売価表示システム
【課題】大規模な設備工事を行うことなく、精算処理の売価と電子棚札が表示する売価とを一致させることができる売価表示システムを提供する。
【解決手段】売価表示システムは、精算処理を行うスケールレジスタ1と、商品に対応して配置されて商品の売価を表示する電子棚札2と、ハンディターミナル3とを備えている。スケールレジスタ1が精算処理に利用する商品の売価は、商品マスタとしてメモリカードを介してハンディターミナル3に受け渡され、さらに、商品の売価はハンディターミナル3から各電子棚札2に無線通信により送信される。このように、スケールレジスタ1が利用する商品の売価がハンディターミナル3を介して電子棚札2に伝達されることから、天井工事やケーブル配線工事などの大規模な設備工事を行うことなく、精算処理の売価と電子棚札が表示する売価とを一致させることができる。
【解決手段】売価表示システムは、精算処理を行うスケールレジスタ1と、商品に対応して配置されて商品の売価を表示する電子棚札2と、ハンディターミナル3とを備えている。スケールレジスタ1が精算処理に利用する商品の売価は、商品マスタとしてメモリカードを介してハンディターミナル3に受け渡され、さらに、商品の売価はハンディターミナル3から各電子棚札2に無線通信により送信される。このように、スケールレジスタ1が利用する商品の売価がハンディターミナル3を介して電子棚札2に伝達されることから、天井工事やケーブル配線工事などの大規模な設備工事を行うことなく、精算処理の売価と電子棚札が表示する売価とを一致させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の売価を表示するための売価表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーマーケット等の比較的大規模な店舗において取り扱う商品の売価を顧客に示すための売価表示システムとして、電子棚札システム(ESLシステム/Electronic Shelf Label System)が実用化されている。
【0003】
電子棚札システムにおいては、可搬性の表示装置である電子棚札が各商品に対応して配置される。そして、精算処理に利用される商品の売価が無線信号として、トランシーバから各電子棚札に送信され、その商品の売価が各電子棚札に表示される。これにより、電子棚札において、精算処理の売価と一致する正しい商品の売価が表示されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
なお、本発明に関連する技術を開示する先行技術文献として、下記の文献がある。
【0005】
【特許文献1】特開2004−265196号公報
【特許文献2】特開2005−301030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような売価表示システムを、百貨店の食品売場等における比較的小規模なテナント区画などに導入することが強く要望されている。しかしながら、従来の売価表示システムでは、電子棚札に無線信号を送信するトランシーバを天井などに設置することが必要である一方で、一般的なテナント区画では天井工事やケーブル配線工事などの大規模な設備工事は各種制約により不可能となっている。このため、売価表示システムを小規模なテナント区画などに容易に導入できなかった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、大規模な設備工事を行うことなく、精算処理の売価と電子棚札が表示する売価とを一致させることができる売価表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、商品の売価を表示するための売価表示システムであって、商品に対応して配置され、商品の売価を受信して該売価を表示する電子棚札と、前記電子棚札と通信可能な可搬性通信装置と、を備え、前記可搬性通信装置は、精算処理を行う精算処理装置が利用する商品の売価を取得する取得手段と、前記取得手段に取得された前記商品の売価を前記電子棚札に無線通信により送信する送信手段と、を備えている。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の売価表示システムにおいて、前記可搬性通信装置は、ユーザ操作を受け付ける受付手段、をさらに備え、前記送信手段は、前記ユーザ操作に応答して前記商品の売価を送信する。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の売価表示システムにおいて、前記送信手段は、一回の前記ユーザ操作に応答して、一つの商品のみの売価を送信する。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項2に記載の売価表示システムにおいて、前記送信手段は、一回の前記ユーザ操作に応答して、複数の商品の売価を送信可能である。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、前記電子棚札は、前記送信手段から送信された前記商品の売価の受信に応答して、返答信号を無線通信により発信する発信手段、を備え、前記可搬性通信装置は、前記返答信号を受信する受信手段と、前記返答信号に基づいて前記送信手段の送信に係る通信不良を判定する判定手段と、前記判定手段による判定の結果を出力する出力手段と、をさらに備えている。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項2ないし5のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、前記電子棚札は、前記送信手段から送信された前記商品の売価の受信に応答して、その旨を示す特殊表示を行う手段、をさらに備えている。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、前記可搬性通信装置は、商品と電子棚札とを対応付けるリンク情報を記憶する手段、をさらに備え、前記送信手段は、前記リンク情報に基づいて、前記商品の売価を該商品に対応する電子棚札に送信する。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項7に記載の売価表示システムにおいて、前記可搬性通信装置は、前記精算処理装置が利用する商品識別情報を取得する手段と、前記電子棚札から、該電子棚札を識別する装置識別情報を取得する手段と、前記商品識別情報と前記装置識別情報とを用いて、前記リンク情報を生成する手段と、をさらに備えている。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、前記取得手段は、前記精算処理装置が書き込みした記録媒体の読み取りにより、前記商品の売価を取得する。
【0017】
また、請求項10の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、前記取得手段は、前記精算処理装置との間での無線通信により、前記商品の売価を取得する。
【0018】
また、請求項11の発明は、請求項1ないし10のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、前記精算処理装置、をさらに備えている。
【0019】
また、請求項12の発明は、請求項11に記載の売価表示システムにおいて、前記精算処理装置は、商品を計量し、その計量結果に基づいて精算処理を行うスケールレジスタを含む。
【発明の効果】
【0020】
請求項1ないし12の発明によれば、精算処理装置が利用する商品の売価が可搬性通信装置を介して電子棚札に伝達されるため、大規模な設備工事を行うことなく、精算処理の売価と電子棚札が表示する売価とを一致させることができる。
【0021】
また、特に請求項2の発明によれば、ユーザ操作に応答して電子棚札への売価の送信を行うため、ユーザの意識を電子棚札が表示する売価へ向けることができる。その結果、電子棚札への通信不良を容易に発見できる。
【0022】
また、特に請求項3の発明によれば、一回のユーザ操作に応答して一つの商品のみの売価を送信するため、一つの電子棚札ごとに通信不良を確認できる。
【0023】
また、特に請求項4の発明によれば、一回のユーザ操作に応答して複数の商品の売価を送信可能であるため、送信する時間を短縮できる。
【0024】
また、特に請求項5の発明によれば、送信手段に係る通信不良を判定し、その結果が出力されるため、通信不良を容易に把握できる。
【0025】
また、特に請求項6の発明によれば、電子棚札は商品の売価の受信に応答して特殊表示を行うため、特殊表示がなければ通信不良と容易に判断できる。
【0026】
また、特に請求項7の発明によれば、リンク情報に基づいて、商品の売価を、その商品に対応する正しい電子棚札に送信することができる。
【0027】
また、特に請求項8の発明によれば、商品と電子棚札との対応付けに、可搬性通信装置を利用できる。
【0028】
また、特に請求項9の発明によれば、大規模な設備工事を行うことなく、商品の売価を簡易に取得できる。
【0029】
また、特に請求項10の発明によれば、大規模な設備工事を行うことなく、商品の売価を簡易に取得できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0031】
<1.システム概要>
図1は、本実施の形態に係る売価表示システムが導入される店舗の一例を示す図である。この店舗は、例えば、百貨店の食品売場の一つのテナント区画に設けられる対面販売方式の店舗である。図に示すように、この店舗では、ショーケース50内にトレー51に収容された状態で各種の商品(食品)5が陳列されている。また、必要に応じてショーケース50の外の陳列台52などにおいても商品5が陳列される。
【0032】
顧客(消費者)は、これらの商品5を見ながら購入を希望する商品5を、ショーケース50を挟んで対向する店舗スタッフPに申し出て、その場で当該商品5の売買取引の精算(決済)を行う。各商品には、所定の販売単位(所定重量あるいは所定個数)あたりの売価が単価として設定されており、顧客は商品の購入時に所望の重量あるいは個数を店舗スタッフPに申し出ることになる。なお、以下の説明では便宜上、ショーケース50に対して、顧客が存在する側(図中の手前側)を「顧客側」といい、その反対側(図中の奥側)を「販売側」という。
【0033】
精算処理は、ショーケース50上に配置されたスケールレジスタ1により行われる。このスケールレジスタ1は、商品の計量機能を有する精算処理装置であり、商品の個数に基づいた精算処理とともに、商品の計量結果(すなわち、重量)に基づいた精算処理を行うことも可能となっている。店舗スタッフPは、販売単位が重量となる商品については、スケールレジスタ1で商品を計量して、その重量及び単価に応じた取引価格で商品の売買取引を行うことになる。
【0034】
また、これらの商品5の単価(販売単位あたりの売価)は、可搬性の小型表示装置である電子棚札2に表示されるようになっている。電子棚札2は、それぞれ一の商品5(正確には、一の商品の種類)に対応付けられており、その対応する商品5の陳列位置の近傍に配置される。したがって、陳列台52などに商品5が陳列される際には、その陳列台52にも電子棚札2が配置される。各電子棚札2は表示部を備えており、該表示部には対応する商品5の単価等の商品情報が電子的に表示される。各電子棚札2の表示部は顧客側に向けられており、このような電子棚札2の表示により顧客は各商品5の単価を認識することになる。
【0035】
図に示す店舗において、スケールレジスタ1が精算処理に利用する商品5の単価と、電子棚札2が表示する商品5の単価とは常に一致している必要がある。本実施の形態に係る売価表示システムは、これらの商品5の単価を一致させる機能を有している。図2は、この売価表示システム100の構成を模式的に示す図である。
【0036】
図に示すように、売価表示システム100は、上述したスケールレジスタ1及び電子棚札2とともに、可搬性通信装置であるハンディターミナル3を備えている。スケールレジスタ1が利用する商品の単価は、まず、可搬性の情報記録媒体であるメモリカード4を介してハンディターミナル3に取得される。さらに、その商品の単価はハンディターミナル3から各電子棚札2に無線通信により送信され、各電子棚札2において表示される。これにより、スケールレジスタ1が精算処理に利用する商品の単価と、電子棚札2が表示する商品の単価とが一致されるようになっている。以下では、このような売価表示システム100の構成及び動作について詳細に説明する。
【0037】
<2.スケールレジスタの構成>
図3はスケールレジスタ1の外観構成を示す図であり、図4はスケールレジスタ1の機能構成を示すブロック図である。
【0038】
図3に示すように、スケールレジスタ1は、商品の重量を計測する計量部11と、各種情報を表示する2つの表示部12,13と、ユーザ操作を受け付ける操作部14と、印刷物を発行する印刷発行部15とを主に備えている。
【0039】
計量部11は、スケールレジスタ1の上部に設けられており、その上面に載置された商品の重量をロードセルなどにより計量する。表示部12,13は、店舗スタッフPが視認する販売側表示部12と、顧客が視認するための顧客側表示部13とから構成される。販売側表示部12は、タッチパネル機能を有しており、ユーザ(店舗スタッフP等)の操作を受け付けることも可能となっている。スケールレジスタ1は、販売側表示部12が販売側に、顧客側表示部13が顧客側にそれぞれ向くように配置される(図1参照。)。
【0040】
操作部14は、販売側表示部12に隣接して設けられており、店舗スタッフPの各種操作を受け付ける。また、印刷発行部15は、スケールレジスタ1の内部に設けられ、精算処理の結果をサーマルヘッドなどで用紙に印刷し、印刷した用紙をレシートとして発行する。
【0041】
また、操作部14の近傍には、メモリカード4の読み取り及び書き込みが可能なカードリーダライタ16が設けられている。メモリカード4は、カードリーダライタ16のカードスロットに対して着脱可能とされている。
【0042】
