説明

変流器保護装置

【課題】変流器に長時間異常電圧が生じた場合であっても保護することが可能である一方、正常時には、保護装置側に電流を分流させない変流器保護装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、複数の非線形抵抗部110、異常時電流検出部120、回路短絡部130、異常時用回路部140を含み、異常電圧が生じた場合、非線形抵抗部110から出力された異常時電流の有無が、異常時電流検出部120において検出され、回路短絡部130が、異常時用回路部140を短絡させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常電圧から変流器を保護する変流器保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
変流器は、交流電源と接続する一次コイルと、一次コイルより巻線数の多い二次コイルと、鉄心とを含む構成の機器であり、鉄心に、前記一次コイル及び二次コイルの双方が巻き付いた構造となっている。交流電源及び一次コイルを含む回路(以下、「一次側回路部」という)には、所定値の負荷抵抗が設けられており、交流電源が起動すると一次コイルに電流が流れる。また、一次コイルに電流が流れることで、鉄心内に磁場が生じ、当該磁場が二次コイルに作用して、二次コイルにも電流が流れる。その際、二次コイルに流れる電流は、一次コイルの巻線数をN1、二次コイルの巻線数をN2とした場合、一次コイルの電流のN1/N2の値となる。この場合、N1は、N2と比べて巻線数が少ないため、N1/N2は1より小さい値となる。したがって、一次コイルより少ない電流を二次コイルに流すことができる。
【0003】
上記のように、変流器は、適正量に変換された電流を二次コイルに流すことが可能である。このため、二次コイルに計測器、電子デバイス等の電流供給対象物を接続すれば、損傷しない程度の電流を電流供給対象物に流すことができる。
【0004】
この電流供給対象物として、例えば、機器・装置等の内部に流れる電流の値を測定する電流計を挙げることができる。測定対象の機器・装置等によっては、測定の際に大電流が流れる(例えば、300A以上)場合があるが、このような大きな値の電流を直接電流計に流すことはできない。そのため、変流器の二次コイルに電流計を繋ぎ、電源と電流計との間に変流器を介在させる構成とする。これにより、適正な値に変換された電流を、電流計に流すことが可能となる。
【0005】
このとき、電流計の内部導線が断線していた、あるいは一次側回路部の電源を停止せずに電流計を取り外してしまった等の理由により、二次コイルと電流計とを繋いで形成される回路が開放された状態で、電源から電力が供給されると、当該開放地点には、極めて高い異常電圧が生じ、変流器を損傷させる可能性がある。この異常電圧から変流器を保護する技術として下記特許文献に記載の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−035808号公報
【特許文献2】特開2007−214462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の発明は、変流器の二次側回路に、避雷器及び電流検出器が接続されると共に、前記避雷器及び電流検出器に対して並列に接続される接点を含む構成である。接点が開放された状態で、変流器の二次側回路に電流が流れた場合、避雷器が通電し、その通電電流が電流検出器に流れる。また、電流検出器に流れた電流が、所定の閾値を超えると異常電圧が生じたと判定され、前記接点を閉じる。これにより、接点が開放された状態で二次側回路に電流が流れた場合であっても、異常電圧の発生から変流器を保護することができる。
【0008】
特許文献2に記載の発明は、変流器二次端子に生ずる異常電圧を遮断する回路保護部と、回路保護部を通過した電圧信号を整流する整流部と、整流された電圧信号と基準電圧とを比較する比較部と、開放状態にある変流器二次端子を短絡させる短絡回路部(リレーコイル等)とを含む構成である。整流されて入力された電圧信号が基準電圧を超えたと比較部が判定した場合、二次端子を閉じるための信号が短絡回路部に出力され、二次側回路が閉じられる。これにより、二次側回路が開いた状態で二次端子に電流が流れた場合であっても、異常電圧の発生から変流器を保護することができる。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、変流器の二次側回路に異常電圧が生じて避雷器が動作した後、どのように回路を短絡させるのか具体的な記載がない。また、回路内に配置された避雷器が一つのみであるため、仮に、当該避雷器が異常電圧に耐えきれずに損傷した場合、以後異常電圧からの保護機能を果たさなくなる。さらに、この発明は、異常電圧であるか否かに関わらず、避雷器及び電流検出器側に電流が流れる構成である。そのため、電流値の測定を行うために、電流計と、避雷器並びに電流検出器とを並列的に接続すると、正常時であっても、二次側回路に流れる電流が、電流計側と、避雷器・電流検出器側とに分流してしまう。その結果、測定対象の機器等に流れた電流値として換算された値と、実際に電流計に流れた電流値との間に誤差が生じるため、信頼性の高い測定を行うことができない。
