説明

変性脂環式ポリエステル及び成形体

【課題】 透明性及び耐熱性を有し、各種樹脂やガラスとの接着性が良好な変性脂環式ポリエステル及び、該変性脂環式ポリエステルからなる層を含む積層体を提供する。
【解決手段】 脂環式ポリエステルにビニルモノマーをグラフト化して得られる変性脂環式ポリエステルであって、該変性脂環式ポリエステル中に前記ビニルモノマーが0.01〜40重量部グラフトされていることを特徴とする変性脂環式ポリエステル及び該変性脂環式ポリエステルからなる成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性脂環式ポリエステル及び、該変性脂環式ポリエステルを含む成形体に関する。さらに詳しくは、各種樹脂やガラスとの接着性が良好な変性脂環式ポリエステル及びその成形体、並びに該変性脂環式ポリエステルを含有する層を有する積層体に関する。
また、本発明は、ポリエステル系樹脂やポリカーボネート樹脂の改質材として好適に使用することができる変性脂環式ポリエステルに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂及びエチレン−ビニルアルコール共重合体は、強靱性、耐熱性、耐摩耗性及びガスバリア性に優れることから、従来から工業製品、家庭用品、包装材料等に広く利用されている。このガスバリア性を活かした用途の例としては、飲料用ボトルや食品包装分野が挙げられる。具体的には、耐熱性、耐薬品性及び力学的特性に優れるポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂層に、ポリアミド樹脂層やエチレン−ビニルアルコール共重合体層を積層化することにより、ポリエステル樹脂のガスバリヤ性を向上させた炭酸飲料用の容器や、生鮮食品等の長期保存を可能とする包装材料への応用が検討されている。
【0003】
このようなポリエステル樹脂層とポリアミド樹脂層やエチレン−ビニルアルコール共重合体層との積層化においては、両層が熱融着しないため接着剤や接着性樹脂を介した複合化が行われているが、食品包装用途における滅菌処理工程やレトルト調理等の高温処理時に接着強度が低下し、剥離しやすいという問題があった。
また、ガスバリア性のみならず、更に耐衝撃性、柔軟性、軟質的な触感、防水性等を付与するために、ポリアミド樹脂層やエチレン−ビニルアルコール共重合体層に弾性体を積層することがある。従来は、ポリアミド樹脂やエチレン−ビニルアルコール共重合体に弾性体を積層しても、両樹脂間の熱融着性が劣り、更には透明性も悪化することが問題であった。このため従来は、ガスバリア性とともに柔軟性、防水性、耐衝撃性等を併せ持ち、さらに透明性が良好な積層体は得られていなかった。
【0004】
ポリエステル系樹脂層とポリアミド樹脂層やエチレン−ビニルアルコール共重合体層との積層体の接着材としては、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性処理して得られる変性ポリエステル系熱可塑性エラストマーが開示されている(特許文献1、2)。しかしながら、ここで開示された積層体では、高温処理後の接着強度保持や透明性が十分ではなかった。
【0005】
他方、樹脂の物理的強度や弾性率、熱変形温度等を向上させる手法の一つとして、樹脂中に充填剤としてガラス繊維を含有させるガラス繊維強化樹脂が一般に用いられている。しかしながら、樹脂とガラス繊維との接着性が十分でないと、ガラス繊維強化樹脂の物理的強度や弾性率、熱変形温度等は十分に向上しない。
また、樹脂とガラスとを積層させた積層体(以下、ガラス積層体という場合がある)は、透明性、絶縁性、耐衝撃性等の特性を活かして、飛散防止ガラス、絶縁体等の用途に広く使用されている。更に、ガラスが有する脆性、比重が大きいといった欠点を補うために、樹脂を被覆したガラス積層体とする場合もある。前記の通り、脂環式ポリエステルは透明性及び耐熱性が良好であり、ガラス自身も同様であるので、脂環式ポリエステルを用いたガラス積層体は、ガラスの特徴を損なわずに、ガラスの欠点を補うことが期待される。しかしながら、脂環式ポリエステル層とガラスとを積層化させた場合、両者の接着性が不十分であるため、層間で剥離を生じることが問題であった。
【0006】
これらの問題を解消する方法としては、従来、ガラス表面をシランカップリング等で処理を施すことがなされてきた(特許文献3、4参照)。しかしながら、ガラス表面のシランカップリング処理は、製造工程が複雑化するとともに、十分な改良効果が発現しないことがあった。
以上の通り、従来は、脂環式ポリエステル層を含有する成形体、すなわち、樹脂積層体やガラス繊維強化樹脂、ガラス積層体等は、本来の性能を発揮することが出来なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−155135号公報
【特許文献2】特開2002−144486号公報
【特許文献3】特開2006−51608号公報
【特許文献4】国際公開第09/044884号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、透明性及び耐熱性を有し、各種樹脂やガラスとの接着性が良好な変性脂環式ポリエステル及び、該変性脂環式ポリエステル含む成形体を提供することにある。
更に本発明は、上記の性能を有するとともに、更に耐衝撃性、柔軟性、軟質的な触感、防水性が良好な変性脂環式ポリエステル及び、該変性脂環式ポリエステル含む成形体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、脂環式ポリエステルに特定の変性を付与した変性脂環式ポリエステルとすることにより、上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、以下の[1]〜[9]を要旨とする。
[1] 脂環式ポリエステルにビニルモノマーをグラフト化して得られる変性脂環式ポリエステルであって、該変性脂環式ポリエステル中に前記ビニルモノマーが0.01〜40重量%グラフトされていることを特徴とする変性脂環式ポリエステル。
【0011】
[2] [1]において、脂環式ポリエステルが、ジカルボン酸由来の単位及びジオール由来の単位から構成され、全ジカルボン酸由来の単位中の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の割合が50モル%以上、かつ全ジオール由来の単位中の1,4−シクロヘキサンジメタノールの割合が50モル%以上であり、該脂環式ポリエステルの融点が160℃以上240℃以下である変性脂環式ポリエステル。
[3] [1]又は[2]において、脂環式ポリエステルが、ハードセグメントとソフトセグメントを有し、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルポリオールを3〜30重量%含む変性脂環式ポリエステル。
[4] [1]〜[3]の何れかにおいて、ビニルモノマーが不飽和カルボン酸またはその誘導体、不飽和シラン化合物、スチレン及び/又はその誘導体から選択される1種以上を含む変性脂環式ポリエステル。
[5] [1]〜[4]の何れかにおいて、グラフト化が、有機過酸化物の存在下での溶融混練によってなされることを特徴とする変性脂環式ポリエステル。
【0012】
