変わる拡張力を有するステント
【課題】長さに沿って変わる外向き放射状力を有するステントを提供する。
【解決手段】第1の末端領域、中央領域、第2の末端領域を有する管状構造を備えたステント。管状構造は放射方向において外方に働く力を有し、該力はステントの長さに沿って変化する。前記構造は接続部において交差する複数の交差要素を有し、前記第1の末端領域、中央領域、および第2の末端領域のうちの少なくとも一領域において、前記接続部は交差要素同士の交点から外方に板状に拡大する。
【解決手段】第1の末端領域、中央領域、第2の末端領域を有する管状構造を備えたステント。管状構造は放射方向において外方に働く力を有し、該力はステントの長さに沿って変化する。前記構造は接続部において交差する複数の交差要素を有し、前記第1の末端領域、中央領域、および第2の末端領域のうちの少なくとも一領域において、前記接続部は交差要素同士の交点から外方に板状に拡大する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に医学デバイスに関する。より詳細には、本発明は、動脈などの血管の流動の開放性を保つステントに関する。
【背景技術】
【0002】
ステントは挿入可能な医学デバイスである。ステントは、同ステントを使用しない場合には閉鎖し、流体の流動を妨害しうる部分で流体流動のために開放性を維持すべく使用される。経皮的管腔貫通カテーテル血管形成(PTCA)後の再発狭窄症を予防するために、バルーン拡張後の元に戻る可能性のある血管に対し放射状に外向きの力を有するステントが用いられる。ステントは炎症性血管壁の開放性を維持する。ステントを使用しない場合には炎症性血管壁は腫れて閉鎖し、流動が妨害される。排膿のために手術で作出された孔の開放性を保つためにもステントを用いることができる。
【0003】
ステントはしばしば、管状血管領域中に挿入される管状デバイスである。バルーンによって拡張可能なステントでは、バルーン上に搭載され、位置を定め、バルーンを膨張させてステントを放射状で外向きに拡張することが必要である。自己拡張型ステントは、束縛されていないときに、バルーンによる助けを必要としないで拡張する。自己拡張型ステントは、デリバリィカテーテルから取り外されることによって拡張するようになっている。
【0004】
血管の狭窄は、円筒血管壁への堅い材料からなる内向きに突出しているアーチ形の付加物というモデルで表されうる。円筒血管壁では狭窄領域が弾性壁に沿って付着したやや堅いボディを有する。狭窄は、狭窄がまたがる領域で血管の拡張に対し抵抗性を示す。狭窄は、組成において、例えば石灰化の程度で異なり、それ故、性質においても異なる。
【0005】
多数の狭窄のアーチ形形状により、ステントの放射状に働く外向きの力に対する血管軸に沿っての抵抗力に変化がある。詳細には、狭窄のある血管の抵抗力はしばしば中央の方で最大であり、末端の方で小さくなり、健全な血管組織の出発点で急速に減少する。通常の自己拡張型ステントは最適には、開放性を保つために、狭窄領域の長さより大きい長さを有する。現行のステントは、長さに沿ってほぼ均一の外向きに働く放射状の力を有する。現在、狭窄形状や狭窄抵抗性に合わせてはステントの外向きに働く放射状の力は変わらない。狭窄内に開放性チャネルを維持するのに十分な力である一定な力を有するステントは、狭窄の末端を越えた健全な血管部分で必要な力よりも大きい力を有する。こうして、ステント末端は外向きに漏斗状に開き、非狭窄組織の中に突き出で、該組織を刺激する可能性がある。
【0006】
狭窄の両側に存在する非対称形状を有する血管領域で狭窄は起りうる。この一例は冠状動脈口であり、それは、大動脈の方に向かって広い開口部を有し、より狭い冠状動脈内に収斂する。該口に置かれた通常のステントは、非均一な血管直径に対しほぼ均一の外向き力を発揮する。この力は狭い方の血管開口部に対し適切に合うならば、広い方の領域に対しては最適よりも小さそうである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
望ましいが、今まで出来なかったことは、元に戻る狭窄内で血管を開放性に保つために十分な力を有することができるが、健全な非狭窄血管領域に対し必要な力のみを提供できるステントである。更に提供されなかったことは、狭窄の両側で非均一の血管直径を有する血管領域で狭窄に沿って必要な、しかし必要なだけの力を提供するステントである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、外向きに働く放射状の力がステントの長さに沿って長手軸位置により異なる管状構造の自己拡張型ステントを含む。一実施形態では、力は中央で大きく、両末端で小さい。このようなステントは、狭窄血管領域に置くのに適している。別の実施形態では、力は、一端で小さく、中央で大きく、反対端で更に大きい。このようなステントは、冠状動脈口近くに置くことを含む、狭窄のある狭くなっていく血管領域に置くのに適する。
【0009】
ひとつのステントは形状記憶材料から形成される構造を有する。一実施形態では、ステントはニッケル−チタン合金から形成される。
一好適実施形態のステント構造は、末端よりも中央の方でより密接な間隔のヘリックスターンを有するワイヤから形成されるヘリックスを備える。ヘリックスは、軸に沿って伸ばされ、解放された後、外径において拡張し、長さにおいて収縮するようになっている。別の実施形態では、ヘリックスターンは、一端から反対端に向かって間隔が大きくなる。別の実施形態では、相互に織られた、又は相互に巻かれたワイヤが管状構造を形成し、ワイヤの数は、末端に比べて中央側が単位長さ当たり多い。相互に巻かれたワイヤは金属製ワイヤでありうる。ワイヤは、管状ステント形状に巻かれた後、ラセン、即ちヘリックスに似ていることがありうる。更に別の実施形態では、ワイヤの数は一端から反対端へ向って増加する。