また、図4に示すように、スケールレジスタ1は、その内部に装置動作を制御するための制御部10を備えている。制御部10は、演算処理を行なうCPU101と、読出専用メモリであるROM102と、演算の作業領域としてのメモリであるRAM103と、不揮発性メモリであるバッテリーバックアップされたSRAM104とを備えており、これらは、バスライン19を介して相互に電気的に接続されている。また、このバスライン19には、上述した計量部11、販売側表示部12、顧客側表示部13、操作部14、印刷発行部15及びカードリーダライタ16の各処理部も接続され、これらは制御部10の制御下にて動作する。
【0043】
ROM102には、ファームウェアとなる専用のプログラムが予め記憶されている。このプログラムに従ってCPU101が演算処理を行なうことにより、スケールレジスタ1の各種機能が実現される。
【0044】
また、SRAM104には、スケールレジスタ1が取り扱う全商品(すなわち、店舗で販売する全商品)の商品情報を示すデータファイルである商品マスタD1が記憶されている。精算処理においては、この商品マスタD1の内容が利用される。
【0045】
図5は、商品マスタD1の一例を示す図である。図に示すように商品マスタD1はテーブル形式となっており、レコードR1のそれぞれが一の商品(正確には、一の商品の種類)に係る商品情報を示している。具体的には、各レコードR1ごとに「商品コード」、「商品名」、「単位」及び「単価」等のデータ項目が登録されている。ここで、「商品コード」は当該商品を識別するための商品識別情報であり、「商品名」は当該商品の名称であり、「単位」は当該商品の販売単位であり、「単価」は当該商品の販売単位あたりの売価である。この商品マスタD1の登録内容は、操作部14の操作により適宜に変更可能となっている。
【0046】
<3.ハンディターミナルの構成>
図6はハンディターミナル3の外観構成を示す図であり、図7はハンディターミナル3の機能構成を示すブロック図である。
【0047】
図6に示すように、ハンディターミナル3は、店舗スタッフPが容易に持ち運びできる小型の可搬性通信装置であり、バーコードを読み取るバーコードリーダ31と、無線通信を行うための無線通信部32と、各種情報を表示する表示部33と、ユーザ操作を受け付ける操作部34とを主に備えている。
【0048】
表示部33は、液晶ディスプレイ等で構成され、文字、記号、図形などの各種情報を表示する。無線通信部32は、電波や赤外線などの無線信号を送受信し、電子棚札2との間で無線によるデータ通信を行う。操作部34は、各種の入力ボタンで構成され、ユーザの各種操作を受け付ける。
【0049】
また、操作部34の近傍には、メモリカード4の読み取り及び書き込みが可能なカードリーダライタ35が設けられている。メモリカード4は、カードリーダライタ35のカードスロットに対して着脱可能とされている。
【0050】
また、図7に示すように、ハンディターミナル3は、その内部に装置動作を制御するための制御部30を備えている。制御部30は、演算処理を行なうCPU301と、読出専用メモリであるROM302と、演算の作業領域としてのメモリであるRAM303と、不揮発性メモリであるバッテリーバックアップされたSRAM304とを備えており、これらは、バスライン39を介して相互に電気的に接続されている。また、このバスライン39には、上述したバーコードリーダ31、無線通信部32、表示部33、操作部34及びカードリーダライタ35の各処理部も接続され、これらは制御部30の制御下にて動作する。
【0051】
ROM302には、ファームウェアとなる専用のプログラムが予め記憶されている。このプログラムに従ってCPU301が演算処理を行なうことにより、ハンディターミナル3の各種機能が実現される。
【0052】
また、SRAM304には、データファイルとして商品マスタD2とリンクファイルD3とが記憶されている。商品マスタD2は、スケールレジスタ1に記憶されていた商品マスタD1の複製物である。したがって、商品マスタD2は、商品マスタD1と同一形式及び同一内容のものとなる(図5も参照。)。この商品マスタD2は、メモリカード4を介して、スケールレジスタ1からハンディターミナル3に受け渡される。
【0053】
また、リンクファイルD3は、電子棚札2と商品とを対応付けるデータファイルである。このリンクファイルD3が利用されることで、ある商品の単価(売価)が、その商品に対応する電子棚札2に対して送信されることになる。
【0054】
図8は、リンクファイルD3の一例を示す図である。図に示すように、リンクファイルD3はテーブル形式となっており、各レコードR3ごとに「商品コード」と「装置コード」とが対応付けられている。ここで「装置コード」とは、売価表示システム100が備える複数の電子棚札2を識別するための各装置にユニークな装置識別情報(ハードウェアID)である。このようなリンクファイルD3により、電子棚札2と商品とが1対1の関係でデータ的に対応付けられる。
【0055】
<4.電子棚札の構成>
図9は、電子棚札2の構成を示す図である。図に示すように電子棚札2の前面には、対応する商品の商品情報を表示するための表示部23と、無線通信を行うための無線通信部24とが配置されている。
【0056】
表示部23は、液晶ディスプレイや電子ペーパなど、直交二次元配列された複数の画素から構成されるドットマトリクス方式の表示デバイスで構成され、商品の単価などを示す数値のみならず、文字、記号、図形など各種の情報の表示が可能である。図に示すように、電子棚札2の表示部23には、「商品名」23a、「単位」23b及び「単価」23cなどの、当該電子棚札2が対応する商品の商品情報が表示される。ここで「電子ペーパ」とは、表示内容の書替可能で、かつ、駆動電力の非供給状態においても表示内容を維持可能な不揮発性の表示デバイスである。このような「電子ペーパ」は、例えば特許文献2に開示されている。
【0057】
無線通信部24は、電波や赤外線などの無線信号を送受信し、ハンディターミナル3との間で無線によるデータ通信を行う。無線通信部24は、ハンディターミナル3から、無線信号として対応する商品の単価等の商品情報を受信することになる。
【0058】
また、電子棚札2の前面には、バーコードを記録したラベル25が貼付されている。このラベル25のバーコードは、当該電子棚札2に固有の「装置コード」をエンコードしたものである。なお、「装置コード」を示すバーコードの形式は、一次元バーコードに限定されず、QRコードなどの二次元バーコードであってもよい。
【0059】
また、電子棚札2は、その内部に装置動作を制御するため制御部20を備えている。制御部20は、演算処理を行なうCPU21と、各種情報を記憶する不揮発性のメモリ22とを備えている。ハンディターミナル3から送信された商品情報は、電子棚札2の無線通信部24に受信されて一旦メモリ22に記憶された後、制御部20の制御により表示部23に表示される。また、メモリ22には、自装置に固有の「装置コード」が予め記憶されている。ラベル25が示す「装置コード」と、このメモリ22内に記憶された「装置コード」とは同一のものとなる。
【0060】
<5.処理>
次に、上記のように構成される売価表示システム100の具体的な処理の内容について説明する。
【0061】
<5−1.単価変更時の処理>
売価表示システム100の利用にあたって、スケールレジスタ1において精算処理に利用する商品の単価(商品マスタD1に登録されている単価)を変更した際には、電子棚札2が表示する商品の単価も変更する必要がある。以下では、このような単価変更時における売価表示システム100の処理やユーザ(店舗スタッフP)の作業(以下、「処理等」という。)の流れについて説明する。
【0062】
図10は、単価変更時における売価表示システム100の各装置に係る処理等の流れを示す図である。図中において、符号P1で示す領域はスケールレジスタ1に係る処理等、符号P2で示す領域はハンディターミナル3に係る処理等、符号P3で示す領域は電子棚札2に係る処理等をそれぞれ示している(以降に説明する図でも同様とする。)。
【0063】
なお、図10に示す処理等の開始時点においては、スケールレジスタ1のSRAM104には商品マスタD1が予め記憶されており、ハンディターミナル3のSRAM304には当該商品マスタD1と同一内容の商品マスタD2と、リンクファイルD3とが予め記憶されているものとする。また、スケールレジスタ1のカードリーダライタ16にはメモリカード4が予め挿入されているものとする。
【0064】
まず、スケールレジスタ1の操作部14に対してユーザにより操作がなされ、精算処理に利用する商品の単価が変更される。変更後の商品の単価は、SRAM104に記憶された商品マスタD1の当該商品に対応するレコードの「単価」に反映される。この際、一つの商品のみならず、複数の商品の単価を変更することも可能である(ステップS11)。
【0065】
次に、スケールレジスタ1の操作部14に含まれる書込ボタンがユーザにより押下される。これに応答して、SRAM104から商品マスタD1が読み出され、カードリーダライタ16に挿入されたメモリカード4に書き込まれる(ステップS12)。
【0066】
次に、商品マスタD1が記録されたメモリカード4がカードリーダライタ16から取り出され(ステップS13)、ハンディターミナル3のカードリーダライタ35に挿入される(ステップS14)。
【0067】
次に、ハンディターミナル3の操作部34に含まれる読取ボタンがユーザにより押下される。これに応答して、カードリーダライタ35に挿入されたメモリカード4から商品マスタD1が読み取られ、RAM303に格納される。これにより、変更後の商品の売価を含む商品情報がハンディターミナル3に取得される(ステップS15)。
【0068】
次に、読み出された商品マスタD1と、予めハンディターミナル3のSRAM304に記憶されていた商品マスタD2とが比較される。商品マスタD2は、商品の単価を変更する前の商品マスタD1の内容と一致していたことから、商品マスタD1と商品マスタD2との比較により、いずれの商品に関して単価が変更されたのかが容易に把握できる。このため、この比較により単価が変更されたと判断された商品が、以降の処理の対象となる「対象商品」として抽出される。この際、複数の商品が、対象商品として抽出されることもあり得る(ステップS16)。
【0069】
抽出された対象商品は、対応する電子棚札2に変更後の単価を送信すべき商品であるともいえる。対象商品が抽出されると、読み出された商品マスタD1がSRAM304の商品マスタD2に上書きされる。これにより、ハンディターミナル3が記憶する商品マスタD2の内容が更新され、スケールレジスタ1が記憶している商品マスタD1の内容と再び一致される。
【0070】
次に、ハンディターミナル3において電子棚札2に変更後の単価を含む商品情報を送信する情報送信処理がなされ(ステップS17)、電子棚札2においてその商品情報を受信する情報受信処理がなされる(ステップS18)。図11は、情報送信処理(ステップS17)及び情報受信処理(ステップS18)の詳細な流れを示す図である。
【0071】
まず、ハンディターミナル3の表示部33に、対象商品の商品情報が一覧表示される。すなわち、商品マスタD2に含まれるレコードのうち、対象商品に対応するものの内容(「商品コード」「装置コード」「単位」「単価」等)が表示部33に表示される(ステップST11)。
【0072】
次に、ハンディターミナル3の操作部34に含まれる送信ボタンの押下が待機される(ステップST12)。送信ボタンは、電子棚札2への商品情報の送信を指示する操作をユーザから受け付けるものである。
【0073】
送信ボタンが押下されると(ステップST12)、まず、対象商品のうちの一つがその時点での処理の対象となる「注目商品」として選択される。この際、商品マスタD2におけるレコードの登録順などに基づいてCPU301により注目商品が選択されてもよく、ユーザの操作を操作部34で受け付けることにより一覧表示された対象商品のうちのユーザ所望の商品が注目商品として選択されてもよい(ステップST13)。
【0074】
次に、注目商品に対応する電子棚札2が特定される。すなわち、リンクファイルD3が参照され、注目商品の「商品コード」に対応する「装置コード」が、CPU301により取得される(ステップST14)。
【0075】
次に、取得された「装置コード」と、注目商品の商品情報(商品マスタD2に登録された「商品コード」「商品名」「単位」「単価」等)とを含む情報信号が生成される。そして、この情報信号が無線信号に変換されて、無線通信部32から電子棚札2に向けて発信される(ステップST15)。
【0076】
ハンディターミナル3から発信された情報信号は、通信不良等がなければ売価表示システム100が備える全ての電子棚札2に受信される(ステップST21)。そして、この情報信号の受信に応答し、電子棚札2のそれぞれでは、ステップST22以降の処理がなされる。
【0077】
すなわち、まず、受信した情報信号に含まれる「装置コード」が、メモリ22に記憶された自装置の「装置コード」と一致するか否かが制御部20により判定される(ステップST22)。この際、情報信号に含まれる「装置コード」が自装置のものと一致しない場合は、該情報信号は自装置のための情報信号でないため、そのまま処理が終了する(ステップST22にてNo)。
【0078】
一方、情報信号に含まれる「装置コード」が自装置のものと一致した場合は(ステップST22にてYes)、該情報信号に含まれる商品情報がメモリ22に記憶されるとともに、その商品情報が図9の如く表示部23に表示される。これにより、表示部23の表示内容が更新され、変更後の注目商品の単価が表示部23に表示される(ステップST23)。このような電子棚札2の動作により、注目商品に対応する電子棚札2のみの表示が更新されることになる。
【0079】
ハンディターミナル3においては、注目商品に関する商品情報の送信(ステップST15)が完了すると、商品情報の送信が完了していない他の対象商品が存在するか否かが判定される(ステップST16)。そして、存在していた場合は(ステップST16にてYes)、処理はステップST13に戻り、次の一の対象商品が新たに注目商品として選択され、上記と同様にして注目商品に関する商品情報が電子棚札2に送信される。このような処理が繰り返され、最終的に全ての対象商品に関して商品情報が送信され、全ての対象商品に対応する電子棚札2の表示内容が正しく更新されることになる。