[6] [1]〜[5]の何れかに記載の変性脂環式ポリエステルを含有する成形体。
[7] [1]〜[5]の何れかに記載の変性脂環式ポリエステルを含有する層と、他の層とを有する積層体。
[8] [7]において、該他の層が樹脂層、ガラス層、金属層のうち少なくとも何れかである積層体。
[9] [8]において、該変性脂環式ポリエステルからなる層と該他の層とが接している積層体。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、透明性及び耐熱性を有し、ポリアミド樹脂やエチレン−ビニルアルコール共重合体等の各種樹脂や、ガラス繊維を含むガラスとの接着性が良好な変性脂環式ポリエステル及びその成形品、並びに該変性脂環式ポリエステルからなる層を含む積層体を提供することができる。
更に本発明によれば、上記の性能を有するとともに、更に耐衝撃性、柔軟性、軟質的な触感、防水性が良好な変性脂環式ポリエステル及び、該変性脂環式ポリエステル含む成形体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
本発明の変性脂環式ポリエステルは、脂環式ポリエステルにビニルモノマーをグラフト化させて得られるものである。
ここで「グラフト化」とは、予め脂環式ポリエステルの共重合成分として用いるのではなく、既に製造されている脂環式ポリエステルに対し、反応によってビニルモノマーを結合させるものである。すなわち、本発明において「グラフト化」とは、ビニルモノマーが重合されて分子鎖長が長い側鎖として導入される場合のみならず、脂環式ポリエステルに対してビニルモノマーが化学結合していれば包含される。
共重合に比べてグラフト化の方が好適である原因は明らかでないが、ビニルモノマーに相当する構造単位が脂環式ポリエステルに共重合されている場合に比べ、グラフト化によってビニルモノマーを結合させる方が、該ビニルモノマーに相当する部分の分子運動が容易であるため、他の物質との接着性向上に効果的であるためと考えられる。換言すれば、脂環式ポリエステル主鎖の分子運動は、主鎖同士の絡み合いによって拘束を受けるが、グラフト化部分の分子運動は、主鎖同士の絡み合いに拘束されず自由であるためである。
【0015】
<脂環式ポリエステル>
本発明の変性脂環式ポリエステルの原料として用いる脂環式ポリエステルは、原料モノマーとして脂環式化合物を有していれば限定されないが、主成分として脂環式化合物を有するポリエステルであることが好ましい。ここで、「主成分として脂環式化合物を有する」とは、ポリエステルの繰り返し単位として(換言すれば、原料モノマーとして)、脂環式化合物を50重量%以上含有するポリエステルを意味する。
また、該脂環式ポリエステルを構成する脂環式化合物の含率は、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上である。脂環式ポリエステルを構成する脂環式化合物の含率が前記下限値未満である場合は、変性脂環式ポリエステルの透明性や耐熱性が低下する傾向にある。なお、該脂環式ポリエステルを構成する脂環式化合物の含率の上限は、100重量%である。
ここで、本発明における脂環式ポリエステルが、後述する通り、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルポリオールを含む場合は、該脂環式ポリエステルを構成する脂環式化合物の含率の算出に際しては、該ポリアルキレンエーテルポリオールの重量は除外して取り扱うものとする。
【0016】
本発明における脂環式ポリエステルを構成する脂環式化合物は、原料モノマーとして、ジカルボン酸、ジオール、オキシカルボン酸、カプロラクトン類の何れであってもよく、更には、エステル形成性モノマー以外の化合物として脂環式化合物が用いられていても良
い。好ましくは、ジカルボン酸、ジオール、オキシカルボン酸の何れかとして脂環式化合物が用いられる場合が良好であり、更には、ジカルボン酸、ジオールの少なくとも何れかとして脂環式化合物が用いられる場合が良好である。
【0017】
脂環式ポリエステルを構成する原料モノマーとして脂環式ジカルボン酸を用いる場合、その化合物は限定されないが、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のシクロヘキサンジカルボン酸類;1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,7−デカヒドロナフタレンジカルボン酸等のデカヒドロナフタレンジカルボン酸類等が挙げられる。これらのうち、シクロヘキサンジカルボン酸が好ましく、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が特に好ましい。
これらの脂環式ジカルボン酸は2種以上を併用することもできる。
【0018】
脂環式ポリエステルを構成する原料モノマーとして脂環式ジオールを用いる場合、その化合物は限定されないが、例えば、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール等のシクロペンタンジオール;1,2−シクロペンタンジメタノール、1,3−シクロペンタンジメタノール、シクロペンタンジメタノールビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカン等の5員環ジオール;1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等のシクロヘキサンジオール;1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のシクロヘキサンジメタノール;2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等のビスシクロヘキシルジオール等が挙げられる。これらのうち、シクロヘキサンジメタノールが好ましく、1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。これらの脂環式ジオールは、2種以上を併用することもできる。
なお、これらの脂環式ジカルボン酸及び脂環式ジオールは、原料モノマーとしては、エステル形成性の誘導体であってもよい。
【0019】
脂環式ポリエステルを構成する脂環式化合物が6員環である場合、該6員環化合物はトランス体であってもシス体であってもよく、これらの混合物であってもよいが、得られる変性脂環式ポリエステルの耐熱性及び成形性を向上させるためには、トランス体の比率が高いことが好ましい。具体的には、脂環式ジカルボン酸、脂環式ジオールの何れについても、トランス体とシス体の合計量に対し、トランス体含有率が50モル%以上であるのが好ましく、60モル%以上であるのがより好ましく、70モル%以上であるのが更に好ましい。また、トランス体含有率の上限は、通常100モル%である。
【0020】
本発明に用いる脂環式ポリエステルには、原料モノマーとして脂環式化合物以外の化合物を併用することができる。脂環式ポリエステルの原料モノマーとして用いることが出来る化合物は限定されず、種々のジカルボン酸、ジオール、オキシカルボン酸、カプロラクトン類、多官能化合物等を用いることができる。
