説明

変位計測システム

【課題】発信機からの電波を受信した複数の受信機からの受信信号の位相差の変化から発信機の変位を計測する変位計測部80と、予め受信した信号に基づく基準データと変位計測時の観測データとの相関係数が閾値より低い場合に、計測環境変化の発生を検出する環境変化検出部40を備えた変位計測システムにおいて、計測環境変化による誤検出を抑制し、計測精度の向上を図り、連続性を保持できる。
【解決手段】計測環境変化を検出した場合に、計測環境変化による位相誤差を校正する校正処理部50と、予め初期の校正を保持する初期校正データ部60と、直近の観測受信信号から直近校正データを生成・更新する直近校正データ部70とを備え、計測環境変化を検出した場合に、初期校正データ部と直近校正データ部の校正データを切替えて校正処理を行ない、校正後の受信信号の受信位相の組合せから受信位相差を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位を計測したい地点に設置した発信機からの信号を受信し、その受信位相差を利用して、発信機変位を観測する変位計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
変位を計測したい地点に設置した発信機からの受信位相を利用して、発信機変位を観測する従来技術としては、特許文献1のようなものがある。この特許文献では、位置が既知である固定点に設置された受信機で受信した信号をそのまま用い、発信機位置が変位すれば、複数の受信機間での受信位相差も変化するという性質を利用して、発信機変位を計測している。
【0003】
又、当社は特願2010−117701号広報において、発信機からの信号を複数受信機で受信し、その受信位相差から発信機変位を観測する変位計測システムにおいて、発信機変位が発生していなくても降雨等による計測環境の変動により受信位相が変化し、発信機変位を誤検知してしまうという課題に対して、運用開始前に晴天時のデータをデータベース化し、運用開始後の観測時の状況(季節、温度等)に最も近いデータをリファレンスデータとし、観測信号との相関係数の変化から、降雨を検知する手法を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−202964号公報(第1−11頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の発明(特願2010−117701)では、リファレンスデータを用いて環境変化を検出した後の、具体的な校正処理手法や校正処理に用いる校正データの選定方法については、あまり記載されていなかった。また、過去データから季節変化も含めて比較判定する場合、通年を通したデータベース化が必要となりデータ容量、比較演算量は過大となる課題があった。
【0006】
従って、受信系の校正処理に用いる位相校正データは、初期データと環境変動時に切り替えて使用する校正データについて、その生成方法と環境変動時に切り替えて処理する部分をシステマティックに判断(処理)すると共に、計測値(計測結果)については、計測開始からの連続性を保持するために、環境変動にて連動して発生する誤差変化を補正し、環境が戻った場合には初期校正データに戻して計測を継続する必要があった。
【0007】
また、発信機が計測開始時の初期位置から変位している状態においても、変位量を継続しつつ環境変化に対応して計測し計測開始からの連続性を保持する必要がある。更には、校正データの生成において、受信データの瞬間的な遮蔽などの変動要因がもとで校正データそのものに大きな誤差が加算されないようにする必要がある。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、計測環境が変化したこと(すなわち、マルチパス環境が変化したこと)に起因する変位の誤検出を抑制し、計測精度の向上を図る。更に、校正データには時間平均や標準偏差など処理により平滑効果が得られ、瞬間的な遮蔽などの変動要因に起因する大きな誤差を抑圧することにより、計測データの連続性を保つ変位計測システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
変位を観測する地点に設置された1台以上の発信機からの電波を、変位しない場所に設置された複数台の受信機で受信し、前記複数台の受信機による受信信号の受信位相の組合せから受信位相差を算出し、この受信位相差の変化から前記1台以上の発信機の変位を計測する変位計測部を有する変位計測システムにおいて、あらかじめ初期に取得した受信信号に基づく基準データと、
変位計測時に取得した受信信号に基づく観測データとの相関係数を算出し、この相関係数が所定の閾値よりも低い場合には、計測環境の変化が発生したことを検出する環境変化検出部を備え、