【0010】
より大きい放射状の力を必要とする領域ではより多くの材料を、より小さい力を必要とする領域ではより少ない材料を有する接続部にて交差するステント構造要素を備えることによって、一つのステントにおいて放射状の力が変化することになる。接続の材料の量は、接続部の面積の大きさを変えることによって変えられる。一好適実施形態では、ステント構造は、ニチノールチューブをレーザー切削し、外向きに働く放射状の力を一層多く必要とする領域により大きな支柱寸法を残すことによって形成される。
【0011】
別の実施形態では、ステント構造は、“ジグザグ”形状を有する一連のワイヤバネを有し、ワイヤバネの各々は放射状に管状セクションを取囲む。バネは長手軸方向に相互連結されている。この実施形態と他の実施形態においてステント壁厚さを変えることによって、必要な外向き放射状力を変えることができる。一実施形態では、より大きい放射状力を必要とするステント領域は、より小さい力を必要とする領域よりもより厚い壁を有する。
【0012】
本発明により製造されたステントは、局所的力の必要性に、より適合する外向き放射状力を発揮できる。特に、本発明のステントは、健全組織領域であまりに大きな力を発揮せずに、狭窄中心で必要な場所でのみより大きな力を発揮する。本発明のステントは、狭くなっていく血管領域の必要性に、より適合する拡張形状を有し、より広い領域ではより大きな拡張をし、より狭い領域ではより小さな拡張をする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】狭窄のある血管領域部分の長手軸方向の断面図。
【図2】通常のステントが置かれている狭窄血管領域の部分の断面図。
【図3】図2の通常のステントにおける長さに対する力を示すプロット。
【図4】狭くなっていく血管領域における部分の長手軸方向の断面図。
【図5】図1での配置のための改良ステントの長さに対する力を示すプロット。
【図6】図4での配置のための改良ステントの長さに対する力を示すプロット。
【図7】長手軸中央で単位長さ当り、より多くのワイヤを有する自己拡張型ステントの側面図。
【図8】中央の方でより密接な間隔の自己拡張型ステントコイルの側面図。
【図9】長手軸中央の方でより太い要素を有する自己拡張型ステントの側面図。
【図10】図9のステントの端図。
【図11】図9のステントのウェーハー図。
【図12】ステントの長さに沿って直径が不均一である本発明の別の実施形態の長手軸方向の輪郭を示す図。
【図13】自己拡張型ステントにおける要素接続部の拡大図。
【図14】図13の自己拡張型ステントの一つの要素接続部の拡大図。
【図15】自己拡張型ステントの一つの要素接続部の拡大図。
【図16】一端方向に要素の密度が大きくなる自己拡張型ステントの側面図。
【図17】一端方向により密接な間隔の要素を有する自己拡張型ステントの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、血管壁32内の血管31内で狭領域34を形成する狭窄30を示す。狭窄30に隣接して健全な血管領域36がある。図2は、44で示される血流チャネルの外の狭窄30を貫通する通常のステント40を示す。ステント40は、健全な血管部分36内に、38である角度で進む図示されたステント端44を有する。図示されるステント40は、狭窄30の元に戻る力に対し血管30を開いたままにしておくのに十分な力を有し、ステント端42で必要な力よりも大きい力を有し、ステント40は、健全な血管内に、38である角度で進む。図3は、図2で示すような通常のステントにおける、ステント長さLに対する外向き放射状力の理想的プロット50を示す。図示するように、力は長さに対しほぼ一定である。
【0015】
図4は、広領域56、狭領域58、狭窄54を有する狭くなっていく血管52を示す。図4の狭くなっていく血管は、大動脈からの血液が左冠状動脈に入る左冠状動脈口のような孔に存在する形状を示す。広領域56を開いたままにしておくのに十分な力を有するステントは、狭領域58を開いたままにしておくのに必要な力よりも大きい力を有する。図3の外向きに働く放射状の力の軸分布を有するステントは、広領域56(狭領域58で必要な力より大きい)で不十分な力を有する。
【0016】
図5は、本発明を具体化する一ステントにおけるステント長さLに沿った外向きの放射状の力Fのプロット60を示す。ステントは、末端領域64、65におけるよりも中央領域62で大きい力を有する。図5の力曲線を有するステントは、図1に示す狭窄をまたぐのに適し、図2で符号38にて示す健全な組織内に角度をもって進むことを防ぐ。図6は、本発明を具体化する別のステントにおけるステント長さLに沿っての外向きに働く放射状の力Fのプロット66を示す。該ステントは、末端領域68で反対側の末端領域70におけるよりも大きい力を有する。図6の力曲線を有するステントは、図4に示すような狭窄をまたぐのに適し、血管広領域56を開放性に保つのに十分な力を有するが、より小さい力が必要な血管狭領域58ではより小さい力を有する。
【0017】
図7は、図5に示す力分布を有する本発明の好適な実施の形態を示す。自己拡張型ステント80は、88で示すように相互に織られた多数の弾力性ワイヤ82を有する。使用の際に、ステント80は長手軸の方向に引かれ、長さが増加し、直径が減少する。ステント80は、デリバリィカテーテルの末梢端内に挿入され、貫通される狭窄に進められ、デリバリィカテーテル末梢端から外される。チューブ(カテーテル)を出ると、ステント80は放射状に拡張し、軸方向で短縮し、狭窄と血管壁を圧迫する。
【0018】
