説明

変性顔料、顔料分散組成物及びカラーフィルター

【課題】 着色塗膜の耐溶剤性等を向上可能な、顔料分散組成物、及び変性顔料を提供することにある。
【解決手段】 顔料(A)表面に、非水溶媒に可溶なポリマー(B)と、炭素原子数6〜25の鎖状炭化水素基、炭素原子数6〜20の環状炭化水素基、ジメチルシロキシ基、トリメチルシロキシ基、パーフルオロアルキル基なる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する疎水性不飽和単量体(C)の少なくとも1種とを重合することにより得られるポリマー(P)を有することを特徴とする変性顔料、顔料分散組成物、及び、該顔料分散組成物を使用することを特徴とするカラーフィルター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料表面にポリマーを有する変性顔料に関し、該変性顔料を使用したメチルピロリドン等の溶解性の高い溶剤に対し優れた耐性を有する塗膜を与える顔料分散組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
顔料は一般に不溶性の色材であるため、塗料、印刷インキ、カラーフィルター等の製造やプラスチックの着色において、溶剤や樹脂等の媒体中に顔料粒子を均一に分散させる事が重要な課題である。
特に媒体として有機溶媒を使用する場合には、顔料として耐溶剤性が必要となる。耐溶剤性が低いと、使用する媒体に溶解あるいはマイグレーションを起こすことにより、顔料の色調が変化するといった実用上の問題を起こす場合がある。
また、顔料を含む塗料やインキを塗装あるいは印刷することによって得られる着色塗装板や着色印刷物は一層塗りで使用することは殆どなく、通常複数層重ね刷り(カラー塗装についてはトップコート層を有するものも多い)して使用する。従って、媒体に使用する溶剤以外の溶剤耐性も求められる。また得られた着色塗装板や着色印刷物は構造物の一部材として使用することが多い。例えば建材・自動車関連用途では、複数の着色塗装板は接着剤や粘着剤等で貼り合わせて使用しており、この場合は接着剤等に使用される溶剤の耐性が求められる。
あるいは電子・光学材料用途では、カラーフィルタやレジスト印刷を施した基板上に複数の部材を順次塗工、接着、あるいはラミネートする方法が行われている。例えば液晶パネルの製造方法においては、顔料を含む塗膜であるカラーフィルタ・TFTを施した基板上にN−メチルピロリドン(1−メチル−2−ピロリジノン)やγ−ブチロラクトン(4−ヒドロキシブチィリック酸γ―ラクトン)などのような溶解性の高い極性溶媒に溶解されたポリイミドやポリアミク酸を主成分とした液晶配向膜溶液を塗布して液晶配向膜を設けるといった工程を有するために、このような高溶解性の溶剤に対する耐性も求められることになる。
【0003】
一方顔料の分散性に関しては、様々な表面処理による分散性の向上が試みられている。主な処理方法として、ロジン処理やカチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の各種界面活性剤処理、顔料誘導体処理、ポリマー処理がある。
【0004】
本出願人らは、前記表面処理のうち、顔料にポリマー処理を施す方法として、顔料(A)表面に特定のポリマーを有することを特徴とする、有機溶媒でも良好な分散安定性を示すポリマーコート顔料を開発している(例えば特許文献1、2参照)。これらのポリマーコート顔料は、酢酸エチル、トルエンあるいはキシレン等の、インキ等に汎用の有機溶剤に対し安定であり、良好な分散安定性を示す。しかしながら、メチルピロリドン等の溶解性の高い有機溶剤に対しては、着色塗膜の色調の変化や、透明度の低下を引き起こす場合があることが判った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−88211号公報
【特許文献2】特開2008−239869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、着色塗膜の耐溶剤性等を向上可能な、顔料分散組成物、及び変性顔料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、特許文献1や2に記載のポリマーコート顔料において、顔料表面に有するポリマーに特定の基を導入することで、上記課題を解決した。
即ち、顔料表面に、非水溶媒に可溶なポリマーと、炭素数6〜25の鎖状炭化水素基、炭素数6〜20の環状炭化水素基、ジメチルシロキシ基またはトリメチルシロキシ基、パーフルオロアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する疎水性不飽和単量体の少なくとも一種とを重合することにより得られるポリマーを有する変性顔料を含有する顔料分散組成物が、メチルピロリドン等の溶解性の高い有機溶剤に対しても耐性を有する塗膜を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち本発明は、顔料(A)表面に、非水溶媒に可溶なポリマー(B)と、炭素原子数6〜25の鎖状炭化水素基、炭素原子数6〜20の環状炭化水素基、ジメチルシロキシ基、トリメチルシロキシ基、パーフルオロアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する疎水性不飽和単量体(C)の少なくとも1種とを重合することにより得られるポリマー(P)を有する変性顔料を提供する。
【0009】
また本発明は、前記記載の変性顔料を含有する顔料分散組成物を提供する。
【0010】
また本発明は、前記記載の顔料分散組成物を使用するカラーフィルターを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の変性顔料は、顔料表面に、炭素数6〜25の鎖状炭化水素基、炭素数6〜20の環状炭化水素基、ジメチルシロキシ基またはトリメチルシロキシ基、パーフルオロアルキルといった特定の基を有するために、該顔料を使用した塗膜はメチルピロリドン等の溶解性の高い有機溶剤に対しても耐性を示す。
本発明の変性顔料を含有する顔料分散組成物は、耐溶剤性を要求される用途に特に有用に使用できる。
また、本発明のカラーフィルターは、メチルピロリドン等の溶解性の高い有機溶剤に対して耐性を示すため、液晶パネル製造工程における色調の変化等の不具合が生じることもなく、コントラスト、輝度ともに優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(顔料(A))
本発明で使用する顔料(A)は、公知慣用の有機顔料あるいは無機顔料の中から選ばれる少なくとも一種の顔料である。また、本発明は未処理顔料、処理顔料のいずれでも適用することができる。
【0013】
有機顔料としては、例えば、ペリレン・ペリノン系化合物顔料、キナクリドン系化合物顔料、フタロシアニン系化合物顔料、アントラキノン系化合物顔料、フタロン系化合物顔料、ジオキサジン系化合物顔料、イソインドリノン系化合物顔料、メチン・アゾメチン系化合物顔料、ジケトピロロピロール系化合物顔料、不溶性アゾ系化合物顔料、縮合アゾ系化合物顔料等が挙げられる。有機顔料の具体例を挙げると、例えば次の通りである。
ペリレン・ペリノン系化合物顔料としては、例えばC.I.PigmentViolet 29、C.I.Pigment Red 123、同149、同178、同179、C.I.Pigment Black 31、同32、C.I.Pigment Orange 43等の顔料が挙げられる。