【0080】
なお、実際には送信ボタンを押下してから(ステップST12にてYesとなってから)、全ての対象商品に関する商品情報の送信が完了するまで(ステップST16にてNoとなるまで)の処理時間はほぼ瞬時となる。このため、複数の対象商品が存在する場合であっても、それらにそれぞれ対応する複数の電子棚札2の表示内容は、送信ボタンの押下後にほぼ同時に変更されることになる。
【0081】
このように電子棚札2への情報信号の送信は、ハンディターミナル3の送信ボタンの押下に応答して開始される。ユーザたる店舗スタッフPは、ショーケース50の販売側で送信ボタンを押下することも可能であるが、ハンディターミナル3は可搬性であるため、図12に示すように、ショーケース50の顧客側にハンディターミナル3を持ち出してから送信ボタンを押下することも可能である。このように顧客側において店舗スタッフPが送信ボタンを押下すれば、必然的に店舗スタッフPの意識は電子棚札2の表示内容に向かう。このため、店舗スタッフPが、電子棚札2の表示する単価が正しく更新されたことを的確に確認できることになる。また、対象商品に対応する電子棚札2のうちで表示内容が更新されない電子棚札2が存在すれば、通信不良と判断できる。このため、店舗スタッフPは、通信不良を容易に発見することも可能となる。
【0082】
なお、上記では商品の単価を変更した場合を例として説明を行ったが、「商品名」や「単位」等の商品の単価以外の商品情報を変更した場合であっても、上記と同様の処理を行えばよい。
【0083】
<5−2.システム導入時の処理>
また、売価表示システム100を店舗へ導入する際には、商品情報を電子棚札2に送信する前に、電子棚札2と商品とを対応付けてリンクファイルD3を生成する必要がある。以下では、このようなシステム導入時における売価表示システム100の処理等の流れについて説明する。
【0084】
図13は、システム導入時における売価表示システム100の各装置に係る処理等の流れを示す図である。図13に示す処理の開始時点においては、スケールレジスタ1のSRAM104には商品マスタD1が予め記憶されているが、ハンディターミナル3のSRAM304には商品マスタD2及びリンクファイルD3のいずれも記憶されていないものとする。また、スケールレジスタ1のカードリーダライタ16にはメモリカード4が予め挿入されているものとする。
【0085】
まず、スケールレジスタ1の操作部14に含まれる書込ボタンがユーザにより押下される。これに応答して、SRAM104から商品マスタD1が読み出され、カードリーダライタ16に挿入されたメモリカード4に書き込まれる(ステップS21)。
【0086】
次に、商品マスタD1が記録されたメモリカード4がカードリーダライタ16から取り出され(ステップS22)、ハンディターミナル3のカードリーダライタ35に挿入される(ステップS23)。
【0087】
次に、ハンディターミナル3の操作部34に含まれる読取ボタンがユーザにより押下される。これに応答して、カードリーダライタ35に挿入されたメモリカード4から商品マスタD1が読み取られ、SRAM104に商品マスタD2として記憶される。これにより、当該店舗で取り扱う全ての商品に係る「商品コード」を含む商品情報がハンディターミナル3に取得される(ステップS24)。
【0088】
次に、取得された各商品の「商品コード」と、電子棚札2の「装置コード」とを対応付ける対応付け処理がハンディターミナル3において行われる(ステップS25)。図14は、対応付け処理の詳細な流れを示す図である。
【0089】
まず、ハンディターミナル3の表示部33に、電子棚札2と未対応の商品の商品情報が一覧表示される。この動作の開始時点では、全ての商品が電子棚札2と未対応であるため、商品マスタD2に含まれる全てのレコードの内容(「商品コード」「商品名」「単位」「単価」等)が表示部33に表示される(ステップST31)。
【0090】
次に、未対応の商品のうちの一つがその時点での対応付けの対象となる「対応対象商品」として選択される。この際、商品マスタD2におけるレコードの登録順などに基づいてCPU301により対応対象商品が選択されてもよく、ユーザの操作を操作部34で受け付けることにより一覧表示された未対応の商品のうちのユーザ所望の商品が対応対象商品として選択されてもよい(ステップST32)。
【0091】
次に、対応対象商品に対応付けるべき電子棚札2から、当該電子棚札2の「装置コード」がハンディターミナル3に取得される。具体的には、電子棚札2の前面に貼付されたラベル25のバーコードがバーコードリーダ31により読み取られ、そのバーコードが示す「装置コード」がRAM303に格納される(ステップST33)。
【0092】
次に、対応対象商品の「商品コード」と、取得された「装置コード」とを対応付けるように、リンクファイルD3の一のレコードがCPU301により生成され、該レコードがリンクファイルD3に登録される。これにより、対応対象商品と、該商品に対応付けるべき電子棚札2とがデータ的に対応付けされる(ステップST34)。
【0093】
以上のようにして、対応対象商品と電子棚札2との対応付けが完了すると(ステップST35)、電子棚札2との対応付けが完了していない未対応の商品が存在するか否かが判定される(ステップST35)。そして、存在していた場合は(ステップST35にてYes)、処理はステップST31に戻り、未対応の商品の商品情報が再び一覧表示される。この際、既に対応付けがなされた商品については表示がなされないため、前回の表示の際よりも一覧表示される商品の数は一つ減ることになる。そして、次の一の未対応の商品が新たに対応対象商品として選択され(ステップST32)、上記と同様にして電子棚札2と対応付けされる。このような処理が繰り返され、最終的に全ての商品が電子棚札2と1対1の関係で対応付けされることになる。
【0094】
図13に戻り、このようにして対応付け処理(ステップS25)が完了すると、ハンディターミナル3において商品情報を送信する情報送信処理がなされ(ステップS26)、電子棚札2においてその商品情報を受信する情報受信処理がなされる(ステップS27)。これらの処理の詳細は、図11に示すものと同様である。ただし、この場合は、商品マスタD2に含まれる全ての商品が対象商品とされることになる。したがって、対応付け処理により商品に対応付けられた全ての電子棚札2において、商品の商品情報が表示されることになる。
【0095】
<6.まとめ>
以上のように、本実施の形態の売価表示システム100は、精算処理を行うスケールレジスタ1と、商品に対応して配置されて商品の売価を表示する電子棚札2と、ハンディターミナル3とを備えている。スケールレジスタ1が精算処理に利用する商品の売価は、商品マスタとしてメモリカード4を介してハンディターミナル3に受け渡され、さらに、商品の売価はハンディターミナル3から各電子棚札2に無線通信により送信される。このように、スケールレジスタ1が利用する商品の売価がハンディターミナル3を介して電子棚札2に伝達されることから、天井工事やケーブル配線工事などの大規模な設備工事を行うことなく、精算処理の売価と電子棚札が表示する売価とを一致させることができる。したがって、売価表示システム100は、百貨店の食品売場等における比較的小規模なテナント区画などにも好適に導入可能である。
【0096】
また、ハンディターミナル3は可搬性であることから、前述のようにショーケース50の顧客側などでも取り扱うことが可能であり、無線通信の通信可能距離に制約されず、どのような場所にある電子棚札2に対しても商品の売価を送信することができる。したがって、電子棚札2の配置に関する制約がほぼ無いため、ショーケース50の内外に係わらず様々な位置に商品を配置することができる。例えば、図1や図12に示すように、ショーケース50外の陳列台52などに商品5を陳列した場合であっても、その近傍に配置した電子棚札2に対して商品の売価を送信できることになる。
【0097】
また、ハンディターミナル3はバーコードリーダ31により電子棚札2の「装置コード」を取得できるため、商品と電子棚札2との対応付けにもハンディターミナル3を利用することができ、他の装置を必要としない。
【0098】
<7.他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態(以下、「第1形態」という。)に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような他の実施の形態について説明する。もちろん、以下で説明する形態を適宜に組み合わせてもよい。
【0099】
<7−1.第2形態>
第1形態では、ハンディターミナル3の送信ボタンが押下されると、複数の対象商品にそれぞれ対応する複数の電子棚札2の表示内容がほぼ同時に変更されると説明した。しかしながら、対象商品の数が多くなると、いずれの電子棚札2において表示内容が更新されたかが把握できず、通信不良があったとしてもそれを判断できない可能性もある。このため、本形態では、電子棚札2が商品の売価を受信すると、これに応答して返答信号を返答するようになっている。そして、この返答信号の有無に基づいて、ハンディターミナル3において通信不良が自動的に判定される。
【0100】
図15は、本形態におけるハンディターミナル3の情報送信処理及び電子棚札2の情報受信処理の詳細な流れを示す図である。
【0101】
ハンディターミナル3によるステップST41〜ST45,ST47の処理は、図11に示すステップST11〜S16の処理と同様である。すなわち、まず、対象商品の商品情報が表示部33に一覧表示される(ステップST41)。そして、送信ボタンが押下されると(ステップST42)、対象商品の一つを注目商品とし、その注目商品に対応する電子棚札2に対して商品情報が情報信号として送信される(ステップST43〜ST45)。この情報信号の送信処理は、対象商品ごとに繰り返される(ステップST47,ST43)。
【0102】
一方で、電子棚札2によるステップST51〜ST53の処理も、図11に示すステップST21〜S23の処理と同様である。すなわち、情報信号を受信すると(ステップST51)、その受信に応答して情報信号に含まれる「装置コード」が自装置のものと一致するかが確認される(ステップST52)。そして、「装置コード」が自装置のものと一致した場合は、情報信号に含まれる商品情報が表示部23に表示される(ステップST53)。
【0103】
さらに、本形態の電子棚札2では、商品情報が表示されるとともに、返答信号が電子棚札2の無線通信部24から発信される(ステップST54)。この返答信号の発信により、電子棚札2は情報信号を正常に受信したことを示すことになる。電子棚札2から発信された返答信号は、ハンディターミナル3の無線通信部32に受信される(ステップST46)。
【0104】
ハンディターミナル3では、全ての対象商品に関して商品情報が電子棚札2に送信されると(ステップST47にてNo)、次に、対象商品の数(すなわち、情報信号を送信した回数)と、返答信号を受信した回数とが比較される。通信不良がなければ、これらの数は一致するはずである。したがって、これらの比較により数が一致すれば通信が正常に完了したと判定される。その一方で、数が一致しなければ通信不良が生じたと判定される。このような通信不良の判定は、CPU301により行われる(ステップST48)。
【0105】
次に、通信不良の判定の結果が表示部23に表示される。すなわち、通信が正常に完了した場合は「正常終了」と表示され、通信不良が生じた場合は「通信不良あり」と表示される(ステップST49)。
【0106】
ハンディターミナル3のユーザは、このような判定結果の表示を閲覧した後、対象商品の商品情報を再度送信する指示を操作部34を介して行うことができる。操作部34により再度送信する指示をユーザから受け付けた場合は(ステップST50にてYes)、処理はステップST43に戻り、再び、全ての対象商品に関して商品情報が電子棚札2に送信されることになる。
【0107】
このように本形態では、返答信号の有無に基づいて通信不良が自動的に判定され、その結果が表示されることから、通信不良があったことを容易に把握することが可能である。なお、通信不良の判定の結果の出力手法は上記のものに限定されず、所定音声の出力やランプの点滅などにより行ってもよい。また、通信不良が生じた場合にのみ、警告の旨の出力を行うようにしてもよい。
【0108】
また、返答信号に電子棚札2の「装置コード」を含ませ、その「装置コード」に基づいていずれの電子棚札2に対する情報信号の送信において通信不良があったかを特定できるようにしてもよい。この場合は、通信不良があった電子棚札2に対応する対象商品のみの商品情報を再度送信するようにすればよい。
【0109】
<7−2.第3形態>
第2形態では、電子棚札2が、商品の売価の受信に応答して返答信号を返答するとしていたが、商品の売価の受信に応答してその受信の旨を示す特殊表示を行うようにしてもよい。
【0110】
図16は、本形態における電子棚札2の情報受信処理の詳細な流れを示す図である。この電子棚札2によるステップST61〜ST63の処理は、図11に示すステップST21〜S23の処理と同様である。すなわち、情報信号を受信すると(ステップST61)、その受信に応答して情報信号に含まれる「装置コード」が自装置のものと一致するかが確認される(ステップST62)。そして、「装置コード」が自装置のものと一致した場合は、情報信号に含まれる商品情報が表示部23に表示される(ステップST63)。
【0111】
さらに、本形態の電子棚札2では、商品情報が表示されるとともに、図17に示すように、受信マーク23mが点滅して表示される(ステップST64)。この点滅表示により、電子棚札2は情報信号を正常に受信したことを示すことになる。このような点滅表示は、所定の期間(例えば、10秒間)継続され、その後、受信マーク23mは非表示とされる。
【0112】