ステント80は中央領域84と末端領域86、87を有する。ステントワイヤ82は非束縛状態に戻るようにされるが、チューブ(カテーテル)内の束縛されたステント形よりも広く、かつ短い。ステントの単位長さ当たりで発揮される外向きに働く放射状の力の量は、単位長さ当たりワイヤのより大きい密度を有する領域でより大きい。図7で示されるように、ステント80では、末端領域86、87におけるよりも中央領域84で単位長さ当たりのワイヤ数は多い。ステント80は、末端領域86、87よりも中央領域84で大きな外向きの放射状の力を有する。一実施形態における単位長さ当たりのワイヤのより大きな数は、ステント全長に延び、ステント中央の方により密接度の大きいワイヤを形成することから得られる。別の実施形態では、ワイヤのより大きい数は、ステントの中央領域でのみ存在する更なるワイヤを加えることから得られる。
【0019】
図8は、本発明の別の実施形態の自己拡張型ステント90を示すが、それは、中央領域94と末端領域96、97を有する。ステント90は単一のラセン状に巻かれたワイヤ92から形成され、ヘリックス98を形成する。好適実施形態では、ワイヤ92用にニチノール材料を用いる。ヘリックス98では、符号99で示すように、ヘリックスターン間には距離がある。距離99は、長手軸での位置で変わり、中央領域で大きく、末端領域96、97で小さい。ワイヤ92はバネとして形成され、軸方向に引き延ばされた後、放されるときに非束縛形状に戻される。発揮される外向き放射状力の量は、単位長さ当たりより多くのワイヤ要素をもつ領域で大きく、このことは、ステント90では、ヘリックスターン間の距離99がより小さいことで達成される。即ち、ステント90は、末端領域96、97よりも中央領域94でより大きな外向き放射状力を有する。
【0020】
図9は本発明の更に別の実施形態のステント100を示すが、それは、中央領域104と末端領域106、107を有する。ステント100は、ワイヤ102から形成される管状形態を有する。ワイヤは、ジグザグ形を有する幾つかのバネ108に成形され、各バネ108は、図10に示すように、ステント100のセグメントを放射状に取囲む。図9に再度言及する。バネ108はセグメント109と長手軸方向に相互連結される。一実施形態では、バネ108とセグメント109は、セグメント109をバネ108にはんだづけ等による標準的ワイヤ曲げジグ及び技術を用いて形成される。ステント100の形成用好適材料はニチノールである。別の実施形態では、バネとセグメントは、連続的な壁を有する金属チューブをレーザー切削し、バネ108とセグメント109のみを残すことによって形成される。
【0021】
図11は、図10の11−11に沿っての立面ウェーハー断面図を示す。ワイヤ要素102の中央領域104と末端領域107とが断面にて示される。末端領域107での幅及び/又は長さの大きさ(101で示される)は、中央領域104での大きさ(103で示される)よりも小さい。大きさ103を有する中央領域は、相対的に小さな大きさ101を有する末端領域よりも外向きに働く放射状の力が大きくなる。放射状に働く拡張力はまた、ジグザグ形の頻度及び/又は大きさにより変わりうる。
【0022】
図12は、本発明の別の実施形態を想像線にて模式的に示す。ステント110の輪郭を想像線で示す。ステント110は中央領域114と末端領域116、117を有する。ステント110は、少なくとも一部が形状記憶材料から形成される。好適な実施の形態では、ステント110はニチノールから形成される。形状記憶材料を第1の形に焼きなまし、加熱し、それによって材料構造をセットし、冷却し、第2の形に変形できる。第1の形は、第2の形よりも大きな平均外側直径を有する。材料は、材料組成に特異的な相転移温度で第1の記憶形状に戻る。
【0023】
図12は、体温に達すると復元されるべきステント形状を示す。ステント110は中央外側直径113と末端外側直径111を有し、中央外側直径は末端外側直径よりも大きい。ステント110をデリバリィカテーテル内に合うように圧縮し、デリバリィカテーテルを狭窄部位まで進め、ステントをデリバリィカテーテル末梢端から押し出すことができる。次いで、ステント110は図12の記憶形状を思い出し始める。狭窄領域は典型的には図1のアーチ形を有する。ステントの中央外側直径113は末端外側直径111よりも大きく、血管の中央内側直径は典型的には血管の末端内側直径よりも小さいので、ステント110は、末端血管壁に対し末端ステント領域117、116を適用することにおいてよりも中央血管壁に対し中央ステント領域114を適用することにおいて大きな力を加えることができる。
【0024】
図13は本発明の別の実施形態を示す。特に、図13は、接続部で連結される要素から形成される管状ステント構造を示す。接続部の大きさはステントの長さにより変わりうる。要素124を有する構造122を有するステント120を示す。図14で詳細に示すように、要素124は接続部130で互いに交差する。図15は、図14の接続部よりも多量の材料を有する接続部を示す。図15の実施形態では、接続部132は接続部130よりも大きな表面積を有する。より多くの材料を有する接続部は、より少しの材料を有する接続部よりも放射方向において外向きの力を有する能力が大きい。本発明の一実施形態は、チューブ中央領域でより多くの材料を有し、チューブ末端領域でより少ない材料を有する接続部で接続する、又は交差する要素を有する。一好適実施形態では、接続部は、レーザー切削されたニチノールチューブ材料によって形成される。
【0025】
使用の際に、チューブはデリバリィカテーテル内に合うように圧縮され、狭窄部位に進められ、デリバリィカテーテル末梢端から末梢に押されることができる。チューブは再度非圧縮形になるので、接続部でより多くの材料を有する部分はより大きな放射方向において外向きな力を発揮できる。
【0026】
