA(23)がONする位置となるように調整するのである。
【0058】
よって、糊(3)を入れた時に糊切警報ランプが消灯している場合を示す図10の矢印の長さよりも、荷重調整後である図11の矢印の長さは小さく、すなわち荷重は小さくなっている。
【0059】
以上の調整操作により、荷重検出部A(7)には壁紙糊付機(1)が傾斜していることによる荷重誤差が含まれた荷重がかかっている状態で、かつ、糊(3)の粘度により片寄る荷重誤差が含まれた荷重がかかっている状態で、内装施工作業者が望む糊切れ寸前量(下限)での荷重検出部A(7)にかかっている荷重の大きさを、糊付機制御部が糊切警報ランプを点灯させると判定をするしきい値となる重量と一致させることができた。このように、重量検出部における検出は、予め定められた固定の検出値から物的な変更をすることなく調整できる構成とできているのである。
【0060】
糊(3)を補充した後の糊面位置を図11において点線で示す。この時の荷重検出部A(7)にかかる重量を図11の下向き点線矢印で示す。荷重検出部A(7)にかかる荷重はしきい値に一致する矢印の長さより大きいので、バネA(22)は縮んだ状態で、荷重検出アーム(24)は下へ下がりリミットスイッチA(23)はOFFしており、糊切警報ランプは消灯している。
【0061】
糊付作業を開始すれば、糊(3)は壁紙(2)の裏面に塗布されて徐々に減少してゆくため、内装施工作業者が開始前に設定した糊量、つまり、図11の実線の糊面位置になった時には、荷重検出部A(7)にかかる重量は図11の下向き実線矢印の大きさになり、バネA(22)によって、荷重検出アーム(24)が上へ押し上げられてリミットスイッチA(23)がONし、糊切警報ランプが点灯する。(図5(a)参照)
【0062】
糊切警報ランプが点灯した時には、前述したいずれかの方法で糊(3)を補充する。糊(3)を柄杓などを使用して入れる方法の場合は、あふれない程度の適量を内装施工作業者の判断で入れる。糊供給機能付き糊撹拌機(図示せず)と壁紙糊付機(1)を連結連動させて入れる方法の場合は、予め定らめた一定時間だけタイマーなどを装備した糊供給機能付き糊撹拌機(図示せず)を動作させて、糊(3)を糊箱(4)へ入れる。
【0063】
糊(3)が糊箱(4)に補充されると、図11の点線で示す糊面位置になり、荷重検出部A(7)にかかる荷重は大きくなり、糊付機制御部は糊切警報ランプを消灯させる。この動作を繰り返して、糊(3)を補充しながら、糊切れを発生させないように保ちながら糊付作業を続けるのである。
【実施例2】
【0064】
次に一定重量以上に重くなったことを検出する実施形態について説明する。図12に、支持部3(12)に設けた、重くなったことを検出する為の、荷重検出部B(34)の構造を示す。ベース板(25)上に上向きにリミットスイッチB(32)が設けられ、このリミットスイッチB(32)を囲む様にバネB(30)を取り付けている。その上方に押ボタン(31)を配設し、この押ボタン(31)の上面には、支持部3(12)の役割を兼ねる突起(20)を設けている。この突起(20)の頂点が糊箱(4)左側前脚(8)の裏面に当接して糊箱(4)を支持する。バネB(30)は、実施例1のバネA(22)とはバネ定数が異なっている。
【0065】
図12(a)は、支持部3(12)の役割を兼ねる突起(20)にかかる荷重が軽い状態を示しており、この時バネB(30)は、押ボタン(31)を押し上げた状態で上限位置にあり、リミットスイッチB(32)を押さえていないので、リミットスイッチB(32)はOFF(接点開)している。
【0066】
図12(b)は、支持部3(12)の役割を兼ねる突起(20)にかかる荷重が重い状態を示しており、この時バネB(30)は縮んだ状態であり、押ボタン(31)の先端は下方へ押さえられて、リミットスイッチB(32)がON(接点閉)している。図12(b)は、リミットスイッチB(32)がON(接点閉)した瞬間の位置であり、荷重検出部B(34)にかかる荷重が更に重くなると、押ボタン(31)はもう少し下へ下がり、リミットスイッチB(32)の先端は更に下へ入り込み、押ボタン(31)の底面がベース板(25)に当接するという構成としてもよい。
【0067】