このように本形態では、電子棚札2が情報信号を受信すると受信マーク23mの点滅表示を行うことから、この表示を行わない電子棚札2においては通信不良があったと容易に判断することが可能である。なお、受信の旨を示す特殊表示は、受信マーク23mの点滅表示には限定されず、受信マーク23m等の所定のマークを単に一定期間表示するのみであってもよい。また、表示部23の表示ではなく、所定のランプを一定期間点滅あるいは点灯させるようにしてもよい。
【0113】
<7−3.第4形態>
また、上記形態では、対象商品が複数あった場合においては、ハンディターミナル3の一回の送信ボタンの押下に応答してそれら対象商品の全ての商品情報が送信されるようになっていたが、一回の送信ボタンの押下に応答して一つの商品のみの商品情報が送信されるようになっていてもよい。
【0114】
図18は、本形態におけるハンディターミナル3の情報送信処理の詳細な流れを示す図である。
【0115】
まず、ハンディターミナル3の表示部33に、対象商品の商品情報が一覧表示される(ステップST71)。次に、ハンディターミナル3は、送信ボタンの押下を待機する状態となる(ステップST72)。
【0116】
そして、送信ボタンが押下されると、対象商品のうちの一つが注目商品として選択される。このときにも、CPU301により注目商品が選択されてもよく、ユーザの操作により注目商品が選択されてもよいが、選択された注目商品は表示部33に表示される(ステップST73)。
【0117】
次に、注目商品の「商品コード」に対応する「装置コード」が取得され(ステップST74)、その「装置コード」と注目商品の商品情報とを含む情報信号が電子棚札2に向けて発信される(ステップST75)。これにより、注目商品に対応する電子棚札2のみの表示が更新される。
【0118】
次に、商品情報の送信が完了していない対象商品が存在するか否かが判定され、存在していた場合は(ステップST76にてYes)、処理はステップST71に戻り、再び、対象商品の商品情報が一覧表示される。この際、既に商品情報の送信が完了した対象商品については、表示態様を変更するなどによりその旨を明示するか、表示を行わないことが好ましい。
【0119】
この表示がなされると再びハンディターミナル3は送信ボタンの押下を待機する状態となる(ステップST73)。そして、送信ボタンが押下されると、次の一の対象商品が新たに注目商品として選択され、上記と同様にして注目商品に関する商品情報が電子棚札2に送信されることになる。
【0120】
このように本形態では、一回の送信ボタンの押下に応答して一つの商品のみの商品情報が送信されることから、ハンディターミナル3を取り扱うユーザ(店舗スタッフP)の意識を一つの電子棚札2の表示のみに向けることができる。したがって、一つの電子棚札2ごとに通信不良があったか否かを確認することができることになる。なお、本形態においても、第2形態のように電子棚札2からの返答信号により通信不良を判定するようにしてもよく、第3形態のように電子棚札2が特殊表示を行うようにしてもよい。
【0121】
<7−4.その他の変形例>
上記形態では、スケールレジスタ1の商品マスタD1がメモリカード4を介してハンディターミナル3に受け渡されるようになっていたが、フレキシブルディスクやUSBメモリなどの他の方式の記録媒体によって受け渡されるようになっていてもよい。
【0122】
また、図19に示すように、スケールレジスタ1とハンディターミナル3とを通信ケーブル41を介してあるいは直接的に接続して相互にデータ通信を可能とさせ、データ通信によりスケールレジスタ1からハンディターミナル3に商品マスタD1が受け渡されるようになっていてもよい。
【0123】
また、図20に示すように、スケールレジスタ1とハンディターミナル3との相互間で無線によるデータ通信を可能とさせ、この無線通信によりスケールレジスタ1からハンディターミナル3に商品マスタD1が受け渡されるようになっていてもよい。この場合は、スケールレジスタ1とハンディターミナル3との双方に同一のプロトコルに対応した無線通信部を設ければよい。
【0124】
また、上記形態では、スケールレジスタ1は1台のみであったが、図21に示すように複数のスケールレジスタ1が存在していてもよい。この場合は、複数のスケールレジスタ1をケーブル109などで接続し、複数のスケールレジスタ1の相互間で共通の商品マスタを利用可能とさせることが望ましい。そして、複数のスケールレジスタ1のいずれにおいてもその共通の商品マスタをメモリカード4に書き込めるようにすることが望ましい。
【0125】
また、上記形態では、対応付け処理において電子棚札2から「装置コード」を取得する際に、ラベル25のバーコードがハンディターミナル3に読み取られていたが、電子棚札2の表示部23に「装置コード」を示すバーコードが表示され、該バーコードが読み取られるようになっていてもよい。また、電子棚札2とハンディターミナル3との間で無線あるいは有線の通信を行って、ハンディターミナル3が電子棚札2から「装置コード」を取得するようになっていてもよい。
【0126】
また、上記形態では、精算処理装置が商品の計量機能を有するスケールレジスタ1であるとして説明を行ったが、商品の計量機能の無い精算処理装置であってもよい。
【0127】
また、上記形態では、リンクファイルD3がハンディターミナル3に記憶されると説明したが、スケールレジスタ1にリンクファイルが記憶されてもよい。この場合は、商品マスタD1とリンクファイルD3との双方がスケールレジスタ1からハンディターミナル3に受け渡されてもよく、商品の商品情報(商品の売価等)が電子棚札2の「装置コード」に対応付けられた状態でスケールレジスタ1からハンディターミナル3に受け渡されてもよい。また、商品マスタD1の各レコードに電子棚札2の「装置コード」を登録しておき、商品マスタD1によって商品と電子棚札2とが対応付けされてもよい。
【0128】
またところで、図1に示すような店舗では、上記形態とは異なる売価表示システムの態様として、商品を収容するトレー51にICタグ(RFIDタグ)を取り付ける一方で、電子棚札2にICタグを読み取るリーダを設けておくことも考えられる。この場合は、トレー51のICタグに、スケールレジスタ1で利用する商品の単価や商品名等の商品情報を予め記憶させる。このICタグへの情報の送信は、上記形態の電子棚札2への情報の送信とほぼ同様に、ハンディターミナル3を利用した無線通信により行うことができる。そして、電子棚札2は、そのICタグの記憶内容を読み取り、それにより取得した商品情報を表示する。この場合は、ハンディターミナル3から電子棚札2に間接的に商品情報が送信されることになる。
【0129】
またところで、図1に示すような対面販売方式の店舗では、顧客は店舗スタッフPに対し希望する商品を口頭で申し出ることになるため、誤った商品が取り出されて精算処理が行われる可能性がある。これに対応するため、各商品の近傍(商品を収容するトレー51など)にスケールレジスタ1から制御可能なLEDなどの発光体を取り付け、商品と発光体とを1対1で対応付けておく。そして、ある商品についての精算処理がなされた場合には、スケールレジスタ1からの制御により当該商品に対応する発光体を点灯させるようにしてもよい。このようにすれば、顧客は、発光体の点灯状態により、購入を希望した商品と、実際に精算処理がなされている商品とが一致していることを容易に確認できる。
【0130】
またところで、図1に示すような対面販売方式の店舗では、一般に、顧客が店舗スタッフPに商品の購入を申し出た順で売買取引がなされる。このため、購入を申し出るタイミングを逃した顧客に関しては、後から来た顧客の方が先に売買取引がなされてしまい、不公平感を生じさせる可能性がある。また、購入の申し出を気後れする顧客に関しては、販売チャンスを逃してしまう可能性もある。これに対応するため、顧客が購入する順番の予約を行うことが可能な購入予約装置を、ショーケース50の顧客側に設けるようにしてもよい。
【0131】
この購入予約装置は、表示部と操作部と印刷部とを備えている。購入を希望する顧客は、この購入予約装置の操作部を操作して購入予約の旨を入力する。これにより、表示部に予約番号(購入予約をした順番)が表示されるとともに、印刷部において予約番号が印刷された用紙が発行される。顧客は、この予約番号を覚えておき、販売スタッフPから予約番号が呼ばれたら、希望する商品の購入を申し出ることになる。これによれば、購入を申し出るタイミングを逃すことが無くなり、不公平感が無くなって顧客満足度が向上し、販売チャンスを逃すことも無くなる。また、顧客が操作部を操作して、購入を希望する商品の商品名及び重量/個数を購入予約装置に予め入力できるようになっていてもよい。これによれば、顧客が申し出るべき内容が店舗側に予め伝達されているため、売買取引の順番が回ってきた時点で改めて希望する商品の商品名や重量/個数を申し出る必要がないため、速やかに売買取引を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】売価表示システムが導入される店舗の一例を示す図である。
【図2】売価表示システムの構成の一例を示す図である。
【図3】スケールレジスタの外観構成を示す図である。
【図4】スケールレジスタの機能構成を示すブロック図である。
【図5】商品マスタの一例を示す図である。
【図6】ハンディターミナルの外観構成を示す図である。
【図7】ハンディターミナルの機能構成を示すブロック図である。
【図8】リンクファイルの一例を示す図である。
【図9】電子棚札の構成を示す図である。
【図10】単価変更時における売価表示システムの処理等の流れを示す図である。
【図11】情報送信処理及び情報受信処理の詳細な流れを示す図である。
【図12】ハンディターミナルを利用する様子を示す図である。
【図13】システム導入時における売価表示システムの処理等の流れを示す図である。
【図14】対応付け処理の詳細な流れを示す図である。
【図15】第2形態における情報送信処理及び情報受信処理の詳細な流れを示す図である。
【図16】第3形態における情報受信処理の詳細な流れを示す図である。
【図17】受信マークを表示した電子棚札の様子を示す図である。
【図18】第4形態における情報送信処理の詳細な流れを示す図である。
【図19】売価表示システムの他の構成の一例を示す図である。
【図20】売価表示システムの他の構成の一例を示す図である。
【図21】売価表示システムの他の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0133】
1 スケールレジスタ
2 電子棚札
3 ハンディターミナル
4 メモリカード
5 商品
16 カードリーダライタ
35 カードリーダライタ
50 ショーケース
100 売価表示システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の売価を表示するための売価表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーマーケット等の比較的大規模な店舗において取り扱う商品の売価を顧客に示すための売価表示システムとして、電子棚札システム(ESLシステム/Electronic Shelf Label System)が実用化されている。
【0003】
電子棚札システムにおいては、可搬性の表示装置である電子棚札が各商品に対応して配置される。そして、精算処理に利用される商品の売価が無線信号として、トランシーバから各電子棚札に送信され、その商品の売価が各電子棚札に表示される。これにより、電子棚札において、精算処理の売価と一致する正しい商品の売価が表示されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
なお、本発明に関連する技術を開示する先行技術文献として、下記の文献がある。
【0005】
【特許文献1】特開2004−265196号公報
【特許文献2】特開2005−301030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような売価表示システムを、百貨店の食品売場等における比較的小規模なテナント区画などに導入することが強く要望されている。しかしながら、従来の売価表示システムでは、電子棚札に無線信号を送信するトランシーバを天井などに設置することが必要である一方で、一般的なテナント区画では天井工事やケーブル配線工事などの大規模な設備工事は各種制約により不可能となっている。このため、売価表示システムを小規模なテナント区画などに容易に導入できなかった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、大規模な設備工事を行うことなく、精算処理の売価と電子棚札が表示する売価とを一致させることができる売価表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、商品の売価を表示するための売価表示システムであって、商品に対応して配置され、商品の売価を受信して該売価を表示する電子棚札と、前記電子棚札と通信可能な可搬性通信装置と、を備え、前記可搬性通信装置は、精算処理を行う精算処理装置が利用する商品の売価を取得する取得手段と、前記取得手段に取得された前記商品の売価を前記電子棚札に無線通信により送信する送信手段と、を備えている。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の売価表示システムにおいて、前記可搬性通信装置は、ユーザ操作を受け付ける受付手段、をさらに備え、前記送信手段は、前記ユーザ操作に応答して前記商品の売価を送信する。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の売価表示システムにおいて、前記送信手段は、一回の前記ユーザ操作に応答して、一つの商品のみの売価を送信する。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項2に記載の売価表示システムにおいて、前記送信手段は、一回の前記ユーザ操作に応答して、複数の商品の売価を送信可能である。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、前記電子棚札は、前記送信手段から送信された前記商品の売価の受信に応答して、返答信号を無線通信により発信する発信手段、を備え、前記可搬性通信装置は、前記返答信号を受信する受信手段と、前記返答信号に基づいて前記送信手段の送信に係る通信不良を判定する判定手段と、前記判定手段による判定の結果を出力する出力手段と、をさらに備えている。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項2ないし5のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、前記電子棚札は、前記送信手段から送信された前記商品の売価の受信に応答して、その旨を示す特殊表示を行う手段、をさらに備えている。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、前記可搬性通信装置は、商品と電子棚札とを対応付けるリンク情報を記憶する手段、をさらに備え、前記送信手段は、前記リンク情報に基づいて、前記商品の売価を該商品に対応する電子棚札に送信する。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項7に記載の売価表示システムにおいて、前記可搬性通信装置は、前記精算処理装置が利用する商品識別情報を取得する手段と、前記電子棚札から、該電子棚札を識別する装置識別情報を取得する手段と、前記商品識別情報と前記装置識別情報とを用いて、前記リンク情報を生成する手段と、をさらに備えている。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、前記取得手段は、前記精算処理装置が書き込みした記録媒体の読み取りにより、前記商品の売価を取得する。