図16は、左冠状動脈口のような狭くなっていく血管領域での狭窄を横切っての使用に適した本発明の実施形態を示す。ステント140は、第1の末端領域147と第2の反対側の末端領域146を有する。ステント140は図7のステント80と類似している。ステントチューブは、ステントの回りで巻かれ、相互に織られることができるワイヤ142を有する。図16に示すように、ワイヤ142は、第1の末端領域147におけるよりも第2の末端領域146でステント単位長さ当たり大きな密度を有する。このことにより、第2末端領域146は第1末端領域147よりも大きな外向きの放射状の力を発揮するのが可能となる。即ち、第1末端領域147は狭血管領域58に適合でき、第2末端領域146は広血管領域56に適合できる。
【0027】
図17は、狭窄した狭くなっていく血管領域を通っての使用に適した本発明の別の実施形態を示す。ステント150は第1の末端領域157から第2末端領域156に延びる。ステント150は図8のステント90の構築と類似しており、ヘリックス、即ちラセン158に成形されるワイヤ152を有する。ヘリックスターンは距離159をおいて離れている。図17に示すように、ヘリックスターンは、第2末端領域156よりも第1末端領域157で更に離れている。この間隔により、ステント150が、第1末端領域157でよりも第2末端領域156で大きな放射方向の外向きの力を発揮することが可能となる。
【0028】
図16と図17は、他端よりも一端で大きな放射状力を有する2つの実施形態を示す。この性質は、他の構造を用いても得ることができる。この性質を有する別の実施形態は、図9の長手軸方向の半分に類似し、他端よりも一端で大きな要素太さを有する。更に別の実施形態は、図12の長手軸方向の半分と類似し、他端よりも一端でより大きな外側直径を有する。
【0029】
図16と図17の実施形態におけるように、他端よりも一端でより大きな放射状に働く外向きの力を発揮するステントは、図4に示す狭くなっていく血管領域での狭窄を通り置かれるのが可能となる。より大きな放射状の力を有するステント末端はより広い血管領域中に拡張できる。一方、より小さな放射状の力を有するステント末端はより狭い血管領域壁まで拡張できるが、該ステント末端がより広い血管領域で拡張するのに必要な力よりも小さな力によって拡張できる。このことにより、血管壁に対する不必要な力を小さくでき、血管を開いたままにし、血管流路の外にステントをほぼ保つことができる。
【0030】
本発明は、ステント長さに沿って変わる放射状の力を有するステントを提供する。例示した目的のために狭窄血管領域をまたぐものとして使用されるステントを説明してきた。別の使用は、炎症の、又はそれ以外のように制限された身体内管腔を通るチャネルを開いたままに維持することである。他の目的のために使用されるステントも本発明の範囲内であることは明瞭である。
【0031】
本発明を例示するために、自己拡張型ステントを本明細書で記載したが、いわゆるバルーン拡張型ステントも本明細書記載の変わる拡張力という性質を有しうることに注意すべきである。しかし、バルーン拡張型ステントの場合、一般的にこれらの力は、ステントを拡張するのに必要な力より小さく、ステントの拡張を完全にするために、当業者に公知のようにバルーンを用いる。堅い、又は重い部材を有するステントはステントの柔軟性が高められるのが望ましい場所である孔(ostium)などの血管の屈曲部分で、上記のバルーン拡張型ステントを好ましくも配備できる。それ故、バルーン拡張型ステントも本発明の範囲内であることを理解すべきである。
【0032】
本明細書によって包含される本発明の多数の特徴と利点を詳述した。しかし、この開示は多くの点で例示のみを目的とすることが理解されよう。本発明の範囲を超えることなく、詳細な点、特に部材の形、大きさ、配置に関し、変更を行うことができる。無論、本発明の範囲は、請求の範囲に記載されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に医学デバイスに関する。より詳細には、本発明は、動脈などの血管の流動の開放性を保つステントに関する。
【背景技術】
【0002】
ステントは挿入可能な医学デバイスである。ステントは、同ステントを使用しない場合には閉鎖し、流体の流動を妨害しうる部分で流体流動のために開放性を維持すべく使用される。経皮的管腔貫通カテーテル血管形成(PTCA)後の再発狭窄症を予防するために、バルーン拡張後の元に戻る可能性のある血管に対し放射状に外向きの力を有するステントが用いられる。ステントは炎症性血管壁の開放性を維持する。ステントを使用しない場合には炎症性血管壁は腫れて閉鎖し、流動が妨害される。排膿のために手術で作出された孔の開放性を保つためにもステントを用いることができる。
【0003】
ステントはしばしば、管状血管領域中に挿入される管状デバイスである。バルーンによって拡張可能なステントでは、バルーン上に搭載され、位置を定め、バルーンを膨張させてステントを放射状で外向きに拡張することが必要である。自己拡張型ステントは、束縛されていないときに、バルーンによる助けを必要としないで拡張する。自己拡張型ステントは、デリバリィカテーテルから取り外されることによって拡張するようになっている。
【0004】
血管の狭窄は、円筒血管壁への堅い材料からなる内向きに突出しているアーチ形の付加物というモデルで表されうる。円筒血管壁では狭窄領域が弾性壁に沿って付着したやや堅いボディを有する。狭窄は、狭窄がまたがる領域で血管の拡張に対し抵抗性を示す。狭窄は、組成において、例えば石灰化の程度で異なり、それ故、性質においても異なる。
【0005】