あらかじめ初期の校正データを保持する初期校正データ部と、直近の観測受信信号から直近校正データを生成・更新する直近校正データ部と、変位計測時に取得した受信信号に対して、計測環境の変化による位相誤差を校正する校正処理部とを更に備え、校正処理部が、計測環境の変化が検出された場合には、初期校正データ部から直近校正データ部の校正データを切替え、計測環境の変化が検出されない場合には、初期校正データ部の校正データに切替えて、校正処理を実施し、前記変位計測部が、校正処理した後の受信信号に基づき前記1台以上の発信機の変位を計測する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る変位計測システムによれば、受信信号に基づく基準データと観測データとの相関に着目し、観測データの値が所定の閾値よりも低い相関関係である場合には、予め設定された初期校正データと直近の連続した受信データから生成された直近校正データとを切替えて受信データの校正を行った後に変位計測を行うことにより、計測環境が変化したこと(すなわち、マルチパス環境が変化したこと)に起因する変位の誤検出を抑制し、計測精度の向上を図った変位計測システムを得ることができる。
【0011】
また、受信信号に基づく基準データと観測データとの相関関係において観測データの値が例えば閾値を超えた場合は、予め設定された初期校正データに戻して変位計測を行うことにより計測値(測位結果)の連続性を保つことができる。更には、通年を通した季節変化などに関しても様々なケースでのデータベースを保持する必要が無く、システムが保持すべきデータ容量の削減効果が見込める。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係る変位計測システムの基本的な構成を示す全体図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る変位計測システムのブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る変位計測システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2に係る変位計測システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
まず始めに、本発明の基本概念について説明する。本発明は、次の3つの仮定に基づき、変位計測の外乱要因となる環境変化を検出し、その判定結果を元に受信データの校正処理を行うものである。
(仮定1)発信機に変位が生じた場合の発信機の変位は、数ミリ〜数センチメートル程度の大きさであり、発信機と受信機間の距離に比べると微小であることから、発信機変位のみでは、受信位相が変化したとしても、波形そのものは、ほぼ変化しない。
(仮定2)計測環境に変化が生じた場合、例えば、降雨により雨粒の付着等が起こった場合には、発信機と受信機間のマルチパスの状態が変化し、受信位相が変化するとともに、受信波形そのものが変化する。
(仮定3)計測環境は、例えば、降雨等が収束しその後初期状態に戻った場合は、受信位相及び受信波形そのものも変化の前の状態に戻る。
【0014】
本発明は、これら3つの仮定に着目し、受信信号に基づく基準データと観測データとの相関関係を求めることで、相関が小さい場合には、基準に対して波形そのものが変化した、すなわち、環境変化が起こったことを検出し受信データの校正データを切替えて校正処理を行った後、測位計算処理を行う。切替に用いる校正データは計測開始前に生成した初期校正データと直近の計測データを基に生成した直近校正データで構成される。
【0015】
また、直近の連続した受信データから生成する直近校正データについては、発信機位置と受信機位置との距離を求め計算する必要があるため、その時の発信機位置の算出も含めた校正データの生成についても提案する。
【0016】
図1は、本実施の形態1における変位計測システムの基本的な構成を示す全体図である。本実施の形態では、n台の発信機1とm個の受信機2で送受信系が構成され、送信信号sが既知の場合について説明する。伝達関数の類似性に着目して、環境変化の検出を行うものであり、変位を観測したい地点に設置されたn台の発信機1(1)〜1(n)と、設置箇所が変位しない場所に設置されたm個の受信機2(1)〜2(m)で構成される。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態に係る変位計測システムのブロック図である。本実施の形態に係る変位計測システムは、受信データ取得部10、データ記憶部20、リファレンスデータ抽出部30、環境変化検出部40、校正処理部50、初期位校正データ部60、直近校正データ部70、および変位計測部80を備えている。
【0018】
次に、本実施の形態1における変位計測システムの動作について説明する。外乱要因として、例えば、降雨が発生したことによる位相ずれを補償する動作を具体的に説明する。図4は、本実施の形態における変位計測システムの処理の流れを示すフローチャートである。そこで、図1〜図3に基づいて、本実施の形態1における変位計測システムの一連処理について、以後詳細に説明する。
【0019】