キナクリドン系化合物顔料としては、例えばC.I.Pigment Violet 19、同42、C.I.Pigment Red 122、同202、同206、同207、同209、C.I.Pigment Orange 48、同49等の顔料が挙げられる。
フタロシアニン系化合物顔料としては、例えばC.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、C.I.Pigment Green 7、36、58等の顔料が挙げられる。
アントラキノン系化合物顔料としては、例えばC.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Yellow 24、同108、C.I.Pigment Red 168、同177、C.I.Pigment Orange 40等の顔料が挙げられる。
フタロン系化合物顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 138等の顔料が挙げられる。
ジオキサジン系化合物顔料としては、例えばC.I.Pigment Violet 23、同37等の顔料が挙げられる。
イソインドリノン系化合物顔料としては、例えばC.I.Pigment Yellow 109、同110、同173、C.I.Pigment Orange 61等の顔料が挙げられる。
メチン・アゾメチン系化合物顔料としては、例えばC.I.PigmentYellow 139、同185、C.I.Pigment Orange 66、C.I.Pigment Brown 38等の顔料が挙げられる。
ジケトピロロピロール系化合物顔料としては、例えばC.I.PigmentRed 254、同255等の顔料がある。
不溶性アゾ系化合物顔料としては、例えば C.I.Pigment Yellow 1、同3、同12、同13、同14、同17、同55、同73、同74、同81、同83、同97、同130、同151、同152、同154、同156、同165、同166、同167、同170、同171、同172、同174、同175、同176、同180、同181、同188、C.I.Pigment Orange 16、同36、同60、C.I.Pigment Red5、同22、同31、同112、同146、同150、同171、同175、同176、同183、同185、同208、同213、C.I.PigmentViolet 43、同44、C.I.Pigment Blue 25、同26等の顔料が挙げられる。
溶性アゾ系化合物顔料としては、例えばC.I.Pigment Red 53:1、同57:1、同48等の顔料がある。
縮合アゾ系化合物顔料としては、例えば C.I.Pigment Yellow 93、同94、同95、同128、同166、C.I.PigmentOrange 31C.I.Pigment Red 144、同166、同214、同220、同221、同242、同248、同262、C.I.Pigment Brown 41、同42等の顔料がある。
【0014】
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、硫化亜鉛、鉛白、亜鉛華、リトボン、アンチモンホワイト、塩基性硫酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、シリカ、カーボンブラック、鉄黒、コバルトバイオレット、バーミリオン、モリブデンオレンジ、鉛丹、ベンガラ、黄鉛、カドミウムイエロー、ジンククロメート、イエローオーカー、酸化クロム、群青、紺青、コバルトブルー等が挙げられる。
【0015】
本発明においては特に有機顔料であると、本発明の効果をより発揮することができ好ましく、前記キナクリドン系化合物顔料、前記フタロシアニン系化合物顔料、前記不溶性アゾ系化合物顔料、前記縮合アゾ系化合物顔料、ジケトピロロピロール系化合物顔料、ジオキサジン系化合物顔料を使用することが特に好ましい。
【0016】
さらに、本発明の効果が発揮されるのは、カラーフィルター等に使用される微細化顔料で、C.I.Pigment Blue 15:6、C.I.Pigment Red 177、同254、C.I.Pigment Green 36、同58、C.I.Pigment Yellow 150、C.I.Pigment Violet 23等が挙げられる。
その中でもよりいっそう好ましい顔料として、C.I.Pigment Green 58が挙げられる。この理由としては、C.I.Pigment Green 58に対して、特に本発明の効果が高いためである。
【0017】
(非水溶媒)
本発明で使用する非水溶媒は、脂肪族および/または脂環式炭化水素系溶剤を必須とする有機溶剤である。脂肪族および/または脂環式炭化水素系溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シェルケミカルズ社製品の「ロウス」もしくは「ミネラルスプリットEC」、エクソンモービルケミカル社製品の「アイソパーC」、「アイソパーE」、「アイソパーG」、「アイソパーH」、「アイソパーL」、「アイソパーM」、「ナフサ3号」、「ナフサ5号」もしくは「ナフサ6号」、出光石油化学株式会社製品の「ソルベント7号」、「IPソルベント1016」、「IPソルベント1620」、「IPソルベント2028」もしくは「IPソルベント2835」、株式会社ジャパンエナジー製品の「ホワイトゾール」等が挙げられる。
【0018】
また、本発明の効果を損なわない範囲において、他の有機溶剤を混合して使用してもよい。このような有機溶剤としては、具体的には例えば、丸善石油株式会社製品の「スワゾール100ないしは150」、トルエンもしくはキシレンの等の芳香族炭化水素系溶剤類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−ブチルもしくは酢酸アミルの等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンもしくはシクロヘキサノンの等のケトン類;またはメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノールもしくはn−ブタノールの等のアルコール類が挙げられる。
混合して使用する際には、前記脂肪族および/または脂環式炭化水素系溶剤の使用量を、50質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは60質量%以上である。
【0019】
(非水溶媒に可溶なポリマー(B))
本発明で使用する非水溶媒に可溶なポリマー(B)は、前述の非水溶媒に可溶なものであれば特に限定されるものではなく、公知各種のランダムポリマーや、例えば、BYK(株)製品の「BYK LPN21116」等のブロックポリマー、例えば、特開2007-284642号記載のグラフトポリマーや味の素ファインテクノ(株)製品の「アジスパーPB821」等のグラフトポリマーなどを用いることができる。
中でも非水溶媒に可溶なポリマー(B)が、非水溶媒に可溶なアクリル樹脂(以下ポリマー(B−1)と称す)であることが好ましい。アクリル樹脂は比較的耐溶剤性に優れる。更により好ましいものとして、非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するアクリル樹脂(以下ポリマー(B−2)と称す)が挙げられる。この理由としては、非水溶媒に可溶なポリマー(B)が重合性不飽和基を含有することにより、後述の疎水性不飽和単量体(C)を重合させてポリマー(P)を得る際にポリマー(B)も架橋され、より強固に顔料表面を変性することが可能となることが挙げられる。