多数の狭窄のアーチ形形状により、ステントの放射状に働く外向きの力に対する血管軸に沿っての抵抗力に変化がある。詳細には、狭窄のある血管の抵抗力はしばしば中央の方で最大であり、末端の方で小さくなり、健全な血管組織の出発点で急速に減少する。通常の自己拡張型ステントは最適には、開放性を保つために、狭窄領域の長さより大きい長さを有する。現行のステントは、長さに沿ってほぼ均一の外向きに働く放射状の力を有する。現在、狭窄形状や狭窄抵抗性に合わせてはステントの外向きに働く放射状の力は変わらない。狭窄内に開放性チャネルを維持するのに十分な力である一定な力を有するステントは、狭窄の末端を越えた健全な血管部分で必要な力よりも大きい力を有する。こうして、ステント末端は外向きに漏斗状に開き、非狭窄組織の中に突き出で、該組織を刺激する可能性がある。
【0006】
狭窄の両側に存在する非対称形状を有する血管領域で狭窄は起りうる。この一例は冠状動脈口であり、それは、大動脈の方に向かって広い開口部を有し、より狭い冠状動脈内に収斂する。該口に置かれた通常のステントは、非均一な血管直径に対しほぼ均一の外向き力を発揮する。この力は狭い方の血管開口部に対し適切に合うならば、広い方の領域に対しては最適よりも小さそうである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
望ましいが、今まで出来なかったことは、元に戻る狭窄内で血管を開放性に保つために十分な力を有することができるが、健全な非狭窄血管領域に対し必要な力のみを提供できるステントである。更に提供されなかったことは、狭窄の両側で非均一の血管直径を有する血管領域で狭窄に沿って必要な、しかし必要なだけの力を提供するステントである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、外向きに働く放射状の力がステントの長さに沿って長手軸位置により異なる管状構造の自己拡張型ステントを含む。一実施形態では、力は中央で大きく、両末端で小さい。このようなステントは、狭窄血管領域に置くのに適している。別の実施形態では、力は、一端で小さく、中央で大きく、反対端で更に大きい。このようなステントは、冠状動脈口近くに置くことを含む、狭窄のある狭くなっていく血管領域に置くのに適する。
【0009】
ひとつのステントは形状記憶材料から形成される構造を有する。一実施形態では、ステントはニッケル−チタン合金から形成される。
一好適実施形態のステント構造は、末端よりも中央の方でより密接な間隔のヘリックスターンを有するワイヤから形成されるヘリックスを備える。ヘリックスは、軸に沿って伸ばされ、解放された後、外径において拡張し、長さにおいて収縮するようになっている。別の実施形態では、ヘリックスターンは、一端から反対端に向かって間隔が大きくなる。別の実施形態では、相互に織られた、又は相互に巻かれたワイヤが管状構造を形成し、ワイヤの数は、末端に比べて中央側が単位長さ当たり多い。相互に巻かれたワイヤは金属製ワイヤでありうる。ワイヤは、管状ステント形状に巻かれた後、ラセン、即ちヘリックスに似ていることがありうる。更に別の実施形態では、ワイヤの数は一端から反対端へ向って増加する。
【0010】
より大きい放射状の力を必要とする領域ではより多くの材料を、より小さい力を必要とする領域ではより少ない材料を有する接続部にて交差するステント構造要素を備えることによって、一つのステントにおいて放射状の力が変化することになる。接続の材料の量は、接続部の面積の大きさを変えることによって変えられる。一好適実施形態では、ステント構造は、ニチノールチューブをレーザー切削し、外向きに働く放射状の力を一層多く必要とする領域により大きな支柱寸法を残すことによって形成される。
【0011】
別の実施形態では、ステント構造は、“ジグザグ”形状を有する一連のワイヤバネを有し、ワイヤバネの各々は放射状に管状セクションを取囲む。バネは長手軸方向に相互連結されている。この実施形態と他の実施形態においてステント壁厚さを変えることによって、必要な外向き放射状力を変えることができる。一実施形態では、より大きい放射状力を必要とするステント領域は、より小さい力を必要とする領域よりもより厚い壁を有する。
【0012】
本発明により製造されたステントは、局所的力の必要性に、より適合する外向き放射状力を発揮できる。特に、本発明のステントは、健全組織領域であまりに大きな力を発揮せずに、狭窄中心で必要な場所でのみより大きな力を発揮する。本発明のステントは、狭くなっていく血管領域の必要性に、より適合する拡張形状を有し、より広い領域ではより大きな拡張をし、より狭い領域ではより小さな拡張をする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】狭窄のある血管領域部分の長手軸方向の断面図。
【図2】通常のステントが置かれている狭窄血管領域の部分の断面図。
【図3】図2の通常のステントにおける長さに対する力を示すプロット。
【図4】狭くなっていく血管領域における部分の長手軸方向の断面図。
【図5】図1での配置のための改良ステントの長さに対する力を示すプロット。
【図6】図4での配置のための改良ステントの長さに対する力を示すプロット。
【図7】長手軸中央で単位長さ当り、より多くのワイヤを有する自己拡張型ステントの側面図。
【図8】中央の方でより密接な間隔の自己拡張型ステントコイルの側面図。
【図9】長手軸中央の方でより太い要素を有する自己拡張型ステントの側面図。
【図10】図9のステントの端図。
【図11】図9のステントのウェーハー図。
【図12】ステントの長さに沿って直径が不均一である本発明の別の実施形態の長手軸方向の輪郭を示す図。
【図13】自己拡張型ステントにおける要素接続部の拡大図。
【図14】図13の自己拡張型ステントの一つの要素接続部の拡大図。
【図15】自己拡張型ステントの一つの要素接続部の拡大図。
【図16】一端方向に要素の密度が大きくなる自己拡張型ステントの側面図。