【0017】
また、請求項10の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、前記取得手段は、前記精算処理装置との間での無線通信により、前記商品の売価を取得する。
【0018】
また、請求項11の発明は、請求項1ないし10のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、前記精算処理装置、をさらに備えている。
【0019】
また、請求項12の発明は、請求項11に記載の売価表示システムにおいて、前記精算処理装置は、商品を計量し、その計量結果に基づいて精算処理を行うスケールレジスタを含む。
【発明の効果】
【0020】
請求項1ないし12の発明によれば、精算処理装置が利用する商品の売価が可搬性通信装置を介して電子棚札に伝達されるため、大規模な設備工事を行うことなく、精算処理の売価と電子棚札が表示する売価とを一致させることができる。
【0021】
また、特に請求項2の発明によれば、ユーザ操作に応答して電子棚札への売価の送信を行うため、ユーザの意識を電子棚札が表示する売価へ向けることができる。その結果、電子棚札への通信不良を容易に発見できる。
【0022】
また、特に請求項3の発明によれば、一回のユーザ操作に応答して一つの商品のみの売価を送信するため、一つの電子棚札ごとに通信不良を確認できる。
【0023】
また、特に請求項4の発明によれば、一回のユーザ操作に応答して複数の商品の売価を送信可能であるため、送信する時間を短縮できる。
【0024】
また、特に請求項5の発明によれば、送信手段に係る通信不良を判定し、その結果が出力されるため、通信不良を容易に把握できる。
【0025】
また、特に請求項6の発明によれば、電子棚札は商品の売価の受信に応答して特殊表示を行うため、特殊表示がなければ通信不良と容易に判断できる。
【0026】
また、特に請求項7の発明によれば、リンク情報に基づいて、商品の売価を、その商品に対応する正しい電子棚札に送信することができる。
【0027】
また、特に請求項8の発明によれば、商品と電子棚札との対応付けに、可搬性通信装置を利用できる。
【0028】
また、特に請求項9の発明によれば、大規模な設備工事を行うことなく、商品の売価を簡易に取得できる。
【0029】
また、特に請求項10の発明によれば、大規模な設備工事を行うことなく、商品の売価を簡易に取得できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0031】
<1.システム概要>
図1は、本実施の形態に係る売価表示システムが導入される店舗の一例を示す図である。この店舗は、例えば、百貨店の食品売場の一つのテナント区画に設けられる対面販売方式の店舗である。図に示すように、この店舗では、ショーケース50内にトレー51に収容された状態で各種の商品(食品)5が陳列されている。また、必要に応じてショーケース50の外の陳列台52などにおいても商品5が陳列される。
【0032】
顧客(消費者)は、これらの商品5を見ながら購入を希望する商品5を、ショーケース50を挟んで対向する店舗スタッフPに申し出て、その場で当該商品5の売買取引の精算(決済)を行う。各商品には、所定の販売単位(所定重量あるいは所定個数)あたりの売価が単価として設定されており、顧客は商品の購入時に所望の重量あるいは個数を店舗スタッフPに申し出ることになる。なお、以下の説明では便宜上、ショーケース50に対して、顧客が存在する側(図中の手前側)を「顧客側」といい、その反対側(図中の奥側)を「販売側」という。
【0033】
精算処理は、ショーケース50上に配置されたスケールレジスタ1により行われる。このスケールレジスタ1は、商品の計量機能を有する精算処理装置であり、商品の個数に基づいた精算処理とともに、商品の計量結果(すなわち、重量)に基づいた精算処理を行うことも可能となっている。店舗スタッフPは、販売単位が重量となる商品については、スケールレジスタ1で商品を計量して、その重量及び単価に応じた取引価格で商品の売買取引を行うことになる。
【0034】
また、これらの商品5の単価(販売単位あたりの売価)は、可搬性の小型表示装置である電子棚札2に表示されるようになっている。電子棚札2は、それぞれ一の商品5(正確には、一の商品の種類)に対応付けられており、その対応する商品5の陳列位置の近傍に配置される。したがって、陳列台52などに商品5が陳列される際には、その陳列台52にも電子棚札2が配置される。各電子棚札2は表示部を備えており、該表示部には対応する商品5の単価等の商品情報が電子的に表示される。各電子棚札2の表示部は顧客側に向けられており、このような電子棚札2の表示により顧客は各商品5の単価を認識することになる。
【0035】
図に示す店舗において、スケールレジスタ1が精算処理に利用する商品5の単価と、電子棚札2が表示する商品5の単価とは常に一致している必要がある。本実施の形態に係る売価表示システムは、これらの商品5の単価を一致させる機能を有している。図2は、この売価表示システム100の構成を模式的に示す図である。
【0036】
図に示すように、売価表示システム100は、上述したスケールレジスタ1及び電子棚札2とともに、可搬性通信装置であるハンディターミナル3を備えている。スケールレジスタ1が利用する商品の単価は、まず、可搬性の情報記録媒体であるメモリカード4を介してハンディターミナル3に取得される。さらに、その商品の単価はハンディターミナル3から各電子棚札2に無線通信により送信され、各電子棚札2において表示される。これにより、スケールレジスタ1が精算処理に利用する商品の単価と、電子棚札2が表示する商品の単価とが一致されるようになっている。以下では、このような売価表示システム100の構成及び動作について詳細に説明する。
【0037】
<2.スケールレジスタの構成>
図3はスケールレジスタ1の外観構成を示す図であり、図4はスケールレジスタ1の機能構成を示すブロック図である。
【0038】
図3に示すように、スケールレジスタ1は、商品の重量を計測する計量部11と、各種情報を表示する2つの表示部12,13と、ユーザ操作を受け付ける操作部14と、印刷物を発行する印刷発行部15とを主に備えている。
【0039】
計量部11は、スケールレジスタ1の上部に設けられており、その上面に載置された商品の重量をロードセルなどにより計量する。表示部12,13は、店舗スタッフPが視認する販売側表示部12と、顧客が視認するための顧客側表示部13とから構成される。販売側表示部12は、タッチパネル機能を有しており、ユーザ(店舗スタッフP等)の操作を受け付けることも可能となっている。スケールレジスタ1は、販売側表示部12が販売側に、顧客側表示部13が顧客側にそれぞれ向くように配置される(図1参照。)。
【0040】
操作部14は、販売側表示部12に隣接して設けられており、店舗スタッフPの各種操作を受け付ける。また、印刷発行部15は、スケールレジスタ1の内部に設けられ、精算処理の結果をサーマルヘッドなどで用紙に印刷し、印刷した用紙をレシートとして発行する。
【0041】
また、操作部14の近傍には、メモリカード4の読み取り及び書き込みが可能なカードリーダライタ16が設けられている。メモリカード4は、カードリーダライタ16のカードスロットに対して着脱可能とされている。
【0042】
また、図4に示すように、スケールレジスタ1は、その内部に装置動作を制御するための制御部10を備えている。制御部10は、演算処理を行なうCPU101と、読出専用メモリであるROM102と、演算の作業領域としてのメモリであるRAM103と、不揮発性メモリであるバッテリーバックアップされたSRAM104とを備えており、これらは、バスライン19を介して相互に電気的に接続されている。また、このバスライン19には、上述した計量部11、販売側表示部12、顧客側表示部13、操作部14、印刷発行部15及びカードリーダライタ16の各処理部も接続され、これらは制御部10の制御下にて動作する。
【0043】
ROM102には、ファームウェアとなる専用のプログラムが予め記憶されている。このプログラムに従ってCPU101が演算処理を行なうことにより、スケールレジスタ1の各種機能が実現される。
【0044】
また、SRAM104には、スケールレジスタ1が取り扱う全商品(すなわち、店舗で販売する全商品)の商品情報を示すデータファイルである商品マスタD1が記憶されている。精算処理においては、この商品マスタD1の内容が利用される。
【0045】
図5は、商品マスタD1の一例を示す図である。図に示すように商品マスタD1はテーブル形式となっており、レコードR1のそれぞれが一の商品(正確には、一の商品の種類)に係る商品情報を示している。具体的には、各レコードR1ごとに「商品コード」、「商品名」、「単位」及び「単価」等のデータ項目が登録されている。ここで、「商品コード」は当該商品を識別するための商品識別情報であり、「商品名」は当該商品の名称であり、「単位」は当該商品の販売単位であり、「単価」は当該商品の販売単位あたりの売価である。この商品マスタD1の登録内容は、操作部14の操作により適宜に変更可能となっている。
【0046】
<3.ハンディターミナルの構成>
図6はハンディターミナル3の外観構成を示す図であり、図7はハンディターミナル3の機能構成を示すブロック図である。
【0047】
図6に示すように、ハンディターミナル3は、店舗スタッフPが容易に持ち運びできる小型の可搬性通信装置であり、バーコードを読み取るバーコードリーダ31と、無線通信を行うための無線通信部32と、各種情報を表示する表示部33と、ユーザ操作を受け付ける操作部34とを主に備えている。
【0048】
表示部33は、液晶ディスプレイ等で構成され、文字、記号、図形などの各種情報を表示する。無線通信部32は、電波や赤外線などの無線信号を送受信し、電子棚札2との間で無線によるデータ通信を行う。操作部34は、各種の入力ボタンで構成され、ユーザの各種操作を受け付ける。
【0049】
また、操作部34の近傍には、メモリカード4の読み取り及び書き込みが可能なカードリーダライタ35が設けられている。メモリカード4は、カードリーダライタ35のカードスロットに対して着脱可能とされている。
【0050】
また、図7に示すように、ハンディターミナル3は、その内部に装置動作を制御するための制御部30を備えている。制御部30は、演算処理を行なうCPU301と、読出専用メモリであるROM302と、演算の作業領域としてのメモリであるRAM303と、不揮発性メモリであるバッテリーバックアップされたSRAM304とを備えており、これらは、バスライン39を介して相互に電気的に接続されている。また、このバスライン39には、上述したバーコードリーダ31、無線通信部32、表示部33、操作部34及びカードリーダライタ35の各処理部も接続され、これらは制御部30の制御下にて動作する。
【0051】
ROM302には、ファームウェアとなる専用のプログラムが予め記憶されている。このプログラムに従ってCPU301が演算処理を行なうことにより、ハンディターミナル3の各種機能が実現される。
【0052】
また、SRAM304には、データファイルとして商品マスタD2とリンクファイルD3とが記憶されている。商品マスタD2は、スケールレジスタ1に記憶されていた商品マスタD1の複製物である。したがって、商品マスタD2は、商品マスタD1と同一形式及び同一内容のものとなる(図5も参照。)。この商品マスタD2は、メモリカード4を介して、スケールレジスタ1からハンディターミナル3に受け渡される。
【0053】
また、リンクファイルD3は、電子棚札2と商品とを対応付けるデータファイルである。このリンクファイルD3が利用されることで、ある商品の単価(売価)が、その商品に対応する電子棚札2に対して送信されることになる。
【0054】
図8は、リンクファイルD3の一例を示す図である。図に示すように、リンクファイルD3はテーブル形式となっており、各レコードR3ごとに「商品コード」と「装置コード」とが対応付けられている。ここで「装置コード」とは、売価表示システム100が備える複数の電子棚札2を識別するための各装置にユニークな装置識別情報(ハードウェアID)である。このようなリンクファイルD3により、電子棚札2と商品とが1対1の関係でデータ的に対応付けられる。
【0055】
<4.電子棚札の構成>