その中でも更に好ましいものとして、炭素原子数4個以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする重合性不飽和単量体の共重合体に重合性不飽和基を導入したポリマー、あるいは、炭素原子数4個以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする重合性不飽和単量体の共重合体からなるマクロモノマーなどが挙げられる。
【0020】
炭素原子数4個以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
また、アルキル(メタ)アクリレート以外の使用が可能な重合性不飽和単量体として、スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンもしくはビニルトルエンの等の芳香族系ビニル系モノマー、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート、ジブロモプロピル(メタ)アクリレートもしくはトリブロモフェニル(メタ)アクリレートの等の(メタ)アクリレート類、マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸の等の不飽和ジカルボン酸と1価アルコールとのジエステル類、安息香酸ビニル、「ベオバ」(オランダ国シェル社製のビニルエステル)の等のビニルエステル類等が挙げられ、前記のアルキル(メタ)アクリレート類とともに共重合して使用することができる。
これらのアルキル(メタ)アクリレート以外の重合性不飽和基含有単量体の単独の重合体は該非水媒体での溶解性が低いため、アルキル(メタ)アクリレートとランダム重合体として使用されることが好ましい。また、これらのアクリル樹脂をブロック状あるいはグラフト状に共重合を行っても、非水溶剤への溶解性が低下しない限り問題なく用いることができる。
【0021】
これらの重合性不飽和単量体は単独で使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリルメタクリレート等の炭素数4個から12個のアルキル基を持つ直鎖あるいは分岐のアルキル(メタ)アクリレートの使用が特に好ましい。
【0022】
前記炭素原子数2個以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする重合性不飽和単量体の共重合体へ、重合性不飽和基を導入する事により、重合性不飽和基を含有するポリマー(B−2)が得られる。
重合性不飽和基の導入方法としては、例えば、予め前記共重合成分としてアクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有重合性単量体や、ジメチルアミノエチルメタクリレートやジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ基含有重合性単量体を配合し共重合させ、カルボキシル基やアミノ基を有する前記共重合体を得、次に該カルボキシル基やアミノ基と、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基及び重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、
予め前記共重合成分として2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有単量体を配合し共重合させ、水酸基を有する前記共重合体を得、次に該水酸基と、イソシアネートエチルメタクリレートの等のイソシアネート基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、
重合の際にチオグリコール酸を連鎖移動剤として使用して共重合体末端にカルボキシル基を導入し、該カルボキシル基に、グリシジルメタクリレートの等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、
重合開始剤として、アゾビスシアノペンタン酸の等のカルボキシル基含有アゾ開始剤を使用して共重合体にカルボキシル基を導入し、該カルボキシル基にグリシジルメタクリレートの等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法等が挙げられる。中でも、アクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有単量体あるいはジメチルアミノエチルメタクリレートやジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ基含有単量体を共重合しておき、そのカルボキシル基あるいはアミノ基とグリシジルメタクリレートの等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法が最も簡便であり好ましい。
【0023】
(疎水性不飽和単量体(C))
本発明における疎水性不飽和単量体(C)は、炭素原子数6〜25の鎖状炭化水素基、炭素原子数6〜20の環状炭化水素基、ジメチルシロキシ基、トリメチルシロキシ基、及びパーフルオロアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する。具体的には、例えば、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートといった鎖状炭化水素基含有単量体や、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートといった環状炭化水素基含有単量体、チッソ(株)製品「サイラプレンTM−0701」といったトリメチルシロキシ基を有する単量体、チッソ(株)製品「サイラプレンFM−0711」、「サイラプレンFM−0721」といったジメチルシロキシ基を有する単量体や、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル基を有する単量体が挙げられる。
【0024】
前記疎水性不飽和単量体(C)を使用することで耐溶剤性が向上する理由は定かではないが、おそらく、疎水性不飽和単量体(C)を顔料の存在下で重合することで、即ち、炭素原子数6〜25の鎖状炭化水素基、炭素原子数6〜20の環状炭化水素基、ジメチルシロキシ基、トリメチルシロキシ基、あるいはパーフルオロアルキル基が顔料表面に存在することになり、顔料表面の疎水性が増し、親水性の溶剤が顔料表面に近づき難くなるためと考えている。
【0025】
前記不飽和単量体(C)のみを用いてポリマー(P)を重合させることも可能であるが、前記不飽和単量体(C)に、非水溶媒に可溶でありかつ重合後に不溶もしくは難溶になる重合性不飽和単量体(M)を共重合させることによってより好適に変性顔料(D)を得ることができる。この理由としては、重合性不飽和単量体(M)が不飽和単量体(C)と共重合することで、ポリマー(P)の疎水性溶媒に対する溶解度を低下させることが可能となり、より効率的に顔料表面をポリマー(P)で被覆することが可能となるためである。
