説明

変換機及び情報変換方法

【課題】非IPネットワークの端末に変更を加えることなく、非IPネットワークにおいて通信帯域の不足や大幅な時間遅延を生じさせずに、IPネットワークと非IPネットワークとの間で情報の変換を行うこと。
【解決手段】変換テーブルメモリ206は、通信相手及び伝送コンテンツ毎に変換テーブルを保存する。ヘッダ作成部205は、変換テーブルの中から、通信相手選択部203から出力されたアドレスを示す情報及び伝送コンテンツ選択部204から出力された伝送コンテンツの種類を示す情報に対応するものを選択する。ヘッダ作成部205は、選択した変換テーブルの内容を参照して、非ネットワークの信号の制御信号部分を作成する。合成部207は、分離部202から出力されたデータを所定の長さに分割し、分割したデータとヘッダ作成部205が作成した制御信号部分とを合成して非IPネットワークの情報信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP(Internet Protocol)ネットワークと非IPネットワークとの間で情報の変換を行う変換機及び情報変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のインターネット機器の普及に伴い、インターネット(IPネットワーク)上でマルチキャスト通信を実現するIPマルチキャスト通信の開発が行われている。例えば、特許文献1には、IPマルチキャスト通信を使用することにより、TCP(Transmission Control Protocol)/IP上でのビデオグループ会議などのグループ通信サービスを実現するグループ通信方法が開示されている。
【0003】
また、IPマルチキャスト通信が開発される以前から、インターネットを使用しない非IPネットワークにおけるマルチキャスト通信も普及している。
【0004】
なお、マルチキャスト通信とは、ネットワークに接続された通信装置の内、一部の通信装置のグループに対してデータを一斉送信する手法である。マルチキャスト通信は、グループに加入した各ユーザがパケットを複製することなくセッションのコンテンツを同時に取得することができ、それによりネットワーク帯域幅の利用を最適化できるため、グループコミュニケーションにとって最も適した技術である。
【特許文献1】特開平10−336176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、IP(無線)ネットワーク端末と非IPネットワークのマルチキャストグループをインターネットで結ぶシステムや、非IPネットワークの複数のマルチキャストグループ間をインターネットで結ぶシステムは、これまで存在していない。
【0006】
IPネットワークは、最大通信容量が非常に大きく、情報を圧縮して多量のデータを高速で送信することができるが(数Mbps)、非IPネットワークは、IPネットワークに比べて最大通信容量が非常に小さく、伝送レートが低い(数〜数十kbps)。
【0007】
したがって、単純に、IPネットワークと非IPネットワークとを接続して、IPネットワークの情報(IPパケット)を、そのまま非IPネットワークのマルチキャストグループに送信すると、IPパケットのヘッダ部分の情報量が大きいために、非IPネットワークにおいて通信帯域の不足や大幅な時間遅延が生じてしまう。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、非IPネットワークの端末に変更を加えることなく、非IPネットワークにおいて通信帯域の不足や大幅な時間遅延を生じさせずに、IPネットワークと非IPネットワークとの間で情報の変換を行うことができる変換機及び情報変換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の変換機は、IP(Internet Protocol)ネットワークと非IPネットワークとの間で情報の変換を行う変換機であって、IPパケットのヘッダの各パラメータと非IPネットワークの信号の制御信号部分の各パラメータとの間の対応関係を示す変換テーブルを保存する変換テーブルメモリと、前記変換テーブルを参照して、前記IPパケットのヘッダ情報から前記非IPネットワークの信号の制御信号部分を作成するヘッダ作成手段と、を具備する構成を採る。
【0010】