脂環式ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられ、これらの中では、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、特にテレフタル酸が好適である。これらの脂環式ジカルボン酸以外のジカルボン酸は、2種以上を併用することもできる。
【0021】
脂環式ジオール以外のジオールとしては、後述するポリアルキレンエーテルポリオールのほか、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール等の脂肪族ジオール;キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール等が挙げられる。これらの中では、後述するポリアルキレンエーテルポリオールのほか、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールが好ましく、特に1,4−ブタンジオールが好ましい。これらの脂環式ジオール以外のジオールは、2種以上を併用することもできる。
多官能化合物としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール等のトリオールやトリカルボン酸、テトラカルボン酸等が挙げられる。
なお、これらの脂環式化合物以外の原料モノマーも、エステル形成性の誘導体であってもよい。
【0022】
以上の中でも、本発明の変性脂環式ポリエステルの原料として用いる脂環式ポリエステルとしては、全ジカルボン酸単位中、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位が、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上、特に好ましくは80モル%であることが望ましい。全ジカルボン酸単位中の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位の割合が高いほど、変性脂環式ポリエステルの耐熱性が良好となるため好ましい。なお、全ジカルボン酸単位中の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位の割合の上限は、通常100モル%である。
また、脂環式ポリエステルとしては、後述するポリアルキレンエーテルポリオールを除く全ジオール中、1,4−シクロヘキサンジメタノールが、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上、特に好ましくは80モル%であることが望ましい。なお、全ジオール単位中の1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の単位の割合の上限は、通常100モル%である。
また、脂環式ポリエステルとして、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構造を上記と同様の基準でそれぞれ、50モル%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上含有するものが、透明性と耐熱性の点から好ましい。
【0023】
本発明の変性脂環式ポリエステルの原料として用いる脂環式ポリエステルは、ハードセグメントとソフトセグメントとを有し、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルポリオールを含む、いわゆるブロック共重合体であってもよい。ここでハードセグメントとしては、上記した脂環式ポリエステルの構造が相当する。脂環式ポリエステルが、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルポリオールを含有することにより、変性脂環式ポリエステルの柔軟性が向上したり、接着性や粘着性が良好となる傾向があるため好ましい。なお、ポリアルキレンエーテルポリオールは、前述の通り、「脂環式ジオール以外のジオール」の一態様である。
このように、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルポリオールを含むことにより、本発明の変性脂環式ポリエステルが、更に耐衝撃性、柔軟性、軟質的な触感、防水性等を向上させることができる。
【0024】
ソフトセグメントを構成するポリアルキレンエーテルポリオールは限定されないが、中でも、ポリアルキレンエーテルグリコールが好適である。ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール
、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。特に好ましいものは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールである。また、これらのポリアルキレンエーテルグリコールを併用してもよい。
【0025】
本発明の変性脂環式ポリエステルの原料として、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するブロック共重合体を用いる場合、特に、ハードセグメントとして、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構造を50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル重量%以上含有し、ソフトセグメントとしてポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いるものが好適である。
【0026】
ソフトセグメントの数平均分子量、すなわち、ポリアルキレンエーテルポリオールの数平均分子量は、通常200〜4,000、好ましくは300〜3,000、さらに好ましくは500〜2,500である。ポリアルキレンエーテルポリオールの数平均分子量が前記下限値未満では、十分な接着性を発現することが出来ない場合がある。一方、数平均分子量が前記上限値を超えると、脂環式ポリエステル内での相分離が起きやすく、得られる変性脂環式ポリエステルの透明性や耐熱性が低下する場合がある。なお、ここでいう「数平均分子量」とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されたものである。GPCのキャリブレーションには、英国POLYMERLABORATORIES社のPOLYTETRAHYDROFURANキャリブレーションキットを使用すればよい。
【0027】
また、脂環式ポリエステル中のポリアルキレンエーテルポリオールの含有量は限定されないが、通常3〜30重量%、好ましくは6〜25重量%である。ソフトセグメントであるポリアルキレンエーテルポリオールの含有量が上記下限値未満では、柔軟性や接着性、粘着性の向上が不十分となる場合がある。
一方、ソフトセグメントの含有量が上記上限値を超えると、得られる変性脂環式ポリエステルの透明性や耐熱性が低下する場合がある。なお、ポリアルキレンエーテルポリオール由来の構成単位の含有量は、製造時の仕込割合から算出するか、又はH−NMRスペクトル分析法のような機器分析法により定量することができる。
【0028】