本発明で使用する、該非水溶媒に可溶でありかつ重合後に不溶もしくは難溶になる重合性不飽和単量体(M)とは、具体的には例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレートもしくはi−プロピル(メタ)アクリレート、といった炭素数3以下のアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデンのようなニトリル基、アセチル基又はクロル基を含有するオレフィン類;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドもしくはアルコキシ化N−メチロール化(メタ)アクリルアミド類などのアミド結合含有ビニル系モノマー類;ジアルキル〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕ホスフェート類もしくは(メタ)アクリロイロキシアルキルアシッドホスフェート類、またはジアルキル〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕ホスファイト類もしくは(メタ)アクリロイロキシアルキルアシッドホスファイト類;上記(メタ)アクリロイロキシアルキルアシッドホスフェート類ないしはアシッドホスファイト類のアルキレンオキシド付加物やグリシジル(メタ)アクリレートやメチルグリシジル(メタ)アクリレートなどエポキシ基含有ビニル系モノマーとリン酸または亜リン酸あるいはこれらの酸性エステル類とのエステル化合物をはじめ、3−クロロ−2−アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレートなどのリン原子含有ビニル系モノマー類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ−2−ヒドロキシエチルフマレートもしくはモノ−2−ヒドロキシエチルモノブチルフマレートまたは、ポリプロピレングリコールもしくは、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、あるいは「プラクセルFM、FAモノマー」(ダイセル化学株式会社製のカプロラクトン付加モノマー)の等の重合性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類またはこれらとε−カプロラクトンとの付加物などをはじめ、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸もしくはシトラコン酸の等の不飽和モノ−ないしはジカルボン酸をはじめ、これらのジカルボン酸と1価のアルコールとのモノエステル類などの重合性不飽和カルボン酸類、または前記の重合性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル類とマレイン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘンゼントリカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸、「ハイミック酸」、テトラクロルフタル酸もしくはドデシニルコハク酸の等のポリカルボン酸の無水物との付加物のような各種の不飽和カルボン酸類と「カージュラE」、やし油脂肪酸グリシジルエステルもしくはオクチル酸グリシジルエステルの等の1価のカルボン酸のモノグリシジルエステルまたはブチルグリシジルエーテル、エチレンオキシド、もしくはプロピレンオキシドの等のモノエポキシ化合物との付加物またはこれらとε−カプロラクトンとの付加物あるいはヒドロキシビニルエーテルのような水酸基含有重合性不飽和単量体類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類;グリシジル(メタ)アクリレート、(β−メチル)グルシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグルシジルエーテルもしくは重合性不飽和カルボン酸類またはモノ−2−(メタ)アクリロイルオキシモノエチルフタレートの等の水酸基含有ビニルモノマーと前記ポリカルボン酸無水物との等モル付加物の等の各種の不飽和カルボン酸に、「エピクロン200」、「エピクロン400」、「エピクロン441」、「エピクロン850」もしくは「エピクロン1050」(DIC(株)製のエポキシ樹脂〕、または「エピコート828」、「エピコート1001」もしくは「エピコート1004」(ジャパンエポキシレジン株式会社製エポキシ樹脂)、「アラルダイト6071」もしくは「アラルダイト6084」(スイス国チバ・ガイギー社製のエポキシ樹脂)、さらには「チッソノックス221」〔チッソ株式会社製のエポキシ化合物〕、または「デナコールEX−611」〔長瀬化成株式会社製のエポキシ化合物の等の、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する各種のポリエポキシ化合物を等モル比で付加反応させて得られるエポキシ基含有重合性化合物などのエポキシ基含有重合性不飽和単量体類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−ヘキサメチレンジイソシアネート等モル付加物や、イソシアネートエチル(メタ)アクリレートの等のイソシアネート基とビニル基とを有するモノマーなどのイソシアネート基含有α,β−エチレン性不飽和単量体類;ビニルエトキシシラン、α−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、「KR−215、X−22−5002」(信越化学工業株式会社製品)等のシリコン系モノマー類などのアルコキシシリル基含有重合性不飽和単量体類;そして、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸もしくはシトラコン酸の等の不飽和モノ−もしくはジカルボン酸をはじめ、これらのジカルボン酸と1価アルコールとのモノエステル類などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸類、または2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、モノ−2−ヒドロキシエチル−モノブチルフマレートもしくはポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートの等のα,β−不飽和カルボン酸ヒドロアルキルエステル類とマレイン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ベンゼントリカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸、「ハイミック酸」、テトラクロルフタル酸もしくはドデシニルコハク酸の等のポリカルボン酸の無水物との付加物などのカルボキシル基含有α,β−エチレン性不飽和単量体類;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、またはアリルメタクリレート等の多官能(メタ)アクリレートなどがある。重合性単量体(M)は、一種類のみを用いても良いし、数種類を同時に使用しても良い。
これらの中でも、変性顔料の使用時に顔料からポリマー(P)を溶出させ難いため、前記炭素原子数3以下のアルキル(メタ)アクリレート類や、前記多官能(メタ)アクリレート類の使用が好ましい。さらに、顔料表面の表面特性を変化させ、顔料分散剤あるいは顔料分散樹脂との相互作用を高めるために、少なくとも1種のカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシル基、ジメチルアミノ基等の官能基を含有する重合性不飽和単量体を、共重合する事も好ましい。
【0026】