【0010】
特許文献2に記載の発明は、変流器二次端子に生じた過電圧(異常電圧)を遮断する回路保護部を一つしか具備しておらず、特許文献1に記載の発明と同様、長時間過電圧がかかるなどして、当該回路保護部が損傷した場合、以後、二次端子の保護機能を果たせなくなる。また、前記保護回路部としてバリスタが用いられているが、バリスタの電気抵抗では、過電圧より低い電圧が二次端子にかかった場合であっても、微量ではあるが電流が流れてしまう。そのため、電流測定の際、二次端子に生じた電流が、電流計側と回路保護部側とに分流してしまう。その結果、測定対象の機器等に流れた電流値を正確に計測することができない。
【0011】
本発明は、変流器に長時間異常電圧が生じた場合であっても、変流器を保護することが可能である一方、異常電圧の発生がない正常時には、保護装置側(後述する異常時用回路部)に電流を分流させない変流器保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための本発明に係る変流器保護装置は、
両端が変流器の二次コイルと接続する異常時用回路部と、
前記異常時用回路部に接続されると共に、非線形の抵抗変化特性を示し、異常電圧が入力されると異常時電流を出力する複数の非線形抵抗部と、
前記複数の非線形抵抗部の少なくとも一つから出力された電流を検出する異常時電流検出部と、
前記異常時電流検出部と接続されると共に、前記異常時電流検出部において異常時電流が検出されると、前記異常電圧が発生したと判定し、前記異常時用回路部を短絡させる回路短絡部とを含み、
前記回路短絡部が前記異常時用回路部を短絡させると、当該異常時用回路部に異常時電流が流れ、それに伴い異常電圧が低下することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、複数の非線形抵抗部が、所定の閾値電圧以上の電圧が入力されると異常時電流を出力すると共に、前記複数の非線形抵抗部毎に前記閾値電圧が異なるようにすることが好ましい。また、本発明は、前記非線形抵抗部が、ガス入り放電管であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、変流器に長時間異常電圧が生じた場合であっても、変流器を保護可能である一方、異常電圧の発生がない正常時には、保護装置側に電流を分流させない変流器保護装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る第一の実施形態を示す概要図
【図2】変流器保護装置10の回路構成図
【図3】本発明に係る第二の実施形態を示す概要図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態では、変流器の二次コイルと接続し、この二次コイルに生じた電流の供給を受ける電流供給対象物を、電流計としているが、その他の電流供給対象物であっても適用可能である。
【0017】
図1は、本発明に係る第一の実施形態を示す概要図である。本実施形態に関する変流器保護装置10は、非線形抵抗部110、異常時電流検出部120、回路短絡部130、異常時用回路部140を含む構成である。異常時用回路部140は、非線形抵抗部110を通ると共に、これとは別の箇所に接点ポイント141を備える。接点ポイント141が閉じると、異常時用回路140は、閉ループになる。なお、異常時用回路部140の両端は、変流器20の二次コイル231と接続される。この場合、異常時用回路部140は、同じく二次コイル231と接続する電流計40に対して、並列となるよう接続される。本実施形態では、導線50a・50bによって、二次コイル231と異常時用回路部140とが接続される。
【0018】
交流電源30が駆動して、一次側回路部220(交流電源30、変流器20の一次コイル221、負荷抵抗222を繋いで形成される回路)に交流電圧が印加されると、一次コイル221及び鉄心240を介して、変流器20の二次コイル231に電流が流れる。この二次コイル231の巻線数は、前記一次コイルよりも多い。そのため、一次コイル221より少ない量の電流が、電流計40に流れる。
【0019】