実施例1のリミットスイッチA(23)では、接点が閉じている(ON)状態から、接点が開く(OFF)の状態に変化する応差は、0.1mmであるスイッチを使用したが、実施例2では、応差が0.4mmであるリミットスイッチB(32)を使用している。この応差0.4mmは、糊(3)の重量が2Kg変化した量に相当する様に、バネB(30)のバネ定数を定めている。
【0068】
また、一定重量以上に重くなったことを検出するスイッチとして別の例を図13に示す。荷重検出部C(35)の構造は、ベース板(25)に設けた支点(21)に荷重受けアーム(24)が回動する様に軸支されており、バネC(33)により上方へ押し上げられている。また、荷重受けアーム(24)の上面には支持部3(12)の役割を兼ねる突起(20)がある。この突起(20)の頂点が糊箱(4)左側前脚(8)の裏面に当接する。また、ベース板(25)の片端は上面に向けて曲げられており、ここに下向きにリミットスイッチB(32)を設けている。支持部3(12)の役割を兼ねる突起(20)と、リミットスイッチB(32)は、突起(20)の無い側の荷重受けアーム(24)端部に設けて天秤の様になっている形態としてもよい。
【0069】
図13(a)は、支持部3(12)の役割を兼ねる突起(20)にかかる荷重が軽い状態を示しており、この時バネC(33)は、突起(20)側の荷重受けアーム(24)を押し上げた状態で、荷重受けアーム(24)を回動させて、荷重受けアーム(24)のもう一方の端部はリミットスイッチB(32)から離れており、リミットスイッチB(32)はOFF(接点開)している。
【0070】
図13(b)は、支持部3(12)の役割を兼ねる突起(20)にかかる荷重が重い状態を示しており、この時バネC(33)は荷重によって縮んだ状態となり、荷重受けアーム(24)が回動して、リミットスイッチB(32)を押さえており、リミットスイッチB(32)はON(接点閉)している。
【0071】
実施例1では、予め定めた一定重量以下に軽くなったことを検出して糊切警報ランプを点灯させたが、実施例2は、予め定めた一定重量以上に重くなったことを検出して糊満ランプ(図示せず)を点灯させるものである。
【0072】
図14は、内装施工作業者がこれから使う糊(3)を適量、つまり、糊切れ寸前量と、糊あふれ寸前量の中間量程度を入れた時の状態を示す。この時、糊(3)と糊箱(4)の総重量はおおよそ11Kg程度である。図14ではこの時の糊面位置を実線で示し、荷重検出部B(34)にかかっている重量の大きさは下向きの実線矢印で示している。この時、図14の様に、糊満ランプが点灯した状態であれば、支持部4(15)の高さを調整する為の調整ダイヤル(27)を、糊満ランプが消灯する位置まで時計方向に回転させて高く、つまり、支持部3(12)である荷重検出部B(34)にかかる荷重を小さくして、糊満ランプを一度消灯させる。
【0073】
図15は、リミットスイッチB(32)が丁度OFF(接点開)した状態の位置にリミットスイッチB(32)の先端がある状態である。すなわち、図12(b)の位置にあり、荷重検出部B(34)にかかる荷重が更に増えれば、まだリミットスイッチの応差分だけ下降するストロークを残している。
【0074】
以上の調整操作により、荷重検出部B(34)には、壁紙糊付機(1)が傾斜していることによる荷重誤差が含まれた荷重や、糊(3)の濃度によって片寄るという荷重誤差が含まれた荷重などがかかっている状態で、内装施工作業者が望む適量の糊量において荷重検出部B(34)にかかっている荷重の大きさを、糊付機制御部が糊満ランプを点灯するのか、消灯させるのかを判定をする為の幅をもったしきい値、つまり、機械的応差(ストローク=0.4mm)を持っているリミットスイッチB(32)の先端があと0.4mm押し込まれると、その接点をONする位置に一致させることができる。つまり、機械的応差=0.4mmのストローク変化は、図15の実線で示した糊面位置と点線で示した糊面位置との間の糊(3)の変化量に相当し、糊(3)の重量変化として約2Kgに相当する。
【0075】
以上により予め定められた一定重量以上に重くなったことを検出する設定ができたので、糊付作業を開始する。糊供給機能付き糊撹拌機(図示せず)と壁紙糊付機(1)を連結連動させて、糊付機制御部が糊満ランプを点灯させると、糊供給機能付き糊撹拌機(図示せず)の動作を停止するように制御できるのである。
【0076】