図9は、電子棚札2の構成を示す図である。図に示すように電子棚札2の前面には、対応する商品の商品情報を表示するための表示部23と、無線通信を行うための無線通信部24とが配置されている。
【0056】
表示部23は、液晶ディスプレイや電子ペーパなど、直交二次元配列された複数の画素から構成されるドットマトリクス方式の表示デバイスで構成され、商品の単価などを示す数値のみならず、文字、記号、図形など各種の情報の表示が可能である。図に示すように、電子棚札2の表示部23には、「商品名」23a、「単位」23b及び「単価」23cなどの、当該電子棚札2が対応する商品の商品情報が表示される。ここで「電子ペーパ」とは、表示内容の書替可能で、かつ、駆動電力の非供給状態においても表示内容を維持可能な不揮発性の表示デバイスである。このような「電子ペーパ」は、例えば特許文献2に開示されている。
【0057】
無線通信部24は、電波や赤外線などの無線信号を送受信し、ハンディターミナル3との間で無線によるデータ通信を行う。無線通信部24は、ハンディターミナル3から、無線信号として対応する商品の単価等の商品情報を受信することになる。
【0058】
また、電子棚札2の前面には、バーコードを記録したラベル25が貼付されている。このラベル25のバーコードは、当該電子棚札2に固有の「装置コード」をエンコードしたものである。なお、「装置コード」を示すバーコードの形式は、一次元バーコードに限定されず、QRコードなどの二次元バーコードであってもよい。
【0059】
また、電子棚札2は、その内部に装置動作を制御するため制御部20を備えている。制御部20は、演算処理を行なうCPU21と、各種情報を記憶する不揮発性のメモリ22とを備えている。ハンディターミナル3から送信された商品情報は、電子棚札2の無線通信部24に受信されて一旦メモリ22に記憶された後、制御部20の制御により表示部23に表示される。また、メモリ22には、自装置に固有の「装置コード」が予め記憶されている。ラベル25が示す「装置コード」と、このメモリ22内に記憶された「装置コード」とは同一のものとなる。
【0060】
<5.処理>
次に、上記のように構成される売価表示システム100の具体的な処理の内容について説明する。
【0061】
<5−1.単価変更時の処理>
売価表示システム100の利用にあたって、スケールレジスタ1において精算処理に利用する商品の単価(商品マスタD1に登録されている単価)を変更した際には、電子棚札2が表示する商品の単価も変更する必要がある。以下では、このような単価変更時における売価表示システム100の処理やユーザ(店舗スタッフP)の作業(以下、「処理等」という。)の流れについて説明する。
【0062】
図10は、単価変更時における売価表示システム100の各装置に係る処理等の流れを示す図である。図中において、符号P1で示す領域はスケールレジスタ1に係る処理等、符号P2で示す領域はハンディターミナル3に係る処理等、符号P3で示す領域は電子棚札2に係る処理等をそれぞれ示している(以降に説明する図でも同様とする。)。
【0063】
なお、図10に示す処理等の開始時点においては、スケールレジスタ1のSRAM104には商品マスタD1が予め記憶されており、ハンディターミナル3のSRAM304には当該商品マスタD1と同一内容の商品マスタD2と、リンクファイルD3とが予め記憶されているものとする。また、スケールレジスタ1のカードリーダライタ16にはメモリカード4が予め挿入されているものとする。
【0064】
まず、スケールレジスタ1の操作部14に対してユーザにより操作がなされ、精算処理に利用する商品の単価が変更される。変更後の商品の単価は、SRAM104に記憶された商品マスタD1の当該商品に対応するレコードの「単価」に反映される。この際、一つの商品のみならず、複数の商品の単価を変更することも可能である(ステップS11)。
【0065】
次に、スケールレジスタ1の操作部14に含まれる書込ボタンがユーザにより押下される。これに応答して、SRAM104から商品マスタD1が読み出され、カードリーダライタ16に挿入されたメモリカード4に書き込まれる(ステップS12)。
【0066】
次に、商品マスタD1が記録されたメモリカード4がカードリーダライタ16から取り出され(ステップS13)、ハンディターミナル3のカードリーダライタ35に挿入される(ステップS14)。
【0067】
次に、ハンディターミナル3の操作部34に含まれる読取ボタンがユーザにより押下される。これに応答して、カードリーダライタ35に挿入されたメモリカード4から商品マスタD1が読み取られ、RAM303に格納される。これにより、変更後の商品の売価を含む商品情報がハンディターミナル3に取得される(ステップS15)。
【0068】
次に、読み出された商品マスタD1と、予めハンディターミナル3のSRAM304に記憶されていた商品マスタD2とが比較される。商品マスタD2は、商品の単価を変更する前の商品マスタD1の内容と一致していたことから、商品マスタD1と商品マスタD2との比較により、いずれの商品に関して単価が変更されたのかが容易に把握できる。このため、この比較により単価が変更されたと判断された商品が、以降の処理の対象となる「対象商品」として抽出される。この際、複数の商品が、対象商品として抽出されることもあり得る(ステップS16)。
【0069】
抽出された対象商品は、対応する電子棚札2に変更後の単価を送信すべき商品であるともいえる。対象商品が抽出されると、読み出された商品マスタD1がSRAM304の商品マスタD2に上書きされる。これにより、ハンディターミナル3が記憶する商品マスタD2の内容が更新され、スケールレジスタ1が記憶している商品マスタD1の内容と再び一致される。
【0070】
次に、ハンディターミナル3において電子棚札2に変更後の単価を含む商品情報を送信する情報送信処理がなされ(ステップS17)、電子棚札2においてその商品情報を受信する情報受信処理がなされる(ステップS18)。図11は、情報送信処理(ステップS17)及び情報受信処理(ステップS18)の詳細な流れを示す図である。
【0071】
まず、ハンディターミナル3の表示部33に、対象商品の商品情報が一覧表示される。すなわち、商品マスタD2に含まれるレコードのうち、対象商品に対応するものの内容(「商品コード」「装置コード」「単位」「単価」等)が表示部33に表示される(ステップST11)。
【0072】
次に、ハンディターミナル3の操作部34に含まれる送信ボタンの押下が待機される(ステップST12)。送信ボタンは、電子棚札2への商品情報の送信を指示する操作をユーザから受け付けるものである。
【0073】
送信ボタンが押下されると(ステップST12)、まず、対象商品のうちの一つがその時点での処理の対象となる「注目商品」として選択される。この際、商品マスタD2におけるレコードの登録順などに基づいてCPU301により注目商品が選択されてもよく、ユーザの操作を操作部34で受け付けることにより一覧表示された対象商品のうちのユーザ所望の商品が注目商品として選択されてもよい(ステップST13)。
【0074】
次に、注目商品に対応する電子棚札2が特定される。すなわち、リンクファイルD3が参照され、注目商品の「商品コード」に対応する「装置コード」が、CPU301により取得される(ステップST14)。
【0075】
次に、取得された「装置コード」と、注目商品の商品情報(商品マスタD2に登録された「商品コード」「商品名」「単位」「単価」等)とを含む情報信号が生成される。そして、この情報信号が無線信号に変換されて、無線通信部32から電子棚札2に向けて発信される(ステップST15)。
【0076】
ハンディターミナル3から発信された情報信号は、通信不良等がなければ売価表示システム100が備える全ての電子棚札2に受信される(ステップST21)。そして、この情報信号の受信に応答し、電子棚札2のそれぞれでは、ステップST22以降の処理がなされる。
【0077】
すなわち、まず、受信した情報信号に含まれる「装置コード」が、メモリ22に記憶された自装置の「装置コード」と一致するか否かが制御部20により判定される(ステップST22)。この際、情報信号に含まれる「装置コード」が自装置のものと一致しない場合は、該情報信号は自装置のための情報信号でないため、そのまま処理が終了する(ステップST22にてNo)。
【0078】
一方、情報信号に含まれる「装置コード」が自装置のものと一致した場合は(ステップST22にてYes)、該情報信号に含まれる商品情報がメモリ22に記憶されるとともに、その商品情報が図9の如く表示部23に表示される。これにより、表示部23の表示内容が更新され、変更後の注目商品の単価が表示部23に表示される(ステップST23)。このような電子棚札2の動作により、注目商品に対応する電子棚札2のみの表示が更新されることになる。
【0079】
ハンディターミナル3においては、注目商品に関する商品情報の送信(ステップST15)が完了すると、商品情報の送信が完了していない他の対象商品が存在するか否かが判定される(ステップST16)。そして、存在していた場合は(ステップST16にてYes)、処理はステップST13に戻り、次の一の対象商品が新たに注目商品として選択され、上記と同様にして注目商品に関する商品情報が電子棚札2に送信される。このような処理が繰り返され、最終的に全ての対象商品に関して商品情報が送信され、全ての対象商品に対応する電子棚札2の表示内容が正しく更新されることになる。
【0080】
なお、実際には送信ボタンを押下してから(ステップST12にてYesとなってから)、全ての対象商品に関する商品情報の送信が完了するまで(ステップST16にてNoとなるまで)の処理時間はほぼ瞬時となる。このため、複数の対象商品が存在する場合であっても、それらにそれぞれ対応する複数の電子棚札2の表示内容は、送信ボタンの押下後にほぼ同時に変更されることになる。
【0081】
このように電子棚札2への情報信号の送信は、ハンディターミナル3の送信ボタンの押下に応答して開始される。ユーザたる店舗スタッフPは、ショーケース50の販売側で送信ボタンを押下することも可能であるが、ハンディターミナル3は可搬性であるため、図12に示すように、ショーケース50の顧客側にハンディターミナル3を持ち出してから送信ボタンを押下することも可能である。このように顧客側において店舗スタッフPが送信ボタンを押下すれば、必然的に店舗スタッフPの意識は電子棚札2の表示内容に向かう。このため、店舗スタッフPが、電子棚札2の表示する単価が正しく更新されたことを的確に確認できることになる。また、対象商品に対応する電子棚札2のうちで表示内容が更新されない電子棚札2が存在すれば、通信不良と判断できる。このため、店舗スタッフPは、通信不良を容易に発見することも可能となる。
【0082】
なお、上記では商品の単価を変更した場合を例として説明を行ったが、「商品名」や「単位」等の商品の単価以外の商品情報を変更した場合であっても、上記と同様の処理を行えばよい。
【0083】
<5−2.システム導入時の処理>
また、売価表示システム100を店舗へ導入する際には、商品情報を電子棚札2に送信する前に、電子棚札2と商品とを対応付けてリンクファイルD3を生成する必要がある。以下では、このようなシステム導入時における売価表示システム100の処理等の流れについて説明する。
【0084】
図13は、システム導入時における売価表示システム100の各装置に係る処理等の流れを示す図である。図13に示す処理の開始時点においては、スケールレジスタ1のSRAM104には商品マスタD1が予め記憶されているが、ハンディターミナル3のSRAM304には商品マスタD2及びリンクファイルD3のいずれも記憶されていないものとする。また、スケールレジスタ1のカードリーダライタ16にはメモリカード4が予め挿入されているものとする。
【0085】
まず、スケールレジスタ1の操作部14に含まれる書込ボタンがユーザにより押下される。これに応答して、SRAM104から商品マスタD1が読み出され、カードリーダライタ16に挿入されたメモリカード4に書き込まれる(ステップS21)。
【0086】
次に、商品マスタD1が記録されたメモリカード4がカードリーダライタ16から取り出され(ステップS22)、ハンディターミナル3のカードリーダライタ35に挿入される(ステップS23)。
【0087】
次に、ハンディターミナル3の操作部34に含まれる読取ボタンがユーザにより押下される。これに応答して、カードリーダライタ35に挿入されたメモリカード4から商品マスタD1が読み取られ、SRAM104に商品マスタD2として記憶される。これにより、当該店舗で取り扱う全ての商品に係る「商品コード」を含む商品情報がハンディターミナル3に取得される(ステップS24)。
【0088】
次に、取得された各商品の「商品コード」と、電子棚札2の「装置コード」とを対応付ける対応付け処理がハンディターミナル3において行われる(ステップS25)。図14は、対応付け処理の詳細な流れを示す図である。
【0089】
まず、ハンディターミナル3の表示部33に、電子棚札2と未対応の商品の商品情報が一覧表示される。この動作の開始時点では、全ての商品が電子棚札2と未対応であるため、商品マスタD2に含まれる全てのレコードの内容(「商品コード」「商品名」「単位」「単価」等)が表示部33に表示される(ステップST31)。
【0090】
次に、未対応の商品のうちの一つがその時点での対応付けの対象となる「対応対象商品」として選択される。この際、商品マスタD2におけるレコードの登録順などに基づいてCPU301により対応対象商品が選択されてもよく、ユーザの操作を操作部34で受け付けることにより一覧表示された未対応の商品のうちのユーザ所望の商品が対応対象商品として選択されてもよい(ステップST32)。
【0091】
次に、対応対象商品に対応付けるべき電子棚札2から、当該電子棚札2の「装置コード」がハンディターミナル3に取得される。具体的には、電子棚札2の前面に貼付されたラベル25のバーコードがバーコードリーダ31により読み取られ、そのバーコードが示す「装置コード」がRAM303に格納される(ステップST33)。
【0092】