【図17】一端方向により密接な間隔の要素を有する自己拡張型ステントの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、血管壁32内の血管31内で狭領域34を形成する狭窄30を示す。狭窄30に隣接して健全な血管領域36がある。図2は、44で示される血流チャネルの外の狭窄30を貫通する通常のステント40を示す。ステント40は、健全な血管部分36内に、38である角度で進む図示されたステント端44を有する。図示されるステント40は、狭窄30の元に戻る力に対し血管30を開いたままにしておくのに十分な力を有し、ステント端42で必要な力よりも大きい力を有し、ステント40は、健全な血管内に、38である角度で進む。図3は、図2で示すような通常のステントにおける、ステント長さLに対する外向き放射状力の理想的プロット50を示す。図示するように、力は長さに対しほぼ一定である。
【0015】
図4は、広領域56、狭領域58、狭窄54を有する狭くなっていく血管52を示す。図4の狭くなっていく血管は、大動脈からの血液が左冠状動脈に入る左冠状動脈口のような孔に存在する形状を示す。広領域56を開いたままにしておくのに十分な力を有するステントは、狭領域58を開いたままにしておくのに必要な力よりも大きい力を有する。図3の外向きに働く放射状の力の軸分布を有するステントは、広領域56(狭領域58で必要な力より大きい)で不十分な力を有する。
【0016】
図5は、本発明を具体化する一ステントにおけるステント長さLに沿った外向きの放射状の力Fのプロット60を示す。ステントは、末端領域64、65におけるよりも中央領域62で大きい力を有する。図5の力曲線を有するステントは、図1に示す狭窄をまたぐのに適し、図2で符号38にて示す健全な組織内に角度をもって進むことを防ぐ。図6は、本発明を具体化する別のステントにおけるステント長さLに沿っての外向きに働く放射状の力Fのプロット66を示す。該ステントは、末端領域68で反対側の末端領域70におけるよりも大きい力を有する。図6の力曲線を有するステントは、図4に示すような狭窄をまたぐのに適し、血管広領域56を開放性に保つのに十分な力を有するが、より小さい力が必要な血管狭領域58ではより小さい力を有する。
【0017】
図7は、図5に示す力分布を有する本発明の好適な実施の形態を示す。自己拡張型ステント80は、88で示すように相互に織られた多数の弾力性ワイヤ82を有する。使用の際に、ステント80は長手軸の方向に引かれ、長さが増加し、直径が減少する。ステント80は、デリバリィカテーテルの末梢端内に挿入され、貫通される狭窄に進められ、デリバリィカテーテル末梢端から外される。チューブ(カテーテル)を出ると、ステント80は放射状に拡張し、軸方向で短縮し、狭窄と血管壁を圧迫する。
【0018】
ステント80は中央領域84と末端領域86、87を有する。ステントワイヤ82は非束縛状態に戻るようにされるが、チューブ(カテーテル)内の束縛されたステント形よりも広く、かつ短い。ステントの単位長さ当たりで発揮される外向きに働く放射状の力の量は、単位長さ当たりワイヤのより大きい密度を有する領域でより大きい。図7で示されるように、ステント80では、末端領域86、87におけるよりも中央領域84で単位長さ当たりのワイヤ数は多い。ステント80は、末端領域86、87よりも中央領域84で大きな外向きの放射状の力を有する。一実施形態における単位長さ当たりのワイヤのより大きな数は、ステント全長に延び、ステント中央の方により密接度の大きいワイヤを形成することから得られる。別の実施形態では、ワイヤのより大きい数は、ステントの中央領域でのみ存在する更なるワイヤを加えることから得られる。
【0019】
図8は、本発明の別の実施形態の自己拡張型ステント90を示すが、それは、中央領域94と末端領域96、97を有する。ステント90は単一のラセン状に巻かれたワイヤ92から形成され、ヘリックス98を形成する。好適実施形態では、ワイヤ92用にニチノール材料を用いる。ヘリックス98では、符号99で示すように、ヘリックスターン間には距離がある。距離99は、長手軸での位置で変わり、中央領域で大きく、末端領域96、97で小さい。ワイヤ92はバネとして形成され、軸方向に引き延ばされた後、放されるときに非束縛形状に戻される。発揮される外向き放射状力の量は、単位長さ当たりより多くのワイヤ要素をもつ領域で大きく、このことは、ステント90では、ヘリックスターン間の距離99がより小さいことで達成される。即ち、ステント90は、末端領域96、97よりも中央領域94でより大きな外向き放射状力を有する。
【0020】
図9は本発明の更に別の実施形態のステント100を示すが、それは、中央領域104と末端領域106、107を有する。ステント100は、ワイヤ102から形成される管状形態を有する。ワイヤは、ジグザグ形を有する幾つかのバネ108に成形され、各バネ108は、図10に示すように、ステント100のセグメントを放射状に取囲む。図9に再度言及する。バネ108はセグメント109と長手軸方向に相互連結される。一実施形態では、バネ108とセグメント109は、セグメント109をバネ108にはんだづけ等による標準的ワイヤ曲げジグ及び技術を用いて形成される。ステント100の形成用好適材料はニチノールである。別の実施形態では、バネとセグメントは、連続的な壁を有する金属チューブをレーザー切削し、バネ108とセグメント109のみを残すことによって形成される。
【0021】
図11は、図10の11−11に沿っての立面ウェーハー断面図を示す。ワイヤ要素102の中央領域104と末端領域107とが断面にて示される。末端領域107での幅及び/又は長さの大きさ(101で示される)は、中央領域104での大きさ(103で示される)よりも小さい。大きさ103を有する中央領域は、相対的に小さな大きさ101を有する末端領域よりも外向きに働く放射状の力が大きくなる。放射状に働く拡張力はまた、ジグザグ形の頻度及び/又は大きさにより変わりうる。