本発明の変性脂環式ポリエステルの原料として用いる脂環式ポリエステルは、JIS K7210の試験条件4に従って、230℃、2.16kg荷重(kgf)で測定したメルトフローレートが、通常1〜100(g/10分)、好ましくは3〜80(g/10分)、さらに好ましくは、5〜60(g/10分)の範囲のものが好適である。MFRが上記の上限値を超える場合は、変性脂環式ポリエステルの耐熱性が低下する傾向がある。MFRが上記の下限値未満では流動性が不足して、後述するグラフト化が困難となる場合がある。
また、本発明に用いる脂環式ポリエステルの固有粘度(IV)は、変性脂環式ポリエステルの機械的強度等の観点からは、0.5dl/g以上であるのが好ましい。一方、成形性の観点からは、1.5dl/g以下であるのが好ましい。ここでIVの測定は、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)混合液を溶媒として、ウベローデ型粘度計を用いて30℃で測定することにより求められる。
【0029】
本発明の変性脂環式ポリエステルの原料として用いる脂環式ポリエステルの融点は限定されないが、加工性と透明性のバランスの点から、通常160℃以上、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上であり、通常240℃以下、好ましくは230℃以下である。なお、脂環式ポリエステルの融点は、示差走査熱量計(DSC)等を用い、昇温速度100℃/分で常温から250℃まで昇温して3分間保持し、その後−100℃まで冷却速度10℃/分で冷却した後、再び250℃まで昇温速度10℃/分で昇温させた時の融解ピークの温度である。
【0030】
<ビニルモノマー>
本発明において、脂環式ポリエステルにグラフト化するビニルモノマーは、分子中に二重結合を有するものであれば限定されず、極性を有する化合物であっても、非極性の化合物であってもよい。
【0031】
極性を有するビニルモノマーの具体的な例示としては、代表的には、不飽和カルボン酸またはその誘導体や、エチレン性不飽和シラン化合物等が挙げられる。
不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸等の不飽和カルボン酸等が例示される。また、これらの酸の誘導体、具体的には、酸無水物、エステル、酸ハロゲン化物、アミド、イミドなどであってもよく、中でも酸無水物が好ましい。これらの中では、特にマレイン酸又はその無水物が好適である。ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、以下、同様である。
【0032】
不飽和シラン化合物としては、具体的には下記一般式(I)で示されるエチレン性不飽和シラン化合物が好適である。
R1・SiR23−n (I)
式(I)中、R1はエチレン性不飽和炭化水素基又はハイドロカーボンオキシ基、R2は炭化水素基、Yは加水分解可能な有機基を表し、nは0〜2の整数である。
ここで、R1としては、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6のエチレン性不飽和炭化水素基又はハイドロカーボンオキシ基が望ましく、具体的には、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル基等が挙げられる。
【0033】
R2としては、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基が望ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、デシル基、フェニル基、シクロヘキシル基などに代表されるアルキル基又はアルケニル基;ヒドロキシエチル基、β−メトキシエチル基、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基などのアルコキシアルキル基;β−アミノエチル基、γ−アミノプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基等の含酸素および/または含窒素炭化水素基;クロロメチル基、β−クロロエチル基、γ−クロロプロピル基などの含ハロゲン基などが挙げられる。
Yとしては、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6の加水分解可能な有機基が望ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、β―メトキシエトキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基等が挙げられ、これらのうちアルコキシ基が望ましい。
【0034】
このような不飽和シラン化合物の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、臭気等の観点から、ビニルトリメトキシシランが好適に用いられる。
【0035】
不飽和カルボン酸またはその誘導体、エチレン性不飽和シラン化合物以外の極性を有するビニルモノマーの具体的な例示としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル等の不飽和グリシジル基含有化合物;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル系誘導体;アリルアミン、メタクリルアミン、N,N−ジメチルアクリルアミド等のアリルアミン系誘導体等が挙げられる。
【0036】
非極性のビニルモノマーの具体的な例示としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルスチレン等のスチレン及びその誘導体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基とのエステル;(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリアルオル酢酸ビニル等のビニルエステル単量体等を挙げることができる。これらのうち、スチレン及びメタクリル酸メチルが好ましい。
【0037】
上記のビニルモノマーは、1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明において、脂環式ポリエステルにグラフト化するビニルモノマーとしては、上記のビニルモノマーの中でも、特に極性を有するビニルモノマーを用いることが好ましい。極性を有するビニルモノマーを用いることにより、本発明の変性脂環式ポリエステルの接着性が良好となる傾向にある。中でも、不飽和カルボン酸またはその誘導体、エチレン性不飽和シラン化合物が好ましい。
【0038】
<グラフト化>
本発明の変性脂環式ポリエステルは、上記の脂環式ポリエステルを上記のビニルモノマーでグラフト化することによって得られる。変性脂環式ポリエステルを得るためのグラフト化は如何なる方法を用いてもよく、熱のみの反応でも、電子線や電離放射線の照射等によってもよいが、反応の際にラジカルを発生させる有機過酸化物等をラジカル発生剤として添加して反応させてもよい。また、反応させる手法としては、溶媒中で反応させる溶液変性法や溶媒を使用しない溶融変性法等が挙げられ、更には水性懸濁重合法などその他の方法を用いてもよい。これらの方法のうち、グラフト化が、後述する溶融変性法の一形態である、有機過酸化物の存在下での溶融混練によってなされることが好ましい。この方法を採用する利点としては、連続製造が可能であり、溶剤を使用しないため得られる変性脂環式ポリエステル中に溶剤が残留しないことが挙げられる。