本発明の情報変換方法は、IP(Internet Protocol)ネットワークと非IPネットワークとの間で情報の変換を行う情報変換方法であって、入力したIPパケットのヘッダ情報から前記IPパケットの通信相手を選択する通信相手選択工程と、前記IPパケットのヘッダ情報から伝送コンテンツを選択する伝送コンテンツ選択工程と、通信相手、通信を行うグループ毎に、IPパケットのヘッダの各パラメータと非IPネットワークの信号の制御信号部分の各パラメータとの間の対応関係を示す変換テーブルを保存する変換テーブルメモリの中から、前記通信相手選択手段が選択した通信相手及び前記伝送コンテンツ選択手段が選択した伝送コンテンツに対応する変換テーブルを選択する変換テーブル選択工程と、前記選択した変換テーブルを参照して、前記IPパケットのヘッダ情報から前記非IPネットワークの信号の制御信号部分を作成するヘッダ作成工程と、を具備する方法を採る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通信相手、通信を行うグループ毎に、IPパケットのヘッダの各パラメータと非IPネットワークの信号の制御信号部分の各パラメータとの間の対応関係を示す変換テーブルを用意し、選択した変換テーブルを参照して、IPパケットのヘッダ情報から前記非IPネットワークの信号の制御信号部分を作成することにより、非IPネットワークの端末に変更を加えることなく、非IPネットワークにおいて通信帯域の不足や大幅な時間遅延を生じさせずに、IPネットワークと非IPネットワークとの間で情報の変換を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
1.1 システム構成
図1は、本発明の一実施の形態に係るシステムの構成を示す図である。図1に示すシステムは、IPネットワーク接続端末101と、IPネットワーク端末102と、IP無線ネットワーク端末103と、非IP−A(アナログ)型無線基地・端末111と、非IP−A型無線端末112と、非IP−D(ディジタル)型無線基地・端末121と、非IP−D型無線端末122と、を有する。
【0014】
図1において、IPネットワーク接続端末101、IPネットワーク端末102及びIP無線ネットワーク端末103によりIPネットワークが構成される。また、非IP−A型無線基地・端末111及び非IP−A型無線端末112によりアナログ通信の非IPネットワークが構成される。また、非IP−D型無線基地・端末121及び非IP−D型無線端末122によりディジタル通信の非IPネットワークが構成される。
【0015】
IPネットワーク接続端末101は、IPネットワーク端末102との間で、IPによる有線通信を行う。また、IPネットワーク接続端末101は、IP無線ネットワーク端末103との間で、IPによる無線通信を行う。なお、IPネットワーク接続端末101は、複数のIPネットワーク端末102及び複数のIP無線ネットワーク端末103との間で同時に通信を行うことができ、マルチキャスト通信を行うことができる。
【0016】
非IP−A型無線基地・端末111は、非IP−A型無線端末112との間で、トランシーバーに代表されるような、IPによらないアナログの無線通信を行う。なお、非IP−A型無線基地・端末111は、複数の非IP−A型無線端末112との間で同時に通信を行うことができ、マルチキャスト通信を行うことができる。
【0017】
非IP−D型無線基地・端末121は、非IP−D型無線端末122との間で、携帯電話に代表されるような、IPによらないディジタルの無線通信を行う。なお、非IP−D型無線基地・端末121は、複数の非IP−D型無線端末122との間で同時に通信を行うことができ、マルチキャスト通信を行うことができる。
【0018】
非IP−A型無線基地・端末111及び非IP−D型無線基地・端末121は、変換機200を搭載し、変換機200を介して、IPネットワーク接続端末101と、インターネット(IPネットワーク)上で通信を行う。
【0019】
変換機200は、IPネットワーク接続端末101から出力されたIPネットワークの情報(IPパケット)のヘッダ部分を、非IPネットワークの信号の制御信号部分に変換し、非IPネットワークの信号を非IPネットワークの端末112(122)に送信する。また、変換機200は、非IPネットワークの端末112(122)から出力された非IPネットワークの信号の制御信号部分を、IPパケットのヘッダに変換し、IPパケットをIPネットワーク接続端末101に送信する。
【0020】
なお、非IPネットワークの信号の制御信号部分とは、アナログ通信の場合、DCS(Digital Code Squelch)等の事前通信情報、選択された周波数、音声信号に重畳されるTone信号等であり、ディジタル通信の場合、ヘッダ部分である。
【0021】
1.2 変換機の内部構成