【0022】
図12は、本発明の別の実施形態を想像線にて模式的に示す。ステント110の輪郭を想像線で示す。ステント110は中央領域114と末端領域116、117を有する。ステント110は、少なくとも一部が形状記憶材料から形成される。好適な実施の形態では、ステント110はニチノールから形成される。形状記憶材料を第1の形に焼きなまし、加熱し、それによって材料構造をセットし、冷却し、第2の形に変形できる。第1の形は、第2の形よりも大きな平均外側直径を有する。材料は、材料組成に特異的な相転移温度で第1の記憶形状に戻る。
【0023】
図12は、体温に達すると復元されるべきステント形状を示す。ステント110は中央外側直径113と末端外側直径111を有し、中央外側直径は末端外側直径よりも大きい。ステント110をデリバリィカテーテル内に合うように圧縮し、デリバリィカテーテルを狭窄部位まで進め、ステントをデリバリィカテーテル末梢端から押し出すことができる。次いで、ステント110は図12の記憶形状を思い出し始める。狭窄領域は典型的には図1のアーチ形を有する。ステントの中央外側直径113は末端外側直径111よりも大きく、血管の中央内側直径は典型的には血管の末端内側直径よりも小さいので、ステント110は、末端血管壁に対し末端ステント領域117、116を適用することにおいてよりも中央血管壁に対し中央ステント領域114を適用することにおいて大きな力を加えることができる。
【0024】
図13は本発明の別の実施形態を示す。特に、図13は、接続部で連結される要素から形成される管状ステント構造を示す。接続部の大きさはステントの長さにより変わりうる。要素124を有する構造122を有するステント120を示す。図14で詳細に示すように、要素124は接続部130で互いに交差する。図15は、図14の接続部よりも多量の材料を有する接続部を示す。図15の実施形態では、接続部132は接続部130よりも大きな表面積を有する。より多くの材料を有する接続部は、より少しの材料を有する接続部よりも放射方向において外向きの力を有する能力が大きい。本発明の一実施形態は、チューブ中央領域でより多くの材料を有し、チューブ末端領域でより少ない材料を有する接続部で接続する、又は交差する要素を有する。一好適実施形態では、接続部は、レーザー切削されたニチノールチューブ材料によって形成される。
【0025】
使用の際に、チューブはデリバリィカテーテル内に合うように圧縮され、狭窄部位に進められ、デリバリィカテーテル末梢端から末梢に押されることができる。チューブは再度非圧縮形になるので、接続部でより多くの材料を有する部分はより大きな放射方向において外向きな力を発揮できる。
【0026】
図16は、左冠状動脈口のような狭くなっていく血管領域での狭窄を横切っての使用に適した本発明の実施形態を示す。ステント140は、第1の末端領域147と第2の反対側の末端領域146を有する。ステント140は図7のステント80と類似している。ステントチューブは、ステントの回りで巻かれ、相互に織られることができるワイヤ142を有する。図16に示すように、ワイヤ142は、第1の末端領域147におけるよりも第2の末端領域146でステント単位長さ当たり大きな密度を有する。このことにより、第2末端領域146は第1末端領域147よりも大きな外向きの放射状の力を発揮するのが可能となる。即ち、第1末端領域147は狭血管領域58に適合でき、第2末端領域146は広血管領域56に適合できる。
【0027】
図17は、狭窄した狭くなっていく血管領域を通っての使用に適した本発明の別の実施形態を示す。ステント150は第1の末端領域157から第2末端領域156に延びる。ステント150は図8のステント90の構築と類似しており、ヘリックス、即ちラセン158に成形されるワイヤ152を有する。ヘリックスターンは距離159をおいて離れている。図17に示すように、ヘリックスターンは、第2末端領域156よりも第1末端領域157で更に離れている。この間隔により、ステント150が、第1末端領域157でよりも第2末端領域156で大きな放射方向の外向きの力を発揮することが可能となる。
【0028】
図16と図17は、他端よりも一端で大きな放射状力を有する2つの実施形態を示す。この性質は、他の構造を用いても得ることができる。この性質を有する別の実施形態は、図9の長手軸方向の半分に類似し、他端よりも一端で大きな要素太さを有する。更に別の実施形態は、図12の長手軸方向の半分と類似し、他端よりも一端でより大きな外側直径を有する。
【0029】
図16と図17の実施形態におけるように、他端よりも一端でより大きな放射状に働く外向きの力を発揮するステントは、図4に示す狭くなっていく血管領域での狭窄を通り置かれるのが可能となる。より大きな放射状の力を有するステント末端はより広い血管領域中に拡張できる。一方、より小さな放射状の力を有するステント末端はより狭い血管領域壁まで拡張できるが、該ステント末端がより広い血管領域で拡張するのに必要な力よりも小さな力によって拡張できる。このことにより、血管壁に対する不必要な力を小さくでき、血管を開いたままにし、血管流路の外にステントをほぼ保つことができる。
【0030】
本発明は、ステント長さに沿って変わる放射状の力を有するステントを提供する。例示した目的のために狭窄血管領域をまたぐものとして使用されるステントを説明してきた。別の使用は、炎症の、又はそれ以外のように制限された身体内管腔を通るチャネルを開いたままに維持することである。他の目的のために使用されるステントも本発明の範囲内であることは明瞭である。
【0031】