糊供給機能付き糊撹拌機(図示せず)と壁紙糊付機(1)を連結連動動作を開始すると、糊満ランプが消灯していると、すなわちリミットスイッチB(32)の応差0.4mmのストロークでOFF(接点開)した状態で、しきい値よりも約2kg程度糊が減少している状態において、糊供給機能付き糊撹拌機(図示せず)を動作させ、糊満ランプが点灯すると、糊供給機能付き糊撹拌機(図示せず)の起動を停止するという動作を繰り返しながら、常に糊満ランプが点灯している状態を保ちながら糊付作業を行うのである。
【0077】
上記では、リミットスイッチの応差のストロークで糊箱(4)内の糊量を検出して糊の供給開始時点も検出しているが、糊の供給開始については別のセンサを使用して、検出しても良いのである。例えば、実施例1に説明した一定重量以下に軽くなったことを検出する荷重検出部A(7)を支持部4(15)に、荷重検出部B(34)を支持部3(12)に配設し、調整ダイヤル(27)で荷重検出部A(7)、荷重検出部B(34)ごと糊箱前脚(8),(8)の高さを調整する構成としても良い。
【0078】
この場合は調整ダイヤル(27)は支持部4(15)側と支持部3(12)側に1つづつ設ける構成となる。このような構成とすると、糊箱前脚(8),(8)側の高さ方向の位置決めは左右両方に持つこととなるので、例えば粘性が低い糊を使用するときなど、荷重検出部A(7)、荷重検出部B(34)それぞれにかかる荷重の配分の調整を調整ダイヤル1つの時よりも、調整幅を持たせることが可能となる。
【0079】
荷重検出部ごと調整ダイヤルで高さ方向の調整をする構造については後述する実施例3について開示するものとし、実施例2においての説明としては省略する。
【実施例3】
【0080】
実施例1では、荷重検出部A(7)を設けていない支持部4(15)に高さ調整機構を設けたが、実施例3では、高さ調整機構を設けた荷重検出部D(36)を図16に示す。荷重検出部D(36)の内部構造は荷重検出部A(7)と同様である。略コの字状の取付ベース板(41)に調整ダイヤルB(37)が配置され、この調整ダイヤルB(37)の雄ネジ(38)が荷重検出部D(36)の下部に設けた雌ネジ(39)に螺合挿入された構造で、調整ダイヤルB(37)を時計回りに回転させると荷重検出部D(36)はガイド部(40)に沿って上昇し、反時計回りに回転させると下降する。この高さ調整機構を設けた荷重検出部D(36)を、支持部3(12)の位置に配置し、支持部4(15)は、高さを調整することができない従来の固定の支持部を設けて高さ調整機構を設けた荷重検出部D(36)にかかる荷重を調整することもできる。もちろんこの荷重検出部を昇降させる構造は実施例2において説明した荷重検出部B(34)に対して採用することも可能である。
【0081】
荷重検出部自体を昇降して荷重のかかり方を調整する構造とした場合、高さを調整した時の荷重検出部D(36)にかかる荷重の大小の変化は、実施例1の場合とは逆になる。つまり、調整ダイヤルB(37)を時計回りに回転させて荷重検出部D(36)を上げていくと、各支持部にかかる荷重は図9の様になり、荷重検出部にかかる荷重は重くなる。また、調整ダイヤルB(37)を反時計回りに回転させて荷重検出部D(36)を下げていくと、各支持部にかかる荷重は図8の様になり、荷重検出部にかかる荷重は軽くなるのである。
【実施例4】
【0082】
これまでの実施形態では、支持部側に高さ調整機構を設けた実施形態を説明したが、実施例4では支持部4(15)に当接する図17において右側の糊箱前脚(8)に高さ調整機構を設ける構成を説明する。図17に示す様に、右側の糊箱前脚(8)に設けた雌ネジ部に調整ダイヤルC(42)が螺合されている。この調整ダイヤルC(42)の底面中心には下向きに突起が設けられており、この突起が支持部4(15)に当接する。もちろん、高さ調整機構を設けるのは右側の糊箱前脚(8)に限定するわけではなく、左側の糊箱前脚(8)でも、左右の糊箱前脚(8),(8)の両方に高さ調整機構を設けるようにしても良いのである。
【0083】
右側の前脚(8)に調整ダイヤルを設けた場合では、調整ダイヤルC(42)を時計回りに回転させると調整ダイヤルC(42)が糊箱前脚(8)に入り込む方向へ移動することとなり、糊箱前脚(8)と調整ダイヤルC(42)に設けた突起の先端との距離が短くなる。すなわち、右側の糊箱前脚(8)の位置が支持部4(15)に対して低くなり、支持部側に高さ調整機構を設けた場合調整ダイヤルを下降させた時と同様の作用となる。調整ダイヤルC(42)を反時計回りに回転させると逆に右側の糊箱前脚(8)が支持部4(15)に対して位置が高くなり、支持部側に高さ調整機構を設けた場合調整ダイヤルを上昇させた時と同様の作用となるのである。