このとき、上述の二次コイル231、電流計40を繋いで形成される回路(以下、「電流計40を通じる回路」)が閉じていれば(電流計40を通じる回路で閉ループが形成されていれば)、変流器20は正常に動作する。すなわち、変流器保護装置10は作動しない。しかしながら、例えば、電流計40内の導線が断線していた等の理由で、電流計40を通じる回路に開放地点が生じていた場合、変流器保護装置10内の非線形抵抗部110、異常時電流検出部120、回路短絡部130等が作動して、変流器保護装置10内部の異常時用回路部140を短絡させる。これにより、異常時用回路部140が閉ループとなって電流が流れ、それにともない異常電圧が低下する。
【0020】
ここで、異常電圧とは、電流計40を通じる回路に開放地点が生じていた場合に、当該回路及び異常時用回路部140に発生する高電圧を指す。具体的には、変流器20の一次コイルの巻線数がN1、二次コイルの巻線数がN2である場合、交流電源30の入力電圧に、N2/N1を乗じた値の電圧(交流電圧30の入力電圧=100V、一次コイルの巻線数N1=10、二次コイルの巻線数N2=100、とした場合、100V×100/10=1000V の電圧が生じる。)を言う。ただし、この電圧値(交流電源30の入力電圧に、N2/N1を乗じた値)は、理論上計算される値であるため、正確には、当該理論値の近傍の範囲を含む。
【0021】
図2は、本発明に係る変流器保護装置10内の回路構成を示す図である。図2に示すように、非線形抵抗部110は、異常時用回路部140に接続される。非線形抵抗部110は、入力電圧の値に応じて内部抵抗値が変化する性質を有する(すなわち、非線形の抵抗変化特性を示す)ものであり、例えば、非線形の電流―電圧特性を示すサージ保護デバイス、避雷器などが挙げられる。特に、変流器20が正常に動作する際の、異常時用回路部140への電流分流の防止という観点から、非線形抵抗部110は、入力電圧が所定値(以下、「閾値電圧」)を超えない場合には、著しく高い内部抵抗値を示す(すなわち、絶縁体としての性質を示して電流を流さない)一方で、閾値電圧を超えた場合、内部抵抗値が下がる性質(すなわち、非線形抵抗部110が通電する)のものが好ましい。この性質を具備するものとして、特にガス入り放電管が好ましい。なお、この閾値電圧として、正常時に電流計40を通じる回路等に生ずる電圧より高く、異常電圧より低い電圧とすることが好ましい。
【0022】
異常時電流検出部120(図1参照)は、異常電圧が生じた際に流れる異常時電流を検出し、それを回路短絡部130に伝達するためのものである。図2に示すように、本実施形態において、異常時電流検出部120は、非線形抵抗部110の電流出力側に位置する導線が挿通されるコイル121aを具備する異常時電流検出用トランス121と、異常時電流検出用トランス121のコイル121aに流れる電流を電圧に変換し増幅するオペアンプ122と、オペアンプ122により増幅された電圧を直流電圧に変換する平滑回路123(ダイオード123a、コンデンサ123bからなる)と、平滑回路123により変換された直流電圧が印加されると、電圧印加状態を所定時間保持するラッチ回路124を具備し、これらが順次接続される構成としている。
【0023】
ただし、異常時電流検出部120は、非線形抵抗部110からの異常時電流を検出可能なものであれば、これに限られず、例えば、異常時電流検出用トランス121に代えて、非線形抵抗部110の電流出力側に抵抗素子を配置し、当該抵抗素子に非線形抵抗部110から出力された異常時電流が流れた際の電圧の変化を測ることで、異常時電流を検出するようなものであってもよい。
【0024】
異常時電流の有無を異常時電流検出部120が検出すると、所定値の電圧を後述する回路短絡部130に出力する。これにより、異常時電流が生じたことを回路短絡部130に伝達することができる。
【0025】
回路短絡部130(図1参照)は、異常電圧が生じた際に、変流器保護装置10内の異常時用回路部140を短絡させるためのものである。回路短絡部130は、図2に示すように、上述の異常時電流検出部120(ラッチ回路124)と接続するベースに、電圧が印加されると、エミッタ・コレクタ間に電流が流れる異常電圧判定用のトランジスタ131と、電流が流れると内部に磁場が誘起されるリレーコイル132aを備えるリレー素子132とを含む。リレー素子132は、異常時用回路140の接点ポイント141の近傍に設けられる。リレーコイル132aに磁場が誘起されると、発生した磁場が接点ポイント141に作用し、接点ポイント141が閉じて、異常時用回路140を短絡する。
【0026】
なお、本実施形態では、異常時用回路部140を短絡させるために、リレー素子132を用いているが、異常時用回路部140を短絡させることが可能であれば、これに限られず、例えば、リレー素子132に代えて、異常時用回路部140のオンオフを制御可能なデジタル回路等を設けるような構成としてもよい。ただし、この場合、開放時のリーク電流のないものが好ましい。
【0027】