図2は、本発明の一実施の形態に係る変換機の構成を示すブロック図である。図1に示す変換機200は、インタフェース201と、分離部202と、通信相手選択部203と、伝送コンテンツ選択部204と、ヘッダ作成部205と、変換テーブルメモリ206と、合成部207と、送信可否判定部208と、インタフェース209と、分離部210と、合成部211と、送信タイミング制御部212と、から主に構成される。
【0022】
インタフェース201は、IPネットワーク接続端末101から送信された情報パケットを入力し、分離部202に出力する。また、インターェース201は、送信タイミング制御部212から出力されたIPパケットをIPネットワーク接続端末101に送信する。
【0023】
分離部202は、インタフェース201から出力されたIPネットワークの情報(IPパケット)をヘッダ部分とデータ部分とに分離し、ヘッダを通信相手選択部203及び伝送コンテンツ選択部204に出力し、データを合成部207に出力する。
【0024】
通信相手選択部203は、分離部202から出力されたIPパケットのヘッダから、パケットを届ける相手先のアドレス(MACアドレス、IPアドレス)を読み取り、このアドレスが、変換機200が属する非IPネットワークのマルチキャストグループのアドレスとして変換テーブルメモリ206の変換テーブルに登録されているか否かを確認する。そして、通信相手選択部203は、アドレスが登録されている場合には、このアドレスを示す情報をヘッダ作成部205に出力する。一方、通信相手選択部203は、アドレスが登録されていない場合には、その旨を示す情報をヘッダ作成部205及び合成部207に出力する。
【0025】
また、通信相手選択部203は、分離部210から出力された非ネットワークの信号の制御信号部分から、IPパケットを届ける相手先のアドレスを特定し、このアドレスが、変換機200が属する非IPネットワークのマルチキャストグループのアドレスとして変換テーブルメモリ206の変換テーブルに登録されているか否かを確認する。そして、通信相手選択部203は、アドレスが登録されている場合には、このアドレスを示す情報をヘッダ作成部205に出力する。一方、通信相手選択部203は、アドレスが登録されていない場合には、その旨を示す情報をヘッダ作成部205及び合成部211に出力する。
【0026】
伝送コンテンツ選択部204は、分離部202から出力されたIPパケットのヘッダから、データの伝送コンテンツの種類(音声通信又はデータ通信)を読み取り、読み取った伝送コンテンツの種類を示す情報をヘッダ作成部205に出力する。
【0027】
また、伝送コンテンツ選択部204は、分離部210から出力された非ネットワークの信号の制御信号部分から、データの伝送コンテンツの種類(音声通信又はデータ通信)を読み取り、読み取った伝送コンテンツの種類を示す情報をヘッダ作成部205に出力する。
【0028】
ヘッダ作成部205は、変換テーブルメモリ206に保存されている変換テーブルの中から、通信相手選択部203から出力されたアドレスを示す情報及び伝送コンテンツ選択部204から出力された伝送コンテンツの種類を示す情報に対応するものを選択する。そして、ヘッダ作成部205は、選択した変換テーブルの内容を参照して、非ネットワークの信号の制御信号部分を作成して合成部207に出力する、あるいは、IPパケットのヘッダを作成して合成部211に出力する。なお、ヘッダ作成部205は、通信相手選択部203からアドレスが登録されていない旨を示す情報を入力した場合には何も動作しない。
【0029】
変換テーブルメモリ206は、通信相手(マルチキャスト通信を行うグループを含む)及び伝送コンテンツ毎に変換テーブルを保存する。変換テーブルには、IPパケットのヘッダの各パラメータ、非ネットワークの信号の制御信号部分の各パラメータ、及び、IPパケットのヘッダの各パラメータと非ネットワークの信号の制御信号部分の各パラメータとの対応関係が登録されている。なお、変換テーブルメモリ206に保存される変換テーブル及びヘッダ作成部205におけるヘッダ作成処理の詳細については後述する。
【0030】
合成部207は、分離部202から出力されたデータを所定の長さに分割し、分割したデータとヘッダ作成部205から出力された制御信号部分とを合成して非IPネットワークの情報信号を生成し、送信可否判定部208に出力する。なお、合成部207は、通信相手選択部203からアドレスが登録されていない旨を示す情報を入力した場合には何も動作しない。なお、合成部207における合成処理の詳細は後述する。
【0031】
送信可否判定部208は、無線規格に適合する制限時間内であれば、合成部207から出力された信号をインタフェース209に出力する。一方、送信可否判定部208は、無線規格に適合する制限時間を超えている場合には、合成部207から出力された信号を廃棄する。