次に、対応対象商品の「商品コード」と、取得された「装置コード」とを対応付けるように、リンクファイルD3の一のレコードがCPU301により生成され、該レコードがリンクファイルD3に登録される。これにより、対応対象商品と、該商品に対応付けるべき電子棚札2とがデータ的に対応付けされる(ステップST34)。
【0093】
以上のようにして、対応対象商品と電子棚札2との対応付けが完了すると(ステップST35)、電子棚札2との対応付けが完了していない未対応の商品が存在するか否かが判定される(ステップST35)。そして、存在していた場合は(ステップST35にてYes)、処理はステップST31に戻り、未対応の商品の商品情報が再び一覧表示される。この際、既に対応付けがなされた商品については表示がなされないため、前回の表示の際よりも一覧表示される商品の数は一つ減ることになる。そして、次の一の未対応の商品が新たに対応対象商品として選択され(ステップST32)、上記と同様にして電子棚札2と対応付けされる。このような処理が繰り返され、最終的に全ての商品が電子棚札2と1対1の関係で対応付けされることになる。
【0094】
図13に戻り、このようにして対応付け処理(ステップS25)が完了すると、ハンディターミナル3において商品情報を送信する情報送信処理がなされ(ステップS26)、電子棚札2においてその商品情報を受信する情報受信処理がなされる(ステップS27)。これらの処理の詳細は、図11に示すものと同様である。ただし、この場合は、商品マスタD2に含まれる全ての商品が対象商品とされることになる。したがって、対応付け処理により商品に対応付けられた全ての電子棚札2において、商品の商品情報が表示されることになる。
【0095】
<6.まとめ>
以上のように、本実施の形態の売価表示システム100は、精算処理を行うスケールレジスタ1と、商品に対応して配置されて商品の売価を表示する電子棚札2と、ハンディターミナル3とを備えている。スケールレジスタ1が精算処理に利用する商品の売価は、商品マスタとしてメモリカード4を介してハンディターミナル3に受け渡され、さらに、商品の売価はハンディターミナル3から各電子棚札2に無線通信により送信される。このように、スケールレジスタ1が利用する商品の売価がハンディターミナル3を介して電子棚札2に伝達されることから、天井工事やケーブル配線工事などの大規模な設備工事を行うことなく、精算処理の売価と電子棚札が表示する売価とを一致させることができる。したがって、売価表示システム100は、百貨店の食品売場等における比較的小規模なテナント区画などにも好適に導入可能である。
【0096】
また、ハンディターミナル3は可搬性であることから、前述のようにショーケース50の顧客側などでも取り扱うことが可能であり、無線通信の通信可能距離に制約されず、どのような場所にある電子棚札2に対しても商品の売価を送信することができる。したがって、電子棚札2の配置に関する制約がほぼ無いため、ショーケース50の内外に係わらず様々な位置に商品を配置することができる。例えば、図1や図12に示すように、ショーケース50外の陳列台52などに商品5を陳列した場合であっても、その近傍に配置した電子棚札2に対して商品の売価を送信できることになる。
【0097】
また、ハンディターミナル3はバーコードリーダ31により電子棚札2の「装置コード」を取得できるため、商品と電子棚札2との対応付けにもハンディターミナル3を利用することができ、他の装置を必要としない。
【0098】
<7.他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態(以下、「第1形態」という。)に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような他の実施の形態について説明する。もちろん、以下で説明する形態を適宜に組み合わせてもよい。
【0099】
<7−1.第2形態>
第1形態では、ハンディターミナル3の送信ボタンが押下されると、複数の対象商品にそれぞれ対応する複数の電子棚札2の表示内容がほぼ同時に変更されると説明した。しかしながら、対象商品の数が多くなると、いずれの電子棚札2において表示内容が更新されたかが把握できず、通信不良があったとしてもそれを判断できない可能性もある。このため、本形態では、電子棚札2が商品の売価を受信すると、これに応答して返答信号を返答するようになっている。そして、この返答信号の有無に基づいて、ハンディターミナル3において通信不良が自動的に判定される。
【0100】
図15は、本形態におけるハンディターミナル3の情報送信処理及び電子棚札2の情報受信処理の詳細な流れを示す図である。
【0101】
ハンディターミナル3によるステップST41〜ST45,ST47の処理は、図11に示すステップST11〜S16の処理と同様である。すなわち、まず、対象商品の商品情報が表示部33に一覧表示される(ステップST41)。そして、送信ボタンが押下されると(ステップST42)、対象商品の一つを注目商品とし、その注目商品に対応する電子棚札2に対して商品情報が情報信号として送信される(ステップST43〜ST45)。この情報信号の送信処理は、対象商品ごとに繰り返される(ステップST47,ST43)。
【0102】
一方で、電子棚札2によるステップST51〜ST53の処理も、図11に示すステップST21〜S23の処理と同様である。すなわち、情報信号を受信すると(ステップST51)、その受信に応答して情報信号に含まれる「装置コード」が自装置のものと一致するかが確認される(ステップST52)。そして、「装置コード」が自装置のものと一致した場合は、情報信号に含まれる商品情報が表示部23に表示される(ステップST53)。
【0103】
さらに、本形態の電子棚札2では、商品情報が表示されるとともに、返答信号が電子棚札2の無線通信部24から発信される(ステップST54)。この返答信号の発信により、電子棚札2は情報信号を正常に受信したことを示すことになる。電子棚札2から発信された返答信号は、ハンディターミナル3の無線通信部32に受信される(ステップST46)。
【0104】
ハンディターミナル3では、全ての対象商品に関して商品情報が電子棚札2に送信されると(ステップST47にてNo)、次に、対象商品の数(すなわち、情報信号を送信した回数)と、返答信号を受信した回数とが比較される。通信不良がなければ、これらの数は一致するはずである。したがって、これらの比較により数が一致すれば通信が正常に完了したと判定される。その一方で、数が一致しなければ通信不良が生じたと判定される。このような通信不良の判定は、CPU301により行われる(ステップST48)。
【0105】
次に、通信不良の判定の結果が表示部23に表示される。すなわち、通信が正常に完了した場合は「正常終了」と表示され、通信不良が生じた場合は「通信不良あり」と表示される(ステップST49)。
【0106】
ハンディターミナル3のユーザは、このような判定結果の表示を閲覧した後、対象商品の商品情報を再度送信する指示を操作部34を介して行うことができる。操作部34により再度送信する指示をユーザから受け付けた場合は(ステップST50にてYes)、処理はステップST43に戻り、再び、全ての対象商品に関して商品情報が電子棚札2に送信されることになる。
【0107】
このように本形態では、返答信号の有無に基づいて通信不良が自動的に判定され、その結果が表示されることから、通信不良があったことを容易に把握することが可能である。なお、通信不良の判定の結果の出力手法は上記のものに限定されず、所定音声の出力やランプの点滅などにより行ってもよい。また、通信不良が生じた場合にのみ、警告の旨の出力を行うようにしてもよい。
【0108】
また、返答信号に電子棚札2の「装置コード」を含ませ、その「装置コード」に基づいていずれの電子棚札2に対する情報信号の送信において通信不良があったかを特定できるようにしてもよい。この場合は、通信不良があった電子棚札2に対応する対象商品のみの商品情報を再度送信するようにすればよい。
【0109】
<7−2.第3形態>
第2形態では、電子棚札2が、商品の売価の受信に応答して返答信号を返答するとしていたが、商品の売価の受信に応答してその受信の旨を示す特殊表示を行うようにしてもよい。
【0110】
図16は、本形態における電子棚札2の情報受信処理の詳細な流れを示す図である。この電子棚札2によるステップST61〜ST63の処理は、図11に示すステップST21〜S23の処理と同様である。すなわち、情報信号を受信すると(ステップST61)、その受信に応答して情報信号に含まれる「装置コード」が自装置のものと一致するかが確認される(ステップST62)。そして、「装置コード」が自装置のものと一致した場合は、情報信号に含まれる商品情報が表示部23に表示される(ステップST63)。
【0111】
さらに、本形態の電子棚札2では、商品情報が表示されるとともに、図17に示すように、受信マーク23mが点滅して表示される(ステップST64)。この点滅表示により、電子棚札2は情報信号を正常に受信したことを示すことになる。このような点滅表示は、所定の期間(例えば、10秒間)継続され、その後、受信マーク23mは非表示とされる。
【0112】
このように本形態では、電子棚札2が情報信号を受信すると受信マーク23mの点滅表示を行うことから、この表示を行わない電子棚札2においては通信不良があったと容易に判断することが可能である。なお、受信の旨を示す特殊表示は、受信マーク23mの点滅表示には限定されず、受信マーク23m等の所定のマークを単に一定期間表示するのみであってもよい。また、表示部23の表示ではなく、所定のランプを一定期間点滅あるいは点灯させるようにしてもよい。
【0113】
<7−3.第4形態>
また、上記形態では、対象商品が複数あった場合においては、ハンディターミナル3の一回の送信ボタンの押下に応答してそれら対象商品の全ての商品情報が送信されるようになっていたが、一回の送信ボタンの押下に応答して一つの商品のみの商品情報が送信されるようになっていてもよい。
【0114】
図18は、本形態におけるハンディターミナル3の情報送信処理の詳細な流れを示す図である。
【0115】
まず、ハンディターミナル3の表示部33に、対象商品の商品情報が一覧表示される(ステップST71)。次に、ハンディターミナル3は、送信ボタンの押下を待機する状態となる(ステップST72)。
【0116】
そして、送信ボタンが押下されると、対象商品のうちの一つが注目商品として選択される。このときにも、CPU301により注目商品が選択されてもよく、ユーザの操作により注目商品が選択されてもよいが、選択された注目商品は表示部33に表示される(ステップST73)。
【0117】
次に、注目商品の「商品コード」に対応する「装置コード」が取得され(ステップST74)、その「装置コード」と注目商品の商品情報とを含む情報信号が電子棚札2に向けて発信される(ステップST75)。これにより、注目商品に対応する電子棚札2のみの表示が更新される。
【0118】
次に、商品情報の送信が完了していない対象商品が存在するか否かが判定され、存在していた場合は(ステップST76にてYes)、処理はステップST71に戻り、再び、対象商品の商品情報が一覧表示される。この際、既に商品情報の送信が完了した対象商品については、表示態様を変更するなどによりその旨を明示するか、表示を行わないことが好ましい。
【0119】
この表示がなされると再びハンディターミナル3は送信ボタンの押下を待機する状態となる(ステップST73)。そして、送信ボタンが押下されると、次の一の対象商品が新たに注目商品として選択され、上記と同様にして注目商品に関する商品情報が電子棚札2に送信されることになる。
【0120】
このように本形態では、一回の送信ボタンの押下に応答して一つの商品のみの商品情報が送信されることから、ハンディターミナル3を取り扱うユーザ(店舗スタッフP)の意識を一つの電子棚札2の表示のみに向けることができる。したがって、一つの電子棚札2ごとに通信不良があったか否かを確認することができることになる。なお、本形態においても、第2形態のように電子棚札2からの返答信号により通信不良を判定するようにしてもよく、第3形態のように電子棚札2が特殊表示を行うようにしてもよい。
【0121】
<7−4.その他の変形例>
上記形態では、スケールレジスタ1の商品マスタD1がメモリカード4を介してハンディターミナル3に受け渡されるようになっていたが、フレキシブルディスクやUSBメモリなどの他の方式の記録媒体によって受け渡されるようになっていてもよい。
【0122】
また、図19に示すように、スケールレジスタ1とハンディターミナル3とを通信ケーブル41を介してあるいは直接的に接続して相互にデータ通信を可能とさせ、データ通信によりスケールレジスタ1からハンディターミナル3に商品マスタD1が受け渡されるようになっていてもよい。
【0123】
また、図20に示すように、スケールレジスタ1とハンディターミナル3との相互間で無線によるデータ通信を可能とさせ、この無線通信によりスケールレジスタ1からハンディターミナル3に商品マスタD1が受け渡されるようになっていてもよい。この場合は、スケールレジスタ1とハンディターミナル3との双方に同一のプロトコルに対応した無線通信部を設ければよい。
【0124】
また、上記形態では、スケールレジスタ1は1台のみであったが、図21に示すように複数のスケールレジスタ1が存在していてもよい。この場合は、複数のスケールレジスタ1をケーブル109などで接続し、複数のスケールレジスタ1の相互間で共通の商品マスタを利用可能とさせることが望ましい。そして、複数のスケールレジスタ1のいずれにおいてもその共通の商品マスタをメモリカード4に書き込めるようにすることが望ましい。
【0125】
また、上記形態では、対応付け処理において電子棚札2から「装置コード」を取得する際に、ラベル25のバーコードがハンディターミナル3に読み取られていたが、電子棚札2の表示部23に「装置コード」を示すバーコードが表示され、該バーコードが読み取られるようになっていてもよい。また、電子棚札2とハンディターミナル3との間で無線あるいは有線の通信を行って、ハンディターミナル3が電子棚札2から「装置コード」を取得するようになっていてもよい。
【0126】