本発明を例示するために、自己拡張型ステントを本明細書で記載したが、いわゆるバルーン拡張型ステントも本明細書記載の変わる拡張力という性質を有しうることに注意すべきである。しかし、バルーン拡張型ステントの場合、一般的にこれらの力は、ステントを拡張するのに必要な力より小さく、ステントの拡張を完全にするために、当業者に公知のようにバルーンを用いる。堅い、又は重い部材を有するステントはステントの柔軟性が高められるのが望ましい場所である孔(ostium)などの血管の屈曲部分で、上記のバルーン拡張型ステントを好ましくも配備できる。それ故、バルーン拡張型ステントも本発明の範囲内であることを理解すべきである。
【0032】
本明細書によって包含される本発明の多数の特徴と利点を詳述した。しかし、この開示は多くの点で例示のみを目的とすることが理解されよう。本発明の範囲を超えることなく、詳細な点、特に部材の形、大きさ、配置に関し、変更を行うことができる。無論、本発明の範囲は、請求の範囲に記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の末端領域、中央領域、第2の末端領域を有する管状構造を備えたステントにおいて、
前記管状構造は放射方向において外方に働く力を有し、該力はステントの長さに沿って変化し、該力は、第1の末端領域において最小で、第1の末端領域よりも中央領域で大きく、中央領域よりも第2の末端領域で大きく、
前記構造は接続部において交差する複数の交差要素を有し、前記第1の末端領域、中央領域、および第2の末端領域のうちの少なくとも一領域において、前記接続部は交差要素同士の交点から外方に板状に拡大しており、前記接続部の外面側における表面積は、第1の末端領域において最も小さく、第1の末端領域よりも中央領域で大きく、中央領域よりも第2の末端領域で大きいことを特徴とするステント。
【請求項2】
前記ステントが拡張されると、前記中央領域の直径は前記第1の末端領域の直径よりも大きく、前記第2の末端領域の直径は前記中央領域よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
第1の末端領域、中央領域、第2の末端領域を有する管状構造を備えるステントにおいて、
前記管状構造は放射方向において外方に働く力を有し、該力はステントの長さに沿って変化し、該力は、第1および第2の末端領域よりも中央領域において大きく、
前記構造は接続部において交差する複数の交差要素を有し、少なくとも中央領域において、前記接続部は交差要素同士の交点から外方に板状に拡大しており、前記接続部の外面側における表面積は、中央領域において第1および第2の末端領域よりも大きいことを特徴とするステント。
【請求項4】
前記ステントが拡張されると、前記中央領域の直径は、第1および第2の末端領域の直径よりも大きいことを特徴とする、請求項3に記載のステント。
【請求項5】
形状記憶材料で形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のステント。
【請求項1】
第1の末端領域、中央領域、第2の末端領域を有する管状構造を備えたステントにおいて、
前記管状構造は放射方向において外方に働く力を有し、該力はステントの長さに沿って変化し、該力は、第1の末端領域において最小で、第1の末端領域よりも中央領域で大きく、中央領域よりも第2の末端領域で大きく、
前記構造は接続部において交差する複数の交差要素を有し、前記第1の末端領域、中央領域、および第2の末端領域のうちの少なくとも一領域において、前記接続部は交差要素同士の交点から外方に板状に拡大しており、前記接続部の外面側における表面積は、第1の末端領域において最も小さく、第1の末端領域よりも中央領域で大きく、中央領域よりも第2の末端領域で大きいことを特徴とするステント。
【請求項2】
前記ステントが拡張されると、前記中央領域の直径は前記第1の末端領域の直径よりも大きく、前記第2の末端領域の直径は前記中央領域よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
第1の末端領域、中央領域、第2の末端領域を有する管状構造を備えるステントにおいて、
前記管状構造は放射方向において外方に働く力を有し、該力はステントの長さに沿って変化し、該力は、第1および第2の末端領域よりも中央領域において大きく、
前記構造は接続部において交差する複数の交差要素を有し、少なくとも中央領域において、前記接続部は交差要素同士の交点から外方に板状に拡大しており、前記接続部の外面側における表面積は、中央領域において第1および第2の末端領域よりも大きいことを特徴とするステント。
【請求項4】
前記ステントが拡張されると、前記中央領域の直径は、第1および第2の末端領域の直径よりも大きいことを特徴とする、請求項3に記載のステント。
【請求項5】
形状記憶材料で形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のステント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−82739(P2009−82739A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10540(P2009−10540)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【分割の表示】特願平10−550641の分割
【原出願日】平成10年5月21日(1998.5.21)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【分割の表示】特願平10−550641の分割
【原出願日】平成10年5月21日(1998.5.21)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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