【0084】
調整ダイヤルC(42)を時計回りに回転させると右側の糊箱前脚(8)が支持部4(15)に対して位置が低くなり、各支持部にかかる荷重は、図9の様になり、調整ダイヤルC(42)を反時計回りに回転させると右側の糊箱前脚(8)が支持部4(15)に当接する位置が高くなり、各支持部にかかる荷重は、図8の様になる。よって、糊箱前脚(8)に高さ調整機構を設けることによっても、荷重の配分を変更することが可能にすることができる。
【実施例5】
【0085】
実施例5では予め定められた一定重量以下に軽くなったことと、一定重量以上に重くなったことの両方を検出する荷重検出部E(43)を図18に示す。左右端がそれぞれ図18のように曲げられたベース板(25)の内側の左右下部にそれぞれ応差が0.1mmに設定されているリミットスイッチA(23)を1個づつ配置し、ベース板(25)に設けた支点(21)に荷重受けアーム(24)が回動する様に軸支されている。この荷重受けアーム(24)の左端が左側の重くなったことを検出するリミットスイッチA(23)を、右端が右側の軽くなったことを検出するリミットスイッチA(23)を押さえて作動させる様になっている。また荷重受けアーム(24)はベース板(25)の左端に設けたバネD(44)により上方へ押し上げられている。そしてまた、荷重受けアーム(24)の上面には支持部3(12)の役割を兼ねる突起(20)があり、この突起(20)の頂点が糊箱(4)の左側前脚(8)の裏面に当接する。
【0086】
糊箱(4)が一定重量より軽くなったことを検出するのは、すなわち糊切れする寸前の量(下限)以下になった時という時点であり、図18(a)に示す様に、バネD(44)は、突起(20)側の荷重受けアーム(24)を押し上げた状態で、荷重受けアーム(24)の右端が右側のリミットスイッチA(23)の先端を押さえてONさせるのである。糊箱(4)が一定以上に重くなったことを検出する時は、図18(b)に示す様に、バネD(44)は荷重によって縮んだ状態となり、荷重受けアーム(24)の左端が左側のリミットスイッチA(23)の先端を押さえて左側のリミットスイッチ(23)をONさせる。バネD(44)のバネ定数を定めている。
【0087】
上記の荷重検出部E(43)を、実施例1〜4に説明した高さ調整機構と組み合わせて荷重検出部E(43)にかかる荷重の配分を調整するようにすることができる。

【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】壁紙糊付機の外観斜視を説明する図である。
【図2】糊箱の外観斜視を説明する図である。
【図3】荷重検出部が配設された側から見た壁紙糊付機の断面図である。
【図4】荷重検出部が無い側から見た壁紙糊付機の断面図である。
【図5】一定重量以下に軽くなったことを検出する荷重検出部Aを説明する図である。(a)はリミットスイッチがONした状態を示し、(b)はリミットスイッチがOFFした状態である。
【図6】高さ調整機構を説明する図である。(a)は壁紙糊付機の側面から見た状態の図で、(b)は調整ダイヤルを下降させている状態を示し、(c)は調整ダイヤルを上昇させている状態を示している。(d)はプランジャーにより回転規制している状態を示している。
【図7】糊箱における標準状態における荷重のかかり方を説明する図である。
【図8】高さ調整機構により支持部において2mm高く調整した時の荷重のかかり方を説明する図である。
【図9】高さ調整機構により支持部において2mm低く調整した時の荷重のかかり方を説明する図である。
【図10】一定重量以下に軽くなったことを検出するために糊量の下限設定について説明する図である。
【図11】一定重量以下に軽くなったことを検出するために糊量の下限設定をした状態を説明する図である。
【図12】一定重量以上に重くなったことを検出する荷重検出部を説明する図である。
【図13】一定重量以上に重くなったことを検出する別の荷重検出部の説明をする図である。
【図14】一定重量以上に重くなったことを検出するために糊量の上限設定について説明する図である。