また、上記形態では、精算処理装置が商品の計量機能を有するスケールレジスタ1であるとして説明を行ったが、商品の計量機能の無い精算処理装置であってもよい。
【0127】
また、上記形態では、リンクファイルD3がハンディターミナル3に記憶されると説明したが、スケールレジスタ1にリンクファイルが記憶されてもよい。この場合は、商品マスタD1とリンクファイルD3との双方がスケールレジスタ1からハンディターミナル3に受け渡されてもよく、商品の商品情報(商品の売価等)が電子棚札2の「装置コード」に対応付けられた状態でスケールレジスタ1からハンディターミナル3に受け渡されてもよい。また、商品マスタD1の各レコードに電子棚札2の「装置コード」を登録しておき、商品マスタD1によって商品と電子棚札2とが対応付けされてもよい。
【0128】
またところで、図1に示すような店舗では、上記形態とは異なる売価表示システムの態様として、商品を収容するトレー51にICタグ(RFIDタグ)を取り付ける一方で、電子棚札2にICタグを読み取るリーダを設けておくことも考えられる。この場合は、トレー51のICタグに、スケールレジスタ1で利用する商品の単価や商品名等の商品情報を予め記憶させる。このICタグへの情報の送信は、上記形態の電子棚札2への情報の送信とほぼ同様に、ハンディターミナル3を利用した無線通信により行うことができる。そして、電子棚札2は、そのICタグの記憶内容を読み取り、それにより取得した商品情報を表示する。この場合は、ハンディターミナル3から電子棚札2に間接的に商品情報が送信されることになる。
【0129】
またところで、図1に示すような対面販売方式の店舗では、顧客は店舗スタッフPに対し希望する商品を口頭で申し出ることになるため、誤った商品が取り出されて精算処理が行われる可能性がある。これに対応するため、各商品の近傍(商品を収容するトレー51など)にスケールレジスタ1から制御可能なLEDなどの発光体を取り付け、商品と発光体とを1対1で対応付けておく。そして、ある商品についての精算処理がなされた場合には、スケールレジスタ1からの制御により当該商品に対応する発光体を点灯させるようにしてもよい。このようにすれば、顧客は、発光体の点灯状態により、購入を希望した商品と、実際に精算処理がなされている商品とが一致していることを容易に確認できる。
【0130】
またところで、図1に示すような対面販売方式の店舗では、一般に、顧客が店舗スタッフPに商品の購入を申し出た順で売買取引がなされる。このため、購入を申し出るタイミングを逃した顧客に関しては、後から来た顧客の方が先に売買取引がなされてしまい、不公平感を生じさせる可能性がある。また、購入の申し出を気後れする顧客に関しては、販売チャンスを逃してしまう可能性もある。これに対応するため、顧客が購入する順番の予約を行うことが可能な購入予約装置を、ショーケース50の顧客側に設けるようにしてもよい。
【0131】
この購入予約装置は、表示部と操作部と印刷部とを備えている。購入を希望する顧客は、この購入予約装置の操作部を操作して購入予約の旨を入力する。これにより、表示部に予約番号(購入予約をした順番)が表示されるとともに、印刷部において予約番号が印刷された用紙が発行される。顧客は、この予約番号を覚えておき、販売スタッフPから予約番号が呼ばれたら、希望する商品の購入を申し出ることになる。これによれば、購入を申し出るタイミングを逃すことが無くなり、不公平感が無くなって顧客満足度が向上し、販売チャンスを逃すことも無くなる。また、顧客が操作部を操作して、購入を希望する商品の商品名及び重量/個数を購入予約装置に予め入力できるようになっていてもよい。これによれば、顧客が申し出るべき内容が店舗側に予め伝達されているため、売買取引の順番が回ってきた時点で改めて希望する商品の商品名や重量/個数を申し出る必要がないため、速やかに売買取引を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】売価表示システムが導入される店舗の一例を示す図である。
【図2】売価表示システムの構成の一例を示す図である。
【図3】スケールレジスタの外観構成を示す図である。
【図4】スケールレジスタの機能構成を示すブロック図である。
【図5】商品マスタの一例を示す図である。
【図6】ハンディターミナルの外観構成を示す図である。
【図7】ハンディターミナルの機能構成を示すブロック図である。
【図8】リンクファイルの一例を示す図である。
【図9】電子棚札の構成を示す図である。
【図10】単価変更時における売価表示システムの処理等の流れを示す図である。
【図11】情報送信処理及び情報受信処理の詳細な流れを示す図である。
【図12】ハンディターミナルを利用する様子を示す図である。
【図13】システム導入時における売価表示システムの処理等の流れを示す図である。
【図14】対応付け処理の詳細な流れを示す図である。
【図15】第2形態における情報送信処理及び情報受信処理の詳細な流れを示す図である。
【図16】第3形態における情報受信処理の詳細な流れを示す図である。
【図17】受信マークを表示した電子棚札の様子を示す図である。
【図18】第4形態における情報送信処理の詳細な流れを示す図である。
【図19】売価表示システムの他の構成の一例を示す図である。
【図20】売価表示システムの他の構成の一例を示す図である。
【図21】売価表示システムの他の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0133】
1 スケールレジスタ
2 電子棚札
3 ハンディターミナル
4 メモリカード
5 商品
16 カードリーダライタ
35 カードリーダライタ
50 ショーケース
100 売価表示システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の売価を表示するための売価表示システムであって、
商品に対応して配置され、商品の売価を受信して該売価を表示する電子棚札と、
前記電子棚札と通信可能な可搬性通信装置と、
を備え、
前記可搬性通信装置は、
精算処理を行う精算処理装置が利用する商品の売価を取得する取得手段と、
前記取得手段に取得された前記商品の売価を前記電子棚札に無線通信により送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする売価表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の売価表示システムにおいて、
前記可搬性通信装置は、
ユーザ操作を受け付ける受付手段、
をさらに備え、
前記送信手段は、前記ユーザ操作に応答して前記商品の売価を送信することを特徴とする売価表示システム。
【請求項3】
請求項2に記載の売価表示システムにおいて、
前記送信手段は、一回の前記ユーザ操作に応答して、一つの商品のみの売価を送信することを特徴とする売価表示システム。
【請求項4】
請求項2に記載の売価表示システムにおいて、
前記送信手段は、一回の前記ユーザ操作に応答して、複数の商品の売価を送信可能であることを特徴とする売価表示システム。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、
前記電子棚札は、
前記送信手段から送信された前記商品の売価の受信に応答して、返答信号を無線通信により発信する発信手段、
を備え、
前記可搬性通信装置は、
前記返答信号を受信する受信手段と、
前記返答信号に基づいて前記送信手段の送信に係る通信不良を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の結果を出力する出力手段と、
をさらに備えることを特徴とする売価表示システム。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、
前記電子棚札は、
前記送信手段から送信された前記商品の売価の受信に応答して、その旨を示す特殊表示を行う手段、
をさらに備えることを特徴とする売価表示システム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、
前記可搬性通信装置は、
商品と電子棚札とを対応付けるリンク情報を記憶する手段、
をさらに備え、
前記送信手段は、前記リンク情報に基づいて、前記商品の売価を該商品に対応する電子棚札に送信することを特徴とする売価表示システム。
【請求項8】
請求項7に記載の売価表示システムにおいて、
前記可搬性通信装置は、
前記精算処理装置が利用する商品識別情報を取得する手段と、
前記電子棚札から、該電子棚札を識別する装置識別情報を取得する手段と、
前記商品識別情報と前記装置識別情報とを用いて、前記リンク情報を生成する手段と、
をさらに備えることを特徴とする売価表示システム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、
前記取得手段は、前記精算処理装置が書き込みした記録媒体の読み取りにより、前記商品の売価を取得することを特徴とする売価表示システム。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、
前記取得手段は、前記精算処理装置との間での無線通信により、前記商品の売価を取得することを特徴とする売価表示システム。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、
前記精算処理装置、
をさらに備えることを特徴とする売価表示システム。
【請求項12】
請求項11に記載の売価表示システムにおいて、
前記精算処理装置は、
商品を計量し、その計量結果に基づいて精算処理を行うスケールレジスタを含むことを特徴とする売価表示システム。
【請求項1】
商品の売価を表示するための売価表示システムであって、
商品に対応して配置され、商品の売価を受信して該売価を表示する電子棚札と、
前記電子棚札と通信可能な可搬性通信装置と、
を備え、
前記可搬性通信装置は、
精算処理を行う精算処理装置が利用する商品の売価を取得する取得手段と、
前記取得手段に取得された前記商品の売価を前記電子棚札に無線通信により送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする売価表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の売価表示システムにおいて、
前記可搬性通信装置は、
ユーザ操作を受け付ける受付手段、
をさらに備え、
前記送信手段は、前記ユーザ操作に応答して前記商品の売価を送信することを特徴とする売価表示システム。
【請求項3】
請求項2に記載の売価表示システムにおいて、
前記送信手段は、一回の前記ユーザ操作に応答して、一つの商品のみの売価を送信することを特徴とする売価表示システム。
【請求項4】
請求項2に記載の売価表示システムにおいて、
前記送信手段は、一回の前記ユーザ操作に応答して、複数の商品の売価を送信可能であることを特徴とする売価表示システム。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、
前記電子棚札は、
前記送信手段から送信された前記商品の売価の受信に応答して、返答信号を無線通信により発信する発信手段、
を備え、
前記可搬性通信装置は、
前記返答信号を受信する受信手段と、
前記返答信号に基づいて前記送信手段の送信に係る通信不良を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の結果を出力する出力手段と、
をさらに備えることを特徴とする売価表示システム。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、
前記電子棚札は、
前記送信手段から送信された前記商品の売価の受信に応答して、その旨を示す特殊表示を行う手段、
をさらに備えることを特徴とする売価表示システム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、
前記可搬性通信装置は、
商品と電子棚札とを対応付けるリンク情報を記憶する手段、
をさらに備え、
前記送信手段は、前記リンク情報に基づいて、前記商品の売価を該商品に対応する電子棚札に送信することを特徴とする売価表示システム。
【請求項8】
請求項7に記載の売価表示システムにおいて、
前記可搬性通信装置は、
前記精算処理装置が利用する商品識別情報を取得する手段と、
前記電子棚札から、該電子棚札を識別する装置識別情報を取得する手段と、
前記商品識別情報と前記装置識別情報とを用いて、前記リンク情報を生成する手段と、
をさらに備えることを特徴とする売価表示システム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、
前記取得手段は、前記精算処理装置が書き込みした記録媒体の読み取りにより、前記商品の売価を取得することを特徴とする売価表示システム。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、
前記取得手段は、前記精算処理装置との間での無線通信により、前記商品の売価を取得することを特徴とする売価表示システム。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の売価表示システムにおいて、
前記精算処理装置、
をさらに備えることを特徴とする売価表示システム。
【請求項12】
請求項11に記載の売価表示システムにおいて、
前記精算処理装置は、
商品を計量し、その計量結果に基づいて精算処理を行うスケールレジスタを含むことを特徴とする売価表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2007−312979(P2007−312979A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145117(P2006−145117)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
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