【0039】
溶融変性法としては、脂環式ポリエステルとビニルモノマー、及び必要により後述するラジカル発生剤を予め混合した上で混練機中で溶融混練させ反応させる方法や、混練機中で溶融した脂環式ポリエステルに、溶剤等に溶解したラジカル発生剤とビニルモノマーとの混合物を装入口から添加して反応させる方法等を用いることができる。混合には通常、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が使用され、溶融混練には通常、単軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダーミキサー等が使用できる。融混練条件としては、例えば単軸、二軸押出機においては150〜300℃程度の温度にて押出すことが好ましい。
【0040】
脂環式ポリエステルとビニルモノマーとの配合割合は限定されないが、脂環式ポリエステル100重量部に対し、ビニルモノマーを通常0.01〜30重量部、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の割合で配合することが望ましい。脂環式ポリエステルに対してビニルモノマーが少なすぎると、本発明の効果を奏するために必要な所定の変性量が得られない場合があり、またビニルモノマーが多すぎると未反応のビニルモノマーが多量に残留し、かえって接着性等に悪影響を及ぼす可能性を生じる。
【0041】
ラジカル発生剤は限定されないが、具体的には、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパ
ーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾエ−ト)ヘキシン−3、ラウロイルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーベンゾエ−ト、tert−ブチルパーイソブチレ−ト、tert−ブチルパーピバレ−ト、及びクミルパーピバレ−ト等の有機パーオキシドや有機パーエステル、あるいは、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレ−ト等のアゾ化合物等を使用することが出来る。
【0042】
これらのラジカル発生剤は、脂環式ポリエステルの種類、ビニルモノマーの種類および反応条件に応じて適宜選択することができ、2種以上を併用してもよい。
ラジカル発生剤の配合量は、脂環式ポリエステル100重量部に対し、通常0.001〜20重量部、好ましくは0.005〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部、特に好ましくは0.01〜3重量部である。ビニルモノマーに対してラジカル発生剤の量が少なすぎると、本発明の効果を奏するために必要な所定の変性量が得られず、また多すぎると、変性脂環式ポリエステルの成形性が大幅に悪化する可能性が生じる。
【0043】
溶液変性法としては、脂環式ポリエステルを有機溶剤等に溶解して、これにラジカル発生剤とビニルモノマーを添加してグラフト化させる方法が使用できる。有機溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えばアルキル基置換芳香族炭化水素やハロゲン化炭化水素を使用することが出来る。
水性懸濁重合法としては、先ず、水に乳化剤を溶解し、これに脂環式ポリエステルを分散させ、これにビニルモノマーを添加して温度を上昇させ、脂環式ポリエステルにビニルモノマーを含浸させる。この水性懸濁液に、分解温度が異なる2種類以上のラジカル重合開始剤を加え、一方のラジカル重合開始剤のみが実質的に分解する温度に加熱してグラフト化前駆体を得た後、該グラフト化前駆体を分解温度が高いラジカル重合開始剤が分解する温度で溶融混練することにより、本発明の変性脂環式ポリエステルを得ることができる。
【0044】
<変性脂環式ポリエステル>
本発明の変性脂環式ポリエステルは、該変性脂環式ポリエステル中のビニルモノマーのグラフト量が0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上であり、40重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。ビニルモノマーのグラフト量が前記下限値未満である場合は、官能基の数が少なく効果が乏しくなるため好ましくない。一方、ビニルモノマーのグラフト量が前記上限値を超過する場合は、残存する未反応モノマーが増加するため好ましくない。
なお、変性脂環式ポリエステル中のビニルモノマーのグラフト量は、公知の方法で確認することが可能であり、H−NMR、赤外吸収スペクトル、高周波プラズマ発光分析装置を用いたICI発光分析法等により確認することができる。
【0045】
具体的には、ビニルモノマーとして不飽和カルボン酸またはその誘導体を用いる場合には、グラフト量の測定は、変性脂環式ポリエステルを厚さ100μmのシートにプレス成形して試験サンプルとし、赤外線吸収スペクトル法を用い、樹脂中のカルボン酸またはその誘導体特有の吸収(1900〜1600cm-1(C=O伸縮振動帯)のカルボニル特性吸収)を測定することにより求めることができる。
また、ビニルモノマーとしてエチレン性不飽和シラン化合物を用いる場合には、グラフト量の測定は、サンプルを加熱燃焼させて灰化し、灰分をアルカリ融解して純水に溶解後定溶し、高周波プラズマ発光分析装置を用いてICI発光分析法により確認することができる。
なお、ビニルモノマーのグラフト化は、ビニルモノマーの100%がグラフト反応に供されず、脂環式ポリエステルと反応していないビニルモノマーが残留する場合がある。本
発明においてグラフト量とは、脂環式ポリエステルをそのまま上記の通りの方法で測定した値を意味し、未反応のビニルモノマーを包含していてもよい。
【0046】
本発明の変性脂環式ポリエステルの融点は限定されないが、加工性と透明性のバランスの点から、通常160℃以上、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上であり、通常240℃以下、好ましくは230℃以下である。なお、変性脂環式ポリエステルの融点の測定方法は前記の通り、原料として用いる脂環式ポリエステルの融点の測定方法と同様である。
本発明の変性脂環式ポリエステルは、JIS K7210の試験条件4に従って、230℃、2.16kg荷重(kgf)で測定したメルトフローレートが、通常1〜100(g/10分)、好ましくは3〜80(g/10分)、さらに好ましくは、5〜60(g/10分)の範囲のものが好適である。MFRが上記の上限値を超える場合は、変性脂環式ポリエステルの耐熱性が低下する傾向がある。MFRが上記の下限値未満では流動性が不足して、成形性が悪化する傾向がある。
【0047】
<組成物>
本発明の変性脂環式ポリエステルは、本発明の目的又は効果を大幅に損なわない範囲で、変性脂環式ポリエステル以外の成分が含まれた組成物であってもよい。このような成分としては、変性脂環式ポリエステル以外の樹脂やエラストマー、各種添加剤が例示される。