疎水性不飽和単量体(C)と非水溶媒に可溶でありかつ重合後に不溶もしくは難溶になる重合性不飽和単量体(M)との質量比は、得られるポリマーと、前記非水溶媒との溶解性により決定される。即ち得られるポリマーが前記非水溶媒系に溶解しないように質量比を決定するのが好ましい。例えば使用する非水溶媒がヘプタンである場合には、疎水性不飽和単量体(C)と重合性不飽和単量体(M)の質量比で、1/99〜80/20が好ましく、1/99〜70/30がさらに好ましい。得られるポリマーの溶解性の指標としては、溶解性パラメーター等を使用してもよく、ある程度予測することが可能である。
【0027】
本発明の変性顔料は、顔料(A)、非水溶媒、及び該非水溶媒に可溶なポリマー(B)の存在下で、炭素原子数6〜25の鎖状炭化水素基、炭素原子数6〜20の環状炭化水素基、ジメチルシロキシ基、トリメチルシロキシ基、及びパーフルオロアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する疎水性不飽和単量体(C)の少なくとも一種を重合させることで得られる。
顔料(A)と非水溶媒に可溶なポリマー(B)は、重合を行う前に予め混合することが好ましい。混合方法としては、例えば、ホモジナイザー、ディスパー、ビーズミル、ペイントシェーカー、ニーダー、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等を使用することが可能である。本発明においては、使用する顔料の形態は問わず、スラリー、ウエットケーキ、粉体のいずれの形態でもかまわない。即ち、本発明の製造方法においては、ウエットケーキのような水を含む顔料であっても使用可能である。
混合することで、該非水溶媒に可溶なポリマー(B)で顔料(A)の表面が濡らされ、これにより形成される(顔料(A)とポリマー(B)との界面が重合の場になると推定している。この方法は、顔料(A)が分散安定剤で微細かつ安定に分散された場は必須としないため、微細に分散された状態を形成するための顔料(A)の表面処理等は必ずしも必要ではなく、広範囲の種類の顔料に適用できる。
前記顔料(A)と前記ポリマー(B)の混合後に、疎水性不飽和単量体(C)、後述の重合開始剤をさらに混合し、重合を行う事でポリマー(P)を有する変性顔料(D)が得られる。
その際、前記ポリマー(B)の使用量は目的に応じて適宜最適化されるので特に限定はないが、通常は顔料(A)100部に対して1〜200部を使用し、より好ましくは2.5〜50部、さらに好ましくは2.5〜30部である。
また、前記疎水性不飽和単量体(C)の使用量も、目的に応じて適宜最適化されるので特に限定はないが、通常は顔料(A)100部に対して0.5〜100部を使用し、より好ましくは1〜20部、さらに好ましくは1.5〜10部である。
【0028】
最終的に顔料にコートされる前記ポリマー(P)の量は、顔料(A)100部に対して、2〜400部が好ましく使用され、より好ましくは5〜100部、さらに好ましくは5〜60部である。その際、前記ポリマー(B)の100部に対して、少なくとも1種の前記疎水性不飽和単量体(C)は通常10〜400部の割合で使用することが好ましく、好ましくは30〜400部、さらに好ましくは50〜200部である。
【0029】
前記顔料(A)、前記非水溶媒、及び前記ポリマー(B)の存在下で、前記疎水性不飽和単量体(C)を重合させる方法は、公知慣用の重合方法によって行えばよいが、通常は重合開始剤の存在下で行う。かかる重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチル−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルハイドロパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、またはクメンハイドロパーオキシドなどのラジカル発生重合触媒が単独で、あるいは2種以上の併用の形で用いられる。
重合開始剤は該非水溶媒系に溶解し難いものもあるため、前記疎水性不飽和単量体(C)に溶解し、顔料(A)と前記ポリマー(B)の混合系に加える方法が好ましい。
また、前記疎水性不飽和単量体(C)、あるいは重合開始剤を溶解した前記疎水性不飽和単量体(C)は、重合温度に達した状態で滴下法により加えることもできるが、昇温前の常温の状態で加え、充分に混合された後に昇温し、重合させる方法が安定であり好ましい。
重合温度は通常60℃〜130℃の範囲である。また顔料(A)が有機顔料の場合、重合温度があまり高温では該顔料の変質や結晶成長などの形態変化が著しい場合があるため、その場合は70〜100℃で重合することが好ましい。
【0030】
重合後、ろ過により重合に使用した非水溶媒等を除去し、さらに乾燥、粉砕を行う事で粉体のポリマーコート顔料として得ることができる。ろ過方法には、ヌッチェ、フィルタープレス等を使用できる。また乾燥には、箱型乾燥機、真空乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライヤー等の公知の乾燥装置により乾燥することができる。また粉砕には、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等の公知の粉砕装置を使用することができる。
【0031】
(顔料分散組成物)
上記のようにして得られた変性顔料は、塗料、プラスチック、印刷インキ、ゴム、レザー、捺染、カラーフィルター、ジェットインキ、熱転写インキといった各種用途向けに、公知各種の方法で分散させることによって、顔料分散組成物とすることができる。
【0032】
例えば、塗料やインキ等に調整する場合であれば、液状樹脂ビヒクルに本発明の変性顔料を分散させることにより、塗料やインキを調製することが出来る。必要に応じて各用途に必要な添加剤を適宜配合することも勿論構わない。
【0033】
(カラーフィルター用顔料分散組成物)
本発明においては、高いメチルピロリドン耐性を有することから、特にカラーフィルターとして好適に使用することができる。
カラーフィルター用顔料分散組成物は、本発明の変性顔料を、樹脂等の顔料分散剤および有機溶剤を混合した樹脂溶液中に分散する事により得られる。その際、公知慣用の顔料分散方法を使用する事ができ、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、3本ロールミル、ペイントコンディショナー、アトライター、分散攪拌機、超音波等の分散機を使用して、顔料分散を行う事ができる。具体的な分散機器としては、スーパーアペックスミル(コトブキ技研工業社製)、ウルトラアペックスミル(コトブキ技研工業社製)、ドライスヴェルケPM―DCP撹拌式ビーズミル装置(ドライスヴェルケ社製)、ピコグレンミル(浅田鉄工(株)製)等を挙げることができる。
【0034】
顔料分散の際に用いる摩砕媒介物としては、例えば、ジルコニア製又は鋼製の摩砕媒介物が挙げられ、これらの中でも、耐摩耗性に優れるジルコニア製の摩砕媒介物が特に好ましい。また、摩砕媒介物の直径は、0.01〜3.0mmの範囲が好ましく、0.05〜0.5mmの範囲が特に好ましい。摩砕媒介物の直径が3.0mmよりも大きい場合、湿式微粉砕が不十分となり、好ましくない。
【0035】
顔料分散の際に用いる顔料分散剤としては、一般に顔料分散に使用されている公知の顔料分散剤を使用することができる。例を挙げれば、界面活性剤、顔料の中間体もしくは誘導体、染料の中間体もしくは誘導体、あるいは、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂などの樹脂型分散剤が挙げられる。上記各種分散剤の中でも、ポリエステル系およびアクリル系樹脂を使用するのが好ましい。