ここで、本実施形態では、図2に示すように、上述の非線形抵抗部110、異常時電流検出部120、回路短絡部130が、それぞれ複数設けられている(図2では、各々2つずつ記載されている)。これは、異常電圧が長時間かかった等の理由で、一つの非線形抵抗部110が損傷し、それに接続される異常時電流検出部120、回路短絡部130が機能しなくなった場合であっても、他の非線形抵抗部110等が作動して、異常時用回路部140を短絡させるためである(非線形抵抗部110、異常時電流検出部120、回路短絡部130が一つずつであっても、変流器20の保護機能を果たせることはもちろんである)。
【0028】
この場合、非線形抵抗部110は、各々が並列的に接続されることが好ましい。また、上述の閾値電圧が、非線形抵抗部110毎に異なるようにすれば、異常電圧が長時間かかった場合であっても対応することが可能となる。なお、閾値電圧を非線形抵抗部110毎に変えるための方法としては、異なる種類・規格のサージ保護デバイスを用いる、あるいは同じ種類・規格のサージ保護デバイスを連設し、連設するサージ保護デバイスの個数に応じて、非線形抵抗部毎の閾値電圧を変える等が考えられる。
【0029】
図1及び図2では、一つの非線形抵抗部110に対して、異常時電流検出部120、回路短絡部130が一つずつ接続されているが、各々の接続(組合せ)の個数はこれに限られるものではない。例えば、複数の非線形抵抗部110に対して、一組の異常時電流検出部120、回路短絡部130を接続してもよい(この場合、並列接続された複数の非線形抵抗部110の電流出力側に、異常時電流検出部120、回路短絡部130を直列接続する等の配置の仕方が考えられる。)。逆に、一つの非線形抵抗部110に対して、複数組の異常時電流検出部120、回路短絡部130を接続するようにしてもよい。
【0030】
次に、本実施形態に係る変流器保護装置10の動作について説明する。電流計40を通じる回路に開放地点があることで、変流器保護装置10内の異常時用回路部140に配置された非線形抵抗部110に異常電圧がかかると、非線形抵抗部110の抵抗が下がって、内部に電流(異常時電流)が流れ、出力される。
【0031】
出力された異常時電流は、非線形抵抗部110の電流出力側に配置された異常時電流検出部120に入力される。本実施形態では、図2に示すように、非線形抵抗部110から異常時電流が出力されると、異常時電流検出用トランス121のコイル121aに挿通された導線に電流が流れる。これにより、コイル121aに、導線とコイル121aとの巻数比に応じた二次電流が流れ、この二次電流が、コイル121aと接続するオペアンプ122に入力され、所定値の電圧に増幅される。続いて、増幅された電圧が、平滑回路123に入力されて、直流電圧に変換される。さらに、この直流電圧がラッチ回路124に入力されて、電圧が印加された状態が保持される。この状態は、前記保護装置10に別途設けられた解除スイッチ(図示しない)が入力されるまで継続される。
【0032】
ラッチ回路124から出力される電圧は、回路短絡部130のトランジスタ131のベースに入力され、トランジスタ131のエミッタ・コレクタ間に電流が流れる。得られた電流は、トランジスタ131のコレクタと接続されるリレー素子132のリレーコイル132aに入力される。これにより、リレーコイル132aに磁場が誘起され、接点ポイント141が閉じる。その結果、異常時用回路部140は閉ループとなって電流が流れ、異常電圧が低下する。
【0033】
上述の一連の動作により、変流器20に異常電圧が発生した場合であっても、本発明に係る変流器保護装置10が、瞬時に異常時用回路部140を短絡させ、異常電圧を抑える。これにより、変流器20の損傷を防止することができる。なお、図2に示すように、変流器保護装置10内に、非線形抵抗部110、異常時電流検出部120、回路短絡部130を複数設ける場合であっても、異常時用回路部140の短絡までのプロセスは同様である。
【0034】
次に、図3を参照して、本発明に係る第二の実施形態について説明する。なお、第二の実施形態を構成する部分のうち、図1及び図2に示す第一の実施形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0035】
第二の実施形態に係る変流器保護装置50は、上述の第一の実施形態に係る変流器保護装置10に、交流電源30の駆動を停止させる交流電源駆動停止手段510、変流器20に異常電圧が生じた旨を外部にいる作業者等に報知する外部報知手段520を付加したものである。
【0036】
交流電源駆動停止手段510は、異常電圧が生じた際、変流器20の一次側回路部220に電力を供給している交流電源30の駆動を停止させるものである。本実施形態では、回路短絡部130に含まれるリレー素子132に電流が流れて生じる誘導磁場の作用を受けて動作する接点ポイント511を含む構成である。接点ポイント511が閉じると、交流電源駆動停止手段510と、交流電源30とを繋いで形成される交流電源停止用回路530が短絡する。
【0037】