変性脂環式ポリエステル以外の樹脂としては、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエ−テル;ポリオキシメチレン;ポリフェニレンスルファイド;アクリル系樹脂、石油樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
【0048】
各種添加剤としては、滑剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤、金属粉、分散剤、カップリング剤、中和剤、発泡剤、架橋剤、結晶核剤、防錆剤、無機および/または有機フィラー等が挙げられる。
滑剤としては、例えば、ビスアミド系化合物等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物等が挙げられる。難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機難燃剤;ハロゲン系、リン系等の有機難燃剤等が挙げられる。
【0049】
<ポリカーボネート樹脂組成物>
本発明の変性脂環式ポリエステルは、ポリカーボネート樹脂に対する相溶性に優れるという特徴をもつ。このため、本発明の変性脂環式ポリエステルは、ポリカーボネート樹脂との樹脂組成物や、ポリカーボネート樹脂と他の樹脂との樹脂組成物における相溶化剤として用いる場合に好適である。
【0050】
<成形体>
本発明の変性脂環式ポリエステルから得られる成形体には限定は無く、種々の押出成形品や射出成形品等とすることができる。また、本発明の変性脂環式ポリエステルを単独で使用した射出成形品や単層シートなどの成形体とすることもできるが、後述する積層体として利用するとより効果的である。
【0051】
<積層体>
本発明の変性脂環式ポリエステルは、種々の材料との接着力に優れるので、本発明の変
性脂環式ポリエステルを含有する層と、他の層とを有する積層体として好適に使用することができる。他の層を形成する材料には限定は無く、他の樹脂と積層させた樹脂積層体、ガラスと積層させたガラス積層体のほか、アルミニウム等の金属、その他の無機物質、紙、木材などと積層させてもよい。更には、これらの素材を併用した積層体であってもよい。本発明の変性脂環式ポリエステルは、これらの他の層と接する層として用いる場合に、特に良好な接着性を発揮することができる。
【0052】
<樹脂積層体>
本発明の樹脂積層体は、上述した本発明の変性脂環式ポリエステルを含有する層を含む2層または3層以上に積層された積層体である。樹脂積層体の形状は限定されず、フィルムやシート、板状などの平面状や、パイプ状、袋状、不定形状など何れでもよい。
変性脂環式ポリエステルを含有する層とともに積層される樹脂層(以下、「他の樹脂層」という場合がある。)の材料は限定されないが、具体的には、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられる。これらの樹脂は、複数の樹脂を含有する樹脂組成物層としてもよい。
なお、本発明の樹脂積層体における変性脂環式ポリエステルからなる層についても、上記で例示した樹脂等との組成物として用いてもよい。
【0053】
他の樹脂層に用いるポリオレフィン樹脂は限定されないが、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素数2〜4のα−オレフィンの単独あるいはこれらを一成分とする共重合体が挙げられる。これらポリオレフィン樹脂としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン等の単独重合体に限らず、炭素数2〜4のα−オレフィンを主成分とする限り、他の炭素数2〜20のα−オレフィンあるいは酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン等のビニル化合物との共重合体をも含むものである。更には、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和カルボン酸あるいはその誘導体で変性されていてもよい。さらにこれらのポリオレフィン樹脂は、2種以上の混合物であってもよい。
【0054】
他の樹脂層に用いるポリオレフィン樹脂のうち、ガスバリア性を必要とする樹脂積層体に用いる場合には、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、または、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物が好適に用いられる。なお、エチレン−酢酸ビニル共重合体が100%鹸化されたものはエチレン−ビニルアルコール共重合体と等しい。本発明の変性脂環式ポリエステルは、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)やエチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物との接着性が良好であるので、これらとの樹脂積層体は、透明性、耐熱性が良好であるとともに、ガスバリア性が良好な樹脂積層体を得ることが出来る。
【0055】
他の樹脂層に用いるポリアミド樹脂は限定されないが、具体的には、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、芳香族ジアミンなどのジアミン類と、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸類との重縮合によって得られるポリアミド;ε−アミノカプロン酸などのアミノカルボン酸の縮合によって得られるポリアミド;ε−カプロラクタムなどのラクタムから得られるポリアミドあるいはこれらの成分からなる共重合ポリアミドが例示される。具体的にはナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66共重合体、ナイロン66/610共重合体、ナイロン6/11共重合体などが挙げられる。これらの中では、融点、剛性などが優れるナイロン6、ナイロン66が好ましい。
本発明の変性脂環式ポリエステルは、ポリアミド樹脂との接着性が良好であるので、ポ
リアミド樹脂との樹脂積層体は、透明性、耐熱性が良好であるとともに、ガスバリア性が良好な樹脂積層体を得ることが出来る。
【0056】
本発明の樹脂積層体は、任意の層の中に各種添加剤を配合することが出来る。添加剤は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用しても良い。添加剤等としては、具体的には、耐熱安定剤、耐候安定剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、難燃剤、触媒残渣の中和剤、顔料、染料、無機および/または有機フィラー等、一般的に用いられている添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0057】
本発明の樹脂積層体を製造する方法としては、従来より公知の手法を適宜採用することができる。例えば、T−ダイ成形やインフレーション成形等の共押出し法、少なくとも1つの層を予め成形しておき、これに他の層を積層する押出ラミネートや貼り合せ、共インジェクション成形等が挙げられる。