【図15】一定重量以上に重くなったことを検出するために糊量の上限設定をした状態を説明する図である。
【図16】荷重検出部側に高さ調整機構を設けた構成を説明する図である。
【図17】糊箱の脚部に高さ調整機構を設けた構成を説明する図である。
【図18】荷重検出部に2つのリミットスイッチを設けた構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0089】
1 壁紙糊付機
2 壁紙
3 糊
4 糊箱
5 糊上ローラー
6 糊付ローラー
6a ドクターローラー
7 荷重検出部A
8 糊箱前脚
9 ガイドレール
10 糊箱側板
11 糊箱桶部
12 支持部3
13 支持部1
14 支持部2
15 支持部4
16 支持部3により支えられる力
17 支持部1により支えられる力
18 支持部2により支えられる力
19 支持部4により支えられる力
20 支持部3を兼ねる突起
21 支点
22 バネA
23 リミットスイッチA
24 荷重受けアーム
25 ベース板
26 表示操作部
27 調整ダイヤル
28 糊箱受け板
29 プランジャー
30 バネB
31 押ボタン
32 リミットスイッチB
33 バネC
34 荷重検出部B
35 荷重検出部C
36 荷重検出部D
37 調整ダイヤルB
38 雄ネジ
39 雌ネジ
40 ガイド
41 取付ベース板
42 調整ダイヤルC
43 荷重検出部E
44 バネD


【特許請求の範囲】
【請求項1】
糊等の内容物を含む糊箱の重量が予め定められた一定重量以下に軽くなったこと、或いは一定重量以上に重くなったことを検出する重量検出部を有する壁紙糊付機において、
糊箱を支持する部材を複数有する壁紙糊付機であって、
複数の糊箱を支持する部材の少なくとも1つには、糊箱を支持する位置を高さ方向に調整する機構を有し、
糊箱を支持する位置を高さ方向に調整する上記機構を調整することにより、糊箱載置時に複数の糊箱支持部にそれぞれにかかっていた荷重配分を変化させて、糊箱の重量が一定重量以下に軽くなったこと、或いは一定重量以上に重くなったことを検出する重量検出部にかかる糊箱の荷重を調整し、重量検出部における検出重量を予め定められた検出値から調整可能とすることを特徴とする壁紙糊付機。
【請求項2】
上記糊箱を支持する位置を高さ方向に調整する機構は、壁紙糊付機を動作させたときに、糊箱内の糊が糊上ローラーの回転によって片寄る側に設けたことを特徴とする請求項1記載の壁紙糊付機。
【請求項3】
4つの糊箱の支持部が糊箱四隅近傍にそれぞれ設けられた壁紙糊付機であって、糊付機が動作している時に糊箱内の糊が片寄る側の一方の端部に重量検出部を設け、上記重量検出部のある側の端部又は重量検出部の無い側の端部の少なくとも一方に糊箱を支持する位置を高さ方向に調整する機構を設けていることを特徴とする請求項1記載の壁紙糊付機。
【請求項4】
糊箱の重量が予め定められた一定重量以下に軽くなったこと、或いは一定重量以上に重くなったことを検出する重量検出部を有する壁紙糊付機において、
糊箱を支持する部材を複数有する壁紙糊付機であって、
糊箱には支持される部材に載置する位置には、糊箱脚部を有し、上記糊箱脚部の少なくとも1つには、糊箱の脚部の高さを高さ方向に調整する機構を有し、
糊箱の脚部の高さを高さ方向に調整する上記機構を調整することにより、糊箱載置時に複数の糊箱支持部にそれぞれにかかっていた荷重配分を変化させて、糊箱の重量が一定重量以下に軽くなったこと、或いは一定重量以上に重くなったことを検出する重量検出部にかかる糊箱の荷重を調整し、重量検出部における検出重量を予め定められた検出値から調整可能とすることを特徴とする壁紙糊付機。
【請求項5】
上記糊箱脚部の高さを高さ方向に調整する機構は、壁紙糊付機を動作させたときに、糊箱内の糊が糊上ローラーの回転によって片寄る側に設けたことを特徴とする請求項1記載の壁紙糊付機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−55337(P2008−55337A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−236225(P2006−236225)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000163121)極東産機株式会社 (68)
【Fターム(参考)】