交流電源停止用回路530が短絡すると、交流電源30のスイッチ部(図示しない)が作動し、交流電源30の駆動が止まる。これにより、異常電圧が生じた際、自動的に交流電源30の変流器20への電力の供給を停止させることができる。なお、交流電源駆動停止手段510は、交流電源30の駆動を停止させるものであればこれに限られるものではない。
【0038】
外部報知手段520は、変流器20に異常電圧が生じた際、その旨を作業者等に知らせるために、外部に設置された警報装置60に異常電圧発生情報を送信する。外部報知手段520と、警報装置60とは、有線又は無線の通信路を介して接続される。本実施形態では、外部報知手段520に設けられた警報装置60への発信回路521内に、回路短絡部130に含まれるリレー素子132からの作用を受ける接点ポイント522を設け、リレー素子132のリレーコイル132aに電流が流れると、接点ポイント522が、発信回路を短絡させるよう動作する構成としている。これにより、異常電圧の発生を警報装置60に送信し、作業者等にその旨を伝えることができる。
【0039】
なお、上述のように、本発明は、異常電圧の生じない正常時、変流器20の二次コイル231に発生した電流が、電流計40を通じる回路以外の部分に分流しない。すなわち、電流計40に実際に流れる電流値と、電流計40のメータ等に示される電流値との間に誤差が生じない(又は、無視できる程少ない)。したがって、出荷前の電流計40の動作試験(正確な測定が可能か否かの試験)を行う試験装置(他の電流供給対象物(例えば、使用電力を計測する電力量計等)の動作試験を行う試験装置についても同様)に、本発明を組み込んだ場合、電流計40等が適正に動作するか否かを高精度で試験することが可能である。ただし、本発明をその他の用途で実施できることはもちろんである。
【符号の説明】
【0040】
10 第一の実施形態に係る変流器保護装置
20 変流器
30 交流電源
40 電流計(電流供給対象物)
50 第二の実施形態に係る変流器保護装置
60 外部警報装置
110 非線形抵抗部
120 異常時電流検出部
130 回路短絡部
131 トランジスタ
132 リレー素子
140 異常時用回路部
221 変流器の一次コイル
231 変流器の二次コイル
510 交流電源駆動停止手段
520 外部報知手段
530 交流電源停止用回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
変流器に接続される変流器保護装置であって、
両端が変流器の二次コイルと接続する異常時用回路部と、
前記異常時用回路部に接続されると共に、非線形の抵抗変化特性を示し、異常電圧が入力されると異常時電流を出力する複数の非線形抵抗部と、
前記複数の非線形抵抗部の少なくとも一つから出力された前記異常時電流を検出する異常時電流検出部と、
前記異常時電流検出部と接続されると共に、前記異常時電流検出部において異常時電流が検出されると、前記異常電圧が発生したと判定し、前記異常時用回路部を短絡させる回路短絡部とを含み、
前記回路短絡部が前記異常時用回路部を短絡させると、当該異常時用回路部に異常時電流が流れ、それに伴い異常電圧が低下することを特徴とする変流器保護装置。
【請求項2】
前記複数の非線形抵抗部は、所定の閾値電圧以上の電圧が入力されると前記異常時電流を出力するものであり、
前記閾値電圧が、前記複数の非線形抵抗部毎に異なる請求項1に記載の変流器保護装置。
【請求項3】
前記非線形抵抗部と同数以上の前記異常時電流検出部が設けられており、
前記非線形抵抗部の各々には、前記異常時電流検出部が少なくとも一つ接続され、
各非線形抵抗部からの異常時電流が、特定の異常時電流検出部へ出力される請求項1又は2に記載の変流器保護装置。
【請求項4】
前記異常時電流検出部と同数以上の前記回路短絡部が設けられており、
前記異常時電流検出部の各々には、前記回路短絡部が少なくとも一つ接続される請求項1から3のいずれか一項に記載の変流器保護装置。
【請求項5】
前記回路短絡部は、リレー素子を含み、
前記リレー素子のリレーコイルに電流が流れることで、前記異常時用回路部の接点ポイントが閉じられて、前記異常時用回路部が短絡する請求項1から4のいずれか一項に記載の変流器保護装置。
【請求項6】
前記非線形抵抗部が、ガス入り放電管である請求項1から5のいずれか一項に記載の変流器保護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−222866(P2012−222866A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83173(P2011−83173)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(300086388)デンソクテクノ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】