まず始めに、受信データ取得部10は、システム運用開始前に、m個の受信機2(1)〜2(m)からの基準となるべき受信データ(受信信号)を、全ての発信機と受信機の組合せに対して収集する。すなわち、本実施の形態1では、1個の発信機1(1)に対するm個の受信機2(1)〜2(m)のそれぞれの組合せに対して収集する。
【0020】
より具体的には、受信データ取得部10は、外乱要因の変動が少ないシステム設置開始時の環境下での種々の受信データ(例えば、計測開始からある設定期間の受信データもしくは、春夏秋冬、昼夜等により異なる日射・温度条件下での晴天時の種々の受信データ)を取得し、データ記憶部20に記憶させ、初期校正データ等の基準データをあらかじめデータベース化しておく(ステップS301)。
【0021】
システム運用(計測)開始前に、初期データ部60は、データ記憶部20に記憶したデータから初期校正データを算出する(ステップS302)。
【0022】
次に、システム運用開始後、リファレンスデータ抽出部30は、計測を行っている時期および時間帯に応じた基準となる受信データをデータ記憶部20から読み出し、リファレンスデータとして登録しておく(ステップS303)。このときのリファレンスデータrref(i)(i=1、2、・・・、m)は、送信信号をs、伝達関数をh(i)(i=1、2、・・・、m)とする。 一方、受信データ取得部10は、変位計測を行うため、発信機からの信号の受信を開始する(ステップS304)。
【0023】
このときの各受信機での受信信号(観測信号)r(i)(i=1、2、・・・m)は、送信信号をs、伝達関数をh(i)(i=1、2、・・・、m)とする(ステップS305)。
【0024】
次に、環境変化検出部40は、登録したリファレンスデータrref(i)をFFTした信号Rref(i)と、受信信号r(i)をFFTした信号R(i)との相関係数を、算出する(ステップS306)。
【0025】
次に、環境変化検出部40は、先のステップS306で算出した相関係数が、事前に設定した閾値以下であるか否かを判断する。閾値以下の場合は、計測環境に変化が生じたことで受信波形そのものが変化したと判断し、アラームを発生する(ステップS307)。
【0026】
一方、ステップS304で取得した受信データを基に、直近校正データ部70は、データ記憶部20より校正データ取得設定数等に基づき受信データを選択し受信データ群(複数受信データ)を構成する。また、受信データ群は受信データの取得時に順次更新される(ステップS308)。校正データの取得数を設定する(すなわち観測時間に幅を持たせる)ことで、校正データには時間平均や標準偏差など処理により平滑効果が得られ、瞬間的な遮蔽などの変動要因に対して抑圧することができ校正データそのもの精度の悪化を抑える効果がある。
【0027】
次に、ステップS308で構成した受信データ群から直近校正データ部70にて環境変化検出時の校正処理に適用する直近校正データを生成する(ステップS309)。
【0028】
そして、先のステップS307の判断結果によりアラームが発生していない場合には、変位計測部80は、受信系の校正処理に用いる校正データをステップS302で算出した初期構成データを用いて校正処理を行う(ステップS310)。
【0029】
もしくは、先のステップS307の判断結果によりアラームが発生した場合には、変位計測部80は、受信系の校正処理に用いる校正データをステップS309で算出した直近校正データ(位相補正データ)を用いて校正処理を行う(ステップS311)。
【0030】
校正処理の選択処理後、先の特許文献1に記載されているような従来技術により、複数の受信機2(1)〜2(m)による受信データから算出された複数の受信機間での受信位相差の変化に基づいて、発信機変位を計測する(ステップS312)。
【0031】
以上のように、本実施の形態1によれば、初期校正データと外乱要因の発生前後の受信データ群から算出した直近校正データを用いて、リファレンスデータと受信データとの相関係数が所定の閾値よりも小さい場合には、外乱の影響による位相変化が生じていると判断し、直近の受信データから校正した直近校正データを用いて受信データの位相を校正する。或いは、外乱要因の発生が継続していると判断した間は、直近校正データを用いて受信データの位相を校正し、校正後の受信データに基づいて変位計測を行い、外乱要因の発生が収束した場合は、初期校正データに再度切替えて校正を実施し変位計測を行っている。
【0032】
このような校正処理を施して変位計測を行うことで、計測環境が変化したことに起因する変位の誤検出を抑制し、計測精度の向上を図り且つ計測データの連続性を保持した変位計測システムを実現できる。校正データの生成において、受信データの瞬間的な遮蔽などの変動要因により大きな誤差が加算されない効果を奏する。
【0033】
また、受信信号に基づく基準データと観測データとの相関関係において観測データの値が例えば閾値を超えた場合は、予め設定された初期校正データに戻して変位計測を行うことにより計測値の連続性を保つことができる。更には、通年を通した季節変化などに関しても様々なケースでのデータベースを保持する必要が無く、システムが保持すべきデータ容量の削減効果が見込める効果を奏する。
【0034】
実施の形態2.