また、本発明の樹脂積層体は、上記のような成形にて積層体を得た後、これを延伸することで延伸積層体とすることもできる。延伸積層体は、熱固定を行ってもよいし、熱固定をせずに製品としてもよい。熱固定を行わない場合は、その後に延伸積層体を加熱することによって応力が開放され、収縮する性質をもつためシュリンクフィルムとして用いることができる。
更には、これらを真空成形、圧空成形等の二次加工を経て、絞り成形容器等とすることもできる。
【0058】
本発明の樹脂積層体の各層の厚みは、層構成、用途や要求される物性等により任意に設定できるが、通常、未延伸状態で1〜1000μm、好ましくは3〜200μm、より好ましくは5〜100μm、更に好ましくは10〜50μmである。また、延伸積層体の厚みも任意であるが、通常0.1〜100μm、好ましくは0.3〜30μm、より好ましくは0.5〜20μmである。
【0059】
本発明の変性脂環式ポリエステルは、種々の樹脂との接着強度に優れ、且つ優れた透明性及び耐熱性を有する。このため、本発明の樹脂積層体は、層間剥離が起こらず、各層を構成する樹脂がもつ優れた特性を維持することが出来る。このため、耐内容物遮蔽性(フレーバー性、保香性)を含むガスバリア性、意匠性(表面光沢性、透明性)、機械的強度、収縮性等が改良され、ガソリンタンク、食用油のボトルやハム等の畜肉包装フィルムなどの一般食品包装用材料、医療用包装材料、意匠包装やラベル等に好適に使用することができる。
【0060】
<ガラス繊維用集束剤>
本発明の変性脂環式ポリエステルは、各種樹脂との接着性が良好であるとともに、ガラスとの接着性が良好であるので、ガラス繊維用集束剤としても好適に用いることができる。
本発明の変性脂環式ポリエステルを用いたガラス繊維用集束剤は、公知のシランカップリング剤に比べ、ガラス繊維による各種樹脂の力学的物性を向上させる効果が良好である。これは、シランカップリング剤の場合は、そのものの結晶性が無い(または極めて低い)ことに対し、変性脂環式ポリエステルは結晶性を持つため、凝集力の向上が見込めるためである。
【0061】
本発明の変性脂環式ポリエステルをガラス繊維用集束剤として用いる場合、樹脂を溶融または有機溶剤等の溶液として用いることもできるし、本発明の変性脂環式ポリエステルを水に分散させたエマルジョンとしてもよい。
本発明の変性脂環式ポリエステルをガラス繊維用集束剤として用いる場合は、ビニルモ
ノマーとして不飽和シラン化合物を用いることが好ましい。
【0062】
ガラス繊維に対するガラス繊維集束剤としての変性脂環式ポリエステルの量は限定されないが、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上であり、通常3重量%以下、好ましくは2重量%以下である。変性脂環式ポリエステルの量が前記下限値未満であると繊維の集束性が不十分で毛羽立ち易く、また、繊維とマトリックス樹脂との接着が劣る傾向にあり、一方、変性脂環式ポリエステルの量が前記上限値を越えると、ガラス繊維が樹脂へ混合される際の繊維束の解繊が不十分となり、マトリックス樹脂中で未解繊の繊維束が存在することによる欠点を生じさせる場合がある。
なお、ガラス繊維集束剤としては、短繊維、長繊維の何れにも好適に用いることができる。ガラス繊維の処理方法については特に限定されるものではなく、公知のいずれの処理方法であってもよい。
【0063】
<用途>
本発明の変性脂環式ポリエステルは、透明性及び耐熱性を有し、各種樹脂やガラスに対して優れた接着性を示すため、これらの特徴を活かした種々の用途に適用することができる。具体的には、前記のガソリンタンク、食用油のボトルやハム等の畜肉包装フィルムなどの一般食品包装用材料、医療用包装材料、意匠包装やラベル等のほか、気体容器や気体用の配管等の接合部に用いるパッキングやシール用の部品としても使用することができる。
また、本発明の変性脂環式ポリエステルは、ガラス繊維収束剤として用いることにより、漁船、レジャーボート、スキー板、水タンク、自動車等の部品の材料である繊維強化プラスチック(FRP)として好適に使用することができる。
【実施例】
【0064】
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で使用した原料は次のとおりである。
【0065】
(a−1)脂環式ポリエステル系重合体
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールを重縮合したポリエステル。
(1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のトランス率88%。1,4−シクロヘキサンジメタノールのトランス率69%。示差走査熱測定器(DSC)を用い、10℃/minの昇温速度で測定した融点は211℃。JIS規格K7210の試験条件4に従って、230℃、2.16kg荷重(kgf)で測定したメルトフローレートは50g/10min)
【0066】
(a−2)脂環式ポリエステル系ブロック重合体
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールの共重合体をハードセグメントとし、ポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルブロック共重合体。
H−NMRで定量化したポリテトラメチレンエーテルグリコールの含有量15重量%。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のトランス率85%。1,4−シクロヘキサンジメタノールのトランス率69%。示差走査熱測定器(DSC)を用い、10℃/minの昇温速度で測定した融点は202℃。JIS規格K7210の試験条件4に従って、230℃、2.16kg荷重(kgf)で測定したメルトフローレートは35g/10min。)
【0067】
(b−1)不飽和カルボン酸無水物
無水マレイン酸(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)
(b−2)オルガノシラン
ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−3100)
(c−1)ラジカル発生剤
ベンゾイルパーオキサイド(日本油脂株式会社製、ナイパーBMT−K40)
【0068】
(実施例1)
脂環式ポリエステル系重合体(a−1)100重量部、不飽和カルボン酸無水物(b−1)2重量部、及びラジカル発生剤(c−1)0.5重量部とを配合し、これを、二軸押出機PCM30(池貝鉄工社製、D=30mmφ、L/D=32)を用い、温度200〜240℃、スクリュー回転数200rpm、押出量10kg/時で溶融混練した後、ペレタイザーを通しペレット化して変性脂環式ポリエステルを得た。得られた変性脂環式ポリエステルのグラフト量は2%であった。
【0069】
<熱融着性試験1>
得られた樹脂組成物を、プレス成形(温度240℃、プレス圧100kgf/m、予熱4分、加圧2分、冷却2分)にて50〜100μmの厚みのフィルムに成形した。
別途、被着体樹脂として、ポリアミド6樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、ノバミッド1020CA2)を、温度を260℃とする以外は樹脂組成物と同様にして50〜100μmの厚みのフィルムにプレス成形した。