【0032】
インタフェース209は、非IPネットワークの端末112(122)から送信された信号を入力し、分離部210に出力する。また、インターェース209は、送信可否判定部208から出力された信号を非IPネットワークの端末112(122)に送信する。
【0033】
分離部210は、インタフェース209から出力された非IPネットワークの信号をヘッダ部分とデータ部分とに分離し、非ネットワークの信号の制御信号部分を通信相手選択部203及び伝送コンテンツ選択部204に出力し、データを合成部211に出力する。
【0034】
合成部211は、分離部210から出力されたデータを所定の長さに連結し、連結したデータとヘッダ作成部205から出力されたヘッダとを合成してIPパケットを生成し、送信タイミング制御部212に出力する。なお、合成部211は、通信相手選択部203からアドレスが登録されていない旨を示す情報を入力した場合には何も動作しない。なお、合成部211における合成処理の詳細は後述する。
【0035】
送信タイミング制御部212は、通信規格に適合するタイミングで、合成部211から出力されたIPパケットをインタフェース201に出力する。
【0036】
1.3 ヘッダ作成処理の具体的説明
次に、変換テーブルメモリ206に保存される変換テーブル及びヘッダ作成部205におけるヘッダ作成処理について、図3を用いて具体的に説明する。図3は、変換テーブルメモリ206に保存される変換テーブルの一例を示す図である。図3A及び図3Bは、IPネットワークと非IP−A型無線ネットワークとの変換テーブルを示し、図3Cは、IPネットワークと非IP−D型無線ネットワークとの変換テーブルを示す。図3Aと図3Bとは、対応付け・変換の欄のみが異なる。図3Aの対応付け・変換の欄は、伝送コンテンツの種類がデータ通信の場合を示し、図3Bの対応付け・変換の欄は、伝送コンテンツの種類が音声通信の場合を示す。また、図3Cの対応付け・変換の欄は、伝送コンテンツの種類が音声通信の場合を示す。
【0037】
通信相手選択部203において、IPパケットのヘッダのMACアドレス、IPアドレスが、図3Aの変換テーブルのMACアドレス、IPアドレスと同一であると確認され、かつ、伝送コンテンツ選択部204において、伝送コンテンツの種類がデータ通信であることが読み取られた場合、ヘッダ作成部205は、図3Aの変換テーブルに従って、非IPネットワークのアナログ通信用のヘッダに相当する情報を作成する。
【0038】
具体的には、ヘッダ作成部205は、MACアドレス、IPアドレスに対応するトーンを選択し、Tone信号を生成する。また、ヘッダ作成部205は、UDP(User Datagram Protocol)に対応するみなし音声データをTone信号に重畳する。
【0039】
また、ヘッダ作成部205は、通信方式としてFM(Frequency Modulation)を選択し、IP側音声コーディックとしてADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)を選択し、FM変調方式に対応するリアルタイム音声、8kHz変換を選択し、FMの通信規格に対応するように帯域制限を12.5kHzに選択する。そして、ヘッダ作成部205は、これらの選択した情報を合成部207に指示する。
【0040】
また、通信相手選択部203において、非IPネットワークのアナログ通信用のヘッダに相当する情報のトーンが、図3Aの変換テーブルの低周波トーンと同一であると確認され、かつ、伝送コンテンツ選択部204において、伝送コンテンツの種類がデータ通信であることが読み取られた場合、ヘッダ作成部205は、図3Aの変換テーブルに従って、IPパケットのヘッダを作成する。
【0041】
具体的には、ヘッダ作成部205は、トーンに対応するMACアドレス、IPアドレスを選択し、グループに適応するマルチキャスト情報を選択する。そして、これらの情報を持つヘッダを作成する。
【0042】
また、ヘッダ作成部205は、通信方式としてFMを選択し、IP側音声コーディックとしてADPCMを選択し、受信FM復調信号をADPCM方式で量子化して通信規格対応のパケットサイズにブロック化するように合成部211に指示する。
【0043】
なお、通信相手選択部203において、IPパケットのヘッダのMACアドレス、IPアドレスが、図3Bの変換テーブルのMACアドレス、IPアドレスと同一であると確認され、かつ、伝送コンテンツ選択部204において、伝送コンテンツの種類が音声通信であることが読み取られた場合、ヘッダ作成部205は、図3Bの変換テーブルに従って、非IPネットワークのアナログ通信用のヘッダに相当する情報を作成する。