実施の形態1では、初期校正データと直近受信データ群から算出した直近校正データを用いて、リファレンスデータとの相関係数の変化に基づき受信系の校正処理に使用する校正データを切替えて変位計測を行う場合について説明した。これに対して、本実施の形態2では、直近受信データ群から算出する直近の校正データ算出において、変位計測結果の値(変位した量)を元に直近校正データを算出することにより、発信機が変位している場合でも計測の連続性を保持する場合について説明する。
【0035】
本実施の形態2における基本的な構成を例示する全体図は、実施の形態1における図1と同じである。また、本実施の形態2における変位計測システムのブロック図は、実施の形態1における図2と同じであり、受信データ取得部10、データ記憶部20、リファレンスデータ抽出部30、環境変化検出部40、校正処理部50、初期校正データ部60、直近校正データ部70、および変位計測部80を備えている。但し、本実施の形態において、直近校正データ部70は、校正データ算出において変位計測部での変位量計算結果を元に計測した変位量を補正した校正データの生成を行う点が、実施の形態1とは異なっている。
【0036】
次に、本実施の形態に係る変位計測システムの動作について、外乱要因として例えば、降雨が発生したことによる位相ずれを補償する動作について説明する。図4には、本発明の実施の形態2における変位計測システムの処理の流れを示すフローチャートを示す。そこで、図1、図2、図4に基づいて、本実施の形態における変位計測システムの一連処理について、説明する。ステップS401からステップS407までは、図3におけるステップS301からステップS307とそれぞれ同様である。
【0037】
ステップS408においては、ステップS404で取得した受信データを基に、直近校正データ部70は、データ記憶部20より校正データ取得設定数等に基づき受信データを選択し受信データ群(複数の受信データ)を構成する。また、受信データ群は受信データの取得時に順次更新される(ステップS408)。校正データの取得数を設定する(すなわち観測時間に幅を持たせる)ことで、校正データには時間平均や標準偏差など処理により平滑効果が得られ、瞬間的な遮蔽などの変動要因に対して抑圧することができ校正データそのもの精度の悪化を抑える効果がある。
【0038】
次に、ステップS408で構成した受信データ群から直近校正データ部70にて環境変化検出時の校正処理に適用する直近校正データを生成する(ステップS409)。
【0039】
ステップS409の校正データの生成時において、計測結果で既に初期の計測開始の位置から発信機が変位していた場合、その計測結果を元に変位量を算出し、校正処理データの算出過程で変位量の補正を行い、直近校正データを生成する(ステップS410)。
【0040】
変位量の算出においては、受信データ取得前の計測結果取得数を設定する(すなわち観測時間に幅を持たせる)ことで、変位量算出データには時間平均や標準偏差など処理により平滑効果が得られ、瞬間的な遮蔽などの変動要因に対して抑圧することができ校正データそのもの精度の悪化を抑える効果がある。
【0041】
また、変位量の算出において、ステップS406、S407で計測環境に変化が生じたことで受信波形そのものが変化したと判断し、アラームを発生する機能を利用して、計測環境の変化が生じる以前の計測結果から、変位量算出データを同様に生成し、その変位量を元に、校正処理データの算出過程で変位量の補正を行い、直近校正データを生成する。この様に、発信機位置について変位量を補正して校正データを算出することにより計測データの連続性を保持する。
【0042】
先のステップS407の判断結果によりアラームが発生していない場合には、変位計測部80は、受信系の校正処理に用いる校正データをステップS402で算出した初期校正データを用いて校正処理を行う(ステップS411)。
【0043】
そして、先のステップS407の判断結果によりアラームが発生した場合には、変位計測部80は、受信系の校正処理に用いる校正データをステップS409、S410で算出した直近校正データ(位相補正データ)を用いて校正処理を行う。(ステップS411)。