樹脂型分散剤の市販品としては、例えば、ビックケミー社製品の「DISPERBYK−130」、「DISPERBYK−161」、「DISPERBYK−162」、「DISPERBYK−163」、「DISPERBYK−170」、「DISPERBYK−171」、「DISPERBYK−174」、「DISPERBYK−180」、「DISPERBYK−182」、「DISPERBYK−183」、「DISPERBYK−184」、「DISPERBYK−185」、「DISPERBYK−2000」、「DISPERBYK−2001」、「DISPERBYK−2020」、「DISPERBYK−2050」、「DISPERBYK−2070」、「DISPERBYK−2096」、「DISPERBYK−2150」、チバスペシャルティーケミカルズ社製品の「EFKA1503」、「EFKA4010」、「EFKA4020」、「EFKA4300」、「EFKA4330」、「EFKA4340」、「EFKA4520」、「EFKA4530」、「EFKA5054」、「EFKA7411」、「EFKA7422」、「EFKA7431」、「EFKA7441」、「EFKA7461」、「EFKA7496」、「EFKA7497」、ルーブリゾール社製品の「ソルスパース3000」、「ソルスパース9000」、「ソルスパース13240」、「ソルスパース13650」、「ソルスパース13940」、「ソルスパース17000」、「ソルスパース18000」、「ソルスパース20000」、「ソルスパース21000」、「ソルスパース20000」、「ソルスパース24000」、「ソルスパース26000」、「ソルスパース27000」、「ソルスパース28000」、「ソルスパース32000」、「ソルスパース36000」、「ソルスパース37000」、「ソルスパース38000」、「ソルスパース41000」、「ソルスパース42000」、「ソルスパース43000」、「ソルスパース46000」、「ソルスパース54000」、「ソルスパース71000」、味の素ファインテクノ株式会社製品のアジスパー「PB−711」、「アジスパーPB−821」、「アジスパーPB−822」、「アジスパーPB−814」、「アジスパーPB−824」などを用いることが可能である。
また、レベリング剤、カップリング剤、カチオン系の界面活性剤なども併せて使用可能である。本発明において、これらの分散剤は、2種以上を併用することもできる。
【0036】
顔料分散の際に使用する有機溶剤としては、例えば、トルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物の様なカルバミン酸エステル、水等が挙げられる。中でも、特にプロピオネート、アルコール系、エーテル系、ケトン系、窒素化合物系、ラクトン系等の極性溶媒で水可溶のものが好ましい。水可溶の有機溶剤を使用する場合には、それに水を併用することもできる。本発明において、これらの溶剤は、2種以上を併用することもできる。
【0037】
それぞれの使用比率については特に限定はないが、一般的に、変性顔料(D)の100部に対して、5〜200部の顔料分散剤、好ましくは、10〜100部の顔料分散剤、さらに好ましくは、10〜60部の顔料分散剤を用い、有機溶剤は、変性顔料(D)と顔料分散剤の固形分量の合計が10〜25質量%、好ましくは10〜20質量%になる様に使用される。
【0038】
(カラーフィルター)
前記カラーフィルター用顔料分散組成物は、赤色、緑色、青色の各色画素部およびブラックマトリックスを有するカラーフィルターの製造に用いることが出来る。
カラーフィルターを製造するに当たっては、フォトリソグラフィー法、インクジェット法、印刷法等の公知慣用の製造方法がいずれも採用できる。以下フォトリソグラフィー法の例に説明する。
フォトリソグラフィー法は、前記カラーフィルター用顔料分散組成物に光硬化性のモノマーやオリゴマー、光重合開始剤等を適宜混合した光硬化性組成物を、カラーフィルター用の透明基板のブラックマトリックスを設けた側の面に塗布、加熱乾燥(プリベーク)した後、フォトマスクを介して200〜500nmの波長範囲の紫外線あるいは可視光を照射することでパターン露光を行って、画素部に対応する箇所の光硬化性化合物を硬化させ、次いで未露光部分を現像液で現像し、非画素部を除去して画素部を透明基板に固着させる方法である。この方法では、光硬化性組成物の硬化着色皮膜からなる画素部が透明基板上に形成される。黒色、赤色、緑色および青色の変性顔料(D)毎に光硬化性組成物を調製して、前記した操作を繰り返すことにより、ブラックマトリックスを形成し、さらに所定の位置に赤色、緑色、青色の各色画素部を有するカラーフィルターを製造することができる。
また、赤色、緑色および青色等の画素部の形成には、黄色の変性顔料(D)や紫色の変性顔料(D)を併用することも出来る。また必要に応じて光硬化後カラーフィルター全体を加熱処理(ポストベーク)することもできる。
【0039】
前記光硬化性組成物をガラス等の透明基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等が挙げられる。また塗布後の光硬化性組成物の加熱乾燥条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常、50〜150℃で、1〜15分間程度である。
また、パターン露光後の現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等が挙げられる。光硬化性組成物の露光、現像の後に、必要な色の画素部が形成された透明基板は水洗し乾燥させる。
こうして得られたカラーフィルターは、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、100〜280℃で、所定時間加熱処理(ポストベーク)することによって、塗膜中の揮発性成分を除去すると同時に、光硬化性組成物の硬化着色皮膜中に残存する未反応の光硬化性化合物が熱硬化し、カラーフィルターが完成する。
【0040】
顔料分散法のうちフォトリソグラフィー法によるカラーフィルターの製造方法について詳述したが、本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物を用いたカラーフィルターは該方法に限定されることなく、例えば電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(Photovoltaic Electrodeposition)法等の方法で製造してもよい。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例により説明する。特に断りのない限り、「部」および「%」は質量基準である。
【0042】
<参考例1 非水溶媒に可溶なポリマー(B−1−1)の合成>
温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ヘプタンの800部、酢酸ブチルの170部を仕込んで90℃に昇温し、同温度に達したところで、アクリル酸2エチルヘキシルの950部、ジメチルアミノエチルメタクリレートの50部、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の7部からなる混合物を5時間かけて滴下し、滴下終了後も、同温度に10時間保持して反応を続行して非水溶媒に可溶なポリマー(B−1−1)を得た。配合比を表1に示す。
【0043】
<参考例2 非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−2−1)の合成>