【0044】
また、通信相手選択部203において、IPパケットのヘッダのMACアドレス、IPアドレスが、図3Cの変換テーブルのMACアドレス、IPアドレスと同一であると確認され、かつ、伝送コンテンツ選択部204において、伝送コンテンツの種類が音声通信であることが読み取られた場合、ヘッダ作成部205は、図3Cの変換テーブルに従って、非IPネットワークのアナログ通信用のヘッダに相当する情報を作成する。
【0045】
1.4 合成処理の具体的説明
次に、合成部207及び合成部211における合成処理について、図4を用いて具体的に説明する。図4は、IPパケット、非IPネットワークの情報のフレームフォーマットを示す図である。図4AはIPパケットのフレームフォーマットを示し、図4Bは非IP−A型無線ネットワークのフレームフォーマットを示し、図4Cは非IP−D型無線ネットワークのフレームフォーマットを示す。
【0046】
図4Aに示すように、IPパケットのフレームは、Payload(データ部分)の前に、ヘッダが付加される。ヘッダは、物理層のヘッダ(PHY−I)、MAC層のヘッダ(MAC)、インターネット層のヘッダ(IP)、トランスポート層のヘッダ(TCP or UDP)に分けられる。各層のヘッダは、送信先における同一層とやり取りするための制御信号が格納される。
【0047】
図5は、MAC層のヘッダのフレームフォーマットを示す図である。図5に示すように、MAC層のヘッダの制御信号は、56+8+48+48+16+32=302bitである。
【0048】
図6は、TCPヘッダのフレームフォーマットを示す図であり、図7は、UDPヘッダのフレームフォーマットを示す図である。IPヘッダとTCPヘッダを併せた制御信号は160bitであり、IPヘッダとUDPヘッダを併せた制御信号は64bitである。
【0049】
このように、IPパケットは、大きなヘッダ情報を有する。これを、最大通信容量が非常に小さく、伝送レートが低い非IPネットワークにそのまま長そうとすると、ヘッダ情報等によるオーバーヘッドが大きいため、通信帯域の不足や大幅な時間遅延が生じてしまう。
【0050】
そこで、本実施の形態では、ヘッダ作成部205において非ネットワークの信号の制御信号部分を作成し、合成部207において制御信号部分とデータとを合成する。なお、合成部207は、必要に応じてデータの加工(例えば、データを一度汎用的な形にして、次に規格に適合した形にすること)を行った後、制御信号部分とデータとを合成する。
【0051】
具体的には、非IP−A型無線ネットワークでは、図4Bに示すように、例えばFM等の音声の前にDCSを付加したり、Tone信号を重畳したりする。また、非IP−D型無線ネットワークでは、図4Bに示すように、データの前に、物理層のヘッダ(PHY−D)、MAC層のヘッダ(M:48bit)を付加する。
【0052】
なお、合成部211は、ヘッダ作成部205においてIPパケットのヘッダが作成された場合に、図4Aに示すように、IPパケットのヘッダとデータとを合成する。
【0053】
1.5 本実施の形態の効果
このように、本実施の形態によれば、通信相手、通信を行うグループ毎に、IPパケットのヘッダの各パラメータと非IPネットワークの信号の制御信号部分の各パラメータとの間の対応関係を示す変換テーブルを用意し、選択した変換テーブルを参照して、IPパケットのヘッダ情報から前記非IPネットワークの信号の制御信号部分を作成することにより、非IPネットワークの端末に変更を加えることなく、非IPネットワークにおいて通信帯域の不足や大幅な時間遅延を生じさせずに、IPネットワークと非IPネットワークとの間で情報の変換を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、OFDM伝送方式の移動体通信に用いられる基地局装置、端末装置及び中継局装置に用いるに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施の形態に係るシステムの構成を示す図
【図2】本発明の一実施の形態に係る変換機の構成を示すブロック図
【図3】本発明の一実施の形態に係る変換機の変換テーブルメモリに保存される変換テーブルの一例を示す図
【図4】本発明の一実施の形態に係る変換機に入力されるIPパケット、非IPネットワークの情報のフレームフォーマットを示す図
【図5】MAC層のヘッダのフレームフォーマットを示す図
【図6】TCPヘッダのフレームフォーマットを示す図
【図7】UDPヘッダのフレームフォーマットを示す図