樹脂組成物のフィルムとポリアミド6樹脂の被着体フィルムとを重ねてヒートシール(温度240℃、シール圧2kgf/m、シール時間5〜10秒)して融着させて積層体とした。
得られた積層体を幅15mmの短冊形に切り取り、JIS K−6854に準拠して、樹脂組成物層と被着体樹脂層とを23℃で180°方向に引張速度300mm/分で引き剥がした際の、両層の融着面の剥離強度(kgf/15mm)を測定した<Tピール剥離試験>。得られた剥離強度の結果を表−1に示す。
【0070】
<熱融着性試験2>
被着体樹脂として、ポリアミド6樹脂の代わりにエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)(株式会社クラレ製、エバールEP−F101A)を用いた以外は熱融着性試験1と同様にして積層体とし、熱融着性試験1と同条件にて剥離強度(kgf/15mm)を測定した。得られた剥離強度の結果を表−1に示す。
【0071】
(実施例2、3)
脂環式ポリエステル系重合体(a−1)、不飽和カルボン酸無水物(b−1)、及びラジカル発生剤(c−1)の配合比率を表−1の通りとした以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして熱融着性測定1および熱融着性測定2の評価を行った結果を表−1に示す。
(実施例4、5)
脂環式ポリエステル系重合体(a−1)を脂環式ポリエステル系ブロック重合体(a−2)に代え、不飽和カルボン酸無水物(b−1)及びラジカル発生剤(c−1)との配合比率を表−1の通りとした以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして熱融着性測定1および熱融着性測定2の評価を行った結果を表−1に示す。
【0072】
(比較例1、2)
表―1の通り、樹脂組成物に変えて、脂環式ポリエステル系重合体(a−1)または脂環式ポリエステル系ブロック重合体(a−2)をそのまま用いて、実施例1と同様にして熱融着性測定1および熱融着性測定2の評価を行った。結果を表−1に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
(実施例6)
脂環式ポリエステル系重合体(a−1)100重量部、オルガノシラン(b−2)2重量部、及びラジカル発生剤(c−1)0.5重量部とを配合し、これを、二軸押出機PCM30(池貝鉄工社製、D=30mmφ、L/D=32)を用い、温度200〜240℃、スクリュー回転数200rpm、押出量10kg/時で溶融混練した後、ペレタイザーを通しペレット化して樹脂組成物を得た。
【0075】
<熱融着性測定3>
得られた樹脂組成物を、プレス成形(温度240℃、プレス圧100kgf/m、予熱4分、加圧2分、冷却2分)にて1.5mmの厚みのシートに成形した。これを厚さ5mmのガラス板(並板ガラス)と重ね、厚み6mmスペーサーを使用して、プレス機にて熱融着させた(温度240℃、プレス圧50kgf/m、予熱2分、加圧3分、冷却3分)。
得られた積層体の樹脂組成物側に、樹脂組成物の層が分断される深さまで15mm幅で切り込みを入れた後、該15mm幅分の樹脂組成物層について引張試験機を用い、23℃で90゜剥離法、10mm/分の条件で引き剥がした際の、接着性重合体組成物/ガラス板の融着面の剥離強度(単位:kgf/15mm)を測定した。
融着面での剥離が起こらず、樹脂組成物層自体が破断したものを「剥離なし」とし、結果を表−2に示す。
【0076】
(実施例7、8)
脂環式ポリエステル系重合体(a−1)、オルガノシラン(b−2)、及びラジカル発生剤(c−1)の配合比率を表−2の通りとした以外は実施例6と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用い、実施例6と同様にして熱融着性測定3の評価を行った結果を表−2に示す。
(実施例9、10)
脂環式ポリエステル系重合体(a−1)を脂環式ポリエステル系ブロック重合体(a−2)に代え、オルガノシラン(b−2)及びラジカル発生剤(c−1)との配合比率を表−2の通りとした以外は実施例6と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用い、実施例6と同様にして熱融着性測定3の評価を行った結果を表−2に示す。
【0077】
(比較例3、4)
表―2の通り、樹脂組成物に変えて、脂環式ポリエステル系重合体(a−1)または脂環式ポリエステル系ブロック重合体(a−2)をそのまま用いて、実施例6と同様にして熱融着性測定3の評価を行った。この結果、比較例3、4の何れも容易に剥離し、剥離強度は0kgf/15mmであった。結果を表−2に示す。
【0078】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂環式ポリエステルにビニルモノマーをグラフト化して得られる変性脂環式ポリエステルであって、該変性脂環式ポリエステル中に前記ビニルモノマーが0.01〜40重量%グラフトされていることを特徴とする変性脂環式ポリエステル。
【請求項2】
脂環式ポリエステルが、ジカルボン酸由来の単位及びジオール由来の単位から構成され、全ジカルボン酸由来の単位中の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の割合が50モル%以上、かつ全ジオール由来の単位中の1,4−シクロヘキサンジメタノールの割合が50モル%以上であり、該脂環式ポリエステルの融点が160℃以上240℃以下である請求項1に記載の変性脂環式ポリエステル。
【請求項3】
脂環式ポリエステルが、ハードセグメントとソフトセグメントを有し、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルポリオールを3〜30重量%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の変性脂環式ポリエステル。
【請求項4】
ビニルモノマーが不飽和カルボン酸またはその誘導体、不飽和シラン化合物、スチレン及び/又はその誘導体から選択される1種以上を含む請求項1〜3の何れか1項に記載の変性脂環式ポリエステル。
【請求項5】
グラフト化が、有機過酸化物の存在下での溶融混練によってなされることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の変性脂環式ポリエステル。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の変性脂環式ポリエステルを含有する成形体。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか1項に記載の変性脂環式ポリエステルを含有する層と、他の層とを有する積層体。
【請求項8】
該他の層が樹脂層、ガラス層、金属層のうち少なくとも何れかである請求項7に記載の積層体。
【請求項9】
該変性脂環式ポリエステルからなる層と該他の層とが接していることを特徴とする請求項8に記載の積層体。



【公開番号】特開2012−193239(P2012−193239A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56662(P2011−56662)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】