参考例1で得た非水溶媒に可溶なポリマー(B−1−1)に、t−ブチルピロカテコールの0.2部を酢酸ブチルの15部に溶解した溶液を加え、さらにグリシジルメタクリレートの15部、ジメチルアミノエタノールの30部を加えた後に、80℃まで昇温し、同温度で10時間反応を行う事で、非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−2−1)の溶液を得た。配合比を表1に示す。
【0044】
<参考例3〜5 非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマー(B−2−2)〜(B−2−4)の合成>
配合比を表1に記載の配合比とする以外は、参考例1及び参考例2と同様の方法により重合性不飽和基含有ポリマー(B−2−1)〜(B−2−4)を得た。
【0045】
【表1】

表1中、
重合開始剤1:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
−Ac:アクリレートの略称である。
−MAc:メタアクリレートの略称である。
【0046】
[合成例1]ビニル重合体Aの合成例(X1)
キシレン100部を、窒素気流中80℃に保ち、攪拌しながらメタクリル酸エチル68部、メタクリル酸2−エチルヘキシル29部、チオグリコール酸3部、および重合開始剤(「パーブチル(登録商標)O」〔有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製〕)0.2部からなる0混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間ごとに「パーブチル(登録商標)O」0.5部を添加し、80℃で12時間攪拌した。反応終了後不揮発分調整のためキシレンを加え、不揮発分50%の、片末端にカルボキシル基を有するビニル共重合体(X1)のキシレン溶液を得た。該樹脂の重量平均分子量は7000、酸価は18.0mgKOH/g、ガラス転移温度Tgは38℃であった。
【0047】
[合成例2]ビニル共重合体の合成例(X2)
キシレン100部を、窒素気流中80℃に保ち、攪拌しながらメタクリル酸エチル66部、メタクリル酸2−エチルヘキシル28部、チオグリコール酸6部、および重合開始剤(「パーブチル(登録商標)O」〔有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製〕)0.3部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間ごとに「パーブチル(登録商標)O」0.5部を添加し、80℃で12時間攪拌した。反応終了後、不揮発分調整のため適宜量のキシレンを添加し、不揮発分50%の、片末端にカルボキシル基を有するビニル共重合体(X2)のキシレン溶液を得た。該樹脂の重量平均分子量は4000、酸価は36.0mgKOH/g、ガラス転移温度Tgは38℃であった。
【0048】
<参考例6 非水溶媒に可溶なポリマー(B−1−2)の合成>
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコに、キシレン54.5部、合成例1で得たビニル共重合体(X1)19.0部、合成例2で得たビニル共重合体(X2)38.0部、およびポリアリルアミン20%水溶液(日東紡績(株)製「PAA−05」、数平均分子量約5,000)7.5部からなる混合物を仕込み、窒素気流下撹拌しながら140℃で撹拌し、分離装置を使用して水を溜去すると共に、キシレンを反応溶液に返流しながら8時間140℃で反応を行った。
反応終了後、不揮発分調整のため適宜量のキシレンを添加し、不揮発分40%の、非水溶媒に可溶なポリマー(B−1−2)を得た。該樹脂の重量平均分子量は10,000、アミン価は22.0mg KOH/gであった。
【0049】
<実施例1 変性顔料(1)の合成>
シムラーブリリアントカーミン6B300(DIC株式会社製レッド顔料)のウェットケーキ(顔料分40%)の250部、参考例1で得られたポリマー(B−1−1)の5部、1.25mmのジルコニアビーズの400部、ヘプタンの200部をポリエチレン広口瓶に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機株式会社)で60分間混合を行った。ヘプタンの100部及び水20部で希釈した後、ジルコニアビーズを除去し、顔料混合液を作成した。
得られた顔料混合液の400部を温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに仕込んだ後、疎水性単量体(C)としてシクロヘキシルメタクリレートの5部に2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の2部を溶解したものを加えた。室温で30分間攪拌を続けた後、80℃に昇温し、同温度で15時間反応を続けた。降温後、濾過を行う事で、ポリマー処理顔料と重合溶剤を分離した。得られたポリマー顔料を熱風乾燥機により100℃で5時間乾燥後、粉砕機にて粉砕を行う事で、変性顔料(1)を得た。
【0050】
<実施例2〜16 変性顔料(2)〜(16)の合成>
使用する顔料(A)、ポリマー(B−1−1)を表2〜表5に記載の顔料、及びポリマー(B−1)に変更する以外は実施例1と同様にして、顔料混合液を作成した。
得られた顔料混合液の400部を使用し、重合性単量体(M)及び、疎水性単量体(D)を表2〜表4に記載の重合性単量体(M)及び、疎水性単量体(D)に変更した以外は実施例1と同様にして、変性顔料(2)〜(16)を得た。
【0051】
【表2】


【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【0054】
【表5】


表2〜5中、
カーミン6B:「シムラーブリリアントカーミン6B300(ウエットケーキ) C.I.Pigment Red 57:1」(DIC株式会社製レッド顔料 顔料成分40.0%)」
TGR:「ファーストゲンブルーTGR(ウエットケーキ)C.I.Pigment Blue 15:3(DIC株式会社製ブルー顔料 顔料成分45.0%)」
A110:「ファーストゲングリーンA110(ウエットケーキ) C.I.Pigment Green 58(DIC株式会社製グリーン顔料 顔料成分 52%)」
EP−193:「C.I.Pigment Blue 15:6(DIC株式会社製ブルー顔料)」
−MAc:メタアクリレートの略称
−Ac:アクリレートの略称
サイラプレン0701T:チッソ株式会社製品のトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート
重合開始剤1:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
【0055】
<比較例1>
ファーストゲングリーンA110(大日本インキ化学工業株式会社のグリーン顔料)のウェットケーキ(顔料分52%)の192部、参考例2で得られたポリマーB−2−1の5部、1.25mmのジルコニアビーズの400部、ヘプタンの200部をポリエチレン広口瓶に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機株式会社)で60分間混合を行った。ヘプタンの100部で希釈した後、ジルコニアビーズを除去した。得られた顔料混合液の400部を温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに仕込んだ後、攪拌しながら、t−ブチルアクリルアミドスルホン酸の2部を20部のイオン交換水に溶解したものを加え、エチレングリコールジメタクリレートの5部と、ブチルメタクリレートの3部との重合性単量体組成物に2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の2部を溶解したものを加えた。室温で30分間攪拌を続けた後、80℃に昇温し、同温度で15時間反応を続けた。降温後、濾過を行う事で、ポリマー処理顔料と重合溶剤を分離した。得られたポリマー顔料を熱風乾燥機により100℃で5時間乾燥後、粉砕機にて粉砕を行う事で、比較変性顔料(1)を得た。