【符号の説明】
【0056】
101 IPネットワーク接続端末
102 IPネットワーク端末
103 IP無線ネットワーク端末
111 非IP−A(アナログ)型無線基地・端末
112 非IP−A型無線端末
121 非IP−D(ディジタル)型無線基地・端末
122 非IP−D型無線端末
200 変換機
201、209 インタフェース
202、210 分離部
203 通信相手選択部
204 伝送コンテンツ選択部
205 ヘッダ作成部
206 変換テーブルメモリ
207、211 合成部
208 送信可否判定部
212 送信タイミング制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP(Internet Protocol)ネットワークと非IPネットワークとの間で情報の変換を行う変換機であって、
IPパケットのヘッダの各パラメータと非IPネットワークの信号の制御信号部分の各パラメータとの間の対応関係を示す変換テーブルを保存する変換テーブルメモリと、
前記変換テーブルを参照して、前記IPパケットのヘッダ情報から前記非IPネットワークの信号の制御信号部分を作成するヘッダ作成手段と、
を具備する変換機。
【請求項2】
入力したIPパケットのヘッダ情報から前記IPパケットの通信相手を選択する通信相手選択手段と、
前記IPパケットのヘッダ情報から伝送コンテンツを選択する伝送コンテンツ選択手段と、を具備し、
前記変換テーブルメモリは、通信相手、通信を行うグループ毎に変換テーブルを保存し、
前記ヘッダ作成手段は、前記通信相手選択手段が選択した通信相手及び前記伝送コンテンツ選択手段が選択した伝送コンテンツに対応する変換テーブルを参照して、非IPネットワークの信号の制御信号部分を作成する、
請求項1記載の変換機。
【請求項3】
前記通信相手選択手段は、入力した非IPネットワークの信号の制御信号部分から前記非IPネットワークの信号の通信相手を選択し、
前記伝送コンテンツ選択手段は、前記非IPネットワークの信号の制御信号部分から伝送コンテンツを選択し、
前記ヘッダ作成手段は、前記通信相手選択手段が選択した通信相手及び前記伝送コンテンツ選択手段が選択した伝送コンテンツに対応する変換テーブルを参照して、IPパケットのヘッダ情報を作成する、
請求項2記載の変換機。
【請求項4】
前記IPパケットのデータを所定の長さに分割し、分割したデータと前記ヘッダ作成手段が作成した制御信号部分を合成して非IPネットワークの信号を生成する第1合成手段を具備する、請求項2記載の変換機。
【請求項5】
無線規格に適合する制限時間内であれば、前記第1合成手段から出力された信号を非IPネットワークに出力し、無線規格に適合する制限時間を超えている場合には、前記第1合成手段から出力された信号を廃棄する送信可否判定手段を具備する請求項4記載の変換機。
【請求項6】
前記非IPネットワークの信号のデータを所定の長さに連結し、連結したデータと前記ヘッダ作成手段が作成したヘッダ情報を合成してIPパケットを生成する第2合成手段を具備する、請求項3記載の変換機。
【請求項7】
通信規格に適合するタイミングで、前記第2合成手段から出力されたIPパケットをIPネットワークに出力する送信タイミング制御手段を具備する請求項6記載の変換機。
【請求項8】
IP(Internet Protocol)ネットワークと非IPネットワークとの間で情報の変換を行う情報変換方法であって、
入力したIPパケットのヘッダ情報から前記IPパケットの通信相手を選択する通信相手選択工程と、
前記IPパケットのヘッダ情報から伝送コンテンツを選択する伝送コンテンツ選択工程と、
通信相手、通信を行うグループ毎に、IPパケットのヘッダの各パラメータと非IPネットワークの信号の制御信号部分の各パラメータとの間の対応関係を示す変換テーブルを保存する変換テーブルメモリの中から、前記通信相手選択手段が選択した通信相手及び前記伝送コンテンツ選択手段が選択した伝送コンテンツに対応する変換テーブルを選択する変換テーブル選択工程と、
前記選択した変換テーブルを参照して、前記IPパケットのヘッダ情報から前記非IPネットワークの信号の制御信号部分を作成するヘッダ作成工程と、
を具備する情報変換方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−239420(P2010−239420A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85642(P2009−85642)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】