【0044】
校正処理の選択処理後、先の特許文献1に記載されているような従来技術により、複数の受信機2(1)〜2(m)による受信データから算出された複数の受信機間での受信位相差の変化に基づいて、発信機変位を計測する(ステップS412)。
【0045】
以上のように、実施の形態2によれば、直近受信データ群から算出する直近の校正データ算出において、変位計測結果の値(変位した量)を元に直近校正データを算出することにより、初期の計測開始から発信機が変位している場合であっても、変位量を継続しつつ環境変化に対応して計測し計測開始からの連続性を保持できるという効果を奏する。また、発信機が計測開始時の初期位置から変位している状態においても、直近の校正データ生成時に発信機変位量を補正し、校正処理を行うことで計測開始からの連続性を保つことができる。
【符号の説明】
【0046】
1 発信機
2 受信機
10 受信データ取得部
20 データ記憶部
30 リファレンスデータ抽出部
40 環境変化検出部
50 校正処理部
60 初期校正データ部
70 直近校正データ部
80 変位計測部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変位を観測する地点に設置された1台以上の発信機からの電波を、変位しない場所に設置された複数台の受信機で受信し、前記複数台の受信機による受信信号の受信位相の組合せから受信位相差を算出し、この受信位相差の変化から前記1台以上の発信機の変位を計測する変位計測部を有する変位計測システムにおいて、
あらかじめ初期に取得した受信信号に基づく基準データと、
変位計測時に取得した受信信号に基づく観測データとの相関係数を算出し、この相関係数が所定の閾値よりも低い場合には、計測環境の変化が発生したことを検出する環境変化検出部を備え、
あらかじめ初期の校正データを保持する初期校正データ部と、
直近の観測受信信号から直近校正データを生成・更新する直近校正データ部と
変位計測時に取得した前記受信信号に対して、前記計測環境の変化による位相誤差を校正する校正処理部とを更に備え、
前記校正処理部が、前記計測環境の変化が検出された場合には、前記初期校正データ部から前記直近校正データ部の校正データを切替え、前記計測環境の変化が検出されない場合には、前記初期校正データ部の校正データに切替えて、校正処理を実施し、
前記変位計測部が、校正処理した後の受信信号に基づき前記1台以上の発信機の変位を計測する
ことを特徴とする変位計測システム。
【請求項2】
前記校正処理部が、前記計測環境の変化が検出された場合には、前記初期校正データ部から前記直近校正データ部の校正デ−タに切替えた後、あらかじめデータ記憶部に記憶された前記基準データから受け取った校正データ取得設定数に基づいて、前記直近校正データ部が選択した複数の受信データを用いて、前記校正データに対して時間平均及び標準偏差の処理を実施し、
前記計測環境の変化が復旧した場合には、前記校正処理部が、前記初期校正データ部の校正データに切替える
ことを特徴とする請求項1に記載の変位計測システム。
【請求項3】
前記直近校正データ部が、校正データを生成する場合に、
初期の計測開始から発信機が変位していた場合、その計測結果を元に発信機の変位量を算出し、校正処理データの算出過程で変位量の補正を行い、直近校正データを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の変位計測システム。
【請求項4】
前記校正処理部が、前記初期校正データと前記直近校正データを校正データとして記憶すること
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の変位計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−24700(P2013−24700A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159132(P2011−159132)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】