【0056】
<比較例2>
ファーストゲングリーンA110(大日本インキ化学工業株式会社のグリーン顔料)のウェットケーキ(顔料分52%)の192部、参考例2で得られたポリマーB−2−1の5部、1.25mmのジルコニアビーズの400部、ヘプタンの200部をポリエチレン広口瓶に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機株式会社)で60分間混合を行った。ヘプタンの100部で希釈した後、ジルコニアビーズを除去した。得られた顔料混合液の400部を温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに仕込んだ後、攪拌しながら、t−ブチルアクリルアミドスルホン酸の2部を20部のイオン交換水に溶解したものを加え、エチレングリコールジメタクリレートの5部と、メタクリル酸メチルの3部との重合性単量体組成物に2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の2部を溶解したものを加えた。室温で30分間攪拌を続けた後、80℃に昇温し、同温度で15時間反応を続けた。降温後、濾過を行う事で、ポリマー処理顔料と重合溶剤を分離した。得られたポリマー顔料を熱風乾燥機により100℃で5時間乾燥後、粉砕機にて粉砕を行う事で、比較変性顔料(2)を得た。
【0057】
<実施例17>
実施例3で得た変性顔料(3)の5部およびアジスパーPB−821(味の素ファインテクノ株式会社製顔料分散剤)の1.5部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下PGMAc)の26.8部に溶解した溶液、0.5mmのジルコニアビーズの65部をポリエチレン広口瓶に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機株式会社)で2時間分散を行った後、ジルコニアビーズを除去して顔料分散液(1)を得た。顔料分散液75.00部とポリエステルアクリレート樹脂(アロニックスM7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.50部、ジぺンタエリスレートヘキサアクリレート(KAYARADDPHA、日本化薬株式会社製)5.00部、ベンゾフェノン(KAYACURE BP−100、日本化薬株式会社製)1.00部、ユーカーエステルEFP13.5部を分散攪拌機で攪拌し、孔径1.0μmのフィルターで濾過し、顔料分散レジスト(カラーレジスト)を得た。顔料分散レジストは1mm厚ガラスに大塚電子(株)製分光光度計MCPD−3000を使用して、C2光源測色で色度座標y値を算出し、y=0.48となるようにスピンコーターを用いて塗布し、その後60℃で5分間予備乾燥して塗膜を形成させた。次いでフォトマスクを介して紫外線によるパターン露光を行った後、未露光部分を0.5%の炭酸ナトリウム水溶液中で洗浄した後、純水で更に洗浄し、次いで得られた塗膜を230℃で15分間加熱処理して塗膜を硬化させ、カラーフィルターとした。このようにして得られたカラーフィルター画素部の耐溶剤性、輝度、コントラストを以下の方法で評価し、表7に記載した。
【0058】
(耐溶剤性 ΔE)
カラーフィルター画素部をN−メチルピロリドン溶液中に25℃にて5分間浸漬し、流水で洗浄、乾燥させた。浸漬前後の塗膜のLabの値を、大塚電子(株)製分光光度計MCPD−3000を用いて測定し、浸漬前後の塗膜のΔEを算出した。ΔE値が低いほど、耐溶剤性が優れていると判断できる。
【0059】
(コントラスト)
当該カラーフィルター画素部を2枚の偏光板の間に設置し、一方には光源を、更にその反対側にはCCDカメラを設置して輝度の測定を行った。偏光軸が平行になる時と垂直になる時との輝度(透過光強度)の比より算出した。
【0060】
(輝度 Y値)
輝度(Y値)は、大塚電子(株)製分光光度計MCPD−3000を使用して、C2光源測色でCIE発色系色度におけるY値を測定した。ここでは、輝度(Y値)が大きいほど視覚明度が高いと評価した。
【0061】
<実施例18〜30>
変性顔料(3)を表7の様に変更する以外は、実施例17と同様の方法にて、顔料分散、塗装、評価を行った。
【0062】
<比較例3〜6>
変性顔料(3)を表7の様に変更する以外は、実施例17と同様の方法にて、顔料分散、塗装、評価を行った。
【0063】
本発明のカラーフィルターの性能試験結果をまとめて表7に示した。
【0064】
【表6】

【0065】
表7中、
A110:「ファーストゲングリーンA110(ウエットケーキ) C.I.Pigment Green 58(DIC株式会社製グリーン顔料 顔料成分 52%)」
EP−193:「C.I.Pigment Blue 15:6(DIC株式会社製ブルー顔料)」
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の変性顔料を含有する顔料分散組成物は、耐溶剤性を要求される用途に特に有用に使用できる。例えば、塗料、プラスチック、印刷インキ、ゴム、レザー、捺染、カラーフィルター、ジェットインキ、熱転写インキなどの顔料分散組成物として非常に有用である。特にメチルピロリドン等の溶解性の高い溶剤に対して耐性を有するため、メチルピロリドンを汎用溶媒とするポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド等のエンジニアリングプラスチックや、ウレタン樹脂等を使用する技術分野の顔料分散組成物、電子・光学材料用の顔料分散組成物としても有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料(A)表面に、非水溶媒に可溶なポリマー(B)と、炭素原子数6〜25の鎖状炭化水素基、炭素原子数6〜20の環状炭化水素基、ジメチルシロキシ基、トリメチルシロキシ基、パーフルオロアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する疎水性不飽和単量体(C)の少なくとも1種とを重合することにより得られるポリマー(P)を有することを特徴とする変性顔料。
【請求項2】
前記非水溶媒に可溶なポリマー(B)がアクリル樹脂である、請求項1に記載の変性顔料。
【請求項3】
前記顔料(A)がC.I.Pigment Green 58である請求項1又は2に記載の変性顔料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の変性顔料を含有することを特徴とする顔料分散組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の顔料分散組成物を使用することを特徴とするカラーフィルター。

【公開番号】特開2011−38016(P2011−38016A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187705(P2009−187705)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】